特許第6199457号(P6199457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6199457
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】容器アセンブリ及び冷凍方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20170911BHJP
   F25D 13/00 20060101ALN20170911BHJP
   A23L 17/60 20160101ALN20170911BHJP
【FI】
   B65D85/50 A
   !F25D13/00 A
   !A23L17/60 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-167234(P2016-167234)
(22)【出願日】2016年8月29日
【審査請求日】2016年11月21日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516259907
【氏名又は名称】杉山水産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆義
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−085773(JP,A)
【文献】 特開2002−002801(JP,A)
【文献】 特開2005−212819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
A23L 17/60
F25D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ多数の空気流通孔を有する底板及び側板を有して上方に開放し、ある程度の弾性を有する冷凍される海藻類である対象物が収容される容器本体と、
前記容器本体の上端部の内周に対応した外周を有して該上端部の内側に配置され、該容器本体に収容された対象物を上から全体的に覆う板状のカバー部材と、
前記容器本体の上端部の内側に配置されたカバー部材の上面に異なる位置で渡される少なくとも2本の棒状の押圧固定部材とを備え、
前記側板の上端部には、前記カバー部材の上面に渡される各押圧固定部材の両端部がそれぞれ挿入され、前記カバー部材の押し下げが解除されて前記容器本体に収容された対象物が前記カバー部材を押し上げる力によって該両端部が固定される固定孔の対が少なくとも2つ設けられ、
前記押圧固定部材の一方の端部が90°に折り曲げられていると共に、前記固定孔は横長の形状となっていることを特徴とする容器アセンブリ。
【請求項2】
前記容器本体は、前記底板側から上方に向かって拡がっていることを特徴とする請求項1に記載の容器アセンブリ。
【請求項3】
前記カバー部材は、合成樹脂製で可撓性を有し、前記押圧固定部材は、金属製で可撓性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器アセンブリ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの容器アセンブリを用いてある程度の弾性を有する海藻類である対象物を冷凍する冷凍方法であって、
前記容器アセンブリの容器本体に対象物を配置する第1工程と、
前記第1工程の後、前記容器アセンブリのカバー部材を対象物の上に配置して該カバー部材を押し下げることにより、対象物を前記容器本体内に押し込めながら、対象物を上から全体的に覆うように、該カバー部材を該容器アセンブリの容器本体の上端部の内側に配置する第2工程と、
前記第2工程の後、前記容器アセンブリの少なくとも2本の各押圧固定部材の両端部を前記容器本体の対応する固定孔の対に挿入して折り曲げられた部分を固定孔の外側の前記側板に当てた状態で前記押し下げを解除することにより、対象物が前記カバー部材を押し上げる反発力によって該両端部を対応する固定孔の対に固定させ、該容器アセンブリによる対象物の収容を完了する第3工程と、
対象物の収容が完了した複数の前記容器アセンブリを、冷凍庫内において、高さ方向についてはスペーサを挟んで縦、横、高さ方向に隙間を介在させながら配列する第4工程と、
前記第4工程の後、前記冷凍庫内で前記容器アセンブリ内の対象物を冷凍する第5工程とを備えることを特徴とする冷凍方法。
【請求項5】
各容器アセンブリの容器本体は、所定の前記縦方向の寸法、これよりも大きい前記横方向の寸法、及びこれらの寸法よりも小さい前記高さ方向の寸法を有し、
前記第4工程では、前記スペーサとして、角材が前記縦方向に沿って配置されることを特徴とする請求項4に記載の冷凍方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めかぶなどの対象物を収容するための容器アセンブリ、及び該容器アセンブリを利用して対象物を冷凍する冷凍方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開放した容器本体に魚の片身のような対象物を配置するとともに、対象物が移動しないように対象物を押さえて容器内に収容するようにした容器の構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の容器の構造においては、容器の対向する側面部間に帯状体を掛け渡すことにより、対象物を押さえるようにしている。帯状体の掛け渡しは、帯状体の両端部に設けられた係止部を、容器本体の側板に設けた複数の係止孔のいずれかに固定することにより行われる。この固定は、合成樹脂で形成された帯状体の弾性を利用して着脱自在に行われる。
【0004】
対象物が収容された容器は、帯状体により対象物が抑えられているので、対象物が移動するおそれなく、冷凍庫内で積み重ねて配列することができる。冷凍庫内に配列された容器内の対象物は、容器本体の側板の複数の係止孔を通る冷気によって、効率的に冷凍される。
【0005】
一方、めかぶのように、各単位が魚の片身より小さく、かつ形状が一定していない対象物については、従来、ビニール袋に入れて段ボール箱に収容した状態で冷凍し、保管・出荷するのが一般的である。対象物の冷凍に際しては、対象物を収容した段ボール箱が冷凍庫内に積み重ねて配列され、段ボール箱とともに冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−203884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の容器によれば、複数の帯状体で対象物を押さえるようにしているので、めかぶのような小さくて形状が一定していない対象物を収容するには適していない。
【0008】
一方、段ボール箱を用いて冷凍・保管・出荷する場合には、段ボール箱は出荷先で廃棄されるため、その都度、段ボール箱の購入費用や段ボール箱を廃棄する費用を要する。さらに、段ボール箱に収容した状態でめかぶなどを冷凍する場合、冷凍が完了するまでに比較的長時間を要する。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、めかぶなどの収容、冷凍及び出荷に適した容器アセンブリ及び冷凍方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の容器アセンブリは、
それぞれ多数の空気流通孔を有する底板及び側板を有して上方に開放し、ある程度の弾性を有する冷凍される海藻類である対象物が収容される容器本体と、
前記容器本体の上端部の内周に対応した外周を有して該上端部の内側に配置され、該容器本体に収容された対象物を上から全体的に覆う板状のカバー部材と、
前記容器本体の上端部の内側に配置されたカバー部材の上面に異なる位置で渡される少なくとも2本の棒状の押圧固定部材とを備え、
前記側板の上端部には、前記カバー部材の上面に渡される各押圧固定部材の両端部がそれぞれ挿入され、前記カバー部材の押し下げが解除されて前記容器本体に収容された対象物が前記カバー部材を押し上げる力によって該両端部が固定される固定孔の対が少なくとも2つ設けられ、
前記押圧固定部材の一方の端部が90°に折り曲げられていると共に、前記固定孔は横長の形状となっていることを特徴とする。
【0011】
第1発明において、容器アセンブリに対象物を収容する際には、まず、容器本体内に対象物を投入し、その上にカバー部材を載せてカバー部材を上から押すことにより、対象物を容器本体内に押し込めながら、カバー部材を容器本体の上端部の内側に配置する。次に、この状態で、押圧固定部材を一方の端部の側から、固定孔の対の一方に挿入してカバー部材の上に渡し、該端部を固定孔の対の他方の側に挿入する。
【0012】
これにより、押圧固定部材がカバー部材の上に渡され、押圧固定部材の両端部が固定孔の対の一方及び他方にそれぞれ挿入されたことになる。同様に他の押圧固定部材についても、その両端部を、対応する固定孔の対に挿入する。
【0013】
その後、カバー部材を押す力を解除することにより、対象物の弾性力がカバー部材を上方に押し上げるのを許容する。これによって、カバー部材上の各押圧固定部材の両端部が、対応する固定孔の対に押し当てられて固定されるので、カバー部材が対象物をしっかり押さえ込んで固定された状態となり、対象物の収容が完了する。
【0014】
このように、第1発明の容器アセンブリによれば、容器本体にカバー部材で対象物を押し込めて押圧固定部材を挿入するだけで、対象物を、容易かつ効率的に収容することができる。対象物が収容された容器アセンブリは、容器本体の底板及び側板に多数の空気流通孔を有するので、冷凍庫内で相互に間隔を開けて縦、横、高さ方向に配列することにより、冷凍のための冷気を効果的に各容器アセンブリ内の対象物に作用させることができる。
【0015】
また、冷凍された容器アセンブリ内の対象物は、容器アセンブリに収容したまま保管し、出荷することができる。そして、容器アセンブリを構成する容器本体、カバー部材及び押圧固定部材は、出荷先で回収し、出荷元に戻して再利用できるように構成することができる。したがって、第1発明によれば、めかぶなどの収容、冷凍及び出荷に適した容器アセンブリを提供することができる。
【0017】
また、発明によれば、容器本体の固定孔に押圧固定部材を挿入するとき、折り曲げられた部分が固定孔に当たることによって挿入量が適切に決定される。したがって、押圧固定部材を固定孔に挿入する作業の効率を向上させることができる。
【0018】
発明に係る容器アセンブリは、第1発明において、前記容器本体は、前記底板側から上方に向かって拡がっていることを特徴とする。
【0019】
発明によれば、容器アセンブリ内に収容された状態で冷凍された対象物を、押圧固定部材を引き抜いてカバー部材を取り外し、容器本体を逆さまにすることによって、対象物を容易に容器本体から取り出すことができる。
【0020】
発明に係る容器アセンブリは、第1又は第2発明において、前記カバー部材は、合成樹脂製で可撓性を有し、前記押圧固定部材は、金属製で可撓性を有することを特徴とする。
【0021】
発明によれば、対象物を容器アセンブリに収容する際に、押圧固定部材を容器本体の固定孔に挿入してカバー部材上に渡すとき、カバー部材及び押圧固定部材は、対象物の形状に合わせてある程度変形するので、容器本体に対するカバー部材及び押圧固定部材の取付けを容易かつ効率的に行うことができる。
【0022】
発明に係る冷凍方法は、
請求項1〜3のいずれかの容器アセンブリを用いてある程度の弾性を有する海藻類である対象物を冷凍する冷凍方法であって、
前記容器アセンブリの容器本体に対象物を配置する第1工程と、
前記第1工程の後、前記容器アセンブリのカバー部材を対象物の上に配置して該カバー部材を押し下げることにより、対象物を前記容器本体内に押し込めながら、対象物を上から全体的に覆うように、該カバー部材を該容器アセンブリの容器本体の上端部の内側に配置する第2工程と、
前記第2工程の後、前記容器アセンブリの少なくとも2本の各押圧固定部材の両端部を前記容器本体の対応する固定孔の対に挿入して折り曲げられた部分を固定孔の外側の前記側板に当てた状態で前記押し下げを解除することにより、対象物が前記カバー部材を押し上げる反発力によって該両端部を対応する固定孔の対に固定させ、該容器アセンブリによる対象物の収容を完了する第3工程と、
対象物の収容が完了した複数の前記容器アセンブリを、冷凍庫内において、高さ方向についてはスペーサを挟んで縦、横、高さ方向に隙間を介在させながら配列する第4工程と、
前記第4工程の後、前記冷凍庫内で前記容器アセンブリ内の対象物を冷凍する第5工程とを備えることを特徴とする。
【0023】
発明によれば、第1〜第発明に係る容器アセンブリの利点を利用しながら、対象物を容器アセンブリ内に収容することができる。また、対象物の収容が完了した複数の容器アセンブリを、冷凍庫内において縦、横、高さ方向に隙間を介在させて配列し、対象物を冷凍するようにしたので、容器アセンブリの多数の空気流通孔を介して冷気を効果的に対象物に作用させながら冷凍を行うことができる。
【0024】
発明は、第発明において、
各容器アセンブリの容器本体は、所定の前記縦方向の寸法、これよりも大きい前記横方向の寸法、及びこれらの寸法よりも小さい前記高さ方向の寸法を有し、
前記第4工程では、前記スペーサとして、角材が前記縦方向に沿って配置されることを特徴とする。
【0025】
発明によれば、各容器アセンブリの高さ方向の隙間を容易かつ安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る容器アセンブリの構成を示す斜視図である。
図2図1の容器アセンブリについての対象物としてのめかぶを収容した状態の斜視図である。
図3】冷凍庫内で対象物を縦、横、高さ方向に配列する様子を示す斜視図である。
図4図1の容器アセンブリを用いてめかぶを冷凍する手順を示すフローチャートである。
図5図4のように冷凍庫内で容器アセンブリを配列してめかぶを冷凍する場合のめかぶの温度変化を、従来技術の場合と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る容器アセンブリ1は、対象物が収容される容器本体2と、容器本体2の上端部の内側に配置される板状のカバー部材3と、カバー部材3の上面に異なる位置で渡される2本の棒状の押圧固定部材4とを備える。
【0028】
容器本体2は、底が比較的浅い直方体形状を有し、底板5と、四方の側面を形成する4枚の側板6a〜6dとで構成され、底板5側から上方に向かって拡がりつつ、上方に開放している。
【0029】
容器本体2は、所定の縦方向の寸法、これよりも大きい横方向の寸法、及びこれらの寸法よりも小さい高さ方向の寸法を有し、側板6a及びこれに対向する側板6bは、側板6c及び6dよりも長い。底板5と各側板6a〜6dは、それぞれ多数の空気流通孔7を有する。
【0030】
カバー部材3は、合成樹脂製で可撓性を有し、容器本体2の上端部の内周に対応した外周を有する。押圧固定部材4は、金属製で可撓性を有し、一方の端部である後端部は90°程度折り曲げられている。
【0031】
側板6c及び6dの上端部には、押圧固定部材4をカバー部材3の上面に渡すために、各押圧固定部材4を通してその両端部が挿入される固定孔8の対が設けられる。固定孔8の対は、押圧固定部材4毎に設けられる。
【0032】
図4は、容器アセンブリ1を用いて対象物としてのめかぶを冷凍する手順を示す。図4に示すように、まず、ステップS1において、容器アセンブリ1の容器本体2内に、10Kg程度のめかぶを入れたビニール袋を配置する(第1工程)。このめかぶ入りのビニール袋の体積は、容器本体2内に配置したとき、容器本体2の上端より上にやや盛り上がる程度である。
【0033】
次に、ステップS2において、容器アセンブリ1のカバー部材3を、めかぶ入りのビニール袋の上に配置し、カバー部材3を押し下げることにより、めかぶを容器本体2内に押し込みながら、カバー部材3を容器アセンブリ1の側板6a〜6dの上端部の内側に配置する(第2工程)。
【0034】
次に、ステップS3において、容器アセンブリ1の各押圧固定部材4を側板6c及び6dの対をなす固定孔8に挿入してカバー部材3の押し下げを解除する(第3工程)。この挿入は、対をなす一方の固定孔8に押圧固定部材4の先端部を挿入し、そして、押し下げられたカバー部材3の上に押圧固定部材4を渡し、さらに、押圧固定部材4の先端部を他方の固定孔8に挿入することにより行われる。
【0035】
この挿入は、カバー部材3及び押圧固定部材4が可撓性を有するので、容易に行うことができる。この挿入後にカバー部材3の押し下げが解除されると、めかぶからの反発力によって各押圧固定部材4が固定孔8に固定され、容器アセンブリ1によるめかぶの収容が完了する。このめかぶの収容が完了した状態の容器アセンブリ1が図2に示されている。
【0036】
次に、ステップS4において、めかぶの収容が完了した複数の容器アセンブリ1を、冷凍庫内において、縦、横、高さ方向に並べる(第4工程)。この縦、横、高さの方向は、容器本体2の縦、横、高さの方向と一致する。このとき、高さ方向については、スペーサとしての角材9を介在させながら、容器アセンブリ1を積み重ねる。また、このとき、角材9は、縦方向に沿って配置され、かつ各容器アセンブリ1の間を2本ずつ通るように配置される。
【0037】
このとき、縦及び横方向に、隣接する容器本体2の上端部同士が接するように配列したとしても、容器本体2が上方に向かって拡がっているので、その分、縦及び横方向については、自ずと隙間が生じる。これにより、各容器アセンブリ1の縦、横、高さ方向のすべての周囲に隙間が設けられながら、容器アセンブリ1が配列されることになる。
【0038】
次に、ステップS5において、冷凍庫内で各容器アセンブリ1内のめかぶを冷凍する(第5工程)。このとき、冷凍庫内の冷気は、容器アセンブリ1の各容器本体2の多数の空気流通孔7を経て、めかぶ入りのビニール袋に冷気が効率的に作用するので、効果的にめかぶの冷凍が行われる。
【0039】
このようにして冷凍されためかぶは、容器アセンブリ1ごと、冷凍車を用いて出荷される。容器本体2が上方に拡がった形状を有するので、出荷先では、各容器アセンブリ1について押圧固定部材4を引き抜いてカバー部材3を取り外し、容器本体2を逆さまにすることにより、容易に袋入りのめかぶを容器本体2から取り出すことができる。めかぶを取り出した容器アセンブリ1は、出荷元に戻されて再びめかぶの出荷に利用される。
【0040】
図5のグラフは、このようにしてめかぶを冷凍する場合のめかぶの温度変化の一例をグラフ曲線10で示している。このグラフには、従来の段ボール箱にめかぶを収容して冷凍する場合の温度変化の一例がグラフ曲線11により併せて示されている。グラフの横軸は時刻(24時間表示)、縦軸は温度(℃)である。
【0041】
グラフ曲線10は、冷凍庫内に520個の容器アセンブリ1(めかぶ5200Kg分)を図3のように配列し、17時45分に、庫内の温度が6.5℃の状態から冷却を開始し、翌日の出荷時刻である8時まで冷却してめかぶを冷凍した場合のめかぶの温度変化を示している。グラフ曲線11は、同用の量のめかぶを従来のように段ボールに収容して冷凍庫内に配列したこと以外は同様にして冷凍を行った場合の温度変化を示している。
【0042】
グラフ曲線10及び11を比較して理解されるように、容器アセンブリ1を使用して冷凍した場合の方が、従来の段ボール箱を使用して冷却した場合よりも格段に高い効率で冷凍が行われることがわかる。この理由の一つとして、段ボール箱を使用する場合には、段ボール箱自体が冷却するのに長時間を要するからであると考えられる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、容器本体2にカバー部材3で袋入りのめかぶを押し込めて押圧固定部材4を挿入するだけで、めかぶを、容易かつ効率的に容器アセンブリ1内に収容することができる。
【0044】
また、容器本体2の底板5及び側板6a〜6dに多数の空気流通孔7を有するので、めかぶが収容された容器アセンブリ1を冷凍庫内で隙間を開けて配列することにより、冷気を効果的にめかぶに作用させてめかぶを冷凍することができる。
【0045】
また、めかぶが収容された容器アセンブリ1は、そのままの状態で保管及び出荷することができる。そして、容器アセンブリ1を構成する容器本体2、カバー部材3及び押圧固定部材4は、使用後に容易に回収して再利用することができる。したがって、容器アセンブリ1によれば、めかぶの冷凍・保管・出荷を底コストで効率的に行うことができる。
【0046】
また、押圧固定部材4の一方の端部は、折り曲げられているので、容器本体2の固定孔8に押圧固定部材4を挿入するとき、折り曲げられた部分が固定孔のまわりに当たることによって挿入量が適切に決定される。したがって、押圧固定部材4を固定孔8に挿入する作業の効率を向上させることができる。
【0047】
また、容器本体2は、底板5側から上方に向かって拡がっているので、容器アセンブリ1により収容されている冷凍されためかぶを、押圧固定部材4を引き抜いてカバー部材3を取り外し、容器本体2を逆さまにするだけで、容易に取り出すことができる。
【0048】
また、カバー部材3は、合成樹脂製で可撓性を有し、押圧固定部材4は、金属製で可撓性を有する。このため、めかぶ入りの袋を容器アセンブリ1内に収容する際に、押圧固定部材4を容器本体2の固定孔8に挿入してカバー部材3上に渡すとき、めかぶ入り袋の形状に合わせてカバー部材3及び押圧固定部材4がある程度変形する。したがって、カバー部材3及び押圧固定部材4の取付けを容易かつ効率的に行うことができる。
【0049】
また、めかぶを冷凍する際に、冷凍庫内において、高さ方向については角材9を介在させながら、縦、横、高さ方向に並べてめかぶを冷凍するようにしたので、容器アセンブリ1の多数の空気流通孔7を介して冷気を効果的にめかぶに作用させながら冷凍を行うことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、容器本体2の上から見た形状は、長方形以外の形状、例えば、円形や楕円形であってもよい。
【0051】
また、カバー部材3には、通気用の孔が開いていてもよい。これによれば、さらに冷気を効果的にめかぶに作用させてめかぶの冷凍を効率的に行うことができる。
【0052】
また、押圧固定部材4は、3本以上であってもよい。これに対応して、固定孔8の対を3以上設けてもよい。これにより、より安定した状態で、めかぶを容器アセンブリ1内に収容することができる。
【0053】
また、容器アセンブリ1やこれを用いた冷凍方法は、めかぶに限らず、ある程度の弾性を有するようなひじきなどの海藻類や、他の生鮮食品などにも適用することができる。
【0054】
また、固定孔の形態は、上記の固定孔8に限定されない。例えば、各押圧固定部材4に共通の貫通した孔であってもよい。また、一部が開いた(欠けた)孔であって、押圧固定部材4を孔の軸方向に通す必要なく、押圧固定部材4の両端部を、該孔の開いた部分から直接該孔内に嵌合して挿入できるような孔であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…容器アセンブリ、2…容器本体、3…カバー部材、4…押圧固定部材、5…底板、6a〜6d…側板、7…空気流通孔、8…固定孔、9…角材、10、11…グラフ曲線。
【要約】
【課題】めかぶなどの収容及び冷凍に適した容器アセンブリ及び冷凍方法を提供する。
【解決手段】容器アセンブリ1は、多数の空気流通孔7を有する底板5及び側板6a〜6dを有して上方に開放し、めかぶが収容される容器本体2と、容器本体2の上端部の内側に配置される板状のカバー部材3と、カバー部材3の上面に異なる位置で渡される2本の押圧固定部材4とを備える。側板6c、6dの上端部には、押圧固定部材4をカバー部材3の上面に渡すために、その両端部がそれぞれ挿入されて固定される固定孔8の対が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5