(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報処理機能を有する機器によって構成される上位装置と、前記上位装置と通信可能に構成され記録媒体からの情報取得動作が可能な携帯型下位端末と、を備えた読取システムであって、
前記上位装置は、
前記携帯型下位端末と通信可能な上位側通信手段と、
前記携帯型下位端末から所定情報を取得した場合に動作する動作プログラムと、
前記動作プログラムの実行に応じて前記携帯型下位端末に対し命令情報を送信し、当該命令情報に応じた前記携帯型下位端末からの応答情報に基づいて情報処理を行う情報処理手段と、
を備え、
前記携帯型下位端末は、シンクライアント型の端末として構成され、
前記上位装置と通信可能な下位側通信手段と、
外部操作が可能な操作手段と、
前記記録媒体から情報を取得する動作を行う情報取得手段と、
前記操作手段にて所定の外部操作があった場合に前記上位装置に対して前記所定情報を送信するアクセス手段と、
前記上位装置から前記命令情報を取得し、当該命令情報に応じて前記情報取得手段又は当該携帯型下位端末に設けられた他の装置を動作させる動作手段と、
前記応答情報として、前記情報取得手段によって取得された取得情報又は当該取得情報を加工した加工情報を前記上位装置に送信する情報送信手段と、
前記情報送信手段によって送信する情報を、当該携帯型下位端末内で非蓄積状態とする非蓄積手段と、
を有し、
前記記録媒体には、当該記録媒体に固有に割り当てられた固有情報が記録されており、
前記携帯型下位端末の前記情報取得手段は、前記記録媒体から少なくとも前記固有情報を取得するように構成され、
前記携帯型下位端末の前記情報送信手段は、少なくとも前記固有情報を前記上位装置に送信するように構成され、
前記非蓄積手段は、当該携帯型下位端末内で前記固有情報を強制消去し、
前記動作プログラムは、前記携帯型下位端末から前記所定情報を取得した場合に、予め定められた規定の音データ、画像データ及び動画データのうち少なくともいずれか一つからなる共通データを前記携帯型下位端末へ送信する送信プログラムを含み、
前記情報処理手段は、前記送信プログラムの実行に応じて前記共通データを前記携帯型下位端末に対して送信し、
前記携帯型下位端末は、前記上位装置から取得した前記共通データを登録する共通データ登録手段と、
前記上位装置と所定の通信不能状態となった場合に、前記共通データ登録手段に登録された前記共通データを消去する共通データ消去手段と、を備えることを特徴とする読取システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子マネー取引などを行う端末装置では、当該端末装置の盗難や紛失などに起因した情報の漏洩等に対する対策が求められている。特に、電子マネー取引における取引明細は、加盟店(電子マネー決済を導入している店舗など)にとって代金を回収するための重要なデータであるため、より高いセキュリティ性が求められている。この点に関し、特許文献1では、ICカード処理端末(201)において、ICカードと特殊な暗号化データでやり取りしたり、カード内のデータへのアクセス管理などを行う特殊な処理基板を組み込むことで、セキュリティ性の改善を図っている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、カードアクセステーブル等の重要な情報がICカード処理端末に記憶され、ICカードからの読取情報や決済内容もICカード処理端末内に残存するものと想定されるため、当該端末の盗難や紛失などが発生した場合に内部の重要情報が漏洩してしまう問題が依然として残る。また、ICカードモジュール内のセキュリティ性が高められていたとしても、盗難等が発生した場合にはこの部分が時間をかけて解析されてしまう虞があり、セキュリティ面の一層の強化が求められている。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、下位端末をより簡易に構成することができ、下位端末のセキュリティ性を確実に高めることが可能な読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、情報処理機能を有する機器によって構成される上位装置と、前記上位装置と通信可能に構成され記録媒体からの情報取得動作が可能な携帯型下位端末と、を備えた読取システムであって、前記上位装置は、前記携帯型下位端末と通信可能な上位側通信手段と、前記携帯型下位端末から所定情報を取得した場合に動作する動作プログラムと、前記動作プログラムの実行に応じて前記携帯型下位端末に対し命令情報を送信し、当該命令情報に応じた前記携帯型下位端末からの応答情報に基づいて情報処理を行う情報処理手段と、を備え、前記携帯型下位端末は、シンクライアント型の端末として構成され、前記上位装置と通信可能な下位側通信手段と、外部操作が可能な操作手段と、前記記録媒体から情報を取得する動作を行う情報取得手段と、前記操作手段にて所定の外部操作があった場合に前記上位装置に対して前記所定情報を送信するアクセス手段と、前記上位装置から前記命令情報を取得し、当該命令情報に応じて前記情報取得手段又は当該携帯型下位端末に設けられた他の装置を動作させる動作手段と、前記応答情報として、前記情報取得手段によって取得された取得情報又は当該取得情報を加工した加工情報を前記上位装置に送信する情報送信手段と、前記情報送信手段によって送信する情報を、当該携帯型下位端末内で非蓄積状態とする非蓄積手段と、を有し、前記記録媒体には、当該記録媒体に固有に割り当てられた固有情報が記録されており、前記携帯型下位端末の前記情報取得手段は、前記記録媒体から少なくとも前記固有情報を取得するように構成され、前記携帯型下位端末の前記情報送信手段は、少なくとも前記固有情報を前記上位装置に送信するように構成され、前記非蓄積手段は、当該携帯型下位端末内で前記固有情報を強制消去し、前記動作プログラムは、前記携帯型下位端末から前記所定情報を取得した場合に、予め定められた規定の
音データ、画像データ及び動画データのうち少なくともいずれか一つからなる共通データを前記携帯型下位端末へ送信する送信プログラムを含み、前記情報処理手段は、前記送信プログラムの実行に応じて前記共通データを前記携帯型下位端末に対して送信し、前記携帯型下位端末は、前記上位装置から取得した前記共通データを登録する共通データ登録手段と、前記上位装置と所定の通信不能状態となった場合に、前記共通データ登録手段に登録された前記共通データを消去する共通データ消去手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、情報処理機能を有する機器によって構成される上位装置と、上位装置と通信可能に構成され記録媒体からの情報取得動作が可能な携帯型下位端末とを備えている。そして、携帯型下位端末は、上位装置が有する動作プログラムの実行に応じて、上位装置から命令情報を受信し記録媒体からの情報取得や他の装置を動作させるようにしており、また、上位装置は命令情報に応じた携帯型下位端末からの応答情報に基づいて情報処理を行うようにしている。すなわち、この構成では、上位装置側で、携帯型下位端末の情報取得動作などを制御するようにしているので、携帯型下位端末では必要最小限の機能のみ(すなわち、液晶画面などの表示装置や入力キーなどの入力装置など)を備えていればよく、下位端末をより簡易に構成することができる。
【0010】
さらに、携帯型下位端末では、情報取得手段によって取得された取得情報又は当該取得情報を加工した加工情報を情報送信手段により上位装置に送信するとともに、情報送信手段によって送信する情報を、当該携帯型下位端末内で非蓄積状態(取得した情報を消去するなどしてメモリ等に蓄積させない)とするようにしている。このため、当該下位端末の盗難や紛失などが発生した場合に内部の情報が漏洩するのを抑えることができ、セキュリティ性を確実に高めることが可能となる。特に、下位端末側で、セキュリティ性を高めるための特殊な部品等を必要としないため、より簡易な構成でセキュリティ性を高めることができる。
また、記録媒体には、当該記録媒体に固有に割り当てられた固有情報が記録されている。そして、携帯型下位端末の情報取得手段は、記録媒体から少なくとも固有情報を取得するように構成され、また、携帯型下位端末の情報送信手段は、少なくとも固有情報を上位装置に送信するように構成されている。さらに、非蓄積手段は、当該携帯型下位端末内で固有情報を強制消去するようにしている。このように、携帯型下位端末では、記録媒体に固有に割り当てられた固有情報(例えばカード番号や個人情報など)を取得すると上位装置へ送信すると共に、取得した固有情報を当該下位端末から強制消去するようにしているので、当該下位端末に不必要に固有情報が残ることを確実に防止することができ、セキュリティ性をより高めることができる。
また、動作プログラムは、携帯型下位端末から所定情報を取得した場合に、予め定められた規定の共通データを携帯型下位端末へ送信する送信プログラムを含んでおり、また、情報処理手段は、送信プログラムの実行に応じて共通データを携帯型下位端末に対して送信するようにしている。また、携帯型下位端末は、上位装置から取得した共通データを登録する共通データ登録手段と、上位装置と所定の通信不能状態となった場合に、共通データ登録手段に登録された共通データを消去する共通データ消去手段とを備えている。この構成によれば、上位装置の動作プログラムは、携帯型下位端末から所定情報を取得した場合に(例えば携帯型下位端末の電源投入時など)、予め定められた規定の共通データ(例えば、音データや画像データ、動画データなど)を携帯型下位端末へ送信するようになっているので、携帯型下位端末ではこの共通データを予め受信しておくことができ、通信負荷を分散させることができる。また、携帯型下位端末では、上位装置と所定の通信不能状態となった場合に、この受信した共通データを消去するようにしているので、当該下位端末側でこの共通データを常時記憶しておく必要がなく、当該下位端末の構成をより簡素なものとすることができる。
【0011】
請求項2の発明では、携帯型下位端末の情報取得手段は、決済に用いられる記録媒体としての非接触通信媒体から非接触通信にて情報を読み取る非接触通信手段を備えている。そして、上位装置の情報処理手段は、携帯型下位端末の情報送信手段からの応答情報の送信があった場合に、当該応答情報に基づく決済処理を行うようにしている。このように、携帯型下位端末では読取処理のみを行い、決済処理自体は上位装置で行うようにしているので、個人情報や機密情報が取り扱われる電子マネー取引等において、情報の漏洩をより効果的に抑えることができ、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0012】
請求項3の発明では、上位装置の情報処理手段は、携帯型下位端末に対し非接触通信媒体に送信するべきコマンドを送信するようにしている。また、携帯型下位端末の動作手段は、上位装置からコマンドを取得した場合に当該コマンドを非接触通信手段に与えるようにしている。そして、非接触通信手段はコマンドを変調して非接触通信媒体に送信するようにしている。このように、携帯型下位端末は、上位装置の情報処理手段にて行われる決済処理に応じて上位装置から送信されたコマンドを変調する構成を必要最小限の機能として備えていればよく、決済処理を行うための動作プログラム等を備える必要がないため、当該端末をより簡易に構成することができる。
【0014】
請求項
4の発明では、上位装置には、描画データを生成する描画データ生成手段と、描画データ生成手段で生成された描画データを携帯型下位端末に送信する描画データ送信手段とが設けられている。そして、携帯型下位端末には、情報の表示が可能な表示部が備えられており、上位装置から描画データの送信があった場合に、当該描画データに応じた描画内容で表示制御手段により表示部の表示を行うようにしている。このように、上位装置側で描画データを生成するようにしているため、携帯型下位端末側ではこの描画データを受信して単に表示するだけでよく、携帯型下位端末の構成やプログラム等をより簡素化することができる。
【0015】
請求項
5の発明では、上位装置の描画データ生成手段は、表示するべき文字を指定する文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを含んでなる描画情報を生成するようにしている。また、携帯型下位端末の表示制御手段は、描画情報の位置情報で指定される位置に、当該描画情報で指定される文字情報を表示するように表示部での表示を行うようにしている。このように、上位装置側から携帯型下位端末側へ、文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを送信するようにし、この送信される情報に基づき携帯型下位端末では表示部に描画情報を表示するようにしているので、送信される描画情報のデータサイズを比較的抑えることができ、通信負荷を軽減することができる。
【0016】
請求項
6の発明では、上位装置には、音データを記憶する音データ記憶手段と、所定の音発生条件成立時に音データ記憶手段に記憶された音データを携帯型下位端末に送信する音データ送信手段とが設けられている。また、携帯型下位端末には、少なくとも上位装置から音データの送信があった場合に当該音データに応じた音を発生させる音発生手段が設けられている。このように、音データを上位装置に記憶し、所定の音発生条件成立時に携帯型下位端末へ送信するようにしているので、携帯型下位端末ではこの音データを常時記憶しておく必要がなく、当該下位端末の構成をより簡素なものとすることができる。
【0018】
請求項
7の発明では、上位装置は、決済に用いられる記録媒体としての非接触通信媒体から非接触通信にて情報を読み取り可能な上位側非接触通信手段を備え、上位装置の情報処理手段は、上位側非接触通信手段と非接触通信媒体との間で非接触通信が行われる場合には、上位側非接触通信手段が非接触通信媒体から読み取った読取情報に基づく決済処理を行い、携帯型下位端末と非接触通信媒体との間で非接触通信が行われる場合には、携帯型下位端末と非接触通信媒体との間で行われる非接触通信によって得られた応答情報に基づく決済処理を行う。
この構成によれば、上位装置側で決済処理を行う場合には上位側非接触通信手段に搭載された機能を直接利用して非接触通信媒体と直接的に非接触通信を行い、通常の決済処理を行うことができる。一方、携帯型下位端末で決済処理を行う場合、携帯型下位端末を非接触通信のインタフェースとして機能させ、決済処理については上位装置側の機能を利用することができる。特に、利用者が携帯型下位端末での決済を希望する場合に、決済の受付については携帯型下位端末を利用し、決済機能については上位装置側の機能を利用することができるため、携帯型下位端末の構成や処理の簡素化を図りつつ、利便性の高い決済が可能となる。また、決済に付随する処理についても、上位装置側での処理を携帯型下位端末でも共通して利用しやすく、設計面でも非常に有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る読取システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
本第1実施形態では、当該読取システムを、ICカードなどの非接触通信媒体と非接触通信を行い、決済処理を行う電子マネー取引システムに適用した例を挙げて説明する。
図1に示すように、本第1実施形態の電子マネー取引システム1では、情報処理機能を有する機器によって構成される電子マネー決済機10と、電子マネー決済機10と通信可能に構成され記録媒体(ICカードC)からの情報取得動作が可能な携帯型端末30とを備えて構成される。また、電子マネー決済機10は、POSレジスタ等の電子レジスタなどから構成されるレジ60とLANなどのネットワークを介して接続されているとともに、レジ60を介して電子マネーセンタ70に接続されている。なお、電子マネー決済機10は、レジ60(POSレジ)の電子マネー決済機能を実現するように構成されており、例えばレジ60に内蔵または外付けされた定置型決済端末として構成されている。また、電子マネー決済機10は、「上位装置」の一例に相当し、携帯型端末30は、「携帯型下位端末」の一例に相当する。更に、レジ60と電子マネー決済機10によって上位のコンピュータ(電子マネー決済機能を有する上位コンピュータ)が構成され、この上位のコンピュータに対し電子マネーセンタ70などの最上位システムが接続された構成となっている。なお、最上位システムは、電子マネーセンタ70以外であってもよく、例えばストアードコンピュータシステムなどであってもよい。
【0021】
(電子マネー決済機の構成)
電子マネー決済機10は、当該決済機10に翳されたICカードCを直接読み取り決済処理を行う(リアル処理)機能を有しており、携帯型端末30側では、電子マネー決済機10のこの機能を利用してサイバー的に決済処理(サイバー処理)を行うようになっている(携帯型端末30は、シンクライアント型の端末として構成されている。)
電子マネー決済機10は、当該電子マネー決済機10全体を制御する制御部11が設けられている。この制御部11は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有しており、メモリ13とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部11は、携帯型端末30から所定情報を取得した場合に、決済などの処理プログラム(動作プログラム)を実行するようになっている。制御部11は、メモリ13に記憶されるネガデータを基にICカードCが有効であるかのネガチェックを行ったり、無線リーダ部15で取得したデータ(決済データなど)を暗号化したり復号化する機能を備えている。この制御部11には、メモリ13、無線リーダ部15、表示装置17、鳴音装置19、外部インタフェース21などが接続されている。なお、制御部11は、「情報処理手段」の一例に相当する。
【0022】
メモリ13は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどから構成されており、後述する携帯型端末30のメモリ33よりも記憶される情報を保護する機能が高いセキュアメモリとして構成されている。そして、このメモリ13には、決済などの処理を行う処理プログラムや利用を停止した無効なICカードCのデータであるネガデータ、暗号鍵等の情報が記憶されている。また、メモリ13には、決済処理に応じた音データや画像データ(例えば、「ありがとうございました」などの音声データやメッセージなど)が記憶されており、携帯型端末30へ送信するようになっている。なお、メモリ13は、「音データ記憶手段」の一例に相当する。
【0023】
無線リーダ部15は、制御部11からの指令に応じて、制御部11と協働してICカードCに記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。なお、後述の携帯型端末30に設けられるアンテナ47を介して、ICカードCの情報が取得されるとともに、ICカードCの情報を書き換えるようになっている。なお、無線リーダ部15は、「上位側非接触通信手段」の一例に相当する。
【0024】
表示装置17は、制御部11によって制御される構成をなしており、制御部11により生成される描画情報(後述)に基づき、所定の情報(「センターと通信中」などの決済状況を示す情報や、「いらっしゃいませ」などの情報等)を表示するようになっている。鳴音装置19は、スピーカとして構成されるものであり、制御部11からの指令を受けてアラーム音や音声などを発生させるようになっている。
【0025】
外部インタフェース21は、携帯型端末30やレジ60等の外部装置との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部11と協働して通信処理を行う構成をなしている。なお、外部インタフェース21は、「上位側通信手段」の一例に相当する。また、電子マネー決済機10には、電源部25が設けられており、制御部11や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0026】
(携帯型端末の構成)
次に携帯型端末30の構成について説明する。携帯型端末30は、例えば、
図1に示すような外観をなしている。そして、この携帯型端末30は、
図3に示すように、携帯型端末30全体を制御する制御部31が設けられている。この制御部31は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有している。そして、制御部31は、電子マネー決済機10から送信される命令情報に応じて、ICカードCの情報の読み取りや書き換えを行ったり、表示装置37や鳴音装置39を動作させるようになっている。また、制御部31には、メモリ33、キー入力装置35、表示装置37、鳴音装置39、外部インタフェース41、変復調器43、電源部49などが接続されている。なお、制御部31は、「動作手段」の一例に相当する。また、表示装置37や鳴音装置39は、「他の装置」の一例に相当する。
【0027】
メモリ33は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどから構成されており、電子マネー決済機10から送信される情報(音データなどの予め定められた規定の共通データ)を記憶すると共に、ICカードCから読み取った情報を加工する際にこの情報を一時的に記憶可能となっている。なお、メモリ33は、電子マネー決済機10から取得した共通データを登録する「共通データ登録手段」の一例に相当する。
【0028】
キー入力装置35は、制御部31に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部31は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。また、制御部31は、このキー入力装置35の外部操作によって操作信号が与えられると、電子マネー決済機10へ、この操作信号を送信するようになっている。すなわち、このキー入力装置35の操作によって、電子マネー決済機10は、決済処理などの処理プログラム(動作プログラム)を動作させるようになっている。なお、キー入力装置35は「操作手段」の一例に相当し、操作信号は「所定情報」の一例に相当する。
【0029】
表示装置37は、例えば液晶表示器等からなり、制御部31によって制御される構成をなしており、制御部31からの指令を受けて動作するようになっている。具体的には、表示装置37は、電子マネー決済機10から描画データの送信があった場合に、当該描画データに応じた描画内容で表示を行うようになっている。なお、表示装置37は、「表示部」の一例に相当する。また、描画データに応じた描画内容で表示装置37の表示の制御を行う制御部31は、「表示制御手段」の一例に相当する。
【0030】
鳴音装置39は、例えばスピーカ等からなり、制御部31によって制御される構成をなしており、制御部31からの指令を受けて動作するようになっている。そして、電子マネー決済機10から送信された音データに応じた音を発生させるように構成されている。例えば、「カードを翳してください」や「ありがとうございました」などの音声や、ICカードCの種類に応じた決済音(「シャリーン」など)が、処理に応じて流れるように設定される。なお、鳴音装置39は、「音発生手段」の一例に相当する。
【0031】
外部インタフェース41は、電子マネー決済機10等の外部装置との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部31と協働して通信処理を行う構成をなしている。そして、キー入力装置35によって制御部31に対して操作信号が入力されると、電子マネー決済機10に対してこの操作信号を送信するようになっている。また、ICカードCから取得した取得情報若しくは、この情報を加工した加工情報等を電子マネー決済機10へ送信するようになっている。なお、外部インタフェース41は、「下位側通信手段」、「アクセス手段」及び「情報送信手段」の一例に相当する。
【0032】
変復調器43は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図4にて概略的に示すように、発振器44、変調器45、復調器46などを備えてなるものである。なお、変復調器43には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、
図4ではこれらについては図示を省略している。なお、変復調器43は、「情報取得手段」及び「非接触通信手段」の一例に相当する。
【0033】
この変復調器43では、発振器44にて生成された搬送波を、ICカードCに与えるべき送信データ(制御部31から出される読取命令や書込命令など)に基づいて変調し、その変調波を、コイルアンテナなどからなるアンテナ47からICカードCに対して発射する構成をなしている。なお、これを受けるICカードCでは、アンテナ47から発射された電波を受信し、復調して読み取りや書込みを行う。一方、ICカードCから携帯型端末30へのデータ伝送は、アンテナ47から発射された電波を反射波に利用し、ICカードCから送信すべきデータに基づいて変調することで行われる。ICカードCから反射される電波は、アンテナ47にて受信され、復調器46にて復調された後、制御部31にてデータとして利用されることとなる。
【0034】
なお、読取対象となるICカードCとしては、携帯型端末30との間での通信を行うためのICカードC側アンテナと、データの保持及び応答信号を発生するICチップと、を備えたものが挙げられる。また、当該、ICカードCに内蔵されるICチップとしては、例えば、通信等の制御を行うCPU、送受信信号の変調・復調を行う変復調回路、動作プログラム等を記憶するROM、データを記憶する読書き可能なEEPROM等をワンチップ化したものなどが挙げられる。また、このICカードCには、当該ICカードCに固有に割り当てられたカード番号や個人情報などの固有情報が記録されている。そして、携帯型端末30にてこの固有情報が取得され、この読み取られた固有情報(読取情報)が電子マネー決済機10側へ送信されるようになっている。
【0035】
(読取処理)
次に、上述のように構成される電子マネー取引システム1(読取システム)において行われる読取処理について、
図5を用いて説明する。ここでは、ICカードCに対して行われる決済処理を例に挙げて説明する。また、当該電子マネー取引システム1は、例えば、デバート等の惣菜売り場などのアイランド形のテナントなどで用いることができる。なお、当該電子マネー取引システム1に用いられる携帯型端末30の台数は特に限定されないが、ここでは、任意の携帯型端末30において行われる決済処理について説明する。
【0036】
まず、キー入力装置35などの操作によって携帯型端末30の電源投入或いはその他の指示入力等がなされると、携帯型端末30の所定情報(開始のトリガとなる情報であり、所定キーの押下があったことを特定可能なキー押下情報)として、電子マネー決済機10側へ送信される(
図5(1))。そして、電子マネー決済機10は、この「所定情報」を受けた場合に、音データ(「ありがとうございました」などの音声や「シャリーン」などの決済音の音データ)や画像データ(「ありがとうございました」などの画像データ)などの予め定められた規定の共通データが携帯型端末30へ送信されるようになっている(図示略)。そして、携帯型端末30では、この共通データを受信すると、メモリ33へ登録する。なお、携帯型端末30による所定情報(キー押下情報)送信時(「所定の音発生条件成立時」に相当)に、メモリ13に記憶された音データを送信する外部インタフェース21は、「音データ送信手段」の一例に相当する。
【0037】
このように、携帯型端末30から所定情報(キー押下情報)が送信されると、
図6に示すように、携帯型端末30では、当該携帯型端末30を識別するための識別子(例えば、端末Aと端末Bがある場合に、それぞれの端末を識別可能な識別子(端末固有情報))を電子マネー決済機10へ送信する。また、電子マネー決済機10では、各携帯型端末30に応じた処理画面(スレッド)を立ち上げ、決済を行うための所定の決済プログラム(動作プログラム)を動作させる。
【0038】
そして、携帯型端末30のキー入力装置35にて、決済に関わる情報(商品の金額などの情報)が入力されると、この情報が電子マネー決済機10側へ送信される。そして、電子マネー決済機10では、この情報に基づき合計の精算金額を算出し(合算処理)、この精算金額に応じた描画データを生成するとともに、携帯型端末30へ送信する(
図5(2))。より具体的に、電子マネー決済機10では、携帯型端末30の表示装置37において、表示するべき文字を指定する文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを含んでなる描画情報を生成するようにしている。このように、精算金額などの情報を携帯型端末30へ生データで送信するのではなく、表示するべき文字を指定する文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを含んでなる描画情報で送信することで、送信データ量の低減を図ることができ、よりセキュリティ性を高めることができる。また、電子マネー決済機10では、この精算金額などの情報と共に、「カードを翳してください」などの描画情報を送るようになっている(
図5(3))。なお、この「カードを翳してください」などのメッセージ情報は、携帯型端末30の電源投入時などに、規定の共通データとして送信されていてもよく、この場合は、電子マネー決済機10からの命令情報(当該メッセージの読み出し及び表示を指示する命令情報)に応じてメモリ33から読み出されることとなる。そして、携帯型端末30では、この描画データを受信すると、この描画データに応じた描画内容を表示装置37に表示する。なお、描画データを生成する制御部11は、「描画データ生成手段」の一例に相当する。また、この描画データを送信する外部インタフェース21は、「描画データ送信手段」の一例に相当する。
【0039】
次に、電子マネー決済機10では、携帯型端末30の変復調器43でのICカードCとの通信開始の条件となる指示情報(RW変調指示)を送信し、ポーリングを行う(
図5(4))。また、このとき、電子マネー決済機10では携帯型端末30へ、ICカードCへ送信するべきコマンド(ICカードC内のICチップから情報を読み出すコマンドなど)を送信する(
図5(4))。一方、携帯型端末30では、電子マネー決済機10からこの指示情報(コマンド)を取得すると、変復調器43を動作させ、このコマンドを変調してICカードCへ送信し、ICカードCとの非接触通信を実行する。そして、携帯型端末30では、ICカードCに固有に割り当てられた固有情報(カード番号や個人情報等)や残金(プリペイドカードなどの場合)などの情報を取得し、この取得したカード情報を変調して応答情報として電子マネー決済機10へ送信する(
図5(5))(カード処理)。なお、携帯型端末30では、この送信したカード情報をメモリ33に記憶した場合には、電子マネー決済機10へ送信後、強制消去する。なお、制御部31は、「非蓄積手段」の一例に相当する。なお、メモリ33内の情報は送信後にすぐに消去してもよく、電源オフ時に揮発させて消去させてもよい。
【0040】
そして、電子マネー決済機10では、携帯型端末30から受信したカード情報に基づき、ICカードCについての公知のネガ判定(ICカードが有効であるか否かの判定)を行い、ICカードCが有効と判定されれば決済処理(例えば現在の残金から精算金額を差し引いた新たな残金を算出し、請求金額を売上げとして登録する処理)を行い、ICカードCの残金の書き換え指示情報を携帯型端末30へ送信する(
図5(6))。そして、携帯型端末30では、この書き換え指示情報を受信すると、この指示情報を変調してICカードCへ送信し、これによりICカードC内のICチップの情報を書き換える。ICカードCでは、正常に書き換えが行われた場合にその旨を結果情報として応答するようになっており、携帯型端末30はこのようなICカードCからの結果情報を受けた場合には、その結果情報を電子マネー決済機10側へカード応答結果として送信する(
図5(7))(書き込み処理)。
【0041】
そして、電子マネー決済機10では、このカード応答結果を受信すると、「ありがとうございました」などの文字情報(メッセージ情報)とこの文字情報の表示位置を指定する位置情報とを含んでなる描画情報を生成し、携帯型端末30側へ送信する(
図5(8))。また、電子マネー決済機10は、鳴音情報(「シャリーン」などの決済完了音)を携帯型端末30へ送信する(
図5(9))(完了処理)。なお、この「ありがとうございました」などのメッセージ情報や鳴音情報は、携帯型端末30の電源投入時などに、規定の共通データとして送信されたものを用いることができ、この場合は、電子マネー決済機10からの命令情報に応じてメモリ33から読み出されることとなる。そして、携帯型端末30では、「ありがとうございました」のメッセージ情報を表示すると共に、決済完了音を鳴らし、当該処理を終了する。なお、携帯型端末30では、電子マネー決済機10との通信が不能となった場合には、メモリ33に記憶された共通データを消去するようになっており、制御部31は、「共通データ消去手段」の一例に相当する。
【0042】
なお、本実施形態では、上位装置に相当する電子マネー決済機10にも、上位側非接触通信手段に相当する無線リーダ部15が設けられており、ICカードC(決済に用いられる記録媒体としての非接触通信媒体)と非接触通信を行うことができるようになっている。この構成では、電子マネー決済機10に対してICカードCが翳されて決済が行われる場合、当該電子マネー決済機10において一般的な方法で決済処理が行われる。つまりこの構成では、電子マネー決済機10(上位装置)の制御部11(情報処理手段)は、無線リーダ部15(上位側非接触通信手段)とICカードC(非接触通信媒体)との間で非接触通信が行われる場合には、無線リーダ部15がICカードCから読み取った読取情報(識別情報や残金等)とレジ60等にて入力された精算金額に基づいて決済処理を行うことになる。一方、電子マネー決済機10(上位装置)の制御部11(情報処理手段)は、上述したように、携帯型端末30とICカードCとの間で非接触通信が行われる場合には携帯型端末30とICカードCとの間で行われる非接触通信によって得られた上述の応答情報に基づく決済処理を行うことになる。
【0043】
以上説明したように、本第1実施形態に係る電子マネー取引システム(読取システム)1では、情報処理機能を有する機器によって構成される電子マネー決済機10と、電子マネー決済機10と通信可能に構成されICカードC(記録媒体)からの情報取得動作が可能な携帯型端末30とを備えている。そして、携帯型端末30は、電子マネー決済機10が有する動作プログラムの実行に応じて、電子マネー決済機10から命令情報を受信しICカードCからの情報取得や他の装置を動作させるようにしており、また、電子マネー決済機10は命令情報に応じた携帯型端末30からの応答情報に基づいて情報処理を行うようにしている。すなわち、この構成では、電子マネー決済機10側で、携帯型端末30の情報取得動作などを制御するようにしているので、携帯型端末30では必要最小限の機能のみ(すなわち、液晶画面などの表示装置や入力キーなどの入力装置など)を備えていればよく、携帯型端末30をより簡易に構成することができる。
【0044】
さらに、携帯型端末30では、情報取得手段(変復調器43)によって取得された取得情報又は当該取得情報を加工した加工情報を情報送信手段(外部インタフェース41)により電子マネー決済機10に送信するとともに、情報送信手段によって送信する情報を、当該携帯型端末30内で非蓄積状態(取得した情報を消去するなどしてメモリ等に蓄積させない)とするようにしている。このため、当該携帯型端末30の盗難や紛失などが発生した場合に内部の情報が漏洩するのを抑えることができ、セキュリティ性を確実に高めることが可能となる。特に、携帯型端末30で、セキュリティ性を高めるための特殊な部品等を必要としないため、より簡易な構成でセキュリティ性を高めることができる。
【0045】
また、携帯型端末30の情報取得手段は、決済に用いられるICカードCとしての非接触通信媒体から非接触通信にて情報を読み取る非接触通信手段(変復調器43)を備えている。そして、電子マネー決済機10の情報処理手段(制御部11)は、携帯型端末30の情報送信手段からの応答情報の送信があった場合に、当該応答情報に基づく決済処理を行うようにしている。このように、携帯型端末30では読取処理のみを行い、決済処理自体は電子マネー決済機10で行うようにしているので、個人情報や機密情報が取り扱われる電子マネー取引等において、情報の漏洩をより効果的に抑えることができ、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0046】
また、電子マネー決済機10の情報処理手段は、携帯型端末30に対しICカードCに送信するべきコマンドを送信するようにしている。また、携帯型端末30の動作手段は、電子マネー決済機10からコマンドを取得した場合に当該コマンドを非接触通信手段に与えるようにしている。そして、非接触通信手段はコマンドを変調してICカードCに送信するようにしている。このように、携帯型端末30は、電子マネー決済機10の情報処理手段にて行われる決済処理に応じて電子マネー決済機10から送信されたコマンドを変調する構成を必要最小限の機能として備えていればよく、決済処理を行うための動作プログラム等を備える必要がないため、当該端末をより簡易に構成することができる。
【0047】
また、ICカードCには、当該ICカードCに固有に割り当てられた固有情報が記録されている。そして、携帯型端末30の情報取得手段は、ICカードCから少なくとも固有情報を取得するように構成され、また、携帯型端末30の情報送信手段は、少なくとも固有情報を電子マネー決済機10に送信するように構成されている。さらに、非蓄積手段は、当該携帯型端末30内で固有情報を強制消去するようにしている。このように、携帯型端末30では、ICカードCに固有に割り当てられた固有情報(例えばカード番号や個人情報など)を取得すると電子マネー決済機10へ送信すると共に、取得した固有情報を当該携帯型端末30から強制消去するようにしているので、当該携帯型端末30に不必要に固有情報が残ることを確実に防止することができ、セキュリティ性をより高めることができる。
【0048】
また、電子マネー決済機10には、描画データを生成する描画データ生成手段(制御部11)と、描画データ生成手段で生成された描画データを携帯型端末30に送信する描画データ送信手段(外部インタフェース21)とが設けられている。そして、携帯型端末30には、情報の表示が可能な表示装置37が備えられており、電子マネー決済機10から描画データの送信があった場合に、当該描画データに応じた描画内容で表示制御手段(制御部31)により表示装置37の表示を行うようにしている。このように、電子マネー決済機10側で描画データを生成するようにしているため、携帯型端末30側ではこの描画データを受信して単に表示するだけでよく、携帯型端末30の構成やプログラム等をより簡素化することができる。
【0049】
また、電子マネー決済機10の描画データ生成手段は、表示するべき文字を指定する文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを含んでなる描画情報を生成するようにしている。また、携帯型端末30の表示制御手段は、描画情報の位置情報で指定される位置に、当該描画情報で指定される文字情報を表示するように表示装置37での表示を行うようにしている。このように、電子マネー決済機10側から携帯型端末30側へ、文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを送信するようにし、この送信される情報に基づき携帯型端末30では表示装置37に描画情報を表示するようにしているので、送信される描画情報のデータサイズを比較的抑えることができ、通信負荷を軽減することができる。
【0050】
また、電子マネー決済機10には、音データを記憶する音データ記憶手段と、所定の音発生条件成立時に音データ記憶手段(メモリ13)に記憶された音データを携帯型端末30に送信する音データ送信手段(外部インタフェース21)とが設けられている。また、携帯型端末30には、少なくとも電子マネー決済機10から音データの送信があった場合に当該音データに応じた音を発生させる音発生手段(鳴音装置39)が設けられている。このように、音データを電子マネー決済機10に記憶し、所定の音発生条件成立時に携帯型端末30へ送信するようにしているので、携帯型端末30ではこの音データを常時記憶しておく必要がなく、当該携帯型端末30の構成をより簡素なものとすることができる。
【0051】
また、動作プログラムは、携帯型端末30から所定情報を取得した場合に、予め定められた規定の共通データを携帯型端末30へ送信する送信プログラムを含んでおり、また、情報処理手段は、送信プログラムの実行に応じて共通データを携帯型端末30に対して送信するようにしている。また、携帯型端末30は、電子マネー決済機10から取得した共通データを登録する共通データ登録手段(メモリ33)と、電子マネー決済機10と所定の通信不能状態となった場合に、共通データ登録手段に登録された共通データを消去する共通データ消去手段(制御部31)とを備えている。この構成によれば、電子マネー決済機10の動作プログラムは、携帯型端末30から所定情報を取得した場合に(例えば携帯型端末30の電源投入時など)、予め定められた規定の共通データ(例えば、音データや画像データ、動画データなど)を携帯型端末30へ送信するようになっているので、携帯型端末30ではこの共通データを予め受信しておくことができ、通信負荷を分散させることができる。また、携帯型端末30では、電子マネー決済機10と所定の通信不能状態となった場合に、この受信した共通データを消去するようにしているので、当該携帯型端末30側でこの共通データを常時記憶しておく必要がなく、当該携帯型端末30の構成をより簡素なものとすることができる。
【0052】
また、電子マネー決済機10(上位装置)は、決済に用いられる記録媒体としての非接触通信媒体(ICカードC)から非接触通信にて情報を読み取り可能な上位側非接触通信手段(無線リーダ部15)を備え、電子マネー決済機10の情報処理手段(制御部11)は、上位側非接触通信手段と非接触通信媒体との間で非接触通信が行われる場合には、上位側非接触通信手段が非接触通信媒体から読み取った読取情報に基づく決済処理を行い、携帯型端末30と非接触通信媒体との間で非接触通信が行われる場合には、携帯型端末30と非接触通信媒体との間で行われる非接触通信によって得られた応答情報に基づく決済処理を行う。
この構成によれば、電子マネー決済機10側で決済処理を行う場合には上位側非接触通信手段に搭載された機能を直接利用して非接触通信媒体と直接的に非接触通信を行い、通常の決済処理を行うことができる。一方、携帯型端末30で決済処理を行う場合、携帯型端末30を非接触通信のインタフェースとして機能させ、決済処理については電子マネー決済機10側の機能を利用することができる。特に、利用者が携帯型端末30での決済を希望する場合に、決済の受付については携帯型端末30を利用し、決済機能については電子マネー決済機10側の機能を利用することができるため、携帯型端末30の構成や処理の簡素化を図りつつ、利便性の高い決済が可能となる。また、決済に付随する処理についても、電子マネー決済機10側での処理を携帯型端末30でも共通して利用しやすく、設計面でも非常に有利となる。
【0053】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
上記実施形態では、読取システムを電子マネー取引システムに適用した例を挙げて説明したが、特にこれに限定されない。
【0055】
上記実施形態では、携帯型端末30は、電子マネー決済機10と無線通信を行う構成を例示したが、特にこれに限定されず、有線通信を行う構成であってもよい。
【0056】
上記実施形態では、携帯型端末30の電源投入時に、規定の共通データを電子マネー決済機10から携帯型端末30へ送信するようにしたが、特にこれに限定されない。
【0057】
上記実施形態では、電子マネー決済機10では、携帯型端末30の表示装置37において、表示するべき文字を指定する文字情報と当該文字情報の表示位置を指定する位置情報とを含んでなる描画情報を生成するようにしたが、これに限定されず、例えば描画データは所定の画像形式(例えばビットマップなどの形式)で生成されるようにしてもよい。