(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1画素に対応する階調が、中間階調の中の第1範囲の階調である場合、上記第1表示方式において上記画素書込部が上記第1画素に書き込む電位と、上記第2表示方式において上記画素書込部が上記第1画素に書き込む電位とは、同極性であり、かつ異なる大きさであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
上記ガンマ補正部は、上記第1表示方式における階調−輝度特性と、上記第2表示方式における階調−輝度特性とが同じになるように、ガンマ補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
図2は、酸化物半導体液晶表示パネルを1Hzのリフレッシュレートで駆動した時の、各階調のフリッカ率を示すグラフである。フリッカ率は、フリッカの視認されやすさを表し、その値が大きいほどフリッカが視認されやすい。例えば、フリッカ率1.5%がフリッカが視認されやすいか否かの1つの基準になる。低リフレッシュレートで駆動した場合に、フリッカが生じやすいか否かは、表示する画像の階調に依存する。
図2では、最小の階調(黒)が0、最大の階調(白)が255である。なお、フリッカの視認されやすさは、画面の大きさおよび製造工程によっても異なる。パネル1はパネル2に比べて大型の液晶表示パネルである。パネル1とパネル2とは製造工程も異なる。
【0016】
中間階調では液晶の応答速度が比較的遅い。また、中間階調では、TFTを介した電荷の漏れによる階調の変化(液晶分子の配向の変化)が生じやすい。ここで、中間階調とは、飽和階調(最小の階調および最大の階調)を除いた階調のことである。例えば最小の階調を0、最大の階調を255としたときは、階調1から階調254の範囲が中間階調である。ノーマリブラックの場合、中間階調の中でも、例えば階調10から階調200の範囲でフリッカがより視認されやすい。さらに、階調20から階調80の範囲でフリッカがより視認されやすく、特に階調40から階調60の範囲でフリッカが視認されやすい。例えば、上記の範囲の階調の画素が多く含まれる画像を、1Hzのリフレッシュレートで表示した場合、1秒毎に画面がリフレッシュされるので、ユーザは1秒毎にフリッカを視認する可能性がある。
【0017】
そこで、本実施形態では、画像に所定の範囲の階調の画素が多く含まれる場合、すなわち画像がフリッカを視認させやすい特徴を有する場合、表示方法を切り替えることによって、フリッカが視認されることを防止する。
【0018】
(表示装置1の構成)
図1は、本発明に係る一実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。表示装置1は、表示部10と、表示駆動部20と、ホスト制御部30(制御装置)とを備えている。
【0019】
表示部10は画面を備えており、例えば、アクティブマトリクス型液晶表示パネルとしての酸化物半導体液晶表示パネルによって構成されている。酸化物半導体液晶表示パネルとは、二次元的に配列された複数の画素の少なくとも1つ毎に対応して設けられたスイッチング素子に、前述した酸化物半導体−TFTを採用した液晶表示パネルである。酸化物半導体−TFTは、半導体層に酸化物半導体が用いられたTFTである。酸化物半導体としては、例えば、インジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物を用いた酸化物半導体(In−Ga−Zn−O)がある。酸化物半導体−TFTは、オン状態において流れる電流が大きく、オフ状態におけるリーク電流が小さい。そのため、スイッチング素子に、酸化物半導体−TFTを採用したことにより、画素開口率を向上させることができる上に、画面表示のリフレッシュレートを1Hz程度にまで低減させることができる。リフレッシュレートの低減は、省電力効果をもたらす。なお、画素開口率の向上は、表示を明るくする効果、または表示の明るさをCGシリコン液晶表示パネルなどと同じにする場合には、バックライトの光量を下げることによる省電力効果をもたらす。
【0020】
(ホスト制御部30の構成)
ホスト制御部30は、画面更新検知部31(更新検知部)、CPU32、ホストメモリ33、ホストTG34(ホストタイミングジェネレータ)、画像判定部35、表示方式切替部36、およびガンマ補正部37を備えている。ホスト制御部30は、例えば基板上に形成された制御回路で構成される。
【0021】
上記画面更新検知部31は、表示部10の画面の表示内容を更新する必要があるかどうかを検知する。例えば、表示装置1内で起動され実行中のアプリケーションが、表示内容の更新を画面更新検知部31に通知してきた場合、表示装置1のユーザが入力部を介して表示内容の更新を画面更新検知部31に通知してきた場合、インターネットを介したデータストリーミングまたは放送波などによる表示内容の更新が画面更新検知部31に通知された場合などに、画面更新検知部31は、CPU32に画面の表示内容(画像)を更新する必要があることを知らせる。
【0022】
ここでは、画面更新検知部31に入力される表示データは、表示内容が更新されるフレームの画像と、該画像データを表示するタイミングを示す表示更新フラグ(タイムリファレンス)とを含む。複数フレームに渡って画像の内容が変化しない場合、変化しない間のフレームのデータは、表示データには含まれない。画面更新検知部31は、表示更新フラグに基づいて、表示内容の更新の必要性を検知することができる。画面更新検知部31は、画像の内容が変化したフレームの時刻を記憶する。画面更新検知部31は、表示更新フラグに基づいて、前に画像の内容が変化したフレームから(表示内容が更新されたフレームから)次に画像の内容が変化するフレームまでの間隔を検知する。画像の内容が変化する間隔から、表示が動画であるか静止画であるかを判別することができる。画面更新検知部31は、表示更新フラグと表示データとをCPU32に出力する。また、画面更新検知部31は、画像の内容が変化する間隔を、表示方式切替部36に出力する。
【0023】
なお、画面更新検知部31に入力された表示データに、表示更新フラグが含まれておらず、全てのフレームのデータが含まれている場合、画面更新検知部31は、前のフレームの画像と後のフレームの画像とを比較することにより、画像の内容が変化したか否かを判断することができる。画面更新検知部31は、この比較結果より、表示内容の更新の必要性を検知することができる。この場合も、画面更新検知部31は、更新されたフレームの時刻から、画像の内容が変化してから次に画像の内容が変化するまでの間隔を検知する。
【0024】
CPU32は、1画面分の表示データを画面更新検知部31から取得し、ホストメモリ33に表示データを書き込む。また、CPU32は、画像判定部35に表示データを出力する。CPU32は、更新フラグをホストTG34に出力する。
【0025】
ホストメモリ33は、VRAM(Video Random Access Memory)等で構成される記憶装置である。
【0026】
画像判定部35は、表示データが示す画像が、フリッカを視認させやすい特徴を有する画像(フリッカ画像)であるか否かを判定する。具体的には、画像判定部35は、画像中の各画素について、階調20から階調80の範囲(第2範囲)の階調であるか否かを判定する。画像判定部35は、画像の所定の領域における第2範囲の階調である画素の割合を求める。具体的には、画像判定部35は、例えば10階調刻みで複数の画素を分類したヒストグラムを生成し、ヒストグラムから第2範囲の階調である画素の割合を求める。ここでは上記所定の領域は画像の全体であるが、上記所定の領域は画像の一部の領域であってもよい。画像判定部35は、第2範囲の階調である画素の割合が30%(第1閾値)以上であるか否かを判定する。画像判定部35は、上記割合が30%以上である場合、その画像がフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定し、上記割合が30%未満である場合、その画像がフリッカを視認させやすい特徴を有しないと判定する。画像判定部35は、第2範囲の階調である画素の割合が第1閾値以上であるか否か(画像がフリッカを視認させやすい特徴を有するか否か)の判定結果を、表示方式切替部36に出力する。なお、第2範囲および第1閾値等の値は、一例であり、他の値であってもよい。
【0027】
表示方式切替部36は、画像判定部35の判定結果に基づいて、表示部10の表示方式を切り替える。表示が静止画であり、画像がフリッカを視認させやすい特徴を有しないと判定された場合、表示方式切替部36は、カラム反転駆動(第1表示方式)で該画像の表示を行うことを決定する。一方、表示が静止画であり、画像がフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定された場合、表示方式切替部36は、ドット反転駆動(第2表示方式)で該画像の表示を行うことを決定する。ただし、表示が動画である場合、表示方式切替部36は、画像判定部35の判定結果に関わらず、カラム反転駆動によって該画像の表示を行うことを決定する。なお、静止画か動画かに関わらず、画像がフリッカを視認させやすい特徴を有するか否かに応じて表示方式を決定してもよい。
【0028】
カラム反転駆動は、ドット反転駆動に比べて、消費電力が小さいという長所を有する。一方、ドット反転駆動は、カラム反転駆動に比べて、消費電力は大きいが、フリッカが生じにくいという長所を有する。そのため、画像そのものがフリッカを視認させやすい特徴を有する場合は、フリッカの発生を抑制するためにドット反転駆動により表示を行う。表示が動画である場合、短い間隔で画像の内容が変化するので、第2範囲の階調の画素が多くてもフリッカが視認されにくい。そのため、表示が動画である場合、ドット反転駆動を行う必要はない。なお、表示方式切替部36は、画像の内容が変化する間隔から、表示が動画であるか静止画であるかを判定することができる。表示方式切替部36は、決定された表示方式(カラム反転駆動またはドット反転駆動)で表示部10が駆動されるよう、表示駆動部20に表示方式を指示する。また、表示方式切替部36は、ガンマ補正部37にも表示方式を指示する。
【0029】
ガンマ補正部37は、ホストメモリ33から表示データを取得し、表示方式切替部36から指示された表示方式に応じて、異なるパラメータを用いて表示データに対してガンマ補正を行う。具体的には、ガンマ補正部37は、カラム反転駆動に適した第1LUT(ルックアップテーブル)と、ドット反転駆動に適した第2LUTとを有する。表示方式がカラム反転駆動の場合、ガンマ補正部37は、表示データに対して第1LUTを用いてガンマ補正を行う。表示方式がドット反転駆動の場合、ガンマ補正部37は、表示データに対して第2LUTを用いてガンマ補正を行う。ガンマ補正部37は、ガンマ補正後の表示データをホストTG34に出力する。
【0030】
ホストTG34は、CPU32から更新フラグを受け取ると、ガンマ補正部37から取得したガンマ補正後の表示データを、表示駆動部20に転送する。ホストTG34は、表示内容(画像)の更新が必要な時のみ、更新されるフレーム画像の表示データを表示駆動部20に転送する。表示データの転送は、例えばMIPI(ミピ:Mobile Industry Processor Interface)等のモバイル機器のデータ通信仕様に従って行われる。なお、ホストTG34は、ガンマ補正後の表示データと共に同期信号を表示駆動部20に転送する。
【0031】
(表示駆動部20の構成)
表示駆動部20は、例えば、表示部10のガラス基板にCOG(Chip on Glass)実装された、いわゆるCOGドライバであり、上記画面に、表示データに基づく表示を行わせるように、表示部10を駆動する。表示駆動部20は、メモリ21、TG22(タイミングジェネレータ)、およびソースドライバ23(画素書込部)を備える。
【0032】
メモリ21は、ホスト制御部30から転送された表示データを記憶する。メモリ21は、次に表示の更新が行われるまで(すなわち画像の内容が変化しない限り)、表示データを保持し続ける。
【0033】
TG22は、表示部10を駆動するためのタイミング信号を生成する。TG22は、画像の内容が変化したとき(すなわちホスト制御部30から表示駆動部20に表示データが転送されたとき)、メモリ21から表示データを読み出し、タイミング信号と表示データとをソースドライバ23に出力する。また、TG22は、表示部10の画素に電位を書き込んでから所定期間が経過したとき、メモリ21から表示データを読み出し、タイミング信号と表示データとをソースドライバ23に出力する。例えば上記所定期間が1秒であれば静止画のリフレッシュレートは1Hzになり、上記所定期間が0.1秒であれば静止画のリフレッシュレートは10Hzになる。また、動画を表示する場合、リフレッシュレートは動画のフレームレートに合わせられる。例えば動画のフレームレートが30Hzであれば、リフレッシュレートは30Hzになる。なお、TG22は、タイミング信号を生成するためにホストTGから入力される同期信号を利用してもよい。
【0034】
ソースドライバ23は、ホスト制御部30から指示された表示方式で、タイミング信号に従って、表示部10の画素に表示データに対応した電位を書き込む。具体的には、ソースドライバ23は、ガンマ補正後の表示データが示す階調に対応する電位のソース信号を生成し、ソース信号を表示部10の画素に供給する。表示部10をカラム反転駆動またはドット反転駆動で駆動するために、ソースドライバ23は、各画素に供給するソース信号の電位の極性を、書き込みが行われるフレーム毎に反転させる。また、カラム反転駆動(第1表示方式)では、1つのフレームにおいて各画素に書き込まれる電位の極性が、列(画素列、または絵素列)毎に反転している。ドット反転駆動(第2表示方式)では、1つのフレームにおいて各画素に書き込まれる電位の極性が、列毎および行毎に極性が反転している。ここでは、表示パネルに設けられる共通電極の電位より高ければ極性は+、共通電極の電位より低ければ極性は−である。
【0035】
なお、表示装置1の好適な例として、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ノート型PC、タブレット端末、電子書籍リーダー、またはPDA等、特に携行性を重視する表示装置を挙げることができる。
【0036】
(表示駆動方法)
図3は、表示装置1において静止画を表示するときのタイミングチャートである。
図3は、静止画像Aと静止画像Bとが順に表示される場合を示す。画像Aは、第2範囲(階調20〜階調80)の階調の画素の割合が第1閾値(30%)より小さく、フリッカを視認させやすい特徴を有しない画像である。画像Bは、第2範囲の階調の画素の割合が第1閾値以上であり、フリッカを視認させやすい特徴を有する画像である。そのため、画像Aはカラム反転駆動によって表示が行われ、画像Bはドット反転駆動によって表示が行われる。
【0037】
図3の(a)に示すように、画像の内容が変化したときのみ、ホスト制御部30から表示駆動部20に1画面分の(ガンマ補正後の)表示データ(画像A、画像B)が転送される。画像Aの表示データが転送された後、次にホスト制御部30から表示駆動部20に表示データが転送されるのは、表示内容が画像Bに更新されるときである。
【0038】
表示駆動部20は、受け取った表示データ(画像A)をメモリ21に格納すると共に、
図3の(b)のドライバ内部垂直同期信号に同期したタイミングで、表示部10の表示を画像Aに更新する(
図3の(c))。ドライバ内部垂直同期信号は、所定期間(1秒)毎に、TG22が生成する。なお、表示駆動部20が表示データを受け取ってから表示するまでの遅延時間は、ここでは省略している。点線のパルスは、そこでは垂直同期信号が生成されていないことを示す。
【0039】
その後、画像Aの表示のリフレッシュは、1秒毎に(1Hzで)行われる。表示駆動部20において、1秒毎に、TG22がメモリ21から表示データ(画像A)を読み出し、ソースドライバ23が表示データに対応する電位を表示部10に供給する。
【0040】
表示駆動部20は、画像Bを示す表示データを受け取ると、リフレッシュレートに関係なく、表示部10の表示を画像Bに更新する。その後、画像Bの表示のリフレッシュは、1秒毎に行われる。表示駆動部20において、1秒毎に、TG22がメモリ21から表示データ(画像B)を読み出し、ソースドライバ23が表示データに対応する電位を表示部10に供給する。このとき、ドライバ内部垂直同期信号も、1Hzのリフレッシュレートに合わせて生成される。
【0041】
図4は、表示装置1において動画を表示するときのタイミングチャートである。
図4は、動画である画像A〜画像Eが順に表示される場合を示す。画像A、B、D、Eはそれぞれ1/30秒間表示され、画像Cは1/15秒間表示される。画像の内容が変化する間隔は、画像A〜画像Eのいずれでも間隔閾値(例えば400ms)以下である。そのため、画像A〜画像Eは動画であると判断されるので、画像の階調に関係なく画像A〜画像Eはカラム反転駆動によって表示される。
【0042】
図4の(a)(b)に示すように、画像の内容が変化したときのみ、垂直同期信号(転送)に同期したタイミングで、ホスト制御部30から表示駆動部20に1画面分の(ガンマ補正後の)表示データ(画像A〜画像E)が転送される。
【0043】
表示駆動部20は、受け取った表示データ(画像A)をメモリ21に格納すると共に、
図4の(c)のドライバ内部垂直同期信号に同期したタイミングで、表示部10の表示を画像Aに更新する(
図4の(d))。ドライバ内部垂直同期信号は、ホスト制御部30から表示データを受け取るタイミングに応じて、TG22が生成する。
【0044】
(表示方式決定フロー1)
図5は、ホスト制御部30が表示方式を決定するフローチャートを示す図である。画面更新検知部31が表示の更新(画像の内容の変化)を検知する毎に、
図5のフローが実行される。
【0045】
画面更新検知部31は、表示更新フラグ等から画像の内容の変化を検知すると、画像の内容が変化する間隔を検知する。表示方式切替部36は、画像の内容が変化する間隔(更新間隔)が所定の間隔閾値(例えば400ms)以下であるか否かを判定する(S1)。
【0046】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値以下である場合(S1でYes)、表示方式切替部36は、表示される画像が動画であると判断し、表示方式をカラム反転駆動に決定する(S2)。
【0047】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きい場合(S1でNo)、表示方式切替部36は、表示される画像が静止画であると判断する。画像判定部35は、画像全体における第2範囲(階調20から階調80の範囲)の階調である画素の割合を求める。そして、画像判定部35は、第2範囲の階調である画素の割合が第1閾値(30%)以上であるか否かを判定する(S3)。
【0048】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きく、かつ第2範囲の階調である画素の割合が第1閾値(30%)未満である場合(S3でNo)、表示方式切替部36は、表示方式をカラム反転駆動に決定する(S4)。
【0049】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きく、かつ第2範囲の階調である画素の割合が第1閾値(30%)以上である場合(S3でYes)、表示方式切替部36は、表示方式をドット反転駆動に決定する(S5)。
【0050】
(表示部10への書き込み)
図6は、カラム反転駆動における表示部10の状態を示す図である。
図7は、ドット反転駆動における表示部10の状態を示す図である。表示部10は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色にそれぞれ対応する画素PIXを有する。各絵素PEは、RGBの3つの画素PIXを含む。各画素PIXの画素電極は、液晶を挟んで共通電極(図示せず)に対向している。各画素PIXは、TFTの半導体層として酸化物半導体が用いられているTFTを有する。
図6、
図7における「+」および「−」は、画素PIXに書き込まれる電位の極性を示している。ここで電位の極性は、共通電極の電位を基準(0V)として考える。ソース信号線SLは、画素列に沿って配置されており、画素PIXにソース信号を供給する。走査信号線GLは、画素行に沿って配置されており、画素PIXのTFTの導通/非導通を制御する。なお、絵素PE2は、絵素PE1に対して列方向に隣接する絵素である。絵素PE1に含まれるR画素を画素PIX1、絵素PE2に含まれるR画素を画素PIX2とする。ソースドライバ23は、(ガンマ補正後の)デジタル階調の表示データから各階調に対応する電位のソース信号を生成し、ソース信号をソース信号線SLに供給する。このとき、ソースドライバ23は、カラム反転駆動かドット反転駆動かに応じて、ソース信号の電位の極性を設定する。
【0051】
図6に示すカラム反転駆動では、1つのフレームにおいて、画素列毎に画素に書き込まれる電位の極性が反転している。さらに、カラム反転駆動では、書き込みを行うフレーム毎に各画素に書き込まれる電位の極性が反転する。なお、画素列毎ではなく、絵素列毎に画素に書き込まれる電位の極性を反転させてもよい。
【0052】
図7に示すドット反転駆動では、1つのフレームにおいて、画素列および画素行毎に画素に書き込まれる電位の極性が反転している。よって、ドット反転駆動では、画素列方向に隣接する画素PIX1および画素PIX2に書き込まれる電位の極性が異なり、画素行方向に隣接する画素PIX1および画素PIX5に書き込まれる電位の極性も異なる。さらに、ドット反転駆動では、書き込みを行うフレーム毎に各画素に書き込まれる電位の極性が反転する。なお、画素列および画素行毎ではなく、絵素列および絵素行毎に画素に書き込まれる電位の極性を反転させてもよい。
【0053】
ここで、アプリケーションから供給された表示データにおいて、画素PIX1に対応する表示データの階調と、画素PIX2に対応する表示データの階調とが同じ場合について説明する。すなわち、表示データにおいて列方向に隣接する赤色の画素の階調が同じ場合である。表示データの階調は、ガンマ補正部37においてデジタルのまま階調変換(ガンマ補正)される。ガンマ補正前において画素PIX1に対応する表示データの階調と、画素PIX2に対応する表示データの階調とは同じなので、ガンマ補正後においても両者の階調は同じである。
【0054】
カラム反転駆動では、1つの画素列に対しては同じ極性のソース信号を供給するので、表示データの階調が同じであれば、列方向に隣接する画素PIX1と画素PIX2とには同じ電位(例えば+2V)が書き込まれる。なお、次のフレームにおいては、画素PIX1と画素PIX2とには負極性の同じ電位(例えば−2V)が書き込まれる。
【0055】
一方、ドット反転駆動では、画素列方向に隣接する2つの画素PIX1・PIX2に対しては、互いに異なる極性のソース信号を供給する。そのため、表示データの階調が同じであっても、画素PIX1に書き込まれる電位(例えば+2V)と画素PIX2に書き込まれる電位(例えば−2V)とは異なる。ただし、2つの画素PIX1・PIX2は、電位の極性は異なるが、共通電極の電位(0V)に対する電圧差はほぼ同じなので、液晶の透過率(すなわち輝度)は実質的に同じになる。
【0056】
厳密には、共通電極の電位が正負の中央電位(0V)からずれること等により、正極性の輝度と負極性の輝度とが一致しない場合がある。カラム反転駆動の場合、その輝度差が列毎に異なるので、列模様のフリッカが視認されやすい。これに対して、ドット反転駆動では、画素の正極性および負極性が市松模様に分布するので、フリッカが視認されにくい。
【0057】
(ガンマ補正)
本実施形態のガンマ補正について、さらに詳細に説明する。ガンマ補正部37は、カラム反転駆動であるかドット反転駆動であるかに応じて、異なるガンマ補正を行う。
【0058】
図8は、表示データの階調に対する画素の輝度の特性(階調−輝度特性)を示す図である。
図8において、縦軸は輝度率(すなわち透過率)を表し、最大輝度を100(%)としている。横軸はガンマ補正前の表示データの階調(RGBのいずれかの階調)を表し、その範囲は0から255である。表示装置1では、アプリケーション等から供給された表示データの階調に対して、画素の輝度が
図8に示すようなガンマ特性(階調−輝度特性:ガンマ値2.2)になるように、表示データに対してガンマ補正を行う。例えば、カラム反転駆動で表示を行う場合、ガンマ補正部37は、階調60の表示データの階調(入力階調)を、階調50(出力階調)に変換して、ガンマ補正後の表示データとして出力する。
【0059】
しかしながら、ガンマ補正後の表示データの階調が同じであっても、カラム反転駆動とドット反転駆動とではガンマ特性が異なって見える。もし、ドット反転駆動においてもカラム反転駆動と同じγパラメータでガンマ補正を行うと、実際の輝度は例えば
図9に示すような
図8とは異なるガンマ特性になる。これは、ドット反転駆動では、1水平期間毎にソース信号線の極性が反転するので、ソース信号線の充電が必要になることに起因する。
【0060】
そのため、ガンマ補正部37は、ドット反転駆動で表示を行う場合、カラム反転駆動とは異なるγパラメータ(異なるLUT)を用いてガンマ補正を行う。例えば、ドット反転駆動で表示を行う場合、ガンマ補正部37は、階調60の表示データの階調(入力階調)を、階調55(出力階調)に変換して、ガンマ補正後の表示データとして出力する。このように、ガンマ補正部37は、表示データの階調(入力階調)が中間階調の中の第1範囲の階調(ガンマ特性が変化して見える範囲の階調:例えば階調10から250の範囲)である場合、ガンマ補正後の出力階調として、カラム反転駆動とドット反転駆動とでは異なる階調に変換する。それゆえ、ある画素PIXに対応する表示データの階調が第1範囲の階調である場合、カラム反転駆動では画素PIXに対して例えば+2Vのソース信号が供給され、例えばドット反転駆動では画素PIXに対して同極性で異なる電位である+2.1Vのソース信号が供給される。この場合でも書き込まれた結果の画素の電位は、カラム反転駆動とドット反転駆動とでほぼ同じになる。このように、カラム反転駆動とドット反転駆動とで異なるガンマ補正を行うことにより、カラム反転駆動による階調−輝度特性と、ドット反転駆動による階調−輝度特性とが同じになる(共に
図8のようになる)。
【0061】
(表示装置1の効果)
本実施形態の表示装置1によれば、静止画の表示において、フリッカが視認されやすい画像を表示する場合に、表示方式をドット反転駆動にすることによりフリッカが視認されることを防止することができる。また、静止画の表示において、フリッカが視認されにくい画像を表示する場合に、表示方式をカラム反転駆動にすることにより消費電力を低減することができる。そして、表示装置1は、動画を表示する場合は、動画の更新頻度に合わせたリフレッシュレートで表示を行い、静止画を表示する場合は、より低いリフレッシュレート(例えば10Hz以下)で表示を行う。それゆえ、表示装置1は、表示品位を高く保ちつつ消費電力を低減することができる。
【0062】
動画の表示においては、画像の階調に関係なくフリッカが視認されにくい。それゆえ、表示装置1は、動画を表示する場合、表示方式をカラム反転駆動にすることにより消費電力を低減する。なお、動画を表示するときのリフレッシュレートは、少なくとも動画の更新頻度以上であればよい。
【0063】
表示装置1では、画像の内容が変化しない期間では、リフレッシュ動作は表示駆動部20が行い、ホスト制御部30は表示駆動部20に画像を転送する必要がない。そのため、画像が変化しない期間においてホスト制御部30の動作を休止させることができる。ホスト制御部30が休止することによる省電力効果は、非常に大きい。
【0064】
(変形例1)
なお1つの絵素にはRGBの画素が含まれる。上記の例では、画像判定部35は、画素の色(RGB)に関係なく、画像における第2範囲の階調である画素の割合を判定する。
【0065】
一方で、画像判定部35は、RGB毎に第2範囲の階調である画素の割合を求め、該割合に色毎に重みづけをしてもよい。この場合、画像判定部35は、該割合に色毎に重みづけをした合計値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。一般的に、人間のRGBの認識度の強さは、R:G:B=3:6:1であると言われる。すなわち、人間はG(緑)画素を強く認識するので、G画素に第2範囲の階調が多いと、フリッカが視認されやすい。それゆえ、画像判定部35は、画像の所定の領域において、R(赤)画素のうち第2範囲の階調であるR画素の割合Rrと、G画素のうち第2範囲の階調であるG画素の割合Rgと、B画素のうち第2範囲の階調であるB画素の割合Rbとを求める。画像判定部35は、重みづけをした合計値として(3×Rr)+(6×Rg)+(1×Rb)を求める。画像判定部35は、この合計値が所定の閾値(例えば、(3+6+1)×30[%])以上であれば、その画像がフリッカが視認されやすい画像であると判定することができる。
【0066】
画像判定部35は、RGBの階調から求めた絵素の輝度Yに基づいて、その画像がフリッカを視認させやすい特徴を有する画像であるか否か判定してもよい。画像判定部35は、各絵素について、例えば輝度Y=R階調×0.29891+G階調×0.58661+B階調×0.11448として、輝度Yを求める。画像判定部35は、絵素の輝度Yが所定の範囲(例えば20〜80)の中にあれば、その絵素に含まれる複数の画素は第2範囲の階調であると判定してもよい。すなわち、輝度Yが所定の範囲内にある絵素の割合が第1閾値(30%)以上であれば、フリッカの視認を防止するために、第2表示方式(ドット反転駆動)によって表示が行われる。この場合、画像判定部35は、各絵素の輝度Yについてのヒストグラムを記憶すればよいので、各画素の階調についてのヒストグラムを記憶する場合に比べて記憶容量が1/3程度で済む。
【0067】
〔実施形態2〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態では、画像判定部および表示方式切替部が、ホスト制御部以外の基板に設けられている。また、本実施形態では、フリッカの視認防止のため、ドット反転駆動の代わりに、画像処理を用いた擬似ドット反転技術によって表示を行う。
【0068】
(表示装置2の構成)
図10は、本実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。表示装置2は、表示部10と、表示駆動部40と、表示制御部50(制御装置)と、ホスト制御部60とを備える。
【0069】
実施形態1と同様に、表示駆動部40は、表示部10のガラス基板にCOG実装された、COGドライバであり、表示部10の駆動を行う。ホスト制御部60は、基板上に形成された制御回路で構成される制御基板であり、表示装置2のホスト側の制御を主に担う。表示制御部50は、表示する画像に対する画像処理等のために、ホスト制御部60とは別に設けられる制御基板である。本実施形態では、表示方式の決定および表示方式に応じた画像処理を、表示制御部50で行う。これにより、ホスト制御部60の負荷を減らし、ホスト制御部60に表示以外の別の処理を行わせるための処理能力を確保することができる。
【0070】
表示駆動部40は、ソースドライバ23を備える。本実施形態では、ソースドライバ23はカラム反転駆動にのみ対応可能であり、ドット反転駆動は行わない。本実施形態では、常にカラム反転駆動によって表示が行われる。
【0071】
(ホスト制御部60の構成)
ホスト制御部60は、画面更新検知部61、CPU62、ホストメモリ33、およびホストTG34を備える。
【0072】
画面更新検知部61は、画像の内容が変化する間隔を検知して表示制御部50に通知してもよいし、画像の内容が変化する間隔を検知しなくてもよい。例えば、画像の内容が変化する間隔の検知は、表示制御部50側で行われてもよい。その他の点については、画面更新検知部61は、実施形態1の画面更新検知部31と同様の処理を行う。
【0073】
CPU62は、画像判定部に表示データを出力しない点を除き、実施形態1のCPU32と同様の処理を行う。
【0074】
ホストTG34は、表示の更新が必要な時のみ、更新される画像の表示データを表示制御部50に転送する。
【0075】
(表示制御部50の構成)
表示制御部50は、画像処理部51、画像判定部52、表示方式切替部53、メモリ21、およびTG22を備える。
【0076】
ホスト制御部60から表示データを受け取ると、画像判定部52は、表示データが示す画像が、フリッカを視認させやすい特徴を有する画像であるか否かを判定する。画像判定部52の判定処理は、上述の実施形態で説明した通りである。画像判定部52は、判定結果を表示方式切替部53に出力する。また、画像判定部52(更新検知部)は、画像が変化する間隔を検知し、画像が変化する間隔を表示方式切替部53に出力することができる。
【0077】
表示方式切替部53は、画像判定部52の判定結果に基づいて表示方式を決定する。表示方式切替部53は、画像判定部52において画像がフリッカを視認させやすい特徴を有しないと判定された場合、その画像を表示する期間において第1表示方式で画像を表示すると決定する。一方、表示方式切替部53は、画像判定部52において画像がフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定された場合、その画像を表示する期間において第2表示方式で画像を表示すると決定する。本実施形態では、第1表示方式は擬似ドット反転処理を行わない表示方式であり、第2表示方式は擬似ドット反転処理を行う表示方式である。表示方式切替部53は、決定された表示方式に応じた画像処理が行われるよう、表示方式を画像処理部51に指示する。
【0078】
画像処理部51は、ホスト制御部60から受け取った表示データに対して、表示方式に応じて擬似ドット反転処理(画像処理)を行う。第1表示方式では、画像処理部51は、擬似ドット反転処理を行わない。第2表示方式では、画像処理部51は、擬似ドット反転処理を行う。
【0079】
第2表示方式(擬似ドット反転処理)について説明する。画像処理部51は、RGBの色毎に、複数の画素に対応する表示データの階調が、同じでありかつ第2範囲(階調20から80の範囲)の階調であるような、所定の大きさ以上の領域を検出する。第2範囲の階調の画素が所定の大きさ以上集まった領域は、フリッカを視認させやすい領域である。画像処理部51は、検出された領域(対象領域)について、対象領域における階調が市松模様のように行方向および列方向に隣り合う画素の階調が不連続になるように、表示データに対して画像処理(擬似ドット反転処理)を行う。
【0080】
図11の(a)は、擬似ドット反転処理による表示データの階調の変化を示し、
図11の(b)は、対応する画素の輝度率の変化を示す。
図11においては、R画素のみに注目している。表示データにおいて、対象領域のR画素の階調は50であるとする。表示データの階調が50のとき、表示データに対して擬似ドット反転処理を行わなければ、対応する画素における輝度率(または透過率)は10%になる。輝度率は、最小輝度を0%とし、最大輝度を100%としたときの輝度の割合(%)である。
【0081】
擬似ドット反転処理では、表示データにおける対象領域に対して、ディザリングまたは誤差拡散等の処理を行い、階調値が市松模様に並ぶように、画像処理を行う。例えば表示データの対象領域における階調が50である場合、対象領域について画素PIX1に対応する階調を高く変換し、画素PIX1に隣接する画素PIX2に対応する階調を低く変換する。擬似ドット反転処理を行った場合、輝度率20%の明るい画素(画素PIX1)と、輝度率0%の暗い画素(画素PIX2)とが市松模様に並ぶ。このとき、擬似ドット反転処理後(変換後)の表示データでは、輝度率20%に対応する階調130の画素と、輝度率0%に対応する階調0の画素とが市松模様に並ぶ。擬似ドット反転処理を行った場合の対象領域における平均輝度率は10%となる。このように、表示データの擬似ドット反転処理を行った場合(第2表示方式)の画素PIX1の輝度および画素PIX2の平均輝度と、表示データの擬似ドット反転処理を行わない場合(第1表示方式)の画素PIX1の輝度とが同じになるように、階調変換(画像処理)を行う。ここでは表示データにおける対象領域の階調が一様である場合について説明したが、対象領域の階調がグラデーションのようにわずかに異なっていても、変換前の対象領域の平均輝度と、変換後の対象領域の平均輝度とが同じになるように、かつ、階調の分布(明暗の分布)が市松模様(ディザパターン状)になるように、階調変換を行えばよい。
【0082】
なお、画像処理部51は、擬似ドット反転処理を、画像の一部の領域にのみ適用してもよい。例えば表示装置の特性上、画面の中央部分においてフリッカが目立ちやすい場合は、画像の中央部分の中にフリッカを視認させやすい対象領域が存在する場合に、該対象領域に対して擬似ドット反転処理を行う構成とすることもできる。
なお、画像処理部51は、擬似ドット反転処理に先立って色彩調整等の他の画像処理を行うこともできる。また、画像処理部51は、擬似ドット反転処理の後に、所定の(カラム反転駆動用の)ガンマ補正を行う。画像処理部51は、画像処理された表示データをメモリ21に書き込む。
【0083】
TG22の構成は、実施形態1と同様である。TG22は、メモリ21から表示データを読み出し、表示データを表示駆動部40のソースドライバ23に転送する。
【0084】
(表示部10への書き込み)
図12は、第1表示方式(擬似ドット反転処理なし)における表示部10の状態を示す図である。
図13は、第2表示方式(擬似ドット反転処理有り)における表示部10の状態を示す図である。絵素PE2は、絵素PE1に対して列方向に隣接する絵素である。絵素PE3は、絵素PE1に対して行方向に隣接する絵素である。絵素PE4は、絵素PE3に対して列方向に隣接する絵素である。絵素PE1に含まれるR画素を画素PIX1、絵素PE2に含まれるR画素を画素PIX2、絵素PE3に含まれるR画素を画素PIX3、絵素PE4に含まれるR画素を画素PIX4とする。本実施形態では、表示方式に関わらずカラム反転駆動によって表示が行われる。
【0085】
ここで、アプリケーションから供給された表示データにおいて、画素PIX1〜PIX4に対応する表示データの階調がそれぞれ同じ場合について説明する。すなわち、表示データにおいて2×2の赤色の画素の階調が同じ場合である。
【0086】
図12に示す第1表示方式では、擬似ドット反転処理を行わないので、表示データの階調が同じであれば、一方の列の画素PIX1と画素PIX2とには階調50に対応する正極性の同じ電位(例えば+1.6V)が書き込まれ、他方の列の画素PIX3と画素PIX4とには階調50に対応する負極性の同じ電位(例えば−1.6V)が書き込まれる。なお、次のフレームにおいては、画素PIX1と画素PIX2とには負極性の同じ電位(例えば−1.6V)が書き込まれ、画素PIX3と画素PIX4とには正極性の同じ電位(例えば+1.6V)が書き込まれる。
【0087】
一方、
図13に示す第2表示方式では、擬似ドット反転処理を行うので、表示データの階調が同じであっても、画素PIX1には階調130に対応する正極性の電位(例えば+2.2V)が書き込まれ、列方向に隣接する画素PIX2には階調0に対応する正極性の電位(例えば+0.1V)が書き込まれる。また、画素PIX3には階調0に対応する負極性の電位(例えば−0.1V)が書き込まれ、列方向に隣接する画素PIX4には階調130に対応する負極性の電位(例えば−2.2V)が書き込まれる。このように、第2表示方式では、表示データの階調が同じであっても、隣接する画素にはそれぞれ異なる電位が書き込まれる。
【0088】
(表示装置2の効果)
このように、画像処理部51は、表示データにおける第2範囲(階調20から80の範囲)である複数の画素の階調を、第2範囲外の明るい階調(階調81から255)および暗い階調(階調0から19)に変換する。これにより、フリッカを視認させやすい第2範囲の階調の画素の数を少なくすることができる。また、階調を変換した領域の平均輝度は、変換前の平均輝度と同じである。そのため、利用者には第2表示方式で表示を行っても第1表示方式と同じ画像を表示しているように見える。それゆえ、表示装置2は、画像の表示品位を保ちながら、フリッカが視認されるのを防止することができる。
【0089】
また、画像処理を行えば消費電力は増加する。表示装置2は、画像がフリッカを視認させやすいと判定した時のみ、擬似ドット反転処理を行う。また、表示装置2は、画像処理によってフリッカの視認を防止するため、消費電力の大きいドット反転駆動を行う必要がない。それゆえ、表示装置2は、消費電力の増加を抑えて、フリッカが視認されるのを防止することができる。
【0090】
なお、本実施形態で説明した擬似ドット反転処理を行う画像処理部51、画像判定部52、および表示方式切替部53は、実施形態1のようにホスト制御部に設けられていてもよい。また、実施形態1の画像判定部35、反転駆動方式を切り替える表示方式切替部36、およびガンマ補正部37が、本実施形態のように表示制御部に設けられていてもよい。
【0091】
なお、上記例では、表示データにおける第2範囲(階調20から80の範囲)である複数の画素の階調を、第2範囲外である明るい階調(階調81から255)および暗い階調(階調0から19)に変換する例を示しているが、第2範囲の階調の画素が厳密に全て無くならなくてもよい。フリッカ階調(フリッカが視認されやすい階調)の画素が分散されることにより、フリッカが視認されにくくなる効果を奏する。
【0092】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態では、表示装置のブロック構成は実施形態1または2と同じであるが、表示方式の決定フローが上述の実施形態とは異なる。ここで説明する表示方式の決定フローは、実施形態1および2のいずれにも適用可能である。
【0093】
(表示方式決定フロー2)
図14は、本実施形態において表示方式を決定するフローチャートを示す図である。画面更新検知部31・61(
図1または
図10)が表示の更新(画像の内容の変化)を検知する毎に、
図14のフローが実行される。
【0094】
画面更新検知部31・61は、表示更新フラグ等から画像の内容の変化を検知すると、画像の内容が変化する間隔を検知する。また、画像判定部35・52は、階調をビンとして画像の各画素を分類するヒストグラムを生成する。表示方式切替部36・53は、画像の内容が変化する間隔(更新間隔)が所定の間隔閾値以下であるか否かを判定する(S11)。
【0095】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きい場合(S11でNo)、表示方式切替部は、表示される画像が静止画であると判断する。画像判定部は、条件1を満たすか否かを判定する(S12)。条件1は、画像全体における第2範囲(階調20から80の範囲)の階調である画素の割合が第1閾値(30%)以上であることである。
【0096】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きく、かつ条件1を満たす場合(S12でYes)、表示方式切替部は、表示方式をフリッカを視認させにくい第2表示方式(ドット反転駆動または擬似ドット反転処理有り)に決定する(S13)。
【0097】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きく、かつ条件1を満たさない場合(S12でNo)、画像判定部は、条件2を満たすか否かを判定する(S14)。条件2は、画像全体における第3範囲(階調10から160の範囲)の階調である画素の割合が第2閾値(50%)以上であることである。
【0098】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きく、かつ条件1を満たさず、かつ条件2を満たす場合(S14でYes)、表示方式切替部は、表示方式を第2表示方式に決定する(S15)。第3範囲は第2範囲を包含するが第2範囲より広い。第3範囲の階調である画素は、第2範囲の階調である画素に比べればフリッカを生じさせにくいが、若干フリッカを生じさせる可能性はある。それゆえ、条件2を満たす場合、フリッカの視認を防止するために、第2表示方式で表示を行う。
【0099】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値より大きく、かつ条件1を満たさず、かつ条件2を満たさない場合(S14でNo)、表示方式切替部は、表示方式を消費電力が小さい第1表示方式(カラム反転駆動または擬似ドット反転処理なし)に決定する(S16)。条件1も条件2も満たされない場合、第1表示方式で表示を行ってもフリッカが視認されないと判断できる。そのため、第1表示方式で表示を行うことで、消費電力を低減する。
【0100】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値以下である場合(S11でYes)、表示方式切替部は、表示される画像が動画であると判断する。画像判定部は、条件3を満たすか否かを判定する(S17)。条件3は、画像全体における第4範囲(階調40から60の範囲)の階調である画素の割合が第3閾値(40%)以上であることである。ここでは第4範囲は、第2範囲に包含され、かつ第2範囲より狭い範囲である。
【0101】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値以下であり、かつ条件3を満たす場合(S17でYes)、表示方式切替部は、表示方式を第2表示方式に決定する(S18)。動画であっても、特にフリッカを生じやすい階調の画素が多い場合は、フリッカが視認される可能性がある。この場合でも、第2表示方式で表示を行うことにより、フリッカの視認を防止することができる。
【0102】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値以下であり、かつ条件3を満たさない場合(S17でNo)、画像判定部は、条件4を満たすか否かを判定する(S19)。条件4は、画像全体における第5範囲(階調20から80の範囲)の階調である画素の割合が第4閾値(60%)以上であることである。
【0103】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値以下であり、かつ条件3を満たさず、かつ条件4を満たす場合(S19でYes)、表示方式切替部は、表示方式を第2表示方式に決定する(S20)。第5範囲は第4範囲を包含するが第4範囲より広い。それゆえ、条件4を満たす場合、フリッカの視認を防止するために、第2表示方式で表示を行う。
【0104】
画像の内容が変化する間隔が間隔閾値以下であり、かつ条件3を満たさず、かつ条件4を満たさない場合(S19でNo)、表示方式切替部は、表示方式を第1表示方式に決定する(S21)。
【0105】
上記フロー2では、フリッカを視認させやすい階調の画素の割合を段階的に判定する。それゆえ、より表示品位を高く保ちつつ、不要な消費電力を低減することができる。なお、静止画より動画の方がフリッカが視認されにくいので、動画のための条件3、4はそれぞれ、静止画のための条件1、2より厳しい条件(満たす画像が少ない条件)になっている。
【0106】
(表示方式決定フロー3)
図15の(a)および(b)は、表示装置の画面に表示される画像(静止画)の例を示す図である。これらの画像F、Gでは、白地の背景の中に、ユーザが選択するためのYesボタンおよびNoボタンが配置されている。白地の背景には例えば黒色の文字が描かれる。画像Fでは、ボタン領域は一定の階調30であり、画像Gでは、ボタン領域は一定の階調70である。画像Fにおいて、階調30のボタン領域は全体の18%の割合を占め、画像Gにおいて、階調70のボタン領域は全体の18%の割合を占める。すなわち、画像F、Gにおいて、白地の背景および黒色の文字からなる階調0から5および階調200から255の領域(背景領域)は、全体の80%以上を占める。
【0107】
これらの画像F、Gについて、上記フロー1、2に従って表示方式を決定すると、第1表示方式(カラム反転駆動または擬似ドット反転処理なし)で表示を行うことになる。しかしながら、画像Fまたは画像Gでは、階調30または70の領域が固まって存在するため、10Hz以下の低リフレッシュレートかつ第1表示方式で表示を行うとボタン領域にフリッカが視認される可能性がある。かといって、第2範囲(階調20から80の範囲)に対する第1閾値を15%に設定すると、多くの画像が条件を満たしてしまい、第1表示方式でもフリッカが視認されない画像まで消費電力の大きい第2表示方式で表示することになる。そこで、以下で説明するフロー3では、階調の範囲を小さく分割して、判定を行う。
【0108】
図16は、表示方式を決定するフローチャートを示す図である。
【0109】
画像判定部は、条件5を満たすか否かを判定する(S31)。条件5は、画像全体における第6範囲(階調20から40の範囲)の階調である画素の割合が第5閾値(15%)以上であることである。
【0110】
条件5を満たす場合(S31でYes)、表示方式切替部は、表示方式を第2表示方式(ドット反転駆動または擬似ドット反転処理有り)に決定する(S32)。
【0111】
条件5を満たさない場合(S31でNo)、画像判定部は、条件6を満たすか否かを判定する(S33)。条件6は、画像全体における第7範囲(階調41から80の範囲)の階調である画素の割合が第6閾値(15%)以上であることである。
【0112】
条件5を満たさず、かつ条件6を満たす場合(S33でYes)、表示方式切替部は、表示方式を第2表示方式に決定する(S34)。
【0113】
条件5を満たさず、かつ条件6を満たさない場合(S33でNo)、表示方式切替部は、表示方式を第1表示方式(カラム反転駆動または擬似ドット反転処理なし)に決定する(S35)。
【0114】
ここで、第6範囲と第7範囲とは、連続しているが範囲が重ならない。また、第5閾値と第6閾値とは同じ値(15%)である。このように、フリッカが生じやすい中間階調(例えば階調20−80)を、2つの範囲に分割してそれぞれ割合を判定することにより、画像F、Gのような小さい領域でフリッカが視認される画像をフリッカが視認されにくい第2表示方式で表示することができる。それゆえ、ボタン領域のような、フリッカを視認させやすい階調が固まって存在する画像についても、フリッカの視認を防止することができる。また、フリッカが視認されにくい画像を適切に判別し、該画像を消費電力が小さい第1表示方式で表示することができる。
【0115】
なお、第6範囲と第7範囲とは、範囲が一部重なっていてもよく、異なる範囲であればよい。第5閾値と第6閾値とは、異なっていてもよい。
【0116】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態では、表示装置のブロック構成は実施形態1または2と同じである。ここで説明する画像判定方法は、実施形態1および2のいずれにも適用可能である。
【0117】
(画像判定方法1)
実施形態1では画像全体における所定の範囲の階調である画素の割合を求めたが、画像の一部の領域において所定の範囲の階調である画素の割合を求めてもよい。
【0118】
図17の(a)(b)は、異なる表示装置の画面を示す図である。画素の容量の均一性は、製造工程に依存する。そのため、表示装置の画面において、画素の容量が均一でない領域は、一定の箇所に偏ることが多い。例えば、
図17の(a)に示す表示装置の例では、画面11aの中央に画素の容量が均一でない領域12が分布している。また、
図17の(b)に示す表示装置の例では、画面11bの下部に画素の容量が均一でない領域12が分布している。すなわち、画面全体に同じ階調の画像を表示した場合であっても、
図17の(a)では画面11aの中央においてフリッカが視認されやすく、
図17の(b)では画面11bの下部においてフリッカが視認されやすい。
【0119】
そこで、画素の容量が均一でない領域12に対応する画像の領域に、フリッカを生じやすい階調の画素が分布しているか否かを判定すれば、その画像がフリッカを生じやすい画像であるか否かを判別することができる。
【0120】
図17の(a)の表示装置では、画像判定部(領域指定部)35・52は、画像における中央の一部の領域を所定の解析領域13として指定する。
図17の(b)の表示装置では、画像判定部は、画像における下部の一部の領域を所定の解析領域13とする。解析領域13は、画素の容量が均一でない領域12に対応する領域を含む。そして、画像判定部は、解析領域13における第2範囲(例えば階調20から80の範囲)の階調である画素の割合が、第1閾値(例えば30%)以上であるか否かを判定する。
【0121】
このように、画面のフリッカが生じやすい領域に対応する画像の一部の領域のみにおいて、中間階調の画素の割合を判定することにより、画素の階調を判定する処理を低減することができる。また、ヒストグラムのための記憶容量も低減することができる。
【0122】
また、画像の解析領域13においてフリッカが生じやすい(第2範囲の階調の画素の割合が第1閾値以上である)と判定された場合、画面11a、11bの全体ではなく、画面11a、11bの一部の領域14のみに第2表示方式(擬似ドット反転処理またはドット反転駆動)を適用し、他の領域には第1表示方式を適用してもよい。
【0123】
(画像判定方法2)
画像判定部35・52は、画像の複数の領域について、所定の範囲の階調である画素の割合を求めてもよい。
【0124】
図18の(a)に示す表示装置の例では、画面11cの中央から下部にかけて画素の容量が均一でない領域12が分布している。そこで、画像判定部は、複数の解析領域13a、13bを設定する。画素の容量が均一でない領域12のうち画面11cの中央部は、解析領域13aに含まれる。画素の容量が均一でない領域12のうち画面11cの下部は、解析領域13bに含まれる。
【0125】
画像判定部は、複数の解析領域13a、13b毎に、第2範囲の階調(フリッカを視認させやすい階調)の画素の割合が第1閾値以上であるか否かを判定する。画像の解析領域13a、13bのいずれかの解析領域においてフリッカを視認させやすい特徴を有する(第2範囲の階調の画素の割合が第1閾値以上である)と判定された場合、少なくともフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定された解析領域については、第2表示方式(擬似ドット反転処理またはドット反転駆動)を適用する。例えば、解析領域13aにおける第2範囲の階調の画素の割合が第1閾値以上である場合、表示方式切替部は、解析領域13aの第2範囲の階調の画素に対して擬似ドット反転処理を適用する。
【0126】
例えば、画面11cの領域14aについては、対応する解析領域13aにおける複数の画素の階調に応じて表示方式が決定され、画面11cの領域14bについては、対応する解析領域13bにおける複数の画素の階調に応じて表示方式が決定される。画面11cのその他の領域については、常に第1表示方式によって表示が行われる。なお、表示方式切替部は、いずれかの解析領域でフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定された場合、画像全体を第2表示方式で表示してもよい。
【0127】
図18の(b)に示すように、画像判定部は、画像(画面11d)全体を複数の解析領域13c〜13hに区分し、解析領域毎に第2範囲の階調の画素の割合が第1閾値以上であるか否かを判定してもよい。この場合、画像判定部は、解析領域毎に、画素を分類するヒストグラムを生成する。例えば、解析領域毎に、画像判定部の判定結果に応じて、第1表示方式で表示を行うか第2表示方式で表示を行うかを決定してもよい。
【0128】
なお、複数の解析領域13c〜13h毎に、判定のための条件が異なっていてもよい。例えば、画像判定部は、解析領域13eについては、第2範囲の階調の画素が第1閾値以上であるという条件を満たすか判定し、解析領域13fについては、第2範囲と異なる第3範囲の階調の画素が第1閾値と異なる第2閾値以上であるという条件を満たすか判定してもよい。
【0129】
複数の解析領域毎に判定を行うことによって、フリッカが視認されやすい画素が局所的に集まっている画像に対しても、適切に表示方式を変更して、フリッカの視認を防止することができる。また、フリッカが視認されにくい画像(または領域)に対しては、低消費電力の第1表示方式で表示を行うことにより、消費電力を低減することができる。
【0130】
(画像判定方法3)
画像の中に所定のパターンにマッチする領域があるかを判定することにより、その画像がフリッカが生じやすい領域を有するかを判定することもできる。
【0131】
図19の(a)は、所定のパターン15を示す図である。パターン15は、3行×6列の画素で構成される矩形のパターンである。「1」は対応する画素の階調が第2範囲(階調20から80の範囲)内であることを示し、「0」は対応する画素の階調が第2範囲ではないことを示す。すなわち、パターン15は、第2範囲の階調である複数の画素が2次元的に集まって構成されるパターンである。
【0132】
図19の(b)(c)は、画像の各画素の階調を表す階調マップを示す図である。画像判定部は、画像の各画素の階調が第2範囲の階調であるか否かを判定し、階調マップ16a、16bを生成する。階調マップ16a、16bでは、画素の階調が第2範囲内であれば値を「1」とし、画素の階調が第2範囲でなければ値を「0」とする。
【0133】
図19の(c)の階調マップ16bのように、第2範囲の階調である画素が多く存在しても、第2範囲の階調である画素が粗に分散していれば、フリッカは視認されにくい。
図19の(b)の階調マップ16aのように、第2範囲の階調である画素が密に分布している領域が局所的に存在すると、たとえ全体における第2範囲の階調である画素の割合は小さくても、フリッカが視認されやすい。すなわち、第2範囲の階調である画素が一定領域以上固まって存在すると、よりフリッカが視認されやすくなる。
【0134】
画像判定部は、階調マップ16a、16bにおいて所定のパターン15にマッチする領域が存在するか否かを判定する。表示方式切替部は、画像がパターン15にマッチする領域を有するか否かに応じて、表示方式を切り替える。
【0135】
ある画像の階調マップ16aは、パターン15にマッチする領域17を有する。そのため、階調マップ16aに対応する画像はフリッカを生じやすいので、表示方式切替部は、該画像を第2表示方式で表示することを決定する。別の画像の階調マップ16bは、パターン15にマッチする領域を有しない。そのため、階調マップ16bに対応する画像はフリッカを生じにくいので、表示方式切替部は、該画像を第1表示方式で表示することを決定する。
【0136】
このように、画像が所定のパターン15にマッチするか否かに応じて表示方式を決定することにより、局所的にフリッカが視認されやすい画像(
図19の(b))を第2表示方式(擬似ドット反転処理有りまたはドット反転駆動)で表示し、フリッカの視認を防止することができる。また、第2範囲の階調である画素が多く含まれるがフリッカが視認されにくい画像(
図19の(c))を第1表示方式(擬似ドット反転処理なしまたはカラム反転駆動)で表示し、消費電力を低減することができる。
【0137】
なお、表示方式切替部は、マッチする領域に対応する画像の一部の領域のみについて、第2表示方式で表示を行うと決定してもよい。また、100%の完全なマッチではなくとも、パターン15に所定の割合(例えば80%)以上マッチする領域が画像に存在すれば、表示方式切替部は、該画像を第2表示方式で表示すると決定してもよい。
【0138】
なお、上記の例では、画素の色に関係なくパターンマッチを行っているが、絵素毎にパターンマッチを行ってもよい。すなわち、画像判定部は、絵素の輝度Yが所定の範囲であるかを示す階調マップを生成し、複数の絵素で構成される所定のパターンが画像にマッチするか否かを判定してもよい。また、画像判定部は、1つの画像に対してRGBの色毎に階調マップを生成し、各色の階調マップに対して所定のパターンがマッチするか否かを判定してもよい。
【0139】
(他の画像判定方法)
上述した画像判定方法の他にも、画像判定部は、画像の中に所定のパターン(例えばストライプ模様)が存在する場合に、該画像はフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定してもよい。飽和階調の画素は時間経過による電位の変動が小さいため、飽和階調(最高階調または最低階調)の画素に中間階調の画素が隣接しているとフリッカが視認されやすくなる。画像がこのような所定のパターンを有する場合に、第2表示方式によって表示を行い、フリッカの視認を防止することができる。
【0140】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態では、画像判定部、表示方式切替部、および画像処理部が、COGドライバである表示駆動部に設けられている。
【0141】
(表示装置3の構成)
図20は、本実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。表示装置3は、表示部10と、表示駆動部70(制御装置)と、ホスト制御部60とを備える。ホスト制御部60の構成は、実施形態2と同様である。ホスト制御部60は、表示の更新が必要な時のみ、更新される画像の表示データを表示駆動部70に転送する。
【0142】
表示駆動部70は、表示部10のガラス基板にCOG実装された、COGドライバであり、表示部10の駆動を行う。表示駆動部70は、画像処理部51、画像判定部52、表示方式切替部53、メモリ21、TG22、およびソースドライバ23を備える。表示駆動部70の各部の動作は、実施形態2と同様である。
【0143】
なお、実施形態1の画像判定部35、反転駆動方式を切り替える表示方式切替部36、およびガンマ補正部37が、本実施形態のように表示駆動部に設けられていてもよい。
【0144】
本実施形態では、表示方式の決定を、COGドライバ(表示駆動部70)で行う。これにより、ホスト制御部60とは別の基板を設けることなく、ホスト制御部60の負荷を減らすことができる。アクティブマトリクス基板に形成されるCOGドライバは実装面積が制限されるため、本実施形態は、画像処理部51、画像判定部52および表示方式切替部53において簡単な処理のみを行う場合に適している。
【0145】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示装置(1、2、3)は、第1絵素(PE1)においてある色を表示する第1画素(PIX1)と、上記第1絵素に隣接する第2絵素(PE2)において上記色を表示する第2画素(PIX2)とを含む表示パネル(10)と、ある期間における表示データが示す画像がフリッカを視認させやすい特徴を有する画像(フリッカ画像)であるか否かを判定する画像判定部(35、52)と、上記期間における画像はフリッカを視認させやすい特徴を有しないと判定された場合、該期間において第1表示方式で該画像の表示を行う一方、上記期間における画像はフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定された場合、該期間において第2表示方式で該画像の表示を行うように、表示方式を切り替える表示方式切替部(36、53)と、上記第1表示方式では、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合、上記第1画素および上記第2画素に同じ電位を書き込む一方、上記第2表示方式では、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合であっても、上記第1画素および上記第2画素に異なる電位を書き込む画素書込部(ソースドライバ23)とを備える。
【0146】
例えば第1表示方式は、第2表示方式に比べて消費電力が小さい表示方式であり、第2表示方式は、第1表示方式に比べてフリッカを視認させにくい表示方式である。
【0147】
上記の構成によれば、画像がフリッカを視認させやすい特徴を有するか否かに応じて、表示方式が切り替えられる。第1表示方式では、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合、画素書込部は、単純に上記第1画素および上記第2画素に同じ電位を書き込む。一方、第2表示方式では、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合であっても、フリッカの視認を防止するために、画素書込部は、上記第1画素および上記第2画素に異なる電位を書き込む。すなわち、第2表示方式では、上記第1画素および上記第2画素に対応する表示データの階調が同じ場合、上記第1画素および上記第2画素の輝度の平均によって該階調が表される。それゆえ、第2表示方式では、フリッカの視認を防止することができる。それゆえ、画像の特徴に応じて表示方式を切り替えることにより、消費電力を抑え、かつ、良好な表示を行う表示装置を実現することができる。
【0148】
本発明の態様2に係る表示装置は、上記態様1において、上記第1絵素と上記第2絵素とは、列方向に隣接し、上記画素書込部は、上記第1表示方式ではカラム反転駆動によって表示を行い、上記第2表示方式ではドット反転駆動によって表示を行い、上記表示方式切替部は、上記画像判定部の判定結果に応じて上記画素書込部の表示方式をカラム反転駆動とドット反転駆動との間で切り替える構成であってもよい。
【0149】
上記の構成によれば、表示装置は、フリッカを視認させやすい特徴を有しない画像をカラム反転駆動で表示し、フリッカを視認させやすい特徴を有する画像をドット反転駆動によって表示する。カラム反転駆動は、ドット反転駆動に比べて消費電力が小さく、ドット反転駆動は、カラム反転駆動に比べてフリッカを視認させにくい。それゆえ、フリッカを視認させやすい特徴を有しない画像に対してはカラム反転駆動によって消費電力を抑え、フリッカを視認させやすい特徴を有する画像に対してはドット反転駆動によって良好な表示をすることができる。
【0150】
本発明の態様3に係る表示装置は、上記態様2において、上記第1画素に対応する階調が、中間階調の中の第1範囲の階調である場合、上記第1表示方式において上記画素書込部が上記第1画素に書き込む電位と、上記第2表示方式において上記画素書込部が上記第1画素に書き込む電位とは、同極性であり、かつ異なる大きさである構成であってもよい。
【0151】
本発明の態様4に係る表示装置は、上記態様2または3において、上記第1表示方式と上記第2表示方式とで、上記表示データに対して異なるパラメータを用いてガンマ補正を行うガンマ補正部を備える構成であってもよい。
【0152】
本発明の態様5に係る表示装置では、上記態様4において、上記ガンマ補正部は、上記第1表示方式における階調−輝度特性と、上記第2表示方式における階調−輝度特性とが同じになるように、ガンマ補正を行う構成であってもよい。
【0153】
本発明の態様6に係る表示装置は、上記態様1において、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが中間階調の中の第2範囲の階調である場合、上記第2表示方式では、上記第1画素に対応する階調を高く変換し、上記第2画素に対応する階調を低く変換するように、画像処理を行う画像処理部を備える構成であってもよい。
【0154】
上記第2範囲は、中間階調の範囲内においてフリッカを視認させやすい階調として予め定められた階調の範囲である。
【0155】
上記の構成によれば、第2表示方式では、第1画素および第2画素に対応する上記第2範囲の階調を、高く変換した階調と低く変換した階調との平均によって表すことができる。それゆえ、フリッカを視認させやすい特徴を有する画像に対しては第2表示方式によってフリッカの視認を防止することができる。
【0156】
本発明の態様7に係る表示装置では、上記態様6において、上記画像処理部は、上記第1表示方式では上記画像処理を行わない構成であってもよい。
【0157】
本発明の態様8に係る表示装置では、上記態様7において、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合、上記画像処理部は、上記第2表示方式における上記第1画素および上記第2画素の平均輝度が、上記第1表示方式における上記第1画素の輝度と同じになるように、上記画像処理を行う構成であってもよい。
【0158】
本発明の態様9に係る表示装置では、上記態様6から8において、上記第2表示方式では、上記画像処理部は、上記色を表示する複数の画素に対応する上記表示データの階調が、同じでありかつ上記第2範囲の階調であるような、所定の大きさ以上の領域を検出し、上記変換によって階調が高くなる画素と上記変換によって階調が低くなる画素とが市松模様に並ぶように、上記画像における該領域に対して上記画像処理を行う構成であってもよい。
【0159】
本発明の態様10に係る表示装置では、上記態様9において、上記画像処理部は、上記第2表示方式における上記変換によって階調が高くなる上記画素および上記変換によって階調が低くなる上記画素の平均輝度が、上記第1表示方式における上記領域の画素の輝度と同じになるように、上記画像処理を行う構成であってもよい。
【0160】
本発明の態様11に係る表示装置では、上記態様6から10において、上記第2表示方式においては、上記画像処理部は、変換後の上記第1画素に対応する階調と変換後の上記第2画素に対応する階調とが上記第2範囲外の階調になるように、上記画像処理を行う構成であってもよい。
【0161】
本発明の態様12に係る表示装置では、上記態様1から11において、上記画素書込部は、上記表示データが示す画像の内容が変化したタイミング、および、上記第1画素および上記第2画素に電位を書き込んでから所定期間が経過したタイミングのいずれか早いタイミングで、表示の更新を行い、上記所定期間は、動画を表示するときの表示更新間隔よりも長い構成であってもよい。
【0162】
本発明の態様13に係る表示装置では、上記態様1から12において、上記画像判定部は、上記画像の所定の領域における、中間階調の中の第2範囲の階調である画素の割合が第1閾値以上であるか否かに応じて、上記期間における画像がフリッカを視認させやすい特徴を有するか否かを判定する構成であってもよい。
【0163】
本発明の態様14に係る表示方法は、表示装置の表示方法であって、上記表示装置は、第1絵素においてある色を表示する第1画素と、上記第1絵素に隣接する第2絵素において上記色を表示する第2画素とを含む表示パネルを備え、ある期間における表示データが示す画像がフリッカを視認させやすい特徴を有する画像であるか否かを判定する画像判定ステップと、上記期間における画像はフリッカを視認させやすい特徴を有しないと判定された場合、該期間において第1表示方式で該画像の表示を行う一方、上記期間における画像はフリッカを視認させやすい特徴を有すると判定された場合、該期間において第2表示方式で該画像の表示を行うように、表示方式を切り替える表示方式切替ステップと、上記第1表示方式では、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合、上記第1画素および上記第2画素に同じ電位を書き込む一方、上記第2表示方式では、上記第1画素に対応する上記表示データの階調と上記第2画素に対応する上記表示データの階調とが同じである場合であっても、上記第1画素および上記第2画素に異なる電位を書き込む画素書込ステップとを含む。
【0164】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。