(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脱二酸化炭素剤は、前記脱二酸化炭素剤とは異なる二酸化炭素浸透性物質で形成されている小袋、パッチ、又は、被覆の内部に位置している、請求項1に記載の装置。
前記1つ以上のガス浸透性フィルム又はガス浸透性膜は、実質的に平行であり、前記カートリッジ内で前記入口から前記出口まで縦方向に配置されている、請求項9に記載の装置。
前記1つ以上のガス浸透性フィルム又はガス浸透性膜は、実質的に平行であり、前記容器内で前記入口から前記出口まで縦方向に配置されている、請求項11に記載の装置。
積層から形成され、赤血球を保持及び保存するために適した容器を備え、前記積層は、(a)酸素及び二酸化酸素の両方に対して実質的に不浸透性の物質の外層と、(b)赤血球との混和性がある物質の内層と、(c)前記外層と前記内層との間にあり、脱酸素剤及び脱二酸化炭素剤の両方が混合されている物質でできている間質層とを有している、血液保存装置。
実質的に二酸化炭素を浸透させない前記外側容器が実質的に酸素を浸透させず、かつさらに前記外側容器又は前記内側容器内に位置する脱酸素剤を備える、請求項1に記載の血液保存装置。
前記脱二酸化炭素剤及び前記脱酸素剤が、小袋、パッチ、又は前記脱二酸化炭素剤及び脱酸素剤とは異なる二酸化炭素及び酸素浸透性物質から形成される被覆内に位置する、請求項21に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸素を減損させ、輸血のための赤血球を嫌気保存することができる血液保存用の使い捨て装置である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、嫌気保存の前、または、嫌気保存の開始時に、酸素(O
2)の他に二酸化炭素(CO
2)を除去する装置及び方法を更に提供する。
【0007】
本開示は、最適なATPレベル及びDPGレベルを取得するために、減損装置内に載置されているO
2捕捉物質及びCO
2捕捉物質を混合することを更に提供する。
【0008】
本開示は、嫌気保存の前、または、嫌気保存の開始時に、CO
2を捕捉させる能力をもつ減損装置を更に提供する。
【0009】
本開示は、嫌気的に、かつ、CO
2減損状態で、赤血球を保存することができる嫌気保存袋を更に提供する。
【0010】
本開示は、嫌気保存袋の内部で小袋の中に置かれるか、又は、構成物の保存袋物質に組み入れられるO
2捕捉物質とCO
2捕捉物質とを混合することを提供する。
【0011】
その結果、本開示は、酸素及び二酸化炭素を減損させると共に、輸血のための赤血球を嫌気保存することができる血液保存用の使い捨て装置を提供する。
【0012】
本開示は、保存前に酸素及び二酸化炭素が減損され、保存中に嫌気性かつ二酸化炭素元素減損状態が継続的に維持されるRBC
Sの嫌気保存システムを更に提供する。
【0013】
本開示は、冷蔵庫内の不活性ガス中のような雰囲気制御容器又はチャンバに標準的な保存袋を保存することによる保存袋の嫌気保存を更に提供する。
【0014】
本開示は、保存袋への輸送中に血液から酸素及び二酸化炭素を奪うためにフィルタ又は膜と組み合わされた酸素及び二酸化炭素吸収剤を有している酸素/二酸化炭素減損装置を組み込む採血システムを提供する。
【0015】
本開示は、血液から装置の内部への酸素及び二酸化炭素の拡散を促進するために十分な表面積を提供するガス浸透性フィルム又は膜を収納する酸素/二酸化炭素減損装置を組み込む採血システムを提供する。
【0016】
本開示は、保存袋への輸送中に血液から酸素及び二酸化炭素を奪うためにフィルタ又は膜付きのガス浸透性膜内に封入された酸素及び二酸化炭素吸収剤を有している酸素/二酸化炭素減損装置を組み込む採血システムを提供する。
【0017】
本開示は、赤血球(RBC
S)を保存する積層保存袋を更に提供する。この保存袋は、酸素及び二酸化炭素吸収剤を有している積層袋、又は、酸素及び二酸化炭素吸収剤を含有している補助袋でもよい。
【0018】
本開示は、添加溶液を含む採取された赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させるシステムと、酸素及び二酸化炭素減損装置と、酸素及び二酸化炭素減損状態に赤血球を維持する血液保存袋とを更に提供する。
【0019】
本開示は、保存前の二酸化炭素レベルの低下と、DPGレベルの増加とを可能にするシステム及び方法を提供する。二酸化炭素レベルを低く維持し、そして、DPGレベルを高く維持することにより、酸素を結合するためにヘモグロビンへの酸素の親和性が低減される。ヘモグロビンへの親和性が低いことによって、組織への酸素のより高い伝達が可能になる。
【0020】
本開示は、供血者から赤血球のサンプルを取得し、酸素及び二酸化炭素減損サンプルを生成するためにサンプル中の酸素レベル及び二酸化炭素レベルを減損させ、サンプルの酸素及び二酸化炭素減損状態を維持する容器に酸素及び二酸化炭素減損サンプルを保存することにより、保存のために赤血球中のATP及びDPGを最適化する方法を提供する。減損の範囲は、可変である。
【0021】
本開示は、望ましいレベルの構成要素を取得するために、適切なレベルの酸素及び二酸化炭素ガスが中に通されるか、又は、酸素減損用捕捉剤と二酸化炭素減損用捕捉剤との適切な混合物を含んでいる減損装置の対象になる保存血液を処理することにより保存血液を最適化することを更に提供する。この血液は、酸素及び/又は二酸化炭素減損条件下で更に保存される。輸血の直前に、輸血前の受血者の要求に基づいて必要に応じて保存血液を再酸素負荷する。
【0022】
本開示は、血液保存装置の別の実施形態を更に提供する。この装置は、赤血球を保持し保存するために適した密閉型容器である。この容器は、積層から形成された壁を有している。積層は、(a)酸素及び二酸化酸素に対して実質的に不浸透性の物質の外層と、(b)赤血球との混和性がある物質の内層と、(c)外層と内層との間の間質層とを有している。間質層は、酸素捕捉剤及び二酸化炭素捕捉剤の一方又は両方が混合されている物質でできている。代替的に、間質層は、削除されることが可能であり、捕捉物質が内層及び/又は外層に混合される。
【0023】
本開示は、血液保存システムの別の実施形態を更に提供する。このシステムは、赤血球の採取袋と、酸素及び二酸化炭素を減損させ、赤血球から白血球及び/又は血小板を削減する単一装置と、赤血球の保存袋と、採取袋を単一装置へ接続し、単一装置を保存袋へ接続するチュービングとを有している。
【0024】
本開示と、本開示の特徴及び利点とは、添付図面を参照して以下の詳細な説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の使い捨て血液嫌気保存システムの構成要素を示した図である。
【
図2】本開示の保存前酸素/二酸化炭素減損装置を示した図である。
【
図3】ポケット内に酸素吸収剤を含有している補助的な外側酸素フィルム付きの保存袋を有している血液保存袋の第1の実施形態を示した図である。
【
図4A】ガス浸透性、RBC
Sと接触した赤血球混和性ポリマー内に封入された大型吸収剤小袋付きの血液保存袋を有している保存前酸素/二酸化炭素減損袋を示した図である。
【
図4B】RBC
Sと接触した大型吸収剤付きの積層酸素フィルムバリア保存袋を有している血液保存袋の第3の実施形態を示した図である。
【
図5A】酸素吸収剤を有している内側血液保存袋を取り囲む補助的に構成された補助的な外側バリア袋を有している血液保存袋の第4の実施形態を示した図である。
【
図5B】RBC
Sと接触したガス浸透性赤血球混和性ポリマー内に封止された大型酸素吸収剤小袋を有している内側血液保存袋を取り囲む補助的な外側バリア袋を有している血液保存袋の第5の実施形態を示した図である。
【
図6A】組立体の内部の中空ファイバの周りに形成された組成をもつ不活性ガス、又は、不活性ガス/CO
2混合物をフラッシングすることによって、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の実施形態を示した図である。
【
図6B】組立体の内部の中空ファイバの周りに形成された組成をもつ不活性ガス、又は、不活性ガス/CO
2混合物をフラッシングすることによって、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の実施形態を示した図である。
【
図6C】組立体の内部の中空ファイバの周りに形成された組成をもつ不活性ガス、又は、不活性ガス/CO
2混合物をフラッシングすることによって、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の実施形態を示した図である。
【
図7A】保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図7B】保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図7C】保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図8A】酸素及び/又はCO
2が中空ファイバによって取り囲まれたシリンダのコア内の捕捉物質によって捕捉される、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図8B】酸素及び/又はCO
2が中空ファイバによって取り囲まれたシリンダのコア内の捕捉物質によって捕捉される、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図8C】酸素及び/又はCO
2が中空ファイバによって取り囲まれたシリンダのコア内の捕捉物質によって捕捉される、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図9A】ガス浸透性低水蒸気透過物質中に包まれた中空ファイバのシリンダを取り囲む捕捉物質によって酸素および/またはCO
2が捕捉される、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図9B】ガス浸透性低水蒸気透過物質中に包まれた中空ファイバのシリンダを取り囲む捕捉物質によって酸素および/またはCO
2が捕捉される、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図9C】ガス浸透性低水蒸気透過物質中に包まれた中空ファイバのシリンダを取り囲む捕捉物質によって酸素および/またはCO
2が捕捉される、保存前に赤血球から酸素及び二酸化炭素を減損させる減損装置の別の実施形態を示した図である。
【
図11A】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11B】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11C】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11D】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11E】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11F】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11G】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図11H】冷凍保存中での赤血球の代謝状態への酸素、及び、酸素及び二酸化炭素の減損の効果のグラフを示した図である。
【
図12】本開示の使い捨て血液嫌気保存システムの別の実施形態の構成要素を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面、特に、
図1を参照すると、使い捨て血液嫌気保存システムが示されており、符号10を用いて参照される。血液保存システムは、酸素/二酸化炭素減損装置100(OCDD100)と、嫌気性血液保存袋200と、格納された添加溶液保存袋300とを含む。OCDD100は、OCDDの中を進む赤血球から酸素及び二酸化炭素を除去する。このシステムは、白血球除去フィルタ400を更に含む。従来から採血プロセスと関連付けられる構成要素は、静脈切開針410と、抗凝血剤を収容する採血袋420と、血漿を収容する袋430とである。チュービングは、様々な構成で血液保存システム10の様々な構成要素を接続することができる(一実施形態に示される)。チューブ440は、採取袋420を白血球除去フィルタ400と接続する。チューブ441は、溶液袋300を採取袋420と接続する。チューブ442は、血漿袋430を採取袋420と接続する。チューブ443は、白血球除去フィルタ400をOCDD100と接続する。チューブ414は、OCDD100を血液保存袋200と接続する。血液保存システム10は、好ましくは、1回限りの使い捨て低価格システムである。
【0027】
酸素/二酸化炭素減損装置100は、RBC
Sが血液保存袋200に保存される前に採取されたRBC
Sから酸素を除去する。RBC
S中の酸素のうちの99%より多くが静脈血中でヘモグロビン結合しているので、RBC
S中の酸素含有量は、オキシヘモグロビンから減損されるべきである。好ましくは、酸素飽和度は、採血から48時間内に4%未満まで削減されるべきである。酸素減損は、好ましくは、室温で実現される。ヘモグロビンへの酸素の親和性は、温度に高度に依存し、37℃で26mmHgから4℃でおよそ4mmHgのp50まで降下する。更に、このO
2親和性(Ka)における増加は、主に、O
2放出速度(k−off)の減少に起因し、RBC515が4℃まで冷却されると、非実用的
に低い速度の酸素除去の原因となる。このように、酸素親和性の増加は、RBCが1℃から6℃までの保存温度まで冷却される前に脱酸素を達成するために好ましくなるように、脱酸素に制約を課す。
【0028】
酸素減損に代えて、又は、酸素減損に加えて、二酸化炭素減損は、赤血球中のDPGレベルを上昇させる有益な効果がある。二酸化炭素は、HCO
3−イオン(炭酸)と平衡状態でRBC
Sの内部及び血漿中に存在する。二酸化炭素は、主に、RBC/血漿混合物中で炭酸として溶解し、CO
2と炭酸との間の迅速平衡は、RBCの内部の炭酸脱水酵素によって維持される。二酸化炭素は、RBC膜を通して自由に浸透するが、RBCと血漿の内部のHCO
3−は、陰イオン交換(バンド3)タンパク質によって迅速に平衡を保たせる。CO
2がRBC懸濁液から除去されるとき、RBC内部及び懸濁媒体の既知のアルカリ化が生じる。これは、RBCの内部及び外部のHCO
3−の除去の結果として生じ、細胞質ゾルHCO
3−は、炭酸脱水酵素によってCO
2に変換され、除去され、同時に、血漿HCO
3−は、RBC内部の陰イオン交換によって除去される。RBC内部のpHが高いほど、解糖の速度を高め、それによって、ATPレベル及びDPGレベルを高めることが知られている。ATPレベルは、Ar/CO
2(p<0.0001)中でより高くなる。DPGは、2週間を超えてアルゴンパージされたアーム(p<0.0001)だけに維持された。増強された解糖速度は、嫌気状態の結果として、ヘモグロビンの脱酸素化時に、細胞質ゾルを含まないDPGの代謝変調及び金属イオン封鎖化により主要な解糖酵素の脱抑制により更に予測される。DPGは、ヘモグロビンの十分な脱酸素化にかかわらず、対照アームとAr/CO
2アーム(p=0.6)の両方において同じ速度で失われたが、ATPの非常に高いレベルがOFAS3添加物を用いて達成された(
図11A−
図11d)。
【0029】
図面、特に、
図12を参照すると、使い捨て血液嫌気保存システムの別の実施形態が示されており、参照符号500を用いて参照される。血液保存システムは、採血袋510と、酸素/二酸化炭素減損装置515(OCDD515)と、嫌気性血液保存袋528とを含む。OCDD
515は、このOCDDの中を進む赤血球から酸素及び二酸化炭素を除去する。チュービングは、血液保存システム500の様々な構成要素を接続する。チューブ512は、採取袋510をOCDD515と接続する。チューブ518及び520は、OCDD515を血液保存袋528と接続する。血液保存システム500は、好ましくは、1回限りの使い捨て低価格システムである。
【0030】
図2を参照すると、酸素/二酸化炭素減損装置(OCDD)101は、酸素吸収剤110を収容する。OCDD101は、酸素吸収剤110と一連の中空ファイバ115とを収容する使い捨てカートリッジ105である。酸素吸収剤110は、無毒性の無機塩及び/又は有機塩と、酸素への高反応性をもつ第一鉄又は他の物質との混合物である。酸素吸収剤110は、O
2に対する(1g当たり5mLのO
2を超える)かなりの吸収度を有する粒子で作られ、カートリッジ105の内側を、0.08mmHg未満のpO
2に対応する0.01%未満に保つことができる。酸素吸収剤110は、遊離しているか、又は、酸素浸透性外被に収容されている。本開示のOCDD101は、1単位の血液からおよそ100mLの酸素を減損させなければならない。
【0031】
酸素及び二酸化炭素が
図2のOCDDにおいてRBCから奪われた後、RBC
Sは、血液保存袋200の中に保存される。添加溶液300中に懸濁するRBCの酸素含有量は、添加溶液を冷凍貯蔵庫に入れる前にSO
2が4%以下に削減されるべきである。更に、酸素減損RBCは、保存期間の全体に亘って嫌気性状態及び低二酸化炭素状態に保たれるべきである。
【0032】
RBC
Sは、酸素浸透フィルム又は膜115を通過する。膜又はフィルムは、平坦なシート又は中空ファイバ形状で構築されることがある。フィルムは、高い酸素浸透率をもつことができる無孔性物質(ポリオレフィン、シリコーン、エポキシ、ポリエステルなど)でもよく、膜は、疎水性多孔質構造体である。膜は、ポリマー(ポリオレフィン、Teflon(登録商標)、PVDF、ポリスルホン)、又は、無機物質(セラミック)で構築されることがある。酸素減損は、RBC
Sが膜115を通過するときに起こる。中空ファイバが酸素浸透フィルム又は膜に代えて使用されることがある。OCDDは、酸素を除去し、中を通る血液の一定流を維持するために大きい表面積を有している単純な構造を提供する。酸素減損又は除去は、酸化鉄を形成するために、酸素吸収剤110の中の第一鉄イオンと、周囲酸素との不可逆反応によって実現される。OCDD101は、酸素除去のための撹拌を必要とせず、必要に応じて採血システムの一部としての遠心分離に耐えるように容易に製造することができる。
【0033】
図6Aから
図6C及び
図7Aから
図7Cを参照すると、フラッシング減損装置の実施例が開示される。減損装置は、適切なフラッシングガスの組成物を供給することによりO
2及びCO
2、O
2もしくはCO
2単独、又は、特定のレベルのCO
2と共にO
2を減損させるために機能する。減損装置のため適したガスは、例えば、Ar、He、N
2、Ar/CO
2、又は、N
2/CO
2である。
【0034】
図8Aから
図8C及び
図9Aから
図9Cは、捕捉減損装置を更に開示する。減損は、捕捉物質又は吸収剤を使用し、そして、外部ガスを使用せずに行われる。しかし、両方の型式の減損装置において、酸素減損と組み合わされた二酸化炭素減損は、血液保存袋に保存する前に、DPG及びATPのそれぞれを高めるために有効である。
【0035】
図6aから
図6cを参照すると、減損装置20が示されている。減損装置20は、赤血球が中を流れるおよそ5000本の複数のファイバ25を含む。複数のファイバ25は、プラスチック製シリンダ30によって取り囲まれている。プラスチック製シリンダ30は、血液から炭素及び/又は酸素を除去するために前述されているようなフラッシングガス又はフラッシングガスの組み合わせが中を通って供給されるガス吸気口35及びガス排気口40を含んでいる。減損装置20の仕様は、以下の表1に示される。
【0037】
図7aから
図7cを参照すると、減損装置45が示されている。減損装置45は、
図6aから
図6cの装置20と同様に、赤血球が中を流れるおよそ5000本の複数のファイバ50を含む。複数のファイバ50は、プラスチック製シリンダ55によって取り囲まれている。プラスチック製シリンダ55は、血液から酸素を除去するために前述されているようなガス又はガスの組み合わせが中を通って供給されるガス吸気口60及びガス排気口65を含んでいる。減損装置45の仕様は、以下の表2に示される。装置45の減損の有効表面積は、装置45が装置20の2倍の長さをもつので、装置20の有効表面積の2倍である。
【0039】
図8Aから
図8Cは、O
2、CO
2、又は、O
2及びCO
2の両方のいずれかのための捕捉物質を収容しているコア75を有している減損装置70を開示する。コア75は、非常に低い液体浸透率をもつガス浸透フィルムによって充填されている。中空ファイバ80は、コア75の周りに巻き付けられ、プラスチック製シリンダ82は、中空ファイバ80を収容し、包囲する。この特殊な実施形態では、減損のための有効表面積は、以下の表3に示されるようにおよそ0.8796m
2である。
【0041】
図9Aから
図9Cは、非常に低い液体浸透率をもつガス浸透性フィルムに包囲されたファイバ束87を収容している減損装置85を開示する。ファイバ束87は、O
2、CO
2、又は、O
2及びCO
2の両方のいずれかのための捕捉物質89によって取り囲まれている。ファイバ束87及び捕捉物質89は、プラスチック製シリンダ90内に収容されている。減損のための有効表面積は、以下の表4に示されるようにおよそ0.8796m
2である。
【0043】
図10は、フラッシング減損装置20及び45と、捕捉減損装置70及び85との性能のグラフである。
図6のデータは、種々の流速を生じさせるために様々な頭耳高で、以下の条件:ヘマトクリット62%(プールされた濃厚赤血球3単位)及び21℃を使用してプロットされた。脱酸素/二酸化炭素剤(Multisorb Technologies、ニューヨーク州バッファロー)が装置79及び装置85に対してそれぞれ5%w/w及び12%w/wの水蒸気を添加することにより活性化された。データは、流速(1分間当たりの赤血球懸濁液重量g)に対し酸素分圧(mmHg)でプロットされた。
【0044】
ここに開示された酸素/二酸化炭素減損装置では、複数のガス浸透フィルム/膜が複数の中空ファイバに代えて使用されてもよい。フィルム及びファイバは、赤血球を受け入れ、運搬することができる限り、直線状もしくは縦方向、螺旋状、又はコイル状のような適当な構成でカートリッジ内に詰め込まれることがある。
【0045】
図10は、最低酸素飽和度が装置45及び85を使用して達成されることを示す。装置45は、より広い有効表面積がファイバ50の長さに沿ってガスに晒されることを示す。装置85は、捕捉物質への長い露出表面積を更に有している。装置85は、捕捉物質89によって取り囲まれた束87を有している。束87の間で捕捉物質89によって占められた空間は、ファイバ束87の中に収容されている赤血球からの酸素及び二酸化炭素の分散を促進し、よって、赤血球からの酸素及び二酸化炭素の捕捉を助ける。
【0046】
減損装置の更なる使用は、純酸素又は空気をフラッシングすることによって輸血の前に酸素及び/又は二酸化炭素を追加輸注することである。この使用は、大量輸血のような、輸血された血液に再酸素負荷する肺の容量が十分ではないか、又は、鎌状赤血球貧血である特別な場合を対象にする。
【0047】
同様に、減損装置は、患者の要求に依存して輸血された血液の最適なレベルを取得するために、患者の酸素及び二酸化炭素依存性要求の減損の中間レベル又は状態を取得するために使用できる。
【0048】
図3を参照すると、本開示の好ましい実施形態による血液保存袋200が提供される。血液袋200は、内側血液混和性袋250(好ましくは、ポリ塩化ビニール(PVC))と、外側バリアフィルム袋255とを有している。袋250の物質は、RBC
Sと混和性がある。内側袋250と外側酸素バリアフィルム袋255との間に配置されているのは、酸素/二酸化炭素吸収剤110を収容するポケットである。バリアフィルム袋255は、内側袋250の表面全体に積層される。吸収剤110は、代替的にポーチ又はポケットと称される小袋260の中に収容される。吸収剤110は、好ましくは、具体的に、内側袋と外側酸素バリアフィルム袋255との間で、袋200の中に入り、この袋200から出るチュービング444の中間に位置している。この場所は、これらの2つの袋の間に配置された酸素が捕捉又は吸収されることを確実にすることになる。酸素吸収剤は、理想的には、ポーチ又はポケット260の中に位置し、RBC
Sと接触しない。酸素吸収剤は、CO
2捕捉物質又は吸収剤と組み合わされることもあり、吸収剤110が同時に酸素及び二酸化炭素の両方を減損させることを可能にする。
【0049】
図4A及び
図4Bを参照すると、血液保存袋201及び202は、長期保存期間に亘ってRBC
Sを保存するために構成されている。内側血液保存袋205は、好ましくは、DEHP−軟質PVCから作られ、RBC
Sと接触する。DEHP−軟質PVCは、酸素への浸透性がシリコーンと比べおよそ200倍小さい。しかし、PVCは、保存期間を通じてRBC
Sの嫌気性状態を維持するために酸素バリアとして不十分である。したがって、血液保存袋201及び202は、外側表面内側血液袋205に積層された外側透明酸素バリアフィルム206(例えば、ナイロンポリマー)を用いて製造される。このアプローチは、
図3に示されたアプローチと同様に、(細胞安定化のためのDEHPを提供する)血液接触表面のため承認されたPVCを使用し、同時に、長期保存中に酸素が袋へ入ることを妨げる。
【0050】
図4Aでは、酸素浸透性のあるRBC混和性膜に包囲された酸素/二酸化炭素吸収剤110を収容する小型小袋210は、積層PVC袋205の内側に封入され、RBC
Sと接触する。小型小袋外被210は、好ましくは、生物学的適合性物質の高い酸素浸透性をもつシリコーン又はシロキサン物質から作られる。小袋外被210は、O
2浸透率が律速ステップにならなくなることを確実にする厚さ0.13mm未満の壁厚さを有している。PVC袋205は、脱二酸化炭素剤を更に収容することがある。
【0051】
図4Bを参照すると、袋202は、
図4Aの袋201に類似した構成を有している。しかし、袋202は、PVC袋205の内部に封止された大型吸収剤215を有している。大型吸収剤215は、好ましくは、長期保存中に酸素を急速に吸収するために櫛状構成を有している。
図4A及び
図4Bの積層袋の利点は、一旦RBC
Sが袋の中に嫌気保存されると、更なる特別な操作が必要とされないことである。同様に、袋202は、酸素捕捉能力に加えて二酸化炭素捕捉能力を備えるために脱二酸化炭素剤を収容することがある。
【0052】
図5A及び
図5Bの実施形態を参照すると、RBC
Sは、RBC保存のための嫌気保存環境を維持するために補助袋301及び302にそれぞれ保存される。補助袋301及び302は、RBC
Sを嫌気状態に維持するために、PVC血液袋305及び325のそれぞれが十分な酸素バリアとして機能できないことを補償する透明酸素バリアフィルム(例えば、ナイロンポリマー)である。補助袋301及び302は、酸素バリアフィルム、好ましくは、ナイロンポリマー、又は、低酸素浸透度をもつ他の透明可塑フィルムで作られる。
【0053】
図5Aを参照すると、小型酸素/二酸化炭素吸収剤310は、緩やかに拡散する酸素を除去するためにPVCバリア袋305と補助袋306との間に配置されている。
図5Aは、本実施形態では、補助袋306が袋305から分離し、及び袋305に接合されていない点を除いて、
図3の血液袋の好ましい実施形態に類似している。ポートを含むPVC袋305は、補助バリア袋305の中に封止されている。酸素吸収剤310は、酸素捕捉能力及び二酸化炭素捕捉能力の両方を提供するために、場合によっては脱二酸化炭素剤を収容することがある。
【0054】
図5Bを参照すると、補助袋302は、PVC袋320の内部に大型小袋325を収容する。小袋325は、酸素/二酸化炭素吸収剤110で充填されている。小袋325は、表面積を増大するために表面テクスチャをもつ成形要素である。小袋325は、急速な酸素/二酸化炭素減損のための櫛状幾何形状を有している。小袋325は、
図2のOCDDの代わりにRBC
Sの冷凍及び保存前に、RBC
Sから酸素/二酸化炭素を奪うために素早く作用する。しかし、この構成を用いると、撹拌が必要であり、その結果、小袋325は、成分調製及び長期保存の間に遠心分離ステップに耐えるために、広い表面積と、高酸素/二酸化炭素浸透度と、機械的強度とを保持しなければならない。小袋325は、好ましくは、表面積を増大させるために表面テクスチャをもつ0.15mm厚さのシリコーン膜のような物質から作られている。小袋325は、PTFE又は他のフッ素ポリマーのような物質から作られることがある。小袋325は、例えば、4インチ×4インチ矩形のような矩形形状を有することがあるが、嫌気保持のため他のサイズが可能である。小袋325は、酸素及び二酸化炭素の捕捉能力を提供するために脱酸素剤に加えて脱二酸化炭素剤を収容することがある。
【0055】
図5A及び
図5Bの実施形態は、
図5Bの小袋325を除いて、既製コンポーネントから容易に作られる。試験に応じてRBC
Sにアクセスするために、補助袋301及び302は、開かれるべきである。単位体が短時間のうちに輸血されない限り、RBCは、更なる保存のため新鮮な吸収剤を用いて再封止されるべきである。(DEHPで可塑化されたPVCは、酸素に対し比較的低い浸透度を有するので、保存袋の1日間の大気暴露は、かなりの程度まで血液を酸化させることがない。)
【0056】
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bにおいて、PVC袋は、好ましくは、ゾルゲル法を使って形成されたSiO
2層のような酸素バリアフィルムで形成されている。シート物質の一部は、高周波シーラーのような標準的なヒートシール機器に封止されることになる。物質の選択肢は、押出シートにおいて取得されることがあり、また1つずつが酸素バリア、積層完全性、及び、シール強度/完全性に関して試験された。
【0057】
前述の様々な実施形態の1つずつに対し、袋300からの添加溶液がRBC
Sから酸素及び二酸化炭素を奪う前に与えられた。添加溶液300は、好ましくは、以下の組成物、アデニン2ミリモル/リットルと、ブドウ糖110ミリモル/リットルと、マンニトール55ミリモル/リットルと、NaCl26ミリモル/リットルと、Na
2HPO
412ミリモル/リットルクエン酸と、pH6.5とを含有する。添加溶液300は、好ましくは、酸性添加溶液OFAS3であるが、酸素/二酸化炭素減損保存を強化するために示された他の類似した添加溶液もまた同様に使用できる。OFAS3は、ここに開示されているように、増大されたATPレベルと優れた生体内回収率とを示した。OFAS3は、好ましい添加溶液であるが、類似した機能を提供する他の溶液もまた同様に使用できる。代替的に、AS1、AS3、AS5、SAGM及びMAPSのような現在本分野で使用される添加溶液もまた同様に使用できる。添加溶液は、保存中にRBC
Sの急速な劣化を防止するために役立ち、典型的にRBC
Sが嫌気性にされる前に添加される。
【0058】
付加的に、OCDDと、保存袋100及び200とは、使い捨て嫌気性血液保存システムの他の構成要素(すなわち、
図1における白血球除去フィルタ400の上流にあり、白血球除去フィルタ400を含むあらゆる品目)とは独立して製造できることが想定される。
【0059】
保存袋への保存前に、RBC
Sから酸素を除去すること、又は、血液から酸素及び二酸化炭素を奪うことは、本発明の開示の範囲内である。脱酸素剤は、血液袋への保存前にRBC
Sから酸素を除去するために使用できる。ここで使用されるように、「脱酸素剤」は、使用の条件の下で酸素に不可逆的に結合するか、又は、酸素と結合する物質である。例えば、酸素は、物質のある種の成分と化学反応し、別の化合物に変換させることができる。結合酸素のオフ率がゼロである物質は、どれでも脱酸素剤としての役目を果たすことができる。脱酸素剤の例は、鉄粉と有機化合物とを含む。用語「酸素吸収剤」は、ここでは、脱酸素剤と互換使用できる。ここで使用されるように、「脱二酸化炭素剤」は、使用の条件の下で二酸化炭素に不可逆的に結合するか、又は、二酸化炭素と結合する物質である。例えば、二酸化炭素は、物質のある種の成分と化学反応し、別の化合物に変換させることができる。結合二酸化炭素のオフ率がゼロである物質は、どれでも脱二酸化炭素剤としての役目を果たすことができる。用語「二酸化炭素吸収剤」は、ここでは、脱二酸化炭素剤と互換使用できる。例えば、脱酸素剤と脱二酸化炭素剤とは、Multisorb Technologies(ニューヨーク州バッファロー)によって提供される。脱酸素剤は、二酸化炭素捕捉という補助機能を示すことがある。このような物質は、望ましい結果を達成するために望ましい比率まで混ぜ合わせることができる。
【0060】
脱二酸化炭素剤は、金属酸化物及び金属水酸化物を含む。金属酸化物は金属水酸化物を生成するために水と反応する。金属水酸化物は、水及び金属炭酸塩を形成するために二酸化炭素と反応する。例えば、酸化カルシウムが使用される場合、酸化カルシウムは、水酸化カルシウムを生成するために吸収剤に添加される水と反応することになる。
(数1)
CaO+H
2O→Ca(OH)
2
【0061】
水酸化カルシウムは、炭酸化カルシウム及び水を形成するために二酸化炭素と反応することになる。
(数2)
Ca(OH)
2+CO
2→CaCO
3+H
2O
【0062】
捕捉物質は、小袋、パッチ、被覆、ポケット、及び包みの形のようなどのような公知の形でも保存容器及び袋に組み込むことができることが認められることになる。
【0063】
酸素除去が血液保存装置へのRBC
Sの採り入れ前に完了するのであれば、酸素除去は、当該技術分野で公知であるどのような方法でも達成することができる。例えば、RBC
Sの懸濁液は、望ましい酸素及び/又は二酸化炭素含有量に達するまで、又は、実質的にすべての酸素及び二酸化炭素が除去されるまで、(明確な濃度の二酸化炭素の有無にかかわらず)穏やかな混和の有無にかかわらず、不活性ガスを使って繰り返しフラッシングされる。不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、これらの混合物、又は、ヘモグロビンのヘム部分に結合しない他のガスが可能である。
【0064】
本開示のOCDD及び様々な保存袋は、種々の組み合わせで使用することができる。例えば、
図2のOCDD101は、
図3の血液袋、
図4Aの201、又は、
図5Aの301と共に使用することができる。酸素が
図5Bの袋内小袋215によって減損されるとき、酸素は、
図5Bの場合のように、又は、長期保存のため
図3、
図4A又は
図5Aのように最終保存袋へ移された酸素/二酸化炭素減損内容物として保存することができる。他の組み合わせと構成とが本開示の範囲に完全に含まれる。
【0065】
本開示は、血液保存装置の別の実施形態を更に提供する。この装置は、赤血球を保持し保存するために適した密閉型容器である。容器は、積層から形成された壁を有している。積層は、(a)酸素及び二酸化酸素に対して実質的に不浸透性の物質の外層と、(b)赤血球との混和性がある物質の内層と、(c)外層と内層との間の間質層とを有している。間質層は、脱酸素剤及び脱二酸化炭素剤の一方又は両方が混合されている物質でできている。これらの層は、好ましくは、ポリマーの形をしている。外層の好ましいポリマーは、ナイロンである。内層のための好ましいポリマーは、PVCである。間質層のポリマーは、内層と外層との間に効果的な粘着性を提供し、その中に脱酸素剤及び/又は脱二酸化炭素剤の効果的な混合物を提供すべきである。間質層のための有用なポリマーは、例えば、エチレンホモポリマー及びコポリマーとプロピレンホモポリマー及びコポリマーなどのオレフィンポリマーと、アクリルポリマーとを含む。
【0066】
本開示は、血液保存システムの別の実施形態を更に提供する。このシステムは、赤血球の採取袋と、酸素及び二酸化炭素を減損させ、赤血球から白血球及び/又は血小板を削減する単一装置と、赤血球の保存袋と、採取袋を単一装置へ接続し、単一装置を保存袋へ接続するチュービングとを有している。本実施形態の特徴は、酸素及び二酸化炭素を減損させ、赤血球から白血球及び/又は血小板を削減する機能が別個の装置を必要とするのではなく、むしろ単独の単一装置に一体化されることである。例えば、単一装置は、単独のカートリッジの形をとることができる。白血球及び/又は血小板の減少は、典型的にメッシュに赤血球を通すことによって実行される。本実施形態では、メッシュは、ここに開示されたフラッシング型又は捕捉型のいずれかの酸素/二酸化炭素減損装置に組み込むことができる。メッシュは、好ましくは、装置の内部に位置しているので、白血球及び/又は血小板削減がフラッシング又は捕捉の始まりの前に行われる。
【0067】
以下は、本開示の実施例であり、限定としてみなされるべきではない。
【実施例】
【0068】
以下の8つのグラフは、対照(O
2又はCO
2減損なしの好気性OFAS3)と、嫌気性OFAS3(純粋Arを用いて減損されるO
2及びCO
2の両方の減損あり)と、95%Arと5%CO
2とを用いたO
2だけの減損(CO
2は減損されない)を示す3アーム研究の結果を示す。
【0069】
全血がCP2D(Pall)に採取され、3分間に亘り2KxGで遠心分離され、血漿が除去され、添加溶液AS−3(Nutricel、Pall)又は実験的OFAS3が添加された。単位体は、3個の600mL袋に均等に分割された。2個の袋は、Ar又はAr/CO
2を用いて7回ガス交換され、150mLのPVC袋に移され、Ar/H
2又はAr/H
2/CO
2と共に嫌気性シリンダ中に1℃から6℃で保存された。1個の対照袋がガス交換なしに同じ方法で処理され、外気中に1℃から6℃で保存された。袋は、最大9週間まで週に1回ずつ標本化された。
【0070】
図11A、
図11C、
図11e及び
図11gのプロットは、添加溶液OFAS3(200mL;実験用、独自開発)を使用し、
図11B、
図11d、
図11f及び
図11hのプロットは、AS−3添加溶液を使用した。添加溶液を比較すると、DPGレベルへのCO
2減損の効果は、類似していた。OFAS3は、酸素が減損されたとき(±CO
2)、より高いATPを示し、O
2単独の減損は、好気性対照と比較してATPの著しい増加を示した。AS−3添加物は、O
2だけが減損されたとき、ATPの著しい増加を示した。
【0071】
図11A及び
図11B:保存中のDPGレベル。DPGレベルは、CO
2が酸素に加えて除去されたとき、2週間維持された。
【0072】
図11C:OFAS3を用いた保存中のATPレベル。最高ATPレベルは、O
2だけが減損されたときに、OFAS3 RBCを用いて達成された。O
2/CO
2減損に対し、ATPの中間レベルが対照と比較して観察され、その上、非常に高いDPGレベルが最初の2.5週間獲得された。非常に高いATPのレベルは、より高い率の輸血後24時間回復を示唆することがある。その結果、二酸化炭素減損レベル及び酸素減損レベルの程度は、受血者の特定の要件を満たすために調節されることがある。DPGレベルは、受血者の緊急の酸素必要量を満たす目的のため(ATPを犠牲にして)非常に高く保つことができる。逆に、非常に高いATPレベルは、より高い24時間回復率(より低い割合の輸血時の不活性RBC)を可能にするので、輸血される必要がある血液量を削減する(RBCのうちの最大25%までが不活性である)。より重要なことには、このことは、輸血直後に最大酸素運搬効率を要求しないことがあり(DPGレベルが8〜48時間後に体内で回復する)、不活性RBC
Sによって引き起こされる有毒性の鉄過剰負荷に苦しむ慢性的に輸血される患者の利益になる。
【0073】
図11d:AS3を用いた保存中のATPレベル。最高ATPレベルは、O
2だけが減損されたときに、AS3 RBCを用いて達成された。対照及びO
2減損のみを用いて観察されたATPレベルには有意な差がない。
【0074】
図11e及び
図11f:RBC細胞質ゾル(内部)及び懸濁媒体(外部)のpH。ガス交換の直後(第0日)に、CO
2がO
2と共に減損されたときに限り、pHの有意な上昇(内部及び外部)が観察された。CO
2/O
2減損標本を用いて観察された急激なpH下降率は、より高い乳酸塩生成率によって引き起こされた(
図11g及び
図11h)。
【0075】
図11g及び
図11h:OFAS3及びAS3を用いた保存中の(ヘモグロビンに対して)正規化されたブドウ糖レベル及び乳酸塩レベル。より高率のブドウ糖減損及び乳酸塩生成は、パネルA及びBで観察された高いDPGレベルに対応する。記号/線の凡例は、両方のパネルに対して同じである。OFAS3添加物は、2倍の体積で類似したブドウ糖濃度を含有し、その結果、より高い正規化ブドウ糖レベルをもたらした。
【0076】
図11A及び
図11Cは、ひとまとめにされると、O
2が減損されたとき、(対照と比較して)ATPレベル及びDPGレベルの増加の程度がCO
2減損のレベルを制御することにより調整され得ることを示唆する。より高いブドウ糖利用及び乳酸塩生成は、強化されたDPG生成を用いて観察された(
図11g)。これは、ブドウ糖利用及び乳酸塩生成の類似した傾向が観察されるので、AS3添加物を用いると更に効果的であるかもしれない(
図11h)。
【0077】
本発明は、ある一定の実施形態を詳細に説明するが、本開示の範囲に含まれ、当業者に知られている変更及び変形が存在することが理解される。その結果、本開示は、開示の中に記載されているような本開示の範囲内にあるこのような代替物、変更物及び変形物のすべてを包含することが意図されている。