(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体の吸込口から吸込んだ空気に含まれる塵埃を捕集するフィルタを備えた空気調和機において、前記フィルタを移動させてブラシにより埃を取るフィルタ清掃装置であって、前記ブラシに対向する回動可能なフィルタ押え部材と、前記フィルタ押え部材の両端部には前記フィルタを移動させるギアとを有し、前記フィルタ押え部材は、複数の孔あるいはスリットを有する円筒形部材から構成され、前記複数の孔あるいはスリットが前記吸込口から筐体内の熱交換器に向かう空気を通す通気部を備え、前記ギアと共に回動して前記フィルタを移動させるように構成することを特徴とするフィルタ清掃装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種のフィルタ清掃装置を備えた空気調和機においては、一般的に、熱交換器と吸込口の間にフィルタ清掃装置が配置される。フィルタ清掃装置には、ブラシに対向して回転可能なフィルタ押え部材が設けられる。フィルタ押え部材は、軸方向に長い円筒状に形成され、熱交換器の前方に配置される。このようなフィルタ押え部材によって、熱交換器への空気通路が塞がれることになる。すなわち、フィルタ清掃装置が吸込口から熱交換器に至る空気通路を狭めてしまうことになる。
【0009】
空気通路が狭くなることにより、空気調和機の吸込み抵抗が増加し、空気調和機の送風性能低下につながる可能性が高い。特に、フィルタ清掃装置の下流側にある熱交換器は、上部に多くの構造部材が存在するために空気の通路が妨げられ、熱交換性能が低下する可能性が高くなる。
【0010】
本発明は、上記に鑑み、空気調和機の吸込み抵抗が増加しないように空気通路を広げた構造を有するフィルタ清掃装置、及びそれを備えた空気調和機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、筐体の吸込口から吸込んだ空気に含まれる塵埃を捕集するフィルタを備えた空気調和機において、前記フィルタを移動させてブラシにより埃を取るフィルタ清掃装置であって、前記ブラシに対向する回動可能なフィルタ押え部材を有し、前記フィルタ押え部材に、前記吸込口から筐体内の熱交換器に向かう空気を通すための通気部が形成されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、フィルタ押え部材が吸込口から熱交換器に向かう空気を通すための通気部を形成しているので、吸込み抵抗の増加を抑制し、吸い込まれた空気が通る空気通路が拡大する。
【0013】
前記フィルタ押え部材は、回転軸が中心軸となる複数の同一円板形部材から構成され、複数の円板形部材間の空間が通気部である構成が好ましい。このような構成とすることで、円板形部材間の空間が通気部となり、吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0014】
また、フィルタが挿入されフィルタを移動案内する案内路を備え、前記案内路には、その熱交換器側に縦横に格子状に形成された格子部を有し、該格子部の縦桟と前記円板形部材の側面とが重なるように配置された構成が好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、格子状の縦桟および横桟からなる格子部の縦桟に合わせて円板形部材を配置しているので、もともと通風抵抗があった場所に重なるように円板形部材が配置される。これにより、円板形部材により空気通路を塞ぐ面積を小さくすることができ、吸込み抵抗をより少なくできる。
【0016】
さらに、前記円板形部材の側面の厚みは、前記格子部を形成する縦桟の幅より小さいことが好ましい。このような構成とすることで、フィルタ押え部材によって空気通路を塞ぐことがなくなるので、吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0017】
また、他の例として、前記フィルタ押え部材は、複数の孔あるいはスリットを有する円筒形部材から構成され、前記複数の孔あるいはスリットが前記通気部を構成するようにしてもよい。このような構成とすることで、フィルタ押え部材自身に空気通路ができるため吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0018】
さらに、前記フィルタ押え部材は、周囲に螺旋状に形成された複数のスリットを有する螺旋形部材とから構成され、螺旋状の前記スリットが前記通気部を構成するようにしてもよい。このような構成とすることで、螺旋形部材間に空気通路が形成され、吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0019】
前記フィルタ押え部材は、移動する前記フィルタに接触する接触部材を備え、前記接触部材のフィルタに接触する外周面に、フィルタの凹凸に対応する凹凸部が形成されるようにしてもよい。フィルタ清掃装置は、フィルタを清掃するとき、フィルタを移動させる。移動してきたフィルタの凹凸が接触部材の凹凸部に噛み合う。フィルタ押え部材が回転することにより、接触部材はフィルタに移動力を付与し、フィルタがスムーズに移動する。なお、接触部材は、前記円板形部材、円筒形部材、螺旋形部材のいずれかとしてもよい。
【0020】
上記のフィルタ清掃装置を備えた空気調和機では、空気通路の吸込み抵抗が小さくなり、吸込み風量が増加することによって、空気調和機の性能が向上することになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり、本発明によると、フィルタ押え部材に、吸込口から熱交換器に向かう空気を通すための通気部が形成されるため、空気通路の吸込み抵抗が小さくなり、吸込み風量が増加することになり、空気調和機の性能を向上させることができる。
【0022】
そして、フィルタ押え部材の一部である接触部材がフィルタに接触することにより、フィルタに接触しない部分が空気の通る空間となって、空気通路の吸込み抵抗を小さくすることができる。そして、接触部材の外周面に形成された凹凸部がフィルタの凹凸と噛み合うことにより、移動するフィルタに移動力を付与でき、フィルタをスムーズに移動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の空気調和機は、室内ユニットと室外ユニットとが冷媒配管で接続されてなるセパレート型である。
図1〜3に示すように、室内ユニットは、横長直方体形状の筐体1の天面に室内空気を吸込む吸込口2が形成され、筐体1の前面下方の開口に吹出口3が形成されている。筐体1の内部には、吸込口2から吹出口3に至る空気通路8が形成され、この空気通路8に熱交換器4a,4bとファン5が配置されている。吸込口2と熱交換器4a,4bとの間には、吸込口2から熱交換器4a,4bに流れる空気に含まれる塵埃を捕集するフィルタ6が吸込口2の裏面に沿って設けられている。
【0025】
熱交換器4a,4bは、逆V字形に配置され、前側の熱交換器4aと吸込口2との間に、フィルタ清掃装置7が配置される。フィルタ清掃装置7は、フィルタ6が捕集した塵埃を除去するものである。
【0026】
フィルタ清掃装置7は、
図3、4に示すように、フィルタ6を移動させる移動部10と、フィルタ6を清掃する清掃部11と、フィルタ6から除去された塵埃を収容するダストボックス12とを備え、これらがユニットフレーム13に一体的に設けられる。
【0027】
フィルタ6は、ユニットフレーム13に移動可能に保持され、フィルタ6が移動するときには、フィルタ6はユニットフレーム13によりガイドされる。このユニットフレーム13により、着脱可能なフィルタ6を移動可能に保持するフィルタ保持装置が構成される。すなわち、フィルタ清掃装置7はフィルタ保持装置を有するものである。
【0028】
ユニットフレーム13は、
図3に示すように、熱交換器4a,4bの前面から上面までを覆うように筐体1に取り付けられ、筐体1に対して着脱可能とされる。ユニットフレーム13の前方に、開閉可能な前面パネル14が設けられる。前面パネル14は筐体1に着脱可能に取り付けられる。前面パネル14は、筐体1の上部の軸周りに開閉し、前面パネル14が開いたとき、ダストボックス12が現れる。ダストボックス12は、ユニットフレーム13に着脱可能に装着されている。ダストボックス12を取り外したとき、フィルタ6の着脱が可能となる。
【0029】
フィルタ6は、
図7に示すように、メッシュ部20と、メッシュ部20の周囲を取り囲む枠体21とから構成される。そして、メッシュ部20と枠体21とがポリプロピレン樹脂等の合成樹脂により一体的に成形され、枠体21は前後対称かつ左右対称な形状とされる。また、メッシュ部20の形状も前後対称かつ左右対称とされる。したがって、前後左右対称なフィルタ6は、前後のいずれの方向からでも筐体1に装着可能とされる。
【0030】
枠体21は、左右に位置する縦枠21aと前後に位置する横枠21bとから四角形の枠状に形成される。メッシュ部20の裏面に、補強のために縦リブ22aおよび横リブ22bがそれぞれ等間隔に形成されている。メッシュ部20の表面は面一とされる。
【0031】
縦枠21aに、移動部10の回転駆動されるピニオンギア25(
図4参照)に噛み合うラック24が形成される。ラック24は、フィルタ6の裏面側に凸、表面側では凹となるように形成される。また、ラック24は、縦枠21aの前端から後端にかけて形成され、前後いずれの方向からユニットフレーム13に装着されても、ピニオンギア25に噛み合うようになっている。
【0032】
ユニットフレーム13は、
図4〜6及び
図8に示すように、フィルタ6を保持するベース板30と、左右の側枠31とから形成される。ベース板30は、上面から前面にかけて湾曲し、平坦な下面を有する。ベース板30の左右両端に側枠31が一体的に立設される。ベース板30の湾曲部分は開口しており、ベース板30の左右方向(室内ユニットの長手方向)の中央にセンタ枠32が設けられ、開口が2分割される。開口に、縦横の桟33によって格子部34が形成される。格子部34は、熱交換器4a,4bに対向する位置にあり、フィルタ6を通過した空気が熱交換器4a,4bに向かって格子部34を通り抜ける。左右の開口にそれぞれフィルタ6が配される。
【0033】
ユニットフレーム13に、移動するフィルタ6をガイドする案内路35が形成される。
図3に示すように、清掃時に、フィルタ6は、吸込口2と熱交換器4a,4bとの間に装着された装着位置から下に向かって移動し、Uターンして、格子部34に沿って移動し、吸込口2と前側の熱交換器4aとの間に達する。
【0034】
ユニットフレーム13の左右の側枠31およびセンタ枠32に、側面から見てσ形状のガイド溝36が形成され、このガイド溝36に、フィルタ6の縦枠21aがスライド可能に嵌り込む。ガイド溝36およびベース板30の格子部34によって、フィルタ6がUターンするように移動するための案内路35が、ユニットフレーム13の前面から上面にかけての空間に形成される。
【0035】
移動部10は、フィルタ6のラック24に噛み合うピニオンギア25と、ピニオンギア25を回転駆動するステッピングモータ41と、フィルタ6の移動を補助するフィルタ押え部材42とを有する。
【0036】
ユニットフレーム13の側枠31の外面側にステッピングモータ41が取り付けられ、側枠31の内面側にピニオンギア25が回転自在に支持される。センタ枠32にも、ピニ
オンギア25が回転自在に支持される。ステッピングモータ41のモータ軸に取り付けられたギアを介してピニオンギア25に回転駆動力が伝達される。左右のピニオンギア25は、回転軸43によって連結される。回転軸43に、フィルタ押え部材42が取り付けられる。ピニオンギア25の回転に連動して、フィルタ押え部材42も回転する。なお、移動部10は、左右のフィルタ6に対応して、左右一対に設けられる。2つのステッピングモータ41は同期して駆動される。
【0037】
図4〜6に示すように、ベース板30の下面に、ダストボックス12が装着される。ダストボックス12は、左右のフィルタ6に対してそれぞれ設けられる。
図6に示すように、ダストボックス12は、フィルタ6から除去された塵埃を溜める集塵箱45と、湾曲しながら移動するフィルタ6を押えるフィルタガイド46と、フィルタ6の移動をガイドするガイドリブ47とを備えている。
【0038】
清掃部11は、フィルタ6に接触して、塵埃を掻き取る回転ブラシ50と、回転ブラシ50を回転駆動する清掃モータ51とを有する。回転ブラシ50は、ダストボックス12に着脱可能に設けられ、ダストボックス12に回転ブラシ50が一体化されている。
図6に示すように、回転ブラシ50の上方に回転ブラシ50と対向してローラ状のフィルタ押え部材42が配置される。
【0039】
集塵箱45は、フィルタ押え部材42の下方に配置される。集塵箱45は、上面が開放された箱状に形成され、上面に塵埃が出入りする開口が形成される。この開口は通過するフィルタ6に面している。
【0040】
図6に示すように、集塵箱45の前側の上部に、フィルタガイド46が設けられる。フィルタガイド46の下部が集塵箱45の上部に差し込まれることにより、フィルタガイド46は集塵箱45に固定される。フィルタガイド46は、集塵箱45に対して取り外し可能とされる。そして、フィルタガイド46は、フォルタ押え部材42の前方に位置して、ユニットフレーム13の前面に沿って移動するフィルタ6の前面を覆う。前面パネル14を開いたとき、フィルタ6はフィルタガイド46に隠される。したがって、前面パネル14が開かれてもフィルタ6が露出しないので、フィルタ6に付着した塵埃が飛散することを防げる。
【0041】
フィルタガイド46のフィルタ6に対向する後面に、補助ガイドリブ48が形成される。補助ガイドリブ48は、案内路35のUターン部の前側部分に位置して、上下方向にフィルタ押え部材42の外周面に沿って湾曲するように形成される。複数の補助ガイドリブ48が、左右方向に間隔をおいて配置される。
【0042】
ガイドリブ47は、集塵箱45に開閉自在に設けられる。ガイドリブ47は、案内路35のUターン部の下側部分に位置して、前後方向に形成される。複数のガイドリブ47が左右方向に間隔をおいて配置される。左右方向の両側にあるガイドリブ47はピニオンギア25に対向し、中央にある複数、ここでは3つのガイドリブ47はフィルタ押え部材42に対向し、各ガイドリブ47が集塵箱45に対して閉じた状態にあるとき、ガイドリブ47の上面が凹状に湾曲するように形成される。
【0043】
図4及び
図8に示すように、フィルタ押え部材42は、回転ブラシ50と対向して、回転ブラシ50の上方に配置される。フィルタ押え部材42は、回転軸43に固定され、回転可能に配置されている。フィルタ押え部材42は、案内路35のUターン部の内側に位置して、フィルタ押え部材42を外周側から覆うように配置されたフィルタガイド46およびガイドリブ47との間で、フィルタ6の移動をガイドすると共に、フィルタ6を回転ブラシ50側に押圧する。
【0044】
フィルタ押え部材42は、
図12(a)に示すように、回転軸43に取り付けられた複数の円板形部材51から構成される。複数の円板形部材51は所定間隔をおいて軸方向に並べて配置される。円板形部材51は、フィルタ6に接触する接触部材である。隣り合う円板形部材51間に空間が形成される。隣り合う円板形部材51の間は、回転軸43を除いて円板形部材51の存在しない空間であり、この空間が吸込口から熱交換器4a,4bに向かう空気を通すための通気部52とされる。通気部52を通じて吸込口2から熱交換器4に向かう空気が流通可能とされる。この通気部52が形成されることにより、吸込口2から前側の熱交換器4aに向かう空気通路8が広げられる。
【0045】
複数の円板形部材51は、移動するフィルタ6の内周面に均一に接触して案内するために同径の円板から形成される。円板形部材51の中心を角形の回転軸43が貫通し、円板形部材51は、左右方向にずれないように回転軸43に固定される。
【0046】
フィルタ6は、案内路35に沿って移動し、案内路35をUターンして格子部34に沿って移動し、吸込口2と熱交換器4との間に達する。このとき、Uターンする案内路35の内側にあるフィルタ押え部材42が回転し、フィルタ6は左右方向全域に亘って円板形部材51の外周に沿って移動案内される。フィルタ6の清掃時以外は、フィルタ押え部材42は停止している。
【0047】
本例では、円板形部材51は、ユニットフレーム13のベース板30に形成された格子部34の縦桟33と前記円板形部材51の外周面(側面)とが重なるように、円板形部材51が配置されている。さらに、円板形部材51の側面の厚みは、前記格子部34の縦桟33の左右幅より小さく形成されている。また、フィルタ6のメッシュ部20に形成された縦リブ22aと、ベース板30の格子部34における縦桟33と、円板形部材51とが相互に重なるように配列する構成がより好ましい。
【0048】
上記のフィルタ押え部材42は複数の円板形部材51で構成されているので、円板形部材51が存在しない空間が通気部52となり、吸込口2から吸込んだ空気を通気部52を通じて熱交換器4a,4b側に通過させることができる。そのため、従来の閉塞型のフィルタ押え部材を配置する場合に比べて吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0049】
また、円板形部材51の外周面(側面)がフィルタ清掃装置7の格子部34の縦桟33に重なるように位置している。元々、縦桟33による通風抵抗がある場所にフィルタ押え部材42を配置しているが、縦桟33と円板形部材51とが重なることにより、円板形部材51は空気の流れの邪魔にならず、円板形部材51による吸込み抵抗をより少なくすることができる。そして、円板形部材51の側面の厚みは格子部34の縦桟33の厚みより小さいので、フィルタ押え部材42による吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0050】
図9は、第2の実施の形態に係わるフィルタ清掃装置の斜視図である。第2の実施形態では、フィルタ押え部材42は、複数のスリット54を有する円筒形部材55から構成され、スリット54が通気部52を形成する。
【0051】
円筒形部材55は、
図12(b)に示すように、左右両端に配置された円板55aの間に差し渡された複数のフィルタ押え棒56から形成される。両円板55aの中心に回転軸43が差し渡され、円板55aは回転軸43に固定される。フィルタ押え棒56は回転軸43と平行に回転軸43を中心とした同心円上に配置され、各フィルタ押え棒56間の空間が横長のスリット54とされる。断面円形のフィルタ押え棒56がフィルタ6に接触することにより、円筒形部材55が接触部材とされる。
【0052】
ここで、円筒形部材55の空気抵抗を考えれば、フィルタ押え棒56はそのフィルタ押え機能に支障のない程度の剛性を備えた径とし、フィルタ押え棒56間のスリット幅を、空気通路の流路抵抗が極力少なくなる幅に設定するのが好ましい。
【0053】
なお、フィルタ押え棒56の曲げ剛性を考慮すれば、左右方向中央位置に
図12(a)に示すような円板形部材51を介在する構成であってもよい。
【0054】
円筒形部材55のスリット54が通気部52となり、吸込口2から吸い込まれた空気がスリット54を通って熱交換器4a,4b側へと通過する。そのため、従来に比べてフィルタ押え部材42の吸込み抵抗をより少なくすることができる。
【0055】
図10は第3の実施の形態に係わるフィルタ清掃装置の斜視図である。フィルタ押え部材42は、複数の孔57を有する円筒形部材58から構成され、複数の孔57が通気部52を形成する。筒面を貫通する孔57は、円形に形成され、一定間隔で整列した状態に形成される。円筒形部材58の外周面がフィルタ6に接触することにより、円筒形部材55が接触部材とされる。
【0056】
円筒形部材58に形成された複数の孔57により、前方から後方に通じる空間が形成され、この空間が通気部52となる。吸込口2から吸い込まれた空気は複数の孔57を通り抜けて熱交換器4a,4bに達する。したがって、フィルタ押え部材42の吸込み抵抗が小さくなり、吸込み風量が増加することによって、空気調和機の性能が向上することになる。
【0057】
なお、上記の円筒形部材58では、円形の孔57を多数縦横に整列して形成したが、他の配列、例えば、千鳥状、散点状、バイアス状等に配列してもよい。また、勿論、ランダム形状の配置であったり、あるいは、孔径の異なる、あるいは同径の多数の孔を形成してもよい。さらに、孔は本例のような真円のみならず、長孔、楕円、菱形など各種の形状を採用することができる。
【0058】
図11は第4の実施の形態に係わるフィルタ清掃装置の斜視図である。本例においては、フィルタ押え部材42は、複数の螺旋形部材59から構成され、螺旋形部材59同士の間に螺旋形状のスリット60が形成され、このスリット60が通気部52を形成する。
【0059】
螺旋形部材59は、左右両端に配置された円板59aの間に差し渡され、左右方向に延びた螺旋状のブレードから形成される。両円板59aの中心に回転軸43が差し渡され、円板59aは回転軸43に固定される。複数の螺旋形部材59は回転軸43に沿って一定間隔で配置され、各螺旋形部材59間の空間が軸方向に延びた螺旋形状のスリット60とされる。螺旋形部材59の外周面がフィルタ6に接触することにより、螺旋形部材59が接触部材とされる。
【0060】
螺旋形部材59に形成された複数のスリット60により、前方から後方に通じる空間が形成され、この空間が通気部52となる。吸込口2から吸い込まれた空気は複数のスリット60を通り抜けて熱交換器4a,4bに達する。したがって、フィルタ押え部材42の吸込み抵抗が小さくなり、吸込み風量が増加することによって、空気調和機の性能が向上することになる。
【0061】
以上のとおり、第1実施形態〜第4実施形態のフィルタ押え部材42に吸込口2から熱交換器4a,4bに向かう空気を通すための通気部52が形成されているので、吸込み抵抗の増加を抑制でき、室内ユニット内にフィルタ清掃装置7を設けても空気通路8を拡大することができる。これにより、吸込み風量が増加することになり、空気調和機の性能を
向上させることができる。
【0062】
ところで、フィルタ6の清掃中、フィルタ押え部材42は移動するフィルタ6に接触して、フィルタ6の移動をガイドする。フィルタ6がスムーズに移動できるようにするために、
図13に示すように、フィルタ押え部材42の接触部材70の外周面に、フィルタ6の凹凸に対応する凹凸部71が形成される。
【0063】
接触部材70は、左右方向に所定の幅を有する円板とされる。回転軸43が接触部材70に差し込まれ、回転軸43に複数の接触部材70が一定間隔で並べられる。隣り合う接触部材70の間の空間、すなわち接触部材70の存在しない空間が通気部52とされる。なお、図中、72は回転軸43に差し込まれた位置ずれ防止用のスリーブである。
【0064】
フィルタ6には、移動方向に直交する方向(左右方向)に横リブ22bが複数形成されている。横リブ22bによりフィルタ押え部材42に対向するフィルタ6の裏面が凹凸になっている。接触部材70の凹凸部71は、湾曲面を有する溝73によって形成される。溝73は、接触部材70の外周面に軸方向に平行にかつ円周方向に一定間隔で複数形成される。凹凸部71の溝73に横リブ22bが嵌まる。隣り合う溝73の間は、外側に向かって盛り上がった湾曲面を有する凸部74になっている。
【0065】
フィルタ清掃装置7がフィルタ6を清掃するとき、ステッピングモータ41の駆動により回転軸43が回転して、ピニオンギア25が回転するとともに接触部材70も回転する。フィルタ6が移動して、フィルタ6が回転ブラシ50に接触する位置にきたとき、フィルタ6は接触部材70に接触する。
【0066】
接触部材70に凹凸部71がない場合、接触部材70の外周面にフィルタ6が接触するだけであり、接触部材70はフィルタ6の移動に何も寄与しない。しかし、接触部材70に凹凸部71が形成されているので、フィルタ6の横リブ22bが凹凸部71の溝73に嵌まる。フィルタ6の凹凸と接触部材70の凹凸部71とが噛み合うことにより、フィルタ6が接触部材70に密着するようになる。接触部材70の回転により、フィルタ6に移動力が付与されてフィルタ6の移動が助長され、フィルタ6をスムーズに搬送することができる。
【0067】
以上の通り、本発明のフィルタ清掃装置7は、筐体1の吸込口2から吸込んだ空気に含まれる塵埃を捕集するフィルタ6を備えた空気調和機において、前記フィルタ6を移動させて回転ブラシ50により埃を取るものであって、前記回転ブラシ50に対向する回動可能なフィルタ押え部材42を有し、前記フィルタ押え部材42に、前記吸込口2から筐体1内の熱交換器4a,4bに向かう空気を通すための通気部52が形成されたものである。
【0068】
このフィルタ押え部材42に形成された通気部52により、吸込み抵抗の増加を抑制でき、吸い込まれた空気が通る空気通路8を拡大することができる。
【0069】
すなわち、フィルタ押え部材42は、移動する前記フィルタ6に接触する接触部材70を備え、前記フィルタ押え部材42における前記接触部材70の存在しない空間が前記吸込口2から筐体1内の熱交換器4a,4bに向かう空気を通すための通気部52とされたものである。
【0070】
フィルタ押え部材42は、吸込口2から吸い込まれた空気が通る空気通路8内にある。フィルタ6を清掃するとき、フィルタ押え部材42の接触部材70は、移動するフィルタ6に接触して、フィルタ6を回転ブラシ50に押し付ける。この接触部材70は、空気通
路8における空気の流れを阻害する。しかし、フィルタ押え部材42には、接触部材70が存在しない空間があり、この空間を通じて空気がフィルタ押え部材42を通り抜け、熱交換器4a,4bに達する。したがって、吸込み抵抗の増加を抑制でき、空気通路8内にフィルタ押え部材42が配置されていても、吸い込まれた空気が通る空気通路8を拡大できる。
【0071】
接触部材70のフィルタ6に接触する外周面に、フィルタ6の凹凸に対応する凹凸部71が形成される。フィルタ清掃装置7は、フィルタ6を清掃するとき、フィルタ6を移動させる。このとき、フィルタ押え部材42が回転する。接触部材70の凹凸部71にフィルタ6の凹凸が噛み合うことにより、接触部材70はフィルタ6に移動力を付与し、フィルタ6がスムーズに移動する。
【0072】
フィルタ6に、移動方向に直交する方向に横リブ22bが形成され、前記凹凸部71に前記横リブ22bが嵌まる。横リブ22bはフィルタ6に突出して形成されているので、横リブ22bと凹凸部71とが噛み合い、フィルタ押え部材42が回転すると、フィルタ6の移動が助長される。
【0073】
接触部材70は、円板形、円筒形、軸方向に延びた螺旋形のいずれかの形状とされたものである。すなわち、円板形部材51、円筒形部材55,58、螺旋形部材59のそれぞれの外周面に凹凸部71が形成される。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態ではセパレート型の空気調和機における室内ユニットにフィルタ清掃装置7を適用したが、一体型の空気調和機にフィルタ清掃装置7を適用してもよいことは勿論である。
【0075】
また、通気部52として、
図12(a)〜(d)に示す各種態様を説明したが、これに限らず、例えば、孔やスリット等の通気部52は、フィルタ6の移動中に、回転ブラシ50により円筒形部材55,58の内部に塵埃が侵入するおそれがあるので、円筒形部材55,58の内面を摺動するシャッタを設け、フィルタ移動中はシャッタを閉じ、フィルタ6が使用姿勢に戻ったとき、シャッタを開放して空気調和運転中はシャッタを開放状態にしておく機構を付加することができる。
【0076】
凹凸部71が形成される接触部材70として、
図12(a)〜(d)に示す円板形部材51、円筒形部材55,58、螺旋形部材59であってもよく、各部材の外周面に凹凸部71が形成される。あるいは、各部材と接触部材70とを組み合わせてもよい。例えば、隣り合う円板形部材51の間に接触部材70を配置する。円筒形部材55,58、螺旋形部材59の軸方向の中間に接触部材70を挿入する。さらに、凹凸部71に通気用の孔を形成して、空気が通り抜けるようにしてもよい。また、接触部材70の外周面に、ブラシのような突起物を設けることにより、外周面に凹凸部71を形成してもよい。このような接触部材70の凹凸部71がフィルタ6のメッシュ部20に入り込み、フィルタ6に移動力を付加できる。しかも、突起物によりフィルタ6に詰まった埃を除去でき、清掃能力を向上できる。