(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表皮材の一面に軟質ポリウレタンフォームシートが積層されたエンボス加工用複合材であって、前記軟質ポリウレタンフォームシートは、厚さが3〜15mmであり、100〜150℃の温度範囲における圧縮率が5〜40%の範囲である、エンボス加工用複合材。
前記軟質ポリウレタンフォームシートの100〜150℃の温度範囲における圧縮率が10〜30%の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンボス加工用複合材。
前記エンボス加工により形成された凹部における前記軟質ポリウレタンフォームシートの厚みが1.0mm以下であり、前記凹部の深さが3.0mm以上である、請求項7に記載のエンボス加工品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0011】
本発明の一実施形態は、表皮材の一面に軟質ポリウレタンフォームシートが積層されたエンボス加工用複合材であって、前記軟質ポリウレタンフォームシートは、厚さが3〜15mmであり、100〜150℃の温度範囲における圧縮率が5〜40%の範囲であるエンボス加工用複合材である。このような構成を持つエンボス加工用複合材を用いてエンボス加工をすれば、深い凹凸意匠が形成され凹凸意匠賦型性に優れるともに、クッション性能およびその耐久性にも優れたエンボス加工品を得ることができる。
【0012】
ここで、軟質ポリウレタンフォームシートが積層される表皮材の上記一面とは、表皮材の裏面である。表皮材の裏(ウラ)面とは、エンボス加工が施される表(オモテ)面とは反対側の面である。
【0013】
図2に示すエンボス加工用複合材4の断面図は、表皮材1と軟質ポリウレタンフォームシート2の積層状態の一例であり、表皮材1の裏面に軟質ポリウレタンフォームシート2が下層として設けられている。この例では、軟質ポリウレタンフォームシート2の裏面に裏布3が積層されている。
【0014】
本実施形態に用いられる軟質ポリウレタンフォームシートは、ポリオールとポリイソシアネートとを主成分として、発泡剤などを混合し樹脂化させながら発泡させた気泡が連通した柔らかい発泡合成ゴムのシート状物である。軟質ポリウレタンフォームシートとしては、例えば、軟質スラブ発泡により連続的に製造したブロックを長手方向にスライスし、長尺のシート状としたもの等を用いることができる。
【0015】
軟質ポリウレタンフォームシートの特性は、圧縮TMAで測定して得られる100〜150℃の範囲の圧縮率が5%〜40%の範囲内にある。すなわち、軟質ポリウレタンフォームシートの圧縮率は、100〜150℃の範囲全体において、5%以上かつ40%以下である。上記複合材のエンボス加工時、軟質ポリウレタンフォームシートの温度は、一般に100〜150℃の範囲内となる。そのため、軟質ポリウレタンフォームシートの圧縮TMAの測定で得られる圧縮率が100〜150℃の温度範囲において、5%以上であることにより、エンボス加工による凹凸意匠の賦型性が不十分となることを抑制することができる。40%以下であることにより、エンボス加工時の熱により軟質ポリウレタンフォームにヘタリが生じクッション性能およびその耐久性が損なわれることを抑制することができる。軟質ポリウレタンフォームシートの100〜150℃の範囲における圧縮率は、好ましくは10%〜30%の範囲内であり、すなわち、100〜150℃の範囲全体において10%以上かつ30%以下であることが好ましい。
【0016】
本実施形態において、100〜150℃の範囲の圧縮率は、次のように求められる。熱機械分析(TMA)装置を使用し、先端が平らな膨張・圧縮測定用プローブを用い、試料に非振動的な一定の荷重を加えながら昇温した時の100〜150℃の各温度における軟質ポリウレタンフォームシートの厚さの変位を測定し、軟質ポリウレタンフォームシートの加温前の厚さ(mm)に対する割合(%)を求める。
【0017】
軟質ポリウレタンフォームシートの厚みは3〜15mmであり、好ましくは5〜10mmである。軟質ポリウレタンフォームシートが3mm以上であることにより、クッション性能を保持することができる。また深い凹凸意匠を形成することができる。15mm以下であることにより、凹凸意匠の形成に熱量が多大に必要となり工程負荷が大きくなったり、得られる複合材が粗硬になったりすることを抑制することができる。
【0018】
軟質ポリウレタンフォームシートの密度(JIS K7222 見掛け密度)は、16〜60kg/m
3であることが好ましく、さらには20〜40kg/m
3であることが好ましい。密度が16kg/m
3以上であることにより、クッション性能やその耐久性を保持することができる。60kg/m
3以下であることにより、クッション性能およびエンボスによる賦型性を保持することができる。
【0019】
軟質ポリウレタンフォームシートの硬さ(JIS K6400−2 D法)は、36〜360Nであることが好ましい。硬さが36N以上であることにより、クッション性能やその耐久性を保持することができる。360N以下であることにより、クッション感を保持することができ、すわり心地を保持することができる。
【0020】
軟質ポリウレタンフォームシートの反発弾性(JIS K6400−3)は、20%以上であることが好ましく、さらには30%以上であることが好ましい。反発弾性が20%以上であることにより、クッション性能を保持することができる。反発弾性の上限は、特に限定されず、例えば70%以下でもよい。
【0021】
軟質ポリウレタンフォームシートの圧縮残留歪み(JIS K6400−4 A法 50%の圧縮)は、30%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、さらには10%以下であることが好ましい。圧縮残留歪みが30%以下であることにより、クッション性能の耐久性を保持することができる。圧縮残留歪みの下限は、特に限定されず、例えば0%以上でもよい。
【0022】
軟質ポリウレタンフォームシートの繰返し圧縮残留歪み(JIS K6400−4 B法 定変位法 常温で50%の圧縮を8万回)は、10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、さらには5%以下であることが好ましい。繰返し圧縮残留歪みが10%以下であることにより、クッション性能の耐久性を保持することができる。繰返し圧縮残留歪みの下限は、特に限定されず、例えば0%以上でもよい。
【0023】
本実施形態に用いられる表皮材としては特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布及び皮革を挙げることができる。これらの2種以上からなる複合体でもよい。皮革としては、例えば、合成皮革、人工皮革、及び天然皮革が挙げられる。
【0024】
表皮材としては、その構成要素として繊維を含むものが好ましく用いられる。表皮材を構成する繊維素材は特に限定されず、凹凸意匠の賦型性及び耐久性の観点から、熱可塑性繊維が好ましい。熱可塑性繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の合成繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維等を挙げることができる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、物性、特には強度、耐摩耗性、耐熱性に優れるという理由により、合成繊維がより好ましく、ポリエステル繊維がさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維が特に好ましい。繊維素材は、熱可塑性繊維を主な構成としたものが好ましいが、その物性に影響を及ぼさない範囲内で、熱可塑性繊維以外の繊維、例えば、天然繊維、再生繊維等の繊維を混紡、混繊、交撚、交織、交編等の手法により組み合わせたものであっても構わない。
【0025】
表皮材を構成する繊維の単繊維繊度は、主として1.5dtex以下の繊維であることが好ましい。単繊維繊度が1.5dtex以下であると、エンボス加工による微細な凹凸形状の賦型性がさらに向上する。また、単繊維繊度は耐摩耗性の面で0.03dtex以上が好ましい。
【0026】
糸条の形態は、紡績糸といった短繊維糸でも、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸といった長繊維糸のいずれであってもよく、さらには長繊維と短繊維を組み合わせた長短複合紡績糸であってもよい。マルチフィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や液体攪乱処理等の加工を施してもよい。
【0027】
かかる表皮材は、必要に応じて、プレセット、精練などの前処理や、加色工程を経た後、本実施形態のエンボス加工用複合材に用いられる。
【0028】
表皮材の厚さは、0.5〜3.0mmの範囲が凹凸意匠の賦型性、耐摩耗性等の面で好ましい。
【0029】
表皮材と、軟質ポリウレタンフォームシートとを積層一体化する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いる方法、フレームラミネート(flame laminate)による方法等を挙げることができる。なかでも、工程負荷や軽量化の観点から、フレームラミネートによる方法が好ましい。
【0030】
軟質ポリウレタンフォームシートの表皮材側の反対の面には、さらに、エンボス加工時のエンボスロールの汚れ防止や、縫製作業時に複合材をスムーズに滑らせることができるという観点、及びウレタンフォームの破損防止の観点から、裏布を積層してもよい。裏布としては、例えば、ポリエステル等の合成繊維からなる布帛が挙げられる。
【0031】
裏布を積層一体化するための方法は、表皮材および軟質ポリウレタンフォームシートを一体化する方法と同様の方法を挙げることができる。なかでも、工程負荷や軽量化の観点から、フレームラミネートによる方法が好ましい。
【0032】
かくして、本実施形態のエンボス加工用複合材が得られる。
【0033】
得られた複合材には、エンボス加工を施す。すなわち、加熱したエンボス型(例えば、エンボスロールや平板状エンボス型)を、複合材の表皮材表面に押圧し、凹凸意匠を形成する。これにより、凹凸意匠形成複合材であるエンボス加工品が得られる。
図3は、得られたエンボス加工品10の断面を模式的に示した図であり、表面にはエンボス加工による凹部11が形成されている。
【0034】
凹凸意匠として、典型的にはシボ模様を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、織物調、デニム調などの布帛模様や、ランダムな点、線、丸形、三角形、四角形などを、単独または2種以上組み合わせた幾何学模様などでもよい。
【0035】
エンボスロールや平板状エンボス型などのエンボス型の表面温度(すなわち、加熱押圧時の熱処理温度に相当する)は、表皮材や軟質ポリウレタンフォームシートの素材に応じて適宜設定すればよい。例えば、表皮材の素材がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)である場合、表面温度は100〜210℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。温度が100℃以上であることにより、形成された凹凸意匠の耐久性、特には耐熱性を保持することができる。温度が210℃以下であることにより、表皮材表面の光沢が強くなったり、エンボス加工品の風合いが粗硬になったりすることを抑制することができる。
【0036】
加熱したエンボスロールを表皮材に押圧する時間は、凹凸意匠の形状によって異なるが、押圧時間は0.01〜5秒であることが好ましく、0.1〜2秒であることがより好ましい。また、平板状エンボス型を備えるエンボス装置の場合、押圧時間は30〜120秒であることが好ましく、50〜90秒であることがより好ましい。押圧時間が下限値以上であることにより、明瞭な凹凸意匠を形成することができ、凹凸意匠の耐久性を保持することができる。押圧時間が上限値以下であることにより、風合いが粗硬になったり変色したり、生産性が悪くなったりすることを抑えることができる。
【0037】
エンボスロールを備えるエンボス装置を用いて加工する場合の処理速度は、通常0.1〜10m/分であり、好ましくは0.3〜5m/分である。平板状エンボス型を備えるエンボス装置を用いて加工する場合の処理速度は、通常0.5〜6m/分であり、好ましくは0.6〜3m/分である。
【0038】
押圧時の圧力は、1〜10MPaであることが好ましく、2〜5MPaであることがより好ましい。圧力が1MPa以上であることにより、明瞭な凹凸意匠を形成することができる。圧力が10MPa以下であることにより、風合いが粗硬になるのを防ぐことができる。
【0039】
かくして、表皮材の表面に凹凸意匠が形成される。前述の通り、凹凸意匠、特には、エンボス型の凸部が押し当てられて形成される凹部では、エンボス加工の前後で各層(即ち、表皮材、軟質ポリウレタンフォームシート、及び裏布)の厚さが変化する。エンボス加工後の凹部11における複合材の厚さT0(
図3参照)は、0.5〜2.0mmが好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.5mmである。厚さT0が0.5mm以上であることにより、エンボス加工の熱で表面が潰されることによる凹部の光沢を抑え、意匠性が損なわれることを抑制することができる。厚さT0が2.0mm以下であることにより、凹凸意匠が明瞭になり、凹凸意匠の耐久性や耐揉み性を保持することができる。
【0040】
エンボス加工後の凹部11における軟質ポリウレタンフォームシート2の厚さT1(
図3参照)は、1.0mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.6mm以下である。厚さT1が1.0mm以下であることにより、凹凸意匠を明瞭にすることができる。
【0041】
エンボス加工により形成された凹部11の深さD(
図3参照)は、3.0mm以上であることが好ましく、凹凸意匠を明瞭にすることができる。凹部の深さDの上限は、特に限定されず、例えば15mm以下でもよい。
【0042】
また、凹凸意匠が形成される前(エンボス加工前)の複合材を、近赤外線によって予備加熱すると押圧時間を短縮でき、加工効率の面で好ましい。
【0043】
かくして、本実施形態のエンボス加工品を得ることができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、軟質ポリウレタンフォームシートの100〜150℃の範囲における圧縮率および凹凸意匠を形成した複合材の評価は、以下の方法に従った。
【0045】
(1)軟質ポリウレタンフォームシートの100〜150℃の範囲における圧縮率
熱機械分析(TMA)装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製 EXSTAR TMA−SS6100/DSC6200)を使用し、圧子として先端が平らな膨張測定用プローブを用い、一定荷重を加え昇温した時の各温度における軟質ポリウレタンフォームシートの厚さの変位を測定し、軟質ポリウレタンフォームシートの加温前の厚さ(mm)に対する割合(%)を求めた。測定条件は、荷重が100mN(10.2gf)、昇温速度が10℃/分、プローブの直径は5mmであった。
求めた圧縮率と温度のグラフを
図1に示した。グラフの縦軸の上端を圧縮率0%とし、軟質ポリウレタンフォームシートの厚さの変位が大きくなり圧縮率が高くなるほど下方向に伸びるグラフとした。また、100〜150℃の範囲における圧縮率のうち、最小値と最大値を表1に示した。
【0046】
(2)凹凸意匠賦型性
エンボス加工を行った凹凸意匠形成複合材に対して次の評価基準で評価をした。
(評価基準)
A : 凹部の深さが3.0mm以上で、明瞭に凹凸意匠が形成されている。
B : 凹部の深さが2.0mmを超え3.0mm未満で凹凸意匠がやや不明瞭に形成されている。
C : 凹部の深さが2.0mm以下で凹凸意匠が不明瞭である。
【0047】
(3)クッション性能
エンボス加工後のクッション性能の評価を、カトーテック株式会社製 ハンディー圧縮試験機 KES−G5を使用して圧縮特性を測定し、その結果より得られる圧縮レジリエンスRC(%)の値と圧縮仕事量WC(gf・cm/cm
2。即ち0.98N/m)の値を用い次の基準でクッション性を判定した。なお、測定条件は、最大荷重500gf/cm
2、圧縮面積2cm
2、圧縮スピード0.1cm/秒とした。圧縮レジリエンスは値の大きいほど圧縮後の回復性が高く、圧縮仕事量は大きいほど柔らかい。
(評価基準)
A : 圧縮レジリエンスが30%以上、且つ、圧縮仕事量の値が100以上
B : 圧縮レジリエンスが25%以上、且つ、圧縮仕事量の値が70以上であり、且つ、評価基準Aを満たさない
C : 圧縮レジリエンスが25%未満、又は、圧縮仕事量の値が70未満
【0048】
(4)凹凸意匠耐久性
耐久性試験に用いる各実施例、各比較例の凹凸意匠形成複合材はエンボス条件を修正し、明瞭な凹凸意匠が形成されたものを採用し、各凹凸意匠形成複合材を表皮として自動車用シートを作成し、有限会社ティエムテック製のシート乗降耐久試験機で、8000回の耐久試験(23℃、50%RHの環境下)を実施した。耐久試験後の試験片を観察し、次の基準に従って評価した。
(評価基準)
A : 凹凸形状が明瞭に残っている。
B : 凹凸形状がやや不明瞭な箇所が部分的にある。
C : 凹凸形状が全体的にやや不明瞭になっている。
D : 凹凸形状が不明瞭である
【0049】
(5)クッション性能の耐久性
上記凹凸意匠耐久性試験後の凹凸意匠形成複合材に対して次の評価基準で評価をした。
(評価基準)
A : 耐久試験前の軟質ウレタンフォームのクッション性能とほぼ同等である。
B : 耐久試験前の軟質ウレタンフォームのクッション性能にやや劣る。
C : 耐久試験前の軟質ウレタンフォームのクッション性能に劣る。
【0050】
[実施例1]
厚さ10mmの軟質ポリウレタンフォームシート1に、表皮材として織物A(経糸:180dtex/156fのPETマルチフィラメント糸、緯糸:167dtex/48fのPETマルチフィラメント加工糸、質量300g/m
2、厚さ0.9mm、朱子織物)、裏布として編物B(ポリエステルハーフトリコット編物、厚さ0.3mm)を、フレームラミネートにより一体化した三層構造である複合材を準備した。使用した軟質ポリウレタンフォームシートの物性値を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
次いで、エンボスロールの外径が250mm、バックアップロールの外径が350mmのエンボス加工機にて、エンボスロール表面温度180℃、バックアップロールの表面温度230℃、ロール圧力2MPa、エンボス速度2m/分に設定した。エンボスロールの凹凸意匠は、巾1mmの直線ラインが25mmと5mmの間隔で交互に繰り返される横縞柄で、溝の深さが12mmのものを用意した。複合材の表皮材面をエンボスロール側に設置してエンボス加工を行った。エンボス加工後の凹部の各層厚さ、凹部深さおよび評価結果を表2及び表3に示す。
【0053】
[実施例2〜4]
軟質ポリウレタンフォームシート1を表1の軟質ポリウレタンフォームシート2または5または6に変更した以外は実施例1と同様にして、フレームラミネートで積層一体化し複合材を準備した後、エンボス加工を行った。
【0054】
[実施例5〜7]
軟質ポリウレタンフォームシート1の厚さを表3の厚さに変更した以外は実施例1と同様にして、フレームラミネートで積層一体化し複合材を準備した後、エンボス加工を行った。
【0055】
実施例2〜7において、エンボス加工後の凹部の各層厚さ、凹部深さおよび評価結果を表2及び表3に示す。
【0056】
[比較例1〜3]
軟質ポリウレタンフォームシート1を軟質ポリウレタンフォームシート3または4または7に変更した以外は実施例1と同様にして、フレームラミネートで積層一体化し、エンボス加工を行った。
【0057】
[比較例4,5]
軟質ポリウレタンフォームシート1の厚さを表3の厚さに変更した以外は実施例1と同様にして、フレームラミネートで積層一体化し複合材を準備した後、エンボス加工を行った。
【0058】
比較例1〜5において、エンボス加工後の凹部の各層厚さ、凹部深さおよび評価結果を表2及び表3に示す。
【0059】
実施例によって得られた製品は、深い凹凸が形成され、凹凸意匠賦型性、クッション性能およびその耐久性、凹凸意匠耐久性のいずれの評価も優れていた。なお、実施例3によって得られた製品は、100〜150℃における圧縮率最小値が比較的小さいものであったため、凹凸意匠賦型性が実施例1よりもやや劣るものの、比較例よりも優れていた。また、実施例4によって得られた製品は、100〜150℃における圧縮率最大値が比較的大きいものであったため、クッション性及びその耐久性と凹凸意匠耐久性が実施例1よりもやや劣るものの、比較例2,3よりも優れていた。
【0060】
一方、比較例1によって得られた製品は、凹凸が浅く凹凸意匠賦型性の評価が劣っていた。比較例2および3によって得られた製品は、凹凸意匠賦型性、クッション性能、凹凸意匠耐久性のいずれの評価も劣っていた。
【0061】
表3に示すように、軟質ポリウレタンフォームシートの厚さが3〜15mmの範囲内であると、凹凸意匠賦型性、クッション性能およびその耐久性、凹凸意匠耐久性の評価に優れていた。なお、実施例5については、凹部深さ自体は比較例2と同等であったが、加工前の厚さに対して深い凹部が形成されていた。一方、比較例4は、軟質ポリウレタンフォームシートの厚さが薄すぎてクッション性能に劣っており、また、比較例5は、軟質ポリウレタンフォームシートの厚さが厚すぎて凹凸意匠賦型性が大きく損なわれた。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】