(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
[チャネル選択システムSの構成]
図1は、第1実施形態に係るチャネル選択システムS及び当該チャネル選択システムSの外部環境を示す図である。チャネル選択システムSは、インターネット等のネットワークNを介して複数の外部サーバ3に接続されている。チャネル選択システムSは、端末1と、チャネル選択装置として機能する所定のアクセスポイント2とを備える。
【0021】
端末1は、所定の住宅の住人等が使用するスマートフォン等の携帯電話機、タブレット、及びゲーム機等の携帯端末である。なお、端末1は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータのように固定端末であってもよい。
【0022】
所定のアクセスポイント2は、所定の住宅に設置されており、端末1と無線により通信を行う。所定のアクセスポイント2は、例えば、ケーブルテレビ放送等の放送信号を受信し、映像及び音声等の信号に変換して出力したり、インターネット上の外部サーバ3が提供するコンテンツを取得して端末1に無線送信したりすることができるセットトップボックスである。なお、所定のアクセスポイント2は、上述した機能を有していない無線LANのアクセスポイントであってもよい。以下、所定のアクセスポイント2を単にアクセスポイント2という。
【0023】
複数の他のアクセスポイント5は、アクセスポイント2が設置されている所定の住宅の近隣の住宅等に設置されており、当該近隣の住宅等のユーザの端末(不図示)と無線により通信を行う。以下、図においてアクセスポイントをAPとも表現する。
【0024】
図2は、第1実施形態に係るアクセスポイント2が無線により通信可能なエリアを示す通信可能エリアと、複数の他のアクセスポイント5の通信可能エリアとの関係例を示す図である。
【0025】
図2に示すように、ユーザ宅100では、リビングにアクセスポイント2が設置され、無線LAN環境が整備されている。一方、ユーザ宅100の近隣の近隣宅101−1、101−2及び101−3には、それぞれ他のアクセスポイント5−1、5−2及び5−3が設置される。
【0026】
図2において破線で示される複数の楕円は、各アクセスポイントのそれぞれが発した電波の電波強度が等しい地点を示しており、当該楕円の内側のエリアは、当該アクセスポイントを介して通信可能なエリアであることを示している。ここで、電波強度とは、各アクセスポイントが発信する電波の受信信号強度(RSSI)をいう。
【0027】
例えば、
図2では、アクセスポイント2を中心として3つの楕円が表示されている。この3つの楕円のうち、最も内側の楕円は、第1の電波強度の地点を示しており、次に内側の楕円は、第1の電波強度よりも弱い第2の電波強度の地点を示しており、最も外側の楕円は、第2の電波強度よりも弱い第3の電波強度の地点を示している。ここで、端末1は、最も外側の楕円よりも内側のエリアでアクセスポイント2と無線通信が可能であるものとする。
【0028】
また、ユーザ宅100には、他のアクセスポイント5−1、5−2及び5−3から発信した電波が到達し、ユーザ宅100の無線LAN環境に干渉する。このとき、ユーザ宅100のリビング、寝室、子供部屋では、干渉の度合いがそれぞれ異なる。即ち、リビングでは近隣宅101−1の他のアクセスポイント5−1が強く干渉し、寝室では近隣宅101−2の他のアクセスポイント5−2が強く干渉し、子供部屋では近隣宅101−3の他のアクセスポイント5−3が強く干渉する。
【0029】
チャネル選択システムSでは、他のアクセスポイント5からの干渉を考慮して、アクセスポイント2に好適なチャネルを選択する。このとき、チャネル選択システムSでは、端末1において利用されるコンテンツの傾向に応じて許容する干渉度合いを異ならせることとしている。
以下、チャネル選択システムSを構成する端末1及びアクセスポイント2の機能構成について説明する。
【0030】
[端末1の構成例]
図3は、第1実施形態に係る端末1の機能構成図である。
端末1は、入力部11と、表示部12と、無線部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0031】
入力部11は、例えば、ボタンや、表示部12に重畳して配置される接触センサ等により構成されており、端末1のユーザから操作入力を受け付ける。なお、端末1がデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータ等である場合には、入力部11は、マウスやキーボードより構成されていてもよい。
【0032】
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部12は、制御部15の制御に応じて文字や図形等を表示する。
【0033】
無線部13は、制御部15から出力された信号を変調してRF(Radio Frequency)信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号をアクセスポイント2に無線送信する。無線部13は、アンテナを介してアクセスポイント2から受信したRF信号を復調し、復調により得られた信号を制御部15に出力する。ここで、無線部13は、例えば、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g及びIEEE 802.11nで使用する2.4GHz帯において規定されている13チャネルのうちのいずれかのチャネルによりアクセスポイント2と通信を行うものとする。なお、無線部13は、IEEE 802.11a及びIEEE 802.11nで使用する5GHz帯の周波数で通信を行ってもよい。
【0034】
記憶部14は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部14は、端末1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部14は、端末1の制御部15を、後述する測定部151、送信部152、コンテンツ取得部153として機能させるためのコンテンツ取得用プログラムを記憶する。記憶部14は、外部メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って記憶してもよく、ネットワークNを介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0035】
制御部15は、例えば、CPUにより構成される。制御部15は、記憶部14に記憶されている各種プログラムを実行することにより、端末1に係る機能を統括的に制御する。制御部15は、測定部151と、送信部152と、コンテンツ取得部153とを備える。
【0036】
測定部151は、アクセスポイント2の通信可能エリアにおいて、アクセスポイント2の電波強度と、アクセスポイント2とは異なる他のアクセスポイント5の電波強度と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルとを測定する。測定部151は、測定時に、他のアクセスポイント5のMACアドレス、ESSIDを取得する。測定部151は、例えば、コンテンツ取得用プログラムが実行されたことに応じて測定を開始する。
【0037】
なお、測定部151は、コンテンツ取得用プログラムが実行されている場合に、定期的(例えば、1週間に1回)に測定を行うようにしてもよい。また、測定部151は、コンテンツ取得部153が外部サーバ3からコンテンツを取得している場合、即ち、端末1のユーザが当該コンテンツを閲覧している場合にバックグラウンドで測定を行うようにしてもよい。
【0038】
送信部152は、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5の電波強度を示す情報と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルを示す情報と、他のアクセスポイント5のMACアドレス及びESSIDと、測定した日付及び時刻とを含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0039】
コンテンツ取得部153は、入力部11によりコンテンツの取得操作が行われたことに応じて、アクセスポイント2を介して外部サーバ3からコンテンツを取得する。コンテンツ取得部153は、取得したコンテンツがテキスト情報、画像情報、又は映像情報である場合、表示部12に表示させる。コンテンツ取得部153は、取得したコンテンツに音声情報が含まれている場合、当該音声情報に基づいた音声を端末1が備えているスピーカー(不図示)から出力させてもよい。
【0040】
[アクセスポイント2の構成例]
続いて、アクセスポイント2の機能構成について説明する。
図4は、第1実施形態に係るアクセスポイント2の機能構成図である。アクセスポイント2は、無線部21と、通信部22と、記憶部23と、制御部24とを備える。
【0041】
無線部21は、制御部24から出力された信号を変調してRF信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号を端末1に無線送信する。無線部21は、アンテナを介して端末1から受信したRF信号を復調し、復調により得られた信号を制御部24に出力する。ここで、無線部21は、2.4GHz帯において規定されている13チャネルのうちのいずれかのチャネルにより端末1と無線通信を行うものとする。なお、無線部21は、5GHz帯の周波数で無線通信を行ってもよい。
通信部22は、有線により外部機器と通信を行う。具体的には、通信部22は、ネットワークNを介して外部サーバ3と通信を行う。
【0042】
記憶部23は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部23は、アクセスポイント2を機能させるための各種プログラムを記憶する。記憶部23は、ネットワークNを介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0043】
制御部24は、例えば、CPUにより構成される。制御部24は、記憶部23に記憶されている各種プログラムを実行することにより、アクセスポイント2に係る機能を統括的に制御する。制御部24は、取得部241と、算出部242と、選択部246と、チャネル設定部250と、コンテンツ送信部251とを備える。
【0044】
取得部241は、アクセスポイント2の通信可能エリアにおいて端末1が測定した、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5の電波強度と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルと、他のアクセスポイント5のMACアドレス及びESSIDと、測定した日付及び時刻とを含む電波強度情報を端末1から取得する。
【0045】
取得部241は、電波強度情報を取得すると、電波強度情報に、取得した日時及び場所を識別するNo、及びアクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算したときの値を付加して記憶部23に記憶させる。
図5は、記憶部23に記憶される電波強度情報の一例を示す図である。
図5に示すように、電波強度情報には、日付、時刻、アクセスポイント2の電波強度(RSSI_0)、他のアクセスポイント5のMACアドレス、他のアクセスポイント5のESSID、他のアクセスポイント5が使用しているチャネル、他のアクセスポイント5の電波強度(他APのRSSI)、アクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算したときの値(RSSI_0−他APのRSSI)が含まれている。
【0046】
算出部242は、所定の算出方式を用いて複数のチャネルそれぞれの干渉度を算出する。なお、算出部242は、複数の算出方式のうちのいずれかの算出方式を用いて干渉度を算出するが、これら複数の算出方式の詳細については第2実施形態で説明し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
複数のチャネルそれぞれの干渉度を算出するため、算出部242は、電波強度選択部243と、電波強度推定部244と、干渉度算出部245とを備える。
【0047】
電波強度選択部243は、干渉度の算出に用いる算出方式に基づいて、記憶部23に記憶された電波強度情報から電波強度を選択する。
一例として、第2実施形態で説明する第1算出方式の方式Aを用いて干渉度を算出する場合、電波強度選択部243は、記憶部23に記憶されている電波強度情報から他のアクセスポイント5の電波強度のうちの最も高い電波強度を、他のアクセスポイント5のそれぞれについて選択する。
【0048】
具体的には、電波強度選択部243は、
図5に示す電波強度情報を参照し、ESSIDが「OtherAP1」の他のアクセスポイント5について、最も高い電波強度として「−40」[dBm]を選択する。電波強度選択部243は、同様に、「OtherAP2」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−62」、「OtherAP3」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−55」、「OtherAP4」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−40」、「OtherAP5」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−60」、「OtherAP6」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−65」と選択する。
【0049】
なお、電波強度選択部243は、現時点から所定期間(例えば、1週間)以内に取得された他のアクセスポイント5の電波強度から、電波強度を選択してもよい。このようにすることで、近隣宅における他のアクセスポイント5の配置状況に変化があっても、その変化に対応して他のアクセスポイント5の電波強度を選択することができる。
【0050】
図4に戻り、電波強度推定部244は、記憶部23に予め記憶されている、チャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度に基づいて、複数のチャネルのそれぞれに対応する他のアクセスポイント5それぞれの電波強度を推定する。
図6は、チャネルの周波数間隔(Δchi)による電波干渉の影響度ω(Δchi)を示す図である。ここで、Δchiの「i」は、離れている間隔を示す値である。
【0051】
図6では、2.4GHz帯におけるチャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度と、5GHz帯におけるチャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度とを示している。
図6のように、電波干渉の影響度は、無線通信において用いる周波数帯によって異なる。例えば、2.4GHz帯では、チャネルが1離れると、電波干渉の影響度ω(Δch1)は、−2dBmとなり、チャネルが2離れると、電波干渉の影響度ω(Δch2)は、−5dBmとなる。また、5GHz帯では、チャネルが1離れると、電波干渉の影響度ω(Δch1)は、−100dBmとなる。
なお、
図6に示す電波干渉の影響度ω(Δchi)は一例に過ぎず、適宜異なる値を設定することとしてもよい。
【0052】
電波強度推定部244は、チャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度、及び他のアクセスポイント2のそれぞれについて選択された電波強度に基づいて、複数のチャネルのそれぞれに対応する他のアクセスポイント5それぞれの電波強度を推定する。以下に、電波強度推定部244が電波強度を推定する処理について、上述の第1算出方式の方式Aが選択された場合における、ESSIDが「OtherAP1」の他のアクセスポイント5の電波強度を推定する例を用いて説明する。
【0053】
まず、電波強度選択部243が「OtherAP1」について、方式Aに対応して、最も高い電波強度として「−40」を選択する。「OtherAP1」に対応するチャネルは「6」であることから、電波強度推定部244は、チャネル「6」に対応する電波強度を「−40」とする。
【0054】
続いて、電波強度推定部244は、チャネル「6」から1チャネル離れているチャネル「5」及び「7」の電波強度を、チャネル「6」に対応する電波強度「−40」に影響度「−2」を加算した「−42」と推定する。また、電波強度推定部244は、チャネル「6」から2チャネル離れているチャネル「4」及び「8」に対応する電波強度を、チャネル「6」に対応する電波強度「−40」に影響度「−5」を加算した「−45」と推定する。同様に、電波強度推定部244は、チャネル「3」及び「9」に対応する電波強度を「−50」と推定し、チャネル「2」及び「10」に対応する電波強度を「−68」と推定し、チャネル「1」及び「11」に対応する電波強度を「−140」と推定する。
【0055】
また、チャネル「12」及び「13」は、チャネル「6」から5チャネル以上離れていることから、電波強度推定部244は、チャネル「12」及び「13」に対応する電波強度を、チャネル「6」に対応する電波強度「−40」に影響度「−100」を加算した「−140」と推定する。
【0056】
図4に戻り、干渉度算出部245は、複数のチャネルのそれぞれについて、推定した他のアクセスポイント5それぞれの電波強度に基づいてアクセスポイント2が発する電波に対する干渉度を算出する。具体的には、干渉度算出部245は、キャリア対干渉波の電力比(CIR)からアクセスポイント2の電波強度(RSSI_0)を減算した値(CIR−RSSI_0)を干渉度として算出する。この干渉度は、以下の式で求められる。ここで、Nは、他のアクセスポイント5の台数である。
【数1】
【0057】
ここで、(1)式により算出された値(CIR−RSSI_0)が大きい場合、アクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが小さく、(1)式により算出された値が小さい場合、アクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが大きい。
【0058】
図7は、第1算出方式の方式Aが選択された場合において、複数のチャネルのそれぞれに対して推定された他のアクセスポイント5の電波強度、及び算出された干渉度を示す図である。
図7では、チャネル「1」のCIR−RSSI_0が最も大きいことから、チャネル「1」においてアクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが最も小さいことが確認できる。
【0059】
選択部246は、算出された複数のチャネルそれぞれの干渉度(即ち干渉度を示す値「CIR−RSSI_0」)に基づいて、アクセスポイント2のチャネルを選択する。
なお、端末1において要求されるアクセスポイント2の電波強度は、端末1で利用されるコンテンツの種類によって異なる。例えば、端末1で利用されるコンテンツがテキスト情報である場合、アクセスポイント2の電波強度は低くてよいが、端末1で利用されるコンテンツが動画である場合は一定以上の電波強度が要求される。
【0060】
ここで、アクセスポイント2の電波強度は、干渉度合いが小さい場合と干渉度合いが大きい場合とでは、干渉度合いが小さい場合の方が相対的に高くなるため、選択部246は、端末1で利用されるコンテンツの種類に応じて要求される干渉度合いを異ならせることとしている。
そこで、選択部246は、コンテンツ傾向特定部247と、閾値設定部248と、チャネル選択部249とを備える。
【0061】
コンテンツ傾向特定部247は、アクセスポイント2が発する電波を用いて端末1で利用されるコンテンツ(以下、「利用コンテンツ」とする)の傾向を、特定する。利用コンテンツの傾向の特定方法は任意であり、例えば、コンテンツ傾向特定部247は、アクセスポイント2を通過するダウンストリームのデータ通信量(Mbps)、即ち、端末1がアクセスポイント2を介して利用するデータ通信量に基づいて、利用コンテンツの傾向を特定することとしてもよく、また、コンテンツ傾向特定部247は、複数の傾向から一の傾向を選択する選択操作をユーザから受け付けることで、利用コンテンツの傾向を特定することとしてもよい。
【0062】
ここで、
図8を参照して、コンテンツ傾向特定部247がデータ通信量から利用コンテンツの傾向を特定する方法の一例について説明する。
図8は、過去n日間のアクセスポイント2から端末1へのダウンストリームのデータ通信量の推移を示すグラフである。なお、アクセスポイント2では、データ通信量を逐次測定し、記憶部23に記憶しているものとする。
【0063】
図8においてデータ通信量A1[Mbps]は、動画視聴が行われているか否かを判定するための基準となるデータ通信量である。即ち、A1[Mbps]を超えるデータ通信量である場合、端末1において動画視聴が行われていることを示す。
コンテンツ傾向特定部247は、過去n日間のデータ通信量をA1[Mbps]と比較することで利用コンテンツの傾向を特定する。一例として、コンテンツ傾向特定部247は、ダウンストリームのデータ通信量がA1[Mbps]以上である状態がT秒間継続している日を計数し、過去n日間において所定日以上が計数された場合に、利用コンテンツの傾向として動画視聴有と特定し、所定日未満である場合に、利用コンテンツの傾向として動画視聴無と特定する。
【0064】
もちろん、具体的な条件は任意であり、上述のようにデータ通信量がA1[Mbps]以上である日数ではなく、ダウンストリームのデータ通信量がA1[Mbps]以上である状態の総時間に基づいて利用コンテンツの傾向を特定する等してもよい。
【0065】
また、ユーザからの選択操作に基づいて利用コンテンツの傾向を特定する場合、コンテンツ傾向特定部247は、
図9に示す選択画面を介して選択操作を受け付ける。コンテンツ傾向特定部247は、ユーザが選択画面に設けられているラジオボタンを押下して利用するコンテンツを選択すると、この選択に応じて動画視聴の有無を特定する。
なお、ユーザの選択操作は、端末1において受け付けることとしてもよく、また、アクセスポイント2において受け付けることとしてもよい。端末1においてユーザの選択操作を受け付ける場合には、コンテンツ傾向特定部247は、選択操作に関する情報を端末1から取得することで、ユーザの選択操作を特定する。
【0066】
以上、コンテンツ傾向特定部247による利用コンテンツの傾向特定方法の一例について説明した。なお、上述の説明では、特定する利用コンテンツの傾向を、動画視聴の有無に限っているが、これに限られるものではない。例えば、視聴する動画の画質(高画質、低画質)の傾向を特定することとしてもよく、また、動画に限らず、利用コンテンツの傾向が音声情報、画像情報、テキスト情報等であるか否かを特定することとしてもよい。
このような場合、判定するための基準となるデータ通信量(A1[Mbps])を適宜設定することで、又は選択画面における選択肢を適宜設定することで、コンテンツ傾向特定部247は、様々な利用コンテンツの傾向を特定することができる。
【0067】
図4に戻り、閾値設定部248は、特定した利用コンテンツの傾向に基づいて、許容する干渉度の閾値を設定する。ここで、アクセスポイント2の電波強度を所定値と想定した場合、許容可能な干渉度合いは、利用コンテンツの傾向に応じて異なる。即ち、利用コンテンツの傾向が動画視聴有である場合に許容可能な干渉度合いは、動画視聴無である場合に許容可能な干渉度合いよりも低い。そこで、閾値設定部248は、利用コンテンツの傾向が動画視聴有である場合、動画視聴無である場合よりも干渉度の閾値を低く設定する。
なお、上述のように本実施形態では、値が大きいほど干渉度合いが低く、値が小さいほど干渉度合いが高い「CIR−RSSI_0」を用いて干渉度を算出する。そのため、閾値設定部248は、
図10に示すように動画視聴有の場合の「CIR−RSSI_0」に対する閾値を、動画視聴無の場合の「CIR−RSSI_0」に対する閾値よりも高く設定する。
【0068】
図4に戻り、チャネル選択部249は、複数のチャネルのうち、算出された干渉度が閾値未満であるチャネル(即ち算出された「CIR−RSSI_0」が設定した閾値以上であるチャネル)を、アクセスポイント2のチャネルとして選択する。
なお、閾値を満たすチャネルが複数ある場合には、チャネル選択部249は、複数のチャネルのうち、干渉度合いが最も小さいチャネル(即ち「CIR−RSSI_0」が最も高いチャネル)を、アクセスポイント2のチャネルとして選択する。
【0069】
チャネル設定部250は、チャネル選択部249がチャネルを選択したことに応じて、無線部21が使用するチャネルを、チャネル選択部249が選択したチャネルに設定する。チャネル設定部250は、コンテンツ送信部251がコンテンツを送信していない場合にチャネルを設定するようにしてもよい。
【0070】
コンテンツ送信部251は、端末1の入力部11によりコンテンツの取得操作が行われたことに応じて、外部サーバ3からコンテンツを取得する。コンテンツ送信部251は、外部サーバ3から取得したコンテンツを、無線部21を介して端末1に送信する。
【0071】
[チャネルの選択に係るフローチャート]
続いて、アクセスポイント2によってチャネルを選択するまでの処理の流れについて説明する。
図11は、アクセスポイント2において、端末1の利用コンテンツの傾向を特定するための処理の流れを示すフローチャートである。なお、利用コンテンツの傾向は、任意のタイミングで定期的に特定することとしてもよく、また、アクセスポイント2のチャネルを設定する際に特定することとしてもよい。
【0072】
まず、コンテンツ傾向特定部247は、記憶部23に記憶されている所定期間内のダウンロードのデータ通信量を取得する(ステップS1)。続いて、コンテンツ傾向特定部247は、ダウンストリームのデータ通信量がA1[Mbps]以上である状態がT秒間継続して超える日を計数する(ステップS2)。
【0073】
続いて、コンテンツ傾向特定部247は、計数結果が所定日以上であるか否かを判定し(ステップS3)、所定日以上である場合には、利用コンテンツの傾向として動画視聴有と特定し(ステップS4)、処理を終了する。他方、ステップS3において、所定日未満であると判定した場合には、コンテンツ傾向特定部247は、利用コンテンツの傾向として動画視聴無と特定し(ステップS5)、処理を終了する。
【0074】
続いて、アクセスポイント2のチャネルを設定する処理の流れについて説明する。
図12は、第1実施形態に係るアクセスポイント2において、算出した干渉度に基づいてチャネルを設定する処理の流れを示すフローチャートである。ここで、記憶部23には、取得部241によって電波強度情報が記憶されているものとする。
【0075】
まず、電波強度選択部243は、複数の他のアクセスポイント5のそれぞれの電波強度を電波強度情報から取得する(ステップS11)。続いて、電波強度推定部244及び干渉度算出部245は、各チャネルそれぞれの干渉度を算出する(ステップS12)。即ち、電波強度推定部244が、複数のチャネルのそれぞれに対応する他のアクセスポイント5それぞれの電波強度を推定すると、干渉度算出部245は、上述の(1)式を用いて干渉度を示す「CIR−RSSI_0」を算出する。
【0076】
続いて、閾値設定部248は、
図11において特定した利用コンテンツの傾向に応じた閾値を設定する(ステップS13)。続いて、チャネル選択部249は、干渉度が閾値を満たすか否かを複数のチャネルそれぞれについて判定する(ステップS14)。なお、この判定では、干渉度が閾値未満であるか否かを判定することになるが、本実施形態において算出する「CIR−RSSI_0」によれば、算出した「CIR−RSSI_0」が閾値以上である場合に、干渉度が閾値未満となる。
【0077】
複数のチャネルの中に干渉度が閾値を満たすチャネルが1以上ある場合、ステップS14においてYESと判定され、全てのチャネルの干渉度が閾値を満たさない場合、ステップS14においてNOと判定される。
ステップS14においてYESと判定されると、チャネル選択部249は、干渉度が閾値を満たすチャネルのうち最も干渉度が低いチャネル(即ち「CIR−RSSI_0」が最も高いチャネル)を選択し、チャネル設定部250がこのチャネルを無線部21が使用するチャネルとして設定し(ステップS15)、処理を終了する。他方、ステップS14においてNOと判定されると、チャネル設定部250は、無線部21が使用するチャネルを現在のチャネルのまま維持し(ステップS16)、処理を終了する。
【0078】
[第1実施形態における効果]
以上説明した第1実施形態に係るチャネル選択システムSによれば、以下の効果を奏する。
【0079】
チャネル選択システムSのアクセスポイント2は、他のアクセスポイント5の電波強度に基づいて、各チャネルにおけるアクセスポイント2が発する電波に対する干渉度を算出し、算出した干渉度が閾値を満たすチャネルをアクセスポイント2のチャネルとして設定する。このとき、アクセスポイント2では、端末1のユーザによる利用コンテンツの傾向に基づいて閾値を設定する。
このように、アクセスポイント2では、ユーザの利用コンテンツの傾向に応じて許容する干渉度の閾値を異ならせるため、ユーザの利用目的に応じたチャネルを選択することができる。
【0080】
特に、利用コンテンツの傾向をアクセスポイント2を通過するダウンストリームのデータ通信量に基づいて特定することで、ユーザの利用実態に適した利用コンテンツの傾向を特定することができ好適である。
また、利用コンテンツの傾向をユーザの選択操作に基づいて特定することで、ユーザが想定する利用目的を適切に捉えることができ好適である。
【0081】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係るチャネル選択システムSについて説明する。第1実施形態のチャネル選択システムSでは、全てのチャネルにおいて干渉度が閾値を満たさない場合、アクセスポイント2のチャネルを現在のチャネルのまま維持する。これに対して、第2実施形態のチャネル選択システムSでは、全てのチャネルにおいて干渉度が閾値を満たさない場合、干渉度を算出する算出方式を他の算出方式に切り替える。
以下、図面を参照して、第2実施形態に係るチャネル選択システムSについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0082】
[アクセスポイント2の構成例]
図13は、第2実施形態に係るアクセスポイント2の機能構成図である。第2実施形態に係るアクセスポイント2は、第1実施形態に係るアクセスポイント2が備える構成に加え、算出方式選択部252をさらに備える。
【0083】
算出方式選択部252は、他のアクセスポイント5の電波強度に基づいてアクセスポイント2が発する電波に対する干渉度を算出する複数の算出方式から、一の算出方式を選択する。
【0084】
ここで、算出方式には、他のアクセスポイント5それぞれの電波強度のうち、アクセスポイント2に対する影響が相対的に強い電波強度に基づいて干渉度を算出する第1算出方式と、アクセスポイント2の通信可能エリア内の特定の位置における他のアクセスポイント5の電波強度に基づいて干渉度を算出する第2算出方式とが含まれる。
【0085】
第1算出方式は、アクセスポイント2からの距離に関わらず安定して通信を行うことができる方式、言い換えるとアクセスポイント2の通信可能エリアの複数の地点において(即ち、通信可能エリアのどこにいても)安定して通信を行うことができる方式である。第1算出方式は、他のアクセスポイント5それぞれの電波強度が強いエリア(ワーストケース)に着目し、干渉度を算出する方式であり、後述する方式A,B,Cを含む。
【0086】
一方、第2算出方式は、アクセスポイント2からの距離が特定の距離である場合に安定して通信を行うことができる方式であり、アクセスポイント2からの距離が近距離である場合に安定して通信を行うことができる近距離優先方式、アクセスポイント2からの距離が中距離である場合に安定して通信を行うことができる中距離優先方式、及びアクセスポイント2からの距離が長距離である場合に安定して通信を行うことができる長距離優先方式を含む。
【0087】
算出部242は、選択された一の算出方式を用いて複数のチャネルそれぞれの干渉度を算出する。なお、算出部242(即ち電波強度選択部243、電波強度推定部244及び干渉度算出部245)による干渉度の算出方法は、選択された算出方式により異なるため、以下具体的に説明する。
【0088】
電波強度選択部243は、選択された一の算出方式に基づいて、記憶部23に記憶された電波強度情報から電波強度を選択する。
ここで、第1算出方式の方式Aが選択された場合、電波強度選択部243は、記憶部23に記憶された電波強度情報を参照し、他のアクセスポイント5のそれぞれについて、取得部241が取得した他のアクセスポイント5の電波強度のうち、最も高い電波強度を選択する。
【0089】
図14は、各アクセスポイントから発せられる電波の電波強度を端末1が測定した地点を示す図である。
図14に示す地点P1〜P7は、端末1が各アクセスポイントから発せられる電波強度を測定した地点を示している。また、
図14に示す電波強度の等しい地点を示す楕円上には、当該地点の電波強度を示している。
【0090】
方式Aでは、他のアクセスポイント5のそれぞれについて、取得部241が取得した他のアクセスポイント5の電波強度のうち、最も高い電波強度を選択することから、電波強度選択部243は、
図14に示す例において、他のアクセスポイント5−1に対応して地点P1において測定された電波強度を選択し、他のアクセスポイント5−2に対応して地点P3において測定された電波強度を選択し、他のアクセスポイント5−3に対応して地点P5において測定された電波強度を選択する。
これにより、複数の他のアクセスポイント5−1、5−2、及び5−3の電波強度が最も高い地点を基準としてチャネルを設定することができる。
【0091】
ところで、アクセスポイント2に対する影響を考えた場合、他のアクセスポイント5だけでなく、アクセスポイント2自体の電波強度を考慮した方が適切に算出できる場合がある。即ち、アクセスポイント2の電波強度が十分に高い場所であれば、他のアクセスポイント5の電波強度に関わらずアクセスポイント2に対する影響が小さい場合があり、また、アクセスポイント2の電波強度が低い場所であれば、他のアクセスポイント5の電波強度が低くてもアクセスポイント2に対する影響が大きい場合がある。
そこで、第1算出方式の方式Bでは、電波強度選択部243は、他のアクセスポイント5の電波強度として、アクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算した値が最小となる電波強度を選択する。
【0092】
例えば、
図14に示す例では、地点P1は、アクセスポイント2の電波強度が約−30dBmであり、他のアクセスポイント5−1の電波強度が約−50dBmである。地点P2は、アクセスポイント2の電波強度が約−60dBmであり、他のアクセスポイント5−1の電波強度が約−55dBmである。よって、地点P2は、地点P1に比べて他のアクセスポイント5−1の電波強度が弱いものの、アクセスポイント2の電波強度も弱く、地点P2は、地点P1に比べてアクセスポイント2が干渉の影響を受けやすい。同様に、地点P4は、地点P3に比べて電波強度が弱いものの、地点P3に比べてアクセスポイント2が干渉の影響を受けやすい。
【0093】
そこで、電波強度選択部243は、方式Bにより電波強度を選択する場合、他のアクセスポイント5−1に対応して地点P2において測定された電波強度を選択し、他のアクセスポイント5−2に対応して地点P4において測定された電波強度を選択し、他のアクセスポイント5−3に対応して地点P5において測定された電波強度を選択する。
このように選択することで、電波強度選択部243は、干渉が発生しやすい地点を適切に選択することができる。
【0094】
また、電波強度選択部243は、方式A、Bの代わりに、第1算出方式において、チャネル毎に影響が高い他のアクセスポイント5(ドミナントアクセスポイント)の電波強度を選択してもよい。この方式を方式Cという。
第1算出方式は、アクセスポイント2の通信可能エリアのどこにいても安定して通信をすることができる方式であり、ワーストケースを考慮してアクセスポイント2に対する干渉度を算出する。この点、方式A、Bは、他のアクセスポイント5の電波強度に着目し、他のアクセスポイント5の電波強度が最も高い又は、アクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算した値が最小となる地点をワーストケースとして特定する。これに対して、方式Cでは、チャネル毎に干渉の程度が相対的に高い地点をワーストケースとして特定し、これらの地点において測定された他のアクセスポイント5の電波強度に基づいて、アクセスポイント2に対する干渉度を算出する。
【0095】
図15は、ユーザ宅100におけるチャネル毎に干渉の程度が相対的に高い領域を示す図である。なお、
図15では、チャネル1、5、10について干渉の程度が相対的に高い領域を示し、その他のチャネルについては図示を省略している。
図15において、領域301は、アクセスポイント2がチャネル1を用いて通信を行った場合に干渉の程度が相対的に高い領域であり、領域302は、アクセスポイント2がチャネル5を用いて通信を行った場合に干渉の程度が相対的に高い領域であり、領域303は、アクセスポイント2がチャネル10を用いて通信を行った場合に干渉の程度が相対的に高い領域である。そのため、チャネル1に着目すると、領域301内で測定された他のアクセスポイント5の電波強度に基づいてアクセスポイント2に対する干渉度を算出することが、チャネル1におけるワーストケースに相当する。
【0096】
そこで、電波強度選択部243は、方式Cにより電波強度を選択する場合、チャネル1については、領域301内の地点P11において測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択し、チャネル5については、領域302内の地点P12において測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択し、チャネル10については、領域303内の地点P13において測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択する。
このようにすることで、複数のチャネルのそれぞれに対して干渉が発生しやすい地点における他のアクセスポイント5の電波強度を選択することができる。
【0097】
また、電波強度選択部243は、第2算出方式が選択されると、記憶部23に記憶された電波強度情報から、アクセスポイント2の電波強度として所定の電波強度が測定された測定タイミング(日付、時刻)を特定する。なお、所定の電波強度は、近距離優先方式、中距離優先方式、長距離優先方式によってそれぞれ異なり、近距離優先方式の場合には第1の値(例えば、−30dBm)以上、中距離優先方式の場合には第1の値未満、かつ、第2の値(例えば、−70dBm)以上、長距離優先方式の場合には第2の値未満の電波強度が対応する。
電波強度選択部243は、所定の電波強度が測定された測定タイミングと同時に測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択する。
【0098】
具体的には、電波強度選択部243は、近距離優先方式が選択されると、アクセスポイント2の電波強度のうち、第1の値以上の電波強度を特定し、当該電波強度と同時に測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択する。
【0099】
例えば、電波強度選択部243は、
図5に示す電波強度情報を参照し、アクセスポイント2の電波強度が「−30」[dBm]を特定し、この電波強度と同時に測定された、「OtherAP1」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−40」、「OtherAP2」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−62」、「OtherAP6」に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を「−70」と選択する。ここで、「OtherAP3」、「OtherAP4」及び「OtherAP5」に対応する他のアクセスポイント5については、同時に測定されていないため、ほとんど影響がない電波強度として「−100」を割り当てる。
【0100】
また、電波強度選択部243は、中距離優先方式が選択されると、アクセスポイント2の電波強度のうち、第1の値未満、かつ、第2の値以上の電波強度を特定し、当該電波強度と同時に測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択する。
【0101】
また、電波強度選択部243は、長距離優先方式が選択されると、アクセスポイント2の電波強度のうち、第2の値未満の電波強度を特定し、当該電波強度と同時に測定された他のアクセスポイント5の電波強度を選択する。
【0102】
図13に戻り、電波強度推定部244は、記憶部23に予め記憶されている、チャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度に基づいて、複数のチャネルのそれぞれに対応する他のアクセスポイント5それぞれの電波強度を推定する。
なお、第1実施形態では、第1算出方式の方式Aが選択された場合を例にとり、電波強度推定部244による電波強度の推定方法について説明した。この点、第1算出方式の方式B及び第2算出方式が選択された場合の電波強度の推定方法は、第1算出方式の方式Aが選択された場合と基本的に同じであるため、説明を省略する。他方、第1算出方式の方式Cが選択された場合の電波強度の推定方法は、第1算出方式の方式Aが選択された場合と一部異なるため、以下説明する。
【0103】
第1算出方式の方式Cが選択されると、電波強度推定部244は、各チャネルにおいて選択された電波強度と同時に測定された他のアクセスポイント5の電波強度を特定する。即ち、第1算出方式の方式Cが選択されると、電波強度推定部244は、チャネル毎に異なる地点で測定された電波強度情報を用いて、他のアクセスポイント5の電波強度を特定する。
なお、電波強度推定部244は、同時に測定されなかった他のアクセスポイント5の電波強度に「−100」を割り当て、さらに、チャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度を加算することにより電波強度を推定する。例えば、チャネル「3」における他のアクセスポイント5の電波強度を推定する際に、同時に測定されなかった他のアクセスポイント5のチャネルが「6」である場合、電波強度推定部244は、電波強度に「−100」を割り当てる。さらに、チャネルが3離れていることから、電波強度推定部244は、「−100」に対して電波干渉の影響度「−10」を加算した「−110」を当該他のアクセスポイント5の電波強度と推定する。
【0104】
干渉度算出部245、選択部246及びチャネル設定部250は、第1実施形態と同様である。即ち、干渉度算出部245は、上述した式(1)を用いて複数のチャネルのそれぞれにおける干渉度(CIR−RSSI_0)を算出する。そして、選択部246(チャネル選択部249)は、複数のチャネルのうち、算出された干渉度が閾値未満であるチャネルを、アクセスポイント2のチャネルとして選択する。そして、チャネル設定部250は、チャネル選択部249がチャネルを選択したことに応じて、無線部21が使用するチャネルを、チャネル選択部249が選択したチャネルに設定する。
【0105】
このとき、干渉度算出部245により算出された複数のチャネルの全ての干渉度が閾値以上である場合、算出方式選択部252は、選択した一の算出方式の代わりに他の算出方式を選択する。
ここで、第1算出方式は、他のアクセスポイント5それぞれの電波強度が強いエリア(ワーストケース)に着目し、干渉度を算出するため、第2算出方式に比べて算出された干渉度が閾値を満たさない可能性が高い。そのため、本実施形態のように、第1算出方式と第2算出方式とを用いる場合、干渉度算出部245は、初めに第1算出方式を用いて干渉度を算出し、算出した干渉度が全てのチャネルにおいて閾値を満たさない場合に、第1算出方式の代わりに第2算出方式を選択することが好ましい。
【0106】
[チャネルの選択に係るフローチャート]
続いて、アクセスポイント2によってチャネルを選択するまでの処理の流れについて説明する。
図16は、第2実施形態に係るアクセスポイント2において、算出した干渉度に基づいてチャネルを設定する処理の流れを示すフローチャートである。
なお、利用コンテンツの傾向を特定するための処理は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0107】
第2実施形態におけるチャネルを選択する処理は、第1実施形態における処理(
図12参照)に比べ、ステップS21,S22,S23の処理をさらに含む点で異なる。
即ち、まず、算出方式選択部252は、一の算出方式として第1算出方式を選択する(ステップS1)。なお、第1算出方式の方式A,B,Cのうちいずれの方式を選択するかは任意である。
【0108】
続いて、電波強度選択部243が複数の他のアクセスポイント5のそれぞれの電波強度を電波強度情報から取得する(ステップS11)と、電波強度推定部244及び干渉度算出部245は、選択した算出方式に基づいて各チャネルそれぞれの干渉度を算出する(ステップS12)。
【0109】
続いて、閾値設定部248は、特定した利用コンテンツの傾向に応じた閾値を設定する(ステップS13)。続いて、チャネル選択部249は、干渉度が閾値を満たすか否かを複数のチャネルそれぞれについて判定する(ステップS14)。この判定において、干渉度が閾値を満たすチャネルが1以上ある場合、チャネル選択部249は、干渉度が閾値を満たすチャネルのうち最も干渉度が低いチャネルを選択し、チャネル設定部250がこのチャネルを無線部21が使用するチャネルとして設定し(ステップS15)、処理を終了する。
【0110】
他方、ステップS14において、全てのチャネルの干渉度が閾値を満たさない場合、算出方式選択部252は、現在の算出方式が第1算出方式であるか否かを判定する(ステップS22)。この判定がYESのとき、算出方式選択部252は、算出方式を第1算出方式から第2算出方式に切り替える(ステップS23)。算出方式選択部252が算出方式を第2算出方式に切り替えると、処理はステップS11に移り、ステップS11〜ステップS14の処理を繰り返す。
【0111】
なお、第2算出方式の近距離優先方式、中距離優先方式、長距離優先方式のうちいずれの方式を選択するかは任意であるが、例えば、算出方式選択部252は、端末1の利用場所の傾向に応じて、第2算出方式の方式を選択することとしてもよい。
このとき、利用場所の傾向は、端末1におけるアクセスポイント2が発する電波の利用傾向に基づいて特定することができ、所定期間(例えば、1週間)以内に測定されたアクセスポイント2の電波強度の傾向(平均値等)が第1の値(例えば、−30dBm)以上である場合には利用場所の傾向が近距離であるとして近距離優先方式を選択する。同様に、所定期間(例えば、1週間)以内に測定されたアクセスポイント2の電波強度の傾向(平均値等)が第1の値未満、かつ、第2の値(例えば、−70dBm)以上である場合には利用場所の傾向が中距離であるとして中距離優先方式を選択し、第2の値未満である場合には利用場所の傾向が長距離であるとして長距離優先方式を選択する。
【0112】
また、ステップS23においてNOと判定、即ち第2算出方式であっても全てのチャネルの干渉度が閾値を満たさない場合、チャネル設定部250は、無線部21が使用するチャネルを現在のチャネルのまま維持し(ステップS16)、処理を終了する。
【0113】
[第2実施形態における効果]
以上、第2実施形態に係るチャネル選択システムSについて説明した。第2実施形態に係るチャネル選択システムSでは、干渉度を算出する算出方式を複数設けておき、一の算出方式を用いて算出した干渉度が、利用コンテンツの傾向に基づいて設定した閾値を満たさない場合に、一の算出方式から他の算出方式に切り替える。
これにより、一の算出方式ではチャネルを設定できないであっても他の算出方式によりチャネルを設定することができ、ユーザの利用目的に応じたチャネルを選択することができる。
【0114】
なお、アクセスポイント2では、複数の算出方式として、ワーストケースを考慮した第1算出方式と、アクセスポイント2からの距離が特定の距離である場合に安定して通信を行うことができる第2算出方式と、を備え、第1算出方式を用いて算出した干渉度が閾値を満たさない場合に、第1算出方式から第2算出方式に切り替える。
ユーザにとってみれば、第1算出方式を用いてチャネルを設定可能である場合、宅内のどこにいてもユーザの利用目的を満たす電波環境が実現されるため、利便性が向上する。他方、第1算出方式ではユーザの利用目的を満たすチャネルを設定できない場合であっても、第2算出方式を用いてチャネルを設定することができるため、ユーザの利用目的に応じたチャネルを選択することができる。
【0115】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係るチャネル選択システムSについて説明する。第1実施形態及び第2実施形態に係るチャネル選択システムSでは、利用コンテンツの傾向に応じて干渉度の閾値を設定することで、ユーザの利用目的に応じたチャネルを選択することとしている。
ここで、端末1でコンテンツを利用する場合、他のアクセスポイント5による干渉だけでなく、アクセスポイント2の電波強度も重要になる。即ち、
図17(A)に模式的に示すように、コンテンツを利用する端末1で重要になるのは、アクセスポイント2の電波強度と他のアクセスポイント5による干渉度との差分であるため、アクセスポイント2の電波強度が低い場合には、干渉度が低くても利用目的に応じたコンテンツを利用できない場合がある。
【0116】
そこで、第3実施形態に係るチャネル選択システムSでは、利用コンテンツの傾向に加え、アクセスポイント2の電波強度に関連する情報に基づいて干渉度の閾値を設定する。具体的には、アクセスポイント2の電波強度が高い場合には干渉度合いも高くてよいため、
図17(B)に示すように、アクセスポイント2の電波強度が低い場合に比べて干渉度の閾値を上げることができる。なお、繰り返しになるが、干渉度の閾値を上げることは「CIR−RSSI_0」の閾値を下げることに相当する。
【0117】
ところで、上述の(1)式を参照すると、干渉度を示す「CIR−RSSI_0」の算出には、アクセスポイント2の電波強度(RSSI_0)を用いることがないため、干渉度の閾値を設定するためのアクセスポイント2の電波強度の特定方法が問題になる。
この点、アクセスポイント2からの距離が特定の距離である場合に安定して通信を行うことができる第2算出方式では、アクセスポイント2からの特定の距離に対応する電波強度を、閾値を設定するためのアクセスポイント2の電波強度として捉えることができる。
【0118】
即ち、第2算出方式の近距離優先方式ではアクセスポイントの電波強度を第1の値(例えば、−30dBm)と特定し、中距離優先方式では第1の値未満、かつ、第2の値(例えば、−70dBm)と特定し、長距離優先方式では第2の値未満と特定する。
その結果、例えば、中距離優先方式を基準にすると、近距離優先方式を用いる場合には干渉度の閾値を上げることができ、また、長距離優先方式を用いる場合には干渉度の閾値を下げることができる。
【0119】
そこで、第3実施形態の閾値設定部248は、第2算出方式が選択されている場合には、特定した利用コンテンツの傾向に加え、アクセスポイント2の電波強度に関連する情報に基づいて、干渉度の閾値を設定する。なお、アクセスポイント2の電波強度に関連する情報とは、選択された第2算出方式に好適な特定の位置におけるアクセスポイント2の電波強度であってもよく、また、選択された第2算出方式の種別(近距離優先方式、中距離優先方式、長距離優先方式)であってもよい。
【0120】
[第3実施形態における効果]
以上のような第3実施形態のチャネル選択システムSによれば、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5による干渉度との差分に着目して、干渉度の閾値を設定するため、ユーザの利用目的に応じたチャネルをより適切に選択することができる。
【0121】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、本実施形態に記載されたアクセスポイント2の制御部24が備える機能を、無線LANのアクセスポイントとは異なる他の装置に実装させるようにしてもよい。ここで、他の装置は、例えば、自身をアクセスポイントとして機能させるテザリング機能を有するスマートフォンやタブレット等の携帯端末であってもよい。また、携帯端末と、アクセスポイントとが存在している場合、携帯端末が、電波強度の測定結果を保持し、当該電波強度に基づいてチャネルを選択し、チャネルの変更を指示する指示情報を当該アクセスポイントに送信するようにしてもよい。