(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給部から垂下する前記液状添加剤を受け止めるシャッター部の姿勢を、前記供給部から垂下する前記液状添加剤を受け止める閉姿勢と、前記供給部から垂下する前記液状添加剤を受け止めない開姿勢とに切り替えることで、前記フィルタ繊維への前記液状添加剤の塗布およびその停止が切り替えられる、
請求項9から14の何れか一項に記載のシガレットフィルタの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、帯状のフィルタ繊維に、例えば増粘剤を含む溶液等のように、粘度の高い液体を供給する場合について考える。帯状のフィルタ繊維に高粘度液体を供給する場合においても、比較的粘度が低い可塑剤と同様のロール転写方式やスプレー方式を適用しようとすると、以下のような不都合が生じ得る。
【0006】
例えば、ロール転写方式を適用する場合、高粘度液体の粘着性によってトウのフィルタ繊維がローラに巻き付いてしまい、繰り出し経路に沿ったトウの送出を安定して行うことが困難になる。また、スプレー方式を適用する場合には、圧縮した空気やガス等を用いて霧状に霧化した高粘度液体をノズルから噴射することになるが、高粘度液体を霧化するためには多量の圧縮空気を噴射する必要があり、送出中のフィルタ繊維の姿勢が大きくばたついたり、帯形状を維持することができない等の不都合が生じる。その結果、シガレットフィルタの安定的な製造が困難となる虞がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、シガレットフィルタの製造過程において、たとえ粘度の高い液状添加剤をフィルタ繊維に供給する場合においても、シガレットフィルタを安定して製造することのできるシガレットフィルタの製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、繰り出し経路を繰り出されるフィルタ繊維の上部であって該フィルタ繊維と離れた位置に配置される供給部から、下方に位置する前記フィルタ繊維の上面に対して液状添加剤を連なった状態で連続的に垂らすこととした。
【0009】
より詳しくは、本発明に係るシガレットフィルタの製造装置は、帯状のフィルタ繊維を所定の繰り出し経路に沿って連続的に繰り出す繰り出し機構と、前記繰り出し経路を繰り出される前記フィルタ繊維に液状添加剤を塗布する塗布装置と、を備え、前記塗布装置は、前記繰り出し経路を繰り出される前記フィルタ繊維の上部に該フィルタ繊維と離れて配置され、下方に位置する前記フィルタ繊維の上面に対して前記液状添加剤を連なった状態で連続的に垂らす供給部を有することを特徴とする。また、本発明に係るシガレットフィルタの製造方法は、所定の繰り出し経路に沿って連続的に繰り出される帯状のフィルタ繊維に液状添加剤を塗布する、シガレットフィルタを製造する製造方法であって、前記繰り出し経路を繰り出される前記フィルタ繊維の上部であって該フィルタ繊維と離れた位置に配置される供給部から、下方に位置する前記フィルタ繊維の上面に対して前記液状添加剤を連なった状態で連続的に垂らすことを特徴とする。ここで、「液状添加剤を連なった状態で連続的に垂らす」とは、供給部から垂らされる液状添加剤が重力によって下方に位置するフィルタ繊維の上面に向かって垂下(落下)する際、液状添加剤がフィルタ繊維の上面に到達するまで途切れずに連なっていることを指す。なお、本明細書において「垂下」との用語には、垂直方向に垂れることのみならず、斜め下方に垂れることの意味も含まれる。
【0010】
本発明によれば、液状添加剤がたとえ粘度が高くても、供給部がフィルタ繊維と離反した状態、即ち非接触の状態で液状添加剤をフィルタ繊維に多量に塗布することができる。そのため、フィルタ繊維の粘着性に起因してフィルタ繊維が供給部側に引っ付くことを抑制でき、繰り出し経路に沿ったフィルタ繊維の繰り出しを安定して行うことができる。さらに、本発明によれば、フィルタ繊維の上面に対して液状添加剤を連なった状態で連続的に垂らしながら塗布するため、上述したスプレー方式のように液状添加剤を霧化した状態で散布する必要がない。そのため、繰り出し経路に沿って繰り出されているフィルタ繊維の姿勢が圧縮空気や圧縮ガスの影響受けて大きくばたついたり、帯形状の維持が困難になることを抑制できる。その結果、シガレットフィルタを安定して製造できるフィルタ製造装置を提供できる。
【0011】
また、本発明において、前記供給部は、該供給部の底面から突出すると共に前記液状添加剤を垂らすための塗布口を有する塗布ノズルを備えていてもよい。これによれば、液状添加剤が例えば供給部の底面に付着した状態で液溜まりが形成されることを抑制できる。また、供給部の底面から突出する塗布ノズルの塗布口から液状添加剤を垂らすことで、所期の方向に精度よく液状添加剤を垂らすことができる。
【0012】
また、本発明において、前記供給部の底面には、複数の前記塗布ノズルが列状に配置されていてもよい。これによれば、スプレー方式のように液状添加剤を霧化させることなくフィルタ繊維の上面に液状添加剤を均一に塗布できる。
【0013】
また、本発明において、複数の前記塗布ノズルは、一定間隔で配列されていてもよい。これによれば、フィルタ繊維の上面に塗布される液状添加剤の均一性をより一層向上できる。
【0014】
また、本発明において、複数の前記塗布ノズルは、前記繰り出し経路の幅方向に沿って直線状に配列されていてもよい。これによれば、フィルタ繊維の幅方向において、液状添加剤をより均一に塗布できる。
【0015】
また、本発明において、前記塗布装置は、前記供給部を保持する保持部をさらに有し、前記保持部は、複数の前記塗布ノズルが配列する方向と前記繰り出し経路とがなす角度が変更自在に前記供給部を保持するように構成されていてもよい。これによれば、フィルタ繊維の開繊幅が変更されたとしても、共通の供給部を用いて液状添加剤をフィルタ繊維に塗布することができる。従って、フィルタ繊維の幅方向における端部領域に液状添加剤が塗布され難くなったり、供給部からの液状添加剤がフィルタ繊維に塗布されずに無駄となってしまうことを抑制できる。
【0016】
また、本発明において、前記塗布装置は、前記供給部から垂下する前記液状添加剤を受け止めるシャッター部と、前記シャッター部を駆動する駆動部と、をさらに有し、前記駆動部によって、前記シャッター部の姿勢が、前記供給部から垂下する前記液状添加剤を受け止める閉姿勢と、前記供給部から垂下する前記液状添加剤を受け止めない開姿勢とに切り替えられるように構成されていてもよい。
【0017】
これによれば、例えば、塗布装置によってフィルタ繊維に液状添加剤を塗布する際にはシャッター部の姿勢を開姿勢に維持することでフィルタ繊維への液状添加剤の供給を阻害しないようにできる。一方、塗布装置による液状添加剤の塗布を停止する際にはシャッター部の姿勢を開姿勢から閉姿勢に応答よく切り替えることができるため、液状添加剤がフィルタ繊維上に垂れ続けてしまうことを抑制できる。
【0018】
また、本発明において、前記繰り出し経路における前記塗布装置の後段に設けられ、前記フィルタ繊維をロッド状に成形する成形部をさらに備え、前記供給部は前記成形部の直上流に配置されていてもよい。
【0019】
また、本発明において、前記塗布装置は、前記液状添加剤を貯留する貯留部と、前記貯留部と前記供給部とを接続する接続配管と、前記貯留部に付設され、該貯留部に貯留されている前記液状添加剤を前記接続配管に圧送する圧送手段と、をさらに備えていてもよい。これによれば、液状添加剤の粘度が高い場合においても、安定して供給部に液状添加剤を供給することができる。
【0020】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シガレットフィルタの製造過程において、たとえ粘度の高い液状添加剤をフィルタ繊維に供給する場合においても、シガレットフィルタを安定して製造することのできるシガレットフィルタの製造装置および製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るシガレットフィルタの製造装置および製造方法の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るフィルタ製造装置1の概略構成を示す図である。フィルタ製造装置1は、シガレットフィルタを製造する製造装置である。
【0025】
図1に示されるように、フィルタ製造装置1は、一例として、トウ処理装置100と、トウ処理装置10の後段に配置されたロッド成形装置20と、ロッド成形装置20の後段に配置されたラップ装置30とを備えている。
【0026】
トウ処理装置10は、例えばセルロースアセテート繊維等のフィルタ繊維からなるトウ2を収容、貯蔵する貯蔵容器11を備え、貯蔵容器11からは繰り出し経路3が延びている。トウ2は、貯蔵容器11から繰り出し経路3に沿って連続的に繰り出し可能である。また、貯蔵容器11内におけるトウ2は、フィルタ繊維が塊状にまとめられ、圧縮された状態で貯蔵されている。
【0027】
繰り出し経路3上には、貯蔵容器11から、一次バンディングジェット12、ガイドローラ13、一対のプレテンションローラ14、一対のブルーミングローラ15、二次バンディングジェット16、および、一対の送出ローラ17が順次配置されている。繰り出し経路3は、一対の送出ローラ17の前方(繰り出し経路3におけるトウ2の繰り出し方向下流側)には、ロッド成形装置20のスタファージェット21が配置されている。また、繰り出し経路3における二次バンディングジェット16と一対の送出ローラ17との間には、トウ2に可塑剤の一例であるトリアセチンを噴射するスプレーノズル18が設けられている。さらに、一対の送出ローラ17とスタファージェット21との間には、液状添加剤塗布装置40の供給部41が配置されている。液状添加剤塗布装置40は、粘度の高い液状添加剤をトウ2に塗布するための装置である。
【0028】
一対の送出ローラ17が図示しない駆動源によって駆動されると、貯蔵容器11からトウ2が繰り出し経路3に沿って連続的に繰り出される。また、一次バンディングジェット13および二次バンディングジェット16は、繰り出し経路3における下流側、すなわちトウ2の繰り出し方向前方に向けて圧縮空気を噴出する。貯蔵容器11から繰り出されたトウ2が一次バンディングジェット13を通過するとき、一次バンディングジェット13から噴出された圧縮空気は、トウ2のフィルタ繊維同士の間隔を開く(開繊する)とともに、トウ2の縮れ(クリンプ)を適度に引き伸ばす。
【0029】
プレテンションローラ14は、一対のブルーミングローラ15と協働して、トウ2に所定の張力を与え、トウ2の縮れを更に引き伸ばす。例えば、プレテンションローラ14およびブルーミングローラ15は周速度が異なっており、この周速度の相違により、トウ2に張力を与えて引き伸ばしている。ブルーミングローラ15は、繊維同士の間隔が開かれたトウ2を二次バンディングジェット16に向けて送る。
【0030】
二次バンディングジェット16は、トウ2の束に向けて圧縮空気を噴出し、繊維同士の間隔をさらに広げる。この結果、トウ2の束は繰り出し経路3の幅方向に拡がり、トウ2は平坦な帯状に形成される。
【0031】
二次バンディングジェット16を通過した後、帯状のトウ2は、繰り出し経路3に設置されたスプレー添加ユニット(図示せず)中のスプレーノズル18から霧化されたトリアセチンが散布される。スプレーノズル18は、図示しない噴射孔から圧縮した空気やガス等を用いて液状のトリアセチンを霧化した状態で噴射する。スプレーノズル18によってトリアセチンが表面に散布された帯状のトウ2は、続いて、一対の送出ローラ17間を通過する。また、スプレーノズルを設置する代わりに一対の送出ローラ17によってトウ2に液状のトリアセチンを塗布してもよい。この場合、例えば一対の送出ローラ17に液状のトリアセチンを予め転写しておき、一対の送出ローラ17で帯状のトウ2を送り出す際にトリアセチンを送出ローラ17からトウ2に塗布してもよい。
【0032】
トリアセチンが添加された帯状のトウ2には、トリアセチンによるフィルタ繊維の溶解効果によって粘着性が付与される。隣接したフィルタ繊維同士の間には、粘着力によって結合した結合点が複数個所に形成される。送出ローラ17は、トウ2をロッド成形装置20のスタファージェット21に向かって送出する。帯状のトウ2がスタファージェット21に到達する直前、即ち、繰り出し経路3におけるスタファージェット21の直上流において、トウ2の上面に液状添加剤塗布装置40が液状添加剤の一例としての増粘剤溶液を塗布する。なお、液状添加剤塗布装置40の詳細については後述する。
【0033】
ロッド成形装置20は、空気とともにトウ2をトング22に向けて送るスタファージェット21、トウ2をロッド状に成形するトング22、スタファージェット21およびトング22の間の位置に設けられた収束ガイド(トランペットガイド)23等を備える。収束ガイド23は略漏斗形をなしており、スタファージェット21から送られたトウ2をトング22に向けて案内しつつ、トウ2をある程度収束させる。トング22は、全体としてテーパ形状をなしており、収束ガイド23から送られたトウ2をさらに圧縮し、トウ2を棒状のロッド部材として成形する。
【0034】
ラップ装置30は、ロッド成形装置20の後段に配置されており、ロッド状に成形されたトウ2がロッド成形装置20から供給される。ラップ装置30において、ロッド部材として成形されたトウ2に巻取紙が接着されることで、フィルタロッドFRが得られる。ラップ装置30には、カッター31が併設されており、ラップ装置30から連続的に送出されるフィルタロッドFRの連続体がカッター31によって切断されることで、所定の長さのフィルタロッドFRが得られる。
【0035】
次に、トウ処理装置10が備える液状添加剤塗布装置40の構成について説明する。
図2は、実施形態1に係る液状添加剤塗布装置40の概略構成を示す図である。液状添加剤塗布装置40は、増粘剤溶液を貯蔵する貯蔵ホッパー42、貯蔵ホッパー42に貯蔵されていた増粘剤溶液が供給されると共に繰り出し経路3を搬送されている帯状のトウ2の上面に増粘剤溶液を供給する供給部41、貯蔵ホッパー42および供給部41を接続する接続配管43、接続配管43に設置される開閉弁44、貯蔵ホッパー42と接続配管43との接続部に付設される圧送ポンプ45、シャッター部46等を備える。なお、
図1においては開閉弁44および圧送ポンプ45の図示を省略している。本実施形態において、貯蔵ホッパー42が本発明における貯蔵部に相当し、圧送ポンプ45が本発明における圧送手段に相当する。
【0036】
貯蔵ホッパー42に貯蔵されている増粘剤溶液は、例えば、プロピレングリコールと、グリセリンと、増粘剤とを含有する溶液である。増粘剤溶液がプロピレングリコールを含有することで、シガレットの主流煙に含まれる所定の成分、例えばフェノールを喫煙時に選択的に除去することができる。一方で、香気成分の一つであるリモネンは除去されずにフィルタを通過する。プロピレングリコールは市販のものを用いることができる。また、増粘剤溶液がグリセリンを含有することで、増粘剤溶液に含まれるプロピレングリコールが、シガレットの蔵置中に揮発して消失することを防ぐことができる。グリセリンは市販のものを用いることができる。さらに、増粘剤溶液が増粘剤を含有することで、増粘剤溶液がフィルタから移動して漏出することを防止でき、それによってシガレットの外観を良好に保つことができる。ただし、増粘剤溶液の種類は、上記の例に限定されない。また、増粘剤溶液の粘度についても特に限定されないが、例えば、増粘剤溶液がフィルタから移動して漏出することを防止する観点からは2500cP(センチポアズ)以上とすることが好ましく、3500cP以上とすることがより好ましい。また、増粘剤溶液は10000cP以下としてもよい。
【0037】
また、増粘剤の種類は特に制限されない。例えば、増粘剤として、キサンタンガム、ゲランガム、サイリウムシードガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、アガロース、プルラン、アルギン酸、ポリアクリル酸、およびこれらのアルカリ金属塩ないしアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0038】
また、
図2に示す符号50はフィルタ製造装置1の制御部であり、フィルタ製造装置1全体の動作を制御するコンピュータである。開閉弁44は、例えば電動弁や電磁弁等である。なお、液状添加剤塗布装置40は、開閉弁44を備えていなくてもよい。また、圧送ポンプ45は、例えば、モーノポンプ等の定量移送ポンプであってもよい。圧送ポンプ45が作動すると、貯蔵ホッパー42に貯蔵されている増粘剤溶液を接続配管43に圧送し、その結果、供給部41に増粘剤溶液が供給される。シャッター部46は所謂樋形状を有する部材であり、併設されるシャッター駆動部46Aによってその姿勢を開姿勢と閉姿勢に変更することができる。また、符号47は、供給部41を保持するための保持部である。
【0039】
フィルタ製造装置1の制御部50は、トウ処理装置10の送出ローラ17の駆動部(図示せず)、液状添加剤塗布装置40の開閉弁44、圧送ポンプ45、シャッター駆動部46A等と電気配線を介して接続されており、制御信号を各機器に出力することで、これらの動作を制御する。
【0040】
図2に示す符号48は塗布ノズルである。供給部41は、複数の塗布ノズル48を有する。塗布ノズル48は、供給部41の底面41Aから下方に突出した筒状のノズルであり、各塗布ノズル48は、供給部41に供給された増粘剤溶液を外部に垂らすための塗布口を有している。供給部41は略直方体形状を有しており、その底面41Aの幅方向に複数の塗布ノズル48が一直線に並んで配置されている。
【0041】
図3に、実施形態1に係る供給部41の底面41Aを部分的に示す。図示のように、複数の塗布ノズル48が供給部41の幅方向に沿って一直線の列状に並んで配置されており、櫛形多連ノズルを形成している。また、各塗布ノズル48は、供給部41の幅方向に沿って一定間隔で配置されている。
図3の符号48Aは、増粘剤溶液を外部に吐出するための開口部である塗布口であり、この塗布口48Aを通じて供給部41の内外が連通している。なお、本実施形態において、各塗布ノズル48を形成する筒体の軸線方向は全て一致しており、底面41Aに対して垂直となっている。
【0042】
次に、実施形態1に係る液状添加剤塗布装置によって帯状のトウ2(フィルタ繊維)に増粘剤溶液を塗布する塗布方法の詳細について説明する。
図1に示したように、液状添加剤塗布装置40の供給部41は、トウ2(繰り出し経路3)の上部に配置されている。液状添加剤塗布装置40の供給部41は、送出ローラ16とスタファージェット21との間に配置されているため、供給部41は、帯状に成形されたトウ2の上方に配置されている。また、塗布ノズル48の塗布口48Aは、トウ2の上面から離れた状態(非接触の状態)でトウ2の上面に対向配置されている。
【0043】
図4に、実施形態1の供給部41に設けられる塗布ノズル48の配列方向と、繰り出し経路3の進行方向との関係を概略的に示す。塗布ノズル48は、繰り出し経路3の進行方向と直交する方向に沿って配列している。つまり、複数の塗布ノズル48は、繰り出し経路3の幅方向、即ち、帯状に成形されたトウ2の幅方向に沿って配列している。
【0044】
次に、帯状のトウ2に増粘剤溶液を塗布する際の液状添加剤塗布装置40の動作を説明する。フィルタ製造装置1の稼働中は、常に繰り出し経路3に沿ってトウ2が繰り出されるため、液状添加剤塗布装置40によってトウ2に増粘剤溶液を連続的に塗布する。制御部50は、フィルタ製造装置1の稼働開始時に、一対の送出ローラ16の駆動部に駆動信号を出力し、これによって、繰り出し経路3に沿ったトウ2の搬送が開始される。さらに、制御部50は、シャッター機構46のシャッター駆動部46Aに開信号を送る。これにより、シャッター駆動部46Aがシャッター部46を駆動し、シャッター部46の姿勢が閉姿勢から開姿勢に切り替えられる。
【0045】
図5Aは、実施形態1に係るシャッター部46の閉姿勢を説明する図である。
図5Bは、シャッター部46の開姿勢を説明する図である。シャッター駆動部45Aは、シャッター部46の姿勢(位置)を、
図5Aに示す閉姿勢(閉位置)と
図5Bに示す開姿勢(開位置)とに切り替えることができる。シャッター部46が閉姿勢にあるときは、塗布ノズル48における塗布口48Aから吐出される増粘剤溶液を受け止めるように、該塗布口48Aの下方にシャッター部46が配置される(
図5A)。一方、シャッター部46が開姿勢にあるときは、シャッター部46が開位置から略90°回動した状態となる。これにより、塗布ノズル48における塗布口48Aの下方からシャッター部46が待避する(
図5B)。
【0046】
フィルタ製造装置1の稼働開始時において、制御部50は、液状添加剤塗布装置40の開閉弁44および圧送ポンプ45に制御信号を出力し、開閉弁44を開弁させると共に圧送ポンプ45を作動させる。これにより、貯蔵ホッパー42に貯蔵されている増粘剤溶液の供給部41への圧送が開始される。なお、本実施形態のフィルタ製造装置1に、送出ローラ17の回転数を検出するロータリーエンコーダ(図示せず)を備えておき、制御部50は、ロータリーエンコーダの出力信号に基づいて送出ローラ17の回転数を取得してもよい。そして、制御部50は、送出ローラ17の回転数に基づいて送出ローラ17によるトウ3の繰り出しを検知したことを契機として、液状添加剤塗布装置40の開閉弁44、圧送ポンプ45、およびシャッター駆動部46Aを上記のように制御してもよい。
【0047】
接続配管43を通じて供給部41に供給された増粘剤溶液は、各塗布ノズル48の筒体内に分配された後、塗布口48Aから外部に吐出される。増粘剤溶液は、増粘剤を含んでいるため、可塑剤などに比べて非常に粘度が高い高粘度液状添加剤といえる。このような高粘度を有する増粘剤溶液を考慮し、本実施形態では、繰り出し経路3を繰り出される帯状のトウ2(フィルタ繊維)の上部であって該トウ2と離れた位置に配置される供給部41から、下方に位置するトウ2の上面に対して増粘剤溶液を連なった状態で連続的に垂らすことで、増粘剤溶液をトウ2に塗布するようにした。ここで、「増粘剤溶液を連なった状態で連続的に垂らす」とは、
図6に示すように、各塗布ノズル48の塗布口48Aからポンプ圧によって連続的に押し出された増粘剤溶液が重力によって下方のトウ2上面に向かって垂下(落下)する際、増粘剤溶液がトウ2の上面に到達するまで途切れずに連なっていることを指す。なお、
図6においては、塗布ノズル48から垂らされる増粘剤溶液の態様をより理解しやすくする意図で、トウ2の上面と塗布ノズル48における塗布口48Aとの距離を大きくしている。なお、塗布ノズル48の塗布口48Aから増粘剤溶液が垂下する際、増粘剤溶液が鉛直下方に落下してもよいし、斜めに落下してもよい。繰り出し経路3に沿って搬送されるトウ2の上面に塗布された増粘剤溶液の粘着性によって落下中の増粘剤溶液が引っ張られ、塗布ノズル48の塗布口48Aから斜め下方に垂れる態様も想定される。
【0048】
液状添加剤塗布装置40によれば、増粘剤溶液のように、たとえ粘度の高い液状添加剤をトウ2に供給する場合においても、供給部41(塗布ノズル48の塗布口48A)がトウ2と離反した状態、即ち非接触の状態で多量の増粘剤溶液をトウ2に塗布することができる。そのため、増粘剤溶液の粘着性に起因してトウ2のフィルタ繊維が供給部41側に引っ付くような不都合が生じない。よって、繰り出し経路3に沿ったトウ2の送出を安定して行うことが可能である。
【0049】
本実施形態に係る増粘剤溶液の塗布方法によれば、トウ2の上面に対して増粘剤溶液を連なった状態で連続的に垂らしながら塗布するため、上述したスプレー方式のように増粘剤溶液を霧化した状態で散布する必要がない。そのため、繰り出し経路3に沿って繰り出されているトウ2の姿勢が圧縮空気や圧縮ガスなどの影響を受けて大きくばたついたり、帯形状の維持が困難になることを抑制できる。その結果、フィルタ製造装置1を用いてシガレットフィルタを安定して製造できる。
【0050】
また、本実施形態においては、塗布ノズル48が、供給部41の底面41Aから下方に向かって突出している。そのため、たとえ増粘剤溶液の粘度が高くても、隣接する塗布口48Aから吐出された増粘剤溶液同士が互いにくっつき合ってしまい、これによって液溜まりが底面41Aに形成されることを抑制できる。よって、トウ2の上面に安定して増粘剤溶液を塗布できるようになる。また、供給部41の底面41Aから突出する塗布ノズル48の塗布口48Aから増粘剤溶液を垂らすことで、所期の方向に精度よく増粘剤溶液を垂らすことができる。つまり、塗布ノズル48から増粘剤溶液を垂らす際の方向性がよくなるため、隣接する塗布ノズル48から吐出された増粘剤溶液同士がくっつきあうことの抑制効果も期待できる。但し、本実施形態では、供給部41の底面41Aに直接塗布口を穿設し、その塗布口から増粘剤溶液を吐出する構造を採用してもよい。また、塗布ノズル48における塗布口48Aを囲む外周部の端面(以下、「ノズル先端面」という)への増粘剤溶液の付着、液溜まりを抑制する観点から、塗布ノズル48の先端部の肉厚(先端面の径方向の寸法)は薄いほうが好ましい。
【0051】
また、
図4で説明したように、液状添加剤塗布装置40の供給部41における塗布ノズル48は、繰り出し経路3の幅方向、即ち、帯状に成形されたトウ2の幅方向に沿って配列されている。そのため、スプレー方式のように増粘剤溶液を霧化させることなく、トウ2の上面に増粘剤溶液を均一に塗布できる。特に、本実施形態では、供給部41の底面41Aには、複数の塗布ノズル48が一定間隔で配置されている。そのため、
図7に示すように、トウ2の幅方向の一定間隔ごとに、トウ2の長尺方向(繰り出し方向3)に沿って増粘剤溶液を連続的に塗布できる。これによれば、トウ2の上面に塗布される増粘剤溶液のトウ2の幅方向における均一性をさらに向上させることができる。
【0052】
なお、
図4に示したように、本実施形態では、供給部41に一直線で配列される複数の塗布ノズル48のうち両端に位置するノズル(以下、「端部ノズル」という)同士の距離(以下、「ノズル配列幅」という)がトウ2の開繊幅に対して過度に小さ過ぎたり大き過ぎたりしないようにトウ2の開繊幅に応じて調整すると共に、端部ノズルをトウ2の幅方向における端部近傍に位置を合わせている。これによれば、トウ2の開繊幅に対してノズル配列幅が小さ過ぎないため、トウ2の幅方向における端部領域に増粘剤溶液が塗布されなくなるという事態を回避できる。また、トウ2の開繊幅に対してノズル配列幅が大き過ぎないため、塗布ノズル48から吐出された増粘剤溶液がトウ2に塗布されずに無駄となってしまうことを抑制できる。
【0053】
また、トウ2に塗布する増粘剤溶液の均一性を向上する観点によれば、供給部41に設けられる複数の塗布ノズル48の間隔(以下、「ノズル間隔」という)は小さい方が好ましい。但し、ノズル間隔を狭くし過ぎると、隣接する塗布ノズル48から吐出された増粘剤溶液同士がくっついてしまい、かえってトウ2の上面に塗布された増粘剤溶液の均一性が悪化する虞がある。そこで、塗布ノズル48におけるノズル間隔は、隣接する塗布ノズル48から塗布される増粘剤溶液同士が互いにくっつかない範囲で、可及的にノズル間隔を小さくするとよい。なお、塗布ノズル48の形状、寸法などは特に限定されない。ここで、一例として、各塗布ノズル48におけるノズル間隔は1〜20mm程度の範囲から選択、決定してもよい。また、塗布ノズル48における塗布口48Aの口径は、例えば0.1〜2mm程度の範囲から選択、決定してもよい。また、液状添加剤塗布装置40の接続配管43の長さについてはできるだけ短くすることが好ましい。このように接続配管43の長さを短くすることで、制御部50から圧送ポンプ45に停止信号が出されてから圧送ポンプ45の圧が抜けるまでに供給部41に送られる増粘剤溶液の供給量を少なくできるという利点がある。
【0054】
また、本実施形態に係る液状添加剤塗布装置40は、圧送ポンプ45を貯蔵ホッパー42に付設し、貯蔵ホッパー42に貯蔵されている増粘剤溶液を接続配管43に圧送する構造とした。これによれば、粘度の高い増粘剤溶液を安定して供給部41に供給することができる。即ち、例えば接続配管43の途中に圧送ポンプを設置した場合、増粘剤溶液の流動性が乏しいことに起因して、接続配管43における貯蔵ホッパー42と圧送ポンプとの間の区間が閉塞したり、逆に貯蔵ホッパー42から当該区間に増粘剤溶液が流入しなくなることで、供給部41に増粘剤溶液を安定して供給することが困難となる虞がある。これに対して、圧送ポンプ45を接続配管43の途中に設けるのではなく貯蔵ホッパー42に付設することで、圧送ポンプ45のポンプ圧を接続配管43全体にかけることができる。そのため、増粘剤溶液の粘度が高くても、接続配管43における貯蔵ホッパー42と圧送ポンプとの間の区間が閉塞したり当該区間への増粘剤溶液の補充がなされなくなることを抑制できる。その結果、貯蔵ホッパー42から供給部41への増粘剤溶液の供給を安定して行うことができる。但し、接続配管43の途中に圧送ポンプを設置することが阻害されるものではない。
【0055】
また、本実施形態においては、液状添加剤塗布装置40の供給部41を、ロッド成形装置20のスタファージェット21や収束ガイド23の直上流に配置するようにした。このように供給部41を、トウ処理装置10の送出ローラ16よりも繰り出し経路3において下流側に配置することで、トウ2に塗布された増粘剤溶液がローラ部材に付着することを抑制できる。また、スタファージェット21や収束ガイド23の直上流に供給部41を配置したので、増粘剤溶液が塗布された直後にトウ2をロッド成形装置20に受け渡すことができるため、増粘剤溶液の重みに起因するトウ2の下方への撓みを軽減することができ、繰り出し経路3に沿ったトウ2の送出を安定して行うことができる。
【0056】
なお、塗布ノズル48の塗布口48Aとトウ2との間の垂直離間距離は、少ないほうが好ましい。塗布ノズル48とトウ2との垂直離間距離が大きくなりすぎると、塗布口48Aから吐出された増粘剤溶液が落下している最中に、隣接する塗布口48Aから吐出された増粘剤溶液とくっつき、一体化しやすくなるからである。但し、塗布ノズル48の塗布口48Aとトウ2との間の垂直距離を小さくしすぎると、送出ローラ16より送り出されるトウ2が上下にばたついた際に、トウ2の上面に塗布ノズル48が接触する虞がある。そこで、塗布ノズル48の塗布口48Aとトウ2との間の垂直距離は、繰り出し経路3に沿って繰り出されるトウ2が多少ばたついてもその上面に塗布ノズル48が接触しない範囲において小さく設定することが好ましい。また、トウ2のばたつきを抑えるための抑えガイドをトウ2の上部に設置してもよい。つまり、繰り出し経路3を繰り出されるトウ2が上下にばたついた際に、この抑えガイドによってトウ2の上面を抑えることで、塗布ノズル48にトウ2の上面が接触することを抑制できる。なお、上記抑えガイドは、繰り出し経路3において塗布ノズル48が配置される位置の近傍に設けることが好ましく、塗布ノズル48が配置される位置の直上流に設置することが特に好ましい。
【0057】
制御部50は、例えばフィルタ製造装置1を停止させる際に、液状添加剤塗布装置40にトウ2への増粘剤溶液の塗布を停止させる。すなわち、制御部50は、液状添加剤塗布装置40の開閉弁44および圧送ポンプ45に制御信号を出力し、開閉弁44を閉弁させると共に圧送ポンプ45を停止させる。さらに、制御部50は、シャッター部46のシャッター駆動部46Aに閉信号を送る。これにより、シャッター駆動部46Aがシャッター部46を駆動し、シャッター部46の姿勢が開姿勢から閉姿勢に切り替えられる。これにより、塗布ノズル48における塗布口48Aから吐出される増粘剤溶液を受け止めるように、シャッター部46が塗布口48Aの下方に移動するため、圧送ポンプ45を停止させ後に惰性で塗布口48Aから増粘剤溶液が垂れ続けてしまうことを抑制できる。なお、そして、制御部50は、ロータリーエンコーダの信号に基づいて送出ローラ17の回転数が所定回転数以下になったことを検知したことを契機に、開閉弁44を閉弁させると共に圧送ポンプ45を停止させ、シャッター部46の姿勢を開姿勢から閉姿勢に切り替えてもよい。
【0058】
<変形例>
次に、実施形態の各変形例について説明する。
図8は、第1変形例に係るトウ処理装置10を説明する図である。第1変形例に係るトウ処理装置10は、繰り出し経路3に沿って進行方向に繰り出されるトウ2の撓みを抑制するための第1支持ガイド18Aおよび第2支持ガイド18Bを備えている。第1支持ガイド18Aは、繰り出し経路3上において、液状添加剤塗布装置40の供給部41とロッド成形装置20のスタファージェット21との間に配置されており、より具体的には供給部41の直下流に配置されている。また、第2支持ガイド18Bは、繰り出し経路3上において送出ローラ16と供給部41との間に配置されており、より具体的には供給部41の直上流に配置されている。第1支持ガイド18Aおよび第2支持ガイド18Bは、トウ2の下面に対向配置される支持面を有しており、この支持面によってトウ2を支持することでトウ2の撓みを抑制している。
【0059】
第1支持ガイド18Aによれば、増粘剤溶液が塗布されることで重くなったトウ2を支持するため、増粘剤溶液の重みに起因するトウ2の下方への撓みを軽減することができ、ロッド成形装置20のスタファージェット21にトウ2を安定して供給することができる。また、第2支持ガイド18Bによって、増粘剤溶液が塗布される直前のトウ2の下面を下方から支えることで、塗布ノズル48における塗布口48Aからトウ2までの距離を設定寸法が大きくずれることを抑制できる。これにより、塗布ノズル48の塗布口48Aにトウ2の上面が接触したり、逆に、塗布ノズル48における塗布口48Aとトウ2との距離が大きくなりすぎることに起因して隣接する塗布ノズル48から吐出された増粘剤溶液同士が垂下途中でくっつきあい、一体化することを抑制できる。
【0060】
図9は、第2変形例に係る液状添加剤塗布装置を説明する図である。第2変形例に係る液状添加剤塗布装置は、供給部41における複数の塗布ノズル48が配列する方向(以下、「ノズル配列方向」という)と繰り出し経路3の進行方向とがなす角度(以下、「ノズル配列角度」という)を変更自在に、保持部47が供給部41を保持している。
図8の(a)においては、繰り出し経路3の進行方向に対してノズル配列方向が直交しているのに対して、(b)においては、繰り出し経路3の進行方向に対してノズル配列方向が斜めに傾斜している。本変形例によれば、ノズル配列方向と繰り出し経路3の進行方向とがなす角度をトウ2の開繊幅に応じて変更することができる。
図8に示す例では、(a)に示す帯状のトウ2の開繊幅W1に比べて、(b)に示す帯状のトウ2の開繊幅W2は狭い。そして、(a)、(b)に示す供給部41は共通(兼用、同一)の部材であり、保持部47によってノズル配列角度だけが相違している。
【0061】
ここで、トウ2の開繊幅は、トウ2の種類、トウ処理装置10の各諸条件によって変化なし得る。本変形例によれば、繰り出し経路3の幅方向に沿った端部ノズル同士の離間寸法をトウ2の開繊幅に合わせて適切な距離に変更することができる。その結果、例えばシガレットフィルタの製造に関する仕様変更などに伴ってトウ2の開繊幅が変更されたとしても、共通の供給部41を用いて増粘剤溶液をトウ2に塗布することができる。すなわち、トウ2の幅方向における端部領域に増粘剤溶液が塗布され難くなったり、塗布ノズル48から吐出された増粘剤溶液がトウ2に塗布されずに無駄となってしまうことを抑制できる。なお、本実施形態における液状添加剤塗布装置40において、供給部41は1箇所に設けられているが、繰り出し経路3に沿って複数の位置に供給部41を多段配置してもよい。
【0062】
また、
図10は、第3変形例に係る液状添加剤塗布装置40における供給部41の下面図である。第3変形例に示すように、供給部41の下面41Aには、上述までの塗布ノズル48が設けられていなくてもよい。本変形例では、供給部41の下面41Aに、増粘剤溶液を外部に垂らすスリット状の開口部が塗布口41Bとして形成されている。
図10に示す供給部41は、底面41Aの幅方向に沿って、塗布口41Bが幅広に伸びている。
図11は、変形例3に係る供給部41によってトウ2の上面に増粘剤溶液を塗布する態様を説明する図である。供給部41における塗布口41Bの幅寸法は、帯状のトウ2が供給部41に到達する際の開繊幅に概ね対応しており、開繊幅より若干狭い寸法に設定されている。本変形例に係る増粘剤溶液の塗布方法においても、繰り出し経路3に沿って繰り出されている帯状のトウ2の上面に対して、トウ2と所定寸法だけ離れた上方位置から増粘剤溶液を連なった状態で垂下(落下)させ、トウ2の上面へ増粘剤溶液を連続的に垂らしながら塗布する。このようにすることにより、従来のロール転写方式やスプレー方式で増粘剤溶液をトウ2に供給する際の不都合を解消し、その結果、フィルタ製造装置1を用いたシガレットフィルタの安定的な製造が実現される。また、
図10で説明した第3変形例に係る供給部41の他の形態として、
図12に示すように、供給部41の下面41Aに形成されるスリット状の開口部の周囲に扁平状の塗布ノズル48を突設させてもよく、この塗布ノズル48の塗布口48Aから、増粘剤溶液を垂らす構造としてもよい。
【0063】
また、
図13は、第4変形例に係る液状添加剤塗布装置40を示す図である。第4変形例に係る液状添加剤塗布装置40は、貯蔵ホッパー42の貯蔵室内全体を加圧する圧送ポンプ45A(圧送手段)を貯蔵ホッパー42に付設してもよい。このように、貯蔵ホッパー42の貯蔵室内全体を加圧するポンプを、制御部50からのポンプ停止信号が出されてからポンプ圧が逃げるまでに時間を要する場合があるため、接続配管42に開閉弁44を設置しておくことが好ましい。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、実施形態には、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。