特許第6199045号(P6199045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199045
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20170911BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20170911BHJP
   A61B 5/0402 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   A61B8/06
   A61B8/08
   A61B5/04 310M
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-38581(P2013-38581)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-166198(P2014-166198A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】今村 智久
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534501(JP,A)
【文献】 特開平10−323349(JP,A)
【文献】 特開2001−046372(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/031078(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子を介して被検体との間で超音波を送受信する送受信部と、
前記送受信部からの出力に基づいて時系列に沿った一連のカラードプラ画像を発生し、前記一連のカラードプラ画像の発生に次ぐ、前記送受信部からの出力に基づいてドプラ波形画像を発生する超音波画像発生部と、
前記ドプラ波形画像のドプラ波形における最大の流速値に対応する最大流速時刻を発生する特定情報発生部と、
前記ドプラ波形画像の発生後に行なわれた所定の操作を契機として、前記最大流速時刻に基づいて、前記一連のカラードプラ画像から前記最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択する選択部と、
前記所定の操作を契機として、前記選択されたカラードプラ画像を記憶する記憶部と、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記特定情報発生部は、前記ドプラ波形に対応する周期的な心電波形を発生し、
前記選択部は、前記所定の操作を契機として、前記最大流速時刻の直前の前記心電波形のR波の時刻から前記最大流速時刻までの時間間隔と前記R波の時刻とに基づいて、前記最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記特定情報発生部は、前記ドプラ波形に設定された計測カーソルの位置に対応する計測カーソル設定時刻を発生し、
前記選択部は、前記計測カーソル設定時刻と前記心電波形のR波の時刻とに基づいて、前記最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択する請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記所定の操作は、フリーズ操作である請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記最大流速時刻を含む特定情報に基づいて、前記カラードプラ画像に関する指標を、前記一連のカラードプラ画像各々に対応付けて発生する指標発生部をさらに具備し、
前記選択部は、前記発生された指標に基づいて、前記一連のカラードプラ画像から前記最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択する請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体における被走査領域を画像化する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置は、カラードプラ画像の表示時において、ドプラ波形の発生またはドプラ波形の更新を実行する操作およびフリーズ操作の入力(以下、所定の操作と呼ぶ)により、例えばパルスドプラ法によりドプラ波形を収集する機能を有する。このとき、カラードプラ画像の更新は、停止される。加えて、超音波診断装置は、ドプラ波形の収集後に、停止されたカラードプラ画像を記憶する。
【0003】
しかしながら、停止されたカラードプラ画像は、図9に示すように、操作者にとって最適でない画像である場合がある。この要因は、例えば、所定の操作の実行タイミングによって、被検体の呼吸および拍動、超音波プローブを保持する操作者の手の震えなどが、カラードプラ画像に影響を及ぼすことにある。このとき、操作者は、手動で記憶に最適なカラードプラ画像を選択することが可能である。しかしながら、手動によるカラードプラ画像の選択は、操作者にとって煩雑であり、検査効率を低下させることがある。加えて、停止されたカラードプラ画像は、記録に不適な状態で記憶されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−301398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目的は、記録に最適なカラードプラ画像を選択し、記憶可能な超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る超音波診断装置は、圧電振動子を介して被検体との間で超音波を送受信する送受信部と、前記送受信部からの出力に基づいて時系列に沿った一連のカラードプラ画像を発生し、前記一連のカラードプラ画像の発生に次ぐ、前記送受信部からの出力に基づいてドプラ波形画像を発生する超音波画像発生部と、前記ドプラ波形画像のドプラ波形における最大の流速値に対応する最大流速時刻を発生する特定情報発生部と、前記ドプラ波形画像の発生後に行なわれた所定の操作を契機として、前記最大流速時刻に基づいて、前記一連のカラードプラ画像から前記最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択する選択部と、前記所定の操作を契機として、前記選択されたカラードプラ画像を記憶する記憶部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、第1の実施形態に係り、特定情報発生部により発生される特定情報の一覧の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係り、ドプラ波形画像とともに表示された心電図において、最大流速時刻とR波の時刻と時間間隔とを示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係り、トリプレックス表示とともに表示された心電図において、計測カーソル設定時刻とR波の時刻と時間間隔とを示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係り、選択されたカラードプラ画像を、ドプラ波形画像とともに示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係り、カラードプラ画像選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
図8図8は、カラードプラ画像指標選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、従来技術において、記録に最適でないカラードプラ画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示す構成図である。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、装置本体13と、表示部15と、装置本体13に接続され操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体13に取り込むための入力部17とを有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計などに代表される生体信号計測部19およびネットワークが、インターフェース(InterFace)37を介して接続されてもよい。生体信号計測部19は、被検体に関する生体信号波形を計測する。生体信号計測部19は、計測した生体信号波形を、後述するインターフェース部37を介して装置本体13に出力する。生体計測部は、例えば、心電計、心音計、脈波計などである。
【0010】
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子と、整合層と、複数の圧電振動子の背面側に設けられるバッキング材とを有する。複数の圧電振動子は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子である。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、後述する送受信部21から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。
【0011】
超音波プローブ11を介して被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波(以下、送信超音波と呼ぶ)は、被検体内の生体組織における音響インピーダンスの不連続面で反射される。圧電振動子は、反射された超音波を受信し、エコー信号を発生する。エコー信号の振幅は、超音波の反射に関する不連続面を境界とする音響インピーダンスの差に依存する。また、送信超音波が移動している血流、および心臓壁等の表面で反射された場合のエコー信号の周波数は、ドプラ効果により、移動体(血流および心臓壁の表面)の超音波送信方向の速度成分に依存して偏移する。
【0012】
以下、超音波プローブ11は、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブとして説明する。なお、超音波プローブ11は、メカニカル4次元プローブに限定されず、2次元アレイプローブであってもよい。すなわち、超音波プローブ11は、3次元的なエコー信号を取得することができるプローブである。
【0013】
整合層は、被検体Pに対する超音波の送受信を効率よくするために、複数の圧電振動子の超音波放射面側に設けられる。バッキング材は、圧電振動子の後方への超音波の伝搬を防止する。
【0014】
装置本体13は、送受信部21と、Bモード処理部23と、ドプラ処理部25と、超音波画像発生部27と、特定情報発生部29と、選択部31と、記憶部33と、画像合成部35と、インターフェース部37と、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)39とを有する。
【0015】
送受信部21は、後述するCPU39による制御のもとで、超音波プローブ11における複数の圧電振動子各々に駆動信号を供給する。送受信部21は、各圧電振動子によって発生された受信エコー信号に基づいて、受信信号を発生する。
【0016】
具体的には、送受信部21は、図示していないパルス発生器と、送信遅延回路と、パルサ回路と、プリアンプと、アナログディジタル(Analog to digital(以下、A/Dと呼ぶ))変換器と、受信遅延回路と、加算器とを有する。
【0017】
パルス発生器は、所定のレート周波数frHz(周期:1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。発生されたレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。
【0018】
送信遅延回路は、複数のチャンネルごとに、送信超音波をビーム状に収束し、かつ送信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、送信遅延時間と呼ぶ)を、各レートパルスに与える。送信超音波の送信方向または送信遅延時間(以下、送信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶部33に記憶される。記憶部33に記憶された送信遅延パターンは、後述するCPU39により超音波の送信時に参照される。
【0019】
パルサ回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11の圧電振動子ごとに電圧パルス(駆動信号)を印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。プリアンプは、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体Pからのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された受信エコー信号をディジタル信号に変換する。
【0020】
受信遅延回路は、ディジタル信号に変換された受信エコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、受信遅延時間と呼ぶ)を与える。エコー信号の受信方向または受信遅延時間(以下、受信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶部33に記憶される。記憶部33に記憶された受信遅延パターンは、後述するCPU39により超音波の受信時に参照される。
【0021】
加算器は、遅延時間が与えられた複数のエコー信号を加算する。この加算により、送受信部21は、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号(RF(radiofrequency)信号ともいう)を発生する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される。この総合的な指向性により、超音波ビーム(いわゆる「超音波走査線」)が決まる。
【0022】
Bモード処理部23は、送受信部21から出力された受信信号に基づいて、Bモードデータを発生する。なお、Bモード処理部23は、Bモードデータに基づいて、Bモードに関するボリュームデータを発生してもよい。Bモード処理部は、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。包絡線検波器は、送受信部21から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモード処理部23は、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線における深さごとの信号値(Bモードデータ)を発生する。
【0023】
なお、Bモード処理部23は、被走査領域におけるアジマス(Azimuth)方向、エレベーション(Elevation)方向、深さ方向(以下レンジ(Range)方向と呼ぶ)にそれぞれ対応付けて配列された複数の信号値に基づいて、ボリュームデータを発生してもよい。レンジ方向とは、走査線上の深さ方向である。アジマス方向とは例えば、1次元圧電振動子の配列方向に沿った電子走査方向である。エレベーション方向とは、1次元圧電振動子の機械的揺動方向である。なお、ボリュームデータは、複数の画素値または複数の輝度値などを、走査線に沿って、アジマス方向、エレベーション方向、レンジ方向にそれぞれ対応付けて配列させたデータであってもよい。
【0024】
ドプラ処理部25は、送受信部21から出力された受信信号に基づいて、ドプラデータを発生する。なお、ドプラ処理部25は、ドプラデータに基づいて、ドプラモードに関するボリュームデータを発生してもよい。ドプラ処理部25は、図示していないミキサー、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:以下LPFと呼ぶ)、速度/分散/Power演算デバイス等を有する。ミキサーは、送受信部21から出力された受信信号に、送信周波数と同じ周波数f0を有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数fdの成分の信号と(2f0+fd)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除く。ドプラ処理部25は、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を発生する。
【0025】
なお、ドプラ処理部25は、ドプラ信号を発生するために、直交検波方式を用いてもよい。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。ドプラ処理部25は、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を発生する。ドプラ信号は、例えば、血流、組織、造影剤によるドプラ成分である。
【0026】
速度/分散/Power演算デバイスは、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、LPFフィルタ、自己相関演算器等を有する。なお、自己相関演算器の代わりに相互相関演算器を有していてもよい。MTIフィルタは、発生されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。MTIフィルタは、ドプラ信号から血流に関するドプラ成分(以下、血流ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。LPFは、ドプラ信号から組織の移動に関するドプラ成分(以下、組織ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。
【0027】
自己相関演算器は、血流ドプラ成分及び組織ドプラ成分に対して自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度(パワー)等を算出する。速度/分散/Power演算デバイスは、複数のドプラ信号に基づく血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等に基づいて、被走査領域の各位置におけるカラードプラデータを発生する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。
【0028】
超音波画像発生部27は、図示していないディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下DSCと呼ぶ)と、画像メモリとを有する。超音波画像発生部27は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、Bモードデータおよびドプラデータからなる超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する処理である。超音波画像発生部27は、座標変換処理により、表示画像としての超音波画像を生成する。具体的には、超音波画像発生部27は、Bモードデータに基づいて、Bモード画像を発生する。超音波画像発生部27は、カラードプラデータに基づいて、平均速度画像、分散画像などのカラー血流画像と、ドプラ信号の反射強度を示すパワー血流画像などを発生する。
【0029】
超音波画像発生部27は、Bモード画像にカラー血流画像を重畳させた重畳画像を発生する。超音波画像発生部27は、Bモード画像にパワー血流画像を重畳させた重畳画像を発生する。以下、説明を簡便にするため、Bモード画像にカラー血流画像を重畳させた重畳画像と、Bモード画像にパワー血流画像を重畳させた重畳画像とをまとめてカラードプラ画像と呼ぶ。超音波画像発生部27は、ドプラ信号に基づいて、ドプラ波形を示すドプラ波形画像を発生する。超音波画像発生部27は、カラードプラ画像とドプラ波形画像とを有する超音波画像を発生する。なお、超音波画像は、Bモード画像とドプラ波形画像とを有していてもよい。
【0030】
超音波画像発生部27は、後述する入力部17を介してドプラ波形の収集に関する所定の操作が実行されるまで、時系列的に一連の複数の超音波画像を発生する。なお、超音波画像発生部27は、ドプラ波形の収集後において、再度、一連の超音波画像を発生することも可能である。超音波画像発生部27は、発生した超音波画像を、後述する画像合成部35、および図示していない画像メモリに出力する。
【0031】
画像メモリは、発生された超音波画像に対応するデータ(以下、画像データと呼ぶ)を記憶する。画像メモリに記憶された画像データは、後述する入力部17を介した操作者の指示により、読み出される。画像メモリは、例えば、フリーズする直前の一連のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。画像メモリに記憶されている画像を、表示部15に連続表示(シネ表示)させることで、超音波動画像が表示部15に表示される。画像メモリは、後述する選択部31により選択されたカラードプラ画像に対応する時刻を中心とした所定の範囲の時間幅に含まれる複数の超音波画像を記憶してもよい。これにより、所定の範囲の時間幅に含まれる複数の超音波画像を連続表示(シネ表示)させることで、超音波動画像が表示部15に表示される。
【0032】
特定情報発生部29は、超音波画像に基づいて、記録に適したカラードプラ画像に関する所定の特定情報を発生する。所定の特定情報とは、例えば、カラー血流画像およびパワー血流画像に関する情報(以下、カラー画像情報と呼ぶ)、Bモード画像に関する情報(以下、Bモード画像情報と呼ぶ)、ドプラ波形画像における血流の速度に関する情報(以下、血流速情報と呼ぶ)、ドプラ波形に対応する周期的な生体信号波形に関する情報(生体情報)などのうち少なくとも一つの情報である。生体信号波形とは、例えば、心電波形、心音波形、脈波波形などのドプラ波形およびカラードプラ画像の発生に関連付けられた周期的な波形である。以下、説明を簡単にするため、生体信号波形は、心電波形とする。
【0033】
具体的には、特定情報発生部29は、カラー画像情報として、カラー血流画像およびパワー血流画像のカラー領域における画素数(以下、カラー画素数と呼ぶ)を、一連の超音波画像各々についてカウントする。特定情報発生部29は、発生したカラー画像情報(カラー画素数)を、後述する選択部31に出力する。
【0034】
特定情報発生部29は、一連の超音波画像において、時間的に隣接する2つのBモード画像の差分の絶対値を示す差分絶対値画像を発生する。特定情報発生部29は、差分絶対値画像を用いて、被走査領域におけるBモード画像の動きを検出する。Bモード画像の動きとは、例えば、被走査領域内の各点における動きベクトルである。すなわち、特定情報発生部29は、被走査領域内の各点における動きベクトルを示す動きベクトル場を発生する。なお、特定情報発生部29は、時間的に隣接する2つのBモード画像を用いた相関マッチングにより、動きベクトルを検出してもよい。これらのことから、特定情報発生部29は、Bモード画像情報として、一連の超音波画像各々に対応する動きベクトル場を発生する。特定情報発生部29は、発生したBモード画像情報(動きベクトル場)を、後述する選択部31に出力する。
【0035】
特定情報発生部29は、血流速情報として、ドプラ波形画像におけるドプラ波形に基づいて、最大流速値に対応する最大流速時刻を決定する。具体的には、特定情報発生部29は、ドプラ波形に基づいて、血流の最大流速値を特定する。特定情報発生部29は、特定された最大流速値に基づいて、最大流速時刻を決定する。特定情報発生部29は、決定した最大流速時刻を、後述する選択部31に出力する。なお、特定情報発生部29は、血流速情報として、一連の超音波画像のカラー血流画像上に設定されたサンプルゲート近傍の血流の平均流速値を、一連の超音波画像各々について発生してもよい。
【0036】
特定情報発生部29は、ドプラ波形画像におけるドプラ波形に設定された計測カーソルの位置に基づいて、計測カーソルの設定時刻(以下、計測カーソル設定時刻と呼ぶ)を決定する。計測カーソルは、表示部15に表示されたドプラ波形画像のドプラ波形上に、血流流速を計測するための位置を、入力部17を介して設定するためのカーソルである。すなわち、ドプラ波形上に設定された位置に対応する時刻において、血流流速が計測される。
【0037】
図2は、特定情報発生部29により発生される特定情報の一覧の一例を示す図である。なお、特定情報発生部29は、図2に示した複数項目の特定情報のうち少なくとも一つの特定情報を発生してもよい。
【0038】
選択部31は、一連の超音波画像の表示中において、後述する入力部17を介した所定の操作を契機として、特定情報に基づいて、一連の超音波画像における複数のカラードプラ画像から、記録に適したカラードプラ画像を選択する。選択部31は、選択したカラードプラ画像を、表示部15と記憶部33とに出力する。所定の操作とは、例えば、ドプラ波形のアップデートの操作、フリーズ操作などの入力部17を介した入力操作である。なお、所定の操作は、パルスドプラの実行指示または連続波ドプラに関する実行指示に対応するドプラモード開始ボタンの押下であってもよい。
【0039】
具体的には、選択部31は、一連の超音波画像から、最大のカラー画素数または最大の平均流速値を有するカラードプラ画像を選択する。なお、選択部31は、一連の超音波画像から、動きベクトル場が最も小さいBモード画像を有するカラードプラ画像を選択してもよい。なお、選択対象となる一連の超音波画像は、被検体に対して発生されたすべての超音波画像であってもよい。また、選択対象となる一連の超音波画像は、心電波形における所定の位相により予め設定された範囲における複数の超音波画像であってもよい。
【0040】
また、選択部31は、Bモード画像にカラー血流画像を重畳させた重畳画像とドプラ波形画像とを同時に表示するトリプレックス表示が実行されている場合、一連の超音波画像から、最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択することも可能である。なお、選択部31は、トリプレックス表示でない場合、最大流速時刻の直前の心電波形のR波の時刻から最大流速時刻までの時間間隔と最大流速時刻の直前のR波の時刻とに基づいて、一連の超音波画像から、最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を選択することも可能である。
【0041】
図3は、トリプレックス表示でない場合、すなわち、ドプラ波形画像と心電波形と表示されている場合において、最大流速時刻と最大流速時刻の直前のR波の時刻と時間間隔とを示す図である。なお、図3において、Bモード画像が同時に表示されてもよい。図3に示すように、トリプレックス表示でない場合、最大流速時刻が決定されると、選択部31は、最大流速時刻の直前のR波の時刻と、時間間隔とに基づいて、最大流速時刻に対応するカラードプラ画像を、一連の超音波画像から選択する。
【0042】
また、選択部31は、計測カーソル設定時刻の直前のR波の時刻と計測カーソル設定時刻との時間間隔を決定する。なお、生体信号波形が心音波形である場合、選択部31は、心音波形のI音の時刻と計測カーソル設定時刻との時間間隔を決定してもよい。また、生体信号波形が脈波波形である場合、選択部31は、脈波波形における加速度脈波のa波の時刻と計測カーソル設定時刻との時間間隔を決定してもよい。選択部31は、決定した時間間隔とR波の時刻とに基づいて、一連の超音波画像から、計測カーソル設定時刻に対応するカラードプラ画像を選択することも可能である。
【0043】
図4は、トリプレックス表示とともに表示された心電図において、計測カーソル設定時刻とR波の時刻と時間間隔とを示す図である。図4に示すように、トリプレックス表示において、計測カーソルが設定されると、選択部31は、計測カーソル設定時刻直前のR波の時刻と、時間間隔とに基づいて、計測カーソル設定時刻に対応するカラードプラ画像を、一連の超音波画像から選択する。
【0044】
なお、選択部31は、心電波形上において、計測カーソル設定時刻に対応する複数の心電位相を選択することも可能である。この時、選択部31は、一連の超音波画像から、複数の心電位相にそれぞれ対応する複数のカラードプラ画像を選択する。次いで、選択部31は、選択された複数のカラードプラ画像から、例えば、最大のカラー画素数、最大の平均流速値、または最小の動きベクトル場を有するカラードプラ画像を、記録に適したカラードプラ画像として選択してもよい。
【0045】
選択部31は、例えば、図2に示すような特定情報の複数の項目、すなわちカラー画素数、平均流速値、強度、動きベクトル場、最大流速時刻、生体信号波形、計測カーソル設定時刻などを複合的に用いて、一連の超音波画像から、記録に適したカラードプラ画像を選択することも可能である。
【0046】
記憶部33は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターンおよび複数の送信遅延パターン、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群を記憶する。記憶部33は、超音波画像発生部27で発生された超音波画像、Bモード画像、カラードプラ画像、カラー血流画像、パワー血流画像、ドプラ波形画像などを記憶する。記憶部33は、本超音波診断装置1の制御プログラム、特定情報の発生に関する特定情報発生プログラム、記録に適したカラードプラ画像を選択する画像選択プログラムなどを記憶する。記憶部33は、選択部31により選択されたカラードプラ画像を記憶する。
【0047】
画像合成部35は、Bモード画像、カラードプラ画像、ドプラ波形画像などに、種々のパラメータ、文字情報、目盛等を合成する。画像合成部35は、種々のパラメータ、文字情報、目盛等を合成したBモード画像、ドプラ画像、カラードプラ画像、ドプラ波形画像などを表示部15に出力する。
【0048】
インターフェース部37は、入力部17、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部19に関するインターフェースである。装置本体13によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、インターフェース部37とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。なお、インターフェース部37は、ネットワークを介して、図示していない他の医用画像診断装置で取得された被検体に関する医用画像を、ダウンロードすることも可能である。加えて、インターフェース部37には、心電計、心音計、脈波計などに代表される生体信号計測部19が接続される。
【0049】
CPU39は、操作者により入力部17を介して入力されたフレームレート、被走査深度、送信開始・終了に基づいて、記憶部33に記憶された送信遅延パターン、受信遅延パターンと装置制御プログラムとを読み出し、これらに従って装置本体13を制御する。CPU39は、特定情報発生プログラムを記憶部33から読み出し、特定情報発生部29を制御する。CPU39は、画像選択プログラムを記憶部33から読み出し、選択部31を制御する。
【0050】
表示部15は、画像合成部35からの出力に基づいて、Bモード画像、カラードプラ画像、ドプラ波形画像、生体信号波形などを表示する。なお、表示部15は、表示された画像に対して、ブライトネス、コントラスト、ダイナミックレンジ、γ補正などの調整および、カラーマップの割り当てを実行してもよい。表示部15は、カラードプラ画像をドプラ波画像とともに示すトリプレックス表示を実行する。表示部15は、選択部31により選択されたカラードプラ画像を表示する。なお、表示部15は、所定の範囲の時間幅に含まれる複数の超音波画像を連続表示(シネ表示)させることで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0051】
図5は、選択されたカラードプラ画像を、ドプラ波形画像とともに示す図である。図5に示すように、選択部31により選択されたカラードプラ画像は、表示部15に表示される。
【0052】
入力部17は、インターフェース部37に接続され操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体13に取り込む。入力部17は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を後述するCPU39に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチコマンドスクリーンでもよい。この場合、入力部17は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU39に出力する。また、操作者が入力部17の終了ボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、装置本体13は一時停止状態となる。
【0053】
また、入力部17は、ドプラ波形のアップデートの操作、フリーズ操作、ドプラモード開始ボタンの押下などの所定の操作を、装置本体13に入力する。ドプラ波形のアップデートの操作、ドプラモード開始ボタンの押下の入力を契機として、ドプラ波形を取得するために、被検体に対する超音波の送受信が実行される。また、入力部17は、特定情報における複数の項目のうちカラードプラ画像の選択に用いられる項目を、操作者の指示により、任意に選択入力可能である。
【0054】
(カラードプラ画像選択機能)
カラードプラ画像選択機能とは、特定情報に基づいて、一連の超音波画像から、記録に適したカラードプラ画像を選択する機能である。以下、カラードプラ画像選択機能に関する処理(以下、カラードプラ画像選択処理と呼ぶ)について説明する。
【0055】
図6は、カラードプラ画像選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】
被検体に対する超音波の送受信により、超音波画像が発生される(ステップSa1)。発生された超音波画像に基づいて、特定情報が発生される(ステップSa2)。発生された特定情報が、超音波画像におけるカラードプラ画像と対応付けて、カラードプラ画像とともに記憶部33に記憶される(ステップSa3)。所定の操作が入力されるまで、ステップSa2とステップSa3との処理が繰り返される(ステップSa4)。
【0057】
所定の操作が入力される(ステップSa4)と、特定情報に基づいて、記録に適したカラードプラ画像が選択される(ステップSa5)。選択されたカラードプラ画像が、表示部15に表示される(ステップSa6)。選択されたカラードプラ画像が、記憶部33に記憶される(ステップSa7)。
【0058】
(変形例)
第1の実施形態との相違は、Bモード画像情報を、時間的に隣接する3つ以上のBモード画像の差分により、上記動き量を検出することにある。すなわち、本変形例は、例えば、時系列に連続したn(nは3以上の自然数)枚のBモード画像を差分することにより、動きベクトルを検出する。
【0059】
特定情報発生部29は、一連の超音波画像において、時間的に隣接する3つ以上のBモード画像のうち、隣接する2つのBモード画像の差分の絶対値を示す差分絶対値画像を発生する。例えば、時系列的に一連のn(nは3以上の自然数)枚のBモード画像を用いる場合、(n−1)枚の差分絶対値画像が、発生される。特定情報発生部29は、(n−1)枚の差分絶対値画像を用いて、被走査領域内の各点における動きベクトルを示す動きベクトル場を発生する。なお、特定情報発生部29は、時間的に隣接する少なくとも3つ以上のBモード画像を用いた相関マッチングにより、動きベクトルを検出してもよい。これらのことから、特定情報発生部29は、Bモード画像情報として、一連の超音波画像各々に対応する動きベクトル場を発生する。特定情報発生部29は、発生したBモード画像情報(動きベクトル場)を、選択部31に出力する。
【0060】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態における超音波診断装置1によれば、超音波画像に基づいて発生された特定情報に基づいて、記録に最適なカラードプラ画像を選択することができる。これにより、操作者が所望する記録に最適なカラードプラ画像(高画質、最大カラー画素数、最大流速値などを有するカラードプラ画像)を、表示および記憶することができる。以上のことから、所定の操作の実行タイミングによって、被検体の呼吸および拍動、超音波プローブを保持する操作者の手の震えなどが、カラードプラ画像に影響を及ぼすことを回避することができる。加えて、本実施形態によれば、自動的に記録に最適なカラードプラ画像を選択できることから、操作者の手を煩わせることなく、検査効率を向上させることができる。また、記録に不適な状態でカラードプラ画像を記憶させることを回避することができる。
【0061】
また、本変形例によれば、特定情報におけるBモード画像情報(動きベクトル場)を、3つ以上のBモード画像を用いて発生することも可能である。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態との相違は、特定情報に基づいて指標を発生し、発生された指標に基づいて、記録に適切なカラードプラ画像を選択することにある。
【0063】
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
指標発生部41は、特定情報に基づいて、記録に適したカラードプラ画像に関する指標を、一連の超音波画像各々に対応付けて発生する。具体的には、指標発生部41は、カラー画素数とパワー血流画像における明るさの強度とに基づいて、カラー画像情報に関する指標(以下、カラー指標と呼ぶ)を発生する。カラー指標は、カラー血流画像およびパワー血流画像の表示領域における血流の豊富さに関する指標である。すなわち、カラー指標の大きさは血流の豊富さに比例する。
【0064】
指標発生部41は、時間的に隣接する2つのBモード画像に基づいて、被走査領域における動きベクトルに関する指標(以下、動き指標と呼ぶ)を発生する。動き指標は、Bモード画像のぶれに関する指標である。すなわち、動き指標の大きさは、被走査領域の動きに比例する。
【0065】
指標発生部41は、カラー血流画像におけるサンプルゲート近傍(以下、サンプルゲート近傍領域と呼ぶ)の平均流速値と、ドプラ波形における最大流速値とに基づいて、血流速情報に関する指標(以下、血流速指標と呼ぶ)を発生する。血流速指標は、サンプルゲートを含むサンプルゲート近傍領域における血流速度に関する指標である。すなわち、血流速指標の大きさは、血流の速度に比例する。
【0066】
指標発生部41は、上記複数の指標を、一連の超音波画像各々に対応付けて発生する。指標発生部41は、発生した複数の指標を、記憶部33と選択部31とに出力する。
【0067】
記憶部33は、上記複数の指標を、一連の超音波画像各々に対応付けて記憶する。
【0068】
選択部31は、カラー指標と動き指標と血流速指標とのうち少なくとも一つに基づいて、一連の超音波画像から記録に適したカラードプラ画像を選択する。以下、具体的に説明するため、カラードプラ画像の選択に用いる指標は、カラー指標、動き指標、血流速指標であるものとする。選択部31は、入力部17を介して所定の操作が入力されると、カラー指標が大きい複数のカラードプラ画像を、一連の超音波画像から選択する。次いで、選択部31は、カラー指標を用いて選択された複数のカラードプラ画像から、動き指標の小さい複数のカラードプラ画像が選択される。最後に、選択部31は、動き指標を用いて選択された複数のカラードプラ画像から、血流速指標が最大となるカラードプラ画像が選択される。選択部31は、これら複数の指標により選択されたカラードプラ画像を、記憶部33と表示部15とに出力する。
【0069】
入力部17は、複数の指標のうち発生される指標、およびカラードプラ画像の選択に用いられる指標を、操作者の指示により適宜選択入力することができる。
【0070】
(カラードプラ画像指標選択機能)
カラードプラ画像指標選択機能とは、特定情報に基づいて発生された指標を用いて、一連の超音波画像から、記録に適したカラードプラ画像を選択する機能である。以下、カラードプラ画像指標選択機能に関する処理(以下、カラードプラ画像指標選択処理と呼ぶ)について説明する。
【0071】
図8は、カラードプラ画像指標選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
被検体に対する超音波の送受信により、超音波画像が発生される(ステップSb1)。発生された超音波画像に基づいて、特定情報が発生される(ステップSb2)。発生された特定情報に基づいて、記録に適したカラードプラ画像に関する指標が、一連の超音波画像各々に対応付けて発生される(ステップSb3)。発生された指標が、超音波画像におけるカラードプラ画像と対応付けて、カラードプラ画像とともに記憶部33に記憶される(ステップSb4)。所定の操作が入力されるまで、ステップSb2乃至ステップSb4の処理が繰り返される(ステップSb5)。
【0072】
所定の操作が入力される(ステップSb5)と、指標に基づいて、記録に適したカラードプラ画像が選択される(ステップSb6)。選択されたカラードプラ画像が、表示部15に表示される(ステップSb7)。選択されたカラードプラ画像が、記憶部33に記憶される(ステップSb8)。
【0073】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態における超音波診断装置1によれば、超音波画像に基づいて発生された特定情報に基づいて、複数の指標が発生される。次いで、発生された指標に基づいて、記録に最適なカラードプラ画像を選択することができる。これにより、操作者が所望する記録に最適なカラードプラ画像(高画質、最大カラー画素数、最大流速値などを有するカラードプラ画像)を、表示および記憶することができる。以上のことから、所定の操作の実行タイミングによって、被検体の呼吸および拍動、超音波プローブを保持する操作者の手の震えなどが、カラードプラ画像に影響を及ぼすことを回避することができる。加えて、本実施形態によれば、自動的に記録に最適なカラードプラ画像を選択できることから、操作者の手を煩わせることなく、検査効率を向上させることができる。また、記録に不適な状態でカラードプラ画像を記憶させることを回避することができる。
【0074】
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…超音波診断装置、11…超音波プローブ、13…装置本体、15…表示部、17…入力部、19…生体信号計測部、21…送受信部、23…Bモード処理部、25…ドプラ処理部、27…超音波画像発生部、29…特定情報発生部、31…選択部、33…記憶部、35…画像合成部、37…インターフェース部、39…制御プロセッサ(CPU)、41…指標発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9