(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記起動検出回路は、前記整流回路による整流後の電圧に基づく電圧が印加されるツェナーダイオードと、前記ツェナーダイオードの両端間電圧に基づく電圧が入力されるRC直列回路と、前記RC直列回路の出力電圧と基準電圧とが入力されるコンパレータと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)は低消費電流で長寿命などの特徴を有し、表示装置だけでなく照明器具等にもその用途が広がりつつある。
【0003】
このようなLEDを駆動するための電源装置の従来例を
図8に示す。
図8に示す従来の電源装置100は、ダイオードブリッジDB1と、力率改善回路101と、LEDドライバ回路102を備えている。電源装置100は、力率改善回路101とLEDドライバ回路102を備えた2コンバータ方式が採用された高品質な電源装置となっている。この目的は、力率改善と電源電圧変動に対するLEDのチラツキ抑制である(なお、力率改善回路の従来例は例えば特許文献1参照)。
【0004】
第1入力端子Tin1と第2入力端子Tin2に印加された交流電圧Vacは、ダイオードブリッジDB1に入力されて、全波整流される。整流後の電圧は、ダイオードブリッジDB1の出力側に接続された力率改善回路101に入力される。
【0005】
昇圧型の力率改善回路101は、抵抗R1〜R5、コイルL1、ダイオードD1、スイッチング素子Q1、出力コンデンサC1、及び制御回路101Aを備えている。ダイオードブリッジDB1の一方の出力端に一端を接続された電源入力ラインLn1の他端にコイルL1の一端が接続され、コイルL1の他端にダイオードD1のアノードが接続される。
【0006】
電源入力ラインLn1と基準ラインLn2の間には、入力電圧検出用の抵抗R1と抵抗R2が直列に接続される。コイルL1とダイオードD1の接続点と、ラインLn2の間には、nチャネルMOSFETであるスイッチング素子Q1と、スイッチング電流検出用の抵抗R3が直列に接続される。ダイオードD1のカソードとラインLn2の間には、出力電圧検出用の抵抗R4と抵抗R5が直列に接続される。また、抵抗R4とR5の直列回路に並列に出力コンデンサC1が接続される。制御回路101Aは、スイッチング素子Q1のゲートに駆動信号を送ることでスイッチング素子Q1をオンオフ制御する。
【0007】
スイッチング素子Q1がオンにされると、電源入力ラインLn1からコイルL1、スイッチング素子Q1を介して電流が流れることでコイルL1に励磁エネルギーが蓄積される。そして、スイッチング素子Q1がオフにされると、コイルL1に蓄積された励磁エネルギーによってダイオードD1を介して電流が出力側に流れる。
【0008】
制御回路101Aは、入力電圧を抵抗R1とR2により分圧した後の電圧(即ち入力電圧の検出信号)と、出力電圧を抵抗R4とR5により分圧した後の電圧(即ち出力電圧の検出信号)に基づいて目標電流値を決定する。そして、制御回路101Aは、スイッチング素子Q1がオン状態でコイルL1に流れる電流が増加し、抵抗R3によって電流から変換された電圧値が上記決定された目標電流値に対応する電圧値に達したタイミングにて、スイッチング素子Q1をオフとする制御を行う。これにより、電源入力ラインLn1に流れる入力電流を正弦波である入力電圧波形と近似した波形に制御しつつ、出力電圧(出力コンデンサC1の両端電圧)を一定とするよう制御する。
【0009】
また、力率改善回路101の出力側には、LEDドライバ回路102が接続される。LEDドライバ回路102は、第1出力端子Tout1と第2出力端子Tout2の間に接続される不図示のLED負荷に流れる電流を一定にするよう制御を行う出力定電流制御回路である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、コイルの巻線は流れる電流により磁界を発生させるので、スイッチング電源のように巻線に流れる電流が常時変化する場合は巻線電流が引き起こす磁界が振動することとなる。この振動する磁界によってコイルのコアが振動するため、コイルを固定する部材や実装基板などを揺らすことになり、音鳴りが発生する。
【0012】
上記従来の力率改善回路101においては、交流電圧Vacを印加開始する起動時には、出力電圧は目標値に達していないために、制御回路101Aが先述した制御によって目標電流値を大きい値に設定することによりスイッチング素子Q1のオン時間が長く設定される。すると、コイルL1の巻線に流れる電流に過電流が生じて、コイルL1のコアの振動が大きくなり、大きな音鳴りが発生する。
【0013】
特に、電源装置100を薄型にできると、照明器具を下から見たときに発光部のみが見えるような形状を実現できて外観を綺麗にすることができるので、コイルL1を薄型化することが考えられる。コアの体積を一定のままコイルを薄型化すると、コイルは巻線の巻き方向と垂直な方向に長くなる。これにより、コアは巻線の起こす磁界の影響を大きく受けるため、振動が大きくなる。このため、コイルを薄型化すると、起動時に発生する音鳴りが大きくなる傾向となる。
【0014】
また、力率改善回路の制御回路にソフトスタート機能があれば、起動時にスイッチング素子のオン時間が長くなることはないが、使用できる制御回路の種類が制限されてしまう。
【0015】
上記状況に鑑み、本発明は、起動時に音鳴りの発生を抑制することのできる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明の電源装置は、
交流電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側に接続され、コイル又はトランスと、スイッチング素子を備える力率改善回路と、
前記力率改善回路の出力側に接続され、出力側に接続されるLED負荷を駆動するためのドライバ回路と、を備え、
前記力率改善回路は、
出力電圧の検出信号と前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流の検出信号に基づいて前記スイッチング素子のON/OFF制御を行うON/OFF制御部と、
前記スイッチング電流を検出するための電流検出端子に接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗に直列接続された第2の抵抗と、
起動検出回路と、
前記起動検出回路の検出信号に応じて前記第2の抵抗をショートさせるか否かを切替えるショート切替部と、を更に備える構成としている。
【0017】
また、上記構成において、前記起動検出回路は、前記整流回路による整流後の電圧に基づく電圧が印加されるツェナーダイオードと、前記ツェナーダイオードの両端間電圧に基づく電圧が入力されるRC直列回路と、前記RC直列回路の出力電圧と基準電圧とが入力されるコンパレータと、を備えることとしてもよい。
【0018】
また、上記いずれかの構成において、
前記ドライバ回路は、
第2のスイッチング素子と、
第2のコイルと、
出力コンデンサと、
外部から入力される外部調光信号に応じて出力電流を制限するように前記第2のスイッチング素子をスイッチングするドライバICと、
前記ドライバICの前記第2のスイッチング素子を駆動するための駆動端子と前記ドライバICのグランド端子の間に接続されるショットキーダイオードと、を備えることとしてもよい。
【0019】
また、上記いずれかの構成において、
前記ドライバ回路は、
第2のスイッチング素子と、
第2のコイルと、
出力コンデンサと、
前記第2のスイッチング素子をスイッチングするドライバ部と、
外部から入力される外部調光信号と出力電流の検出信号に基づいて出力電流を制限するよう制御する制御ICと、を備え、
前記制御ICの電流検出端子とグランド端子の間に接続される第1のショットキーダイオードと、前記制御ICの前記外部調光信号に基づいた調光信号を入力させるための入力端子とグランド端子の間に接続される第2のショットキーダイオードの少なくともいずれかを更に備えることとしてもよい。
【0020】
また、本発明の照明器具は、上記いずれかの構成である電源装置と、前記電源装置の出力側に接続されるLED負荷と、を備えることとしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、起動時に音鳴りの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下、先述した従来例に係る
図8の構成と同様の構成については同一の符号を付し、詳述を省略する場合がある。
【0024】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るLED照明器具の回路の全体構成を
図1に示す。
図1に示すLED照明器具の回路は、電源装置1とLED負荷50を備えている。電源装置1は、ダイオードブリッジDB1と、力率改善回路11と、LEDドライバ回路12から構成される。LED負荷50は、LEDドライバ回路12の出力側に接続されており、複数のLED素子が直列接続されて構成されている。なお、LED負荷はこれに限らず、例えば単数のLED素子のみで構成されていたり、複数のLED素子が直並列に接続されて構成されていてもよい。
【0025】
第1入力端子Tin1と第2入力端子Tin2の間に印加される交流電圧Vacは、ダイオードブリッジDB1によって全波整流され、整流後の電圧が力率改善回路11に入力される。力率改善回路11は、力率改善を行いつつ、所定の一定電圧をLEDドライバ回路12へ出力する。降圧型のLEDドライバ回路12は、LED負荷50に一定の電流を流すようLED負荷50を駆動する。
【0026】
力率改善回路11とLEDドライバ回路12の詳細な回路構成(電源装置1の構成)を
図2に示す。
【0027】
図2に示すように、力率改善回路11の基本的な構成は、
図8に示した力率改善回路101と同様である。
図8との構成の相違点は、起動検出回路11A、抵抗R6、及び抵抗R6をショートさせるためのスイッチング素子Q2である。これらの相違点の詳細については、後述する。
【0028】
力率改善回路11の出力側に接続されたLEDドライバ回路12は、
図2に示すように、スイッチング素子Q12、コイルL12、ダイオードD12、抵抗R11〜R13、出力コンデンサC12、制御回路12A、及びLEDドライバIC12Bを備えている。
【0029】
nチャネルMOSFETであるスイッチング素子Q12とダイオードD12は直列に接続される。接続関係をより具体的に述べると、スイッチング素子Q12のドレインがダイオードD1のカソードに接続され、ソースがダイオードD12のカソードに接続される。ダイオードD12のアノードは、基準ラインLn2に接続される。
【0030】
スイッチング素子Q12のソースとダイオードD12のカソードとの接続点には、コイルL12の一端が接続される。コイルL12の他端は、第1出力端子Tout1に接続される。基準ラインLn2は抵抗R11を介して第2出力端子Tout2に接続される。第1出力端子Tout1と第2出力端子Tout2の間には、抵抗R12とR13が直列に接続される。また、出力コンデンサC12は、抵抗R12とR13の直列回路と並列に接続される。
【0031】
そして、第1出力端子Tout1と第2出力端子Tout2の間には、LED負荷50(
図1)が接続される。
【0032】
LEDドライバIC12Bは、制御回路12Aからの指令信号に基づき、スイッチング素子Q12のゲートに駆動信号を送り、スイッチング素子Q12をオンオフ制御する。スイッチング素子Q12がオンの場合、ダイオードD12はオフとなり、スイッチング素子Q12を介してコイルL12に流れる電流は増加する。スイッチング素子Q12がオフとなると、ダイオードD12がオンとなり、ダイオードD12を介して流れるコイルL12の電流は減少する。
【0033】
制御回路12Aは、電流検出用の抵抗R11によりLED負荷50に対する出力電流から変換された電圧信号を監視し、出力電流が所定の電流閾値を上回ったことを検出すると、LEDドライバIC12Bに対して出力電流の電流値を下げてスイッチング素子Q12を駆動するよう指令信号を送る。これにより、出力電流を一定に制御している。
【0034】
また、負荷が無負荷となった場合、出力電圧が上昇するが、制御回路12Aは、抵抗R12とR13により出力電圧を分圧した電圧に基づきこれを検出し、スイッチング素子Q12をオフとして、出力電圧がそれ以上上昇しないようにする。即ち、出力過電圧保護を行うことができる。
【0035】
次に、力率改善回路11における特徴について説明する。起動検出回路11Aは、抵抗R7〜R10、ツェナーダイオードZ1、コンデンサC2、及びコンパレータCP1を備えている。電源入力ラインLn1と基準ラインLn2との間に、抵抗R7、R8及びR9が直列に接続される。抵抗R8とR9の直列回路の両端にはツェナーダイオードZ1が接続される。ツェナーダイオードZ1のカソードが抵抗R8の一端に、アノードが抵抗R9の一端に接続される。
【0036】
抵抗R8とR9との接続点には、抵抗R10とコンデンサC2が直列接続されてなるRC直列回路の入力端が接続され、当該RC直列回路の出力端にコンパレータCP1の+入力端子が接続される。コンパレータCP1の−入力端子には、基準電圧Vrefが印加される。
【0037】
コンパレータCP1の出力端は、nチャネルMOSFETであるスイッチング素子Q2のゲートに接続される。一端が制御回路101Aの電流検出端子Tiに接続され、スイッチング素子Q1に流れる電流を検出するための抵抗R3が、抵抗R6と直列に接続される。抵抗R6の一端は基準ラインLn2に接続される。そして、スイッチング素子Q2のドレイン、及びソースが抵抗R6の各端部に接続される。
【0038】
ここで、100Vの交流電圧(AC電圧)Vac(ピーク電圧が±141V)が第1入力端子Tin1と第2入力端子Tin2の間に印加されて起動したときの各部信号の波形を
図3に示す。
【0039】
交流電圧VacがダイオードブリッジDB1によって全波整流された後の電圧(
図3のAC整流後電圧)が、抵抗R7〜R9によって分圧され、ツェナーダイオードZ1の両端間に印加される。ツェナーダイオードZ1の両端間電圧は、印加電圧が降伏電圧以上では降伏電圧で一定となる(
図3の例では降伏電圧を6.8Vとしている)。
【0040】
そして、このようなツェナーダイオードZ1の両端間電圧を抵抗R8とR9によって分圧した電圧が、抵抗R10とコンデンサC2からなるRC直列回路に入力される。すると、RC回路の出力電圧、即ちコンパレータCP1の+入力端子電圧は、
図3に示すようにカーブを描きながら徐々に増加する。そして、コンパレータCP1の+入力端子電圧が基準電圧Vrefを上回ったタイミング(
図3のt1)にて、コンパレータCP1の出力電圧はLowレベルからHighレベルへ立ち上がる。これにより、起動が検出される。
【0041】
ここで、交流電圧Vacを200V(ピーク電圧が±282V)とした場合の
図3に対応した各部信号波形を
図4に示す。
図4に示すように、ツェナーダイオードZ1の両端間電圧の一定となる箇所は
図3と同様の降伏電圧となり、
図3と異なるのは降伏電圧以下となる箇所の幅となる。従って、コンパレータCP1の出力電圧がHighレベルに立ち上がるタイミング(
図4のt2)は、
図3の場合とほぼ変化しない。このように、起動検出回路11Aの構成であれば、起動の検出タイミングを交流電圧への依存が低いものとすることができる。
【0042】
ここで、先述したように、制御回路101Aは、入力電圧を抵抗R1とR2により分圧した後の電圧(即ち入力電圧の検出信号)と、出力電圧を抵抗R4とR5により分圧した後の電圧(即ち出力電圧の検出信号)に基づいて目標電流値を決定し、スイッチング素子Q1のオンにより増加するスイッチング電流が上記目標電流値に達したタイミングでスイッチング素子Q1をオフとする制御を行う。
【0043】
起動直後はコンパレータCP1の出力電圧はLowレベルであるのでスイッチング素子Q2はオフであり、抵抗R6がアクティブとなる。この場合、抵抗R3と抵抗R6による合成抵抗を電流検出用抵抗としてスイッチング電流が電圧信号に変換される。従って、制御回路101Aは、電流検出端子Tiに印加される上記電圧信号を監視することで、上記のようにスイッチング電流が上記目標電流値に達したことを検出する。
【0044】
通常の抵抗R3のみを電流検出用抵抗として用いる場合よりも抵抗R3とR6による合成抵抗のほうが抵抗値が大きいので、電圧信号の電圧値は通常より高めに生成される。従って、通常よりも早いタイミングで制御回路101Aはスイッチング電流が上記目標電流値に達したと判定するので、スイッチング素子Q1のオン時間が短くなる。これにより、起動直後において、コイルL1の巻線に流れる電流に過電流が生じることを抑止でき、コイルL1のコアの振動による音鳴りを抑制できる。
【0045】
特に、先述したように、電源装置1の薄型化に伴ってコイルL1を薄型化し、音鳴りが大きくなる傾向にある場合でも、起動直後における音鳴りを抑制することができる。また、ソフトスタート機能を有さない制御回路を用いても音鳴りを抑制できるので、制御回路の選択肢を広げることができる。
【0046】
また、コンパレータCP1の出力電圧は、起動から所定時間の経過後にHighレベルに立ち上がるので、スイッチング素子Q2がオンとなり、抵抗R6の両端間がショートされる。これにより、抵抗R6は機能しなくなり、電流検出用抵抗としては抵抗R3のみとなる。従って、制御回路101Aは、抵抗R3によりスイッチング電流から変換された電圧信号に基づいて通常の制御を行うことができる。
【0047】
なお、スイッチング素子Q2によりショートさせる抵抗は、単体に限らず複数の抵抗素子から構成されていてもよい。
【0048】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について述べる。本実施形態に係る電源装置の回路構成を
図5に示す。
図5に示す本実施形態に係る電源装置2においては、力率改善回路11は第1実施形態(
図2)と同様の構成であり、LEDドライバ回路21の構成が第1実施形態と異なる。
【0049】
LEDドライバ回路21においては、第1調光端子Dim1と第2調光端子Dim2間に印加される電圧信号である外部調光信号が調光インタフェース回路22に入力され、前記外部調光信号に基づいた調光信号が制御回路12A’に入力される。調光インタフェース回路22は、保護回路、整流回路、絶縁回路(フォトカプラ等)を含んでいる。
【0050】
制御回路12A’は、第1実施形態でも述べた通り、電流検出用の抵抗R11によりLED負荷50に対する出力電流から変換された電圧信号を監視し、出力電流が所定の電流閾値を上回ったことを検出すると、LEDドライバIC12Bに対して出力電流の電流値を下げてスイッチング素子Q12を駆動するよう指令信号を送る。LEDドライバICが例えば固定周波数でのスイッチング制御を行う場合は、オンデューティを小さくするよう指令する。これにより、出力電流を一定に制御している。
【0051】
本実施形態では、制御回路12A’に外部より入力される調光信号に応じて上記電流制限制御における上記電流閾値が可変設定される。これにより、調光信号に応じて出力電流の大きさを可変させることができるので、LED負荷50の調光を行うことが可能となる。
【0052】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係る電源装置の回路構成を
図6に示す。
図6に示す電源装置3が備えるLEDドライバ回路31の第2実施形態(
図5)におけるLEDドライバ回路21との構成上の相違点は、ショットキーダイオードSD1を備えることである。ショットキーダイオードSD1は、アノードがLEDドライバIC12Bのグランド端子GNDに接続され、カソードがLEDドライバIC12Bのスイッチング素子Q12を駆動するためのゲート駆動端子Tgに接続される。
【0053】
LEDドライバIC12Bが、第1調光端子Dim1及び第2調光端子Dim2間に印加される外部調光信号に基づき、スイッチング素子Q12を固定周波数でスイッチング制御する場合、スイッチング素子Q12のオン時間が短くなり、オフ時間が長くなる。
【0054】
スイッチング素子Q12がオフになるとコイルL12に流れる電流が減少するが、オフ時間が長い場合、電流がゼロを超えて減少し続けマイナスとなる。即ち、出力容量C12からコイルL12を介してスイッチング素子Q12の寄生容量Cpara1とダイオードD12の寄生容量Cpara2へ向けて電流が逆流する。すると、基板パターンの寄生抵抗成分によってLEDドライバIC12Bのゲート駆動端子Tgの電圧が負となり、LEDドライバIC12Bが誤動作を起こし、LED負荷(LEDドライバ回路31の出力側に接続)のチラツキの原因となる。LEDドライバIC12Bが誤動作するのは、端子に負電圧が印加されるとIC内部の寄生ダイオード又は保護ダイオードがオンとなり、大きな電流が流れてIC内部でのグランド電位が変化するからである。
【0055】
特に、LEDドライバ回路31の出力電圧が例えば150〜265V程度(又はこれ以上)の高い電圧である場合は、逆流する電流が大きくなるため、LED負荷50のチラツキが発生しやすい。一般にLEDドライバ回路では出力電圧が高く、出力電流が小さいほうが効率が良い。
【0056】
そこで、本実施形態ではショットキーダイオードSD1を設けている。ショットキーダイオードSD1は、寄生ダイオード又は保護ダイオードよりも順方向電圧が小さいので、電流が逆流した場合にショットキーダイオードSD1が先にオンとなり、ゲート駆動端子Tgの電圧が大きく負になることを防止し、寄生ダイオード又は保護ダイオードの動作を妨げることができる。従って、LEDドライバIC12Bの誤動作を防止し、LED負荷のチラツキを抑制できる。
【0057】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態に係る電源装置の回路構成を
図7に示す。本実施形態は第3実施形態の変形例であり、
図7に示した電源装置4が備えるLEDドライバ回路41においては、ショットキーダイオードSD2が設けられる。
【0058】
ショットキーダイオードSD2は、アノードがICである制御回路12A’のグランド端子GNDに接続され、カソードが制御回路12A’の電流検出端子Ti2に接続される。
【0059】
第3実施形態で述べたように、出力コンデンサC12からコイルL12を介してスイッチング素子Q12の寄生容量Cpara1とダイオードD12の寄生容量Cpara2へ向けて電流が逆流した場合、電流検出用の抵抗R11での電圧降下又は/及び基板パターンの寄生抵抗成分によって電流検出端子Ti2の電圧が負となり、ICである制御回路12A’が誤動作を起こす。しかしながら、本実施形態では、電流が逆流した場合に、順方向電圧の小さいショットキーダイオードSD2がオンとなるので、電流検出端子Ti2の電圧が大きく負となることを防止し、制御回路12A’の誤動作を防止できる。
【0060】
なお、同様の趣旨である本実施形態の変形例として、制御回路12A’の第1調光入力端子Td1と制御回路12A’の第2調光入力端子Td2の少なくともいずれかと、制御回路12A’のグランド端子GNDの間にショットキーダイオードを接続してもよい。制御回路12A’の調光入力端子の電圧は、出力コンデンサC12からコイルL12を介してスイッチング素子Q12の寄生容量Cpara1とダイオードD12の寄生容量Cpara2へ向けて電流が逆流した場合に基板パターンの寄生抵抗成分によって負になるためである。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、力率改善回路は昇圧方式に限るものではなく、また非絶縁方式に限るものではない。昇圧コイルを、トランスに置き換え絶縁フライバック方式の力率改善回路に変更することも可能である。このような構成でも本発明のように起動時にスイッチング素子の電流値を制限する構成にすれば、起動時においてトランスのコアの振動により生じる音鳴りを抑制することができる。