(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198839
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】超音波画像のエンハンスメント
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20170911BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B6/00 350P
A61B6/00 370
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-540251(P2015-540251)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2015-533329(P2015-533329A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2013059793
(87)【国際公開番号】WO2014072890
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月27日
(31)【優先権主張番号】12306368.7
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ネムポント オリビエ ピエール
(72)【発明者】
【氏名】カティエ パスカル イヴス フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】フローレント ラウル
【審査官】
宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−515242(JP,A)
【文献】
特表2012−526623(JP,A)
【文献】
特表2009−504220(JP,A)
【文献】
特開2011−177494(JP,A)
【文献】
ALI SADEGHI NAINI,CT-Enhanced Ultrasound Image of a Totally DefLated Lung for Image-Guided Minimally Invasive Tumor Ablative Procedures,IEEE TRANSACTIONS ON BIOMEDICAL ENGINEERING,IEEE SERVICE CENTER,2010年10月 2日,V57 N10,P2627-2630
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像をエンハンスする画像処理デバイスであって、
画像データ入力ユニットと、
中央処理ユニットと、
ディスプレイユニットと、
を含み、
前記画像データ入力ユニットは、物体の関心領域の超音波画像を提供し、また、前記物体の前記関心領域のX線画像を提供し、
前記中央処理ユニットは、前記X線画像内の少なくとも1つのターゲット物体を選択し、前記超音波画像と前記X線画像とを位置合わせし、前記位置合わせに基づいて、前記超音波画像内の前記少なくとも1つのターゲット物体を検出し、前記超音波画像内の検出された前記少なくとも1つのターゲット物体の領域が少なくともハイライトされているブーストされた超音波画像を生成し、
前記ディスプレイユニットは、前記ブーストされた超音波画像を、ガイド情報として、ディスプレイ領域上に提供する、画像処理デバイス。
【請求項2】
前記中央処理ユニットは、選択された少なくとも1つのターゲット物体を前記超音波画像内に投影し、投影された前記少なくとも1つのターゲット物体に基づいて、前記超音波画像内の前記少なくとも1つのターゲット物体を検出する、請求項1に記載の画像処理デバイス。
【請求項3】
前記中央処理ユニットは、選択された前記少なくとも1つのターゲット物体を輪郭として投影し、投影された前記輪郭内に収まる前記超音波画像内の物体を選択する、請求項1又は2に記載の画像処理デバイス。
【請求項4】
超音波撮像デバイスと、
X線撮像デバイスと、
画像処理デバイスと、
を含み、
前記画像処理デバイスは、請求項1乃至3の何れか一項に従って提供され、
前記超音波撮像デバイスは、物体の関心領域の超音波画像を取得及び提供し、
前記X線撮像デバイスは、前記物体の前記関心領域のX線画像を取得及び提供する、医用撮像システム。
【請求項5】
前記超音波撮像デバイスは、前記超音波画像を取得するために使用されるプローブを含み、
前記超音波プローブを前記X線画像内に位置合わせする位置合わせユニットが提供される、請求項4に記載の医用撮像システム。
【請求項6】
前記X線撮像デバイス及び前記超音波撮像デバイスは、画像を同時に取得する、請求項4又は5に記載の医用撮像システム。
【請求項7】
前記超音波撮像デバイスは、第1の一連の超音波画像を取得し、前記X線撮像デバイスは、第2の一連のX線画像を取得する、請求項4乃至6の何れか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのターゲット物体が対応する介入ツール又はデバイスを更に含む、請求項4乃至7の何れか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項9】
超音波画像をエンハンスする方法であって、
a)物体の関心領域の超音波画像を提供するステップと、
b)前記物体の前記関心領域のX線画像を提供するステップと、
c)前記X線画像内の少なくとも1つのターゲット物体を選択するステップと、
d)前記超音波画像と前記X線画像とを位置合わせするステップと、
e)前記位置合わせに基づいて、前記超音波画像内の前記少なくとも1つのターゲット物体を検出するステップと、
f)前記超音波画像内の検出された前記少なくとも1つのターゲット物体の領域を少なくともハイライトすることによってブーストされた超音波画像を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのターゲット物体は、前記ステップc)における選択のために検出され自動的に追跡される介入ツールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップd)において、選択された前記少なくとも1つのターゲット物体は、輪郭として投影され、前記ステップe)において、投影された前記輪郭内に収まる前記超音波画像内の物体が選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップa)において、前記関心領域の第1の一連の超音波画像が提供され、
前記ステップb)において、前記関心領域の第2の一連のX線画像が提供され、
前記ステップc)において、前記少なくとも1つのターゲット物体は、前記第2の一連のX線画像のうちの1つのX線画像内に検出され、他のX線画像内で追跡され、
前記ステップd)において、前記第1の一連の超音波画像は、前記第2の一連のX線画像と位置合わせされ、
前記ステップe)において、前記少なくとも1つのターゲット物体は、前記位置合わせに基づいて、前記第1の一連の超音波画像内に検出され、
前記ステップf)において、前記第1の一連の超音波画像内の検出された前記少なくとも1つのターゲット物体がハイライトされる、請求項9乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至3の何れか一項に記載される画像処理デバイス又は請求項4乃至8の何れか一項に記載される医用撮像システムを制御するためのコンピュータプログラムであって、処理ユニットによって実行されると、請求項9乃至12の何れか一項に記載される方法ステップを行う、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像をエンハンス(強調)する画像処理デバイス、医用撮像システム及び超音波画像をエンハンスする方法、並びに、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内治療介入といった診療において、様々なタイプの医用撮像が使用される。例えば僧帽弁クリップの位置決めが、蛍光透視X線撮像及び超音波撮像下でガイダンスを目的として行われる。X線画像は、カテーテル、クリップ等のツール、及び、骨構造を可視化するために使用される一方で、超音波撮像は、軟組織を可視化するために使用される。国際特許公開公報WO2011/070492A1において、超音波画像データとX線画像データとの組み合わせについて説明されている。超音波プローブがX線画像内に検出され、超音波プローブの取得設定がX線画像内に可視化される。超音波画像が軟組織の可視化を可能にすることが示されており、これは、発展している低侵襲治療介入の分野において、ますます重要となっている。しかし、蛍光透視画像と超音波画像とを隣り合わせに提供することは、ユーザが、各画像内に示されている2つの異なる内容を頭で組み合わせるための注意と認識とを必要とすることも示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、例えば患者の関心領域における現在の状況を示す画像データであって、ユーザの側で必要な解釈及び組み合わせスキルを減少させかつ最小限にする当該画像データを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成される。更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。なお、本発明の以下に説明される態様は、超音波画像をエンハンスする画像処理デバイス、医用撮像システム及び超音波画像をエンハンスする方法、並びに、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、超音波画像をエンハンスする画像処理デバイスが提供される。当該画像処理デバイスは、画像データ入力ユニットと、中央処理ユニットと、ディスプレイユニットとを含む。画像データ入力ユニットは、物体の関心領域の超音波画像を提供し、また、当該物体の当該関心領域のX線画像を提供する。中央処理ユニットは、X線画像内の所定の画像領域を選択する。中央処理ユニットは更に、超音波画像とX線画像とを位置合わせし、位置合わせされ選択された所定の画像領域に基づいて、超音波画像内の所定の画像領域を検出する。中央処理ユニットは更に、超音波画像内の検出された所定の画像領域の少なくとも一部をハイライトしてブーストされた超音波画像を生成する。したがって、本発明における「ブーストされた」又は「ブーストする」との用語は、ユーザのための物体の可視性における向上を意味する。ディスプレイユニットは、ブーストされた超音波画像を、ガイド情報として、ディスプレイ領域上に提供する。
【0006】
「位置合わせ」との用語は、X線画像と超音波画像との間に位置的又は空間的な関係を提供することを意味する。
【0007】
第2の態様によれば、超音波撮像デバイスと、X線撮像デバイスと、画像処理デバイスとを含む医用撮像システムが提供される。画像処理デバイスは、上記の例又は以下の例に従って提供される。超音波撮像デバイスは、物体の関心領域の超音波画像を取得及び提供し、X線撮像デバイスは、当該物体の当該関心領域のX線画像を取得及び提供する。
【0008】
第3の態様によれば、超音波画像をエンハンスする方法が提供される。当該方法は、
a)物体の関心領域の超音波画像を提供するステップと、
b)当該物体の当該関心領域のX線画像を提供するステップと、
c)X線画像内の所定の画像領域を選択するステップと、
d)超音波画像とX線画像とを位置合わせするステップと、
e)位置合わせされ選択された所定の画像領域に基づいて、超音波画像内の所定の画像領域を検出するステップと、
f)超音波画像内の検出された所定の画像領域の少なくとも一部をハイライトしてブーストされた超音波画像を生成するステップとを含む。
【0009】
X線画像内の所定の画像領域を選択することによって、また、位置合わせに基づいて、超音波画像内の所定の画像領域を検出することによって、X線画像内で利用可能な情報に基づいて、超音波画像をエンハンスすることが可能である。したがって、X線画像の画像内容、即ち、画像情報は、超音波画像に転送される。これは、画像情報がユーザに提供されることを可能にし、また、当該画像情報が1つの画像内に提示されることによって、提供された画像情報の処理の確認及び理解を容易にする。
【0010】
例示的な実施形態によれば、中央処理ユニットは、選択された領域を超音波画像内に投影し、投影された領域に基づいて、超音波画像内の所定の領域を検出する。
【0011】
一例では、投影は「逆投影」である。X線画像は、3次元世界の投影であってもよい。X線画像内の物体の輪郭を描く場合、その投影が当該輪郭である3次元の最大ボリュームを示すために逆投影を利用することができる。
【0012】
例示的な実施形態によれば、中央処理ユニットは、X線画像内に、例えば介入ツール又はデバイスである少なくとも1つのターゲット物体を検出する。中央処理ユニットは更に、位置合わせされたターゲット物体に基づいて、超音波画像内の少なくとも1つのターゲット物体を検出する。中央処理ユニットは更に、超音波画像内の検出されたターゲット物体の領域をハイライトする。
【0013】
例示的な実施形態によれば、中央処理ユニットは、選択された領域を輪郭として位置合わせし、投影された輪郭内に収まる超音波画像内の物体を選択する。
【0014】
位置合わせは、投影又は逆投影として提供される。
【0015】
例示的な実施形態によれば、超音波撮像デバイスは、超音波画像を取得するために使用されるプローブを含み、また、超音波プローブをX線画像内に位置合わせする位置合わせユニットが提供される。
【0016】
例示的な実施形態によれば、X線撮像デバイス及び超音波撮像デバイスは、画像を同時に取得する。
【0017】
例示的な実施形態によれば、超音波撮像デバイスは、第1の一連の超音波画像を取得し、X線撮像デバイスは、第2の一連のX線画像を取得する。
【0018】
例えば、中央処理デバイスは、所定の画像領域を、X線画像のうちの1つのX線画像内に検出し、当該所定の画像領域を、他のX線画像内で追跡する。更に、中央処理デバイスは、第1の一連の超音波画像を第2の一連のX線画像と位置合わせする。中央処理ユニットは更に、位置合わせされ選択された所定の画像領域に基づいて、第1の一連の超音波画像内の所定の画像領域を検出する。更に、中央処理ユニットは、第1の一連の超音波画像内の検出された所定の画像領域の領域をハイライトする。
【0019】
一態様によれば、本発明は、超音波画像又は超音波3Dボリュームの可視化を向上させることによって画像をブーストすることを提案する。このようなブーストは、例えばカテーテル、プロテーゼ、クリップ等といったターゲット物体に色付けしてエンハンスすることによって得られる。このターゲット物体は、蛍光透視法において容易に検出され、追跡される。或いは、このようなブーストは、ターゲット物体の輪郭を描くことによって得られる。上記されたように、例えば血管内治療介入の場合、蛍光透視画像といったX線画像は、血管内のツールの良好な可視化を可能にするが、(コントラスト剤を使用しなければ)軟組織の可視化又は3D可視化は不可能である。超音波は、軟組織を含む2D又は3D可視化を可能にする。しかし、ツールと軟組織とのコントラストは非常に低い。更に、2次元超音波画像では、ツールの一部のみが可視である。したがって、このような画像の解釈は簡単ではない。本発明は、蛍光透視画像内のターゲット物体又は他の所定の画像領域の検出又は選択を行うことを提案する。当該ターゲット物体又は他の所定の画像領域は、蛍光透視画像において適切にコントラストがついている。更に、ターゲット物体は、X線画像内で追跡される。超音波画像とX線画像との、例えばライブ位置合わせである位置合わせに基づいて、ターゲット物体又は所定の画像領域は、超音波画像内で検出され、ターゲット物体は、例えば色付けされることによって、超音波画像内でエンハンスされる。なお、X線画像データは、使用されなければ検出することが非常に困難であるターゲット物体又は所定の画像領域を、超音波画像内で検出するためだけに使用されることに留意されたい。X線画像における介入ツールはコントラストが高いことにより、その検出及び追跡は容易となる。超音波画像において、当該介入ツールの(軟組織に対する)コントラストが低い場合でも、その検出は、X線検出からもたらされ、2つの画像モダリティの位置合わせに基づいた位置及び形状プライア(priors)によって容易にされる。2つの画像を組み合わせるのではなく、X線画像から超音波画像への転送は、検出及び/又は位置決めの目的だけに提供される。しかし、X線画像から超音波画像への位置決めデータの転送は、当該データを元の超音波画像自体から取り出すことができないため、超音波画像への更なる情報の追加である。
【0020】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の例示的な実施形態は、以下の添付図面を参照して以下に説明される。
【0022】
【
図1】
図1は、概略設定における画像処理デバイスの一例を示す。
【
図2】
図2は、超音波撮像デバイス及びX線撮像デバイスを有する医用撮像システムの一例を示す。
【
図3】
図3は、超音波画像をエンハンスする方法の基本ステップの一例を示す。
【
図4】
図4は、超音波画像をエンハンスする方法の更なる例を示す。
【
図5】
図5は、超音波画像をエンハンスする方法の更なる例を示す。
【
図6a】
図6aは、ブーストされた超音波画像の一例を、2Dエコグラムとして示す線画図である。
【
図6b】
図6bは、ブーストされた超音波画像の一例を、3Dエコグラムとして示す線画図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、画像データ入力ユニット12と、中央処理ユニット14と、ディスプレイユニット16とを含む超音波画像をエンハンスする画像処理デバイス10を示す。画像データ入力ユニット12は、物体の関心領域の超音波画像を提供し、また、当該物体の当該関心領域のX線画像を提供する。
【0024】
中央処理ユニット14は、X線画像内の所定の画像領域を選択し、超音波画像とX線画像とを位置合わせし、位置合わせされ選択された所定の画像領域に基づいて、超音波画像内の所定の領域を検出し、超音波画像内の検出された領域の少なくとも一部をハイライトして、ブーストされた超音波画像を生成する。ディスプレイユニットは、ブーストされた超音波画像を、ガイド情報として、ディスプレイ領域18上に提供する。
【0025】
更なる例(以下に図示せず)では、中央処理ユニットは、選択された領域を超音波画像内に投影し、投影された領域に基づいて、超音波画像内の所定の領域を検出する。
【0026】
更なる例(これも以下に図示せず)では、中央処理ユニットは、X線画像内の少なくとも1つのターゲット物体を検出し、位置合わせされたターゲット物体に基づいて、超音波画像内に当該少なくとも1つのターゲット物体を検出し、超音波画像内の検出されたターゲット物体の領域をハイライトする。
【0027】
一例では、中央処理ユニット14は、当該少なくとも1つの検出されたターゲット物体を超音波画像内に投影し、投影されたターゲット物体に基づいて、超音波画像内の当該少なくとも1つのターゲット物体を検出する。
【0028】
更なる例(詳細には図示せず)では、中央処理ユニット14は、選択された領域を輪郭(2D及び3D)として位置合わせし、投影された輪郭内に収まる超音波画像内の物体を選択する。
【0029】
図2は、超音波撮像デバイス110と、X線撮像デバイス112とを含む医用撮像システム100を示す。更に、
図1に示される例では、又は、上記又は以下に説明される例では、画像処理デバイス114が提供されている。超音波撮像デバイス110は、物体の関心領域の超音波画像を取得し、提供する。X線撮像デバイス112は、当該物体の当該関心領域のX線画像を取得し、提供する。
【0030】
例えば超音波撮像デバイス110は、物体118に接触させられるトランスデューサ116を含む。介入ツール119があってもよい。別の例では、介入ツールではなく、別のターゲット物体又は他の所定の画像領域が提供される。例えばトランスデューサ116を物体118に接触させることは、手動で行われても、モータ駆動によって行われてもよい。例えば手持ち式のトランスデューサ116は、超音波撮像基部120に接続される。当該接続は、線122によって示されているが、当然ながら、ワイヤレスで提供されてもよい。超音波撮像基部120は、接続矢印126によって示されるように、中央処理ユニット124に接続されている。これは、ワイヤ接続であってもワイヤレス接続であってもよい。トランスデューサ116は、物体118の関心領域の超音波画像情報を取得する。
【0031】
X線撮像デバイス112は、X線源128と、X線検出器130とを含む。X線源128は、X線放射線132を検出器130に向けて提供し、これにより、X線放射線は物体118を通過して、X線画像情報が提供される。X線撮像デバイス112は、接続矢印134によって中央処理ユニット124に接続されている。ここでも、概略的に示されているこの接続は、ワイヤレスに提供されても、ワイヤベースであってもよい。
【0032】
例えばX線撮像デバイス112は、C型アーム装置として提供され、X線源128とX線検出器130とが、C型アーム136の両端に提供される。C型アーム136は、天井140から懸架される天井支持体138によって支持される。当然ながら、他のタイプのX線撮像デバイスを使用してもよく、例えば床に取り付けられたデバイス、例えばモバイルC型アームデバイスといったモバイルX線撮像デバイス、又は、非移動式X線源及びX線検出器を有する他の固定X線撮像デバイスを使用してもよい。
【0033】
したがって、中央処理ユニット124は、超音波撮像デバイス110から超音波画像、即ち、超音波画像データを、X線撮像デバイス112からX線画像、即ち、X線画像データを受信する画像データ入力ユニット(以下に図示せず)と一体に形成される。中央処理ユニット124は更に、ディスプレイユニット142に接続されている。
【0034】
中央処理ユニット124は、
図1に関連しても上記されている。即ち、中央処理ユニットは、参照符号14と124とを有する。したがって、
図2の中央処理ユニット124の構成について、上記を参照する。同様のことが、ディスプレイユニットについても言える。ディスプレイユニットは、
図2では参照符号142が、
図1では参照符号16が与えられている。したがって、ディスプレイユニットに関しては、
図1に関する説明も参照される。物体118は、例えば患者台である物体支持体144上に提供される患者であってよい。
【0035】
図2に示される一例によれば、
図2の必須の特徴であることを意味しないが、超音波撮像デバイスは、例えばトランスデューサ116であるプローブを含む。プローブは、超音波画像を取得するために使用される。更に、例えば中央処理ユニット124と一体にされている位置合わせユニット114が提供されている。しかし、位置合わせユニット144は、
図2にも示されているが、これは、当該位置合わせユニットが医用撮像システム100の必須の構成要素であることを意味しない。位置合わせユニット144は、超音波プローブ116をX線画像内に位置合わせするために提供されている。
【0036】
更なる例によれば、X線撮像デバイス112及び超音波撮像デバイス110は、画像を同時に取得する。
【0037】
更なる例(詳細には図示せず)によれば、超音波撮像デバイス110は、第1の一連の超音波画像を取得し、X線撮像デバイス112は、第2の一連のX線画像を取得する。
【0038】
更なる例によれば、画像処理デバイス114は、以下に説明される例及び方法を実行する。
【0039】
図3は、超音波画像をエンハンスする方法200を示し、次のステップが提供される。第1の提供ステップ210では、物体の関心領域の超音波画像が提供される。第2の提供ステップ212では、当該物体の当該関心領域のX線画像が提供される。選択ステップ214において、X線画像内の所定の画像領域が選択される。更に、位置合わせステップ216において、超音波画像とX線画像とが位置合わせされる。次に、検出ステップ218において、選択された所定の画像領域と位置合わせとに基づいて、超音波画像内の所定の画像領域が検出される。最後に、超音波画像内の検出された所定の画像領域の少なくとも一部がハイライトされてブーストされた超音波画像222が生成されるハイライトステップ220が提供される。
【0040】
第1の提供ステップ210はステップa)とも呼ばれ、第2の提供ステップ220はステップb)とも呼ばれ、選択ステップ214はステップc)とも呼ばれ、位置合わせステップ216はステップd)とも呼ばれ、検出ステップ218はステップe)とも呼ばれ、ハイライトステップはステップf)とも呼ばれる。
【0041】
ステップe)において超音波画像内の選択された領域が検出される前に、ステップd)においてX線画像と超音波画像とが位置合わせされること以外は、ステップの順序、特に、ステップa)、b)及びc)の順序は必須ではない。
【0042】
一例では、ステップd)とステップe)との間に、次のステップd/e)、即ち、選択された領域を超音波画像内に投影するステップが提供され、この場合、ステップe)では、投影された領域に基づいて、超音波画像内の所定の領域が検出される。
【0043】
超音波画像データは、2D画像データであっても、3D画像データであってもよい。
【0044】
更なる例(詳細には図示せず)によれば、ステップc)は、X線画像内の少なくとも1つのターゲット物体を検出することを含む。つまり、所定の画像領域は、介入デバイス又は患者内の他の物体といったターゲット物体である。ステップd)は、少なくとも1つの検出されたターゲット物体を超音波画像内に位置合わせすることを含む。したがって、X線画像から得られるターゲット位置情報が、位置合わせによって、超音波画像に転送される。ステップe)は、X線画像内のターゲット画像領域と位置合わせとに基づいて、超音波画像内の少なくとも1つのターゲット物体を検出することを含む。ステップf)は、超音波画像内の検出されたターゲット物体の領域の一部をハイライトすることを含む。「位置合わせされたターゲット物体」との表現に関連して、X線画像における輪郭は、投影幾何学で行われるのに対して、超音波画像は、3次元世界にあることに留意されたい。X線画像における輪郭に基づいて幾つかのプライア(prior)を規定できるが、3Dの物体を直接的に取得することはできない。
【0045】
一例では、ステップd/e)は、少なくとも1つの検出されたターゲット物体を超音波画像内に投影することを含み、この場合、ステップe)は、投影されたターゲット物体に基づいて、超音波画像内の少なくとも1つのターゲット物体を検出することを含む。
【0046】
更なる例(詳細には図示せず)によれば、所定の画像領域は、介入ツールであり、ステップc)における選択ステップのために、自動的に検出され、追跡される。
【0047】
一例では、ブーストされた超音波画像が、ガイド情報として、ディスプレイ上に提供されるステップg)が提供される。
【0048】
更なる例では、ステップd)において、選択された領域が、輪郭として投影され、ステップe)において、投影された輪郭内に収まる超音波画像内の物体が選択される。
【0049】
一例では、上記されたように、ステップa)及びステップb)において提供される画像は、同時に取得される。
【0050】
所定の画像領域、即ち、ターゲット物体は、カテーテル、プロテーゼ、クリップ等の介入ツールである。例えば生成されたブーストされた超音波画像は、ツールがブーストされた超音波画像である。ハイライトは、超音波画像内の検出された領域に色を付けて、所定の画像領域と他の構造体とを区別するように提供される。
【0051】
例えば位置合わせステップd)において、超音波画像を取得するために使用される超音波プローブがX線画像内に位置合わせされる。
【0052】
投影ステップは、逆投影として提供される。
【0053】
図4は、更なる例を示し、この例では、ステップa)において、関心領域の第1の一連の超音波画像224が、第1の提供ステップ226において提供される。ステップb)において、当該関心領域の第2の一連のX線画像228が、第2の提供ステップ230において提供される。ステップc)において、所定の画像領域が、X線画像のうちの1つのX線画像内に、検出ステップ232において検出され、他のX線画像内で追跡される。ステップd)において、第1の一連の超音波画像が、第2の一連のX線画像と位置合わせされる位置合わせステップ234が提供される。ステップe)において、位置合わせされ選択された所定の画像領域に基づいて、所定の画像領域が第1の一連の超音波画像内に、検出ステップ236において検出される。更に、ステップf)において、第1の一連の超音波画像内の検出された所定の画像領域の領域が、ハイライトステップ238において、ハイライトされる。
【0054】
一例では、ステップc)において、少なくとも1つのターゲット物体が、X線画像のうちの1つのX線画像内に検出され、他のX線画像内で追跡される。ステップe)において、位置合わせされ選択された所定の画像領域に基づいて、ターゲット物体が第1の一連の超音波画像内に検出される。ステップf)において、少なくとも1つのターゲット物体が、第1の一連の超音波画像内に検出される。ステップg)において、検出されたターゲット物体の領域が、第1の一連の超音波画像内にハイライトされる。
【0055】
別の例では、ステップe)において、ターゲット物体が、第1の一連の超音波画像内に投影される。ステップf)において、少なくとも1つのターゲット物体が、第1の一連の超音波画像内に検出される。
【0056】
X線画像は、蛍光透視画像データとして提供される。一例では、ターゲット物体は、自動的に検出される。別の例では、ターゲット物体は、手動で検出される。
【0057】
更なる例では、画像処理装置を動作させる方法が提供される。ここでは、上記例の画像データ処理ステップが提供される。
【0058】
図5は、第1の提供ステップ242において、蛍光透視画像240が提供される方法の更なる例が示される。更に、第2の提供ステップ246において、超音波画像244が例えば同時に提供される。次に、検出ステップ248において、X線画像240内のターゲット物体が、検出され、追跡される。次に、超音波画像244と蛍光透視画像240とが位置合わせされる位置合わせステップ250が提供される。矢印252は、位置合わせステップ250によって、2つの画像の世界が接続されることを示す。位置合わせステップ250からの情報は、検出及び追跡ステップ248からの結果と一緒に、逆投影ステップ254において使用される。後者は、次に、ターゲット物体が、第2の提供ステップ246から提供される超音波画像内に検出される検出ステップ256において使用される。当該超音波画像データの提供は、矢印258によって示される。検出ステップ256の後、例えば計算ステップ260において、色付き超音波画像を計算することによって、超音波画像のエンハンスメントが提供される。
【0059】
例えば、ターゲット物体が血管内治療介入デバイス又は他のデバイス(ツールとも呼ばれる)である場合、ブーストされた超音波画像262は、ガイド情報として、例えばディスプレイユニットのディスプレイ領域上に提供される。したがって、蛍光透視画像における検出に基づいて、超音波画像におけるツールのブーストが提供される。
【0060】
例えば蛍光透視画像データ240及び超音波画像データ244は、同時実行において取得され、両方のライブストリームが利用可能である。X線画像におけるターゲット物体の検出/追跡では、ターゲット物体は、1つのX線画像フレーム内に、手動で選択されるか又は自動的に検出される。X線を通さない全ての物体を選択しても、クリップといった1つのターゲット物体だけを選択してもよい。次に、選択された物体の位置が次のフレームにおいて追跡される。位置合わせステップにおいて、超音波取得結果とX線取得結果とが位置合わせされる。このタスクは、超音波プローブが蛍光透視画像内で可視であるときに、当該超音波プローブを位置合わせすることによって達成される。逆投影では、(X線画像フレームにおける)検出された物体の輪郭が、例えば2D超音波画像上又は3D超音波ボリューム内に逆投影される。2Dの場合、ターゲット物体があってよい2D輪郭も得ることができる(ターゲット物体が超音波面内にある場合)。3Dの場合、輪郭に沿ってビームを得ることができる。超音波画像内のターゲット物体の検出ステップ256において、例えば逆投影された輪郭内に収まる超音波画像内の物体を選択することが提供される。計算ステップ260において、超音波画像データが色付けされ、超音波画像は、軟組織といった他の構造体内のターゲット物体を区別するように色付けされる。色付けではなく、各領域をハイライトする又は強調する他の手段が提供されてもよい。例えば3D画像データの透明度に作用する他の専用レンダリングも可能である。
【0061】
図6は、ブーストされた超音波画像300の一例を、2Dエコグラム310(
図6a)及び3Dエコグラム320(
図6b)として示す。
【0062】
図6aでは、例えばデバイスの領域に関連するハイライトされた領域314を有するエコグラム
図312が示される。当該デバイスは、上記されたように、X線画像内に検出されている。ハイライトされた領域は、色が付けられるか、又は、コントラストによってエンハンスされてよい。
【0063】
図6bでは、例えばデバイスの領域に関連するハイライトされた領域324を有するエコグラム
図322が示される。当該デバイスは、上記されたように、X線画像内に検出されている。ハイライトされた領域は、色が付けられるか、又は、コントラストによってエンハンスされてよい。
【0064】
図7は、
図6の対応する写真画像を示す。即ち、
図7aは、
図6aの内容を示し、
図7bは、
図6bの内容を示す。したがって、同じ参照符号が使用される。
【0065】
本発明の別の例示的な実施形態では、上記実施形態のうちの1つによる方法のステップを適切なシステム上で実行することによって特徴付けられるコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0066】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに格納されていてもよい。当該コンピュータユニットは、本発明の一実施形態の一部であってもよい。当該コンピュータユニットは、上記された方法のステップを実行させる又は当該ステップの実行を誘導する。また、当該コンピュータユニットは、上記された装置の構成要素を動作させてもよい。当該コンピュータユニットは、自動的に動作させる、及び/又は、ユーザの命令を実行する。コンピュータプログラムが、データプロセッサのワーキングメモリにロードされてもよい。したがって、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備されていてもよい。
【0067】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を利用するコンピュータプログラムと、アップデートによって、既存のプログラムを、本発明を利用するプログラムに変換するコンピュータプログラムとの両方を対象とする。
【0068】
また、コンピュータプログラム要素は、上記された方法の例示的な実施形態の手順を満たすために必要なステップをすべて提供してもよい。
【0069】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD−ROMといったコンピュータ可読媒体が提示される。当該コンピュータ可読媒体は、当該媒体にコンピュータプログラム要素が格納され、当該コンピュータプログラム要素は、上記セクションにおいて説明されている。
【0070】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に格納/分散配置されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形態で分散されてもよい。
【0071】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブといったネットワークを介して提示され、当該ネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされてもよい。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードできるようにする媒体が提供される。当該コンピュータプログラム要素は、本発明の上記実施形態のうちの1つにしたがって方法を実行する。
【0072】
なお、本発明の実施形態は、様々な主題を参照して説明されている。具体的には、方法タイプのクレームを参照して説明される実施形態もあれば、デバイスタイプのクレームを参照して説明される実施形態もある。しかし、当業者であれば、上記及び以下の記載から、特に明記されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、様々な主題に関する特徴の間での任意の組み合わせも、本願に開示されているものと見なされることは理解できよう。しかし、あらゆる特徴は、特徴の単なる総計よりも多くの相乗効果を提供するように組み合わされる。
【0073】
本発明は、添付図面及び上記説明において詳細に例示かつ説明されたが、当該例示及び説明は、例示的であって限定的に解釈されるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形態様も、図面、開示内容及び従属請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者には理解されかつ実施可能である。
【0074】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるからといって、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定しているものと解釈されるべきではない。