(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198949
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】物品ホルダおよび物品ホルダを含んだ物品
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-530651(P2016-530651)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-525486(P2016-525486A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】IB2014063540
(87)【国際公開番号】WO2015015430
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】13108994.4
(32)【優先日】2013年8月1日
(33)【優先権主張国】HK
(73)【特許権者】
【識別番号】516023652
【氏名又は名称】エヌジー,ラップ チー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヌジー,ラップ チー
【審査官】
永安 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−040510(JP,A)
【文献】
特開昭57−006114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と前記本体部に取り付けられる吸着取付装置とを備え、前記吸着取付装置は、支持面との吸着取付のための取付端と、前記取付端と前記本体部とを相互接続する周囲部とを備え、前記吸着取付装置は、使用時に前記支持面と協同して気密チャンバを形成し、前記周囲部は、前記支持面との吸着取付のために低圧領域を前記気密チャンバ内に形成させるよう、前記周囲部の空気排出構造を通して前記気密チャンバから空気を排出させるために変形することができ、前記気密チャンバは前記気密チャンバを包囲する前記周囲部の周壁部によって画定されており、前記空気排出構造は前記周壁部に一体的に形成されており、前記周壁部は、前記空気排出構造の位置で大きく、前記空気排出構造から離れた位置で小さい値の厚みを有することを特徴とする物品。
【請求項2】
前記吸着取付装置は前記本体部から取り外し可能であり、前記本体部は携帯可能である、請求項1記載の物品。
【請求項3】
第1端、第2端および前記第1端と前記第2端とを相互接続する周囲部を備える物品ホルダであって、前記第1端は、第1気密端を形成するように支持面に取り付けられ、前記第2端は第2気密端を形成するように物品の表面に取り付けられ、前記周囲部は使用時に前記第1気密端および前記第2気密端と協同して気密チャンバを形成し、前記周囲部は、前記物品ホルダを介して前記物品の前記支持面への吸着取付のために低圧領域を前記気密チャンバ内に形成させるよう、前記周囲部の空気排出構造を通して前記気密チャンバから空気を排出させるために変形することができ、前記気密チャンバは前記気密チャンバを包囲する前記周囲部の周壁部によって画定されており、前記空気排出構造は前記周壁部に一体的に形成されており、前記周壁部は、前記空気排出構造の位置で大きく、前記空気排出構造から離れた位置で小さい値の厚みを有することを特徴とする物品ホルダ。
【請求項4】
前記空気排出構造は前記周囲部に形成されており、前記低圧領域を形成させるために前記気密チャンバから空気を排除し、かつ、空気が外部から前記気密チャンバ内に移動することを規制または防止するために1以上の逆止弁または一方向弁を備えている、請求項1若しくは2記載の物品、または請求項3記載の物品ホルダ。
【請求項5】
前記逆止弁または一方向弁は前記気密チャンバの周囲及び/又は前記気密チャンバに沿って配置されている、請求項4記載の物品または物品ホルダ。
【請求項6】
前記周囲部は前記第1端と前記第2端の間を軸方向に延展しており、前記周囲部は前記気密チャンバの容積を変えるために軸方向及び/又は軸方向に対して横断方向に弾性的に変形が可能である、請求項3に記載の物品ホルダ。
【請求項7】
前記周囲部は、前記気密チャンバの容積を減少させるために絞られたときまたは圧縮されたときに前記低圧を画定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の物品または物品ホルダ。
【請求項8】
前記周囲部は、前記低圧領域を画定している収縮状態から、前記気密チャンバ内の圧力が前記気密チャンバ外の圧力と等しいまたは略等しい膨張状態に弾性的に膨張する、請求項1から7のいずれか1項に記載の物品または物品ホルダ。
【請求項9】
前記周囲部は、少なくとも1つの弾性ベローズ型部材、または弾性ベローズ型部材の整合した折り畳み体を形成する複数の弾性ベローズ型部材を含んでおり、前記弾性ベローズ型部材は、前記低圧領域を形成させるために前記気密チャンバの容積を減少させる軸方向の圧縮力が作用すると、その高さを減少させるべく収縮し、前記ベローズ型部材は、前記圧縮力を取り除くと軸方向に弾性的に膨張する、請求項1から8のいずれか1項に記載の物品または物品ホルダ。
【請求項10】
前記周壁部の厚みは、前記空気排出構造から離れるに従って徐々に減少する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記周壁部の厚みは、前記空気排出構造から離れるに従って徐々に減少する、請求項3に記載の物品ホルダ。
【請求項12】
前記周壁部の厚みは0.17mmから0.3mmである、請求項1若しくは10に記載の物品または請求項11に記載の物品ホルダ。
【請求項13】
前記第1端及び/又は前記第2端は使用時に前記気密チャンバを封止するための弾性封止装置として形成されている、請求項3または6に記載の物品ホルダ。
【請求項14】
前記第1端は前記物品の表面と係合するための気密吸着部を提供する弾性の受領部として形成されている、請求項3、6または13に記載の物品ホルダ。
【請求項15】
前記第1端は、使い捨てカップまたは使い捨てボウルのような使い捨て容器の底部端を密着受領するための受領部の形態に形成されている、請求項3、6、13または14に記載の物品ホルダ。
【請求項16】
前記物品ホルダは、軟質プラスチック、ゴム、シリコーンゴム、またはポリプロピレンのような弾性材料で一体的に形成されている、請求項3、6または13から15のいずれか1項に記載の物品ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は物品ホルダに関し、特には平滑な表面に物品を保持させるための物品ホルダに関する。本開示はまた平滑な表面に一時的に、または着脱的に取り付けられる基底部を有した物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
テーブル表面またはベンチ表面のような数多くの支持面は高度に磨かれており、非常に平滑である。平滑な表面は見た目に美しく、視覚的に心地よいが、平滑表面上に置かれた物品は、平滑表面が移動または傾斜すると滑り易い傾向にある。例えば、食料または飲料で満たされ、移動する車両のテーブル表面に置かれた容器は、車両が移動または傾斜するとテーブル表面上を滑り、中身を溢したり、転倒したりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、不便さや不快さを軽減することができるように、平滑な表面上でも物品を着実に保持させるような物品ホルダが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1端、第2端、および、それら第1端と第2端とを相互接続する周囲部を備えた物品ホルダが提供され、第1端は第1気密端部を形成するように支持面に取り付けられる部位であり、第2端は第2気密端部を形成するように物品の表面に取り付けられる部位であり、周囲部は使用時に第1端および第2端と協同して気密チャンバを形成する部位であり、周囲部は、物品ホルダを介して支持面に物品を吸着的に取り付けるために気密チャンバ内に低圧領域を形成するよう、周囲部に提供された空気排出構造を介して気密チャンバから空気を排出させる目的で変形が可能である。
【0005】
本体部と吸着取付装置とを備えた物品も提供され、その吸着取付装置は、支持面との吸着取付を実行させるための取付端部と、取付端部と本体部とを相互接続する周囲部とを備え、吸着取付装置は使用時に支持面と協同して気密チャンバを形成し、周囲部は、支持面との吸着取付を実行するために気密チャンバの内部に低圧領域を形成するよう、周囲部に設けられた空気排出構造を介して気密チャンバから空気を排出させる目的で変形が可能である。
【0006】
吸着取付装置は本体部から取り外しが可能である。
【0007】
物品ホルダは便利である。なぜなら、それは必要な場合に、支持面上で物品を堅持させることができる、単純で、軽量で、かつ携帯が可能だからである。
【0008】
物品堅持は、物品と物品ホルダとの間の保持力および物品ホルダと支持面との間の保持力によって提供され、保持力は、本体部によって画定された空洞内の単一の低圧領域によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示は下記の図面に基づく非限定的な実施例によって説明されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の物品ホルダの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の物品ホルダの斜視図であり、A−A断面線、B−B断面線およびC−C断面線を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施例による、
図4Bで示す実施例の物品ホルダと組み合わされた
図4Aで示す実施例の使い捨て容器を図示する概略図である。
【
図5A】
図5Aは、支持面との吸着係合を達成する前の
図4で示す組み合わせ物を図示する概略図である。
【
図5B】
図5Bは、支持面との吸着係合を達成させるための物品ホルダの軸方向の圧縮を図示する概略図である。
【
図5C】
図5Cは、支持面との吸着係合から組み合わせ物を解放するための物品ホルダの軸方向の膨張を図示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および
図1Aから
図1Fで図示する物品ホルダ100は、第1端110、第2端120および第1端と第2端とを相互接続する周囲部130を備えている。第1端110、第2端120および周囲部130は共同で、本体部と、本体部で包囲された内部コンパートメント(内部区画部)140とを画定する。本体部は略筒体であり、第1端と第2端が筒体の両端となるように第1端と第2端との間で軸方向に延びており、筒体軸は第1端と第2端の中心に存在する。
【0011】
周囲部130は弾性的に変形が可能であり、無加圧の中性状態から軸方向に折り畳みが可能である。第1端または第2端の一方が剛質表面上に支持されている状態で、第1端または第2端の他方に軸方向の圧縮力が印可されると、圧縮力が印可された端部は剛質表面上に支持されている他方の端部側に縮められる。周囲部が軸方向に圧縮されて折り畳まれまたは縮められると、中空コンパートメント(中空区画部)140の容積は減少する。周囲部の弾力性は周囲部130をその中性状態または膨張状態に戻らせるように促すであろう。
【0012】
図1、
図3Aおよび
図3Bに図示するように、複数の逆止弁134が周囲部130に配置されている。逆止弁134は、第1端および第2端の両方が気密処理(エアシール)されている場合に周囲部が軸方向に圧縮されたとき、中空コンパートメント内の空気圧が大気圧よりも高くなるように増加し、圧力差によって中空コンパートメント内の空気が中空コンパートメントからそれら逆止弁を通って逃げるように周囲部130に提供されている。その結果、低圧領域または部分的真空が密封されている中空コンパートメント内に形成される。一方向弁とも呼ばれる逆止弁は空気排出路を提供するが、密封されている中空コンパートメント内への空気の移動は規制または防止される。第1端および第2端が気密状態であるとき、気密チャンバ(気密空洞部)は中空コンパートメント140によって画定される。
【0013】
周囲部130はスタック(積み重なった部分)を形成する複数の折目部132を含んでいる。
図2および
図2Aから
図2Cに図示するように、それぞれの折目部132は周方向に延びる溝部によって画定されている。溝部は中空コンパートメント140を包囲し、筒体軸に直角である折目面を画定する。それぞれの溝部は、軸方向に延びる湾曲外形部を有し、2本の周方向に延びるリム(縁部)133間で周方向に延びる凹部131を画定する。隣接する周方向に延びるリム133同士は平行であり、軸方向において異なる位置に存在する。溝部または凹部の最大深さ位置は2本の周方向に延びるリム間の中央部に存在し、溝部の外側形状は最大凹部の線によって画定される平面周囲で対称または略対称である。溝部は筒体軸から離れる方向に開いている。従って、最大凹部の線は筒体軸に近くまたは最も近接しており、周方向に延びるリムは筒体軸から遠くまたは最遠に位置する。
【0014】
隣接する折目部132同士は垂直方向に整合し、結合されると整合した連続的な折目部132のスタック(積層体)を形成する。スタックされた(積み重ねられた)折目部132は、折り畳み可能な周囲部130の周壁部の少なくとも一部を画定する。折目部132は結合され、共同で、折目部132のスタックによって画定された筒状本体部の筒体軸である共通軸を画定する。本実施例では、折目部132は同一の寸法を有しており、周壁部は規則的な折目部の高さを有した全体的には略筒状である。ここで言う“折目部の高さ”とは、リムを画定する隣接溝部間の軸方向の分離距離のことである。
【0015】
本実施例の物品ホルダ100は、物品を支持面上に保持し、物品が支持面に対して意図せずに移動することがないようにするためのものである。本実施例の物品ホルダ100は、物品と支持面の両方との吸着グリップ(吸着保持力)を発生させ、それにより物品を支持面上に保持するものである。吸着グリップは気密チャンバ140内の低圧領域によって形成され、低圧の気密チャンバの形成は、物品ホルダ100と物品との間、および、物品ホルダ100と支持面との間の吸着係合を提供する。加えて、弾性的な周囲部130は、支持面が動き出すとき、物品および物品内の液体を安定化させるように作用する。
【0016】
支持面上での吸着保持は主として、第1端110が気密形態で支持面に連結され、第2端120が保持対象の物品の接触面によって気密化される通常の使用時に、中空コンパートメント140内での低圧領域の形成によって提供される。低圧領域は、第2端を支持面側に付勢し、支持面上に第2端を摩擦保持させる吸着力を創出する。好適には、周囲部は半剛性(semi-rigid)の、非多孔質の、弾性材料により形成され、中空コンパートメントからの空気の排出によって気密チャンバが創出される。材料の弾力性は、物品ホルダが繰り返し使用できるよう、中空コンパートメント内の低圧状態の解除によって周囲部を予備折り畳み形状および形態に保存することを可能にする。軟質プラスチック、ゴム、シリコーンゴム、ポリプロピレン、または他の弾性ポリマー材料が適した材料の例である。
【0017】
第1端110は周囲部の最下軸端に形成され、内側に放射状(径方向)に広がり、筒体軸に向かって直角に延びるフランジ112を含む。この放射状フランジは周囲部を覆っており、周方向に沿って周囲部と気密接合部を形成する。この放射状フランジは、第2端と連続的に接触する物品と中空コンパートメントとの間の流体連通を提供する第1端の開口部を画定する。この第1端の開口部は放射状フランジによって狭められているため、折目部の溝部によって画定される収容部の開口部よりも十分に狭い。
【0018】
第2端120は周囲部の最上軸端に形成され、内側に放射状(径方向)に広がり、筒体軸に向かって直角に延びるフランジ122を含む。この放射状フランジは周囲部を覆っており、周方向に沿って周囲部と気密接合部を形成する。この放射状フランジは、第1端と連続的に接触する物品と中空コンパートメントとの間の流体連通を提供する第1端の開口部を画定する。この第2端の開口部は放射状フランジによって狭められているため、折目部の溝部によって画定される収容部の開口部よりも十分に狭い。
【0019】
第1端および第2端のそれぞれの放射状フランジ112と122は、気密接触を高めるためのシールリング(封止リング)として作用するように設計されている。特に、第2端の放射状フランジが物品ホルダと支持面との間の気密性を高めるのに対して、第1端の放射状フランジは物品ホルダと保持対象の物品との間の気密性を高める。
【0020】
従って、放射状フランジは、端部開口部を狭め、使用中に軸端での気密封止を高めるという少なくとも2つの目的に寄与する。
【0021】
図2および
図2Aから
図2Cで詳細に図示するように、一方向弁としても知られる逆止弁が周囲部130に配分されており、物品ホルダの両方の軸端が封止され、周囲部が圧縮力によって軸方向に折り畳まれる通常使用時に中空コンパートメント内に保存されている空気の逃避手段を提供している。この実施例では、4つの逆止弁134がそれぞれの折目部の周囲に均等に配置されており、隣接する折目部上の逆止弁は同じ周囲位置に存在する。それぞれの逆止弁は曲率が最小である溝部の底部に形成される。
【0022】
図3Aから
図3Dに図示するように、逆止弁134は内部通穴を有したスタッド(鋲)部材の形態である。スタッド部材は弾性材料製であり、周囲部から放射状に突き出る。内部通穴は、スタッド部材の中に存在し、中空コンパートメントと外気との間で延びる空気通路を画定する。内部通穴は、スタッド部材の内部に存在して中空コンパートメントと外気との間で延伸する制御された空気通路を画定する。内部通穴は、中空コンパートメント内の圧力が設定されている閾値分だけ外気圧を超えない限り、空気通路が折り畳まれて閉じるように形状化および寸法化されている。中空コンパートメント内の圧力が設定されている閾値分だけ外気圧を超えると、中空コンパートメント内の内部圧力が通穴を開き、通穴が閉じられるまで中空コンパートメント内の空気が中空コンパートメントから排出されるであろう。
【0023】
逆止弁134が周壁部に一体的に形成されている実施態様においては、周壁部の厚みは逆止弁134を画定する部分において最も厚く、逆止弁の位置から離れるにしたがって厚みは徐々に減少する。1実施態様においては、周壁部の厚みは逆止弁134にて約0.3mmである。
【0024】
それぞれのスタッド部材は溝部の底部から外側に放射状に突き出る。逆止弁または逆止弁の少なくとも一部は、リムを画定する隣接溝部の軸方向突起によって隠遮されており、リムを画定する隣接溝部の軸方向突起を越えては突起しないので、溝部の底部からの逆止弁の放射状外側への突起は有利である。そのような配置は逆止弁の意図しない事故を防止し、物品ホルダの外面をさらに平滑化する。
【0025】
図1に図示されている実施例においては、合計で12mmの高さを有する、スタックされた同一溝部高の3つの折目部が存在し、4つの逆止弁がそれぞれの溝部の周囲に均等に配分されている。加えて、それぞれの折目部は約4mmの折目部幅と、0.17mmの溝壁厚と、10mmのフランジ幅と、50mmの折目部のリムの対面径端部間距離とを有する。この実施例では、折目部幅は、逆止弁を形成するスタッド部材が通常の使用時に指によって押されることがないように、人の指の典型的な幅よりも小さくなるように選択されている。実施例によっては、周囲部の横断方向の延展によって画定される物品ホルダの全体幅は50mmよりも大きいまたは50mmよりも小さいである。例えば、全体幅は100mm、120mm以上、または50mm以下とすることができる。
【0026】
使用時に、
図4Aに図示するような食品容器または飲料容器などの物品が、物品ホルダの第2端120と整合する底部面を有した
図4Bの物品ホルダ上に置かれる。物品が物品ホルダおよび物品ホルダが置かれた支持面に対して付勢されると、中空コンパートメント140内の空気が排出されて低圧領域が形成され、
図4に示す吸着取付が提供される。使用後に、その後の使用または別の利用のために、物品は物品ホルダから取り外すことができる。吸着取付を解除するには、ユーザは周囲部130を絞って変形させ、圧力差を解消して保持吸着を解消させるために、外気が第1端または第2端を通って中空コンパートメント140に入るようにする。
【0027】
実施態様によっては、物品ホルダの第2端が、物品によって、例えば物品の底部によって封止されるように、物品ホルダは組み合わせ物品を形成するために物品に永久に取り付けられる。そのような実施形態において、物品ホルダは、吸着取付手段であると同時に組み合わされた物品の支持底部になるであろう。
【0028】
実施態様によっては、物品ホルダには逆止弁は形成されない。そのような実施態様においては、中空コンパートメント内の空気は、物品と物品ホルダとの間の接合部、支持面と物品ホルダとの間の接合部、またはそれらの組み合わせのような接合部を通過して排出される。周囲部の弾力性が軸方向に圧縮された周囲部を軸方向に膨張させ、その圧縮前状態にするとき、支持面に摩擦グリップ(摩擦保持力)を創出するのに十分な部分的真空領域または低圧領域が物品ホルダによって発生するであろう。同様に、周囲部の弾力性が軸方向に圧縮された周囲部を軸方向に膨張させ、物品が物品ホルダと永久的な気密接続を形成していない圧縮前状態にするとき、物品上に摩擦グリップを創出するのに十分な部分的真空領域または低圧領域が発生するであろう。
【0029】
図5Aから
図5Cに図示されているように、
図1の物品ホルダの例示的な適用形態においては、物品ホルダは例示的な物品としての飲料容器10の基底部に取り付けられている。使用時に、物品ホルダは、その第2端を、満たされた飲料容器の底部と接触させ、その第1端を支持面と接触させた状態で支持面上に置かれる。物品と物品ホルダとが係合位置に置かれた後、ユーザは軸方向の圧縮力を物品ホルダに作用させる。軸方向の圧縮力は満たされた飲料容器の重量を通じて、または直接的に物品ホルダに作用させることができる。
図5Aの湾曲矢印で概略的に示されるように、空気が中空コンパートメントから排出された後、中空コンパートメント内の低圧領域は吸着力を発揮し、物品ホルダを
図5Bに示すように支持面上に摩擦グリップにより接着させる。同時に、低圧領域は、満たされた飲料容器を物品ホルダ側に吸着させる吸着力も発生させるであろう。その結果、満たされた飲料容器の支持面上での安定した一時的な保持力が物品ホルダによって提供できる。この実施例では、物品ホルダは支持基底部および吸着基底部として作用する。汎用性を喪失させることなく、吸着基底部を物品に一体化させるか、または取り外し可能な部品とすることができる。
【0030】
吸着取付を解除するには、
図5Cの湾曲矢印で概略的に示すように、圧力差を解消して保持吸着を解除するため、ユーザは物品ホルダの周囲部130を絞って変形させ、外気を中空コンパートメント140内に進入させる。
【0031】
折目部の湾曲した外側形状は有利であり、周囲部は、外側に膨張することも横断方向に大きく変形することもなく、収縮吸着状態となるように折り畳まれる。さらに、折目部の湾曲した外側形状は、適用される圧縮力に抗して、徐々に、または段階的に増加する抗力を提供する。
【0032】
折目部は凹状の外側形状を有しており、溝部は筒体軸から離れる方向に開いてはいるが、汎用性を喪失させることなく、折目部が凸状外側形状を有し、溝部が筒体軸方向に開く形態とすることもできる。
【0033】
1実施態様では、逆止弁は周囲部に一体的に形成されている。別実施態様では、逆止弁は周囲部に取付要素(アタッチメント)として取り付けられる。
【0034】
1実施態様では、少なくとも1つのフランジ部材は周囲部と一体的に形成されている。別実施態様では、少なくとも1つのフランジ部材は、接着、溶着または他の取付手段によって周囲部に固定されている。
【0035】
図1の実施例の折目部または溝部は同一の寸法を有しているが、汎用性を喪失させることなく、折目部は異なる寸法を有することもできる。例えば、溝部は折目部の平面の方向において異なる寸法を有することができる。例えば、折目部の平面の寸法は、汎用性を喪失させずに、円錐台形または切頭円錐の形状の周囲部を画定する徐々に増加する部分または徐々に減少する部分とすることも、互いに異なる寸法の折目部の平面を有するようにすることも、またはそれらの組み合わせにしても良い。同様に、適用形態に合わせて、または実際の状況に応じて、軸方向の長さまたは溝部の寸法は異なってもよく、軸方向の溝部の曲率が異なってもよい。
【0036】
図1の実施例の折目部または溝部は円形であり、共同で円筒または略円筒を画定しているが、汎用性を喪失させることなく、折目部を多角形、特に正多角形のような非円形の外形を有するようにすることもできることは理解されよう。従って、ここで言う周囲とは円形の境界には限定されず、四角形、五角形、六角形などの多角形の境界を含むことができる。
【0037】
実施態様によっては、周囲部は、内部の空洞部に向かって横断方向に弾性的に変形が可能なチューリップ形状の周壁部を有することができ、チューリップ形状の周囲部が変形されると、気密の空洞部内の空気は排出されて低圧領域を創出し、吸着取付力を提供する。チューリップ形状の周壁部は手掴み変形が提供されるように、軸の中央部辺りで膨出できる。
【0038】
実施態様によっては、周囲部は、徐々に変化する寸法または横方向の延展部を有する折目部を含むことができる。例えば、最大径を有する折目部を軸の中央に配置し、隣接する折目部の直径を中央折目部から軸方向に離れるにつれて減少させることができる。
【0039】
上述の実施態様では、物品ホルダの第1端は支持面との吸着係合を成立させ、第2端は物品との吸着係合を成立させる。従って、1形態では、物品の表面と連結するための第1端と、支持面と連結するための第2端と、軸方向に延び、第1端と第2端とを相互接続する非液体浸透性の本体部とを備えた物品ホルダが提供される。第1端は物品の表面と気密連結するためのものであり、第2端は支持面と気密連結するためのものであり、本体部は、空洞部内に低圧領域を形成し、物品を吸着力によって支持面上に保持するため、使用時に本体部が収縮するように圧縮または絞られたときに、物品と支持面との間の空洞部から空気を排出させるためのものである。
【0040】
別形態では、本体部と、支持面への吸着取付のための吸着基底部とを含んだ物品が提供され、吸着基底部は本体部の端面と連結するための第1端と、支持面と連結するための第2端と、軸方向に延び、第1端と第2端とを相互接続する非液体浸透性の本体部とを備えている。本体部は、圧縮または絞られると端面と支持面との間の空洞部内から空気を排出して空洞部内に低圧領域を形成することで本体部を支持面に吸着させる。
【0041】
本体部は吸着基底部から取り外しが可能であり、使用時に吸着基底部の第1端との気密連結を形成する。
【0042】
汎用性を喪失させずに第1端と第2端は交換的に使用できる。さらに、この開示内容と実施例は、本発明の概略的な説明を提供するものであり、本発明の範囲を限定するものであるとは解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0043】
100 物品ホルダ 10 飲料容器
110 第1端 112 第1端フランジ
120 第2端 122 第2端フランジ
130 周囲部 131 凹部
132 折目部
133 周囲リム
134 逆止弁
140 中空コンパートメント