【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の模式図であり、
図1(a)はその上面図、
図1(b)はその側面図、
図1(c)はその正面図である。
【0019】
この図において、1は金網や樹脂で作られた直方体の網枠(下面なし)、2は直方体の網枠1の隅部に配置されるボールベアリング、3はガイドゴムローラー、4は軸受、5はシャフト、6はマルチコプターである。
【0020】
図2は本発明の遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の網枠への記録用カメラの取り付け例を示す側面図であり、
図2(a)はその遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の上面図、
図2(b)はその遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の側面図である。
【0021】
この図において、11は金網や樹脂で作られた直方体の網枠、12は記録用カメラ、13はFPV,14はカメラ角度調整用サーボ、15は網枠11への固定治具、16はFPV送信機、17は小型無人飛行機、18はGPS,19はバッテリー、20は制御装置、21はシャフト、22は軸受である。
【0022】
この実施例では網枠11の構造を利用して網枠11の外側の任意の位置に記録用カメラ12、センサ等を固定することができる。
【0023】
図3は本発明の遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の部品を示す図面代用写真であり、
図3(a)はボールベアリング、
図3(b)はガイドゴムローラー、
図3(c)は軸受をそれぞれ示している。
【0024】
図4は本発明の遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の軸受部の断面模式図である。
【0025】
この図において、31は軸受、32はベアリングボール、33はシャフト、34はシャフト33からの横方向張出部材、35は回転制限部材、36はばね部材である。
【0026】
この実施例では、軸受31は、遠隔構造物検査用無人飛行機のプロペラ面と網枠上面とが平行になる状態を定位とし、その位置に戻るようシャフト33に常に回転力を与える。前進後進時は遠隔構造物検査用無人飛行機の機体の回転力によりシャフト33が回転する。機体が網枠内で大きく回転して網枠と遠隔構造物検査用無人飛行機のプロペラが接触したり、機体が制御不能になったりすることを防ぐため、機体の前進・後進に必要な角度に達するとそれ以上回転しない機構としている。
【0027】
すなわち、軸受31に支持されたシャフト33の軸受付近に水平に張り出した横方向張出部材34が取り付けられている。一方、ベアリングボール32の外枠には回転制限部材35が取り付けられている。横方向張出部材34と回転制限部材35はばね部材36で結合されている。ばね部材36は横方向張出部材34つまりはシャフト33で支持された遠隔構造物検査用無人飛行機本体を常に水平に保つのに十分な剛性を有する。ただし、網枠が面に押し付けられた状態で遠隔構造物検査用小型無人飛行機が前進・後進しようとする際の機体傾斜の回転力が作用するとばね部材36が縮んで機体の傾斜を許容する。機体の傾斜が大きくなると横方向張出部材34が回転制限部材35にあたり、それ以上の傾きを防ぐ。
【0028】
遠隔構造物検査用無人飛行機本体の前後進速度は、機体の傾きが大きくなるほど増加する。ここでは、遠隔構造物付着後に高速移動する必要が無いので、最大回転角度を15度とする。
【0029】
上記したように、
(1)まず、機体重量の軽減、制御系の簡単化を考慮して、小型無人飛行機(ドローン)17の飛行制御を活用する構造とした。網枠1、11、ボールベアリング2、軸受4,22などは、極力軽量のものを用いる。
【0030】
(2)ボールベアリング2は、網枠1と検査すべき構造物の面を平行に保ちながら円滑に移動するためのものであり、多方向に回転する。
【0031】
(3)ガイドゴムローラー3は、摩擦の大きいゴムなどでできたローラーとし、1方向のみに回転する。無人飛行機(網枠)17が面上で安定して1方向に移動するようガイドする役割を果たす。小型無人飛行機17が回転する際にはそれぞれ逆方向に回転することにより、それを許容する。
【0032】
図5は本発明の遠隔構造物の検査用小型無人飛行機の傾斜による水平移動態様を示す模式図である。
【0033】
この図において、41は遠隔構造物検査用小型無人飛行機、42はそのシャフト、43はボールベアリング、44は記録用カメラ、45は網枠、46は橋桁、47は橋桁の下面である。
【0034】
このように、遠隔構造物検査用小型無人飛行機41のシャフト42を傾けることにより、網枠45をボールベアリング43により橋桁46の下面47を微小移動させることができる。
(1)橋桁下などはGPSを受信できず遠隔構造物検査用小型無人飛行機の操縦が困難になる場合が多いが、本発明では、橋桁下面に付着した後は、小型無人飛行機に十分な上昇力を与えることにより高度が一定に維持されるので、前後進および回転の制御だけで移動でき、カメラ情報を参考にしながら橋桁下面等を自由に任意箇所に移動できる。
(2)ガイドローラーの回転量を計測する装置を追加することによって、ガイドローラーの回転量で移動距離を計測することができる。また、ガイドローラーの回転量を用いて等間隔での撮影、測定などを実施することができる。
(3)直方体の網枠の形状を利用して構造物下面の縁端部等をガイドにして直進することができる。(この場合はガイドゴムローラー不要)
(4)網枠の構造を利用して網枠の外側の任意の位置にカメラ、センサ等を固定することができる。
(5)先に示したように、軸受は小型無人飛行機のプロペラ面と網枠上面とが平行になる状態を定位とし、その位置に戻るようシャフトに常に回転力を与える。前進後進時は小型無人飛行機の機体の回転力によりシャフトが回転する。小型無人飛行機の機体が網枠内で大きく回転して網枠と小型無人飛行機のプロペラが接触したり、機体が制御不能になったりすることを防ぐため、機体の前進・後進に必要な角度に達するとそれ以上に回転しない機構とする。
【0035】
図6は本発明の他の実施例を示す検査すべき対象物からの逸脱防止手段を施した飛行体を利用した遠隔構造物検査装置の模式図であり、
図6(a)はその上面図、
図6(b)はその正面図、
図6(c)はその側面図である。
【0036】
図7は本発明の他の実施例を示す検査すべき対象物からの逸脱防止手段を施した飛行体を利用した遠隔構造物検査システムの模式図であり、
図7(a)はその上面図、
図7(b)はその側面図である。
【0037】
これらの図において、51は遠隔構造物検査装置の逸脱防止装置、52は円錐形状の車輪、53は横方向回転車輪である。
【0038】
この実施例では、網枠四隅に円錐形状の車輪52を配置することにより、その円錐形状の車輪52が付着面端部を超えると網枠と付着面の距離が狭まり、円錐形状の車輪52付近に設けた横方向回転車輪53が付着面に接地して機体の向きを付着面内に戻す。
【0039】
このように、この逸脱防止装置51は、円錐形状の車輪52と常に回転する横方向回転車輪53とで構成される。
【0040】
つまり、この実施例では、遠隔構造物の下面または側面の端部に遠隔構造物検査装置の機体がさしかかると、勝手に向きを変えて遠隔構造物の面の内側に前記機体を戻し、遠隔構造物の面の端部から遠隔構造物検査装置の網枠が外れてしまい、面からの逸脱や転倒事故を起こすことを防止することができ、信頼性を向上させることができる(上記非特許文献3参照)。
【0041】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。