(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施形態〕
以下、
図1〜
図8を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aの構成及び動作を説明する。以下では、車両に用いられる負荷(例えば、AT(Automatic Transmission)のL負荷)を駆動する負荷駆動制御装置100Aを一例として説明する。
【0016】
最初に、
図1を用いて、負荷駆動制御装置100Aの全体構成を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aの構成を示すブロック図である。
【0017】
負荷駆動制御装置100Aは、主として、電源生成ブロック4、ドライバ駆動ブロック30、所定温度保持部52を備える。
【0018】
電源生成ブロック4は、電源装置1から供給される電源電圧3からスイッチング電源出力13を生成する。なお、電源装置1の負極は、GND2に接続されている。
【0019】
電源生成ブロック4は、電源制御部5、スロープ可変部16
2、ゲート駆動部7、電源スイッチングMOS9、スイッチング電源用外部ダイオード11、スイッチング電源用外部コイル素子12、温度検知部14を備える。
【0020】
電源制御部5は、フィードバックされたスイッチング電源出力13と所定の目標値との偏差が0になるように、ゲート駆動部7を制御する電源制御スイッチ信号6をゲート駆動部7に供給する。
【0021】
スロープ可変部16
2は、スロープを可変するスロープ可変信号17
2をゲート駆動部7に供給する。スロープ可変部16
2の詳細については、
図3を用いて後述する。
【0022】
ゲート駆動部7は、スロープ可変信号17
2と電源制御スイッチ信号6に基づいて、電源スイッチングMOS9のゲートを駆動する電源スイッチングMOSゲート駆動信号8を電源スイッチングMOS9に供給する。
【0023】
電源スイッチングMOS9のソース端子とコイル素子12は導体10で直列に接続される。導体10には、ダイオード11のカソード端子が接続される。
【0024】
電源スイッチングMOS9、ダイオード11、コイル素子12を介して、電源電圧3からスイッチング電源出力13が生成される。
【0025】
温度検知部14は、温度を検知するセンサであり、電力損失による発熱が大きい電源スイッチングMOS9の近傍に配置されている。温度検知部14は、検知した温度を示す温度検知部出力15をAD変換部50に供給する。
【0026】
ドライバ駆動ブロック30は、PWM駆動部31、スロープ可変部16
1、ゲート駆動部33、ハイサイドMOSFET35、ロウサイドMOSFET37、温度検知部48、電流検知部39、ソレノイド等の負荷41、検出バッファ回路44、電流値補正部46を備える。
【0027】
PWM駆動部31は、PWM制御信号32をゲート駆動部33に供給する。
【0028】
スロープ可変部16
1は、スロープ可変信号17
1をゲート駆動部33に供給する。
【0029】
ゲート駆動部33は、スロープ可変信号17
1とPWM制御信号32に基づいて、ハイサイドMOSゲート信号34とロウサイドMOSゲート信号36をハイサイドMOSFET35、ロウサイドMOSFET37にそれぞれ供給する。
【0030】
ハイサイドMOSFET35、ロウサイドMOSFET37は、ハイサイドMOSゲート信号34とロウサイドMOSゲート信号36にそれぞれ応答して、交互(相補的)にオン/オフする。ゲート駆動部33の詳細については、
図4を用いて後述する。
【0031】
ハイサイドMOSFET35及びロウサイドMOSFET37のオン/オフにより、電源電圧3からドライバ出力信号38としての負荷駆動信号40が生成される。負荷駆動信号40は負荷41に供給され、ソレノイド等の負荷41が駆動する。このとき、負荷41に負荷駆動電流42が流れる。
【0032】
なお、ハイサイドMOSFET35とロウサイドMOSFET37は、第1の負荷としての負荷41を駆動する第1のスイッチング素子に対応する。
【0033】
温度検知部48は、温度を検知するセンサであり、電源生成ブロック4と同様に、電力損失による発熱が大きいハイサイドMOSFET35、ロウサイドMOSFET37の近傍に配置されている。温度検知部48は、検知した温度を示す温度検知部出力49をAD変換部50に供給する。
【0034】
電流検知部39は、負荷41に流れる電流を検出するセンサである。電流検知部39は、検出した電流の電流値を示す電流検知信号43を検出バッファ回路44に供給する。
【0035】
検出バッファ回路44は、電流検知信号43から電流値信号45を生成し、生成した電流値信号45を電流値補正部46に供給する。
【0036】
電流値補正部46には、AD変換部出力51も入力される。電流値補正部46は、AD変換部出力51に基づいて、電流値信号45のばらつきを補正し、電流値フィードバック信号47をPWM制御部31に供給する。
【0037】
温度検知部出力15は、AD変換部50に入力され、AD変換される。同様に、温度検知部出力49は、AD変換部50に入力され、AD変換される。AD変換部50は、AD変換部出力51を所定温度保持部52に供給する。なお、AD変換部50は、マルチプレクサタイプである。
【0038】
所定温度保持部52は、AD変換部出力51に応じてスロープを可変するためのスロープ制御信号53、54をスロープ可変部16
2、16
1にそれぞれ供給する。スロープ制御信号53、54は、スロープの急化又は緩化を指示する信号である。所定温度保持部52の詳細については、
図2を用いて後述する。
【0039】
なお、前述したスロープ可変部16
1は、スロープ制御信号54に基づいて、スロープ可変信号17
1を生成する。同様に、前述したスロープ可変部16
2は、スロープ制御信号53に基づいて、スロープ可変信号17
2を生成する。その詳細については、
図3を用いて後述する。
【0040】
本実施形態の場合、AD変換部50から出力されるAD変換部出力51を電流値補正部46に入力する事によって、電流値の補正精度を上げるような構成となっている。
【0041】
本実施形態では、負荷駆動制御装置100Aの電源生成ブロック4、ドライバ駆動ブロック30、AD変換部50、所定温度保持部52は1つのチップ(例えば、ワンチップIC)に配置されている。これにより、負荷駆動制御装置の製造コストを低減することができる。なお、負荷駆動制御装置100Aには、電源装置1は含まれない。
【0042】
次に、
図2を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aに用いられる所定温度保持部52の構成を説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aに用いられる所定温度保持部52の構成を示すブロック図である。
【0043】
所定温度保持部52は、比較部52a、52b、しきい値生成部52c、52e、を備える。しきい値生成部52c、52eは、それぞれ所定のしきい値信号52d、52fを比較部52a、52bに出力する。
【0044】
比較部52a、52bは、入力されたAD変換部出力51と所定のしきい値信号52d、52fを比較し、比較結果に応じてスロープ制御信号53、54を出力する。なお、本実施形態では比較回路を2個のみ記載しているが、もちろん比較回路の数を多くする事によって、より多数のしきい値の設定、及び比較が可能である事は明白である。
【0045】
ここで、
図2の分岐点P1において、所定温度保持部52は、AD変換部出力51が温度検知部14に由来するものである場合、比較部52aに出力を切替える。一方、所定温度保持部52は、AD変換部出力51が温度検知部48に由来するものである場合、比較部52bに出力を切替える。
【0046】
しきい値生成部52c、52eは、メモリを備え、メモリに記憶した所定のしきい値を読み出すことにより、所定のしきい値を生成している。
【0047】
次に、
図3を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aに用いられるスロープ可変部16(16
1、16
2)の構成を説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aに用いられるスロープ可変部16(16
1、16
2)の構成を示すブロック図である。
【0048】
スロープ可変部16は、所定時間計測部16a、電流値可変信号生成部16c、電流源回路16f、スイッチ回路16gを備える。
【0049】
所定時間計測部16aは、入力されたスロープ制御信号53(54)に応じて、所定時間経過後に所定時間経過信号16bを出力する。
【0050】
電流値可変信号生成部16cは、スロープ制御信号53(54)、もしくは所定時間経過信号16bに応じて、電流値可変信号16dを出力する。電流値可変信号16dは
図3に示すように、スイッチ回路16gに供給される。
【0051】
スイッチ回路16gは、電流値可変信号16dに基づいて、スイッチ回路16gを構成する各スイッチのON/OFF切替を行う。電流値可変信号16は、各スイッチのON/OFFを指示する信号である。
【0052】
またスイッチ回路16gには電流源回路16fが接続されており、スイッチ回路16gのON/OFF切替に応じて異なる電流値の電流を供給出来るようになっている。
【0053】
この電流はスロープ可変信号17として、ゲート駆動部7、33に供給される。電流源回路16fには、電源16e(ゲート駆動電源)から所定の電圧が印加される。
【0054】
本実施形態では、例えば、スロープの急化を指示するスロープ制御信号53を受信するごとに、スロープ可変部16は、スイッチ回路16gを構成するスイッチを順次閉じる。逆に、緩化を指示するスロープ制御信号53を受信するごとに、スロープ可変部16は、スイッチ回路16gを構成するスイッチを順次開放する。これにより、電流源の電流値の整数倍の電流値を持つスロープ可変信号17が生成される。
【0055】
次に、
図4を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aに用いられるゲート駆動部33の構成を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aに用いられるゲート駆動部33の構成を示すブロック図である。
【0056】
ゲート駆動部33は、駆動電流生成部33a、ハイサイド電流源回路33g、ハイサイドMOSドライバ回路33k、ロウサイド電流源回路33i、を備える。また、ゲート駆動部33は、ハイサイド電流源回路33o、ロウサイドMOSドライバ回路33s、ロウサイド電流源回路33qを備える。
【0057】
駆動電流生成部33aは、入力されたスロープ可変信号17に応じてハイサイドMOSFET35、ロウサイドMOSFET37のゲート駆動電流の基準電流値信号33c〜33fを生成する。例えば、スロープを急化する場合、スロープ可変信号17は、電流源の整数倍で大きくなる。このとき、基準電流値信号33c〜33fは、電流源の整数倍に比例して大きくなる。
【0058】
ハイサイド電流源回路33gは、ゲート駆動電流の基準電流値信号33cに応じたハイサイドチャージ電流33hをMOSドライバ回路33kに供給する。例えば、ハイサイドチャージ電流33hは、ゲート駆動電流の基準電流値信号33cに比例して大きくなる。
【0059】
ロウサイド電流源回路33iは、ゲート駆動電流の基準電流値信号33dに応じたハイサイドディスチャージ電流33jをMOSドライバ回路33kに供給する。例えば、ロウサイド電流源回路33iは、ゲート駆動電流の基準電流値信号33dに比例して大きくなる。
【0060】
MOSドライバ回路33kは、ハイサイドMOSドライブ信号33lに基づいて、直列接続された2個のスイッチング素子を交互にオン/オフする。これにより、ハイサイドチャージ電流33hとハイサイドディスチャージ電流33jが交互に切り替わり、ハイサイドMOSゲート信号34が生成される。
【0061】
同様に、ハイサイド電流源回路33oは、ゲート駆動電流の基準値信号33eに応じたロウサイドチャージ電流33pをロウサイドMOSドライバ回路33sに供給する。
【0062】
ロウサイド電流源回路33qは、ゲート駆動電流の基準値信号33fに応じたロウサイドディスチャージ電流33rをロウサイドMOSドライバ回路33sに供給する。
【0063】
ロウサイドMOSドライバ回路33sは、ロウサイドMOSドライブ信号33tに基づいて、直列接続された2個のスイッチング素子を交互にオン/オフする。これにより、ハイサイドチャージ電流33pとハイサイドディスチャージ電流33rが交互に切り替わり、ハイサイドMOSゲート信号36が生成される。
【0064】
なお、電源生成ブロック4側のゲート駆動部7では、本構成のうちロウサイドMOSドライバ回路33s側のみを備えた構成となっている。
【0065】
なお、ハイサイドMOSドライブ信号33l、ロウサイドMOSドライブ信号33tのうち、一方は、PWM制御信号32を入力信号としたものであるが、他方は、入力信号を反転したものである。
【0066】
次に、
図5を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aにおけるゲート駆動電流と負荷駆動信号との関係を説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aにおけるゲート駆動電流と負荷駆動信号との関係を示す図である。
【0067】
図5において、横軸はゲート駆動電流107(
図4におけるチャージ電流(33h、33p)、ディスチャージ電流(33p、33r))であり、電流値が大きくなると、負荷駆動信号40のスロープが急峻になる事を示している。
【0068】
ゲート駆動電流107が小さい場合(107a)、負荷駆動信号40のスロープは波形100に示すように緩くなる。ゲート駆動電流107が大きくなると(107b)、スロープは波形101のように急峻となり、さらに大きくなると(107c)、さらにスロープは波形102のように急峻となる。
【0069】
次に、
図6を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aにおける負荷駆動信号とスイッチング損失の関係を説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aにおける負荷駆動信号とスイッチング損失の関係を示す図である。
【0070】
図6において、横軸は負荷駆動信号40のスロープ109を示し、縦軸はその時のスイッチング損失108を示す。スロープ109が緩い場合(109a)は、スイッチング損失108は大きく発熱も多くなる。
図6は、スロープ109が急峻になった場合(109b)(109c)は、急峻になればなるほどスイッチング損失108も小さくなり、発熱も少なくなる事を示している。
【0071】
次に、
図7を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aの動作を説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0072】
図7では、負荷駆動制御装置の温度が可変する要素のうち、負荷駆動電流42が変動した場合の動作について説明する。またAD変換部出力51は、所定温度保持部52に入力された後、所定のしきい値(109a、109b)という所定の温度差を持ったしきい値に比較されるようになっている。
【0073】
負荷駆動電流42が42aに示すように低い値の場合、負荷に流れる負荷駆動電流値と負荷駆動を行うMOSFETのオン抵抗とで計算される損失も小さい為、発熱も少ない。
【0074】
よってEMIの影響を小さくするために、負荷のPWM駆動を行う負荷駆動信号40のスロープが最も緩やかな波形100(スロープ1)で駆動されている。この時、ADC変換部出力51はしきい値109a、109bの所定の温度幅の中に入っている。またこの時、スロープ可変信号17は17aの値となっている。
【0075】
次にタイミング200において、負荷駆動電流42が42aから42bへと増加すると、MOSFETの損失が増大し、発熱が増える事となる、これによって、ADC変換部出力51は51aに示すように、出力波形が持ち上がるようになる。
【0076】
そしてしきい値109aを越えると、比較部52aによって比較検出され、タイミング201において、スロープ制御信号(急化)54aが出力される事となる。これに応じて、スロープ可変信号17も17aから17bに変化し、MOSFETのゲートへのチャージ電流、ディスチャージ電流が変化してスロープは急峻となり、波形101のスロープ2の状態へと変化する。
【0077】
このスロープの急峻化によって、スイッチングの損失が低下し発熱が減少するため、AD変換部出力51は低下する。よって、外的な条件(この場合は負荷駆動電流42の増加)の変動が起こった場合でも、自動的にスロープを可変して所定の温度範囲に収まるように制御するため、発熱による影響を最低限に抑える事が可能となる。
【0078】
タイミング202において負荷駆動電流42が42bから42cへと変動した時も同様な動作を行い、スロープ可変信号が17bから17cに変化し、MOSFETのゲートへのチャージ電流、ディスチャージ電流が変化してスロープは急峻となり、波形102のスロープ3の状態へと変化する。これにより発熱が減少してAD変換部出力51は低下するので、負荷駆動制御装置の温度を所定の範囲内に収める事が可能となる。
【0079】
タイミング204では逆に負荷駆動電流42が42cから42dへと減少した場合について説明している。この場合、負荷駆動電流42の減少に伴って損失が減り、発熱が低下して温度が下がる。よって
図7の51cに示すように、AD変換部出力51は下側のしきい値109bを越えて低下し、スロープ制御信号(緩化)54cが出力される。
【0080】
これによってスロープ可変信号17は17cから17dに減少するので、タイミング205において上記とは逆にスロープは波形102(スロープ3)から波形101(スロープ2)へとより緩やかなスロープへと変化する。このスロープの緩化によって損失が増加し、MOSFETの発熱が増加するので、AD変換部出力51は上昇する。
【0081】
つまり、本実施形態では、第1のスロープ可変部16
1が、所定温度保持部52、ゲート駆動部33と協働し、第1のスイッチング素子(
図1のMOSFET35及び37)の周囲温度がしきい値H1(
図7の符号109a)以上の場合に、第1のスイッチング素子(MOSFET35及び37)のゲートに充放電する電流を示す第1のゲート駆動電流を単位量(
図3に示す電流源回路16fが供給する電流値の単位)だけ大きくし、前記第1のスイッチング素子の周囲温度がしきい値L1(
図7の符号109b)以下の場合に、前記第1のゲート駆動電流を前記単位量だけ小さくする。ここで、しきい値H1はしきい値L1よりも大きい。これにより、負荷の駆動を可能な限り維持することができる。
【0082】
さらにここでは、本実施形態におけるもう一つの特徴を説明する。51cにおいて、スロープの緩化によって発熱が増えてAD変換部出力51は上昇するが、上昇量が少なくしきい値109bを超えないため、54cに示すようにスロープ制御信号(緩化)が出力し続ける事となる。
【0083】
この時、スロープ可変部16において所定時間計測部により所定時間が計測され、所定時間経過信号16bが出力されて電流値可変信号生成部16cに入力されるので、スロープ可変信号17は
図7の110で示す所定時間T1経過後に、17dから17eに変化する。
【0084】
これによって、PWM駆動信号のスロープはタイミング206においてより緩やかな波形100(スロープ1)へと変化するので、損失が増加して発熱が増え、AD変換部出力51が上昇する。これによって、スロープを可変した後でも、AD変換部出力51が所定のしきい値範囲幅に到達しない場合は、所定時間後に自動的に再度スロープが可変され、スロープの可変を行う事が可能な構成となっている。
【0085】
つまり、本実施形態では、第1のスロープ可変部16
1は、所定温度保持部52、ゲート駆動部33と協働し、第1のスイッチング素子(
図1のMOSFET35及び37)の周囲温度が前記しきい値L1(
図7の符号109b)以下であり、且つ、所定時間T1が経過した場合、第1のゲート駆動電流を単位量だけ小さくする。これにより、スロープが緩化し、EMIノイズの発生を抑制することができる。
【0086】
次に、
図8を用いて、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aの別の動作を説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態である負荷駆動制御装置100Aの別の動作を説明するタイミングチャートである。
【0087】
図8において、240は負荷駆動制御装置の周囲温度を示し、周囲温度240が変化した場合の動作について説明する。
【0088】
最初、EMIの影響を小さくするために、負荷のPWM駆動を行う負荷駆動信号40のスロープが最も緩やかな波形100(スロープ1)で駆動されている。周囲温度240が240aに示すように低い場合、ADC変換部出力51はしきい値109a、109bの所定の温度幅の中に入っている。
【0089】
またこの時、スロープ可変信号17は17aの値となっている。ここで、周囲温度240が上昇し、ADC変換部出力51がタイミング241でしきい値109aを越えると、比較部52aによって比較検出され、スロープ制御信号(急化)54aが出力される事となる。
【0090】
これに応じて、スロープ可変信号17も17aから17bに変化し、MOSFETのゲートへのチャージ電流、ディスチャージ電流が変化してスロープは急峻となり、波形100(スロープ1)から波形101(スロープ2)の状態へと変化する。
【0091】
このスロープの急峻化によって、スイッチングの損失が低下し発熱が減少するため、AD変換部出力51は低下する。この後、周囲温度240が240bに示すように上昇を続けた場合でも、タイミング243で同様の動作となり、波形101(スロープ2)から波形102(スロープ3)の状態へと変化する。
【0092】
このスロープの急峻化によって、スイッチングの損失が低下し発熱が減少するため、AD変換部出力51は低下する。またタイミング246において周囲温度240が低下した場合でも、
図7の場合と同様な動作となり、逆にスロープが緩化して波形102(スロープ3)から波形101(スロープ2)の状態へと変化し、所定時間110経過後にさらに波形100(スロープ1)へと変化する。
【0093】
よって、このような動作により、外的な条件(この例の場合は周囲温度の変化)の変動が起こった場合でも、自動的にスロープを可変して所定の温度範囲に収まるように制御するため、発熱による影響を最低限に抑える事が可能となる。
【0094】
また通常はEMI対策のために緩やかなスロープに設定しておき、周囲温度240や負荷駆動電流42が増加して装置の保護が必要となった場合のみスロープを急峻にして発熱を低下させた状態で動作を継続させるといった保護機能の付いた負荷駆動制御装置を実現出来る。
【0095】
なお、本実施形態においては、主にドライバ駆動ブロック30の動作を中心に説明を行ったが、電源生成ブロック4の動作についても同様であり、温度検知部14の出力によってゲート駆動部7の電流値を制御してスロープを可変し、スイッチングMOSFET9の発熱を低減させる事により、動作を継続させるといった保護機能を持った負荷駆動制御装置を実現する事が出来る。
【0096】
また、本実施形態においては、AD変換部を設けて、AD変換された値を所定温度保持部52に入力して比較を行っているが、このAD変換は必須ではなく、アナログ信号のままで同様な処理を行い、スロープ制御を行って発熱を低減させる事により、過温度状態の保護を行い、動作を継続させる事も勿論可能である。
【0097】
〔第2の実施形態〕
次に、
図9〜
図11を用いて、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bの構成及び動作を説明する。
【0098】
最初に、
図9を用いて、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bの全体構成を説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bの構成を示すブロック図である。なお、
図9において、
図1と同一部分には同一符号を付す。
【0099】
図1と比較して、
図9に示す負荷駆動制御装置100Bは、特に、周波数可変部60(60
1、60
2)を備える点が異なる。
【0100】
周波数可変部60(60
1、60
2)は、所定温度保持部52の出力に応じて、電源生成ブロックのゲート駆動スイッチング周波数を可変する、もしくはドライバ駆動ブロック30のPWM駆動周波数を可変する。
【0101】
周波数可変部60
1から出力される周波数可変信号61
1は電源制御部5に入力される。一方、周波数可変部60
2から出力される周波数可変信号61
2はPWM制御部31に入力される。それ以外は、第1実施形態と同様である。
【0102】
次に、
図10を用いて、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bに用いられる周波数可変部60(60
1、60
2)の構成を説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bに用いられる周波数可変部60の構成を示すブロック図である。
【0103】
周波数可変部60(60
1、60
2)は、所定時間計測部60a、周波数可変信号生成部60b、所定周波数生成部60c、60e、切替スイッチ60hを備える。
【0104】
所定時間計測部60aは、入力されたスロープ制御信号54から所定時間を計測し、所定時間経過信号を周波数可変信号生成部60bに供給する。
【0105】
周波数可変信号生成部60bは、所定時間経過信号60iもしくは入力されたスロープ制御信号54に応じて所定の周波数の切替を行う周波数可変信号60gを生成し、生成した周波数可変信号60gを切替スイッチ60hに供給する。
【0106】
所定周波数生成部60c、60eは、それぞれ所定の周波数信号60d、60fを生成し、生成した周波数信号60d、60fを切替スイッチ60hに供給する。なお、所定周波数生成部60c、60eは、メモリを備え、メモリに記憶した所定周波数を読み出すことにより、所定の周波数信号60d、60fを生成する。
【0107】
切替スイッチ60hは、周波数切替信号60gに応じて周波数信号の切替を行い、切替により選択した周波数信号を周波数可変信号61として出力する。
【0108】
次に、
図11を用いて、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bの動作を説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態である負荷駆動制御装置100Bの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0109】
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、電源電圧3の上昇によってAD変換部出力51が所定のしきい値109a、109bを越えると、スロープ制御信号54が出力されてスロープを可変し、発熱を低減させながら、負荷駆動制御装置は動作を継続する(
図11のタイミング261、タイミング264参照)。
【0110】
またこの時、電源生成ブロック4の電源スイッチングMOS9を駆動するスイッチング周波数は、所定周波数1となっている。
【0111】
次に、タイミング266において、周囲温度240が240bに示すように上昇を始めた場合(例えば、渋滞などにより車両が停止した場合)、51cに示している通り、AD変換部出力51も上昇する。
【0112】
そしてタイミング267においてしきい値109aを越えると、スロープ制御信号54が出力され、第1実施形態と同様に、スロープは急化して、波形102(スロープ3)から波形103(スロープ4)に切り替わる。
【0113】
しかし周囲温度は上がっているので、51dに示すようにAD変換部出力51はさらに上昇を続けるため、スロープ制御信号54はハイを継続する。そして、所定時間計測部60aによって計測された所定時間269後のタイミング268において、所定時間経過信号60iが出力され、これによって
図11に示すように周波数切替信号60gが出力されて、電源スイッチングMOS9のスイッチング周波数は所定周波数1から所定周波数2へと切り替えられる。
【0114】
一般的には、周波数が高いと、スイッチングによる電力損失が増大して発熱が大きくなる事が知られている。よって、本実施形態の場合も、周波数条件は(所定周波数1>所定周波数2)となっており、より低い周波数へと切り替えられる事となる。
【0115】
このような動作によって、スロープを切り替えても発熱が多くてAD変換部出力51が低下しない場合でも、スイッチング周波数を切替えて周波数を低下させる事によって、さらに発熱を低下させる事が可能となる。これにより、電源を生成したり、負荷を駆動したりといった動作を継続させるといった保護機能を持った負荷駆動制御装置を実現する事が出来る。
【0116】
つまり、本実施形態では、周波数可変部60
2は、所定温度保持部52、電源制御部5、ゲート駆動部7等と協働し、第1のスイッチング素子(
図9のMOSFET35及び37)の周囲温度がしきい値H1(
図11の符号109a)以上であり、且つ、所定時間T2が経過した場合、電源用スイッチング素子(
図9のMOSFET9)のスイッチング周波数を小さくする。
【0117】
なお、本実施形態では電源生成ブロック4についての動作を述べているが、同様な効果はドライバ駆動ブロック30についても言える事は明白である。
【0118】
〔第3の実施形態〕
次に、
図12〜
図13を用いて、本発明の第3の実施形態である負荷駆動制御装置100Cの構成及び動作を説明する。
【0119】
最初に、
図12を用いて、本発明の第3の実施形態である負荷駆動制御装置100Cの全体構成を説明する。
図12は、本発明の第3の実施形態である負荷駆動制御装置100Cの構成を示すブロック図である。なお、
図12において、
図9と同一部分には同一符号を付す。
【0120】
図9と比較して、
図12に示す負荷駆動制御装置100Cは、所定温度保持部にしきい値信号71が入力される点が異なる。
【0121】
図12において、周波数可変部60
2は所定温度保持部52から出力される周波数制御信号70によって制御されている。また、所定温度保持部52には、外部からしきい値信号71が入力されている。それ以外は第2実施形態と同様である。
【0122】
次に、
図13を用いて、本発明の第3の実施形態である負荷駆動制御装置100Cの動作を説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態である負荷駆動制御装置100Cの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0123】
第3実施形態では、所定温度保持部52にしきい値信号71が入力されており、
図13に示している通りAD変換部出力51はこのしきい値信号71と比較されている。そしてタイミング268においてAD変換部出力51がこのしきい値71を越えると、周波数制御信号70が出力されて、電源スイッチングMOS9のスイッチング周波数は所定周波数1から所定周波数2へと切り替えられる。
【0124】
つまり、本実施形態では、周波数可変部60
2は、第1のスイッチング素子の周囲温度(
図12のMOSFET35及び37)がしきい値H2(
図13の符号71)以上の場合、前記電源用スイッチング素子(
図12のMOSFET9)のスイッチング周波数を小さくする。ここで、しきい値H2は前記しきい値H1よりも大きい。
【0125】
これによって、第2実施形態と同様に、スイッチング周波数を切替えて周波数を低下させる事によって、さらに発熱を低下させる事が可能となる。これにより、電源を生成したり、負荷を駆動したりといった動作を継続させるといった保護機能を持った負荷駆動制御装置を実現する事が出来る。
【0126】
また、本実施形態によれば、マイコン等でしきい値71をフレキシブルに変更できる。
【0127】
〔第4の実施形態〕
次に、
図14〜
図15を用いて、本発明の第4の実施形態である負荷駆動制御装置100Dの構成及び動作を説明する。
【0128】
最初に、
図14を用いて、本発明の第4の実施形態である負荷駆動制御装置100Dの全体構成を説明する。
図14は、本発明の第4の実施形態である負荷駆動制御装置100Dの構成を示すブロック図である。なお、
図14において、
図12と同一部分には同一符号を付す。
【0129】
図14において、ゲート駆動部7、及び33の前段に遮断用ゲート84、81が付加されている。また遮断用ゲート84、81にはそれぞれ、所定温度保持部52からスイッチング駆動停止信号83、及びドライバ駆動停止信号80が入力されるようになっている。それ以外は第3の実施形態と同様である。
【0130】
次に、
図15を用いて、本発明の第4の実施形態である負荷駆動制御装置100Dの動作を説明する。
図15は、本発明の第4の実施形態である負荷駆動制御装置100Dの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0131】
図15において、タイミング261、タイミング264での動作は、第1〜第3の実施形態と同様な動作となり、AD変換部出力51がしきい値を越えると、スロープ制御信号54が出力されて、スロープが可変する。波形100(スロープ1)から波形102(スロープ3)に切り替わる。
【0132】
またタイミング267、タイミング268における動作も、第2実施形態、第3実施形態と同様で、周囲温度240の上昇に伴ってAD変換部出力51も上昇し、スロープ制御信号54が出力されて、波形102(スロープ3)から波形103(スロープ4)に切り替わり(タイミング267)、その後AD変換部出力51がしきい値71aを越えると、周波数制御信号70が出力されて、電源スイッチングMOS9のスイッチング周波数は所定周波数1から所定周波数2へと切り替えられる(タイミング268)。
【0133】
本実施形態では、この状態でもまだ周囲温度240の上昇が継続し、AD変換部出力51も上昇を続けている。この場合、所定温度保持部52に外部から入力されているしきい値信号71によって設定されている所定しきい値71bを越えると、ドライバ駆動停止信号80が出力される。
【0134】
本ドライバ駆動停止信号80は、遮断用ゲート81に入力されて、PWM制御信号32をゲートし、PWM駆動信号82を出力する。これによって、ドライバ駆動ブロック30の動作は停止する事となり、発熱の防止を抑える事が出来る。
【0135】
さらにAD変換部出力51が上昇してしきい値71cを超えると、スイッチング駆動停止信号83が出力される。本ドライバ駆動停止信号83は、遮断用ゲート84に入力されて、電源制御スイッチ信号6をゲートし、スイッチング駆動信号85を出力する。これによって、電源生成ブロック4の動作は停止する事となり、発熱の防止を抑える事が出来る。
【0136】
このように、AD変換部出力51に応じて、まずスロープの可変を行い、次に駆動周波数を可変し、最後に停止するといった手順を踏む事で、高温の環境下においても、即装置の停止が発生せず、自分自身で自動的に発熱を低減させながら動作を継続し、最後に自己保護のために回路を停止させるような動作を実現させる事が出来、信頼性の高い負荷駆動制御装置を提供する事が可能となる。
【0137】
また本実施形態のように、電源を生成する電源生成ブロックと、負荷を駆動するドライバ駆動ブロックの両方を同時に制御する場合、電源生成ブロック4を停止させる電源停止しきい値(
図15の71cに示す)と、ドライバ駆動ブロック30を停止させるドライバ停止しきい値(
図15の71bに示す)とでは、電源停止しきい値(71c)>ドライバ停止しきい値(71b)というふうに、電源停止しきい値(71c)の方がより高いしきい値に設定されるようにされる。
【0138】
これによって、電源生成ブロック4は最後まで動作を継続する事が出来るので、負荷駆動制御装置の信頼性をより高める事が可能となる。
【0139】
つまり、本実施形態では、第1の遮断用ゲート(
図14の遮断用ゲート81)は、所定温度保持部52、PWM制御部31、ゲート駆動部33等と協働し、第1のスイッチング素子(
図14のMOSFET35及び37)の周囲温度がしきい値H3(
図15の符号71b)以上の場合、第1のスイッチング素子の駆動を停止する。ここで、しきい値H3はしきい値H2よりも大きい。
【0140】
また、本実施形態では、電源遮断用ゲート(
図14の遮断用ゲート84)は、所定温度保持部52、電源制御部5、ゲート駆動部7等と協働し、第1のスイッチング素子(
図14のMOSFET35及び37)の周囲温度がしきい値H4(
図15の符号71c)以上の場合、前記電源用スイッチング素子(
図14のMOSFET9)の駆動を停止する。ここで、しきい値H4はしきい値H3よりも大きい。
【0141】
〔第5の実施形態〕
次に、
図16〜
図18を用いて、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eの構成及び動作を説明する。
【0142】
最初に、
図16を用いて、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eの全体構成を説明する。
図16は、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eの構成を示すブロック図である。なお、
図16において、
図14と同一部分には同一符号を付す。
【0143】
図14と比較して、負荷駆動制御装置100Eは、2つのドライバ駆動ブロック30a、30bを備える点と優先度設定部90を備える点が異なる。
【0144】
ドライバ駆動ブロック30a、30bは、それぞれ個別の負荷41a、41bを駆動する。
【0145】
優先度設定部90で生成された優先設定しきい値a(91)と優先設定しきい値b(92)が出力され、ドライバ駆動ブロック30a、30bそれぞれの所定温度保持部52に入力されるような構成となっている。
【0146】
優先度設定信号93は、外部制御媒体(例えばCPUなど)から優先度設定部90に入力される。
【0147】
次に、
図17を用いて、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eに用いられる優先度設定部90の構成を説明する。
図17は、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eに用いられる優先度設定部90の構成を示すブロック図である。
【0148】
優先度設定部90は、しきい値生成部90a〜90d、スイッチ回路90e、90fを備える。しきい値生成部90a〜90dには、90a〜90dはそれぞれ異なるしきい値が設定されている。スイッチ回路90e、90fは、優先度設定信号93に応じてしきい値を選択し、選択したしきい値を出力する。ここで、スイッチ回路90e、90fは、優先度設定信号93に応じて、優先度の低い負荷が先に停止するようにしきい値生成部90a〜90dを切替える。
【0149】
次に、
図18を用いて、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eの動作を説明する。
図18は、本発明の第5の実施形態である負荷駆動制御装置100Eの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0150】
所定温度保持部52におけるしきい値は、優先度設定しきい値91、92によって設定され、本実施形態ではドライバ駆動ブロック30a側の優先設定しきい値(91)の方が、より低い値に設定されている。
【0151】
よって、
図18のタイミングチャートに示すように、周囲温度240が上昇した場合、ドライバ駆動ブロック30a側のAD変換部出力51aが上昇し、スロープ制御信号54aの方が先に出力され、PWM駆動信号82aに示すように、タイミング290、291、292において波形100(スロープ1)から波形103(スロープ4)への変化が先に発生する。そして最後にドライバ駆動停止信号80aが出力されて、まずドライバ駆動ブロック30a側の方が停止する。
【0152】
他方、周囲温度の上昇によって、AD変換部出力51bも上昇する。しかし、ドライバ駆動ブロック30b側の優先設定しきい値(92)はドライバ駆動ブロック30a側よりも高めに設定されているため、スロープ制御信号54bは出力されない。
【0153】
そして、上記のようにドライバ駆動ブロック30a側のスロープが可変され、さらにドライバの動作が停止したタイミング293において、優先設定しきい値(92)を越えて、スロープが波形100(スロープ1)から波形101(スロープ2)へと変化する。その後も同様な動作となって、AD変換部出力51bの上昇とともにスロープが変化し、最後はドライバ駆動停止信号80bが出力されて、ドライバ駆動ブロック30b側の方も停止する。
【0154】
つまり、本実施形態では、第1の遮断用ゲート(
図16の遮断用ゲート81
1)は、第1のスイッチング素子(
図16のMOSFET35
1及び37
1)の周囲温度がしきい値H3以上の場合、前記第1のスイッチング素子の駆動を停止する。ここで、前記しきい値H3は前記しきい値H2よりも大きい。
【0155】
一方、第2のスロープ可変部(
図16のスロープ可変部16
2)は、第2のスイッチング素子(
図16のMOSFET35
2及び37
2)の周囲温度がしきい値H3以上の場合に、前記第2のスイッチング素子のゲートに充放電する電流を示す第2のゲート駆動電流を前記単位量だけ大きくする。
【0156】
また、第2の遮断用ゲート(
図16の遮断用ゲート81
2)は、第2のスイッチング素子の周囲温度がしきい値H6以上の場合、前記第2のスイッチング素子の駆動を停止する。ここで、前記しきい値H6は前記しきい値H3よりも大きい。
【0157】
このように、優先度設定部90によって、異なった値のしきい値をそれぞれのドライバ駆動ブロックに設定する事により、例えば優先度の低い負荷(吸排気のバルブタイミングを変える装置に用いられるコイル)については、早めにスロープの可変や周波数の可変を行ったり、停止させたりして、優先度の高い負荷をより最後まで動作可能となるような制御を行う事が出来るので、負荷駆動制御装置の信頼性をより高める事が可能となる。
【0158】
また本実施形態では、ドライバ駆動ブロックで動作を説明しているが、第1実施形態のように、ドライバ駆動ブロックと電源生成ブロックとを組み合わせた構成においても、本実施形態で説明した優先度設定部による保護が可能な事は明白である。
【0159】
またこの場合、ドライバ駆動ブロックの優先度設定しきい値が、電源生成ブロックの優先度設定しきい値より低く設定する事によって、電源生成ブロックの動作を、ドライバ駆動ブロックよりもより長く動作継続させる事が可能となる。
【0160】
これによって、電源生成ブロックによって生成される電源を最後まで確保出来るので、CPUなど制御装置等を最後まで正常に動作をさせ続ける事が可能となり、負荷駆動制御装置の信頼性をより高める事が可能となる。
【0161】
〔第6の実施形態〕
次に、
図19〜
図20を用いて、本発明の第6の実施形態である負荷駆動制御装置100Fの構成及び動作を説明する。
【0162】
最初に、
図19を用いて、本発明の第6の実施形態である負荷駆動制御装置100Fの全体構成を説明する。
図19は、本発明の第6の実施形態である負荷駆動制御装置100Fの構成を示すブロック図である。なお、
図19において、
図16と同一部分には同一符号を付す。
【0163】
図19において、温度検知部48から出力された温度検知部出力49がCPU部300に入力されるようになっている。またCPU部300から出力されたスロープ切替信号301が、電源生成ブロック4、及びドライバ駆動ブロック30の各スロープ可変部16に入力されるようになっている。
【0164】
本実施形態では、電源生成ブロック4及びドライバ駆動ブロック30が組み込まれるワンチップICが配置される基板上に、1つの温度検知部48が配置されている。つまり、ワンチップICと温度検知部48は別体である。
【0165】
またドライバ駆動ブロック30においては、検出バッファ回路44の出力である電流値信号45がCPU部300に入力され、CPU部300で演算処理されて、PWM制御信号32をゲート駆動部33に出力するような構成となっている。
【0166】
また同時に温度検知部出力49は過温度保護部303にも入力され、温度検知部出力49が所定のしきい値以上になると、過温度保護遮断信号304を出力する。それ以外は、他の第1の実施形態〜第5の実施形態と同様である。
【0167】
次に、
図20を用いて、本発明の第6の実施形態である負荷駆動制御装置100Fの動作を説明する。
図20は、本発明の第6の実施形態である負荷駆動制御装置100Fの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0168】
最初、温度検知部出力49は十分に低く、PWM駆動信号はスロープ1で動作しているが、周囲温度240や電源電圧3の条件によって発熱が増え温度検知部出力49が上昇する。この時、本実施形態では温度検知部出力49はCPU部300に入力されているので、CPU部300の内部に設定されているしきい値425aと比較されて、タイミング320においてCPU部300からスロープ切替信号301aが出力され、PWM駆動信号は波形100(スロープ1)から波形101(スロープ2)に変化する。
【0169】
この後も同様に、温度検知部49に応じて、スロープ切替信号301が出力されてスロープが変化し、最後に温度検知部49がしきい値425dを超えると、CPU部300はPWM制御信号32の出力を止めて、ドライバ駆動ブロック30の動作を停止する。
【0170】
さらに温度検知部出力49が上昇し、過温度保護部303内部に設定された遮断しきい値426を越えると、過温度保護遮断信号304が出力され、スイッチング駆動信号85がマスクされて、電源生成ブロック4が動作停止となる。
【0171】
つまり、本実施形態では、制御部(
図19のCPU部300)は、N個のしきい値Th(i)(i=1、2、・・・、N)と第1のスイッチング素子(
図19のMOSFET35及び37)のゲートに充放電する電流を示す第1のゲート駆動電流の電流値とを対応付けて記憶し、第1のスイッチング素子の周囲温度が前記しきい値Th(i)(
図20の符号425a〜425d)以上の場合に、前記第1のゲート駆動電流が前記しきい値Th(i)に対応する電流値になるように前記スロープ可変部(
図19のスロープ可変部16
2)を制御する。ここで、しきい値Th(i+1)はしきい値Th(i)より大きい。
【0172】
このように、本実施形態では、温度検知部48から出力される温度検知部出力49をCPU部300に取り込み、CPU部300の内部で設定したしきい値425a〜425dと比較を行って、スロープ切替信号301によって任意にスロープを調整する事が出来る。
【0173】
また、本実施形態によれば、マイコン等でしきい値425a〜425d,426をフレキシブルに変更できる。
【0174】
なお本実施形態では、CPU部内部で設定されるしきい値(425a〜425d)は、過温度遮断しきい値426よりも低いしきい値に設定されるようにされる。
【0175】
これによって、電源生成ブロック4はドライバ駆動ブロック30よりも長く動作を継続する事が出来るので、電源低下によるCPU部300のリセットなどが無く、負荷駆動制御装置の信頼性をより高める事が可能となる。
【0176】
〔第7の実施形態〕
次に、
図21〜
図22を用いて、本発明の第7の実施形態である負荷駆動制御装置100Gの構成及び動作を説明する。
【0177】
最初に、
図21を用いて、本発明の第7の実施形態である負荷駆動制御装置100Gの全体構成を説明する。
図21は、本発明の第7の実施形態である負荷駆動制御装置100Gの構成を示すブロック図である。なお、
図21において、
図19と同一部分には同一符号を付す。
【0178】
本実施形態では、CPU部300には温度検知部からの出力は入力されず、電源電圧3のみが入力されるような構成となっている。また所定のドライバ駆動条件に応じてCPU部300によってドライバの駆動スロープを切り替えるために、条件テーブル310を備え、条件テーブル310からの条件入力信号311に応じてスロープ切替信号301を出力するような構成となっている。
【0179】
次に、
図22を用いて、本発明の第7の実施形態である負荷駆動制御装置100Gの動作を説明する。
図22は、本発明の第7の実施形態である負荷駆動制御装置100Gの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0180】
最初、PWM駆動信号はスロープ1で動作しているが、電源電圧3が上昇してCPU部300内部に設定されたしきい値430を越えると、タイミング320においてCPU部300からスロープ切替信号301aが出力され、PWM駆動信号は波形100(スロープ1)から波形101(スロープ2)に変化する。
【0181】
また、負荷を駆動する条件(例えばDuty等)を可変させた場合、所定の条件での駆動を継続させた場合に、自動的にスロープ切替信号301を出力して、スロープを可変したり、ドライバ駆動ブロックを停止させたりする。
【0182】
またこれら負荷を駆動する条件と設定するスロープは条件テーブル310に記憶されており、条件テーブル310から入力される条件入力信号311に応じてスロープを設定する事により、様々な条件に最適なスロープ設定を行う事が可能となる。
【0183】
ここで、条件テーブル310には、電流値、デューティー比、電圧、時間などのパラメータと発熱(温度)が対応付けて記憶されている。
【0184】
即ち、条件テーブル310は、第1のスイッチング素子(MOSFET35及び37)を駆動する条件とこの条件における前記第1のスイッチング素子の周囲温度の予測値とを対応付けて記憶する。
【0185】
本実施形態では、制御部(CPU部300)は、第1のスイッチング素子(
図19のMOSFET35及び37)を駆動する条件に対応する第1のスイッチング素子の周囲温度の予測値を前記条件テーブルから取得し、取得した予測値が高くなるにつれて前記ゲート駆動電流が大きくなるようにスロープ可変部16を制御する。
【0186】
このような動作により、温度を検知する方法が無い安価な負荷駆動制御装置においても、負荷を駆動する条件に応じてスロープを可変し、発熱を抑えつつ動作を継続する事が可能となり、信頼性の高い負荷駆動制御装置を実現出来る。