特許第6199056号(P6199056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199056
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20170911BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   G09F9/30 338
   H05B33/14 A
   G09F9/30 330
   G09F9/30 365
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-60352(P2013-60352)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-186139(P2014-186139A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】宮本 光秀
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227247(JP,A)
【文献】 特開2010−152221(JP,A)
【文献】 特開2008−065135(JP,A)
【文献】 特開2008−310974(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0216291(US,A1)
【文献】 特開2008−287135(JP,A)
【文献】 特開2005−227562(JP,A)
【文献】 特開2003−241687(JP,A)
【文献】 特開2010−098304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30−9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層を挟むように積層された画素電極及び共通電極と、
薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの半導体層及びゲート電極を覆う第1絶縁層と、
前記薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方に電気的に接続された電流供給線と、
前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極の他方と前記画素電極を電気的に接続するように、前記第1絶縁層上に配置された第1配線と、
前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に接続されるように、前記第1絶縁層上に配置された第2配線と、
前記第2配線を介して前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に制御信号を伝えるためのデータ線と、
前記第1配線又は前記第2配線上に形成されると共に、前記第1絶縁層上に延在する導電膜と、
前記導電膜上であって前記画素電極の下に形成された第2絶縁層と、
前記第1配線と前記導電膜との間及び前記第2配線と前記導電膜との間に介在する第3絶縁層と、
を有し、
前記導電膜は、前記第1配線及び前記第2配線よりも酸化被膜が形成されにくい材料を含み、
前記第3絶縁層は、前記第1配線上にスルーホールを有し、
前記導電膜は、前記第1配線に重なる第1導電膜部及び前記第2配線に重なる第2導電膜部を連続的に有し、前記第1導電膜部は、前記第3絶縁層の前記スルーホールを介して、前記第1配線に電気的に接続し、
前記第1配線と前記第2配線の間に前記制御信号を保持するキャパシタが形成されるように、前記画素電極、前記第1配線及び前記第2配線の少なくとも1つと前記導電膜とは、前記第1絶縁層の上方で、電気的に絶縁された状態で重なるように位置し、
前記第2配線は、前記第3絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記第2配線と前記第2導電膜部の間に前記キャパシタを形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
請求項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記画素電極は、前記第2配線の少なくとも一部と重なるように形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層を挟むように積層された画素電極及び共通電極と、
薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの半導体層及びゲート電極を覆う第1絶縁層と、
前記薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方に電気的に接続された電流供給線と、
前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極の他方と前記画素電極を電気的に接続するように、前記第1絶縁層上に配置された第1配線と、
前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に接続されるように、前記第1絶縁層上に配置された第2配線と、
前記第2配線を介して前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に制御信号を伝えるためのデータ線と、
前記第1配線又は前記第2配線上に形成されると共に、前記第1絶縁層上に延在する導電膜と、
前記導電膜上であって前記画素電極の下に形成された第2絶縁層と、
前記第1配線と前記導電膜との間及び前記第2配線と前記導電膜との間に介在する第3絶縁層と、
を有し、
前記導電膜は、前記第1配線及び前記第2配線よりも酸化被膜が形成されにくい材料を含み、
前記第3絶縁層は、前記第1配線上に第1スルーホールを有し、前記第2配線上に第2スルーホールを有し、
前記導電膜は、前記第3絶縁層の前記第1スルーホールを介して前記第1配線に電気的に接続する第1導電膜部と、前記第1導電膜部から分離して前記第3絶縁層の前記第2スルーホールを介して前記第2配線に電気的に接続して前記第1配線の上方に至るように延びる第2導電膜部と、を含み、
前記第1配線と前記第2配線の間に前記制御信号を保持するキャパシタが形成されるように、前記画素電極、前記第1配線及び前記第2配線の少なくとも1つと前記導電膜とは、前記第1絶縁層の上方で、電気的に絶縁された状態で重なるように位置し、
前記第1配線は、前記第3絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記第1配線と前記第2導電膜部の間に前記キャパシタを形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
請求項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において
前記画素電極は、前記第1導電膜部を介して前記第1配線に電気的に接続し、
前記画素電極は、前記第2絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記画素電極と前記第2導電膜部の間に前記キャパシタを形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
請求項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記第2導電膜部は、前記第2配線と重なる位置から外れて前記第1絶縁層上に延びるように形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項6】
請求項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記画素電極は、前記第2絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記画素電極と前記第2導電膜部の間にも前記キャパシタを形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項7】
請求項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記画素電極は、前記第1配線の少なくとも一部と重なるように形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記第1絶縁層上に配置された端子をさらに有し、
前記導電膜は、前記端子に載るように形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項9】
請求項からのいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記第1絶縁層上に配置された端子をさらに有し、
前記第3絶縁層は、前記端子に載るように形成され、前記端子の一部を露出させるスルーホールを有し、
前記導電膜は、前記端子の前記第3絶縁層からの露出部に載るように形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項10】
請求項又はに記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記第2絶縁層は、前記端子に載るように設けられ、前記端子の上方で前記導電膜の一部を露出させる開口を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、回路基板に有機層及び封止層が積層された構造を有する(特許文献1)。回路基板には、薄膜トランジスタなどの能動素子、抵抗器及びキャパシタなどの受動素子、電極及び配線などを含む回路が形成されている。回路は、導電膜、絶縁体膜及び半導体膜の成膜及びエッチングによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−109030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示される画像は複数の画素から構成され、画素ごとに、データ線から入った信号を保持しておくためのキャパシタが形成される。キャパシタは、薄膜トランジスタと同じ層に形成されていたが、高精細化に対応して形成領域が狭くなってきたので、その形成が難しくなってきている。
【0005】
本発明は、新規の層や形成工程を追加することなくキャパシタを形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス層と、前記有機エレクトロルミネッセンス層を挟むように積層された画素電極及び共通電極と、薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの半導体層及びゲート電極を覆う第1絶縁層と、前記薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方に電気的に接続された電流供給線と、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極及び前記ドレイン電極の他方と前記画素電極を電気的に接続するように、前記第1絶縁層上に配置された第1配線と、前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に接続されるように、前記第1絶縁層上に配置された第2配線と、前記第2配線を介して前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に制御信号を伝えるためのデータ線と、前記第1配線及び前記第2配線よりも酸化被膜が形成されにくい材料から、前記第1配線及び前記第2配線の上に形成された導電膜と、前記導電膜上であって前記画素電極の下に形成された第2絶縁層と、を有し、前記第1配線と前記第2配線の間に前記制御信号を保持するキャパシタが形成されるように、前記画素電極、前記第1配線及び前記第2配線の少なくとも1つと前記導電膜とは、前記第1絶縁層の上方で、電気的に絶縁された状態で重なるように位置することを特徴とする。本発明によれば、薄膜トランジスタよりも上にある第1絶縁層の上方にキャパシタを形成するので、薄膜トランジスタが広い領域を占有していてもキャパシタの形成が可能である。また、キャパシタは、画素電極、第1配線及び第2配線の少なくとも1つと導電膜を電気的に絶縁された状態で重ねることで形成するので、新規の層や形成工程を追加する必要がない。
【0007】
(2)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記導電膜は、前記第1配線に電気的に接続する第1導電膜部と、前記第1導電膜部から分離して前記第2配線に電気的に接続する第2導電膜部と、を含み、前記画素電極は、前記第1導電膜部を介して前記第1配線に電気的に接続し、前記画素電極は、前記第2絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記画素電極と前記第2導電膜部の間に前記キャパシタを形成することを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第2導電膜部は、前記第2配線と重なる位置から外れて前記第1絶縁層上に延びるように形成され、前記画素電極は、前記第1絶縁層の表面に垂直な方向で前記第2配線との重複を避けるように配置されていることを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(3)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第1導電膜部及び前記第2導電膜部は、前記第1配線及び前記第2配線のいずれの重複も避けた位置で分離することを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第1配線と前記導電膜との間及び前記第2配線と前記導電膜との間に介在する第3絶縁層をさらに有し、前記第3絶縁層は、前記第1配線上にスルーホールを有し、前記導電膜は、前記第1配線に重なる第1導電膜部及び前記第2配線に重なる第2導電膜部を連続的に有し、前記第1導電膜部は、前記第3絶縁層の前記スルーホールを介して、前記第1配線に電気的に接続し、前記第2配線は、前記第3絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記第2配線と前記第2導電膜部の間に前記キャパシタを形成することを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(5)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記画素電極は、前記第2配線の少なくとも一部と重なるように形成されていることを特徴としてもよい。
【0012】
(7)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第1配線と前記導電膜との間及び前記第2配線と前記導電膜との間に介在する第3絶縁層をさらに有し、前記第3絶縁層は、前記第1配線上に第1スルーホールを有し、前記第2配線上に第2スルーホールを有し、前記導電膜は、前記第3絶縁層の前記第1スルーホールを介して前記第1配線に電気的に接続する第1導電膜部と、前記第1導電膜部から分離して前記第3絶縁層の前記第2スルーホールを介して前記第2配線に電気的に接続して前記第1配線の上方に至るように延びる第2導電膜部と、を含み、前記第1配線は、前記第3絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記第1配線と前記第2導電膜部の間に前記キャパシタを形成することを特徴としてもよい。
【0013】
(8)(7)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記画素電極は、前記第2絶縁層を介して前記第2導電膜部と重なって、前記画素電極と前記第2導電膜部の間にも前記キャパシタを形成することを特徴としてもよい。
【0014】
(9)(8)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記画素電極は、前記第1配線の少なくとも一部と重なるように形成されていることを特徴としてもよい。
【0015】
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第1絶縁層上に配置された端子をさらに有し、前記導電膜は、前記端子に載るように形成されていることを特徴としてもよい。
【0016】
(11)(5)から(9)のいずれか1項に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第1絶縁層上に配置された端子をさらに有し、前記第3絶縁層は、前記端子に載るように形成され、前記端子の一部を露出させるスルーホールを有し、前記導電膜は、前記端子の前記第3絶縁層からの露出部に載るように形成されていることを特徴としてもよい。
【0017】
(12)(10)又は(11)に記載された有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記第2絶縁層は、前記端子に載るように設けられ、前記端子の上方で前記導電膜の一部を露出させる開口を有することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。
図2図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置の回路図である。
図3】本発明の第1の実施形態の変形例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、ガラスなどからなる基板10を有する。基板10の上に半導体層12が形成されている。半導体層12を覆ってゲート絶縁膜14が形成されている。ゲート絶縁膜14の上にはゲート電極16が形成され、半導体層12及びゲート電極16を覆って第1絶縁層18が形成されている。第1絶縁層18を貫通して、半導体層12に至るようにソース電極20及びドレイン電極22が設けられている。半導体層12、ソース電極20、ドレイン電極22及びゲート電極16は、薄膜トランジスタ24の構成要素となっている。
【0021】
図2は、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置の回路図である。薄膜トランジスタ24のソース電極20及びドレイン電極22の一方には、電流供給線26が電気的に接続されている。また、ソース電極20及びドレイン電極22の他方は、第1配線28に電気的に接続されている。図1では、ソース電極20及びドレイン電極22の他方と第1配線28は一体的に形成されている。第1配線28は、第1絶縁層18上に配置されている。
【0022】
薄膜トランジスタ24のゲート電極16は、図2に示すように、データ線30に電気的に接続されるようになっており、スイッチング素子32がオンになると、データ線30を介して制御信号が入力される。データ線30とゲート電極16は、第2配線34によって電気的に接続される。第2配線34は、図1に示すように、第1絶縁層18上に配置されている。
【0023】
図1に示すように、第1配線28及び第2配線34の上には、第1配線28及び第2配線34よりも酸化被膜が形成されにくい材料から、導電膜36が形成されている。例えば、第1配線28及び第2配線34がアルミニウムや銅などの金属から形成されているときには、導電膜36は、酸化インジウムスズなどの酸化物半導体から形成する。
【0024】
導電膜36は、第1配線28に電気的に接続する第1導電膜部38を含む。第1導電膜部38の少なくとも一部あるいは一部のみが第1配線28と接触している。導電膜36は、第1導電膜部38から分離して第2配線34に電気的に接続する第2導電膜部40を含む。第2導電膜部40の少なくとも一部あるいは一部のみが第2配線34と接触している。第1導電膜部38及び第2導電膜部40は、第1配線28及び第2配線34のいずれの重複も避けた位置(例えば第1絶縁層18上)で、それぞれの端部の間に間隔があいており、これにより分離されている。第2導電膜部40は、第2配線34と重なる(あるいは接触する)位置から外れように第1絶縁層18上に延びている。第1絶縁層18上に第2絶縁層42が形成されている。第2絶縁層42は、ソース電極20及びドレイン電極22を覆う。第2絶縁層42は、導電膜36上にある。
【0025】
第2絶縁層42上に画素電極44(例えば陽極)が設けられている。画素電極44は、光反射膜を含むように構成されている。あるいは、画素電極44は、光反射膜と透明導電膜の積層構造を有してもよい。画素電極44は、第2絶縁層42を貫通して第1導電膜部38に接続され、第1導電膜部38を介して第1配線28に電気的に接続する。したがって、図2に示すように、第1配線28を介して、電流供給線26から画素電極44に電流が供給されるようになっている。なお、画素電極44は、第1絶縁層18の表面に垂直な方向で、第2配線34との重複を避けるようになっている。
【0026】
それぞれの画素電極44の少なくとも中央部を囲むように、樹脂などの絶縁体からバンク46が設けられている。バンク46に囲まれた画素電極44上に、有機エレクトロルミネッセンス層48が形成されている。有機エレクトロルミネッセンス層48は、少なくとも発光層を含み、さらに、電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層及び正孔注入層のうち少なくとも一層を含む。有機エレクトロルミネッセンス層48を構成する少なくとも一層は有機材料からなる。有機エレクトロルミネッセンス層48は、蒸着又はスパッタリングによって形成する。
【0027】
有機エレクトロルミネッセンス層48上からバンク46上に至るように光透過性の共通電極50(例えば陰極)が形成されている。共通電極50は、全ての画素電極44の全体を覆うように形成されている。画素電極44と共通電極50の間に有機エレクトロルミネッセンス層48が挟まれている。画素電極44及び共通電極50に電圧をかけることにより各々から正孔と電子を有機エレクトロルミネッセンス層48に注入する。注入された正孔と電子が発光層で結合して光を発する。
【0028】
第1絶縁層18上には、端子52が設けられている。導電膜36は、端子52に載るように形成されている。第2絶縁層42は、端子52に載るように設けられ、端子52の上方で導電膜36の一部を露出させる開口54を有する。開口54を介して、端子52を覆う導電膜36の一部が露出しており、外部との電気的接続を図ることができる。端子52は、導電膜36に覆われることで、酸化被膜が形成されにくくなっている。
【0029】
画素電極44、第1配線28及び第2配線34の少なくとも1つと導電膜36とは、電気的に絶縁された状態で重なるように位置している。図1の例では、画素電極44と第2導電膜部40が重なり、両者間に第2絶縁層42が介在している。したがって、画素電極44と第2導電膜部40との間にキャパシタCが形成される。画素電極44が第1配線28と電気的に接続し、第2導電膜部40が第2配線34と電気的に接続するので、第1配線28と第2配線34の間に、キャパシタCが形成される。キャパシタCは、図2に示すように、データ線30から入力された制御信号が保持されるので保持容量である。キャパシタCに保持された制御信号によって、薄膜トランジスタ24がオンの状態で保持される。
【0030】
本実施形態によれば、画素電極44、第1配線28、第2配線34及び導電膜36は、第1絶縁層18の上方に位置する。したがって、薄膜トランジスタ24よりも上にある第1絶縁層18の上方にキャパシタCを形成するので、薄膜トランジスタ24が広い領域を占有していてもキャパシタCの形成が可能である。キャパシタCは、画素電極44、第1配線28及び第2配線34の少なくとも1つと導電膜36を電気的に絶縁された状態で重ねることで形成するので、新規の層や形成工程を追加する必要がない。
【0031】
図3は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。この例は、第2絶縁層142が端子152に載らないように設けられる点で図1の例とは異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0032】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。
【0033】
本実施形態では、第1配線228及び第2配線234の上に第3絶縁層256が設けられている。第3絶縁層256上に導電膜236が形成されている。導電膜236は、第1配線228に重なる第1導電膜部238及び第2配線234に重なる第2導電膜部240を連続的に有している。第3絶縁層256は、第1配線228と第1導電膜部238との間及び第2配線234と第2導電膜部240との間に介在している。
【0034】
第3絶縁層256は、第1配線228上にスルーホール258を有している。第1導電膜部238は、第3絶縁層256のスルーホール258を介して、第1配線228に電気的に接続している。これに対して、第3絶縁層256は、第2配線234上にはスルーホールを有していないので、第2導電膜部240と第2配線234とは電気的に絶縁されている。
【0035】
第2配線234は、第3絶縁層256を介して第2導電膜部240と重なっている。第2導電膜部240は、第1導電膜部238と一体的であるため、第1配線228と電気的に接続されているが、第2配線234とは絶縁されている。したがって、第2配線234と第2導電膜部240の間にキャパシタC´が形成される。キャパシタC´は、図2に示すキャパシタCと同様に、第1配線228と第2配線234の間で、データ線30から入力された制御信号を保持する保持容量である。
【0036】
本実施形態のその他の構成は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。ただし、図4の例では、図1の例とは異なり、画素電極244は、第2配線234の少なくとも一部と重なるように形成されている。また、端子252と導電膜236の間に第3絶縁層256が介在するので、第3絶縁層256には端子252の上方に開口254が形成されて、端子252と導電膜236の電気的接続が図られている。
【0037】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図である。
【0038】
本実施形態では、第1配線328及び第2配線334の上に第3絶縁層356が設けられている。第3絶縁層356上に導電膜336が形成されている。つまり、第1配線328と導電膜336との間及び第2配線334と導電膜336との間に第3絶縁層356が介在する。
【0039】
導電膜336は、第3絶縁層356を介して第1配線328に重なる第1導電膜部338を含む。第1導電膜部338は、第1配線328の一部を避けて残りの領域の上方に設けられている。第3絶縁層356は、第1配線328上に第1スルーホール360を有する。第3絶縁層356の第1スルーホール360を介して、第1導電膜部338は第1配線328に電気的に接続している。
【0040】
導電膜336は、第2配線334に電気的に接続する第2導電膜部340を含む。第2導電膜部340は、第3絶縁層356を介して第2配線334に重なる。第3絶縁層356は、第2配線334上に第2スルーホール362を有する。第2導電膜部340は、第3絶縁層356の第2スルーホール362を介して、第2配線334に電気的に接続する。
【0041】
第2導電膜部340は、第1配線328の上方に至るように延びる。第1配線328の上方の第1導電膜部338が存在しない領域に、第2導電膜部340の一部が位置する。ただし、第2導電膜部340は、第1導電膜部338とは分離されている。図5の例では、第1配線328の上方で、第1導電膜部338と第2導電膜部340の間に間隔があくようになっている。
【0042】
画素電極344は、第1導電膜部338と電気的に接続(図5の例では接触)しており、第1導電膜部338を介して第1配線328と電気的に接続されている。画素電極344は、第1配線328の少なくとも一部と重なるようになっており、図5の例ではさらに第2配線334の少なくとも一部と重なるようになっている。
【0043】
画素電極344は、第2絶縁層342を介して第2導電膜部340と重なっている。したがって、画素電極344と第2導電膜部340の間にキャパシタCが形成される。言い換えると、画素電極344が第1配線328に電気的に接続し、第2導電膜部340が第2配線334に電気的に接続するので、第1配線328と第2配線334の間に制御信号を保持するキャパシタCが形成される。
【0044】
第1配線328は、第3絶縁層356を介して第2導電膜部340と重なっている。したがって、第1配線328と第2導電膜部340の間にキャパシタCが形成される。言い換えると、第2導電膜部340が第2配線334に電気的に接続するので、第1配線328と第2配線334の間に制御信号を保持するキャパシタCが形成される。
【0045】
本実施形態では、第3絶縁層356は、端子352に載るように形成されており、端子352の一部を露出させる開口354を有する。導電膜336は、端子352の第3絶縁層356からの露出部に載るように形成されている。本実施形態のその他の構成は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 基板、12 半導体層、14 ゲート絶縁膜、16 ゲート電極、18 第1絶縁層、20 ソース電極、22 ドレイン電極、24 薄膜トランジスタ、26 電流供給線、28 第1配線、30 データ線、32 スイッチング素子、34 第2配線、36 導電膜、38 第1導電膜部、40 第2導電膜部、42 第2絶縁層、44 画素電極、46 バンク、48 有機エレクトロルミネッセンス層、50 共通電極、52 端子、54 開口、142 第2絶縁層、152 端子、228 第1配線、234 第2配線、236 導電膜、238 第1導電膜部、240 第2導電膜部、244 画素電極、252 端子、254 開口、256 第3絶縁層、258 スルーホール、328 第1配線、334 第2配線、336 導電膜、338 第1導電膜部、340 第2導電膜部、342 第2絶縁層、344 画素電極、352 端子、354 開口、356 第3絶縁層、360 第1スルーホール、362 第2スルーホール、C キャパシタ、C´ キャパシタ、C キャパシタ、C キャパシタ。
図1
図2
図3
図4
図5