(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、AF制御,AE制御およびAWB制御の起動/停止が手ぶれの有無によって切り換えられることはなく、撮像性能に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、撮像性能を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、シーンを表す光学像が照射される撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を繰り返し出力する撮像手段(18)、撮像手段の出力に基づいて撮像条件を繰り返し調整する調整手段(S7)、調整手段の処理の後に撮像手段の出力に基づいて撮像条件を再調整する再調整手段(S13)、および撮像手段の出力を定義する特定パラメータの値を第1指示に応答して検出して再調整手段による処理の実行/中止を制御する制御手段(S31, S37~S43, S51~S61, S91~S101, S5, S11)を備える。
【0007】
好ましくは、第1指示の後に発行される第2指示に応答して撮像手段から電子画像を取得する取得手段(S15, S21)、および取得手段によって取得された電子画像を記録する記録手段(S23)がさらに備えられる。
【0008】
さらに好ましくは、第1指示はシャッタボタン(30sh)の半押しに相当し、第2指示はシャッタボタンの全押しに相当する。
【0009】
好ましくは、撮像条件は撮像面の露光量を含む。
【0010】
好ましくは、特定パラメータはズーム倍率を含み、制御手段は、ズーム倍率の値が基準(REF_Z)を上回るとき再調整手段を起動し、ズーム倍率の値が基準以下のとき再調整手段を停止する。
【0011】
好ましくは、第3指示に応答してズーム倍率の値を変更する変更手段(S33~S35)がさらに備えられる。
【0012】
好ましくは、特定パラメータは第1指示を受け付けた時点の
手振れを含み、制御手段は、
手振れ量が基準(REF_M, REF_D)を上回るとき再調整手段を起動し、
手振れ量が基準以下のとき再調整手段を停止する。
【0013】
或る局面では、制御手段は、
手振れ量を調整手段の処理と並列して繰り返し検出する検出手段(S51~S55, S91~S95)、および検出手段の検出結果を第1指示に応答して抽出する抽出手段(S57~S61, S97~S101, S5, S11)を含む。
【0014】
より好ましくは、検出手段は撮像手段の出力の輝度特性および撮像面の向きの少なくとも一方に基づいて
手振れ量を検出する。
【0015】
他の局面では、第3指示に応答してズーム倍率の値を変更する変更手段(S73~S75, S113~S115)、および変更手段によって指定された値が増大するほど基準を低減する基準調整手段(S71, S77~S83, S111, S117~S123)がさらに備えられる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、撮像条件は、第1指示を受け付ける前に繰り返し調整される。また、撮像手段の出力を定義する特定パラメータの値によっては、第1指示に応答して撮像条件が再調整される。したがって、特定パラメータの値が或る条件に合致するときは第1指示の後に発行される別の指示に対する応答特性が改善され、特定パラメータの値が他の条件に合致するときは第1指示の後に撮像手段から出力される電子画像の品質が改善される。こうして、撮像性能の向上が図られる。
【0021】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【
図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【
図3】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【
図4】ズームレンズの位置とズーム倍率との関係およびズーム倍率とフラグの値との関係の一例を示すグラフである。
【
図5】(A)はズーム倍率が基準値を上回るときの撮像動作の一部を示すタイミング図であり、(B)はズーム倍率が基準値以下のときの撮像動作の一部を示すタイミング図である。
【
図6】
図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【
図7】
図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【
図8】
図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【
図9】ズームレンズの位置とズーム倍率との関係およびズーム倍率と基準値との関係の一例を示すグラフである。
【
図10】(A)はズーム倍率が基準値を上回るときの手振れ量とフラグの値との関係の一例を示す図解図であり、(B)はズーム倍率が基準値以下のときの手振れ量とフラグの値との関係の一例を示す図解図である。
【
図11】他の実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【
図12】他の実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【
図13】この発明のその他の実施例の構成を示すブロック図である。
【
図14】ズームレンズの位置とズーム倍率との関係およびズーム倍率と基準値との関係の他の一例を示すグラフである。
【
図15】(A)はズーム倍率が基準値を上回るときの手振れ量とフラグの値との関係の他の一例を示す図解図であり、(B)はズーム倍率が基準値以下のときの手振れ量とフラグの値との関係の他の一例を示す図解図である。
【
図16】
図13実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【
図17】
図13実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【
図18】この発明のその他の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0024】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、シーンを表す光学像が照射される撮像面を有し、光学像に対応する電子画像を繰り返し出力する。調整手段2は、撮像手段1の出力に基づいて撮像条件を繰り返し調整する。再調整手段3は、調整手段2の処理の後に撮像手段1の出力に基づいて撮像条件を再調整する。制御手段4は、撮像手段1の出力を定義する特定パラメータの値を第1指示に応答して検出して再調整手段3による処理の実行/中止を制御する。
【0025】
撮像条件は、第1指示を受け付ける前に繰り返し調整される。また、撮像手段1の出力を定義する特定パラメータの値によっては、第1指示に応答して撮像条件が再調整される。したがって、特定パラメータの値が或る条件に合致するときは第1指示の後に発行される別の指示に対する応答特性が改善され、特定パラメータの値が他の条件に合致するときは第1指示の後に撮像手段1から出力される電子画像の品質が改善される。こうして、撮像性能の向上が図られる。
[実施例]
【0026】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ20a〜20bによってそれぞれ駆動されるズームレンズ12,フォーカスレンズ14および絞りユニット16を含む。これらの部材を経た光学像は、イメージャ18の撮像面に照射され、光電変換を施される。これによって、光学像に対応する電荷が生成される。
【0027】
CPU28はマルチタスクOSの制御の下で複数のタスクを並列的に実行するCPUであり、実行されるタスクとしては撮像タスクおよびズーム制御タスクが準備される。
【0028】
撮像タスクの下で、CPU28は、動画取り込みの実行をドライバ20d,前処理回路22および後処理回路36に命令し、動画表示の実行をLCDドライバ38に命令する。ドライバ20dは、図示しないSG(Signal Generator)から周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージャ18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0029】
前処理回路22は、イメージャ18から出力された生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御などの処理を施す。これらの処理を施された生画像データは、メモリ制御回路32を通してSDRAM34の生画像エリア34aに書き込まれる。
【0030】
後処理回路36は、生画像エリア34aに格納された生画像データをメモリ制御回路32を通して読み出し、読み出された生画像データに色分離処理,白バランス調整処理およびYUV変換処理を施す。これによって生成されたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路32によってSDRAM34のYUV画像エリア34bに書き込まれる。
【0031】
LCDドライバ38は、YUV画像エリア34bに格納された画像データをメモリ制御回路32を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ40を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0032】
図3を参照して、撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは水平方向および垂直方向の各々において16分割され、256個の分割エリアが評価エリアEVAを形成する。また、
図2に示す前処理回路22は、上述した処理に加えて、生画像データを簡易的にYデータに変換する簡易Y変換処理を実行する。
【0033】
AE評価回路24は、前処理回路22によって生成されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータを、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAE評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE評価回路22から出力される。
【0034】
AF評価回路26は、前処理回路22によって生成されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータの高周波成分を、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAF評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAF評価回路26から出力される。
【0035】
AE評価値24から出力された256個のAE評価値は撮像シーンの輝度特性を示し、AF評価値26から出力された256個のAF評価値は撮像シーンの合焦特性を示す。
【0036】
キー入力装置30に設けられたシャッタボタン30shが非操作状態にあるとき、CPU28は、垂直同期信号Vsyncに応答して簡易AE処理を繰り返し実行する。簡易AE処理ではAE評価回路24から出力された256個のAE評価値に基づいて適正EV値が算出され、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dに設定される。これによって、露光量ひいてはスルー画像の輝度が大まかに調整される。
【0037】
キー入力30に設けられたズームボタン30zmが操作されると、CPU28は、ズーム制御タスクの下でドライバ20aを制御する。ズームレンズ12は、電源投入時にワイド端に配置され、ズームボタン30zmの操作に応答してワイド端およびテレ端の間を移動する。
図4に示すように、ズーム倍率は、ワイド端に対応して1.0倍に設定され、テレ端に対応して10.0倍に設定される。
【0038】
CPU28はまた、現時点のズーム倍率を基準値REF_Z(=5.0倍)と比較してフラグFLGaeを“0”および“1”のいずれか一方に設定する。フラグFLGaeは、変更後のズーム倍率が基準値FEF_Zを上回るときに“1”に設定され、変更後のズーム倍率が基準値FEF_Z以下のときに“0”に設定される。FLGae=1は厳格AE処理(後述)の実行要求に相当し、FLGae=0は厳格AE処理の中止要求に相当する。
【0039】
撮像タスクに戻って、シャッタボタン30shが半押しされると、CPU26は、AF処理を実行する。AF処理では、フォーカスレンズ14がドライバ20bによって光軸方向に移動され、これと並列してAF評価回路26から繰り返し出力された256個のAF評価値に基づいて合焦点が探索され、そして探知された合焦点にフォーカスレンズ12が配置される。これによって、スルー画像の鮮鋭度が改善される。
【0040】
ズーム制御タスクによって設定されたフラグFLGaeの値が“1”であれば、CPU26は、露光量を再調整するべく厳格AE処理を実行する。厳格AE処理では、AE評価回路24から出力された256個のAE評価値を参照して最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dに設定される。これによって、露光量ひいてはスルー画像の輝度が厳格に調整される。なお、フラグFLGaeの値が“0”であれば、厳格AE処理は中止される。
【0041】
シャッタボタン30shが全押しされると、CPU28は、動画表示の中止をLCDドライバ38に命令する。LCDモニタ40の表示は、スルー画像から黒画像に更新される。CPU28は続いて、静止画取り込み処理を1回だけ実行する。この結果、シャッタボタン30shが全押しされた時点のシーンを表す1フレームの画像データがYUV画像エリア34bから記録画像エリア34cに退避される。
【0042】
静止画取り込み処理が完了すると、CPU28は、記録処理の実行をメモリI/F42に命令する。メモリI/F42は、記録画像エリア34cに格納された1フレームの画像データをメモリ制御回路32を通して読み出し、読み出された画像データを収めた画像ファイルを記録媒体44に記録する。動画表示は、メモリI/F42による記録が完了した後に再開される。
【0043】
したがって、ズーム倍率が基準値REF_Zを上回る場合(FLGae=1)、簡易AE処理から記録処理までの一連の処理は
図5(A)に示す要領で実行される。これに対してズーム倍率が基準値REF_Z以下の場合(FLGae=0)、簡易AE処理から記録処理までの一連の処理は
図5(B)に示す要領で実行される。
【0044】
撮像面の手振れに起因する構図の変動は、ズーム倍率の増大に伴って増大する。つまり、手振れの前に捉えられた撮像シーンと手振れの後に捉えられた撮像シーンとの相違は、ズーム倍率が増大するほど増大し、ズーム倍率が低減するほど低減する。このような性質を考慮して、この実施例では、ズーム倍率が基準値REF_Zを上回る場合に厳格AE処理を実行する一方、ズーム倍率が基準値REF_Z以下の場合に厳格AE処理を中止するようにしている。
【0045】
高ズーム倍率に対応して厳格AE処理を実行することで、記録画像の品質を高めることができる。また、低ズーム倍率に対応して厳格AE処理を中止することで、シャッタボタン30shの全押しを受け付ける時期を厳格AE処理に掛かる時間だけ早めることができる。
【0046】
撮像タスクは
図6〜
図7に示すように構成され、ズーム制御タスクは
図8に示すように構成され。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ46に記憶される。
【0047】
図6を参照して、ステップS1では動画取り込みを開始し、ステップS3では動画表示を開始する。ステップS1の処理の結果、撮像面で捉えられたシーンを表す生画像データがイメージャ18から出力され、これに対応するYUV形式の画像データが後処理回路36から出力される。また、ステップS3の処理の結果、後処理回路36から出力された画像データに基づくスルー画像がLCDモニタ40に表示される。
【0048】
ステップS5ではシャッタボタン30shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がNOである限り、ステップS7で簡易AE処理を繰り返す。簡易AE処理では、AE評価回路24から出力された256個のAE評価値を参照して適正EV値が算出され、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。これによって、露光量ひいてはスルー画像の輝度が大まかに調整される。
【0049】
ステップS5の判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS9でAF処理を実行する。AF処理では、フォーカスレンズ14の移動と並列してAF評価回路24から繰り返し出力された256個のAF評価値に基づいて合焦点が探索され、探知された合焦点にフォーカスレンズ14が配置される。これによって、スルー画像の鮮鋭度が改善される。
【0050】
ステップS11では、フラグFLGaeの値が“1”であるか否かを判別する。判別結果がYESであればステップS13で厳格AE処理を実行してステップS15に進む一方、判別結果がNOであれば厳格AE処理を中止してステップS15に進む。厳格AE処理では、AE評価回路24から出力された256個のAE評価値を参照して最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。これによって、露光量ひいてはスルー画像の輝度が厳格に調整される。
【0051】
ステップS15ではシャッタボタン30shが全押しされたか否かを判別し、ステップS17ではシャッタボタン30shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS17の判別結果がYESであればステップS5に戻り、ステップS15の判別結果がYESであればステップS19で動画表示を中止する。LCDモニタ40の表示は、ステップS19の処理によってスルー画像から黒画像に更新される。
【0052】
ステップS21では静止画取り込みを実行し、ステップS23では記録処理の実行をメモリI/F42に命令する。ステップS21の処理の結果、シャッタボタン30shが全押しされた時点のシーンを表す1フレームの画像データがYUV画像エリア34bから記録画像エリア34cに退避される。また、ステップS23の処理の結果、メモリI/F42は、記録画像エリア34cに格納された1フレームの画像データをメモリ制御回路32を通して読み出し、読み出された画像データを収めた画像ファイルを記録媒体44に記録する。記録処理が完了すると、ステップS25で動画表示を再開してからステップS5に戻る。
【0053】
図8を参照して、ステップS31ではフラグFLGaeを“0”に設定し、ステップS33ではズームボタン30zmが操作されたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS35に進み、ドライバ20aを制御してズームレンズ12を光軸方向に移動させる。これによって、ズーム倍率が“1.0”〜“10.0”の範囲で変化する。ステップS37では変更後のズーム倍率を検出し、ステップS39では検出されたズーム倍率が基準値REF_Z(=5.0)を上回るか否かを判別する。判別結果がYESであれば、厳格AE処理の実行を要求するべく、ステップS41でフラグFLGaeを“1”に設定する。これに対して、判別結果がNOであれば、厳格AE処理の中止を要求するべく、ステップS43でフラグFLGaeを“0”に設定する。ステップS41またはS43の処理が完了すると、ステップS33に戻る。
【0054】
以上の説明から分かるように、イメージャ18は、シーンを表す光学像が照射される撮像面を有し、光学像に対応する生画像データを繰り返し出力する。CPU28は、撮像面の露光量を継続的に調整するべくイメージャ18から出力された生画像データに基づく簡易AE処理を繰り返し実行し(S7)、その後に撮像面の露光量を再調整するべくイメージャ18から出力された生画像データに基づく厳格AE処理を実行する(S13)。ただし、CPU28は、ズーム倍率(=イメージャ18の出力を定義する特定パラメータ)の値をシャッタボタン30shの半押しに応答して検出し(S37)、検出されたズーム倍率を基準値REF_Zと比較して厳格AE処理の実行/中止を制御する(S31, S39~S43, S5, S11)。
【0055】
露光量は、シャッタボタン30shの半押しに先立って繰り返し調整される。また、ズーム倍率の値によっては、シャッタボタン30shの半押しに応答して露光量が再調整される。したがって、ズーム倍率の値が或る範囲に属するときはシャッタボタン30shの全押しに対する応答特性が改善され、ズーム倍率の値が別の範囲に属するときはシャッタボタン30shの半押しの後にイメージャ18から出力される生画像データの品質が改善される。こうして、撮像性能の向上が図られる。
【0056】
他の実施例のディジタルカメラ10では、手振れ判別タスクが追加的に実行され、上述のズーム制御タスクと部分的に異なる別のズーム制御タスクが代替的に実行される点を除き、上述のディジタルカメラ10と同じである。このため、同様の構成に関する重複した説明は省略する。
【0057】
手振れ判別タスクの下で、CPU28は、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に256個のAE評価値をAE評価回路24から取得し、前回取得されたAE評価値と今回取得されたAE評価値との差分を分割エリア毎に算出し、そして算出された256個の差分の各々を基準値REF_Mと比較する。
【0058】
基準値REF_Mは、ズーム制御タスクの下で“Hm”および“Lm”のいずれか一方に設定される。
図9を参照して詳しく説明すると、CPU28は、ズーム倍率が基準値REF_Zを上回るとき基準値REF_Zを“Lm”に設定し、ズーム倍率が基準値REF_Z以下のとき基準値REF_Zを“Lm”に設定する。なお、数値Hmは数値Lmよりも大きい。
【0059】
手振れ判別タスクに戻って、算出された256個の差分の少なくとも1つが基準値REF_Mを上回れば、CPU28は、撮像シーンの輝度特性に有意な変化が生じたとみなし、厳格AE処理の実行を要求するべくフラグFLGaeを“1”に設定する。これに対して、算出された256個の差分のいずれもが基準値REF_M以下であれば、CPU28は、撮像シーンの輝度特性に有意な変化は生じていないとみなし、厳格AE処理の中止を要求するべくフラグFLGaeを“0”に設定する。
【0060】
基準値REF_Zとして設定される数値HmおよびLmの大小関係は上述の通りであるため、
図10(A)および
図10(B)から分かるように、手振れに対してフラグFLGaeが“0”から“1”に更新される感度は、ズーム倍率が増大するほど高くなる。つまり、シャッタボタン30shの半押しに起因して手振れが生じたとき、厳格AE処理は、ズーム倍率が高いほど実行され易くなる。
【0061】
手振れ判別タスクは
図11に示すように構成され、ズーム制御タスクは
図12に示すように構成される。これらのタスクに対応する制御プログラムもまた、フラッシュメモリ46に記憶される。
【0062】
図11を参照して、ステップS51では垂直同期信号Vsyncが発生したか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS53に進み、AE評価回路24から出力された256個のAE評価値を取得する。ステップS55では、前回のステップS53の処理によって取得されたAE評価値と今回のステップS53の処理によって取得されたAE評価値との差分を分割エリア毎に算出する。ステップS57では算出された256個の差分の少なくとも1つが基準値REF_Mを上回るか否かを判別する。
【0063】
判別結果がYESであれば、撮像シーンの輝度特性に有意な変化が生じたとみなし、厳格AE処理の実行を要求するべくステップS59でフラグFLGaeを“1”に設定する。これに対して判別結果がNOであれば、撮像シーンの輝度特性に有意な変化は生じていないとみなし、厳格AE処理の中止を要求するべくステップS61でフラグFLGaeを“0”に設定する。ステップS59またはS61の処理が完了すると、ステップS51に戻る。
【0064】
図12を参照して、ステップS71では基準値REF_Mを“Hm”に設定し、ステップS73ではズームボタン30zmが操作されたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS75に進み、ドライバ20aを制御してズームレンズ12を光軸方向に移動させる。これによって、ズーム倍率が“1.0”〜“10.0”の範囲で変化する。
【0065】
ステップS77では変更後のズーム倍率を検出し、ステップS79では検出されたズーム倍率が基準値REF_Zを上回るか否かを判別する。判別結果がYESであれば、厳格AE処理が実行され易くするべく、ステップS81で基準値REF_Mを“Lm”に設定する。これに対して、判別結果がNOであれば、厳格AE処理が実行され難くするべく、ステップS83で基準値REF_Mを“Hm”に設定する。ステップS81またはS83の処理が完了すると、ステップS73に戻る。
【0066】
この実施例においても、露光量は、シャッタボタン30shの半押しに先立って繰り返し調整される。また、手振れ量(=イメージャ18の出力を定義する特定パラメータ)によっては、シャッタボタン30shの半押しに応答して露光量が再調整される。したがって、手振れ量が或る範囲に属するときはシャッタボタン30shの全押しに対する応答特性が改善され、手振れ量が別の範囲に属するときはシャッタボタン30shの半押しの後にイメージャ18から出力される生画像データの品質が改善される。こうして、撮像性能の向上が図られる。
【0067】
なお、
図11に示す手振れ判別タスクでは、算出された256個の差分の少なくとも1つが基準値を上回れば、CPU28は撮像シーンの輝度特性に有意な変化があったとみなすようにしているが、256個の差分の合計を算出し、その合計値が基準値を上回る場合に、撮像シーンの輝度特性に有意な変化があったとみあすようにしてもよい。
【0068】
また、
図11に示す手振れ判別タスクでは、256個のAE評価値の全てを参照してフラグFLGaeの値を制御するようにしている。しかし、参照するAE評価値は、評価エリアEVAの中央で矩形をなすK個(K:たとえば64)の分割エリアにそれぞれ対応するK個のAE評価値であったり、評価エリアEVA上で十字をなすL個(L:たとえば87)の分割エリアにそれぞれ対応するL個のAE評価値であってもよい。
【0069】
その他の実施例のディジタルカメラ10では、撮像方向を継続的に検知する方向センサ48が
図13に示す要領で追加され、上述の手振れ判別タスクと部分的に異なる手振れ判別タスクが代替的に実行され、そして上述のズーム制御タスクと部分的に異なる別のズーム制御タスクが代替的に実行される点を除き、上述のディジタルカメラ10と同じである。このため、同様の構成に関する重複した説明は省略する。
【0070】
手振れ判別タスクの下で、CPU28は、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に方向センサ48の出力(=撮像方向)を取得し、前回の取得によって検出された撮像方向と今回の取得によって検出された撮像方向の相違を基準値REF_Dと比較する。
【0071】
基準値REF_Dは、ズーム制御タスクの下で“Hd”および“Ld”のいずれか一方に設定される。
図14を参照して詳しく説明すると、CPU28は、ズーム倍率が基準値REF_Zを上回るとき基準値REF_Zを“Ld”に設定し、ズーム倍率が基準値REF_Z以下のとき基準値REF_Zを“Ld”に設定する。なお、数値Hdは数値Ldよりも大きい。
【0072】
手振れ判別タスクに戻って、撮像方向の相違が基準値REF_Dを上回れば、CPU28は、撮像シーンの輝度特性に有意な変化が生じたとみなし、厳格AE処理の実行を要求するべくフラグFLGaeを“1”に設定する。これに対して、撮像方向の相違が基準値REF_D以下であれば、CPU28は、撮像シーンの輝度特性に有意な変化は生じていないとみなし、厳格AE処理の中止を要求するべくフラグFLGaeを“0”に設定する。
【0073】
基準値REF_Zとして設定される数値HdおよびLdの大小関係は上述の通りであるため、
図15(A)および
図15(B)から分かるように、手振れに対してフラグFLGaeが“0”から“1”に更新される感度は、ズーム倍率が増大するほど高くなる。つまり、シャッタボタン30shの半押しに起因して手振れが生じたとき、厳格AE処理は、ズーム倍率が高いほど実行され易くなる。
【0074】
手振れ判別タスクは
図16に示すように構成され、ズーム制御タスクは
図17に示すように構成される。これらのタスクに対応する制御プログラムもまた、フラッシュメモリ46に記憶される。
【0075】
図16を参照して、ステップS91では垂直同期信号Vsyncが発生したか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS93に進み、方向センサ48の出力(=撮像方向)を取得する。ステップS95では、前回のステップS93の処理によって検出された撮像方向と今回のステップS93の処理によって検出された撮像方向との相違を算出する。ステップS97では算出された相違が基準値REF_Dを上回るか否かを判別する。
【0076】
判別結果がYESであれば、撮像シーンの輝度特性に有意な変化が生じたとみなし、厳格AE処理の実行を要求するべくステップS99でフラグFLGaeを“1”に設定する。これに対して判別結果がNOであれば、撮像シーンの輝度特性に有意な変化は生じていないとみなし、厳格AE処理の中止を要求するべくステップS101でフラグFLGaeを“0”に設定する。ステップS99またはS101の処理が完了すると、ステップS91に戻る。
【0077】
図17を参照して、ステップS111では基準値REF_Dを“Hd”に設定し、ステップS113ではズームボタン30zmが操作されたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS115に進み、ドライバ20aを制御してズームレンズ12を光軸方向に移動させる。これによって、ズーム倍率が“1.0”〜“10.0”の範囲で変化する。
【0078】
ステップS117では変更後のズーム倍率を検出し、ステップS119では検出されたズーム倍率が基準値REF_Zを上回るか否かを判別する。判別結果がYESであれば、厳格AE処理が実行され易くするべく、ステップS121で基準値REF_Dを“Ld”に設定する。これに対して、判別結果がNOであれば、厳格AE処理が実行され難くするべく、ステップS123で基準値REF_Dを“Hd”に設定する。ステップS121またはS123の処理が完了すると、ステップS113に戻る。
【0079】
この実施例においても、露光量は、シャッタボタン30shの半押しに先立って繰り返し調整される。また、手振れ量(=イメージャ18の出力を定義する特定パラメータ)によっては、シャッタボタン30shの半押しに応答して露光量が再調整される。したがって、手振れ量が或る範囲に属するときはシャッタボタン30shの全押しに対する応答特性が改善され、手振れ量が別の範囲に属するときはシャッタボタン30shの半押しの後にイメージャ18から出力される生画像データの品質が改善される。こうして、撮像性能の向上が図られる。
【0080】
なお、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ46に予め記憶される。しかし、
図18に示すように通信I/F50をディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ46に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0081】
また、この実施例では、CPU28によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。