特許第6199103号(P6199103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6199103予荷重を減少させたロンチロック組立体、およびそれを含む宇宙船制振システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199103
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】予荷重を減少させたロンチロック組立体、およびそれを含む宇宙船制振システム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/38 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B64G1/38 Z
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-150439(P2013-150439)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-65481(P2014-65481A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2016年7月19日
(31)【優先権主張番号】13/626,843
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ダニエル・バーバー
(72)【発明者】
【氏名】ケン・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ヒンドル
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06508437(US,B1)
【文献】 特開昭53−040164(JP,A)
【文献】 米国特許第05160233(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の取付け部および第2の取付け部と、
前記第1の取付け部および前記第2の取付け部を締め付け係合で通常保持し、作動されると前記第1の取付け部および前記第2の取付け部を締め付け係合から解除する解除可能な締め付けデバイスと、
各後退組立体が第1の横歯リングおよび第2の横歯リングを備える一対の後退組立体であって、各後退組立体の前記第2の横歯リングが、他方の後退組立体の前記第2の横歯リングに対して反対方向に移動するようになされて、前記解除可能な締め付けデバイスが作動されるときに前記第1の取付け部のそれぞれの側に軸方向間隙を生じさせる一対の後退組立体と
を備え
各後退組立体の前記第2の横歯リングは、
(i) 前記第2の横歯リングの歯が、同じ後退組立体の前記第1の横歯リングの歯に先端と先端で係合する軸方向拡大位置に通常はあり、
(ii) 前記第2の横歯リングの前記歯が、前記同じ後退組立体の前記第1の横歯リングの前記歯に先端と根本で係合する軸方向に崩れた位置に向かって付勢されて、それぞれの各後退組立体の軸方向長さを減少させ、
作動されると、前記解除可能な締め付けデバイスが、前記第1の取付け部および前記第2の取付け部を締め付け係合から解除して、各後退組立体の前記第2の横歯リングが前記軸方向に崩れた位置に移動することを可能にし、前記第1の取付け部のそれぞれの側に前記軸方向間隙を形成する、ロンチロック組立体。
【請求項2】
前記一対の後退組立体が、第1の後退組立体および第2の後退組立体を備え、前記第1の取付け部が、
内部に前記解除可能な締め付けデバイスおよび前記一対の後退組立体が配設される中央開口を有するほぼ管状の本体と、
前記ほぼ管状の本体から径方向内側に延びる内側環状突出部と
を備え、前記第1の取付け部および前記第2の取付け部が締め付け係合にあるときに、前記内側環状突出部が、前記第1の後退組立体の前記第2の横歯リングと前記第2の後退組立体の前記第2の横歯リングとの間に捕らえられ、前記第2の後退組立体の前記第2の横歯リングが、一対の斜めに対向した面取りした接触面を含み、前記第1の取付け部および前記第2の取付け部が締め付け係合にあるときに、前記一対の斜めに対向した面取りした接触面の第1の面取りした接触面が、前記第1の取付け部の前記内側環状突出部に係合可能であり、前記一対の第2の面取りした接触面が、前記第2の後退組立体の前記第1の横歯リングに係合可能である、
請求項1に記載のロンチロック組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、NASAによって授与されたNNG09HR00Cの下で政府の支援によってなされた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0002】
[0002]本発明は、一般に、宇宙船制振システムに関し、より詳細には、予荷重を減少させたロンチロック組立体、およびそれを含む宇宙船制振システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]姿勢調整のために宇宙船の上で展開されるコントロールモーメントジャイロスコープアレイ、リアクションホイールアレイ、および他のそのようなデバイスは、動作中、起振力を発生させる。宇宙船制振システムは一般に、そのような姿勢調整デバイスから放出される起振力が宇宙船本体を通じて宇宙船によって運ばれる任意の振動感知型の構成要素(例えば、光学的ペイロード)へ伝達するのを最小にするように用いられる。宇宙船制振システムは、一般に、マルチポイント取付け構成で宇宙船のペイロードと宇宙船本体の間に配置されるいくつかの個々の振動絶縁装置(典型的には、3つから8つの制振装置)を含む。
【0004】
[0004]宇宙船制振システムは、しばしば、宇宙船とペイロード支持構造の間に制振装置と並列に配置されるロンチロック組立体も備える。宇宙船の打ち上げ中、ロンチロック組立体は、宇宙船と一定の空間関係でペイロード支持構造を保持する。そのようにする際、ロンチロック組立体は、さもなければ生じ得る損傷から制振装置を保護するために制振装置の周りに宇宙船の打ち上げ中に生じるかなりの慣性または衝撃荷重を分路する。打ち上げ後の所望の時点でロンチロック組立体が作動されて、ペイロード支持構造と宇宙船の間の相対運動が可能である。例えば、宇宙船制振システムがいくつかの1DOF、上記のタイプの3つのパラメータの制振装置を含む実施では、制振装置は、打ち上げ前にロンチロック組立体による圧縮状態で保持されてもよい。制振装置は、その圧縮段階で、予荷重され、設計または自由な長さの位置に向かって付勢される。ロンチロック組立体が作動されると、以下に述べるように、制振装置は、軸方向に設計位置へ拡大し、ペイロード支持構造を宇宙船本体から外側へ変位させる。制振装置によって支持されまたは制振装置「上で浮いている」ペイロード支持構造は、次に、宇宙船に対して移動することができ、複数の制振装置が、ペイロード支持構造と宇宙船本体の間で伝達される振動を抑制するように共同で働く。
【0005】
[0005]各ロンチロック組立体は、ペイロード支持構造および宇宙船にそれぞれ固定される第1の取付け部および第2の取付け部を含む。ボルト伸縮タイプのロンチロック組立体では、例えば、特殊なボルトが、通常、第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合で保持する。ロンチロック組立体が作動すると、アクチュエータは、スナップ留めまたは破壊なしでボルトを伸ばしてボルトの軸方向長さを増大させ、締め付け係合から第1の取付け部および第2の取付け部を解除し、それによってそれらの間に軸方向間隙を生じさせ、上述のように、制振装置が、軸方向に拡大して設計位置になることを可能にする。そのようなボルト伸縮ロンチロック組立体および他のタイプの解除可能な締め付け機構を含むロンチロック組立体は、「Launch Lock Assemblies including Axial Gap Amplification Devices and Spacecraft Isolation Systems Including the Same(軸方向間隙増幅デバイスおよびそれを含む宇宙船制振システムを含むロンチロック組立体)」と題され、本出願の譲受人であるHoneywell International Inc.によって2012年2月28日に出願された、同時係属の出願第13/406647号において説明される少なくとも1つの軸方向間隙増幅デバイスを含んでもよく、それによって第1の取付け部と第2の取付け部の間に生じる軸方向間隙の長さを、ボルトまたは他の軸方向に伸縮可能な部材の伸縮に直接帰するものを超えて増大させる。制振装置に十分な可動域をもたらす空隙の軸方向長さを最大にし、マルチポイント制振システムのダンピング性能を最適化することが一般に望まれる。作り出される軸方向間隙は、第1の取付け部の片側だけにある(すなわち、片側の空隙)。制振装置によって与えられる予荷重は、第1の取付け部を片側の空隙の中央に移動させ、第1の取付け部の両側に必要な軸方向の隙間をもたらす。ロンチロック組立体が作動するときに第1の取付け部を片側の空隙に移動させることによって、予荷重の要求をより高いものさせる。したがって、軸方向間隙増幅デバイスによって与えられる軸方向間隙の長さの増大は、そこに適用できる予荷重によって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】出願第13/406647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]したがって、予荷重を減少させたロンチロック組立体、およびそれを含む宇宙船制振システムを提供することが望まれている。長さの増大が予荷重の力によって制限されることなく、第1の取付け部と第2の取付け部の間に生じる軸方向間隙の長さを、ボルトまたは他の軸方向に伸縮可能な部材の伸縮に直接帰するものを超えて増大させる予荷重を減少させたロンチロック組立体を提供することも望まれている。さらに、本発明の他の望ましい特性および特徴は、本発明の添付図面およびこの背景技術と併せてみることで、後続の本発明の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]予荷重を減少させたロンチロック組立体が提供される。例示的な一実施形態によれば、ロンチロック組立体は、第1の取付け部および第2の取付け部と、解除可能な締め付けデバイスと、一対の後退組立体とを備える。解除可能な締め付けデバイスは、第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合で通常保持し、作動されると第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合から解除する。各後退組立体が、相互作用する歯付き面を有する一対の歯付き部材を備える。各後退組立体の一方の歯付き部材が、他方の後退組立体の他方の1つの歯付き部材に対して反対方向に移動するようになされて、解除可能な締め付けデバイスが作動されるときに第1の取付け部のそれぞれの側に軸方向間隙を画定する。
【0009】
[0008]本発明のさらに別の例示的な実施形態による予荷重を減少させたロンチロック組立体が提供される。ロンチロック組立体は、第1の取付け部および第2の取付け部と、一対の後退組立体と、解除可能な締め付けデバイスとを備える。各後退組立体は、第1の横歯リング、および第1の横歯リングに隣接した第2の横歯リングを備える。各後退組立体の第2の横歯リングは、第2の横歯リングの歯が、同じ後退組立体の第1の横歯リングの歯に先端と先端で係合する軸方向拡大位置に通常はある。各後退組立体の第2の横歯リングは、第2の横歯リングの歯が、同じ後退組立体の第1の横歯リングの歯に先端と根本で係合する軸方向に崩れた位置に向かって付勢されて、それぞれの各後退組立体の軸方向長さを減少させる。解除可能な締め付けデバイスは、第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合で通常保持し、作動されると第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合から解除して、各後退組立体の第2の横歯リングが軸方向に崩れた位置に移動することを可能にし、第1の取付け部のそれぞれの側に軸方向間隙を形成する。
【0010】
[0009]本発明のさらに別の例示的な実施形態による宇宙船とペイロードの間の展開のための宇宙船制振システムが提供される。宇宙船制振システムは、マルチポイントの構成で宇宙船とペイロードの間に配設される複数の制振装置と、宇宙船とペイロードの間に複数の制振装置と並列に結合される少なくとも1つのロンチロック組立体とを備える。ロンチロック組立体は、第1の取付け部および第2の取付け部と、解除可能な締め付けデバイスと、一対の後退組立体とを備える。解除可能な締め付けデバイスは、第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合で通常保持し、作動されると第1の取付け部および第2の取付け部を締め付け係合から解除する。各後退組立体は、相互作用する歯付き面を有する一対の歯付き部材を備える。各後退組立体の一方の歯付き部材が、他方の後退組立体の他方の1つの歯付き部材に対して反対方向に移動するようになされて、解除可能な締め付けデバイスが作動されるときに第1の取付け部のそれぞれの側に軸方向間隙を画定する。
【0011】
[0010]以下、本発明の少なくとも1つの例を、以下の図とともに説明する。同じ番号は、同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0011]本発明の例示的な実施形態により示されるようないくつかのロンチロック組立体をロック位置(ロンチ前)に含む例示的な宇宙船制振システムの簡略化した概略図である。
図2】本発明の例示的な実施形態により示されるようないくつかのロンチロック組立体を非ロック(制振)位置に含む例示的な宇宙船制振システムの簡略化した概略図である。
図3】[0012]図1および図2に示されると共に、本発明の例示的な非限定の実施形態により示されるロンチロック組立体の1つまたは全部としての使用に適したロック位置におけるロンチロック組立体の側面図である。
図4図1および図2に示されると共に、本発明の例示的な非限定の実施形態により示されるロンチロック組立体の1つまたは全部としての使用に適したロック位置におけるロンチロック組立体の上面図である。
図5】[0013]図3および図4に示されると共に、図4に特定される線5−5に沿った、第1の取付け部および第2の取付け部を含むロンチロック組立体の断面図である。
図6】[0014]図3図5に示される例示的なロンチロック組立体内に含まれ得る解除可能な締め付けデバイスおよび第1の上側後退組立体の等角図である。
図7】[0015]図6に示される解除可能な締め付けデバイスおよび第1の上側後退組立体の底面図である。
図8】[0016]図6および図7に示される第1の上側後退組立体内に含まれ得る第2の横歯リングの等角図である。
図9】[0017]図3図5に示される例示的なロンチロック組立体内に含まれ得る第2の下側後退組立体および第2の取付け部の等角図である。
図10】[0018]図9に示される第2の下側後退組立体の上面図である。
図11A】[0019](単一ユニットの部品として下側取付け部と一体に形成されるように示される)第1の横歯リングの等角図である。
図11B図9および図10に示される第2の下側後退組立体を一緒に形成する第2の横歯リングの等角図である。
図12】[0020]図3図5に示される例示的なロンチロック組立体内に含まれ得る軸方向に伸縮可能なボルトの等角図である。
図13】[0021]図3図5に示される例示的なロンチロック組立体内に含まれ得ると共に、図12に示される軸方向に伸縮可能なボルトの周りに配設される形状記憶合金のボルト伸縮アクチュエータの等角図である。
図14】[0022]非ロック位置における図3図5に示されるロンチロック組立体の側面図である。
図15】[0023]図14に示されるロンチロック組立体の縦断面図である。
図16】[0024]図14および図15のロンチロック組立体内に含まれる第2の下側後退組立体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0025]以下の詳細な説明は、本来例示的なものに過ぎず、本発明または本出願、および本発明の用途を限定しようとするものではない。さらに、前述の背景技術または後述の詳細な説明に示される理論によってとらわれるものではない。
【0014】
[0026]図1および図2は、本発明の例示的な実施形態により示されるように、ロック(ロンチ前)位置および非ロック(設計、制振)位置それぞれにおける宇宙船制振システム20の簡略化した概略図である。図2に示される非ロック位置にあるとき、宇宙船制振システム20は、ペイロード22と宇宙母船24の間の振動の伝達を減少させる。示した例では、制振システム20は、複数の1自由度すなわち軸方向減衰式の振動絶縁装置26を含み、これらの振動絶縁装置26は、ペイロード22に機械的に結合され、ペイロード22を共同で支持する。より具体的には、振動絶縁装置26は、ペイロード22内に含まれる1つまたは複数の構成要素を支持するペイロード支持構造28に枢動可能に結合することができる。制振装置26の対向する端部は、枢動タイプの接続をもたらすことができる複数の取付け用固定金具32を利用する宇宙船マウント用インタフェース30に取り付けられる。この特定の例では、制振システム20は、8つの振動絶縁装置26を含み、8つの振動絶縁装置26は、6自由度の高忠実度ダンピングをもたらすように8本足の取付け構成で配置される。しかし、さらなる実施形態では、制振システム20は、より少ない個数またはより多くの個数の制振装置を含んでもよく、これらの制振装置は、他の取付け構成で配置されてもよい。例えば、代替の実施形態では、制振システム20は、6脚のまたはスチュアートプラットフォーム型の取付け構成で配置される6つの振動絶縁装置26を含むことができる。必ずではないが、好ましくは、制振装置26は、3つのパラメータの制振装置である。連続結合された二次ばねおよびダンパーに平行な一次ばねとして機械的に挙動する3つのパラメータの制振装置を用いる宇宙船制振システムは、他のタイプの受動的な制振装置を用いる宇宙船制振システム(例えば、粘弾性の制振装置)に比べて、(一般的に「ジッター」と呼ばれる)高周波数の起振力に関して優れた減衰をもたらす。3つのパラメータの制振装置は、単一の長手方向軸に沿ったダンピングをもたらす1自由度(「DOF」)のデバイスとして実施されることが有利である。1DOFの一例である、3つのパラメータの制振装置は、Morristown、New Jerseyに現在本社が置かれているHoneywell,Inc.によって開発および商業販売されるD−STRUT(登録商標)制振装置である。
【0015】
[0027]ペイロード22は、光学的ペイロードまたはセンサ一式などのもう1つの振動感知型の構成要素を含んでもよく、制振システム20は、宇宙船24上の1つまたは複数の振動放出源から、宇宙船マウント用インタフェース30を通じ、ペイロード支持構造28を通じてペイロード22への振動の伝達を最小にする役割を果たすことができる。そのような場合、ペイロード支持構造28は、炭素繊維などの軽量の高強度材料から作製される光学台の形態を想定することができる。他の実施形態では、ペイロード22は、1つまたは複数の振動放出デバイスを含んでもよく、制振システム20は、ペイロード22から宇宙船24およびそこに展開した任意の振動感知型の構成要素への振動の伝達を減少させる役割を果たすことができ、例えば、ペイロード22は、宇宙船24の姿勢調整に利用される1つまたは複数の回転デバイス、例えば、1つまたは複数のリアクションホイールまたはコントロールモーメントジャイロスコープなどを含んでもよい。例えば、一実施形態では、ペイロード22は、いくつかのリアクションホイールを含むリアクションホイールアレイの形態を想定し、ペイロード支持構造28は、リアクションホイールが円周方向に間隔をあけたアレイで取り付けられる支持プラットフォームの形態を想定する。
【0016】
[0028]制振装置26およびそれらに関連した取付け金具に加えて、宇宙船制振システム20は、いくつかのロンチロック組立体34をさらに備え、いくつかのロンチロック組立体34は、制振装置26と並列にペイロード支持構造28と宇宙船マウント用インタフェース30の間に機械的または動力学的に結合される。図1および図2に示されるように、制振システム20は、4つのロンチロック組立体34を備えてもよく、4つのロンチロック組立体34は、ペイロード支持構造28の外側部分の辺りに円周方向に間隔をおいて配置され、例えば、ペイロード支持構造28がほぼ長方形の平面形状を有する実施形態では、ロンチロック組立体34は、構造28の4つの隅にまたは4つの隅の近くに配置されてもよい。しかし、ロンチロック組立体34の個数および配置は、様々な実施形態の間で必然的に変わるものであり、典型的には、ロンチロック組立体34は、ロックした構成にあるときに所望のペイロードの固有振動数を与えるように間隔をおいて配置されることが理解されよう。ロンチロック組立体34は、それぞれが(「トップマウント」とも呼ばれる)第1の取付け部36、および(「基部」とも呼ばれる)第2の取付け部38を備えるように、図1および図2に一般的に示される。前述の通り、取付け部36および38が締め付け係合にあるとき、図1に示されるように、ロンチロック組立体34は、宇宙船24に対するペイロード支持構造28およびペイロード22の空間位置を固定またはロックする。したがって、ロック位置(図1)では、ロンチロック組立体34は、制振装置26を囲んで衝撃荷重を効果的に分路するための硬質で構造的に堅固な力伝達経路を設けて、宇宙船の打ち上げ中に制振装置26を損傷から保護する。
【0017】
[0029]宇宙船の打ち上げの後で生じる展開の所望の時間で、ロンチロック組立体34を作動して、締め付け係合から取付け部36および38を解除し、取付け部同士の間に軸方向間隙を作り出す。制振装置26は、ペイロード支持構造28(または、より一般的にはペイロード22)と宇宙船24の間の相対運動とともに圧縮および拡大することができる。ロンチロック組立体34の1つまたは全部としての使用に適した予荷重を減少させたロンチロック組立体の一例は、図3図16とともに以下詳細に説明される。
【0018】
[0030]図3および図4はそれぞれ、ロック位置における、本発明の例示的な非限定の実施形態により示される、ロンチロック組立体42の側面図および上面図である。図5は、図4に特定される線5−5に沿って得たロンチロック組立体42の断面図である。説明の便宜のために、各図に示されるロンチロック組立体の向きに対応する「上側」、「下側」などの方向に関する用語が、以下の説明で利用される。しかし、ロンチロック組立体42の向きは、三次元空間内で変わり得るものであり、したがって大体任意であることを理解されたい。
【0019】
[0031]図3および図5を参照すると、ロンチロック組立体42は、(本明細書において「第1の取付け部」とも呼ばれる)上側取付け部44と、(本明細書において「第2の取付け部」とも呼ばれる)下側取付け部46とを備える。宇宙船制振システム20(図1および図2)などのマルチポイント制振システム内に装着されるとき、ロンチロック組立体42の第1の端部は、ペイロードに間接的または直接的に取り付けられ、ロンチロック組立体42の第2の反対側の端部は、宇宙船本体に間接的または直接的に取り付けられる。例えば、上側取付け部44の外側端部(すなわち、図3および図5中の取付け部44の上端)は、図1および図2に示されるペイロード支持構造28に取り付けられてもよく、一方、下側取付け部46の外側端部(すなわち、図3および図5中の取付け部46の下端)は、図1および図2に示される宇宙船マウント用インタフェース30に取り付けられる。反対に、取付け部44の外側端部は、宇宙船マウント用インタフェース30(図1および図2)に取り付けられてもよく、一方、取付け部46の外側端部は、ペイロード支持構造28(図1および図2)に取り付けられる。複数のボルトまたは他のそのような留め具(図示せず)を利用する取付けを容易にするために、取付け部44および46の外側端部は、複数の留め具の開口50を内部に有する周方向フランジ48を含むようにそれぞれ製造されてもよい。
【0020】
[0032]示した例では、図5を参照することによって最も容易に理解できるように、取付け部44および46は、ほぼ管状または環状の幾何学的形状をそれぞれ有する。具体的には、上側取付け部44は、ほぼ管状の本体を有し、それを貫いてほぼ円筒形の内側ボアまたは空洞52が延びる。内側空洞52は、取付け部44を完全に通じて延び、取付け部44の両側の端部は、両方とも開口であるようになっている。下側取付け部46の管状の本体は、同様に、ほぼ円筒形の内側ボアまたは空洞54を画定するが、内側空洞54は、下側取付け部46を完全に通じて延びず、代わりに、取付け部46の取付けフランジ48の近くに設けられる下側末端壁56によって囲まれる。したがって、慨して言えば、下側取付け部46は、開口上端および閉鎖下端を有する。言い方を変えれば、上側取付け部44の開口下端および下側取付け部46の開口上端は、(以下に説明する)ロンチロック組立体42の様々な他の構成要素を格納するロンチロック組立体42内で中央空洞を共同で画定する。取付け部44および46はそれぞれ、アルミニウムベースの合金などの軽量の金属または合金から機械加工された単一の構成要素として製造されることが好ましい。この例にもかかわらず、取付け部44および46は、様々な他の材料から形成されてもよく、代替の実施形態では、複数の離散した構造的構成要素からそれぞれ組み立てられてもよい。加えて、上側取付け部44および下側取付け部46の寸法および幾何学的形状は変わってもよく、取付け部44および46は、代替の実施形態におけるロンチロック組立体42内に含まれる他の構成要素の全てまたはいずれかを格納しなくてもよい。
【0021】
[0033]図5をさらに参照すると、取付け部44および46は、空洞52および54が軸方向に並べられるように、すなわち、ロンチロック組立体42の長手方向軸に沿ってとられるように、同軸の構成で配置される。ロンチロック組立体42が、図3および図5に示されるロック位置にあるとき、取付け部44および46は、以下に述べるように、横歯リング200によって分離される。上側取付け部44は、上側取付け部44の下端部分の内部の周りで内部空洞52内に設けられる内側環状突起部62によって少なくとも一部画定される接触面58を含む。下側取付け部46(より具体的には横歯リング198)は、以下に述べる目的のために、周囲に設けられると共に下側取付け部の上端部分から上側取付け部に向かって軸方向に延びる(図9および図11Aに最もよく示される)隆起した環状リム45によって画定される接触面60を含む。以下に述べるように、下側取付け部46の上端部分は、横歯リング198を備える。
【0022】
[0034]取付け部44および46に加えて、ロンチロック組立体42は、(図5および図6に示される)解除可能な締め付けデバイス64と、一対の後退組立体66(図5および図6)および166(図5および図9図10)とをさらに備える。一対の後退組立体の第1の上側後退組立体66は、第1の横歯リング98および第2の横歯リング100を備える。第2の下側後退組立体166は、第1の横歯リング198および第2の横歯リング200を備える(やはり、用語「上側」および「下側」が、添付図面に示される例示的な実施形態を説明する便利な手段として非限定の意味で利用される)。解除可能な締め付けデバイス64は、任意の形態を想定することができ、所望の展開時間まで取付け部44および46を締め付け係合で保持するのに適した任意の個数の構成要素を含んでもよい。解除可能な締め付けデバイス64は、比較的軽量であり、コンパクトであり、および信頼できることが理想的である。解除可能な締め付けデバイス64は、操作によって全くかほとんど衝撃力を発生させない。この目的を達成するために、非限定の例によって、解除可能な締め付けデバイス64は、少なくとも3つの主構成要素、すなわち(i)(図4図6に示される)摺動締め付け部材68、(ii)(図4図5および図12に示される)軸方向に伸縮可能なボルト70などの軸方向に伸縮可能な構造的な1つまたは複数の要素、および(iii)(図13に示される)ボルト伸縮アクチュエータ72などの所望の展開時間で制御されたやり方で軸方向に伸縮可能な構造的な要素を伸ばすのに適したアクチュエータを含んでもよい。今度は、以下にこれらの構成要素の各々を説明する。
【0023】
[0035]図6は、摺動締め付け部材68をより詳細に示す、解除可能な締め付けデバイス64および第1の上側後退組立体66の等角図である。図5および図6を一緒に参照すると、摺動締め付け部材68は、細長い管状の本体74と、径方向に拡大した円筒形のヘッドまたはキャップ76とを含む。円筒形のキャップ76は、管状の本体74の上端に取り付けられ、単一の機械加工部品としてそれと一体に形成されてもよい。管状の本体74は、キャップ76から下向きに下側取付け部46に向かって空洞54の中に軸方向に延びる。管状の本体74は、空洞54内で軸方向に摺動することができ、締め付け部材68が、下側取付け部46に対して軸方向に摺動できるようになっている。管状の本体74は、摺動締め付け部材68の摺動移動を案内するために、空洞54の内径および幾何学的形状にほぼ共形の外径および幾何学的形状をそれぞれ有するように製造されることが有利である。下側取付け部46に対する管状の本体74の回転、したがって下側取付け部46に対する摺動締め付け部材68の回転は、1つまたは複数の回転防止特徴によって防がれる。例えば、図6に示されるように、管状の本体74は、締め付け部材68が下側取付け部46に対して軸方向に摺動するときに空洞54と境界を接する内側環状表面に形成される対になる長手方向の鍵溝(図示せず)内で移動する鍵78を含むように製造されてもよい。
【0024】
[0036]図5および図12を再び参照すると、軸方向に伸縮可能なボルト70は、摺動締め付け部材68のキャップ76および下側取付け部46の末端壁56を通じて設けられた軸方向に延びる複数の開口を通じて延びる。軸方向に伸縮可能なボルト70は、ロンチロック組立体42の長手方向軸にほぼ平行な軸に沿って延び、好ましくはロンチロック組立体42の長手方向軸とほぼ同一直線上に延びる。軸方向に伸縮可能なボルト70の上端は、径方向に拡大したヘッド80で終端し、ヘッド80は、内部に設けられた中央開口の近くのキャップ76の上面に当接する。図5に概して示されるように、ナット82は、ボルト70の下端に螺合され、末端壁56内に設けられた円筒形のカウンターボア内に受け入れられ得る。
【0025】
[0037]軸方向に伸縮可能なボルト70は、かなりの衝撃荷重および他の外乱の力が、宇宙船の打ち上げまたは輸送中に発生した場合に取付け部44および46を締め付け係合で保持するのに十分な引張り強度を有するように選択される。軸方向に伸縮可能なボルト70は、スナップ留めまたは破壊なしでボルト70が延びて所望の長さの増加をもたらすように、所定の張力を受けるときをもたらすように設計もされる。ボルト70の引張り強度は、ボルトの軸部の外径およびボルト70が製造される材料を変えることによって制御することができる。一実施形態では、非限定の例によって、ボルト70は、A286などの合金鋼から製造される。加えて、ボルト70の張り強度は、制御されたやり方でボルトの軸部の外径を減少させるように、(一般に「ネッキング」と呼ばれる)ボルトの軸部の中間部分の周囲から材料を取り除くことによって微調整されてもよい。ボルト70の外径が減少しており、またはボルト70が「ステップダウンした」中間の部分を有する、結果として得られる構造が、86で図5に示される。軸方向に伸縮可能なボルト70は、図12にさらに示される。
【0026】
[0038]様々な異なるデバイスが、そのようなデバイスが、ボルト70を伸ばし、以下に説明するやり方で締め付け係合から取付け部44および46を解除するために所望の展開時間で確実に作動するのであれば、ボルト伸縮アクチュエータ72として利用できる。しかし、ボルト伸縮アクチュエータ72は、比較的高い出力の力を小さい軽量なパッケージに与えることができることが一般的に好ましい。少なくともこのために、ボルト伸縮アクチュエータ72は、形状記憶合金(「SMA:shape memory alloy」)デバイスであり得る。図3図5に示される例示的な実施形態では、図13により詳細に示されるように、ボルト伸縮アクチュエータ72は、(図13中に特定される)SMAコア88と、回路ヒータ90とを備え、回路ヒータ90は、SMAコア88を取り囲み、または巻きつけられる。SMAコア88は、Nitinol(登録商標)または別の知られた形状記憶合金から製造されてもよい。SMAコア88は、ほぼ管状の本体を有し、内部を通じて中央チャンネルまたはボアが延びる。SMAコア88は、コア88の長手方向のチャンネルを貫通する軸方向に伸縮可能なボルト70の周りに配設される。SMAコア88が加熱される効率を最適化するために、SMAコア88および回路ヒータ90は、断熱で封入されてもよい。加えて、図5に示されるように、断熱ワッシャ92が、下側取付け部46の末端壁56とボルト伸縮アクチュエータ72の間に設けられてもよい。
【0027】
[0039]作動前、SMAコア88は、軸方向に圧縮した状態にある。ヒータ90によって所定の転移温度まで加熱されると、SMAコア88は、軸方向に拡大して摺動締め付け部材68を貫く軸方向に伸縮可能なボルト70に拡大力を及ぼす。ボルト伸縮アクチュエータ72の出力の力は、ボルト70を伸ばし、所定の量だけボルト70の長さを増大させるのに十分延び、例えば、非限定の例として、SMAコア88は、作動されると約1.37mm(0.054インチ)だけボルト70を伸ばすことができる。回路ヒータ90は、(図3に示される)下側取付け部46の環状の側壁に設けられた窓96を通じて延びる有線接続によってヒータ90に電気的に接続されたコントローラ(図示せず)によって所望の作動時間で通電することができる。波形ばね94(図5)などの弾性要素が、空洞54内にさらに設けられ、絶縁ワッシャ92と末端壁56の間で圧縮されて、加熱および続く冷却およびSMAコア88の軸方向の収縮後に、摺動締め付け部材68のキャップ76に対してボルト伸縮アクチュエータ72を保つ。
【0028】
[0040]次に、一対の後退組立体66および166を、図3図16に示されるロンチロック組立体42の例示的な実施形態とともに説明する。一対の後退組立体は、上記のタイプのボルト伸縮締め付けデバイスとともに使用することに特に良く適しているが、一対の後退組立体の実施形態は、他のタイプの解除可能な締め付けデバイスを同様に用いて利用することもできる。前述の通り、一対の後退組立体は、第1の上側後退組立体66と、第2の下側後退組立体166とを備える(やはり、用語「上側」および「下側」が、添付図面に示される例示的な実施形態を説明する便利な手段として非限定の意味で利用される)。 後退組立体66および166の各々は、軸方向拡大位置に通常ある一対の2つの歯または溝付き摺動部材(例えば、横歯リング)を備え、これらは、軸方向に崩れた位置に向かって付勢され、解除可能な締め付けデバイスが作動するまで摺動部材を軸方向拡大位置に保持するように予荷重される。用語「横歯リング」または「歯付き部材」は、本明細書に用いられる場合、複数の歯、溝付き構造(castellations)、または同様の環状構造の本体からほぼ軸方向に延びる突出部を有するほぼ環状構造を示す。
【0029】
[0041]上述の通り、図5および図6に最もよく示されるように、第1の上側後退組立体66は、第1の一対の横歯リングを備える。第1の一対の横歯リングは、相互作用する歯付き面を有する第1の横歯リング98および第2の横歯リング100を備える。図6に示されるように、後退組立体66の第1の横歯リング98は、環状体102を備えてもよく、この環状体102から複数のブロック状の歯104が軸方向に、第2の横歯リング100に向かって延びる。同様に、横歯リング100は、環状体106を備えてもよく、環状体106から複数のブロック状の歯108が軸方向に、第1の横歯リング98に向かって延びる。横歯リング98および100は、解除可能な締め付けデバイス64の周りにそれぞれ延び、特に摺動締め付け部材68の管状の本体74の周りに延びる。第1の横歯リング98の環状体102は、図5に示されるように単一ユニットの部品として摺動締め付け部材68のキャップ76と一体に形成されてもよい。代替として、第1の横歯リング98の環状体およびキャップ76は、図6に示されるように、分離していてもよい。横歯リング98の環状体102は、そこに溶接もしくははんだ付けされる、または他の方法でそこに固定される複数の留め具(図示せず)を利用して、摺動締め付け部材68のキャップ76に取り付けられてもよい。
【0030】
[0042]第1の上側後退組立体66の第1の横歯リング98は、摺動締め付け部材68に対して回転可能に固定される。対照的に、第2の横歯リング100は、摺動締め付け部材68および第1の横歯リング98に対して回転することができる。より具体的には、第2の横歯リング100は、図5に示されるロック位置から図15に示されると共に以下より十分に説明される非ロック位置に回転することもできる。第2の横歯リング100は、第1の上側後退組立体の第1の横歯リング98に向かって軸方向に摺動することができる。第1の上側後退組立体の第2の横歯リング100は、通常、ロック位置(図3から図7)にあり、(図6に最もよく見られる)複数の引張ばね110によって非ロック位置に向かって付勢される。引張ばね110は、摺動締め付け部材68および第1の上側後退組立体66の底面図である図7にさらに示される。図6および図7に見られるように、引張ばね110は、第2の横歯リング100の環状体106からほぼ下向きに76から離れるように延びるいくつかの鉤付きの軸方向突出部112と、摺動締め付け部材68のキャップ76の下側に固定される複数の取付けフランジ114との間で伸ばされる。引張ばね110は、非ロック位置に向かって第2の横歯リング100を回転することが促されるとねじり付勢を第2の横歯リング100に及ぼす。さらに、第2の横歯リング100が第1の横歯リング98に向かって摺動移動することが促されると、それらの角度の付いた性質により、引張ばね110は、軸方向の付勢を第2の横歯リング100にも及ぼす。この例にもかかわらず、第2の横歯リング100は、代替の実施形態において、1つまたは複数のねじりばねまたはトーションバーなどの他の手段を利用して付勢してもよい。非ロック位置(図15)から離れる方向に第2の横歯リング100の回転し過ぎを防ぐために、ハード止めの特徴が、歯108の1つまたは複数に設けられてもよい。例えば、制振時の第2の横歯リング100を示す図8に示されるように、第2の横歯リング100の各歯108は、非ロック位置を超えて回転し過ぎるのを防ぐ小さい軸方向のステップ116を含むように機械加工してもまたは他の方法で製作してもよい。
【0031】
[0043]再び図5を参照し、次に図9から図11Bを参照すると、第2の下側後退組立体166(やはり、用語「上側」および「下側」が、添付図面に示される例示的な実施形態を説明する便利な手段として非限定の意味で利用される)は、第2の一対の横歯リング198および200を備える。第2の一対の横歯リングは、相互作用する歯付き面を有する第1の横歯リング198および第2の横歯リング200を備える。図11Aに示されるように、第1の横歯リング198は、単一ユニットの部品として下側取付け部46に一体に形成されてもよい。第1の横歯リング198は、複数のブロック状の歯204が環状リム45から軸方向に第2の横歯リング200に向かって延びる環状リム45を備える。
【0032】
[0044]同様に、横歯リング200は、複数のブロック状の歯208が環状体206から軸方向に第1の横歯リング198に向かって延びる環状体206を備えてもよい。図5および図11Bに最もよく示されるように(図11Bは、制振時の横歯リング200を示す)、横歯リング200は、斜めに対向した面取りした接触面59および61を備える。斜めに対向した面取りした接触面は、互いに斜めに対向する第1の面取りした接触面59および第2の面取りした接触面61を備える。横歯リング200にある斜めに対向した面取りした面は、取付け部が締め付け係合にあり、ロンチロック組立体がロック位置にあるときに、取付け部44および46との裁頭円錐形の境界面を作り出して、せん断荷重に作用する。より具体的には、第1の面取りした接触面59は、横歯リング200の上側内部縁の周りに設けられ、上側取付け部44との裁頭円錐形の境界面をもたらす。第2の面取りした接触面61は、横歯リング200の下側外部縁の周りに設けられ、下側取付け部46との裁頭円錐形の境界面をもたらす。
【0033】
[0045]さらに図5を参照すると、第1の環状の締め付け面(丸く囲まれた領域84)は、上側取付け部44の内部の周りに設けられる。第1の環状の締め付け面84は、上側取付け部44内に形成されると共に、横歯リング200の第1の面取りした接触面59に対向して位置する内側環状突起部62の下側接触面58によって画定されてもよい。図3および図5に示されるロック位置では、取付け部44の下端における接触面58は、横歯リング200の第1の面取りした接触面59に係合する。取付け部46の上端における接触面60(図11A)は、横歯リング200の第2の面取りした接触面61に係合して、第2の環状の締め付け面(丸く囲まれた領域85)を画定する。より具体的には、上側取付け部44は、上側取付け部44の下端部分の内部の周りで、内部空洞52内に設けられた内側環状突起部62を備える。内側環状突起部62は、第1の接触面58を画定し、これは、ロンチロック組立体42がロック位置にあるときに第2の横歯リング200に設けられた第1の面取りした接触面59に着座する。第2の接触面60は、下側取付け部46の上端部分(より具体的には、横歯リング198)の周りに設けられ、そこから上側取付け部44に向かって軸方向に延びる環状リム45によって画定される。第2の横歯リング200に設けられる第2の面取りした接触面61は、ロンチロック組立体がロック位置にあるときに、下側取付け部46(より具体的には、横歯リング198)に設けられた第2の接触面に着座する。好ましくは、協働する接触面58/59および60/61は、それぞれ、ほぼ環状の幾何学的形状を有する。示した例では、上述の通り、接触面59および61は、裁頭円錐形の幾何学的形状を有するようにそれぞれ作製されて、径方向に並ぶことになり、ボルトの軸に垂直なせん断荷重に作用する。この構造的な構成により、収束する軸方向の予荷重の力は、取付け部44および46に及ぼされて、協働する接触面58および59、ならびに協働する接触面60および61を締め付け係合でそれぞれ維持する。横歯リング200の上側内側部分および下側外側部分が、横歯リング200にある斜めに対向した面取りした接触面59および61として説明および図示されるが、斜めに対向した面取りした接触面は、取付け部44の内側環状突出部および取付け部46の環状リム45の幾何学的形状の対応する調整によって、横歯リング200の他の部分にあってもよいことが理解されよう。
【0034】
[0046]ロンチロック組立体42の組立中、ナット82は、所定のトルク荷重に対してきつく締め付けられ、ナット82が、摺動締め付け部材68の方向に軸方向の予荷重の力を取付け部46に及ぼすようになっている。また、ナット82をきつく締め付ける結果として、ボルトヘッド80は、軸方向の予荷重の力を摺動締め付け部材68に下側取付け部46の方向に及ぼす。この軸方向の予荷重の力は、上側取付け部44に伝達される。以下に述べるように、収束する軸方向の予荷重の力は、取付け部44および46に及ぼされて取付け部を締め付け係合で保持する。
【0035】
[0047]図5をさらに参照すると、第1の横歯リング198は、摺動締め付け部材68に対して回転可能に固定される。対照的に、第2の横歯リング200は、摺動締め付け部材68および対応する第1の横歯リング198に対して回転することができる。より具体的には、第2の横歯リング200は、図5に示されるロック位置から図15に示される非ロック位置に回転することができ、以下より十分に説明がなされる。第2の横歯リング200は、非ロック位置(図15)に移動するときに第1の横歯リング198に向かって軸方向に摺動することができて、第2の下側後退組立体が、収縮するまたは第2の軸方向に崩れることが可能となり、それによって第1の取付け部の他方の側に軸方向の隙間を与える。第2の横歯リング200は、ロック位置(図5)に通常あり、複数の引張ばね210(図9)によって非ロック位置に向かって付勢される。引張ばね210は、第2の下側後退組立体166の上面図である図10にさらに示される。図9および図10に見られるように、引張ばね210は、いくつかの鉤付きの軸方向突出部212の間で伸縮され、これは、第2の横歯リング200の環状体206からほぼ下向きに横歯リング198に向かって延びる。引張ばね210は、非ロック位置(図15)に向かって第2の横歯リング200の回転を促すときに、ねじり付勢を第2の横歯リング200に及ぼす。さらに、それらの角度付きの性質により、引張ばね210は、第2の横歯リング200が第1の横歯リング198に向かってスライド移動を促すときに、軸方向の付勢を第2の横歯リング200にも及ぼす。この例にもかかわらず、第2の横歯リング200は、代替の実施形態では、1つまたは複数のねじりばねまたはトーションバーなどの他の手段を利用して付勢することができる。非ロック位置(図13)から離れる方向に第2の横歯リング200が回り過ぎるのを防ぐために、ハード止めの特徴は、歯208の1つまたは複数に設けられてもよい。例えば、制振時の第2の横歯リング200を示す図11Bに示されるように、第2の横歯リング200の各歯208は、非ロック位置を超えて回り過ぎるのを防ぐ小さい軸方向のステップ216を含むように機械加工または他の方法で製造されてもよい。上述の構成の結果として、各後退組立体の第2の横歯リングは、他方の後退組立体の第2の横歯リングに対して反対方向に回転および並進運動するようになされて、以下に述べるように解除可能な締め付けデバイスが作動されるときに第1の取付け部のそれぞれの側に軸方向間隙を画定する。
【0036】
[0048]図5に示されるロック位置では、後退組立体66および166の各々は、ロック位置にある。ロック位置では、第2の横歯リング100の歯は、第1の横歯リング98の歯に先端と先端で係合し、第2の横歯リング200の歯は、第1の横歯リング198の歯に先端と先端で係合し、第1の後退組立体と第2の後退組立体の両方が、軸方向に拡大した位置にあるようになっている。第2の横歯リング100が引張ばね110によって非ロック位置に向かって付勢され、引張ばね210によって図12に示されるように第2の横歯リング200が非ロック位置に向かって付勢され、横歯リング100と200の両方は、摩擦力によって非ロック位置に回転することが防がれ、またはより具体的には、摺動締め付け部材68と環状の締め付け面84の間のその性質の点で、第1の上側後退組立体に及ぼされる軸方向の締め付け力によって回転することが防がれる。前述の通り、第1の取付け部44の内側環状突起部62は、ロンチロック組立体がロック位置にあるときに、第1の後退組立体の第2の横歯リング100と第2の横歯リング200の第1の裁頭円錐形の接触面59との間に捕らえられまたは保持される。
【0037】
[0049]所望の展開時間で、解除可能な締め付けデバイス64は、前述のやり方で作動され、すなわち、ボルト伸縮アクチュエータ72は、ボルト70を伸ばすように通電され、スライド移動締め付け部材68が、下側取付け部46から離れることを可能にする(例示した向きでは上向き)。上述のように、締め付け部材68のスライド移動は、予荷重された制振装置によって与えることができるように、外部付勢力によって駆動される。下側取付け部46から離れるような摺動締め付け部材68の移動、および具体的には径方向に拡大したキャップ76の移動は、締め付け係合から取付け部44および46を解除する。また、摺動締め付け部材68が下側取付け部46から軸方向に離れるように摺動するとき、ロック位置において第2の横歯リング100および200を先に保持した軸方向の締め付け力が取り除かれる。したがって、第2の横歯リング100および200は、引張ばね110および210のそれぞれの影響によって、反対方向に図14および図15に示される非ロック位置に回転および軸方向に摺動することが可能になる(解除可能な締め付けデバイス64の作動後の第2の下側後退組立体166の引張ばね210は、図16に示される)。
【0038】
[0050]図14および図15は、それぞれ、非ロック(設計)位置でのロンチロック組立体42の側面図および断面図である。非ロック位置では、第2の横歯リング100および200の歯は、それぞれの第1の横歯リングの歯と組み合いまたは噛み合う位置に回転し(すなわち、第1の横歯リング98および第2の横歯リング100の歯は、歯と根本の係合に回転し、第1の横歯リング198および第2の横歯リング200の歯は、歯と根本の係合に回転し)、それによって第1の上側後退組立体およぶ第2の下側後退組立体は軸方向に接触または潰れ、第1の後退組立体と第2の後退組立体の両方の有効な軸方向の高さは減じられる。このようにして、第1の上側後退組立体は、第1の上側後退組立体の第2の横歯リング100と取付け部44の内側環状突出部62の間で第1の軸方向間隙124(図15)の形態の軸方向の隙間を与える。第2の軸方向間隙125(図14および図15)の形態であるさらなる軸方向の隙間は、取付け部44の内側環状突出部62と第2の下側後退組立体の第2の横歯リング200の第1の面取りした接触面59間で、取付け部44の他方の側にも設けられる。したがって、解除可能な締め付けデバイスが作動すると、 各後退組立体66および166の第2の横歯リングは、第1の取付け部44から離れるように移動し、そのそれぞれの側に軸方向間隙を作り出し、第1の取付け部と第2の取付け部の間の軸方向の利用可能な移動の範囲を増大させる。上側取付け部44の位置は、ロンチロック組立体がロック位置にあろうが非ロック位置にあろうがそれに関わらず同じままであり、それによってロンチロック組立体を予荷重する必要を実質的に大いになくすことに留意されたい。図14図15に示されないが、ロンチロック組立体42は、1つまたは複数の柔らかい止めの特徴をさらに備えてもよく、それによってロック位置に回転するときに第2の横歯リング100および200のスナップ留めの作用によってもたらされる衝撃力を減少させる。第1の軸方向間隙および/または第2の軸方向間隙のサイズは、横歯リングの歯の高さを変えることによって調整することができることを理解されたい。例えば、軸方向間隙の一方または両方のサイズが増加の必要がある場合、横歯リングの歯がより高くされてもよい。
【0039】
[0051]以上から、例示的な実施形態によるロンチロック組立体は、マルチポイント宇宙船制振システム内の使用に適していることが理解されよう。軸方向間隙のサイズが、ロンチロック組立体の予荷重によって制限されないので、ロンチロック組立体は、全くかほとんど予荷重を必要としない。したがって、第1の取付け部と第2の取付け部の間の利用可能な軸方向の可動域は増加でき、それによって動作するためのより大きな変位の範囲をシステムの制振装置に与える。
【0040】
[0052]前述の詳細な説明の中で少なくとも1つの例示的な実施形態を示したが、膨大な数の変形例が存在することを理解されたい。例示的な実施形態または例示的な実施形態は、例に過ぎず、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定するものでは決してないことも理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に本発明の例示的な実施形態を実施するための便利な指針を与えるものであり、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に説明した機能および要素の構成に様々な変更がなされてもよいことを理解されたい。
【符号の説明】
【0041】
20 宇宙船制振システム、制振システム
22 ペイロード
24 宇宙母船、宇宙船
26 複数の1自由度または軸方向減衰式の振動絶縁装置、振動絶縁装置、制振装置
28 ペイロード支持構造
30 宇宙船マウント用インタフェース
32 複数の取り付け用固定金具
34 ロンチロック組立体
36 第1の取付け部
38 第2の取付け部
42 ロンチロック組立体
44 上側取付け部、取付け部、第1の取付け部
45 隆起した環状リム、環状リム
46 下側取付け部、取付け部
48 周方向フランジ、取付けフランジ
50 留め具の開口
52 ほぼ円筒形の内側ボアまたは空洞、内側空洞、空洞、内部空洞
54 ほぼ円筒形の内側ボアまたは空洞、内側空洞、空洞
56 下側末端壁、末端壁
58 接触面、下側接触面、第1の接触面
59 斜めに対向した面取りした接触面、第1の面取りした接触面、接触面
60 接触面、第2の接触面
61 斜めに対向した面取りした接触面、第2の面取りした接触面、接触面
62 内側環状突起部
64 解除可能な締め付けデバイス
66 後退組立体、第1の上側後退組立体
68 摺動締め付け部材、締め付け部材、スライド移動締め付け部材
70 軸方向に伸縮可能なボルト、ボルト
72 ボルト伸縮アクチュエータ
74 細長い管状の本体、管状の本体
76 径方向に拡大した円筒形のヘッドまたはキャップ、円筒形のキャップ、キャップ径方向に拡大したキャップ
78 鍵
80 径方向に拡大したヘッド、ボルトヘッド
82 ナット
84 丸く囲まれた領域、第1の環状の締め付け面、環状の締め付け面
85 丸く囲まれた領域
88 SMAコア、コア
90 回路ヒータ、ヒータ
92 断熱ワッシャ、絶縁ワッシャ
94 波形ばね
96 窓
98 第1の横歯リング、横歯リング
100 第2の横歯リング
102 環状体
104 複数のブロック状の歯
106 環状体
108 歯
110 引張ばね
112 鉤付きの軸方向突出部
114 取付けフランジ
116小さい軸方向のステップ
124 第1の軸方向間隙
166 後退組立体、第2の下側後退組立体
198 横歯リング、第2の一対の横歯リング、第1の横歯リング
200 横歯リング、第2の一対の横歯リング、第2の横歯リング
204 ブロック状の歯
206 環状体
208 複数のブロック状の歯、各歯
210 引張ばね
216小さい軸方向のステップ
図1
図2
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図11A
図11B
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