(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置検出器が、少なくとも1本のコイルを備え、前記プロセッサが、磁場に応答して、前記少なくとも1本のコイルで発生した電気信号を使用して、遠位端位置及び遠位端向きとして前記遠位端の前記位置を測定するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記補助プローブが、それに固定された更なる電極を有し、前記プロセッサが、前記電場に応答して前記更なる電極で発生した更なる電位を測定するように、前記測定された更なる電位に応答してかつ前記位置検出器によって指示された前記遠位端の前記位置に応答して、前記参照プローブに対する前記更なる電極の更なる位置を評価するように、並びに前記補助プローブの前記位置及び前記更なる電極の前記更なる位置に応答して前記補助プローブの向きを評価するよう構成される、請求項1に記載の装置。
前記プロセッサが、前記更なる電場に応答して前記補助プローブの前記電極で発生した更なる電位を測定し、並びに前記測定された更なる電位、前記代替の参照プローブの位置及び前記代替の参照プローブの向きに応答して前記補助プローブの前記位置を更に評価するように構成される、請求項8に記載の装置。
前記電場の外側及び前記更なる電場の内部に更なる電極を有する更なる補助プローブを備え、前記プロセッサが、前記更なる電場に応答して、前記更なる補助プローブの前記更なる電極で発生した更なる電位を測定し、並びに前記測定された更なる電位、前記代替の参照プローブの位置及び前記代替の参照プローブの向きに応答して更なる補助プローブの位置を評価するように構成される、請求項8に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
本発明の実施形態は、体腔内のカテーテル(本明細書では補助プローブとも呼ばれる)に関する追跡システムとして動作するよう構成される医療装置を備える。この体腔とは、典型的には心臓であるが、胸部などの他の体腔内のカテーテルが追跡されてもよい。
【0015】
この装置は、体腔に挿入される参照プローブを備える。この参照プローブは、遠位端を有する可撓性挿入チューブを備え、この参照プローブ遠位端は、体腔内に挿入される。少なくとも一対の、典型的には三対の隔離された電極が参照プローブ遠位端に固定するよう取り付けられ、位置検出器がこの遠位端に配置される。
【0016】
プロセッサが、対応の交流を電極の各対に注入し、注入された電流が電場を発生し、これは一般的には、双極子場に近い。
【0017】
追跡される補助プローブは、このプローブ上に固定された電極を有し、電場に応答して、電極が電位を発生する。プロセッサは、この電位を測定し、この測定された電位及び位置検出器によって指示されたような参照プローブの位置から、補助プローブの位置を評価することが可能である。
【0018】
この装置は、複数の補助プローブを同時に追跡するよう使用され得る。補助プローブを追跡するために双極子場を使用することによって、プローブはサブmmの精度まで追跡されることができる。
【0019】
システムの説明
ここで、本発明の実施形態によるカテーテル追跡システムの概略図である
図1を参照する。その追跡を実行するために、システム20は、参照プローブ22を使用し、簡略化及び明確さのために、以下の説明は、医学的処置がプローブを使用して心臓24(本明細書ではヒトの心臓と仮定される)で実行される間のシステム20が動作する例として仮定する。システム20は、典型的には、心臓24の1つ以上の区域を焼灼するための設備などの、医学的処置中に使用される設備を含む。
【0020】
参照プローブ22(本明細書では参照カテーテルとも呼ばれる)は、医学的処置中に被験者26の体内に挿入される可撓性チューブを備える。医学的処置は、システム20のユーザー28によって実施され、本明細書の説明において、ユーザー28は、一例として、医療専門家と仮定される。参照プローブの遠位端30は、心臓24内に配置されると仮定され、参照プローブ遠位端の構造は、
図2A及び2Bを参照して以下に説明される。
【0021】
参照プローブ22に加えて、専門家28は、医学的処置中に、総じてプローブ32と称されるプローブ32A、32B、...も使用する。補助プローブとも呼ばれるプローブ32は、総じて遠位端34と呼ばれる対応の遠位端34A、34B、...を有する。簡略化のために、補助プローブ32A及びその遠位端34Aのみが
図1に示される。補助プローブ32は、概して同様であるが、形状及び構造で異なってもよく、心臓24の焼灼、及び/又は心臓により発生する電位の検査などの多様な目的に使用されてもよい。しかしながら、本開示では、総じて電極36と呼ばれるそれぞれの電極36A、36B、...が遠位端34A、34B、...に装着されていると仮定される。以下に説明されるように、電極36で発生した信号が、対応の遠位端34の位置を測定するために使用される。
【0022】
典型的には、必要に応じて、各遠位端34に装着された複数の電極があり、このような電極は、電極固有識別子に数字を添付することによって差異化される。例えば、電極36A1、36A2、...は、プローブ32Aの遠位端34Aに装着されることができる。
【0023】
システム20は、汎用コンピュータとして実現されてもよいシステムプロセッサ38によって制御されてもよい。プロセッサ38は、典型的には、専門家28がプロセッサとやりとりを行うために使用する、キーパッド及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボール等を含む動作制御46を備える、コンソール44に取り付けられてもよい。プロセッサ38によって実施されたオペレーション結果は、プロセッサに接続された画面48上で専門家に提示される。この結果は、遠位端34の位置を含み、この位置は、画面48上に生成される心臓24の画像50にグラフィック的に表示され得る。これとは別に又は追加的に、遠位端34の場所は、数値的に、又は任意の他の便利な形態で、画面48上に表示されてもよい。画面48はまた、典型的には、専門家にグラフィカルユーザーインターフェースを示す。専門家28は、システム20の操作中、プロセッサ38によって使用されるパラメーター値を入力するために、制御46を使用することができる。
【0024】
プロセッサ38は、システム20を操作するために、参照プローブ追跡モジュール52を含む、コンピュータソフトウェアを使用する。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサ38にダウンロードされてもよく、あるいは、又は加えて、磁気的、光学的、又は電子的メモリ等の非一時的有形コンピュータ可読媒体上に提供及び/又は格納されてもよい。
【0025】
プローブ追跡モジュール52は、プローブが被験者26の体内にある間に遠位端30を追跡する。追跡モジュールは、典型的には、被験者26の心臓内における、参照プローブの遠位端の位置及び向きの両方を追跡する。いくつかの実施形態では、モジュール52はプローブの他の区間を追跡する。追跡モジュールが、適切な位置検出器を使用して、当該技術分野で既知の追跡プローブに関する任意の方法を使用してもよいが、本説明では、明確化及び簡略化のために、モジュール52は、Diamond Bar,CAのBiosense Websterによって製造されたCarto(登録商標)システムなどの磁気追跡装置を含むものと仮定される。モジュール52は、被験者26付近の磁場送信機54を操作することで、送信機からの磁場が、遠位端30に位置する1つ以上の追跡コイル56と相互作用し、遠位端位置検出器を形成する。この1つ以上の追跡コイルは、本明細書では遠位端位置検出器56とも呼ばれる。
【0026】
磁場と相互作用するコイルは、モジュールに伝送される信号を生成し、モジュールはその信号を分析して、遠位端30の位置及び向きを決定する。これとは別に又は追加的に、追跡モジュール52は、参照プローブ遠位端上の1つ以上の電極と被験者26の皮膚上の電極との間のインピーダンスを測定することによって、プローブ22の遠位端を追跡してもよい。Biosense Websterにより生産されるCarto3(登録商標)システムは、磁場伝送器及びインピーダンス測定器の両方を追跡に用いている。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Govariらによる米国特許7,848,789号は、プローブ追跡に磁場及びインピーダンス測定の双方を使用することを記載する。更にこれとは別に又は追加的に、モジュール52は、蛍光画像又は超音波画像などの当該技術分野で既知の任意の他の手段を使用して、遠位端30の位置及び向きを決定してもよい。
【0027】
送信機54が固定され、送信機に対して固定される直交軸x
T、y
T、z
Tの第1の組に関して送信機フレームを画定する。しかしながら、コイル56に由来の信号が、参照の送信機フレームに対して遠位端30の位置及び向きの座標をもたらすが、専門家28は、典型的には、被験者26に対する遠位端の位置及び向きの知識を必要とする。
【0028】
この後者の位置及び向きをもたらすために、1組の患者位置検出器が、被験者26の皮膚に装着される。一般的に、患者位置検出器は、被験者の背中の既知の位置に装着される。モジュール50は、検出器からの信号を受信し、この信号を用いて、被験者26に対して固定される身体座標直交軸x
B、y
B、z
Bの第2の組に関して身体座標フレームを画定する。専門家28によって実施される処置中に、プロセッサ38は、参照の2つのフレームを登録し、これが被験者に対する参照プローブ遠位端30の位置及び向きを生成することが可能である。参照により本明細書に組み込まれる、Bar−Talらによる米国特許出願2012/0150022号は、磁気送信機の基づき、参照システムの身体座標フレーム並びにシステムの座標システムへの登録を記載している。
【0029】
図2A及び2Bは、本発明の実施形態による参照プローブの遠位端30の横断面を示す概略図である。
【0030】
参照プローブ22は、典型的には、直径dを有し並びに対称軸70を有する横断面で円形ある。明確化のために、このプローブの遠位端30は、z
d軸に対応する軸70で、直交するx
dy
dz
d軸の組に関して構成されると仮定される。
図2Aは、横断面の平面内(紙の平面に対応する)に位置する軸70で取られた第1の横断面を示す。横断面の平面は、z
d軸に直交するy
dを画定すると仮定され、断面の平面において、x
d軸は横断面の平面に垂直である。
図2Bは、x
dy
d平面で取られた第2の横断面を示す。
【0031】
1つ以上の追跡コイルを備える位置検出器56は、遠位端30に配置される。これに加えて、三対の電極が遠位端30に、典型的には遠位端の絶縁表面72上に形成される。各電極は、他の電極から電気的に隔離され、電極の組みは、互いに対して直交する対応の軸を有するよう構成される。
【0032】
したがって、電極の第1の対74A、74Bは、表面72上にリング電極として形成され、これらの電極は、共通軸として軸70を有し、距離Δzで互いに切り離されている。電極の第2の対76A、76Bが、遠位端のy
d軸直径の反対側の端部で表面72上に形成されることで、これら電極は距離dで引き離されている。電極の第3の対78A、78Bは、遠位端のx軸直径の端部の反対側で表面72上に形成されることで、これらの電極もまた距離dで引き離される。典型的には、必ずしも必要ではないが、電極76A、76B、78A、及び78Bは、同一の形状を有し、例として本明細書ではほぼ矩形であると仮定される。電極74A、74B、76A、76B、78A、及び78Bはまた、本明細書では総じて電極80と呼ばれる。しかしながら、電極80の形状は、一対でも同一であること、又はそれらが矩形であることは必ずしも必要ではなく、電極は任意の好都合な形状を有してもよい。典型的には、電極80の各組は、対称中心を有する。通常、異なる組の対称中心は、x
dy
dz
dフレームの原点に一致するよう本明細書で仮定された共通軸にある。フレームの原点は、軸70上の点である。
【0033】
明確化のために、
図2Aにおいて、位置検出器56は、電極80から分離されて示されている。しかしながら、典型的には、検出器は、x
dy
dz
dフレームの原点近くで位置付けられる。
【0034】
この電極80は、伝導性のワイヤによって接続され、プロセッサ38によって動作される。これに加えて、位置検出器56がまた、プロセッサに接続される。簡略化のために、この接続は図には示されていないが、
図3を参照してより詳細に記載されるように、プロセッサは電極を操作するために、かつ検出器を使用するために、この接続を使用する。
【0035】
図3は、本発明の実施形態による、カテーテルトラッキングシステム20の操縦を図示する概略図である。以下に説明されるように、電極が参照カテーテルの付近にある場合、プロセッサ38は、補助プローブの遠位端に取り付けられた電極の位置を追跡することが可能である。簡略化のために、2つの装着された電極36A1、36A2を有するただ1つの補助プローブ遠位端34Aが
図3に示されている。
【0036】
プロセッサ38は、参照プローブ遠位端30の位置及び向きを評価するために、位置検出器56を使用する。プロセッサは、磁場発生器54を動作させて、検出器のコイル内の発生した磁場によって誘導された電気信号を測定する。プロセッサは、誘導された電気信号から参照プローブ遠位端30の位置及び向きを計算する。
【0037】
位置検出器56を動作させることによって、プロセッサ38は、上記の身体座標フレームに対する、すなわち、軸x
B、y
B、z
Bを基準にして、遠位端30の位置ベクトル
【数1】
を決定する。加えて、プロセッサは、参照の身体座標で測定されたような、遠位端のz
d軸方向に対応する向きベクトルφ(B)を見つけるよう検出器56を使用する。
【0038】
プロセッサ38は、トラッカーモジュール52を使用して、電極80の対に交流を注入することで、3対の電極のそれぞれが、対応の双極子モーメントを有しかつ対応の交流場を発する電気双極子として適切に作用する。したがって、電極74A、74Bは、z
d軸に沿って方向付けされた第1の双極子モーメントを有する第1の双極子として作用する。同様に、電極76A、76Bは、y
d軸に沿って方向付けされた第2の双極子モーメントを有する第2の双極子として作用し、並びに電極78A、78B(
図2A、2B)は、x
d軸に沿って方向付けされた第3の双極子モーメントを有する第3の双極子として作用する。それぞれの双極子については、対応の双極子モーメントの規模は、双極子を形成する対応の電極に注入される電流にほぼ比例し、この規模はまた、双極子を形成する電極の離隔距離の関数である。
【0039】
典型的には、プロセッサ38は、例えば時間及び/又は周波数によって交流の注入を多重化することで、プロセッサは異なる対から生成された信号を識別することが可能である。
【0040】
電極74A及び74Bからの電場100は、点線によって概略的に表現され、電極76A及び76Bからの電場102は、実線で概略的に表現されている。明確化のために、その線が
図3には示されていない電極78A及び78Bからの電場104は、典型的には電場102とほぼ同様であるが、z
d軸の回りを90°回転されている。電場100、102、及び104は、本明細書では総じて電場110と呼ぶ。
【0041】
第1の近似について、電場110は、双極子場であると考えられ、本明細では双極子場110とも呼ばれる。双極子場近似が適切でない場合に順応するよう実行され得る方法が、以下に記載されている。
【0042】
以下の解析は、参照電極の双極子放射器によって発生した電位に関する式を誘導する。モジュール52によってx
d軸上の電極の対78A、78B(x電極とも呼ばれる)に注入された交流は、+I
x、−I
xであると仮定される。同様に、y
d軸上の電極76A、76B(y電極)に注入された交流は、+I
y、−I
yであり、z
d軸上の電極74A、74B(z電極)は+I
z、−I
zであると仮定される。電流は、電極のそれぞれの対を電流双極子として挙動させる。
【0043】
クーロンの法則から、等式(1)によって与えられる電荷からの距離rで、点電荷qが電位Vを発生させる:
【数2】
伝導度σを有する媒質中で動作する電流源については、次いで等式(1)が書き換えられてもよい。
【数3】
【0044】
電極36A1が参照の参照プローブフレームにおいて位置
【数4】
にあると仮定し、次いで等式(2)からx電極78A、78Bによって形成された電流双極子から発生した電位が、
【数5】
によって与えられ、式中d
xはx電極の離隔距離である。
【0045】
等式(4)及び(5)は、それぞれ、y電極76A、76Bによって、並びにz電極74A、74Bによって形成された電流双極子によって発生した電位を提供する。
【数6】
式中、d
y、d
zはy及びz電極の離隔距離である。(円形のプローブの典型的場合には、d
y=d
x)式A
x、A
y、及びA
zは以下に示される。
【0046】
電極36A1の位置
【数7】
を測定するために、モジュール52が電流±I
x、±I
y、±I
zをx、y及びz電極に注入し、電位V
x、V
y、及びV
zを測定する。プロセッサ38がこの測定されたV
x、V
y、V
zの値、I
x、I
y、及びI
zの値、並びに伝導度σを使用して、x
1、y
1、及びz
1の値に関して3つの等式(3)、(4)及び(5)を解く。プロセッサ38は、典型的には、参照及び補助プローブが位置している体腔の既知構造を適用し、x
1、y
1、及びz
1に関する可能なエイリアスされた値を消去する。正しくないエイリアスされた位置を消去する他の方法が、以下に記載される。
【0047】
等式(3)(4)及び(5)は、理想的な双極子からの電場としてふるまう電場110に基づいている。この等式は、例えば、理想的挙動からのバリエーションを考慮するために、より高次の球調和関数の添加によって、修正されてもよい。これに加えて、参照プローブ22は、較正されてもよく及び/又は等式(3)(4)及び(5)が、電極80の対の間のゼロ以外の距離及びその内部でシステム20が動作する体積又は体腔の不均質性を考慮するよう修正されてもよい。較正は、プロセッサが2つの電極80に対する既知電圧を注入することによって、並びにプロセッサがこの電圧によって発生した電流を測定することによって、伝導度σに関する有効値の決定を含んでもよい。
【0048】
一旦プロセッサ38が、参照プローブ内の電極36A1の位置
【数8】
を決定したら、プロセッサは位置検出器56の位置ベクトル
【数9】
を使用して、参照の身体フレーム内の電極の位置を計算することができる。したがって、参照の身体フレーム内の電極36A1の位置
【数10】
は等式(6)によって与えられる。
【数11】
【0049】
プロセッサ38は、上記に記載された同様なプロセスを適用し(電極36A1の位置、したがって遠位端34Aの位置を決定するために)、他の電極及びそれらの関連する遠位端の位置を評価することができる。
【0050】
1つ以上の装着された電極を有する遠位端については、遠位端の向き、並びにその位置がまた見つけ出され得る。例えば、遠位端34Aが、第2の電極36A2を有する場合には、プロセッサ38は参照の参照プローブフレーム内の電極36A2の位置
【数12】
を決定することができる。遠位端の向き
【数13】
は、等式(7)によって与えられる:
【数14】
【0051】
典型的には、1つ以上の装着された電極を有する遠位端については、プロセッサ38は、装着された電極の位置を平均化することによって、遠位端位置のより正確な決定を行ってもよい。
【0052】
等式(3)、(4)及び(5)は、
【数15】
のような行列形態で、書き換えられてもよい(この等式中のA
x、A
y、及びA
zの定義を使用して)。
【0053】
等式(8)から、位置(x、y、z)での小さい距離(dx、dy、dz)までの電極36A1の位置における変化は、
【数16】
によって与えられる電極での電位変化(dV
x,dV
y,dV
z)を生成するであろう。
【0054】
式中Jは
【数17】
のヤコビアンである。Jに関する式は、以下の等式(10)によって与えられる。等式(10)は、簡略化のために、d
1=d
2=d(電極の対の間隔)であり、I
x=I
y=I
z=Iと仮定する。等式(10)は、位置(x,y,z)への距離rが、r
2=x
2+y
2+z
2によって与えられ、(x
1、y
1、z
1)が(x、y、z)で置き換えられ、並びにd(電極間隔)がrに比べて小さいと仮定する。
【数18】
【0055】
等式(10)で与えられるヤコビアンに関する式は、電場80が理想的双極子のものであるであると仮定する。この式は、当業者には明白である方法によって、理想的挙動からのバリエーションを考慮するよう修正されてもよい。このような修正としては、例えば、より高次の球調和関数を用いることが挙げられる。
【0056】
等式(3)、(4)及び(5)によって与えられる双極子近似は、参照カテーテル22からおよそ5mm超えて存在する補助カテーテル36に良好な結果をもたらす。参照カテーテルから測定された、補助カテーテル36に関する典型的な作動距離は、およそ10cmまでである。参照カテーテル22に関する動作体積、すなわち、電極からの電場が有効であるところの体積は、典型的には球体半径10cmにほぼ等しい。
【0057】
一実施形態では、電極80に注入される交流の周波数は、100kHzのオーダであり、注入される電流の規模は、典型的には10mAのオーダであるが、これらの値とは異なる周波数及び電流(以下の実施例におけるような)も可能である。
【0058】
数値例として、電極のx及びyの対がおよそ2mmで離隔されるように、およそ2mmの直径を有し、並びにz軸電極もまたおよそ2mmで離隔されていると仮定する参照カテーテル30については、d=2mmと仮定する。数値例は、以下の更なる仮定を実行する:
電極36A1は、参照プローブ遠位端30から5cmにあること、
伝導度σは0.5S/mであること、並びに
I=1mAであり、ここではI
x=I
y=I
z=Iであること、である。
【0059】
上記仮定を適用して、等式(9)及び(10)は、参照プローブのx軸上の点(5,0,0)にてのそれぞれの方向(x、y、z)について、およそ(−5.1,2.5,2.5)[μV/mm]の感度をもたらす。感度に関する同様な値を、参照プローブから5cmにある他の点で適用する。これら感度は、典型的システムにおける補助プローブ位置のサブmmの測定を可能にする。
【0060】
上記説明は、電極80の対は共通のセンタを有すると仮定したものである。これは本発明の実施形態に関しては動作するための必要条件ではないので、広くは、電極の各組は、任意の他のセンタと完全に一致しないセンタを有し得ることが理解されるであろう。
【0061】
上記説明は、参照カテーテルに装着された三対の電極を仮定したが、補助プローブの位置は、三対よりも少ない電極を使用して決定され得ることが理解されるであろう。例えば、ただ一対の電極を使用することで、この電極から発生した電場が、体腔内の補助プローブに関する独自の位置を提供しない場合もあるが、体腔の寸法などの他の因子が、位置に関する独自の値をもたらすことができる。したがって、本発明の範囲は、参照カテーテルの遠位端に装着された三対よりも少ない対の電極を包含する。
【0062】
あるいは、参照電極に装着された三対を超える電極が存在する場合もある。三対を超える電極を有することは、測定値における冗長性を生じ、この冗長性は、補助プローブ遠位端の測定された位置の精度を増大するよう使用され得る。あるいは又はこれに加えて、三対を超える電極を提供することは、三対のみの電極が使用された場合に発生し得る正しくないエイリアスされた位置を消去することができる。
【0063】
またあるいは、1つ以上の参照プローブがシステム20で使用されてもよく、プロセッサ38は、更なる参照プローブのそれぞれの対応の交流を電極のそれぞれの組に注入することができる。複数の参照プローブを使用することは、システム20が補助プローブの位置を測定することが可能である全体のボリュームを増加させる。これに加えて、参照プローブの個々の動作ボリュームが重複する場合、プロセッサ38は、位置の精度を増加させるために、及び/又は正しくないエイリアスされた位置を消去するために、所与の補助プローブ位置に関する複数の値を使用することが可能である。更には、複数の参照プローブの1つだけが位置検出器(位置検出器56)を有する必要があり得、これは他の参照プローブの位置及び向きは、この参照プローブに関して測定されることができるためである。他の参照プローブの測定された位置及び向きを使用して、プロセッサは、別の方法として又はこれに加えて、動作ボリュームの外側にあり得る、すなわち、位置検出器を有する参照プローブの有効電場を超える更なる補助プローブの位置を評価することが可能である。
【0064】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに当業者であれば上記の説明文を読むことで想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変更及び改変が含まれるものである。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置であって、
参照プローブであり、
体腔内への挿入のための遠位端を有する可撓性挿入チューブと、
前記遠位端に固定して取り付けられる一対の隔離された電極と、
前記遠位端に固定して位置付けられる位置検出器と、を含む参照プローブと、
補助プローブであって、それに固定された電極を有する補助プローブと、
前記一対の隔離された電極に対応の交流を注入して、そこから電場を発生し、前記電場に応答して、前記補助プローブの前記電極で発生した電位を測定し、前記測定された電位に応答して並びに前記位置検出器によって指示された前記遠位端の位置に応答して、前記参照プローブに対する前記補助プローブの位置を評価するよう構成されるプロセッサと、を含む、医療装置。
(2) 前記一対の隔離された電極が、互いに隔離された三対の電極を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記互いに隔離された三対の電極が、それぞれ、互いに直交する3本の軸を画定する、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記プロセッサが、3組の対応の交流を前記互いに隔離された三対の電極にそれぞれ注入するよう構成される、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記位置検出器が、少なくとも1本のコイルを備え、前記プロセッサが、磁場に応答して、前記少なくとも1本のコイルで発生した電気信号を使用して、遠位端位置及び遠位端向きとして前記遠位端の前記位置を測定するように構成される、実施態様1に記載の装置。
【0066】
(6) 前記補助プローブが、それに固定された更なる電極を有し、前記プロセッサが、前記電場に応答して前記更なる電極で発生した更なる電位を測定するように、前記測定された更なる電位に応答してかつ前記位置検出器によって指示された前記遠位端の前記位置に応答して、前記参照プローブに対する前記更なる電極の更なる位置を評価するように、並びに前記補助プローブの前記位置及び前記更なる電極の前記更なる位置に応答して前記補助プローブの向きを評価するよう構成される、実施態様1に記載の装置。
(7) 代替の参照プローブを備え、
前記代替の参照プローブが、
前記体腔内への挿入のための代替の遠位端を有する代替の可撓性挿入チューブと、
前記代替の遠位端に固定して取り付けられた代替の一対の隔離された電極と、を備え、
前記プロセッサが、前記電場に応答して、前記補助プローブの前記代替の一対の隔離された電極で発生した更なる電位を測定するように、並びに前記測定された更なる電位に応答して、代替の参照プローブの位置及び代替の参照プローブの向きを評価するよう構成される、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記プロセッサが、前記代替の一対の隔離された電極に対応の更なる交流を注入するよう構成されることで、そこから更なる電場を発生する、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記プロセッサが、前記更なる電場に応答して前記補助プローブの前記電極で発生した更なる電位を測定し、並びに前記測定された更なる電位、前記代替の参照プローブの位置及び前記代替の参照プローブの向きに応答して前記補助プローブの前記位置を更に評価するように構成される、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記電場の外側及び前記更なる電場の内部に更なる電極を有する更なる補助プローブを備え、前記プロセッサが、前記更なる電場に応答して、前記更なる補助プローブの前記更なる電極で発生した更なる電位を測定し、並びに前記測定された更なる電位、前記代替の参照プローブの位置及び前記代替の参照プローブの向きに応答して更なる補助プローブの位置を評価するように構成される、実施態様8に記載の装置。
【0067】
(11) 体腔内への挿入のための遠位端を有する可撓性挿入チューブを備える参照プローブを提供することと、
一対の隔離された電極を、前記遠位端に固定するように取り付けることと、
前記遠位端に位置検出器を固定するように位置決めすることと、
補助プローブに電極を固定することと、
前記一対の隔離された電極に対応の交流を注入することで、そこから電場を発生させることと、
前記電場に応答して、前記補助プローブの前記電極で発生した電位を測定することと、
前記測定された電位に応答して、並びに前記位置検出器によって指示された前記遠位端の位置に応答して、前記参照プローブに対する前記補助プローブの位置を評価することと、を含む、方法。
(12) 前記一対の隔離された電極が、互いに隔離された三対の電極を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記互いに隔離された三対の電極が、それぞれ、互いに直交する3本の軸を画定する、実施態様12に記載の方法。
(14) 3組の対応の交流を前記互いに隔離された三対の電極にそれぞれ注入することを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記位置検出器が、少なくとも1本のコイルを備え、前記方法が、磁場に応答して前記少なくとも1本のコイルで発生した電気信号を使用して、前記遠位端の前記位置を、遠位端位置及び遠位端向きとして測定することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
【0068】
(16) 前記補助プローブが、それに固定された更なる電極を有し、前記方法が、前記電場に応答して前記更なる電極で発生した更なる電位を測定することと、前記測定された更なる電位に応答して並びに前記位置検出器によって指示された前記遠位端の前記位置に応答して、前記参照プローブに対する前記更なる電極の更なる位置を評価することと、前記補助プローブの前記位置及び前記更なる電極の前記更なる位置に応答して前記補助プローブの向きを評価することと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記体腔内への挿入のための代替の遠位端を有する代替の可撓性挿入チューブを備える代替の参照プローブを提供することと、
前記代替の遠位端に代替の一対の隔離された電極を固定するよう取り付けることと、
前記電場に応答して、前記補助プローブの前記代替の一対の隔離された電極で発生した更なる電位を測定することと、
前記測定された更なる電位に応答して、代替の参照プローブの位置及び代替の参照プローブの向きを評価することと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 対応の更なる交流を、前記代替の一対の隔離された電極に注入することで、そこから更なる電場を発生させることを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記更なる電場に応答して、前記補助プローブの前記電極で発生した更なる電位を測定することと、前記測定された更なる電位、前記代替の参照プローブの位置及び前記代替の参照プローブの向きに応答して前記補助プローブの前記位置を更に評価することと、を含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 更なる電極を前記電場の外側及び前記更なる電場の内部に有する更なる補助プローブを提供することと、前記更なる電場に応答して、前記更なる補助プローブの前記更なる電極で発生した更なる電位を測定することと、前記測定された更なる電位、前記代替の参照プローブの位置及び前記代替の参照プローブの向きに応答して更なる補助プローブの位置を評価することと、を含む、実施態様18に記載の方法。