【実施例1】
【0020】
最初に、
図1〜
図7を参照して、本発明の実施例1のスペーサS
1 について説明する。スペーサS
1 は、
図1及び
図2に示されるように、ゴム材、熱可塑性エラストマー等の弾性材料により全体が円筒状に形成されて、軸方向に一定間隔をおいて周方向に形成された複数の環状凹溝1を介して当該環状凹溝1の数よりも「1」だけ多い複数の分割部2に分割されている。各分割部2の外径は、スペーサS
1 の軸方向の一端から他端に向けて漸次変化している。
図2(c),(d)においては、各分割部2の外径は、スペーサS
1 の軸方向に沿って、右端から左端に向けて段階的に大きくなっている。また、各分割部2の外周面は、軸方向の一端から他端に向けて外径が徐々に変化した後に、急激に変化する変則部分円錐面3に形成され、分割部2における外径が急激に変化している部分は、径方向に大きく突出して、壁孔H
1 に対する圧入時において、大径側に隣接する別の分割部2の側に弾性変形して傾動可能な環状突出部4となっていると共に、分割部2における外径が徐々に変化する部分は、小径側において隣接する別の分割部2の環状突出部4が傾動した際に当接して支持する当接支持部5(
図6参照)となっている。即ち、各分割部2の外周面の変則部分円錐面3は、軸方向の一端から他端に向けて傾斜角が非直線的に変化していて、大径側の端部において大きく径方向に突出している。実施例1のスペーサS
1 では、各分割部2の外周側の変則部分円錐面3の部分が、壁孔H
1 〜H
3 の異なる内径d
1 〜d
3 に対応して、スペーサS
1 の外径を調整する外径調整部となっている。
【0021】
また、スペーサS
1 の内周部には、スプライン状の支持突条6が周方向に一定間隔をおいて軸方向の全長に亘って形成されていて、各支持突条6の内周面は、全長に亘って後述の水栓継手C
1 の延長された水栓接続部である延長接続管P
0 の外径に対応する円の周上に配置されていて〔
図2(c)参照〕、スペーサS
1 の中空部7に前記延長接続管P
0 を挿入した状態において、当該延長接続管P
0 に対してスペーサS
1 の内周面は、全長に亘って各支持突条6の当接支持面に当接することで、安定して支持される構造になっている。一方、スペーサS
1 における前記支持突条6を除く部分は、当該支持突条6に比較して薄肉に形成されたテーパー円筒部8となっていて、当該テーパー円筒部8の肉厚(T)は、軸方向に沿って一定しているため、スペーサS
1 における前記テーパー円筒部8の内周面は、縦断面視で軸方向に沿って傾斜している〔
図2(c),(d)参照〕。
【0022】
また、スペーサS
1 には、対応する水栓の水栓接続部よりも大きな水栓の水栓接続部に対応可能にすべく、当該スペーサS
1 の軸方向に沿った切断を容易にするための深溝状の第1切割部9が外周面に開口した状態で軸方向の全長に亘って形成されている。深溝状の第1切割部9の深さは、各分割部2の肉厚が小径側から大径側に向けて徐々に厚くなっていることに対応して、スペーサS
1 の軸方向の一端の小径側から他端の大径側に向けて漸次深くなっていて、当該第1切割部9が設けられた部分の肉厚は、テーパー円筒部8の肉厚Tよりも僅かに厚く形成されて、前記第1切割部9は、テーパー円筒部8の肉厚の部分まで形成されていて、切り割りを容易にしている。即ち、スペーサS
1 を第1切割部9で切り割って、横断面視で周方向の一部に開口部29〔
図8(b)参照〕を形成することで、当該開口部29が形成されたスペーサS
1 の中空部7’の内径は、当該開口部29を有しない本来のスペーサS
1 の中空部7の内径よりも大きくなって、スペーサS
1 が対応する本来の水栓よりもサイズの大きな別の水栓に対して対応可能となる(別の水栓の水栓接続部の外側にスペーサS
1 を嵌め込むことができる)。
【0023】
また、スペーサS
1 における前記第1切割部9に対して周方向に沿って位相が180°異なる部分、即ち、当該第1切割部9と対向する部分には、前記第1切割部9と同様の外周面に開口した第2切割部11が、当該スペーサS
1 の小径側の一端から軸方向に沿った中間の部分まで形成されている。第2切割部11の主たる機能は、壁孔H
1 に挿入された水栓接続部、或いは水栓接続部としての機能を果す後述の延長接続管P
0 の外周面と、当該壁孔H
1 の内周面33とで形成される環状隙間K
1 (
図5参照)にスペーサS
1 を圧入させる際に、当該スペーサS
1 の小径側の部分を拡開させて、水栓の水栓接続部或いは延長接続管P
0 の外側に対するスペーサS
1 の嵌め込みを容易にすることであり、他の機能については、後述する。
【0024】
次に、
図3〜
図7を参照して、壁材Wに形成された壁孔H
1 に、水栓継手C
1 を構成する延長接続管P
0 が挿入された状態において、当該延長接続管P
0 の外周面と壁孔H
1 の内周面33との間に形成される環状隙間K
1 に、上記したスペーサS
1 を挿入して、当該環状隙間K
1 を閉塞する構造について説明する。
図3及び
図4に示されるように、L字状をした水栓継手C
1 は、壁材Wの壁裏に配置されて、L字状のブラケット31を介して横材32に固定される。本配管例では、壁材Wに対して横材32が所定距離だけ離れて配置されているため、水栓継手C
1 の水栓接続部21を壁孔H
1 に直接に挿入できない。このため、水栓継手C
1 の水栓接続部21に短直管状の延長接続管P
0 を接続して、当該延長接続管P
0 の先端部が壁裏から壁孔H
1 に挿入され、壁表において当該延長接続管P
0 に水栓Vが接続される。延長接続管P
0 の一端部には、壁孔H
1 に挿入される一般部22よりも僅かに小径の雄螺子部23が設けられ、当該雄螺子部23が、水栓継手C
1 の水栓接続部21の内周面に形成された雌螺子部24に螺合されている。また、延長接続管P
0 の先端部には、水栓継手C
1 の水栓接続部21に形成された雌螺子部24と同一内径の雌螺子部25が形成されているため、延長接続管P
0 の使用により、水栓継手C
1 は、当該延長接続管P
0 の一般部22の長さだけ、壁表に向けて延長されることになって、水栓継手C
1 の水栓接続部21と同等機能を果す延長接続管P
0 の先端部を壁孔H
1 に挿入可能となる。
【0025】
次に、水栓継手C
1 及び当該水栓継手C
1 に接続される延長接続管P
0 を使用して、壁裏に配管された給水管P
1 に対して壁表において水栓Vを接続する配管施工について説明する。まず、水栓継手C
1 に接続される水栓Vが設定予定位置に配置されるように、壁裏において、当該水栓継手C
1 を壁裏予定位置に設置されている横材32にブラケット31を介して固定し、その後に、横材32の配置位置、給水管P
1 の呼径、水栓継手C
1 のサイズ等の設計図類に記載の既知事項に基づいて算出された位置に、前記既知事項に基づいて算出された内径d
1 の壁孔H
1 を穿孔した壁材Wを立設させる。その後に、壁表から壁孔H
1 を貫通させて、水栓継手C
1 の水栓接続部21に延長接続管P
0 を接続させて、延長接続管P
0 の雌螺子部25と水栓継手C
1 の雌螺子部24とが同心となって、水栓継手C
1 の水栓接続部21が延長接続管P
0 の一般部22の長さだけ壁表側に延長される。なお、延長接続管P
0 は、壁材Wの立設前に、水栓継手C
1 に接続されて施工してもよい。本配管例では、延長接続管P
0 の先端部は、所定長だけ壁表に突出している。
【0026】
上記したように、壁材Wを立設する前に、横材32に対する水栓継手C
1 の固定、水栓継手C
1 に対する給水管P
1 の接続等を済ませておくために、壁材Wに穿孔される壁孔H
1 の内径d
1 は、水栓継手C
1 の水栓接続部21(又は延長接続管P
0 )の外径よりも大きくしないと、壁孔H
1 と水栓継手C
1 の水栓接続部21(又は延長接続管P
0 )とが干渉して、壁孔H
1 と水栓継手C
1 の水栓接続部21(又は延長接続管P
0 )を挿入できないことが発生する。現実の配管施工では、壁孔H
1 の軸心J
1 に対して水栓継手C
1 の水栓接続部21(又は延長接続管P
0 )の軸心がずれることの方が多いため、壁孔H
1 の内径d
1 を水栓継手C
1 の水栓接続部21(又は延長接続管P
0 )の外径D
1 よりも大きくしてある。その結果として、壁孔H
1 の内周面33と、水栓継手C
1 の水栓接続部21(又は延長接続管P
0 )の外周面との間に不可避的に環状隙間K
1 が発生し、水栓Vのがたつき防止のために、当該環状隙間K
1 を閉塞する必要が生ずる。
【0027】
その後に、
図5に示されるように、必要に応じてスペーサS
1 の第2切割部11の部分において、当該スペーサS
1 の小径側の部分を切り割って拡開しておき、この状態で、壁表において、延長接続管P
0 の先端部から、その外側にスペーサS
1 を嵌め込むことにより、相対的に当該スペーサS
1 の中空部7に延長接続管P
0 の先端部が挿入される。これにより、延長接続管P
0 の外周面と壁孔H
1 の内周面33とで形成される環状隙間K
1 がスペーサS
1 により閉塞される。内径d
1 の壁孔H
1 の場合には、
図6に詳細に図示されているように、中央の2つの環状突出部4のみが、壁孔H
1 の内周面33に弾接することで大径側に隣接する別の分割部2の側に弾性変形により傾動されて、大径側に隣接する別の分割部2の当接支持部5に当接して支持される。このため、壁孔H
1 に対するスペーサS
1 の支持力も大きくなって、容易にはずれなくなる。このため、水栓Vに負荷が加わった場合、当該負荷の一部は、負荷作用部から最も近いスペーサS
1 に作用して、水栓Vのがたつきを効果的に防止できる。なお、
図3及び
図4において、34は、L字形の水栓継手C
1 における給水管P
1 と接続される管接続部を示す。
【0028】
その後に、壁表において、延長接続管P
0 の先端部の内周面に形成された雌螺子部25に水栓Vの雄螺子部26を螺合させると、延長接続管P
0 に対して水栓Vが接続される。水栓Vの雄螺子部26には、化粧リング27が螺合されて、壁材Wの表面に密着される。延長接続管P
0 の先端部及びスペーサS
1 の大径側の一部は、壁表に突出しているが、これらの突出部分の全ては、化粧リング27と壁表面とで形成される空間に収容されて外側からは視認できなくなって、外観が良好となる。
【0029】
図7は、壁材Wにあけられる壁孔H
1 〜H
3 の内径d
1 〜d
3 によって、当該壁孔H
1 〜H
3 に挿入されるスペーサS
1 の長さが異なることで、壁孔の内径が所定の範囲内であれば、同一のスペーサS
1 により当該壁孔H
1 〜H
3 の環状隙間K
1 〜K
3 を閉塞可能であることを示している。なお、スペーサS
1 に対応する壁孔H
1 の内径は、(d
1)であって各壁孔H
1 〜H
3 の内径d
1 〜d
3 は、(d
3 >d
1 >d
2 )の関係を有している。即ち、壁孔H
1(H
2,H
3)の内径d
1(d
2,d
3)が小さい程、環状隙間K
1(K
2,K
3)が小さくなって、壁孔H
1(H
2,H
3)に対するスペーサS
1 の挿入長は短くなるが、複数の環状突出部4のうち、壁孔H
1(H
2,H
3)の内径に対応したいずれかが、その内周面33に弾接することで、壁孔H
1(H
2,H
3)に対してスペーサS
1 が保持された状態で、環状隙間K
1(K
2,K
3)が閉塞される。また、図 7(a)は、壁孔H
2 の内径が、スペーサS
1 の対応する壁孔H
1 の内径d
1 よりも小さいために、壁孔H
2 に対するスペーサS
1 の挿入長が短くて、その大径側の未挿入部が前記化粧リング27と干渉してしまうため、
図8(a)に示されるように、大径側の2つの分割部2を環状凹溝1の部分で切断して、全長を半減させた例である。なお、
図8(a)において、S
1'は、切除された側のスペーサを示す。
【0030】
また、スペーサS
1 は、
図8(b)で示されるように、第1切割部9で切り割って、中空部7’の内径を大きくすることで、対応する外径D
1 (
図6参照)の延長接続管(水栓接続部)P
0 よりも大きな外径(D
2)の水栓接続部に対応可能である。即ち、
図9及び
図10に示されるように、外径(D
2)の水栓接続部28を備えた水栓継手C
2 において、当該水栓接続部28が壁孔H
4 と同心状態で挿入された状態において、壁表から、第1切割部9で切り割られたスペーサS
1 を壁孔H
1 の環状隙間K
4 に挿入すると、当該スペーサS
1 は、水栓接続部28の外径(D
2)に対応した量だけ切割部分が拡開されることで、中空部7’の内径が大きくなって、対応外径(D
1)よりも大きな外径(D
2)の水栓接続部28の外周面に嵌め込まれると共に、複数の環状突出部4が壁孔H
4 の内周面に弾性変形して密着する。これにより、周方向の一部にスペーサS
1 が存在しない開口部29が発生することで、壁孔H
4 の環状隙間K
1 の周方向の一部が未閉塞のままであるが、当該スペーサS
1 は、壁孔H
4 の内周面33に抜け出ることなく保持される。また、軸方向に沿った切り割りを容易にするための第1切割部9の部分で切り割って開口部29を形成することなく、予め切り割られた構造にしておいてもよい。なお、開口部29が壁孔H
4 の上部に配置されるように、当該壁孔H
4 の環状隙間K
1'に対して周方向の一部に開口部29を有するスペーサS
1 を圧入すると、当該スペーサS
1 に対して負荷を作用する部分の全ては、壁孔H
4 の内周面に密着しているため、当該水栓Vのがたつきを一層効果的に防止できる。
【0031】
図11には、壁孔H
4 に対して水栓継手C
2 の水栓接続部28が偏芯して挿入された状態において、第1切割部9で切り割られたスペーサS
1 により、環状隙間K
4 が閉塞される構造を示している。なお、
図11(b)において、J
1 ,J
2 は、それぞれ壁孔H
4 及び水栓継手C
2 の水栓接続部28の中心(軸心)を示す。水栓継手C
2 の水栓接続部28の外径は(D
2 )〔>D
1 〕であるため、スペーサS
1 は、第1切割部9で切り割られて、周方向の一部に中空部7’が形成された状態で、水栓継手C
2 の水栓接続部28の外側に嵌め込まれて、環状隙間K
1'が閉塞されている。即ち、水栓継手C
2 の水栓接続部28は、壁孔H
4 に対して偏芯配置されて、壁孔H
4 を中心J
1 で上下に二分した場合において、スペーサS
1 の環状突出部4の変形量は、下半分の方が上半分よりも大きくなった状態で、環状隙間K
4 が閉塞されている。そして、上記した偏芯量が一定量を超えて大きくなると、スペーサS
1 の周方向の一部に開口部29を形成しないと、壁孔H
4 の環状隙間K
4 にスペーサS
1 を圧入できなくなり、この場合において、当該開口部29が有効に作用する。
【0032】
また、上記配管例では、水栓継手C
1 が壁裏において壁材Wから離間して配置されるために、水栓接続部21を壁孔H
1 の部分まで到達させるために延長接続管P
0 を使用しているが、
図12及び
図13に示される配管例では、横材32が壁材Wの裏面に接した状態で配置されているため、水栓継手C
1 の水栓接続部21を壁孔H
5 に直接に挿入できる構造である。L字形の水栓継手C
1 は、水栓接続部21と管接続部34とを備え、L字形のブラケット31を介して周辺の部材に固定され、
図4に示されるように、ブラケット31の一方の板部31aは、複数のボルト35を介して水栓継手C
1 の背面側に固定され、他方の板部31bは、同じく複数本のボルト36を介して横材32に固定される。ブラケット31の板部31bの先端部は、水栓接続部21の基端部まで達していて、当該基端部に設けられた3つの突起部37a,37b,37cのいずれかに当接させて、水栓継手C
1 の固定状態を安定化させている。
図3及び
図11の配管例では、給水管P
1 が垂直配管されるため、ブラケット31の板部31bは、いずれも水栓接続部21の上面部に設けられた突起部37aに当接している。残りの2つの突起部37b,37cは、水栓接続部21の両側面部に対向して形成されて、給水管P
1 が水平配管される場合において、ブラケット31の板部31bを当接させるのに使用される。このため、計3つの突起部37a,37b,37cは、水栓継手C
1 の水栓接続部21の基端部の外周面に互いに位相が90°だけずれて配置されている。
【0033】
そして、水栓継手C
1 の水栓接続部21が壁孔H
5 に挿入されて、当該水栓接続部21の外周面と壁孔H
5 の内周面33とで形成された環状隙間K
5 をスペーサS
1 で閉塞するには、以下のようにして行う。即ち、スペーサS
1 を第1切割部9の部分で切り割って、中空部7’の内径を大きくすると共に、第2切割部11を切り割って、当該第2切割部11の側を上方に向けた状態で、当該スペーサS
1 を壁表から前記水栓継手C
1 の水栓接続部21の外側に嵌め込むと、スペーサS
1 の開口部29を除く部分において、環状突出部4が弾性変形により壁表の側に傾動されて、壁孔H
5 の内周面33に弾接することで、前記環状隙間K
5 が閉塞される。
【0034】
環状隙間K
5 を閉塞しているスペーサS
1 の奥側の小径部においては、
図12及び
図13に詳細に図示されているように、スペーサS
1 における第2切割部11で切り割られた部分は、水栓継手C
1 の水栓接続部21とブラケット31の板部31bとの隙間が入り込んだ状態で、当該水栓接続部21の上部に設けられた突起部37aにより両側に押し拡げられて、当該突起部37aを両側から挟んだ状態に配置される。また、スペーサS
1 の奥側の小径部における各突起部37b,37cの部分においては、当該各突起部37b,37cに乗り上げた状態となって配置される。
【0035】
(参考例1)
次に、
図14を参照して、
参考例1のスペーサS
2 について、上記したスペーサS
1 と異なる部分についてのみ説明する。
参考例1のスペーサS
2 は、前記スペーサS
1 に対してテーパー円筒部8’の外周面に形成された傾斜突条部41の形状のみが異なる。即ち、テーパー円筒部8’の外周面には、複数本の傾斜突条部41が周方向に一定間隔をおいてスペーサS
2 の軸心J
1 に対して角度(θ)だけ傾斜して一体に設けられている。傾斜突条部41の突出長は、全長に亘って一定であるが、当該傾斜突条部41が一体に設けられているテーパー円筒部8’の外径が軸方向に沿ってテーパー状に変化しているため、傾斜突状部41の先端部の外径は、軸方向に沿った一端から他端に向けて直線的に変化している。
参考例1では、複数本の傾斜突条部41が外径調整部を構成している。
【0036】
このため、壁孔H
1 に挿入された水栓継手C
1 の延長接続管P
0 の外周面と、当該壁孔H
1 の内周面との間の環状隙間K
1 に壁表からスペーサS
2 を圧入すると、傾斜突条部41がスペーサS
2 の軸心J
1 に対して傾斜しているため、当該傾斜突条部41の先端部が常に一方側に傾動されて、壁孔H
1 の内径d
1 に対応した長さだけスペーサS
2 が当該壁孔H
1 に挿入された状態で、当該壁孔H
1 の内周面33に密着する。
【0037】
また、隣接する傾斜突条部41の間はテーパー円筒部8のみが存在しているため、スペーサS
2 の周方向の一部に開口部を形成して、対応外径よりも大きな外径の水栓継手の水栓接続部に嵌め込むためには、隣接する傾斜突条部41の間のテーパー円筒部8を当該傾斜突条部41に沿って切断すればよい。当該切断は、テーパー円筒部8が薄肉構造であるため容易である。
【0038】
(参考例2)
次に、
図15を参照して、
参考例2のスペーサS
3 について、
参考例1のスペーサS
2 は、軸心J
1 に対して傾斜した状態でテーパー円筒部8’の外周に一体に設けられた複数の傾斜突条部41が外径調整部を構成しているのに対して、
参考例2のスペーサS
3 は、テーパー円筒部8”の外側に、当該テーパー円筒部8”の小径側から大径側に向けて高さが徐々に高くなった断面三角形状の山部42aを有する螺旋突条部42が一体に設けられた構成である。スペーサS
3 では、螺旋突条部42が外径調整部を構成している。また、スペーサS
3 には、スペーサS
1 と同様に、第1及び第2の各切割部9,11が設けられている。