特許第6199095号(P6199095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

<>
  • 特許6199095-液晶表示装置の製造方法 図000002
  • 特許6199095-液晶表示装置の製造方法 図000003
  • 特許6199095-液晶表示装置の製造方法 図000004
  • 特許6199095-液晶表示装置の製造方法 図000005
  • 特許6199095-液晶表示装置の製造方法 図000006
  • 特許6199095-液晶表示装置の製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199095
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】液晶表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   G02F1/1335
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-142623(P2013-142623)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-14751(P2015-14751A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】久保田 直也
【審査官】 廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−101963(JP,A)
【文献】 特開2011−103221(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/099834(WO,A1)
【文献】 特開2004−354807(JP,A)
【文献】 特開平10−068945(JP,A)
【文献】 特開2008−268420(JP,A)
【文献】 特開2007−010991(JP,A)
【文献】 特開2010−091768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02F 1/1333
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板と対向基板とを貼り合わせて液晶セルを形成し、
前記アレイ基板と前記対向基板との間に液晶を注入し、
前記液晶セルのアレイ基板又は対向基板の表面に、少なくとも一つの角部が切り欠かれた切り欠き部分を有する光学フィルムを貼り合わせ、
前記光学フィルムの前記切り欠き部分において、前記液晶セルの角部とバックライトの角部との位置合わせを行い、
前記バックライトを前記液晶セルに重ねて取り付ける、
液晶表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記対向基板の上方から前記切り欠き部分を通して、前記液晶セルの角部と前記バックライトの角部との位置合わせを行う、
請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記光学フィルムが、偏光板又は位相差板である、
請求項1又は2に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶セルは、アレイ基板と対向基板とを貼り合わせ、その間に液晶が注入されている。アレイ基板及び対向基板のそれぞれの表面には、偏光板や位相差板などの光学フィルムが貼り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、最近のスマートフォンなどにおいては、限られた液晶セルのサイズで表示エリアを拡大させるために、表示エリアの外側部分を狭くする狭額縁化が必要となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−354807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような狭額縁化の液晶セルに光学フィルムを貼り付ける場合に、貼り付け位置は、貼り付け装置の繰り返し精度や光学フィルム、ガラス基板の外形精度の影響を受け、常に一定の位置に貼り付けることが困難である。
【0006】
そのため、図6に示すように、対向基板14の角部から光学フィルム20の角部がはみ出して貼り付けられると、液晶セルにバックライトを取り付ける工程において、光学フィルム20のはみ出し部分の角部を対向基板14の角部と誤って認識してしまい、対向基板の位置を特定できず、液晶セルにバックライトを正しく取り付けられないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、狭額縁化がなされている液晶セルにおいても、液晶セルとバックライトが正しく取り付けられる液晶表示装置製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アレイ基板と対向基板とを貼り合わせて液晶セルを形成し、前記アレイ基板と前記対向基板との間に液晶を注入し、前記液晶セルのアレイ基板又は対向基板の表面に、少なくとも一つの角部が切り欠かれた切り欠き部分を有する光学フィルムを貼り合わせ、前記光学フィルムの前記切り欠き部分において、前記液晶セルの角部とバックライトの角部との位置合わせを行い、前記バックライトを前記液晶セルに重ねて取り付ける、液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対向基板に貼り付けられている光学フィルムの角部が切り欠かれて切り欠き部分が形成されているため、狭額縁化がなされている液晶セルにおいて光学フィルムが対向基板からはみ出して貼り付けられても、液晶セルの角部とバックライトの角部が切り欠き部分から露出し、液晶セルとバックライトの角部との位置合わせを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態において、アレイ基板にバックライトを取り付けようとしている状態の斜視図である。
図2】対向基板と光学フィルムとの関係を示す平面図である。
図3】液晶セルとバックライトを取り付けた状態の斜視図である。
図4】液晶表示装置の縦断面図である。
図5】バックライトの分解斜視図である。
図6】従来の光学フィルムがはみ出た状態の光学フィルムと対向基板との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態の液晶表示装置1とその製造方法について図1図5に基づいて説明する。
【0013】
(1)液晶表示装置1の構造
液晶表示装置1の構造について図4図5に基づいて説明する。
【0014】
液晶表示装置1は、液晶セル2とバックライト3とを組み合わせたものである。
【0015】
液晶セル2は、アレイ基板12と対向基板14とを、液晶層16を介してシール部材4で貼り合わせたものである。
【0016】
アレイ基板12のガラス基板9の上面には、ゲート線と信号線とが直交するように形成され、その交差部においてTFT(Thin Film Transistor)と画素電極が形成された画素部が、マトリックス状に配置されている。また、アレイ基板12の下面には偏光板、位相差板よりなる光学フィルム18が貼り付けられている。アレイ基板12は、対向基板14よりも大きく形成され、液晶セル2を駆動させるためのドライバICを取り付けるための棚部5が設けられている。
【0017】
対向基板14のガラス基板10の下面には、それぞれ異なる色(R,G,B)に着色されたレジストによりなる着色層と、ブラックマトリックスと、これら着色層とブラックマトリックスの上面に塗布された透明電極とが形成されている。対向基板14の上面には偏光板、位相差板よりなる光学フィルム20が貼り付けられている。この光学フィルム20の角部は、一例として三角形状に切り欠かれて切り欠き部分6が形成されている。この切り欠き部分6の大きさは、例えば図2に示すように切り欠かれた三角形の一辺が0.3mmである。
【0018】
また、アレイ基板12と対向基板14の相対向する面にはそれぞれ配向膜が形成され、アレイ基板12と対向基板14との間には液晶層16が形成されている。
【0019】
バックライト3は、合成樹脂よりなる額縁状のフレーム22内部に導光板24が収納され、導光板24の上面には拡散シート26、プリズムシート28,30が積層され、プリズムシート30の上面には、液晶セル2を貼り付けるための額縁状の遮光両面テープ32が貼り付けられている。また、導光板24の下面には反射シート34が配されている。フレーム22と導光板24との間には、光源となる複数のLED36が配列され、これらLED36とLED用フレキシブル基板38とが固定テープ40によってフレーム22に固定されている。
【0020】
(2)液晶表示装置1の製造方法
次に、液晶表示装置1の製造方法について順番に説明する。
【0021】
まず、個片のアレイ基板12を形成するための大型マザー基板(以下、「マザーアレイ基板」という)を作成する。そのためにマザーアレイ基板となるガラス基板の表面への成膜を行う。この場合に金属膜はスパッタ法、絶縁膜はCVD法で行う。両方共に真空チャンバー内にガスを入れて物理的又は化学的な反応を起こさせて、ガラス基板上に金属膜又は絶縁膜を付着させる。
【0022】
次に、金属膜や絶縁膜を形成したガラス基板上にレジストを塗布し、レジスト層を形成する。
【0023】
次に、レジスト層が塗布されたガラス基板に対し露光装置を使って露光を行い、現像を行う。すなわち、パターンが描かれたマスクを使って、レジスト層にパターンを焼き付ける。
【0024】
次に、パターンが焼き付かれたレジスト層にマスクを被せ、ウエットエッチング又はドライエッチングを行い、パターン以外の不要なレジスト層、金属膜又は絶縁膜を除去する。
【0025】
次に、ガラス基板から、パターン形成された金属膜又は絶縁膜の上に残っている不要なレジスト層を剥離し、必要な膜のみを残す。
【0026】
上記各工程については1枚のマスクによって1つの金属膜、絶縁膜ができるため、この工程を複数回繰り返し行い、ゲート線の配線、絶縁膜、信号線の配線、絶縁膜、TFT、画素電極などを形成する。
【0027】
次に、対向基板14においても、個片の対向基板14を形成するための大型マザー基板(以下、「マザー対向基板」という)となるガラス基板にブラックマトリックス、RGBの着色層、透明電極を、アレイ基板12の製造工程と同じようにパターン形成する。
【0028】
次に、マザーアレイ基板の配向膜とマザー対向基板140の配向膜をローラー転写でそれぞれ塗布する。配向膜は、液晶分子の向きを揃えるためである。
【0029】
次に、マザーアレイ基板の配向膜とマザー対向基板の配向膜に対しラビング処理をそれぞれ行う。例えばドラムに布を巻いて、配向膜の表面を機械的に擦り、この擦った方向に液晶分子が向く。
【0030】
次に、マザー対向基板における個片の対向基板14の外周領域に沿ってシール部材4を額縁状にそれぞれ形成する。
【0031】
次に、マザーアレイ基板とマザー対向基板をシール部材4で貼り合わせる。
【0032】
次に、貼り合わせたマザーアレイ基板とマザー対向基板の間に例えば液晶滴下によって、液晶を注入し、液晶層16を形成する。
【0033】
次に、マザーアレイ基板とマザー対向基板とを貼り合わせているシール部材4にUV光を当てて硬化させる。
【0034】
次に、シール部材4を硬化した後に、スクライブブレークを行い、個片の液晶セル2毎に分断し、1枚ずつの液晶セル2を形成する。
【0035】
次に、液晶セル2のアレイ基板12と対向基板14の表面にそれぞれ光学フィルム18,20を貼り付ける。この場合に、上記したように、対向基板14に貼り付ける光学フィルム20の角部は三角形状に切り欠かれて切欠き部分6が形成されている。
【0036】
次に、液晶セル2にバックライト3を図1に示すように位置合わせを行った後に、図3に示すように重ねて取り付ける。バックライト3は、液晶セル2のアレイ基板12の下面に遮光両面テープ32によって固定する。この場合に、棚部5とは反対側の液晶セル2の角部と、バックライト3の角部とを一致させる必要がある。そのため、図1に示すように、液晶セル2の上面からカメラ7によって液晶セル2の角部とバックライト3の角部を撮影し、バックライト3をずらして、液晶セル2の角部と位置を一致させる。この場合に、図2に示すように、光学フィルム20の角部が三角形状に切り欠かれ切り欠き部分6を有するため、光学フィルム20が、対向基板14より外側にはみ出しても、この切り欠き部分6の位置を通して、液晶セル2の角部とバックライト3の角部の位置を確認でき、正確に位置合わせを行うことができる。特に、最近の光学フィルム20は、液晶セル2の狭額縁化により、対向基板14からはみ出す場合が多いが、このような場合であっても切り欠き部分6から対向基板14の角部とバックライト3の角部とを正確にカメラ7で認識できる。
【0037】
次に、バックライト3を取り付けた液晶セル2の棚部5に、不図示のドライバICなどをフレキシブル基板を介して取り付け、液晶表示装置1を完成する。
【0038】
(3)効果
本実施形態によれば、光学フィルム20の角部に切り欠き部分6を設けることにより、対向基板14の角部が光学フィルム20によって覆われることがなく、液晶セル2の角部とバックライト3の角部との位置合わせを正確に行うことができる。そのため、液晶セル2とバックライト3とを組み合わせた場合に、光漏れなどが起こることがない。
【0039】
(4)変更例
上記実施形態では、長方形状の光学フィルム20の角部を一か所だけ切り欠いたが、より正確に位置合わせを行うために相対向する部分の角部や、隣接する角部に切り欠き部分6を設けて、複数箇所で位置合わせを行うようにしてもよい。
【0040】
また、切り欠き部分6の形状については、前記実施形態において三角形状の態様について例示してきたが、該切り欠き部分6を通して液晶セル2の角部が確認できれば良いものであるからその形状を限定するものではないことは言うまでもない。例えば、光学フィルムの切り出し前のシート状の段階で、四隅部分を丸穴のパンチ等で開口すれば、光学フィルムを切り出した時の角部の切り欠き形状は扇形となる。その他、四角形状としても良い。
【0041】
本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・・液晶表示装置、2・・・液晶セル、3・・・バックライト、6・・・切り欠き部分、12・・・アレイ基板、14・・・対向基板、16・・・液晶層、18・・・光学フィルム、20・・・光学フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6