(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この点、特許文献1、2には、ロボットと、作業者と、の干渉を防止する作業ロボットが開示されている。しかしながら、特許文献1の作業ロボットの場合、ロボットの接近を通知する携帯装置を、作業者が所持する必要がある。すなわち、作業者が適切な回避行動をとることを期待している。この点、要介助者は、適切な回避行動をとりにくい。このため、特許文献1の作業ロボットを、介助ロボットに転用することは困難である。
【0005】
また、特許文献2の作業ロボットの場合、ロボットの可動範囲を設定するための、セーフティコントローラが必須である。セーフティコントローラは、ロボットの軌道外に配置されている。このため、特許文献2の作業ロボットを介助ロボットに転用しても、従来のリモコンがセーフティコントローラに代わるだけである。
【0006】
また、特許文献1、2に開示されている進入検知センサは、ロボットとは独立して配置されている。すなわち、進入検知センサは、ロボット自体には配置されていない。また、進入検知センサは、予め限定したエリアを監視する機能のみを有している。このため、進入検知センサは、ロボットの動作に応じて、人の接近を検知することができない。
【0007】
そこで、本発明は、要介助者に接近する際に、要介助者に衝突の不安を与えにくい自走式介助ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明の自走式介助ロボットは、走行部と、要介助者を非接触で検出可能な減速センサと、該減速センサからの信号を基に該走行部に減速指示を出す制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の自走式介助ロボットによると、自走式介助ロボットが要介助者に接近したことを、減速センサが検出することができる。そして、減速センサからの信号を基に、制御部が、走行部に、減速指示を出すことができる。このため、自走式介助ロボットが要介助者に接近すると、自走式介助ロボットは自動的に減速することができる。したがって、本発明の自走式介助ロボットは、要介助者に衝突の不安を与えにくい。
【0010】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記要介助者に近づく際の進行方向を前側として、該要介助者を非接触で検出可能な位置決めセンサを備え、前記減速センサの検知エリアは、該位置決めセンサの検知エリアよりも、該前側に設定されており、前記制御部は、該位置決めセンサからの信号を基に前記走行部に停止指示を出す構成とする方がよい。
【0011】
位置決めセンサは、自走式介助ロボットが要介助者に介助動作を行う際の、要介助者に対する自走式介助ロボットの最適な停止位置を決定するためのセンサである。本構成によると、自走式介助ロボットは、減速センサからの信号により減速してから、位置決めセンサからの信号により停止することになる。このため、要介助者に衝突の不安を与えにくい。
【0012】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記位置決めセンサは、着座状態の前記要介助者の足裏から膝までのうち、いずれかの位置を検出する構成とする方がよい。着座状態の足裏から膝までの位置は、腕や頭の位置などに対して、複数の要介助者間においてばらつきにくい。このため、本構成によると、要介助者の姿勢や体格によらずに、自走式介助ロボットを、最適な停止位置で停止させやすい。
【0013】
(4)好ましくは、上記(2)ないし(3)のいずれかの構成において、衝突対象物を非接触で検出可能な複数の第一検知センサを備え、該第一検知センサの検知エリアは、前記減速センサの前記検知エリアよりも、前記前側に設定されており、前記制御部は、該第一検知センサからの信号を基に前記要介助者の位置を検出する構成とする方がよい。
【0014】
本構成によると、自走式介助ロボットが衝突対象物に接近したことを、第一検知センサが検出することができる。また、第一検知センサが衝突対象物の接近を検出しないことから、第一検知センサの検知エリア外に要介助者がいることを、制御部が認識することができる。
【0015】
(5)好ましくは、上記(2)ないし(4)のいずれかの構成において、前記要介助者を非接触で検出可能な第二検知センサを備え、前記位置決めセンサの前記検知エリアは、該第二検知センサの検知エリアよりも、前記前側に設定されており、前記制御部は、該第二検知センサからの信号を基に前記走行部に非常停止指示を出す構成とする方がよい。
【0016】
本構成によると、自走式介助ロボットが、最適な停止位置を超えて、要介助者に過度に接近したことを、第二検知センサが検出することができる。そして、第二検知センサからの信号を基に、制御部が、走行部に、非常停止指示を出すことができる。このため、自走式介助ロボットが要介助者に過度に接近すると、自走式介助ロボットは自動的に停止することができる。
【0017】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記要介助者に近づく際の進行方向を前側として、基部と、該基部から該前側に突設され、該要介助者の起立動作を支援する際、該要介助者の左右両外側に配置される一対の足部と、該基部に対して上下方向に揺動可能に配置され、該要介助者の該起立動作を支援する際、該要介助者の一部を保持する保持部を有する腕部と、を備え、前記減速センサは、該足部に配置される構成とする方がよい。本構成によると、保持部を動かすことにより、要介助者の起立動作を支援することができる。
【0018】
(6−1)好ましくは、上記(6)の構成において、前記第一検知センサ、前記減速センサ、前記第二検知センサは、前記前側からこの順番で、前記足部に配置されており、前記位置決めセンサは、前記基部または前記腕部の前面に配置されている構成とする方がよい。
【0019】
各センサの時系列的な検出順序は、早い方から、第一検知センサ(非常時のみ)、減速センサ、位置決めセンサ、第二検知センサ(非常時のみ)である。本構成によると、当該検出順序に対応して、各センサを配置することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、要介助者に接近する際に、要介助者に衝突の不安を与えにくい自走式介助ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の自走式介助ロボットの実施の形態について説明する。
【0023】
<自走式介助ロボットの構成>
まず、本実施形態の自走式介助ロボットの構成について説明する。以降の図においては、要介助者に近づく際の進行方向(駆動輪を基準にした場合の従動輪がある方向)を前側と定義する。
図1に、本実施形態の自走式介助ロボットの斜視図を示す。
図2に、同自走式介助ロボットのブロック図を示す。
【0024】
図1、
図2に示すように、本実施形態の自走式介助ロボット1は、走行部2と、左右一対の減速センサ80L、80Rと、制御部3と、人体検知センサ81Cと、左右一対の衝突防止センサ82L、82Rと、左右一対の挟まれ防止センサ83L、83Rと、基部4と、左右一対の足部5L、5Rと、腕部6と、を備えている。
【0025】
人体検知センサ81Cは、本発明の「位置決めセンサ」の概念に含まれる。衝突防止センサ82L、82Rは、本発明の「第一検知センサ」の概念に含まれる。挟まれ防止センサ83L、83Rと、は、本発明の「第二検知センサ」の概念に含まれる。
【0026】
基部4は、ディスプレイ40を備えている。また、基部4には、後述する制御部3が収容されている。ディスプレイ40は、タッチパネルである。介助者や要介助者は、ディスプレイ40を介して、制御部3に指示を入力可能である。
【0027】
左右一対の足部5L、5Rは、基部4の前縁の左右両端から、前方に突設されている。左右一対の足部5L、5Rは、要介助者の起立動作を支援する際、要介助者の左右両足の左右両外側に配置される。すなわち、左右一対の足部5L、5R間には、要介助者収容スペースWが区画されている。
足部5Lには、後述する衝突防止センサ82L、減速センサ80L、挟まれ防止センサ83Lが、前側からこの順番で、配置されている。同様に、足部5Rには、後述する衝突防止センサ82R、減速センサ80R、挟まれ防止センサ83Rが、前側からこの順番で、配置されている。
【0028】
走行部2は、左右一対の駆動輪20Rと、左右一対の従動輪21L、21Rと、走行モータ22と、を備えている。左右一対の駆動輪20Rは、基部4の後縁の左右両端付近に配置されている。左右一対の駆動輪20Rは、走行モータ22により、駆動される。左右一対の駆動輪20Rにより、自走式介助ロボット1は、走行可能である。左右一対の従動輪21L、21Rは、左右一対の足部5L、5Rの前端付近に配置されている。従動輪21L、21Rは、水平面内において、回転可能である。左右一対の従動輪21L、21Rにより、自走式介助ロボット1は、方向転換可能である。
【0029】
腕部6は、下段部60と、中段部61と、上段部62と、保持部63と、ハンドル64と、を備えている。下段部60は、上下方向に延在する角筒状を呈している。下段部60は、揺動軸601を介して、基部4に対して上下方向(詳しくは、上下前後に展開する面方向)に揺動可能である。中段部61は、上下方向に延在する角筒状を呈している。中段部61は、下段部60に対して、上下方向に往復動可能である。上段部62は、上端が前側に突出するL字状を呈している。上段部62は、中段部61に対して、上下方向に往復動可能である。保持部63は、前側に開口するC字状を呈している。保持部63は、揺動軸631を介して、上段部62に対して上下方向に揺動可能である。要介助者の起立動作を支援する際、保持部63は、要介助者の胸を保持する。ハンドル64は、上段部62と保持部63との間に配置されている。要介助者の起立動作を支援する際、ハンドル64は、要介助者により把持される。
【0030】
衝突防止センサ82L、82Rは、足部5L、5Rの前端に配置されている。衝突防止センサ82L、82Rは、超音波センサである。衝突防止センサ82L、82Rは、障害物や人間などの衝突対象物を、非接触で検出可能である。衝突防止センサ82L、82Rの検知エリア82La、82Raは、衝突防止センサ82L、82Rの前側(つまり自走式介助ロボット1の前側)に設定されている。左右一対の足部5L、5R間の間隔に応じて、検知エリア82Laと検知エリア82Raとの間には、非検知エリア82Caが設定されている。非検知エリア82Caは、左右一対の足部5L、5R間の要介助者収容スペースWの前側に配置されている。このため、自走式介助ロボット1が要介助者に接近する際、要介助者が要介助者収容スペースWの前側(つまり適切な位置)に居る場合、衝突防止センサ82L、82Rは反応しない。
【0031】
減速センサ80L、80Rは、足部5L、5Rにおいて、衝突防止センサ82L、82Rの後側(従動輪21L、21Rの上側)に配置されている。減速センサ80L、80Rは、超音波センサである。減速センサ80L、80Rは、要介助者のつま先を、非接触で検出可能である。減速センサ80Lの検知エリア80Laは、減速センサ80Lの右側に設定されている。減速センサ80Rの検知エリア80Raは、減速センサ80Rの左側に設定されている。すなわち、減速センサ80L、80Rの検知エリア80La、80Raは、減速センサ80Lと減速センサ80Rとの間に設定されている。
【0032】
挟まれ防止センサ83L、83Rは、足部5L、5Rにおいて、減速センサ80L、80Rの後側(基部4の直前)に配置されている。挟まれ防止センサ83L、83Rは、光電センサである。挟まれ防止センサ83L、83Rは、要介助者のつま先を、非接触で検出可能である。挟まれ防止センサ83Lの検知エリア83Laは、挟まれ防止センサ83Lの右側に設定されている。挟まれ防止センサ83Rの検知エリア83Raは、挟まれ防止センサ83Rの左側に設定されている。すなわち、挟まれ防止センサ83L、83Rの検知エリア83La、83Raは、挟まれ防止センサ83Lと挟まれ防止センサ83Rとの間に設定されている。
【0033】
人体検知センサ81Cは、腕部6の下段部60の前面に配置されている。人体検知センサ81Cは、超音波センサである。人体検知センサ81Cは、要介助者の膝を、非接触で検出可能である。人体検知センサ81Cの検知エリア81Caは、人体検知センサ81Cの前側に設定されている。
【0034】
これら各センサ(衝突防止センサ82L、82R、減速センサ80L、80R、人体検知センサ81C、挟まれ防止センサ83L、83R)の検知エリアの前端は、検知エリア82La、82Ra、検知エリア80La、80Ra、検知エリア81Ca、検知エリア83La、83Raの順番で、前側から配置されている。
【0035】
制御部3は、基部4に収容されている。制御部3は、コンピュータ30と、入出力インターフェイス31と、を備えている。コンピュータ30は、演算部300と、記憶部301と、を備えている。コンピュータ30は、入出力インターフェイス31を介して、各センサ、走行モータ22、ディスプレイ40に接続されている。コンピュータ30は、各センサからの信号を基に、走行モータ22に指示を出す。介助者や要介助者は、ディスプレイ40を介して、コンピュータ30に指示を入力可能である。
【0036】
<自走式介助ロボットの動き>
次に、本実施形態の自走式介助ロボットの動きについて説明する。
図3に、本実施形態の自走式介助ロボットの、要介助者に接近する際のフローチャートを示す。
図4に、同自走式介助ロボットの衝突防止センサ反応時の上面図を示す。
図5に、同自走式介助ロボットの減速センサ反応時の上面図を示す。
図6に、同自走式介助ロボットの人体検知センサ反応時の上面図を示す。
図7に、同自走式介助ロボットの挟まれ防止センサ反応時の上面図を示す。なお、
図4〜
図7においては、腕部6のうち、中段部61、上段部62、保持部63、ハンドル64を省略して示す。
【0037】
介助者(図略)は、ディスプレイ40を介して、コンピュータ30に、駆動指示を出す。駆動指示を受け、コンピュータ30は、走行モータ22に前進指示を出す(
図3のS1(ステップ1、以下同様))。
図4に示すように、自走式介助ロボット1は、椅子90に着座している要介助者Aに、前側から接近する。
【0038】
衝突防止センサ82L、82Rの検知エリア82La、82Raに障害物B、または要介助者の身体の一部(例えば、着座した要介助者の脚部など)が入ると、衝突防止センサ82L、82R(衝突防止センサ82Lおよび衝突防止センサ82Rのうち、少なくとも一方)がオンになる(
図3のS2)。障害物Bは、本発明の「衝突対象物」の概念に含まれる。この場合、衝突防止センサ82L、82Rからの信号を基に、コンピュータ30は、走行モータ22に非常停止指示を出す(
図3のS8)。このため、自走式介助ロボット1は非常停止する。介助者は、障害物Bを除去、または要介助者の着座姿勢を矯正し、ディスプレイ40を介して、再び、コンピュータ30に、駆動指示を出す。駆動指示を受け、コンピュータ30は、走行モータ22に前進指示を出す(
図3のS1)。
【0039】
衝突防止センサ82L、82Rがオンにならない場合は(
図3のS2)、自走式介助ロボット1は所定の速度で前進を続ける。この場合、要介助者Aは、非検知エリア82Caに入っていると推定される。
【0040】
図5に示すように、要介助者収容スペースWに要介助者Aが相対的に進入し、減速センサ80L、80Rの検知エリア80La、80Raに要介助者Aのつま先Tが入ると、減速センサ80L、80R(減速センサ80Lおよび減速センサ80Rのうち、少なくとも一方)がオンになる(
図3のS3)。この場合、減速センサ80L、80Rからの信号を基に、コンピュータ30は、走行モータ22に減速指示を出す(
図3のS4)。このため、自走式介助ロボット1は減速する。なお、減速センサ80L、80Rがオンになるまでの間は(
図3のS3)、自走式介助ロボット1は所定の速度で前進を続ける。
【0041】
図6に示すように、人体検知センサ81Cの検知エリア81Caに要介助者Aの膝Kが入ると、人体検知センサ81Cがオンになる(
図3のS5)。要介助者の起立動作を支援する際、
図1に示す保持部63は、要介助者Aの胸を保持する。人体検知センサ81Cがオンになるということは、保持部63と、要介助者Aの胸と、の相対的な位置関係が、予め設定された適正な位置関係に位置決めされたことを意味する。すなわち、要介助者Aの胸を保持し、起立動作の支援の準備が完了したことを意味する。なお、人体検知センサ81Cがオンになるまでの間は(
図3のS5)、上記位置決めが未完了であるため、自走式介助ロボット1は所定の速度(減速後の速度)で前進を続けることになる。
【0042】
図7に示すように、挟まれ防止センサ83L、83Rの検知エリア83La、83Raに要介助者Aのつま先Tが入ると、挟まれ防止センサ83L、83R(挟まれ防止センサ83Lおよび挟まれ防止センサ83Rのうち、少なくとも一方)がオンになる(
図3のS6)。この場合、挟まれ防止センサ83L、83Rからの信号を基に、コンピュータ30は、走行モータ22に非常停止指示を出す(
図3のS9)。このため、自走式介助ロボット1は非常停止する。この場合、要介助者Aの姿勢は、起立動作支援に不適切であると考えられる。具体的には、要介助者Aのつま先Tが、基部4に、過度に近接していると考えられる。例えば、要介助者Aの着座姿勢が不適切である場合(例えば、要介助者Aが脚部を投げ出して着座している場合)が該当する。このため、自走式介助ロボット1は、起立動作の支援作業に移行しない。
【0043】
一方、挟まれ防止センサ83L、83Rがオンにならない場合(
図3のS6)、コンピュータ30は、走行モータ22に停止指示を出す(
図3のS7)。このため、自走式介助ロボット1は停止する。この場合、要介助者Aの姿勢は、起立動作支援に適切であると考えられる。したがって、自走式介助ロボット1は、起立動作の支援作業に移行する。
【0044】
<作用効果>
次に、本実施形態の自走式介助ロボット1の作用効果について説明する。本実施形態の自走式介助ロボット1によると、
図5に示すように、自走式介助ロボット1が要介助者Aに接近したことを、減速センサ80L、80Rが検出することができる。そして、
図2に示すように、減速センサ80L、80Rからの信号を基に、制御部3が、走行モータ22に、減速指示を出すことができる。このため、自走式介助ロボット1が要介助者Aに接近すると、自走式介助ロボット1は自動的に減速することができる。したがって、要介助者Aに衝突の不安を与えにくい。
【0045】
また、本実施形態の自走式介助ロボット1は、
図5、
図6に示すように、減速センサ80L、80Rからの信号により減速してから、人体検知センサ81Cからの信号により停止することになる。このため、要介助者Aに衝突の不安を与えにくい。
【0046】
また、人体検知センサ81Cは、
図6に示すように、着座状態の要介助者Aの膝Kの位置を検出している。着座状態の膝Kの位置は、つま先Tや腕の位置などに対して、複数の要介助者A間においてばらつきにくい。このため、本実施形態の自走式介助ロボット1によると、要介助者Aの姿勢や体格によらずに、自走式介助ロボット1を、最適な停止位置で停止させやすい。
【0047】
また、本実施形態の自走式介助ロボット1によると、
図4に示すように、自走式介助ロボット1が障害物Bに接近したことを、衝突防止センサ82L、82Rが検出することができる。そして、
図2に示すように、衝突防止センサ82L、82Rからの信号を基に、制御部3が、走行モータ22に、非常停止指示を出すことができる。このため、自走式介助ロボット1が障害物Bに接近すると、自走式介助ロボット1は自動的に停止することができる。
【0048】
また、
図1に示すように、衝突防止センサ82L、82Rの非検知エリア82Caは、左右一対の足部5L、5R間の要介助者収容スペースWの前側に配置されている。このため、自走式介助ロボット1が要介助者Aに接近する際、要介助者Aが要介助者収容スペースWの前側(つまり適切な位置)に居る場合、衝突防止センサ82L、82Rは反応しない。したがって、衝突防止センサ82L、82Rがオンにならないことから、制御部3は、自走式介助ロボット1が、適切な進入方向から、要介助者Aに接近していることを認識することができる。
【0049】
また、本実施形態の自走式介助ロボット1によると、
図7に示すように、自走式介助ロボット1が、最適な停止位置(
図6に示す位置)を超えて、要介助者Aに過度に接近したことを、挟まれ防止センサ83L、83Rが検出することができる。そして、挟まれ防止センサ83L、83Rからの信号を基に、制御部3が、走行モータ22に、非常停止指示を出すことができる。このため、自走式介助ロボット1が要介助者Aに過度に接近すると、自走式介助ロボット1は自動的に停止することができる。
【0050】
また、本実施形態の自走式介助ロボット1によると、
図1に示すように、要介助者Aの胸を保持した状態で、要介助者Aの動作に応じて保持部63を動かすことにより、要介助者Aの起立動作を支援することができる。
【0051】
<その他>
以上、本発明の自走式介助ロボットの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0052】
例えば、
図3のS6、S9に示すように、上記実施形態においては、人体検知センサ81Cがオン(検出)であって、挟まれ防止センサ83L、83Rがオンのときに、コンピュータ30が自走式介助ロボット1を非常停止させている。しかしながら、人体検知センサ81Cがオフ(非検出)であって、挟まれ防止センサ83L、83Rがオンのときに、コンピュータ30が自走式介助ロボット1を非常停止させてもよい。また、人体検知センサ81Cのオン、オフを参照せず、挟まれ防止センサ83L、83Rのオン、オフだけを基に、コンピュータ30が自走式介助ロボット1を制御してもよい。
【0053】
また、コンピュータ30は、各センサ(衝突防止センサ82L、82R、減速センサ80L、80R、人体検知センサ81C、挟まれ防止センサ83L、83R)が実際に検出した検出距離と、記憶部301の距離しきい値と、を比較して、検出距離≦距離しきい値の場合に、走行モータ22に指示(停止指示、減速指示、非常停止指示など)を出してもよい。
【0054】
各センサの種類は特に限定しない。誘導型近接スイッチ、静電容量型近接スイッチ、超音波型近接スイッチ、光電型近接スイッチ、CCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを各センサとして用いてもよい。また、各センサの配置数は特に限定しない。また、少なくとも二つのセンサを、単一のセンサで共用化してもよい。
【0055】
例えば、衝突防止センサ82L、82Rと、減速センサ80L、80Rと、を単一のセンサにより共用化してもよい。この場合、記憶部301に、衝突防止用の距離しきい値と、減速用の距離しきい値と、を格納し、演算部300が、センサが実際に検出した検出距離と、記憶部301の各距離しきい値と、を比較すればよい。
【0056】
各センサが要介助者Aや障害物Bを検出する、時系列的な順序は、特に限定しない。例えば、要介助者Aの起立動作を支援する直前に、衝突防止センサ82L、82Rがオフ、人体検知センサ81Cがオン、挟まれ防止センサ83L、83Rがオフであればよい。
【0057】
また、
図3のS1に示す前進時の速度、
図3のS4に示す減速時の減速度は、特に限定しない。例えば、速度は、低速走行時に0.10m/s以上0.20m/s以下とする方がよい。好ましくは、0.15m/sとする方がよい。また、速度は、高速走行時に0.25m/s以上0.35m/s以下とする方がよい。好ましくは、0.30m/sとする方がよい。また、加速度、減速度は、絶対値で、0.35m/s
2以上0.45m/s
2以下とする方がよい。好ましくは、0.40m/s
2とする方がよい。こうすると、自走式介助ロボット1を要介助者Aに近づける際(
図5参照)、要介助者Aに不安を感じさせにくくすることができる。