特許第6199042号(P6199042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199042
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】容器の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   G01N21/90 A
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-29086(P2013-29086)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-157121(P2014-157121A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】西田 孝
(72)【発明者】
【氏名】横井 隆明
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−132752(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3025581(JP,U)
【文献】 特開2012−112822(JP,A)
【文献】 特開2000−193607(JP,A)
【文献】 特開昭56−050681(JP,A)
【文献】 特開昭58−024841(JP,A)
【文献】 米国特許第04459023(US,A)
【文献】 特開2000−193606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する容器の欠陥の有無を光学的に検査する検査装置であって、
容器の底面のうち少なくとも周縁部に光を照射する光源と、
前記容器の側周面における裾部を含むエリアを前記容器の側方から前記容器の底面も撮像可能な撮像位置で撮像して当該エリアの画像を取得する撮像部と、
前記画像における前記裾部を含む検査用画像を基に明度が閾値を超える連続する領域である明領域を取得し、当該明領域のうち前記容器の底面からの反射光による底部領域を検出し、前記検査用画像から前記底部領域を輪郭に沿って除去する処理を含む画像処理を行って判定用画像を取得する画像処理部と、
前記判定用画像を基に明度が閾値を超える連続する明領域を割り出し、形状閾値と面積閾値とを用いて、その割り出した当該明領域が欠陥であるか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする容器の検査装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記画像処理の一部として、前記明領域から前記容器の径方向両端部を含む端部領域を除去する両端部除去処理も行って、前記判定用画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の容器の検査装置。
【請求項3】
前記容器を搬送する搬送部を更に備え、
前記光源は、前記搬送部による容器の搬送経路の途中の検査位置にあるときの前記容器の底面を照射可能に配置され、
前記撮像部は、前記容器の前記検査位置における搬送方向と交差する互いに異なる方向から複数の前記エリアをそれぞれ撮像可能に複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の検査装置。
【請求項4】
前記容器の口部を検査する口部検査部を更に備え、
前記搬送部は、前記容器の側面を挟持する状態で前記容器を搬送可能な一対の搬送ベルトを備え、前記一対の搬送ベルトを速度差をもたせて駆動することで前記容器を自転させながら搬送し、
前記口部検査部は、自転する前記容器の前記口部を検査することを特徴とする請求項3に記載の容器の検査装置。
【請求項5】
2つの前記エリアの像を入射して共通の前記撮像部に射出する光学系を更に備え、
前記光学系は、2つの前記エリアの像を入射してそれぞれ反射させる2つの第1ミラーと、2つの前記第1ミラーから入射した各像を反射させて共通の前記撮像部に入射させる第2ミラーとを備え、
複数の前記エリアを撮像する前記撮像部の数は、前記エリアの数よりも少ないことを特徴とする請求項3又は4に記載の容器の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス壜等の透光性を有する容器の欠陥(欠点)を光学的に検査する容器の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス壜などの透光性を有する容器の泡、欠け、ビリ、混入異物等の欠陥の有無を検査する検査装置が知られている(例えば特許文献1〜4)。これらの特許文献1〜4に記載の検査装置では、光源から容器に光を照射し、容器の欠陥で反射した反射光又は欠陥の影を含む透過光をカメラ(撮像部の一例)で撮像し、その撮像した画像を基に欠陥の有無を検査する。
【0003】
特許文献1に記載された検査装置では、容器の下方に配置された光源から容器の底部に光を照射し、容器の上方に配置されたカメラにより容器の口部を通して容器の底部を内側から撮像した画像を基に、底部の欠陥の有無を検査する。
【0004】
また、特許文献2に記載された検査装置では、容器の底面に光を照射する光源と、容器の側周面を撮像するカメラとを備え、容器中に混入したガラス片等の異物からの反射光を撮像した画像を基に異物の有無を検査する。
【0005】
また、特許文献3に記載された検査装置は、容器(ガラス壜)の略半周ずつを覆う一対の半円環状のミラーと、検査位置にある容器の下方に配置されたリング状光源(照明)とを備える。リング状光源からの光は所定傾斜角をなすミラーで反射して容器の全周から容器内に入射し、容器の下方に配置されたカメラにより容器の底部を撮影する。そして、得られた画像を画像処理装置で処理することで、ガラス片等の異物が容器の底内部(壜底)に存在するか否かを判別する。
【0006】
さらに特許文献4に記載された検査装置では、投光器(光源の一例)は、その照射光の一部が容器の裾コーナ部の外面で反射され、かつ、照射光の他の一部が裾コーナ部に入射して屈曲部の内面で反射される位置に配置される。また、撮像装置(撮像部の一例)は、裾コーナ部の外面での反射光及び内面での反射光を受光可能な位置に配置され、撮像装置の撮影画像を基に裾部の欠陥の有無を検査する。この検査装置では、容器の裾コーナ部の外面で反射させた光と、裾コーナ部に入射して屈曲部の内面で反射させた光とを、撮像装置に入射させるためには、投光器から裾コーナ部に向かって容器の軸線に対して斜めに光を照射する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−169596号公報
【特許文献2】特開平7−92109号公報
【特許文献3】特開2004−212079号公報
【特許文献4】特開2004−85512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、容器の底部と胴部との間で屈曲するコーナ部(屈曲部の一例)を含む裾部は、光透過方向をどの方向に選択しても光透過率が著しく低下する部分が存在してしまう。このため、特許文献1のような光透過方式の検査装置では、その光照射方向の肉厚がさほど変化しない底部は検査できても、その光照射方向に光透過率が著しく低下する部分(例えば筒状部)を含む裾部の検査には対応できない。仮に容器の軸線と直交する方向に光を照射したとしても、裾部の底部と対応する部分は光照射方向に光透過率が著しく低下するため、同様に裾部の検査に対応できない。
【0009】
また、特許文献2の検査装置では、容器の全周を検査するためには容器を回転させながら、カメラで容器が1回転する間にその側周面を所定時間間隔毎に複数回撮像する必要があり、このために容器を回転させる回転装置が必須となる。また、特許文献3の検査装置では、容器を一対の半円環状のミラーで囲む構造のため、容器の回転は必須ではないが、容器を搬送させながら検査するためには、ミラーを容器の搬送に追従させて移動させる機構が必須になる。このため、これらの検査装置では構成が比較的複雑になる。
【0010】
また、特許文献4の検査装置では、容器の裾部の欠陥の有無を検査できるが、光源(投光器)を斜めに配置する必要があるため、カメラによる一回の撮像では容器の裾部のうち周方向の一部を検査するのみで、容器の全周を検査するためには、容器を回転させる回転装置が必須となる。このように特許文献2、4に記載された検査装置では、容器を回転させながら検査を行う必要があるため、カメラによる撮影タイミングを容器の回転速度に合わせて制御する必要がある。このため、制御装置の構成が複雑になる。特に、容器の種類やサイズ等により容器の回転速度が異なると、その異なる回転速度に合わせてカメラの撮像タイミングを制御する必要があり、検査用の画像を取得する制御がさらに複雑になる。なお、コーナ部を含む裾部を検査対象とする場合に限らず、容器のコーナ部以外の屈曲部を含む検査対象部位を検査する場合においても、光照射方向に光透過率が著しく低下する部分が存在して検査精度が低下するという同様の課題がある。
【0011】
本発明の目的は、透光性を有する容器の欠陥を光学的に検査する際に、容器の屈曲部を含む検査対象部位の全周を、比較的簡単な構成でかつ比較的精度よく検査できる容器の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、透光性を有する容器の欠陥の有無を光学的に検査する検査装置であって、容器の底面のうち少なくとも周縁部に光を照射する光源と、前記容器の側周面における裾部を含むエリアを前記容器の側方から前記容器の底面も撮像可能な撮像位置で撮像して当該エリアの画像を取得する撮像部と、前記画像における前記裾部を含む検査用画像を基に明度が閾値を超える連続する領域である明領域を取得し、当該明領域のうち前記容器の底面からの反射光による底部領域を検出し、前記検査用画像から前記底部領域を輪郭に沿って除去する処理を含む画像処理を行って判定用画像を取得する画像処理部と、前記判定用画像を基に明度が閾値を超える連続する明領域を割り出し、形状閾値と面積閾値とを用いて、その割り出した当該明領域が欠陥であるか否かを判定する判定部と、を備えている。
また、上記検査装置において、前記画像処理部は、前記画像処理の一部として、前記明領域から前記容器の径方向両端部を含む端部領域を除去する両端部除去処理も行って、前記判定用画像を取得することが好ましい。
また、透光性を有する容器の欠陥の有無を光学的に検査する検査装置であって、容器の底面のうち少なくとも周縁部に光を照射する面光源と、前記容器の側周面における周方向に異なるエリアをそれぞれ撮像して当該エリアの画像を当該容器の全周分取得する複数の撮像部と、前記複数の撮像部が取得した前記複数の画像を基に欠陥の有無を判定する判定部と、を備えている。
【0013】
この構成によれば、複数の撮像部は、面光源により容器の底面のうち少なくとも周縁部に照射された光が、容器の側周部における周方向に異なるエリア(検査対象部位を含むエリア)で反射した反射光を含む当該エリアをそれぞれ撮像する。この結果、容器の全周分の画像が取得される。よって、容器を必ずしも回転させなくても(つまり回転の有無に関係なく)、容器の全周分の画像を取得できるので、これら複数の画像を基に容器の検査対象部位の全周を検査できる。また、従来の容器の回転が必須な検査装置(例えば特許文献2、4)では、容器の回転に合わせて撮像部の撮像タイミングを制御する構成が必要があったが、このような構成が必要ない。さらに光反射方式の検査装置であるため、容器の屈曲部を含む検査対象部位に光照射方向に光透過率が著しく低下する部分が存在するために検査精度が低下する光透過方式の検査装置(例えば特許文献1)に比べ、高い検査精度が得られる。よって、容器の屈曲部を含む検査対象部位に面光源の光照射方向に光透過率が著しく低下する部分(一例として容器の筒状の側周部)が存在しても、その検査対象部位の全周を、比較的簡単な構成でかつ比較的精度よく検査できる。
【0014】
また、上記検査装置では、前記複数の撮像部は、前記エリアとして前記容器の裾部を含むエリアをそれぞれ撮像可能に構成され、前記判定部は、前記複数の画像を基に前記裾部における欠陥の有無を判定することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、容器を必ずしも回転させなくても(つまり容器の回転の有無に関係なく)、容器の裾部の全周で欠陥の有無を検査できる。しかも、裾部の全周を比較的簡単な構成でかつ比較的精度よく検査できる。
【0016】
また、上記検査装置では、前記エリアの像を前記撮像部へ反射させるミラーを備えていることが好ましい。
この構成によれば、エリアの像をミラーにより撮像部の位置へ反射させればよいので、撮像部の配置レイアウトの自由度が増す。この結果、検査装置のコンパクト化が可能になる。
【0017】
また、上記検査装置では、前記容器を搬送する搬送部を更に備え、前記光源は、前記搬送部による容器の搬送経路の途中の検査位置にあるときの前記容器の底面を照射可能に配置され、前記撮像部は、前記容器の前記検査位置における搬送方向と交差する互いに異なる方向から複数の前記エリアをそれぞれ撮像可能に複数設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、複数の撮像部を含む検査装置の構成部品が、容器の搬送を妨げない位置及び状態に配置されるので、搬送部によって容器を搬送させながらその搬送経路の途中の検査位置で、当該容器を検査できる。このため、検査のため容器の搬送効率が著しく低下することを回避できる。
【0019】
また、上記検査装置では、前記複数の撮像部は前記エリアを前記容器の底部も撮像可能な撮像角で撮像し、前記複数の画像に画像処理を施して前記判定部が判定に用いる判定用画像を生成する画像処理部を更に備え、前記画像処理部は、前記画像中の前記底部に相当する明領域を検出し、前記画像に対し当該明領域を除去する処理を施すことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、面光源と対向する底部は反射光が相対的に多い部分であり、画像中の底部は明領域となる。画像処理部は画像に対し底部に相当する明領域を除去する処理を施す。このため、底部(明領域)が除去された判定用画像が生成される。判定部はこの判定用画像を基に欠陥の有無を判定するため、底部での反射光(明領域)を欠陥とする誤判定(誤検出)を抑制できる。
【0021】
また、上記検査装置では、前記複数の画像に画像処理を施して前記判定部による判定に用いられる判定用画像を生成する画像処理部を更に備え、前記画像処理部は、前記画像に対し前記容器の径方向両端部を除去する処理を施すことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、画像中における容器の径方向両端部は反射光が相対的に多い部分であり、画像処理部は画像に対しこの径方向両端部を除去する処理を施す。このため、容器の径方向両端部が除去された判定用画像が生成される。判定部はこの判定用画像を基に欠陥の有無を判定するため、径方向両端部での反射光(明領域)を欠陥とする誤判定(誤検出)を抑制できる。
また、上記検査装置では、前記容器の口部を検査する口部検査部を更に備え、前記搬送部は、前記容器の側面を挟持する状態で前記容器を搬送可能な一対の搬送ベルトを備え、前記一対の搬送ベルトを速度差をもたせて駆動することで前記容器を自転させながら搬送し、前記口部検査部は、自転する前記容器の前記口部を検査することが好ましい。
さらに上記検査装置では、2つの前記エリアの像を入射して共通の前記撮像部に射出する光学系を更に備え、前記光学系は、2つの前記エリアの像を入射してそれぞれ反射させる2つの第1ミラーと、2つの前記第1ミラーから入射した各像を反射させて共通の前記撮像部に入射させる第2ミラーとを備え、複数の前記エリアを撮像する前記撮像部の数は、前記エリアの数よりも少ないことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、透光性を有する容器の欠陥を光学的に検査する際に、容器の屈曲部を含む検査対象部位の全周を、比較的簡単な構成でかつ比較的精度よく検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態における検査システムを示す模式平面図。
図2】検査装置の要部を搬送方向と45度をなす側方から見た模式図。
図3】検査装置の要部を示す模式平面図。
図4】(a)はガラス壜の下部を示す模式断面図、(b)は同じく模式底面図。
図5】光反射方式の検査装置の電気的構成を示すブロック図。
図6】(a)〜(d)は画像処理を説明する模式図。
図7】検査処理ルーチンを示すフローチャート。
図8】検査装置の機能構成を示すブロック図。
図9】第2実施形態における検査装置の要部を搬送方向と45度をなす側方から見た模式図。
図10】第3実施形態における検査装置の要部を搬送方向と45度をなす側方から見た模式図。
図11】第4実施形態における検査装置を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1図8に基づいて説明する。
図1に示すように、検査システム10は、透光性を有する容器の一例としてのガラス壜11の欠陥の有無を検査する検査装置12と、検査装置12へガラス壜11を搬入する搬入装置13と、検査の終わったガラス壜11を検査装置12から搬出する搬出装置14とを備える。なお、本実施形態の検査システム10は、搬送システムの途中に組み込まれ、検査装置12は、搬送中のガラス壜11に対して検査を行う。
【0026】
搬入装置13は、検査装置12へ搬入するガラス壜11の間隔を調整する間隔調整装置15と、間隔が調整されたガラス壜11を検査装置12へ一定の搬送速度で搬入する搬入コンベア16とを備える。間隔調整装置15は、例えばスクリュー方式、羽根方式、レバー方式などの公知の方式のものが採用され、1列で隣接する状態で搬送されてくる多数本のガラス壜11を1本ずつ一定の時間差で搬入コンベア16上へ送り出すことで、ガラス壜11の間隔を調整する。この間隔は、検査用通路20のうち検査が実施される検査区間IAをガラス壜11が1本ずつ搬送されうる長さに設定されている。
【0027】
図1に示すように、検査装置12は、検査用通路20を挟む両側に対向して配置された2つのベルト装置21,22を有する搬送部の一例としての搬送装置23を備えている。また、検査装置12は、検査区間IAを搬送されるガラス壜11の底面に光を照射する面光源24と、検査区間IAを搬送中のガラス壜11を撮像する複数個(本例では一例として4個)の撮像部の一例としてのカメラ25とを備える。検査装置12は、面光源24からガラス壜11の底面にほぼ垂直に光を照射し、ガラス壜11の底部と胴部との間に位置しコーナ部分を含む裾部を少なくとも含むエリアを、4個のカメラ25で撮像する。また、検査装置12には、2つのベルト装置21,22の間隔及び高さを調整して、検査用通路20の幅(通路幅)及びベルト高さを調整可能なシフト装置26が設けられている。
【0028】
なお、本例では、検査区間IAにおける搬送方向Xの中央位置を、カメラ25による撮像が行われる検査位置としている。もちろん、検査位置は、面光源24からの光がガラス壜11の底面全体に照射されうる位置で、かつカメラ25によりガラス壜11の径方向全体を撮像しうる位置であればよい。
【0029】
図1に示すように、4個のカメラ25は、面光源24の軸線、つまり検査位置にあるときのガラス壜11の軸線を中心として周方向に等角度間隔(一例として90度間隔)となる外側の位置であって、検査位置にあるガラス壜11の側周面(詳しくは裾部の外周面)の径方向全体を撮像可能な位置に配設されている。本実施形態では、4個のカメラ25を使って、検査位置にあるガラス壜11の周方向に異なる複数(一例として4つ)のエリアを撮像することで、ガラス壜11の側周部の少なくとも一部(詳しくは裾部)の周方向全体(全周分)の画像を取得する。なお、本例では、複数のエリアは、それぞれ周方向両側で隣ものと一部重複している。
【0030】
カメラ25が撮像した画像では、ガラス壜11のうち欠陥のない箇所及び背景部分が暗部(低輝度部)になり、泡、白色系異物等の欠陥で反射した光により欠陥箇所が明部(高輝度部)になる。そして、画像中における明部の有無によって欠陥の有無を判定する。このように本実施形態の検査装置12は、面光源24からガラス壜11の底面に照射した光が少なくとも裾部の欠陥で反射して側方へ出た反射光を、カメラ25の撮像画像を通じて検出して裾部の欠陥の有無を検査する光反射方式を採用する。
【0031】
図1に示す2つのベルト装置21,22は、検査用通路20を挟む両側に対称な位置関係に配置されている。一方のベルト装置21は、搬送方向Xに一定の距離を隔てて配置された一対の歯付きプーリ28,28に巻き掛けられた無端状の歯付きベルトからなる搬送ベルト31を備える。また、他方のベルト装置22は、ベルト装置21側の一対のプーリ28,28と検査用通路20を挟んで対向する位置に配置された一対の歯付きプーリ29,29に巻き掛けられた無端状の歯付きベルトからなる搬送ベルト32を備える。
【0032】
各プーリ28,29は各々の軸心が鉛直方向(図1の紙面垂直方向)に一致する向きに配置され、一対の搬送ベルト31,32は、各々のベルト面が鉛直面をなすバーティカルベルトとなっている。そして、一対の搬送ベルト31,32のうち検査用通路20を挟んで対向するベルト面部分が、ガラス壜11を挟持しつつ搬送する搬送面31a,32aとなっている。
【0033】
図1に示すように、2つのベルト装置21,22は、各々の動力源となるモータ33,34を備える。モータ33,34の各動力は不図示の動力伝達機構を介して図1において右側に位置する駆動側のプーリ28,29の各回転軸にそれぞれ伝達される。2つのモータ33,34は個別の回転速度で独立駆動可能で、一対の搬送ベルト31,32に速度差をもたせる設定も可能である。
【0034】
シフト装置26は、2つのベルト装置21,22の相対位置を搬送方向Xと直交する幅方向Y(図1における上下方向)に変更することにより、一対の搬送面31a,32aの間隔、つまり検査用通路20の幅(通路幅)を調整する通路幅調整機構を備える。ここで、検査用通路20の幅は、一対の搬送面31a,32aに挟持されるガラス壜11のベルト被挟持部の外径に合わせて調整される。また、シフト装置26は、ベルト装置21,22の高さを上下方向(鉛直方向)に調整するベルト高さ調整機構も備える。なお、本例のシフト装置26は、手動式であるが、電動モータの動力で駆動される電動式とし、ガラス壜11のベルト被挟持部の外径及びベルト高さの各入力値に基づき、搬送ベルト間隔及びベルト高さが自動調整される構成とすることもできる。
【0035】
図1に示すように、面光源24は、検査用通路20の途中の検査位置を通過するガラス壜11の底面よりも下方に配置されている。そして、面光源24は、その真上を搬送されるガラス壜11の底面に向かって光(拡散光)を照射する。面光源24は、検査対象の種々の種類のガラス壜のうち底面積最大のガラス壜の底部よりも広い発光面積を有し、検査位置にあるガラス壜11の底面全体に拡散光を照射できる。
【0036】
図2に示すように、ガラス壜11は、その軸心と直交する断面の外形が円形となった胴部11aが、一対の搬送ベルト31,32に挟持された状態で搬送される。これは、ガラス壜11の底部11bと胴部11aとの間のコーナ部分を含む裾部11cの一部を、搬送ベルト31,32が遮らないようにするためである。
【0037】
なお、本実施形態の検査装置12は、口部11dの検査機能も備える。詳しくは、検査用通路20のうち口部検査領域には搬送方向Xに沿って不図示の帯状発光部が配置され、ガラス壜11が1回転以上回転する間に口部検査用のカメラ(図示せず)により所定時間間隔で撮像された複数の画像を基に口部11dの欠陥の有無を検査する。よって、この口部11dの検査も行う際は、検査用通路20においてガラス壜11を回転させながら搬送する。もちろん、裾部11cの検査だけを行う場合は、ガラス壜11の回転は必要ない。
【0038】
図2に示すように、面光源24は、一対の搬送ベルト31,32に挟持されて搬送されるガラス壜11が検査位置にあるときの底部11bから、下方へ所定距離(一例として5〜100mmの範囲内の所定値)だけ離れた高さ位置に配置されている。これは、搬送中のガラス壜11と面光源24との接触を回避しつつ、ガラス壜11の底部11bに面光源24から所定光度以上の光を照射させるためである。
【0039】
図2に示すように、面光源24は、板状(一例として四角板状)の発光部24aと、発光部24aの発光面(図2では上面側)上に載置又は接着された拡散板24bとを備える。発光部24aは、一例として、光源用基板上に多数個の発光ダイオード(LED)がマトリクス状に配置されてなる。拡散板24bは、発光部24aからの光を拡散させる機能を有する。このため、面光源24からガラス壜11の底部11bに拡散光が照射される。
【0040】
図2に示すように、4個(但し、図2では2個のみ図示)のカメラ25は、図2に示す検査位置にあるときのガラス壜11の裾部11cを撮像可能な高さに配置されている。例えば、4個のカメラ25の光軸Cは、検査位置にあるときのガラス壜11の裾部11cと交差する。また、図3に示すように、4個のカメラ25は、検査位置にあるときのガラス壜11の周方向に等角度間隔(本例では90度間隔)となる外側位置に配置されている。そして、複数個のカメラ25は、検査位置にあるガラス壜11の少なくとも裾部11cの径方向全体、つまりガラス壜11の幅全体が、視野角(撮像エリア)(図3に破線で示す範囲)に収まりうる所定距離(焦点距離)を離れた位置から、検査位置にあるガラス壜11を四方向から撮像可能である。なお、本実施形態では、図3に破線で示す複数のカメラ25の各撮像エリア内において、ガラス壜11の側周面(外周面)のうちカメラ25と対向する部分のエリアが、容器の側周面における周方向に異なるエリアに相当する。
【0041】
また、カメラ25の焦点は、検査位置にあるガラス壜11の側周面(詳しくは裾部11cの外周面)に合わせられている。検査装置12は、ガラス壜11の径(胴径)が異なる品番を検査対象とするが、本例では異なる品番のガラス壜11の径の違いは所定範囲内(一例として約10mm以内)に収まっており、カメラ25の焦点距離を変更する調整作業が不要となっている。もちろん、径の違いが前記所定範囲を超える異なる品番のガラス壜11を検査対象とし、検査対象変更の度に焦点の調整作業を行ってもよい。この場合、手動によるカメラ25の合焦作業が面倒であれば、自動合焦機能(オートフォーカス機能)を備えたカメラ25を使用することもできる。
【0042】
図2に示すように、面光源24からガラス壜11の底面に照射された拡散光の一部は、裾部11cにおける気泡や白色系異物等の欠陥Kで反射しその反射光の一部がカメラ25の撮像レンズへ入射する。つまり、カメラ25は欠陥Kからの反射光を撮像する。
【0043】
カメラ25は、レンズ群と、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサからなる2次元イメージセンサ(撮像素子)とを内蔵する。そして、カメラ25は、ガラス壜11が検査区間IAの中央位置に設定された検査位置にある時のガラス壜11を撮像する。本実施形態では、4個のカメラ25は検査位置にあるガラス壜11の底部11bも少し撮像されうる撮影角に設定されている。光反射方式の検査装置12では、面光源24からガラス壜11の底面に照射された拡散光のほとんどがガラス壜11を透過し一部が底部11b及び裾部11cの端部の表面で反射する。このため、カメラ25の撮像画像は基本的に暗部で、欠陥からの反射光、底部11bからの反射光、裾部11cの径方向両端部からの反射光が明部となる。このため、後述するように、欠陥以外の部位からの反射光による画像中の明部(明領域)を画像から除去する処理を行って、欠陥の誤検出を回避する。
【0044】
検査装置12は、図4(a),(b)に示すように、ガラス壜11の底部11bと胴部11aとの間のコーナ部分を含む裾部11c(図4におけるハッチング部分)を検査対象とする。裾部11cは、ガラス壜11の底面から高さHの範囲で、かつ径方向においては底部11bを除いた範囲の部分である。胴部11aと底部11bはそれぞれの肉厚が一定範囲以下で、厚さ方向の光は透過できるので、光透過方式の検査が可能である。しかし、裾部11cは、胴部11aを検査するときの光透過方向(径方向)では底部11bで光透過率が著しく低下し、また底部11bを検査するときの光透過方向(軸線方向)では、胴部11aで光透過率が著しく低下する。このため、図4(a),(b)に示すように、裾部11cに存在する欠陥Kは、胴部11aの光透過方式の検査でも、底部11bの光透過方式の検査でも、見逃される可能性が高い。このため、検査装置12は、裾部11cに特化した前述の光反射方式の検査を行い、図4(a),(b)に示す裾部11cに存在する欠陥Kも見逃さず検査する。
【0045】
また、図4(b)に示すように、一つのカメラ25が撮像するガラス壜11の中心角で概ね180度の撮像範囲のうち、中央エリア所定角度A(度)の範囲を検査対象エリアとしている。これは、裾部11cの径方向両端部は、カメラ25の光軸Cと裾部表面とのなす角度が小さいために欠陥Kからの反射光が相対的に弱くなる傾向にあるうえ、裾部表面での映り込み等によるカメラ25への反射光が相対的に多いため、欠陥の検出精度が低下する虞があるためである。本実施形態では、一例として所定角度Aを110度としている。
【0046】
もちろん、所定角度Aは、裾部11cの径方向両端部での反射光による誤検出を回避できる限りにおいて、360/N≦A<150(但し、Nはカメラ個数で3以上の自然数。)の範囲であればよい。特にN個のカメラ25に対応するN個の検査対象エリアが一部重複しうる所定角度Aが好ましく、例えば重複角度をα(片側でα/2)とすると、所定角度Aは、A≧360/N+αであることが好ましい。αは、例えば5〜60度の範囲内の値が好ましい。そして、さらに好ましい所定角度Aは、カメラ個数を少なくできる観点から、95≦A≦140がよい。この場合、カメラが3個又は4個でよい。
【0047】
また、検査用通路20に対してガラス壜11の搬送の妨げとならずカメラ25を配置するためには、検査用通路20に対するレイアウト容易性の観点からカメラ25の個数は偶数個が好ましい。このため、カメラ個数は少なく済む4個が好ましい。カメラ個数が4個の場合、検査対象エリアの所定角度Aは、95≦A≦120を満たすことが好ましい。
【0048】
図1に戻って、検査装置12には検査用通路20の入口付近に、ガラス壜11を検知可能なセンサ36が設けられている。センサ36は、検査位置よりも所定距離だけ搬送方向X上流側の位置に配置されている。センサ36がガラス壜11を検知した検知位置を起点とし、時間計測又は距離計測の方法で、検査対象のガラス壜11が検査位置に達したことが検出される。
【0049】
また、図1に示すように、検査用通路20の搬送方向X下流側の位置には、検査用通路20を挟んで対向する一対の制動ベルト39,39を、不図示の制動モータの動力で所定回転速度で回転させてガラス壜11に制動力を付与する制動装置38が設けられている。
【0050】
図1に示すように、検査装置12の出口側に設けられた搬出装置14は、制動装置38で減速されたガラス壜11を搬出する搬出コンベア40と、検査装置12で不良と判定されたガラス壜11を搬出コンベア40の途中箇所で回収する不良回収装置41とを備えている。不良回収装置41は、検査装置12の検査により不良と判定されたガラス壜11を搬出コンベア40上からその経路外へ排出する排出装置42と、排出装置42が経路外へ排出した不良のガラス壜11を回収する不良回収部43とを備える。
【0051】
図1に示す検査システム10は、検査装置12、搬入装置13及び搬出装置14を統括的に制御する制御装置50(コントローラ)を備える。制御装置50には、入力系として、操作部51、センサ36及び複数のカメラ25がそれぞれ電気的に接続されている。また、制御装置50には、出力系として、表示部52、間隔調整装置15、搬入コンベア16、面光源24、モータ33,34、制動装置38、排出装置42及び搬出コンベア40がそれぞれ電気的に接続されている。
【0052】
図1に示す操作部51は、検査に必要な各種の設定値(検査条件情報)などを入力するために操作される。表示部52は、操作部51から設定値などの入力操作を行うときの案内画面を表示したり、検査装置12の検査結果を表示したりする。なお、制御装置50は、例えば検査システム10に接続されてこれを制御するパーソナルコンピュータにより構成され、操作部51がマウス及びキーボードにより構成されると共に、表示部52はモニタにより構成される。もちろん、操作部51と表示部52は、これらを一パネルに備えた操作パネルにより構成されてもよい。
【0053】
次に検査システム10の電気的構成を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、制御装置50は、コンピュータ61(マイクロプロセッサ)、駆動回路62,63,66〜69、モータ駆動回路64,65及び表示駆動回路70を備える。コンピュータ61は、駆動回路62を介して間隔調整装置15を駆動制御し、駆動回路63を介して搬入コンベア16を駆動制御する。また、コンピュータ61は、モータ駆動回路64,64を介してモータ33,34をそれぞれ駆動制御する。さらにコンピュータ61は、駆動回路66を介して面光源24の発光を制御する。また、コンピュータ61は、駆動回路67,68,69を介して制動装置38、排出装置42及び搬出コンベア40をそれぞれ駆動制御する。
【0054】
また、コンピュータ61は、センサ36からガラス壜11の検知時にオンし、ガラス壜11の非検知時にオフする検出信号を入力する。また、コンピュータ61はカメラ25から画像信号(映像信号)を不図示のA/D変換器を介してデジタル信号として入力する。さらにコンピュータ61は表示駆動回路70を介して表示部52に案内画面及び検査結果画像などを表示する。
【0055】
コンピュータ61は、CPU71(中央処理装置)、ROM72及びRAM73を内蔵する。ROM72には、図7にフローチャートで示す検査処理ルーチンをはじめとする各種のプログラムP等が記憶されている。RAM73には、CPU71がROM72から読み出したプログラムPやCPU71の演算結果、操作部51から入力した設定値などが一時的に記憶される。
【0056】
作業者による操作部51の操作により、コンピュータ61には、検査用通路20でのガラス壜11の搬送速度Vc、ガラス壜11の径データなど検査に必要なデータが入力される。径データは、一対の搬送面31a,32aにガラス壜11が挟持される部分(ベルト被挟持部)の外径を示し、一対の搬送面31a,32aの間隔を調整するために用いられる。コンピュータ61は、入力された搬送速度Vc及び径データに基づいて、間隔調整装置15が調整すべきガラス壜11の間隔、搬送ベルト31,32の各速度を演算する。
【0057】
図8は、CPU71によるプログラムPの実行によりコンピュータ61内に構築される機能構成を示す。図8に示すように、コンピュータ61は、機能構成部分として、画像処理部81と判定部82とを備える。画像処理部81は、カメラ25がガラス壜11を撮像して得られた検査用画像データに検査に適した画像処理を施す。判定部82は、画像処理部81の画像処理で得られた判定用の画像データを基に欠陥の有無を判定する判定処理を行う。さらに画像処理部81は、画像処理用の機能部分として、画像切取部85、底部除去処理部86、フィルタ処理部87及び両端部除去処理部88を備えている。
【0058】
画像切取部85は、カメラ25が撮像した画像の全体から、裾部11cを含む検査用の部分画像(検査用画像データ)を切り取る処理を行う。
底部除去処理部86は、検査用画像データから、底部11bの領域を除去する処理を行う。前述のように、カメラ25は裾部11cの底面(壜底面のうち周縁の環状部分)も検査できるように、裾部11cに加え底部11bも少し撮像される撮像角に設定されている。面光源24と対向する底部11bはカメラ25に向かう反射光が比較的多い部分なので、この底部11bからの反射光を欠陥とする誤検出を回避するべく、底部除去処理部86は、検査用画像データから底部11bに相当する明領域を除去する処理を行う。
【0059】
フィルタ処理部87は、底部除去処理後の検査用画像データにフィルタ処理を施す。本例では、フィルタ処理として、明部と暗部との境界(エッジ)を強調する処理を行う。もちろん、公知の他のフィルタ処理を採用してもよい。
【0060】
両端部除去処理部88は、裾部11cの径方向両端部がその表面の反射光で明部となるので、誤検出の原因となるこの径方向両端部を除去する処理を行う。本実施形態では、1つのカメラ25で撮像される概ね180度の範囲のうち一例として中央エリア95〜120度の範囲内のA度の範囲を検査対象エリアとし、裾部11cのうち明領域となる径方向両端部を含む両側の端部領域(約(180−A)/2度の領域)を除去して、検査対象エリアの画像データを取得する。詳しくは、両端部除去処理部88は、4個のカメラ25が撮像した画像中の裾部11cのうち中央エリアA度(例えば110度)ずつの検査対象エリアを切り取り、裾部11cの全周を検査可能な4つの判定用画像データを取得する。
【0061】
図8に示す判定部82は、判定用画像データを基に欠陥の有無を判定する処理を行う。ここで、気泡や白色系異物等の欠陥の形状及びサイズ(面積)は所定の範囲内に入る。このため、判定部82は、所定閾値を超える明度が連続する明領域を割り出すと共に、その割り出した明領域の形状及び面積が、想定される欠陥から決まる設定範囲内に入るか否かを判定する。そして、明領域の形状及び面積がそれぞれの設定範囲内に入れば欠陥ありと判定し、明領域の形状及び面積がそれぞれの設定範囲内に入らなければ欠陥なしと判定する。つまり、判定部82は、明領域の形状に関する値が、想定される欠陥の形状から決まる下限閾値と上限閾値との間の範囲内にあり、かつその明領域の面積が、想定される欠陥の面積から決まる下限閾値と上限閾値との間の範囲内にあるときに、その明領域を欠陥であると判定する。なお、気泡及び白色系異物などの欠陥の種類に関係なく共通の閾値を設定したり、欠陥の種類毎に個別に閾値を設定したりしてもよい。また、判定部82は、欠陥の判定に、画像中で把握した裾部11cの底面位置からの高さの情報も用いてもよい。
【0062】
判定部82が欠陥ありと判定した場合、制御装置50は、その欠陥のある不良のガラス壜11が排出位置まで搬送されてきたタイミングで、駆動回路68を介して排出装置42を駆動する。この結果、不良と判定されたガラス壜11は、図1に示す排出装置42により搬出コンベア40の経路外へ排出され、不良回収部43に回収される。
【0063】
次に検査システムの作用を、図1図6図7図8等を用いて説明する。
まず作業者は操作部51を操作して、ガラス壜11の外径などの必要なデータを入力設定する。コンピュータ61は、入力データを基に、間隔、ベルト速度、搬送速度Vcなどの必要な運転条件データを演算し、これを入力データと共に検査条件情報としてRAM73の所定記憶領域に記憶する。その後、作業者が運転スイッチをオン操作すると、コンピュータ61がRAM73の検査条件情報を基に検査システム10を構成する各装置12,13〜15,38,41等を駆動することで、検査システム10の運転が開始される。
【0064】
よって、検査システム10の運転が開始されると、間隔調整装置15の駆動により搬入コンベア16上をガラス壜11が一定の間隔で検査装置12まで搬送される。また、制御装置50がモータ33,34を独立して速度制御し、一対の搬送ベルト31,32に挟持されたガラス壜11は検査用通路20を一定の搬送速度Vcで搬送される。この搬送途中の検査位置で検査されたガラス壜11は、検査用通路20の終端部で制動装置38により減速された後、搬出コンベア40により搬出される。
【0065】
なお、検査用通路20を搬送中にガラス壜11の口部検査など他の検査も行う場合は、一対の搬送ベルト31,32に速度差をもたせ、ガラス壜11を回転させながら搬送する。もちろん、ガラス壜11の裾部11cの検査を行うだけであれば、一対の搬送ベルト31,32は同速度で回転し、ガラス壜11は回転せずに搬送される。
【0066】
この検査システム10の運転時は、コンピュータ61内のCPU71がROM72から読み出した図7に示す検査処理ルーチンのプログラムPを、例えば所定時間(例えば1〜200ミリ秒の範囲内の所定値)間隔ごとに実行する。以下、図7のフローチャートに従って検査処理ルーチンについて説明する。
【0067】
まずステップS1では、容器、つまり本例ではガラス壜11をセンサ36が検知したか否かを判断する。ガラス壜11を検知した場合はステップS2に進み、ガラス壜11を検知しなければ当該ルーチンを終了する。
【0068】
そして、センサ36が容器を検知すると、ステップS2において、検査対象のガラス壜11が検査位置に達したことを検出する位置検出処理を行う。例えばコンピュータ61は、容器検知信号入力時に不図示のタイマの計時を開始し、検知位置と検査位置との間の距離Xcと搬送速度Vcとから決まる所要時間(=Xc/Vc)を、タイマが計時し終わったことをもって、ガラス壜11の検査位置への到達を検出する。また、他の方法として、コンピュータ61は、容器検知信号入力時に不図示のカウンタの計数を開始し、モータ33,34のうち一方の回転を検出する不図示のエンコーダから入力するパルス信号のパルス数を計数し、その計数値が検知位置と検査位置との間の距離に相当する値に達したことをもって、ガラス壜11の検査位置への到達を検出する。そして、ガラス壜11の検査位置への到達を検出すると、次のステップS3に進む。
【0069】
次のステップS3では、複数個(例えば4個)のカメラ25で撮像する。すなわち、コンピュータ61はガラス壜11が検査位置に達した時点に複数個のカメラ25が撮像した画像データを全て取得し、これらの画像データをRAM73の所定記憶領域に保存する。なお、本例では、複数個のカメラ25が同時にガラス壜11の裾部11cを撮像した複数の画像を採用するが、裾部11cの全周分の画像が得られる限りにおいて撮像タイミングに多少のずれがあっても構わない。
【0070】
次のステップS4では、画像処理を行う。すなわち、コンピュータ61内の画像処理部81が、RAM73の所定記憶領域から読み出した画像データに対し判定用画像を取得するための所定の画像処理を施す。この画像処理は、画像処理部81を構成する各部85〜88が順次処理を行うことで実施される。また、画像処理部81は、複数のカメラ25により撮像された複数の画像データのそれぞれに画像処理を施す。
【0071】
以下、画像処理の詳細を、図6及び図8を用いて説明する。ここでは、複数の画像データに施される画像処理はどれも同じなので、以下の説明では、1つの画像データに施される画像処理について説明する。なお、図6は、裾部11cに欠陥Kが存在する例の検査用画像データを示している。
【0072】
まず画像切取部85は、画像データから少なくとも裾部11cを含む所定範囲の検査用画像を切り取る。但し、切取処理は必須ではなく、カメラ25の撮像エリアが既に裾部11cを含む適切な所定範囲にあれば、画像データをそのまま検査用画像としてもよい。
【0073】
こうして図6(a)に示す少なくとも裾部11cを含む検査用画像データD1が得られる。なお、図6(a),(b)では、実線で描かれた外郭線の外側の背景領域(裾部11cの上部及び背景)を、裾部11cのコーナ部分の領域を分かり易くするために白色で描いているが、実際には黒色(暗部)になっている。
【0074】
図6(a)に示す検査用画像データD1では、裾部11cの面光源24と対向する下側領域がやや明度(輝度)が高く、底部11bは極めて明度の高い白色領域となっている。また、裾部11cの径方向両端部はその曲面で反射された光(例えば映り込み等)がカメラ25の方向に向かうため、比較的明度の高い端部領域Bとなっている。また、欠陥Kでの反射光がカメラ25に撮像されるため、欠陥Kも明領域(白色)になっている。
【0075】
次に底部除去処理部86が、図6(a)に示す検査用画像データD1から底部11bの領域を除去する処理を行う。検査用画像データD1を基に裾部11cの径方向両端位置を割り出し、これにより裾部11cの領域を特定する。そして、その特定した裾部11cの下側の底部11bが存在する範囲において、明度が閾値を超える連続する領域(明領域)を割り出し、その割り出した明領域が形状閾値とサイズ閾値とを用いて底部11bであるか否かを判定する。そして、底部除去処理部86は、明領域が底部11bであると判定すると、その明領域を検査用画像データD1から除去する除去処理を行う。この底部除去処理によって、図6(b)に示す検査用画像データD2が得られる。
【0076】
次にフィルタ処理部87が、図6(b)に示す検査用画像データD2にフィルタ処理を施す。フィルタ処理は明部と暗部との境界(エッジ)を強調する処理である。このフィルタ処理によって、図6(c)に示すフィルタ処理後の検査用画像データD3が得られる。この検査用画像データD3では、明度の勾配の比較的小さな領域が薄灰色(同図では白色)になり、明度の勾配が比較的大きく明部と暗部との境界を示すエッジ部分が黒色又は濃灰色で強調される。図6(c)から分かるように、この検査用画像データD3では、裾部11cの径方向両端部BEと、欠陥Kの径方向両端部KEとが強調されている。
【0077】
次に両端部除去処理部88が、図6(c)に示す検査用画像データD3から、裾部11cの径方向両端部BEを除去する処理を行う。前述のように、裾部11cの径方向両端位置(概ね180度の範囲)は先に割り出されている。本例では、1つのカメラ25で撮像される裾部11cの範囲のうち中央エリアA度分の範囲を検査対象エリアとする。
【0078】
両端部除去処理部88は、この裾部11cの概ね180度の範囲から裾部11cの径方向両端部BEを含む両側約35度分ずつの領域を除去する。詳しくは、両端部除去処理部88は、検査用画像データD3から、裾部11cの径方向中央エリア110度分の幅で、かつ高さが裾部11cの高さHとなる矩形領域を切り取る処理を行う。こうして裾部11cの欠陥の有無の判定に用いられる図6(d)に示す判定用画像データD4が得られる。なお、以上の画像処理は、4個のカメラ25が撮像した各検査用画像データD1に対して個々に施され、画像処理後には4つの判定用画像データD4が得られる。画像処理部81が、判定用画像データD4を生成すると、図7におけるステップS5に進む。
【0079】
図7に示すステップS5では、判定処理を行う。すなわち、コンピュータ61の判定部82が、判定用画像データD4を基に裾部11cにおける欠陥の有無を判定する。判定部82は、判定用画像データD4において明度が閾値を超える連続する領域を割り出し、その割り出した明領域が形状閾値と面積閾値とを用いて欠陥であるか否かを判定する。判定部82は、4つの判定用画像データD4の全てでこの判定処理を行うことで、裾部11cの全周について欠陥の有無を判定する。
【0080】
次のステップS6では、判定処理の結果、判定OKであるか否かを判定する。すなわち、ステップS5における判定処理で、欠陥が1つも無ければガラス壜11は良品であるとして判定OKとする。一方、欠陥が1つでもあればガラス壜11は不良品であるとして判定NGとする。このときの検査対象エリアの画像及び判定結果は、表示部52に表示され、例えば欠陥が強調表示された画像によって欠陥の様子を確認できる。判定OKであれば、当該検査処理ルーチンを終了し、判定NGであれば、ステップS7に進む。
【0081】
ステップS7では、容器を排出する。すなわち、判定NGのガラス壜11が搬出コンベア40の排出位置に達すると、コンピュータ61が排出装置42を駆動させて判定NGのガラス壜11を搬出コンベア40の経路外へ排出し、その排出されたガラス壜11は不良回収部43に回収される。
【0082】
なお、検査装置12によってガラス壜11の口部11dの検査も行う場合、モータ33,34を独立して駆動制御して一対の搬送ベルト31,32を所定の速度差をもたせて回転させることで、ガラス壜11を回転させながら検査用通路20を搬送させる。検査用通路20のうち口部検査領域でガラス壜11が1回転以上回転する間に、口部検査用のカメラ(図示せず)が搬送中のガラス壜11を所定時間間隔毎に撮像した複数の画像を基に口部11dの欠陥の有無が検査される。口部11dに欠陥があってNG判定の場合も、そのガラス壜11は排出装置42により不良回収部43に回収される。
【0083】
そして、本実施形態の検査装置12によれば、裾部11c以外の他の部位(例えば口部11d)の検査のためにガラス壜11を回転させながら搬送しても、裾部11cの検査ではカメラ25の撮像タイミングをガラス壜11の回転に合わせて制御する必要がない。
【0084】
以上詳述したようにこの第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)検査装置12は、ガラス壜11の底面全体に光を照射する面光源24と、ガラス壜11の側周面のうち裾部11cを含む周方向に異なるエリアをそれぞれ撮像可能な複数(一例として4個)のカメラ25とを備える。そして、複数のカメラ25で一度に撮像することで裾部11cを含むエリアの画像を全周分取得する。この場合、ガラス壜11を必ずしも回転させなくても(つまり回転の有無に関係なく)、裾部11cの全周分の画像を取得し、これら複数の画像を基に裾部11cの全周検査を行うことができる。また、ガラス壜の回転が必須な従来の検査装置(例えば特許文献2、4)のように、ガラス壜の回転に合わせてカメラの撮像タイミングを制御する必要もない。さらに光反射方式の検査装置12であるため、容器の屈曲部を含む検査対象部位に光照射方向の光透過率が著しく低下する部分が存在し必要な検査精度が得られない光透過方式の検査装置(例えば特許文献1)に比べ、高い検査精度が得られる。よって、ガラス壜11のコーナ部(屈曲部の一例)を含む裾部11cの全周を、比較的簡単な構成でかつ比較的精度よく検査できる。
【0085】
(2)面光源24は、ガラス壜11の搬送経路の途中の検査位置にあるときのガラス壜11の底面を照射可能な位置に配置され、一方、複数のカメラ25は、ガラス壜11の検査位置における搬送方向と交差する互いに異なる方向からガラス壜11の周方向に異なるエリアをそれぞれ撮像する。よって、複数のカメラ25を搬送の妨げとならない位置に配置したうえで、搬送中のガラス壜11の裾部11cの全周を検査できる。
【0086】
(3)複数のカメラ25は裾部11cの底面側も少し撮像可能な撮像角で撮像するため、底部11bも少し撮像されてしまう。しかし、画像処理部81が、検査用画像中の所定面積を超える明領域を底部11bとして検出し、検査用画像にその検出した明領域(底部)を除去する処理を施す。よって、裾部11cの底面も検査してその欠陥の検出漏れを低減できるうえ、検査用画像中の底部11bからの反射光(明領域)を欠陥と間違える誤判定(誤検出)を防止できる。この結果、裾部11cの検査精度が高まる。
【0087】
(4)画像処理部81は、検査用画像にガラス壜11の径方向両端部を除去する処理を施す。よって、検査用画像中におけるガラス壜11の径方向両端部での反射光(明領域)を欠陥と間違える誤判定(誤検出)を防止できる。
【0088】
(5)例えば特許文献3に記載された検査装置をロータリー方式に替えベルト搬送方式に適用して、容器の搬送中の検査を実現しようとすると、容器を囲む配置とされる一対のミラーを搬送中の容器と共に移動させる移動機構を設けるか、検査位置に一対のミラーを接近・離間可能に設け、容器を検査位置に一時停止させる必要がある。この場合、移動機構追加による検査装置の構造複雑化や、容器の一時停止による搬送効率の低下を招く。しかし、本実施形態の検査装置12によれば、移動機構の追加及び容器の一時停止の必要がないので、搬送方式に関係なく、裾部11cの全周検査を搬送中に行うことができる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図9に基づいて説明する。本実施形態は、検査装置の一部の構成のみ第1実施形態と異なる。よって、第1実施形態と共通部分については同一の符号を付してその説明を省略し、特に異なる点についてのみ説明する。
【0090】
図9に示すように、本実施形態の検査装置12は、容器の一例としてのガラス壜11の裾部11cを4方向から撮像可能な第1実施形態と同様の複数個(例えば4個)のカメラ25(第1のカメラ)に加え、さらに検査位置にあるガラス壜11の口部11dの開口と対向する位置に配置された第2のカメラ90とを備える。第2のカメラ90は、口部11dを通じてガラス壜11の内側から底部11bを撮像する。そして、制御装置50は、第2のカメラ90が撮像した底部11bを含む画像データに所定の画像処理を施して判定用画像データを取得し、その判定用画像データを基に底部11bの欠陥の有無を判定する。
【0091】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(6)共通の面光源24を用いて同じ検査位置で、カメラ25の撮像画像に基づく裾部11cの検査と、第2のカメラ90の撮像画像に基づく底部11bの検査とを行うことができる。このため、底部検査用の検査装置を別途設ける必要がない。
【0092】
(第3実施形態)
次に第3実施形態を図10に基づいて説明する。なお、第2実施形態と共通の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、特に異なる点についてのみ説明する。
【0093】
図10に示すように、本実施形態の検査装置12は、検査位置にある容器の一例としてのガラス壜11の周方向に等角度間隔となる外側位置(一例として第2実施形態におけるカメラ25よりも検査位置に近い位置)に配置された複数(一例として4個(但し図10では2個のみ図示)のミラー91を備える。複数のミラー91は、ガラス壜11の側周部における少なくとも裾部11cを含む周方向に異なるエリアの像(反射光)をそれぞれ受光して下方へ反射可能な所定の傾斜角に配置されている。また、複数個(一例として4個(但し図10では2個のみ図示))の第1のカメラ25は、ミラー91が反射した裾部11cを含むエリアの像を撮像可能な位置に、一例として上向き(その光軸Cがガラス壜11の軸線と平行でかつ撮像レンズがミラーを向く向き)に配置されている。
【0094】
ミラー91で反射した光(像)をカメラ25で撮像する構成なので、カメラ25のレイアウトの自由度が高まる。そのため、本実施形態では、例えば図10に示すレイアウトで複数組(一例として4組)のカメラ25及びミラー91を配置し、検査装置12を幅方向に比較的コンパクトに構成している。なお、ミラー91によるエリアの像を反射させる方向は、下方に限らず上方、水平方向(X又はY方向)、斜め方向でもよい。
【0095】
第3実施形態によれば、前記各実施形態と同趣旨の効果の他、以下の効果が得られる。
(7)ミラー91の使用によりカメラ25のレイアウトの自由度が高まるため、検査装置12をコンパクトに構成できる。また、複数のカメラ25を検査装置12の他の構成部品の邪魔にならない位置に配置できる。
【0096】
(第4実施形態)
次に第4実施形態を図11に基づいて説明する。この実施形態は、検査装置12の一部の構成が第1実施形態と異なる。よって、第1実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0097】
図11に示すように、検査装置12は、検査用通路20(図1参照)を挟んで搬送方向Xと直交する方向に対向する一対のカメラ25を備える。また、この検査装置12は、面光源24の上方の検査位置にあるときのガラス壜11の裾部11cを含む周方向に異なる4つのエリアの像を、一対のカメラ25に2エリア分ずつ入射させる一対の光学系92,92を備える。この光学系92は、ガラス壜11の2つのエリアの像(光)をそれぞれ反射させる2つの第1ミラー93と、2つの第1ミラー93からの反射光(像)を同一のカメラ25を指向する方向へそれぞれ反射させる2つの第2ミラー94とを備える。
【0098】
一方側(例えば図11では右側)の光学系92を構成する一対の第1ミラー93が反射した1エリア分ずつの光(像)は、当該一対の第1ミラー93間に配置された一対の第2ミラー94でそれぞれ反射され、図11における右側のカメラ25に共に入射する。また、他方側(例えば図11では左側)の光学系92を構成する一対の第1ミラー93が反射した1エリア分ずつの光(像)は、当該一対の第1ミラー93間に配置された一対の第2ミラー94でそれぞれ反射され、図11における左側のカメラ25に共に入射する。
【0099】
よって、1つのカメラ25でガラス壜11の裾部11cを含む周方向に異なる2つのエリアが撮像される。このため、制御装置50内の画像処理部81(図8参照)が、カメラ25から取得する画像データには、図6(a)に示す裾部11cの画像が2つ含まれる。画像切取部85は、画像データから裾部11cを1つずつ含む2つの画像領域を切り取り、それぞれを検査用画像データとする。そして、画像処理部81は、この検査用画像データに対し、底部除去処理、フィルタ処理及び両端部除去処理を順次施す。そして、得られた複数の判定用画像データを基に判定部82が裾部11cの欠陥の有無を判定する。
【0100】
なお、ガラス壜11の底部11bを検査する第2及び第3実施形態に示したカメラ90を追加し、共通の面光源24を用いてガラス壜11の底部11bの検査も行ってもよい。また、第2ミラー94からの反射光を下方又は上方へ反射させる第3ミラーを追加し、第3ミラーからの反射光をその下方又は上方に配置したカメラ25で撮像する構成を採用してもよい。この場合、一対のカメラ25のレイアウトの自由度が高まり、検査装置12のコンパクト化が可能である。さらにガラス壜11の裾部11cを含む4つのエリアのうち2つを1個のカメラ25で撮像し、他の2つのエリアを第1〜第3実施形態と同様の構成によりそれぞれ1個ずつのカメラ25で撮像する構成でもよい。
【0101】
この第4実施形態によれば、第1実施形態と同趣旨の効果の他、次の効果が得られる。
(8)ガラス壜11の裾部11cを含む周方向に異なる複数(P個)のエリアを、そのエリア数よりも少ない個数(Q個(<P))のカメラ25で撮像できる。このため、カメラ25の設置個数の低減により、検査装置12を比較的簡単な構成にできる。
【0102】
実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
・前記各実施形態において、カメラ25を容器の底部が撮像されない撮像角に設定してもよい。この場合、撮像画像に底部(明領域)を除去する画像処理を施す必要がなく、制御装置50の処理負担を軽減できる。また、裾部を正面よりもやや上側(口部側)から見た撮像角にカメラを設定してもよい。また、容器の種類に応じてカメラの撮像角を自動変更可能な機構を設けてもよい。
【0103】
・前記各実施形態において、画像処理部81が行う処理の順番は適宜変更してもよい。例えばフィルタ処理を最初に行ってもよいし最後に行ってもよい。
・面光源は容器の底面全体に光照射可能な板状に限らず、容器の底面の周縁部を照明可能な環形状でもよい。要するに、面光源は、容器の底面のうち少なくとも周縁部を一度に照明できる形状であればよい。また、面光源は、1部品に限らず、複数個の面光源部品を並べて1つの面光源を構成してもよい。また、面光源は、基材(例えば基板)上に複数の発光部が面発光可能な配列で配置された構成や、発光部自体が面発光可能な所定形状(一例として板状、ジグザグ形状、渦巻き形状など)を有する構成であればよい。
【0104】
・複数のカメラ25の配置位置は、検査対象の容器の周方向に等角度間隔となる外側位置に限定されない。例えば複数のカメラ25を、容器の周方向に不等角度間隔となる位置に配置してもよい。要するに、容器の側周面の周方向に異なるエリアを撮像でき、かつ容器の全周分の複数の画像が取得できれば、複数のカメラ25の配置位置は適宜変更できる。例えば搬送経路を挟んで対向する一対のカメラ間の角度間隔と、搬送経路に対して同じ側に位置する複数のカメラ間の角度間隔とを異ならせてもよい。
【0105】
・検査対象の容器の周方向に異なるエリアを撮像するカメラの個数は4個に限定されず、3個以上の他の個数であってもよい。例えばカメラを5個又は6個配置してもよい。また、カメラは白黒カメラでもカラーカメラでもよい。カラーカメラの場合、撮像されたカラー画像を白黒画像又はグレイスケール画像に変換したものを検査用画像としてもよい。また、カラー画像中の欠陥(反射光)を色情報を用いて検出していもよい。
【0106】
・検査装置による容器の検査対象部位は、裾部に限らず、胴部でもよい。例えば胴部が屈曲している容器を検査対象とした場合、検査装置により、容器の屈曲した胴部の欠陥を精度よく検出できる。また、検査対象の容器は、底部が凹状に屈曲したものでもよい。
【0107】
・面光源を構成する複数個の発光部は、LEDに限らず、電球、蛍光灯、ネオン管、水銀灯等のランプでもよい。また、拡散板を無くしてもよい。さらに面光源が出射する光は、可視光に限らず、赤外光(赤外線)又は紫外光(紫外線)でもよい。また、発光色は、白でもよいが、赤、黄、緑、オレンジ、青、紫などの色付き光でもよい。例えばガラス壜の色によって、画像処理後に検査に適した判定用画像が得られるように面光源の発光色を適宜選択することができる。なお、ガラス壜の色と面光源の発光色とを同系色とすることが好ましい。例えばアンバー色のガラス壜であれば、赤色光とする。また、容器の色に応じて発光色を変化させることが可能な面光源であってもよい。要するに、面光源の光は、光学的に容器の欠陥の検査が可能な波長の光(電磁波)であればよい。
【0108】
・搬送中の容器をカメラで撮像する構成に替え、搬送途中で一時停止させた容器をカメラで撮像する構成でもよい。この場合、容器は回転していても回転していなくてもよい。
・搬送部は、ベルト搬送方式に限定されない。例えば容器の口部を負圧で吸着把持して搬送する吸着搬送方式でもよい。また、容器を載せて移動する搬送台の容器載置面に面光源を配置し、その搬送台上の容器を搬送途中の検査位置で複数のカメラで容器の周方向に異なるエリアを撮像する構成でもよい。さらに搬送部はロータリー式搬送部でもよい。
【0109】
・検査対象の容器は、その軸線と直交する断面の外形が円形の円形壜に限らず、その外形が円形以外の形状の異形壜でもよい。この場合、例えば角壜である場合、その断面の外形である多角形の辺に対応する各面を複数のカメラでそれぞれ撮像することが好ましい。
【0110】
・画像処理部81による画像処理内容は、欠陥を検出可能な他の公知の画像処理内容にその一部又は全部を変更してもよい。また、判定部82による欠陥の判定方法も他の公知の判定内容に変更してもよい。例えば特徴抽出処理(一例としてパターンマッチング)により欠陥を検出してもよい。
【0111】
・画像処理部81を構成する各部85〜88と判定部82とのうち少なくとも一つを、ソフトウェアに替え、集積回路等のハードウェアで構成し、あるいはソフトウェアとハードウェアとが協働する構成としてもよい。
【0112】
・透光性を有する容器(透光容器)は、ガラス壜に限定されず、コップ等の食器、灰皿、花瓶などのガラス製の容器でもよい。また、透光性の容器は、合成樹脂製でもよく、例えばPETボトルでもよい。なお、透光性を有する容器は、透明に限らず半透明でもよく、無色でも有色でも構わない。
【0113】
前記実施形態及び変形例から把握される技術思想を以下に記載する。
(技術思想1)前記容器に対して前記面光源と反対側の位置に配置され、当該容器の口部を通じて内側から底部を撮像する第2の撮像部(90)を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の容器の検査装置。この構成によれば、共通の面光源を利用して底部も検査できる。
【0114】
(技術思想2)前記画像処理部(81)は、前記画像にフィルタ処理を施すフィルタ処理部(87)と、前記フィルタ処理後の画像から前記容器の径方向両端部を少なくとも除く検査対象エリアを切り取る切取処理部(88)とを備え、前記判定部(82)は、前記検査対象エリアの画像を基に欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項5又は6に記載の容器の検査装置。この構成によれば、画像中の容器の径方向両端部での反射光(明領域)を欠陥とする誤検出を抑制できる。
【符号の説明】
【0115】
10…検査システム、11…容器の一例であるガラス壜、11b…底部、11c…検査対象部位の一例である裾部、12…検査装置、20…検査用通路、21,22…ベルト装置、23…搬送部の一例としての搬送装置、24…面光源、25…撮像部の一例としてのカメラ、31,32…搬送部の一例を構成する搬送ベルト、33,34…搬送部の一例を構成するモータ、36…センサ、50…制御装置、61…コンピュータ、71…CPU、81…画像処理部、82…判定部、86…底部除去処理部、87…フィルタ処理部、88…両端部除去処理部、90…第2のカメラ、91…ミラー、92…光学系、93…第1ミラー、94…第2ミラー、X…搬送方向、Y…幅方向、IA…検査区間、K…欠陥、D1…画像の一例としての検査用画像データ、D2…底部除去処理後の検査用画像データ、D3…フィルタ処理後の検査用画像データ、D4…両端部除去処理後の判定用画像データ、B…径方向両端部の一例である端部領域、BE…径方向両端部。
図1
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