【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 極限シリコン結晶太陽電池の研究開発(次世代超薄型結晶シリコン太陽電池の低コスト・高効率化プロセス開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
P. VERLINDEN et al.,Super Self-aligned Technology for Backside Contact Solar Cells; a Route to Low Cost and High Efficie,CONFERENCE RECORD OF THE 21TH IEEE PHOTOVOLTAIC SPECIALISTS CONFERENCE,1990年 5月,pp.257-262
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電極は、前記第1導電型層と前記真性層とが接する領域から前記絶縁層と前記真性層とが接する領域にかけて、連続的に形成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0017】
<実施の形態1>
図1に、本発明の光電変換素子の一例である実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルの模式的な断面図を示す。実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルは、n型単結晶シリコンからなる半導体1と、半導体1の裏面の全面を被覆するi型の水素化アモルファスシリコンを含有する真性層4と、真性層4の裏面の一部を被覆するn型の水素化アモルファスシリコンを含有するn型層6と、真性層4の裏面の一部を被覆するp型の水素化アモルファスシリコンを含有するp型層8と、真性層4の裏面の一部を被覆する第1絶縁層5とを備えている。ここで、n型層6、p型層8および第1絶縁層5は、互いに、半導体1の裏面の異なる領域を被覆している。
【0018】
n型層6上には第1電極9が設けられており、p型層8上には第2電極10が設けられている。
【0019】
第1絶縁層5は帯状に形成されており、n型層6は、真性層4の裏面の一部を被覆するとともに、真性層4の裏面上に設けられている第1絶縁層5の第1電極側側面および裏面を被覆している。さらに、n型層6は、第1絶縁層5上において、第1絶縁層5の端から第2電極10の方向に突出する端部6aを有している。
【0020】
n型層6の裏面上には第2絶縁層3が設けられており、p型層8は、真性層4の裏面の一部を被覆するとともに、真性層4の裏面上に設けられている第1絶縁層5の第2電極側側面、n型層6の端部6a、ならびに第2絶縁層3の第2電極側側面および裏面を被覆している。
【0021】
第1電極9は、n型層6の裏面を被覆するとともに、第2絶縁層3の側面、およびp型層8の裏面を覆っている。
【0022】
さらに、n型層6の端部6aの下方のp型層8の領域8bには、第2電極10が設けられていない領域を含んでいる。
【0023】
半導体1の裏面側の構造は上記の構造となっているが、半導体1の裏面と反対側の受光面にはテクスチャ構造(図示せず)が形成されているとともに、テクスチャ構造上にはパッシベーション膜を兼ねる反射防止膜(図示せず)が形成されていてもよい。反射防止膜は、パッシベーション層上に反射防止層を積層した積層膜であってもよい。
【0024】
以下、
図2〜
図14の模式的断面図を参照して、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルの製造方法の一例について説明する。まず、
図2に示すように、RCA洗浄を行なった半導体1の裏面の全面に、i型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4を積層した後に、真性層4の裏面の全面に第1絶縁層5を積層する。ここで、真性層4および第1絶縁層5は、それぞれ、たとえばプラズマCVD法により積層することができる。なお、本明細書において、「i型」は真性半導体を意味する。
【0025】
半導体1としてはn型単結晶シリコンに限定されず、たとえば従来から公知の半導体を用いてもよい。半導体1の厚さは、特に限定されないが、たとえば50μm以上300μm以下とすることができ、好ましくは70μm以上150μm以下とすることができる。また、半導体1の比抵抗も、特に限定されないが、たとえば0.5Ω・cm以上10Ω・cm以下とすることができる。
【0026】
半導体1の受光面のテクスチャ構造は、たとえば、半導体1の受光面の全面をテクスチャエッチングすることなどにより形成することができる。
【0027】
半導体1の受光面のパッシベーション膜を兼ねる反射防止膜は、たとえば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層体などを用いることができる。また、反射防止膜の厚さは、たとえば100nm程度とすることができる。また、反射防止膜は、たとえば、スパッタリング法またはプラズマCVD法により積層することができる。
【0028】
半導体1の裏面の全面に積層される真性層4の厚さは、特に限定されないが、たとえば1nm以上10nm以下とすることができ、より具体的には3nm程度とすることができる。
【0029】
真性層4の裏面の全面に積層される第1絶縁層5は、絶縁材料からなる層であれば特に限定されないが、真性層4をほとんど侵すことなくエッチングが可能な材質であることが好ましい。絶縁層5としては、たとえば、プラズマCVD法等を用いて形成した、窒化シリコン層、酸化シリコン層、または窒化シリコン層と酸化シリコン層との積層体などを用いることができる。この場合、たとえばフッ酸を用いることによって、真性層4にダメージを与えることなく第1絶縁層5をエッチングすることが可能である。第1絶縁層5の厚さは、特に限定されないが、たとえば0.1μm以上10μm以下とすることができる。
【0030】
次に、
図3に示すように、第1絶縁層5の裏面上に開口部22を有するレジスト21を形成する。開口部22を有するレジスト21は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0031】
次に、
図4に示すように、レジスト21の開口部22から露出する第1絶縁層5の部分を除去することによって、レジスト21の開口部22から真性層4の裏面を露出させる。
【0032】
第1絶縁層5の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第1絶縁層5を除去する場合には、i型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを真性層4で止めることができる。
【0033】
次に、
図5に示すように、第1絶縁層5の裏面からレジスト21をすべて除去した後に、
図6に示すように、真性層4の露出した裏面および第1絶縁層5を覆うようにしてn型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0034】
n型層6の厚さは、特に限定されないが、たとえば、第1絶縁層5の厚さの0.1倍以上3倍以下とすることが好ましい。この場合、n型層6の端部6aが形成しやすくなるため、歩留まりが高くなる。
【0035】
n型層6に含まれるn型不純物としては、たとえばリンを用いることができ、n型層6のn型不純物濃度は、たとえば5×10
20個/cm
3程度とすることができる。
【0036】
次に、
図7に示すように、n型層6の裏面上に、第2絶縁層3をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0037】
第2絶縁層3は、絶縁材料からなる層であれば特に限定されないが、n型層6をほとんど侵すことなくエッチングが可能な材質であることが好ましい。第2絶縁層3としては、たとえば、プラズマCVD法等を用いて形成した、窒化シリコン層、酸化シリコン層、または窒化シリコン層と酸化シリコン層との積層体などを用いることができる。この場合、たとえばフッ酸を用いることによって、n型層6にダメージを与えることなく第2絶縁層3をエッチングすることが可能である。
【0038】
次に、
図8に示すように、第2絶縁層3の裏面上に開口部32を有するレジスト31を形成する。開口部32を有するレジスト31は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0039】
次に、
図9に示すように、レジスト31の開口部32から露出する第2絶縁層3、n型層6、および第1絶縁層5のそれぞれの部分を除去することによって、レジスト31の開口部32から真性層4の裏面を露出させる。
【0040】
第2絶縁層3の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第2絶縁層3の厚さ以上にサイドエッチングを行なって、第2絶縁層3を除去することによって、n型層6の端部6aを形成することができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第2絶縁層3を除去する場合には、n型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングをn型層6で止めることができる。
【0041】
また、n型層6の除去は、たとえば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第1絶縁層5をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを第1絶縁層5で止めることができる。
【0042】
また、第1絶縁層5の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第1絶縁層5の厚さ以上にサイドエッチングを行なって、第1絶縁層5を除去することができる。また、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第1絶縁層5を除去する場合には、i型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを真性層4で止めることができる。
【0043】
次に、
図10に示すように、第2絶縁層3の裏面からレジスト31をすべて除去した後に、
図11に示すように、真性層4の露出した裏面、n型層6の端部6aおよび第2絶縁層3を覆うようにしてp型の水素化アモルファスシリコンからなるp型層8をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0044】
p型層8の厚さは、特に限定されないが、たとえば5nm以上50nm以下とすることができる。
【0045】
p型層8に含まれるp型不純物としては、たとえばボロンを用いることができ、p型層8のp型不純物濃度は、たとえば5×10
20個/cm
3程度とすることができる。
【0046】
次に、
図12に示すように、n型層6の端部6aの下方のノッチを含むp型層8の開口部を埋めるように、p型層8の裏面上に、開口部42を有するレジスト41を形成する。開口部42を有するレジスト41は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0047】
次に、
図13に示すように、レジスト41の開口部42から露出するp型層8および第2絶縁層3を除去することによって、n型層6の裏面を露出させる。
【0048】
p型層8は、たとえば、フッ酸と硝酸との混合液(たとえば、体積比で、フッ酸:硝酸=1:100)を用いたウエットエッチングにより除去することができる。また、ウエットエッチングの代わりに反応性イオンエッチング法を用いてもよい。このとき、n型層6が露出しない限り、第2絶縁層3の一部が除去されてもよい。
【0049】
第2絶縁層3は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより除去することができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第2絶縁層3を除去する場合には、n型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングをn型層6で止めることができる。
【0050】
その後、
図14に示すように、p型層8の裏面からレジスト41をすべて除去した後に、半導体1の裏面側の開口部42および開口部43から導電膜を、たとえばスパッタリング法または蒸着法により積層することによって、
図1に示すように、n型層6上に第1電極9を形成し、p型層8上に第2電極10を形成する。
【0051】
第1電極9および第2電極10の形成に用いられる導電膜としては、たとえば、銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む金属膜、またはITOなどの透明導電膜と銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む金属膜との堆積膜などを用いることができる。
【0052】
以上により、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルを製造することができる。
【0053】
実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルの製造方法においては、p型層8の裏面側の開口部43には、n型層6の端部6aの下方の領域にノッチが形成されているため、このノッチによって、導電膜が分離され、第2電極10が自己整合的に形成されることになる。したがって、第2電極10のパターニングにリソグラフィおよび/またはシャドウマスキング等のプロセスを必要としないことから、簡易に、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを製造することができる。
【0054】
また、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいては、n型層6の端部6aは、p型層8の裏面側の開口部43にしかノッチを形成していないため、第1電極9の電極面積を大きくすることができ、第1電極9の寄生抵抗を抑制することができる。
【0055】
なお、半導体1がn型である場合には、p型層8の幅よりもn型層6の幅を狭くすることが多く、第1電極9が高抵抗となりやすいため、p型層8の裏面側の開口部43にノッチを形成して、第1電極9の電極面積を大きくすることが好ましい。他方、半導体1がp型である場合には、上記と同様の理由で、第2電極10の電極面積を大きくすることが好ましい。
【0056】
また、上述のように、実施の形態1においては、n型層6およびp型層8のパターニングを、それぞれ、第1絶縁層5上および第2絶縁層3上で行なうことができる。これにより、n型層6およびp型層8のパターニング時に、半導体1および真性層4が受けるダメージを低減することができることから、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができるとともに、その特性を高くすることができる。
【0057】
また、実施の形態1においては、第1電極9と第2電極10の半導体1の裏面への射影像に隙間がないため、半導体1の受光面から入射して半導体1を透過してきた光を第1電極9と第2電極10とによって半導体1側に反射させることができるため、この観点からも、ヘテロ接合型バックコンタクトセルの特性を高くすることができる。
【0058】
また、実施の形態1においては、シャドウマスキングプロセスを用いてn型層6およびp型層8を形成する必要がない。これにより、n型層6およびp型層8を高精度に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができるとともに、その特性を高くすることができる。
【0059】
以上により、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルは、高い歩留まりで製造することができ、かつ特性の高い光電変換素子とすることができる。
【0060】
特に、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルは、n型層6の端部6aの下方のp型層8の領域8bは第2電極10が形成されていない領域を含んでいるため、p型層8の裏面側の開口部に、n型層6の端部6aによってノッチが形成される。このノッチによって、第2電極10を自己整合的に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができる。
【0061】
また、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいては、n型層6の端部6aがp型層8によって覆われているため、n型層6の端部6aの下方のp型層8の領域により安定してノッチを形成することができる。このノッチによって、第2電極10を自己整合的に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルをより高い歩留まりで製造することができる。
【0062】
また、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいて、第1絶縁層5が窒化シリコンを含有するものである場合には、第1絶縁層5のウエットエッチングにおいてi型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4をエッチングストップ層として機能させることができるため、第1絶縁層5の厚さ以上のサイドエッチングを容易に行なうことができる。
【0063】
また、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいては、n型層6上に第2絶縁層3が設けられているため、第2絶縁層3によって、n型層6とp型層8とを厚さ方向に絶縁することができる。
【0064】
また、実施の形態1のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいて、第2絶縁層3が窒化シリコンを含有するものである場合には、第2絶縁層3のウエットエッチングにおいてn型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をエッチングストップ層として機能させることができるため、第2絶縁層3の厚さ以上のサイドエッチングを容易に行なうことができる。
【0065】
また、実施の形態1においては、n型層6の形成後にp型層8を形成しているため、真性層4による半導体1の裏面の良好なパッシベーション効果を得ることができる。すなわち、n型層6の形成前にp型層8を形成した場合には、n型層6の積層時のアニール効果によって、p型層8で被覆された真性層4の少数キャリアライフタイムが低下することがあるが、n型層6の形成後にp型層8を形成した場合にはこのような少数キャリアライフタイムの低下を抑止することができる。
【0066】
なお、上記においては、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として説明したが、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としてもよいことは言うまでもない。
【0067】
<実施の形態2>
図15に、本発明の光電変換素子の他の一例である実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルの模式的な断面図を示す。実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいては、n型層6の直下に、i型の水素化アモルファスシリコンを含有する第2真性層61が位置していることを特徴としている。
【0068】
以下、
図16〜
図27の模式的断面図を参照して、実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルの製造方法の一例について説明する。まず、半導体1の裏面上に、真性層4および第1絶縁層5をこの順序に積層し、第1絶縁層5の裏面上に、開口部を有するレジストを設けるまでは実施の形態1と同様である。
【0069】
次に、
図16に示すように、第1絶縁層5の裏面上に設けられたレジスト51の開口部52から露出する第1絶縁層5および真性層4を除去して、半導体1の裏面を露出させる。
【0070】
第1絶縁層5の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第2絶縁層3を除去する場合には、i型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを真性層4で止めることができる。
【0071】
また、真性層4の除去は、たとえば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、半導体1の一部も除去されてもよい。
【0072】
次に、
図17に示すように、第1絶縁層5の裏面からレジスト51を除去した後に、
図18に示すように、半導体1の露出した裏面、および第1絶縁層5を覆うようにして、i型の水素化アモルファスシリコンからなる第2真性層61をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0073】
第2真性層61の厚さは、特に限定されないが、たとえば1nm以上5nm以下とすることができる。
【0074】
次に、
図19に示すように、第2真性層61の裏面上に、n型層6をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0075】
n型層6の厚さは、特に限定されないが、たとえば、第1絶縁層5の厚さの0.1倍以上3倍以下とすることが好ましい。この場合、n型層6の端部6aが形成されやすくなるため、歩留まりが高くなる。
【0076】
次に、
図20に示すように、n型層6の裏面上に、第2絶縁層3をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0077】
次に、
図21に示すように、第2絶縁層3の裏面上に、開口部72を有するレジスト71を形成する。開口部72を有するレジスト71は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0078】
次に、
図22に示すように、レジスト71の開口部72から露出する第2絶縁層3、n型層6、第2真性層61および第1絶縁層5のそれぞれの部分を除去することによって、レジスト71の開口部72から真性層4の裏面を露出させる。
【0079】
第2絶縁層3の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第2絶縁層3の厚さ以上にサイドエッチングを行なって、第2絶縁層3を除去することができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第2絶縁層3を除去する場合には、n型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングをn型層6で止めることができる。
【0080】
また、n型層6および第2真性層61の除去は、たとえば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第1絶縁層5をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを第1絶縁層5で止めることができる。
【0081】
また、第1絶縁層5の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第1絶縁層5の厚さ以上にサイドエッチングを行なって、第1絶縁層5を除去することができる。また、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第1絶縁層5を除去する場合には、i型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを真性層4で止めることができる。
【0082】
次に、
図23に示すように、第2絶縁層3の裏面からレジスト71をすべて除去した後に、
図24に示すように、真性層4の露出した裏面、n型層6の端部6a、n型層6の端部6aの直下の第2真性層61および第2絶縁層3を覆うようにして、p型の水素化アモルファスシリコンからなるp型層8をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0083】
p型層8の厚さは、特に限定されないが、たとえば5nm以上50nm以下とすることができる。
【0084】
次に、
図25に示すように、p型層8の裏面側の開口部を埋めるように、p型層8の裏面上に、開口部82を有するレジスト81を形成する。開口部82を有するレジスト81は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0085】
次に、
図26に示すように、レジスト81の開口部82から露出するp型層8および第2絶縁層3を除去することによって、n型層6の裏面を露出させる。
【0086】
p型層8は、たとえば、フッ酸と硝酸との混合液(たとえば、体積比で、フッ酸:硝酸=1:100)を用いたウエットエッチングにより除去することができる。このとき、n型層6が露出しない限り、第2絶縁層3の一部が除去されてもよい。
【0087】
第2絶縁層3は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより除去することができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第2絶縁層3を除去する場合には、n型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングをn型層6で止めることができる。
【0088】
次に、
図27に示すように、p型層8の裏面からレジスト81をすべて除去した後に、半導体1の裏面側の開口部82および開口部83から導電膜を、たとえばスパッタリング法または蒸着法により積層することによって、
図15に示すように、n型層6上に第1電極9を形成し、p型層8上に第2電極10を形成する。
【0089】
第1電極9および第2電極10の形成に用いられる導電膜としては、たとえば、銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む金属膜、またはITOなどの透明導電膜と銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む金属膜との堆積膜などを用いることができる。
【0090】
以上により、実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルを製造することができる。
【0091】
実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルの製造方法においても、p型層8の裏面側の開口部43には、n型層6の端部6aの下方の領域にノッチが形成されているため、このノッチによって、導電膜が分離され、第2電極10が自己整合的に形成されることになる。したがって、第2電極10のパターニングにリソグラフィおよび/またはシャドウマスキング等のプロセスを必要としないことから、簡易に、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを製造することができる。
【0092】
また、実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいても、n型層6の端部6aは、p型層8の裏面側の開口部83にしかノッチを形成していないため、第1電極9の電極面積を大きくすることができ、第1電極9の寄生抵抗を抑制することができる。
【0093】
また、上述のように、実施の形態2においても、n型層6およびp型層8のパターニングを、それぞれ、第1絶縁層5上および第2絶縁層3上で行なうことができる。これにより、n型層6およびp型層8のパターニング時に、半導体1および真性層4が受けるダメージを低減することができることから、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができるとともに、その特性を高くすることができる。
【0094】
また、実施の形態2においても、半導体1の受光面から入射して半導体1を透過してきた光を第1電極9と第2電極10とによって半導体1側に反射させることができるため、この観点からも、ヘテロ接合型バックコンタクトセルの特性を高くすることができる。
【0095】
また、実施の形態2においても、シャドウマスキングプロセスを用いてn型層6およびp型層8を形成する必要がない。これにより、n型層6およびp型層8を高精度に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができるとともに、その特性を高くすることができる。
【0096】
以上により、実施の形態2のヘテロ接合型バックコンタクトセルも、高い歩留まりで製造することができ、かつ特性の高い光電変換素子とすることができる。
【0097】
さらに、実施の形態2においても、p型層8の直下に、真性の水素化アモルファスシリコンを含有する第2真性層61が位置していることによって、真性層4による半導体1の裏面のさらなる良好なパッシベーション効果を得ることができるため、少数キャリアライフタイムの低下をさらに抑止することができる。
【0098】
実施の形態2における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、ここでは、その説明については省略する。
【0099】
<実施の形態3>
図28に、本発明の光電変換素子の他の一例である実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルの模式的な断面図を示す。実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいては、第1電極9がp型層8上に設けられているとともに、第2電極10がn型層6上に設けられており、p型層8の端部8aが、第1絶縁層5の端から、第2電極10の方向に突出していることを特徴としている。実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいては、p型層8の端部8aの下方のn型層6の領域6bが、第2電極10が形成されていない領域を含んでいる。
【0100】
以下、
図29〜
図37の模式的断面図を参照して、実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルの製造方法の一例について説明する。まず、
図29に示すように、半導体1の裏面上に、真性層4、n型層6および第1絶縁層5をこの順序に積層する。ここで、真性層4、n型層6および第1絶縁層5は、それぞれ、たとえばプラズマCVD法により積層することができる。
【0101】
真性層4の厚さは、特に限定されないが、たとえば1nm以上10nm以下とすることができ、より具体的には3nm程度とすることができる。
【0102】
n型層6の厚さは、特に限定されないが、たとえば5nm以上50nm以下とすることができる。
【0103】
第1絶縁層5の厚さは、特に限定されないが、たとえば0.1μm以上10μm以下とすることができる。
【0104】
次に、
図30に示すように、第1絶縁層5の裏面上に、開口部92を有するレジスト91を形成する。開口部92を有するレジスト91は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0105】
次に、
図31に示すように、第1絶縁層5の裏面上に設けられたレジスト51の開口部52から露出する第1絶縁層5、n型層6および真性層4を除去して、半導体1の裏面を露出させる。
【0106】
第1絶縁層5の除去は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。ここで、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第1絶縁層5を除去する場合には、n型の水素化アモルファスシリコンからなる真性層4をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングを真性層4で止めることができる。
【0107】
また、n型層6および真性層4の除去は、たとえば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、半導体1の一部も除去されてもよい。
【0108】
次に、
図32に示すように、第1絶縁層5の裏面からレジスト91を除去した後に、
図33に示すように、半導体1の露出した裏面、n型層6の側面および第1絶縁層5を覆うようにして、i型の水素化アモルファスシリコンからなる第2真性層61をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0109】
第2真性層61の厚さは、特に限定されないが、たとえば3nm以上10nm以下とすることができる。
【0110】
次に、
図34に示すように、第2真性層61の裏面上に、p型層8をたとえばプラズマCVD法により積層する。
【0111】
p型層8の厚さは、特に限定されないが、第1絶縁層5の厚さの0.1倍以上3倍以下とすることが好ましい。この場合、p型層8の端部8aが形成されやすくなるため、歩留まりが高くなる。
【0112】
次に、
図35に示すように、p型層8の裏面上に、開口部202を有するレジスト201を形成する。開口部202を有するレジスト201は、たとえば、フォトリソグラフィ法または印刷法などにより形成することができる。
【0113】
次に、
図36に示すように、レジスト201の開口部202から露出するp型層8、第2真性層61、および第1絶縁層5のそれぞれの部分を除去することによって、レジスト201の開口部202からn型層6の裏面を露出させる。
【0114】
p型層8は、たとえば、フッ酸と硝酸と酢酸との混合液を用いたウエットエッチングにより除去することができる。混合液中におけるフッ酸と硝酸と酢酸との体積比を調節することによって、当該混合液のp型層8に対するエッチングレートを第2真性層61に対するエッチングレートよりも大きくすることにより、第2真性層61をエッチングストップ層として機能させることができる。このような混合液中におけるフッ酸と硝酸と酢酸との体積比は、たとえば、フッ酸:硝酸:酢酸=1:3:8とすることができる。このとき、n型層6が露出しない限り、第1絶縁層5の一部が除去されてもよい。
【0115】
また、第2真性層61の除去は、たとえば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、または水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いたウエットエッチングなどにより行なうことができる。このとき、第1絶縁層5をエッチングストップ層として機能させることができるため、当該ウエットエッチングを第1絶縁層5で止めることができる。
【0116】
第1絶縁層5は、たとえば、フッ酸等を用いたウエットエッチングなどにより除去することができる。このとき、第1絶縁層5の厚さ以上にサイドエッチングを行なって、第1絶縁層5を除去することによって、p型層8の端部8aを形成することができる。また、フッ酸を用いたウエットエッチングにより第1絶縁層5を除去する場合には、n型の水素化アモルファスシリコンからなるn型層6をエッチングストップ層として機能させることができ、当該ウエットエッチングをn型層6で止めることができる。
【0117】
次に、
図37に示すように、p型層8の裏面からレジスト81をすべて除去した後に、半導体1の裏面側の開口部202および開口部203から導電膜を、たとえばスパッタリング法または蒸着法により積層することによって、
図28に示すように、n型層6上に第2電極10を形成し、p型層8上に第1電極9を形成する。
【0118】
第1電極9および第2電極10の形成に用いられる導電膜としては、たとえば、銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む金属膜、またはITOなどの透明導電膜と銀およびアルミニウムの少なくとも一方を含む金属膜との堆積膜などを用いることができる。
【0119】
以上により、実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルを製造することができる。
【0120】
実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルの製造方法においては、p型層8の端部8aの下方のn型層6の領域6bにノッチが形成されているため、このノッチによって、導電膜が分離され、第2電極10が自己整合的に形成されることになる。したがって、第2電極10のパターニングにリソグラフィおよび/またはシャドウマスキング等のプロセスを必要としないことから、簡易に、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを製造することができる。
【0121】
また、実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルにおいても、p型層8の端部8aは、n型層6の裏面側の開口部にしかノッチを形成していないため、第1電極9の電極面積を大きくすることができ、第1電極9の寄生抵抗を抑制することができる。
【0122】
また、上述のように、実施の形態3においては、p型層8のパターニングを、第1絶縁層5上で行なうことができる。これにより、p型層8のパターニング時に、半導体1および真性層4が受けるダメージを低減することができることから、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができるとともに、その特性を高くすることができる。
【0123】
また、実施の形態3においても、半導体1の受光面から入射して半導体1を透過してきた光を第1電極9と第2電極10とによって半導体1側に反射させることができるため、この観点からも、ヘテロ接合型バックコンタクトセルの特性を高くすることができる。
【0124】
また、実施の形態3においても、シャドウマスキングプロセスを用いてn型層6およびp型層8を形成する必要がない。これにより、n型層6およびp型層8を高精度に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができるとともに、その特性を高くすることができる。
【0125】
また、実施の形態3においても、p型層8の直下に、真性の水素化アモルファスシリコンを含有する第2真性層61が位置していることによって、真性層4による半導体1の裏面のさらなる良好なパッシベーション効果を得ることができるため、少数キャリアライフタイムの低下をさらに抑止することができる。
【0126】
以上により、実施の形態3のヘテロ接合型バックコンタクトセルも、高い歩留まりで製造することができ、かつ特性の高い光電変換素子とすることができる。
【0127】
実施の形態3における上記以外の説明は、実施の形態1および実施の形態2と同様であるため、ここでは、その説明については省略する。
【0128】
以下、本発明の別の局面として実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルを備える光電変換モジュール(実施の形態4)および太陽光発電システム(実施の形態5および実施の形態6)について説明する。
【0129】
実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルは、高い特性を有するため、これを備える光電変換モジュールおよび太陽光発電システムも高い特性を有している。
【0130】
<実施の形態4>
実施の形態4は、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルを光電変換素子として用いた光電変換モジュールである。
【0131】
<光電変換モジュール>
図39に、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルを光電変換素子として用いた本発明の光電変換モジュールの一例である実施の形態4の光電変換モジュールの構成の概略を示す。
図39を参照して、実施の形態4の光電変換モジュール1000は、複数の光電変換素子1001と、カバー1002と、出力端子1013,1014とを備えている。
【0132】
複数の光電変換素子1001はアレイ状に配列され直列に接続されている。
図39には光電変換素子1001を直列に接続する配列を図示しているが、配列および接続方式はこれに限定されず、並列に接続して配列してもよく、直列と並列とを組み合わせた配列としてもよい。複数の光電変換素子1001の各々には、実施の形態1〜3のいずれかのヘテロ接合型バックコンタクトセルが用いられる。尚、光電変換モジュール1000は、複数の光電変換素子1001のうち少なくとも1つが実施の形態1〜実施の形態3の光電変換素子のいずれかからなる限り、上記の説明に限定されず如何なる構成もとり得る。また、光電変換モジュール1000に含まれる光電変換素子1001の数は2以上の任意の整数とすることができる。
【0133】
カバー1002は、耐候性のカバーから構成されており、複数の光電変換素子1001を覆う。カバー1002は、たとえば、光電変換素子1001の受光面側に設けられた透明基材(たとえば、ガラス等)と、光電変換素子1001の受光面側とは反対の裏面側に設けられた裏面基材(たとえば、ガラス、樹脂シート等)と、透明基材と裏面基材との間を埋める封止材(たとえばEVA(エチレンビニルアセテート)等)とを含む。
【0134】
出力端子1013は、直列に接続された複数の光電変換素子1001の一方端に配置される光電変換素子1001に接続される。
【0135】
出力端子1014は、直列に接続された複数の光電変換素子1001の他方端に配置される光電変換素子1001に接続される。
【0136】
<実施の形態5>
実施の形態5は、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルを光電変換素子として用いた太陽光発電システムである。本発明の光電変換素子は高い特性(変換効率等)を有するため、これを備える本発明の太陽光発電システムも高い特性を有することができる。尚、太陽光発電システムとは、光電変換モジュールが出力する電力を適宜変換して、商用電力系統または電気機器等に供給する装置である。
【0137】
<太陽光発電システム>
太陽光発電システムは、光電変換モジュールが出力する電力を適宜変換して、商用電力系統または電気機器等に供給する装置である。
【0138】
図40に、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルを光電変換素子として用いた本発明の太陽光発電システムの一例である実施の形態5の太陽光発電システムの構成の概略を示す。
図40を参照して、実施の形態5の太陽光発電システム2000は、光電変換モジュールアレイ2001と、接続箱2002と、パワーコンディショナ2003と、分電盤2004と、電力メータ2005とを備える。後述するように光電変換モジュールアレイ2001は複数の光電変換モジュール1000(実施の形態4)から構成されている。
【0139】
太陽光発電システム2000には、一般に「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS:Home Energy Management System)」、「ビルディング・エネルギー・マネージメント・システム(BEMS:Building Energy Management System)」等の機能を付加することができる。これにより、太陽光発電システム2000の発電量の監視、太陽光発電システム2000に接続される各電気機器類の消費電力量の監視・制御等を行うことで、エネルギー消費量を削減することができる。
【0140】
接続箱2002は、光電変換モジュールアレイ2001に接続される。パワーコンディショナ2003は、接続箱2002に接続される。分電盤2004は、パワーコンディショナ2003および電気機器類2011に接続される。電力メータ2005は、分電盤2004および商用電力系統に接続される。尚、
図43に示すように、パワーコンディショナ2003には蓄電池2100が接続されていてもよい。この場合、日照量の変動による出力変動を抑制することができると共に、日照のない時間帯であっても蓄電池2100に蓄電された電力を電気機器類2011または商用電力系統に供給することができる。また、蓄電池2100は、パワーコンディショナ2003に内蔵されていてもよい。
【0141】
<動作>
実施の形態5の太陽光発電システム2000は、たとえば以下のように動作する。
【0142】
光電変換モジュールアレイ2001は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、直流電力を接続箱2002へ供給する。
【0143】
接続箱2002は、光電変換モジュールアレイ2001が発電した直流電力を受け、直流電力をパワーコンディショナ2003へ供給する。
【0144】
パワーコンディショナ2003は、接続箱2002から受けた直流電力を交流電力に変換して分電盤2004へ供給する。尚、接続箱2002から受けた直流電力の一部を交流電力に変換せずに、直流電力のまま分電盤2004へ供給してもよい。尚、
図43に示すように、パワーコンディショナ2003に蓄電池2100が接続されている場合(または、蓄電池2100がパワーコンディショナ2003に内蔵される場合)、パワーコンディショナ2003は接続箱2002から受けた直流電力の一部または全部を適切に電力変換して、蓄電池2100に蓄電することができる。蓄電池2100に蓄電された電力は、光電変換モジュールの発電量や電気機器類2011の電力消費量の状況に応じて適宜パワーコンディショナ2003側に供給され、適切に電力変換されて分電盤2004へ供給される。
【0145】
分電盤2004は、パワーコンディショナ2003から受けた電力および電力メータ2005を介して受けた商用電力の少なくともいずれかを電気機器類2011へ供給する。また、分電盤2004はパワーコンディショナ2003から受けた交流電力が電気機器類2011の消費電力よりも多いとき、パワーコンディショナ2003から受けた交流電力を電気機器類2011へ供給する。そして、余った交流電力を電力メータ2005を介して商用電力系統へ供給する。
【0146】
また、分電盤2004は、パワーコンディショナ2003から受けた交流電力が電気機器類2011の消費電力よりも少ないとき、商用電力系統から受けた交流電力およびパワーコンディショナ2003から受けた交流電力を電気機器類2011へ供給する。
【0147】
電力メータ2005は、商用電力系統から分電盤2004へ向かう方向の電力を計測するとともに、分電盤2004から商用電力系統へ向かう方向の電力を計測する。
【0148】
<光電変換モジュールアレイ>
光電変換モジュールアレイ2001について説明する。
【0149】
図41に、
図40に示す光電変換モジュールアレイ2001の構成の一例の概略を示す。
図41を参照して、光電変換モジュールアレイ2001は、複数の光電変換モジュール1000と出力端子2013,2014とを含む。
【0150】
複数の光電変換モジュール1000は、アレイ状に配列され直列に接続されている。
図41には光電変換モジュール1000を直列に接続する配列を図示しているが、配列および接続方式はこれに限定されず、並列に接続して配列してもよいし、直列と並列とを組み合わせた配列としてもよい。なお、光電変換モジュールアレイ2001に含まれる光電変換モジュール1000の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
【0151】
出力端子2013は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1000の一方端に位置する光電変換モジュール1000に接続される。
【0152】
出力端子2014は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1000の他方端に位置する光電変換モジュール1000に接続される。
【0153】
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、実施の形態5の太陽光発電システムは、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルの少なくとも1つを光電変換素子として備える限り、上記の説明に限定されず如何なる構成もとり得るものとする。
【0154】
<実施の形態6>
実施の形態6は、実施の形態5として説明した太陽光発電システムよりも大規模な太陽光発電システムである。実施の形態6の太陽光発電システムも、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルの少なくとも1つを光電変換素子として備えるものである。本発明の光電変換素子は高い特性(変換効率等)を有するため、これを備える本発明の太陽光発電システムも高い特性を有することができる。
【0155】
<大規模太陽光発電システム>
図42に、本発明の大規模太陽光発電システムの一例である実施の形態6の太陽光発電システムの構成の概略を示す。
図42を参照して、実施の形態6の太陽光発電システム4000は、複数のサブシステム4001と、複数のパワーコンディショナ4003と、変圧器4004とを備える。太陽光発電システム4000は、
図40に示す実施の形態5の太陽光発電システム2000よりも大規模な太陽光発電システムである。
【0156】
複数のパワーコンディショナ4003は、それぞれサブシステム4001に接続される。太陽光発電システム4000において、パワーコンディショナ4003およびそれに接続されるサブシステム4001の数は2以上の任意の整数とすることができる。尚、
図44に示すように、パワーコンディショナ4003には蓄電池4100が接続されていてもよい。この場合、日照量の変動による出力変動を抑制することができると共に、日照のない時間帯であっても蓄電池4100に蓄電された電力を供給することができる。また、蓄電池4100はパワーコンディショナ4003に内蔵されていてもよい。
【0157】
変圧器4004は、複数のパワーコンディショナ4003および商用電力系統に接続される。
【0158】
複数のサブシステム4001の各々は、複数のモジュールシステム3000から構成される。サブシステム4001内のモジュールシステム3000の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
【0159】
複数のモジュールシステム3000の各々は、複数の光電変換モジュールアレイ2001と、複数の接続箱3002と、集電箱3004とを含む。モジュールシステム3000内の接続箱3002およびそれに接続される光電変換モジュールアレイ2001の数は、2以上の任意の整数とすることができる。
【0160】
集電箱3004は、複数の接続箱3002に接続される。また、パワーコンディショナ4003は、サブシステム4001内の複数の集電箱3004に接続される。
【0161】
<動作>
実施の形態6の太陽光発電システム4000は、たとえば以下のように動作する。
【0162】
モジュールシステム3000の複数の光電変換モジュールアレイ2001は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、直流電力を接続箱3002を介して集電箱3004へ供給する。サブシステム4001内の複数の集電箱3004は、直流電力をパワーコンディショナ4003へ供給する。さらに、複数のパワーコンディショナ4003は、直流電力を交流電力に変換して、交流電力を変圧器4004へ供給する。尚、
図44に示すように、パワーコンディショナ4003に蓄電池4100が接続されている場合(または、蓄電池4100がパワーコンディショナ4003に内蔵される場合)、パワーコンディショナ4003は集電箱3004から受けた直流電力の一部または全部を適切に電力変換して、蓄電池4100に蓄電することができる。蓄電池4100に蓄電された電力は、サブシステム4001の発電量に応じて適宜パワーコンディショナ4003側に供給され、適切に電力変換されて変圧器4004へ供給される。
【0163】
変圧器4004は、複数のパワーコンディショナ4003から受けた交流電力の電圧レベルを変換して商用電力系統へ供給する。
【0164】
なお、太陽光発電システム4000は、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルのうち少なくとも1つを光電変換素子として備えるものであればよく、太陽光発電システム4000に含まれる全ての光電変換素子が実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルでなくても構わない。たとえば、あるサブシステム4001に含まれる光電変換素子の全てが実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルであり、別のサブシステム4001に含まれる光電変換素子の一部若しくは全部が、実施の形態1〜3のヘテロ接合型バックコンタクトセルでない場合もあり得るものとする。
【0165】
<まとめ>
本発明は、半導体と、半導体上に設けられた水素化アモルファスシリコンを含有する真性層と、真性層上に設けられた、第1導電型の水素化アモルファスシリコンを含有する第1導電型層と、第2導電型の水素化アモルファスシリコンを含有する第2導電型層と、絶縁層と、第1導電型層上に設けられた第1電極と、第2導電型層上に設けられた第2電極とを備え、第1導電型層の端部は、絶縁層の端から、第2電極の方向に突出している光電変換素子である。このような構成とすることにより、高い歩留まりで製造することができ、かつ特性の高い光電変換素子とすることができる。
【0166】
また、本発明の光電変換素子において、第1導電型層の端部の下方の第2導電型層の領域は、第2電極が形成されていない領域を含むことが好ましい。このような構成とすることにより、第2導電型層の裏面側の開口部に、第1導電型層の端部によってノッチを形成して、第2電極を自己整合的に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルを高い歩留まりで製造することができる。
【0167】
また、本発明の光電変換素子においては、第1導電型層の端部が第2導電型層によって覆われていることが好ましい。このような構成とすることにより、第1導電型層の端部の下方の第2導電型層の領域により安定してノッチを形成して、第2電極を自己整合的に形成することができるため、ヘテロ接合型バックコンタクトセルをより高い歩留まりで製造することができる。
【0168】
また、本発明の光電変換素子においては、絶縁層が窒化シリコンまたは酸化シリコンを含有することが好ましい。このような構成とすることにより、絶縁層のウエットエッチングにおいて真性層をエッチングストップ層として機能させることができるため、第1絶縁層の厚さ以上のサイドエッチングを容易に行なうことができる。
【0169】
また、本発明の光電変換素子においては、第1導電型層上に第2絶縁層が設けられていることが好ましい。このような構成とすることにより、第2絶縁層によって、第1導電型層と第2導電型層とを厚さ方向に絶縁することができる。
【0170】
また、本発明の光電変換素子においては、第2絶縁層が窒化シリコンまたは酸化シリコンを含有することが好ましい。このような構成とすることにより、第2絶縁層のウエットエッチングにおいて第1導電型層をエッチングストップ層として機能させることができるため、第2絶縁層の厚さ以上のサイドエッチングを容易に行なうことができる。
【0171】
また、本発明の光電変換素子においては、半導体が第1導電型であり、第1導電型がn型であって、第2導電型がp型であることが好ましい。このような構成とすることにより、第2導電型層の幅よりも狭くなりやすい第1導電型層上の第1電極の電極面積を大きくして、第1電極の寄生抵抗を抑制することができる。
【0172】
また、本発明の光電変換素子においては、第1導電型層の直下または第2導電型層の直下に、真性の水素化アモルファスシリコンを含有する第2真性層が位置していることが好ましい。このような構成とすることにより、真性層による半導体の裏面のさらなる良好なパッシベーション効果を得ることができるため、少数キャリアライフタイムの低下をさらに抑止することができる。
【0173】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0174】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。