特許第6199567号(P6199567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199567
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】OAローラ用梱包容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/20 20060101AFI20170911BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20170911BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20170911BHJP
   B65D 77/08 20060101ALI20170911BHJP
   B65D 85/68 20060101ALI20170911BHJP
   B65D 21/032 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B65D85/20 Z
   B65D85/30 Z
   B65D21/02 210
   B65D77/08 F
   B65D85/68 Z
   B65D21/032
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-12205(P2013-12205)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-173566(P2013-173566A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-14522(P2012-14522)
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100161458
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 淳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】益山 亨
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−249226(JP,A)
【文献】 特開2010−231041(JP,A)
【文献】 特開2007−269345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/20
B65D 21/02
B65D 77/08
B65D 85/30
B65D 85/68
B65D 21/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OAローラを囲い込む深さをなす凹みを有する収容部と、収容部の周囲に設けられた側壁部とを備え、合成樹脂により一体成形された容器からなり、側壁部が互いに異なる複数個の該容器を上下方向に積み重ね可能なOAローラ用梱包容器であって、
上側の容器と下側の容器とが、互いに形状が異なる一対の容器からなり、該一対の容器のうちの一方の容器を上側に、他方の容器を下側にして積み重ねたときに各容器にOAローラを収容可能であり、前記一方の容器を下側に、前記他方の容器を上側にして積み重ねたときにも各容器にOAローラを収容可能である形状を有し、
各容器の収容部は、OAローラのシャフトを支持する支持部を有し、
各容器の側壁部は、収容部の上端と接続するフランジと、このフランジの外端から下方に延びる外壁とを有する中空形状であって、収容部を挟んで相対する少なくとも二辺に、外壁の上下方向中間に底がある部分的な凹部を有し、
前記凹部が、上側の容器と下側の容器との対応する側壁部で、異なる位置に形成されていることを特徴とするOAローラ用梱包容器。
【請求項2】
前記収容部が、容器に収容されるOAローラのシャフトに対応する位置に形成されるシャフト用凹み部を更に有し、このシャフト用凹み部が、上側の容器と下側の容器とを組み重ねたときに上側のシャフト用凹み部の裏側が下の容器に収容されたOAローラのシャフトに近接する深さを有する請求項1記載のOAローラ用梱包容器。
【請求項3】
前記側壁部の部分的な凹部が、フランジの周方向に沿って複数個が設けられている請求項1又は2記載のOAローラ用梱包容器。
【請求項4】
前記収容部は、複数本のOAローラを区画するリブを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のOAローラ用梱包容器。
【請求項5】
前記リブが、容器に収容されるOAローラごとに形成され、かつ、該リブが、上側の容器と下側の容器とで、異なる位置に形成されている請求項4記載のOAローラ用梱包容器。
【請求項6】
前記一対の容器が、真空成形により製造されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のOAローラ用梱包容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OAローラを搬送する際に用いられるOAローラ用梱包容器に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスオートメーション機器(OA機器)のなかで、複写機やプリンタ、ファクシミリ等のような電子写真方式を用いた画像形成装置においては、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ等の各種のローラが用いられている。これらのローラを総称したOAローラは、回転軸としてのシャフトの外周に円柱状の機能体を備える基本構造になり、当該機能体は、樹脂発泡体、例えばポリウレタン発泡体よりなる円柱形状の弾性層と、この弾性層上に形成され導電性等の機能を付与する機能層と、表面を保護する保護層等とを有している。
【0003】
OAローラの機能体は、OAローラを製造後、画像形成装置に組み込むまでの搬送過程で、他物と接触することを極力避けなければならない。また、搬送過程で外部からの粉塵、異物などがOAローラに付着することを避けなければならない。
【0004】
OAローラを収納して搬送するために用いられるOAローラ用梱包容器に関し、合成樹脂から一体成形された上トレイ及び下トレイを備え、上トレイ及び下トレイの各々にはOAローラの半径に対応する深さの凹部が形成されて、上トレイ及び下トレイを対向させて上下に重ねたときに、当該凹部がOAローラを収納する空間となるように構成されたものがある(特許文献1、特許文献2)。また、上トレイ及び下トレイからなる内ケースと、内ケースを収容する外ケースとを含む梱包容器であって、内ケース及び外ケースのうちの一方がOAローラの感光層の材料よりも摩擦帯電列の上位に、他方が摩擦帯電列の下位になる材料で形成されたものがある(特許文献3)。
【0005】
特許文献1〜3に記載のOAローラ用梱包容器は、OAローラのシャフトの部分を保持し、かつ、上トレイ及び下トレイを対向させて上下に重ねたときに凹部により形成される空間が、ローラ弾性体とは非接触状態となっている。また、上トレイが下トレイに形成された凹部の蓋を兼ねるので、上トレイと下トレイとを重ねたときに、凹部により形成される空間及びOAローラの表面に外部から粉塵、異物などが混入することを防止する。
【0006】
また、OAローラ用梱包容器に関し、特許文献1〜3に記載のものの他に、OAローラの直径以上の深さの凹部を有するトレイと、このトレイの上蓋との組み合わせよりなり、トレイ及び上蓋が、それぞれ合成樹脂から一体成形されているOAローラ用梱包容器がある。このOAローラ用梱包容器は、上蓋を備えることにより、トレイ内に収容されたOAローラに外部から粉塵、異物などが混入することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3379030号
【特許文献2】特開2001−33989号公報
【特許文献3】特開2006−176154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に記載のOAローラ用梱包容器又はトレイと上蓋との組み合わせからなるOAローラ用梱包容器は、合成樹脂から一体成形されたものであることから紙製のOAローラ用梱包容器に比べて高価であり、よってOAローラの搬送コストの増大を招く。そのため、OAローラ用梱包容器を用いてOAローラを搬送した後は、OAローラ用梱包容器を使い切りとせずに回収して、繰り返しOAローラの搬送のために使用することにより、搬送コストの増大を抑制していた。しかし、OAローラの搬送コストを抑制又は低減することの要望は、止むことがなく、OAローラ用梱包容器について、より一層のコスト低減が求められていた。
【0009】
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、合成樹脂により形成されたOAローラ用梱包容器であって、製造コストや搬送コストを低減することのできるOAローラ用梱包容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する、本発明のOAローラ用梱包容器は、OAローラを囲い込む深さをなす凹みを有する収容部と、収容部の周囲に設けられた側壁部とを備え、合成樹脂により一体成形された容器からなり、側壁部が互いに異なる複数個の該容器を上下方向に積み重ね可能なOAローラ用梱包容器であって、上側の容器と下側の容器とが、互いに形状が異なる上下一対の容器からなり、該一対の容器のうちの一方の容器を上側に、他方の容器を下側にして積み重ねたときに各容器にOAローラを収容可能であり、前記一方の容器を下側に、前記他方の容器を上側にして積み重ねたときにも各容器にOAローラを収容可能である形状を有し、各容器の収容部は、OAローラのシャフトを支持する支持部を有し、各容器の側壁部は、収容部の上端と接続するフランジと、このフランジの外端から下方に延びる外壁とを有する中空形状であって、収容部を挟んで相対する少なくとも二辺に、外壁の上下方向中間に底がある部分的な凹部を有し、前記凹部が、上側の容器と下側の容器との対応する側壁部で、異なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のOAローラ用梱包容器は、収容部が、容器に収容されるOAローラのシャフトに対応する位置に形成されるシャフト用凹み部を更に有し、このシャフト用凹み部が、上側の容器と下側の容器とを組み重ねたときに上側のシャフト用凹み部の裏側が下の容器に収容されたOAローラのシャフトに近接する深さを有することが好ましい。また、側壁部の部分的な凹部が、フランジの周方向に沿って複数個が設けられていることが好ましい。更に、収容部は、複数本のOAローラを区画するリブを有する構成とすることもできる。このリブは、容器に収容されるOAローラごとに形成され、かつ、該リブが、上側の容器と下側の容器とで、異なる位置に形成されていることが好ましい。また、更に、上下一対の容器が、真空成形により製造されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のOAローラ用梱包容器によれば、OAローラを収容した一対の容器を上下方向に積み重ねたときに、上側の容器が下側の容器の蓋として機能することから、容器とは別途に蓋を用意することが不要になる。そのため、蓋を準備するためのコストが不要になることから、製造コストや搬送コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態のOAローラ用梱包容器の一つの容器を示す模式的な平面図である。
図2図1の容器の模式的な正面図である。
図3図1の容器の模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施形態のOAローラ用梱包容器の別の容器を示す模式的な平面図である。
図5】本発明の一実施形態のOAローラ用梱包容器の使用状態を示す模式的な正面図である。
図6】本発明の別の実施形態のOAローラ用梱包容器の要部を示す模式的な部分平面図である。
図7】本発明の別の実施形態のOAローラ用梱包容器の一つの容器を示す模式的な平面図である。
図8】本発明の別の一実施形態のOAローラ用梱包容器の別の容器を示す模式的な平面図である。
図9】本発明の一実施形態のOAローラ用梱包容器の使用状態を示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のOAローラ用梱包容器の実施の形態について、図面を用いつつ具体的に説明する。
【0015】
図1に示す本発明の一実施形態のOAローラ用梱包容器の一つの容器10の模式的な平面図において、容器10は、上方から見た外形が概略的に長方形のトレイ形状を有している。この容器10は、OAローラRを収容する凹みを有する収容部11を有している。この収容部11の周囲には、側壁部12を有している。
【0016】
収容部11及び側壁部12は、合成樹脂のシートから真空成形により一体成形されている。容器10は、一体成形後に成形型から容器10を取り外すための抜き勾配を有しているが、抜き勾配の傾きがわずかであるため、図1及び以下の図面では、抜き勾配が表されていない。容器10は、OAローラRを収容していない時、例えば保管時に、容器10の複数個を上下に重ねることにより、部分的に入れ子状態となる。これにより容器10をコンパクトに保管することができる。
【0017】
容器10の一体成形法は、例えば真空成形が挙げられる。もっとも、真空成形に限られない。容器10に用いられる合成樹脂は、OAローラ用梱包容器に適用可能な材料であれば特に限定されない。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール等を用いることができる。
【0018】
収容部11に、OAローラRの複数個が並列に収容される。図示した容器10は、収容されるOAローラRを個別に区画するリブ111が形成されていて、このリブ111の間にOAローラRが個別に収容される。図示したリブ111は、一つのOAローラRごとに形成されている。
【0019】
収容部11におけるOAローラRを収容するための凹み112は、OAローラRの機能体R1に対応する機能体用凹み部112aと、OAローラRのシャフトR2に対応するシャフト用凹み部112bと、機能体用凹み部112a及びシャフト用凹み部112bとの間に設けられ、シャフトR2を支持するシャフト支持部112cとを有している。
【0020】
機能体用凹み部112aは、OAローラRを容器10に収容したときに、OAローラRの機能体R1の表面が機能体用凹み部112aの底面に接触しないように、当該機能体R1の直径よりも深い凹みとなっている。シャフト用凹み部112bは、後述する容器20の上側に容器10を積み重ねたときに、当該シャフト用凹み部112bの裏側が容器20に収容されたOAローラRのシャフトR2に近接して、シャフトR2の上下方向の遊動を抑止することのできる深さの凹みとなっている。シャフト支持部112cは、シャフトR2を支持しかつ水平方向の移動を規制する溝112dが形成されている。
【0021】
容器10の側壁部12は、収容部11に形成された凹みの上縁と接続して水平に延びるフランジ121と、このフランジ121の外周端から下方に延びる外壁122とを有している。側壁部12は、フランジ121と外壁122とにより上方に向けて凸形となる中空な断面形状となっていて、容器10と後述する容器20とを上下に積み重ねたときに下側の容器20の側壁部12の上部が、上側の容器10の側壁部12の中空部に入り込むことが可能になっている。
【0022】
側壁部12は、収容部11を挟んで相対する長辺の2辺及び短辺の2辺のうち、少なくとも一方に、図示した例では長辺の2辺及び短辺の2辺の両方に、フランジ121と外壁122にわたる部分的な凹部123が複数個で形成されている。この凹部123は、図2に、図1の容器10の模式的な正面図を、図3図1の容器10のA−B線断面図を示すように、この側壁部12の上下方向の中間に底123aを有する凹部である。
【0023】
図4に、図1に示す容器10と一対をなす本発明の一実施形態のOAローラ用梱包容器の一つの容器20の模式的な平面図を示す。図4に示す容器20は、OAローラRを収容する凹みを有する収容部11を有している。この収容部11の周囲には、側壁部22を有している。収容部11及び側壁部22は、合成樹脂よりなり、真空成形で一体成形されてなる。
【0024】
収容部11の構成は、図1に示す容器10の収容部11と同じ構成を有している。そのため、重複する説明は省略する。また、側壁部22は、図1の容器と同様に、収容部11に形成された凹みの上縁と接続して水平に延びるフランジ221と、このフランジ221の外周端から下方に延びる外壁222とを有し、フランジ221と外壁222とにより上方に向けて凸形となる中空な断面形状となっている。また、側壁部2は、収容部11を挟んで相対する長辺の2辺及び短辺の2辺の両方に、フランジ221と外壁222とにわたる部分的な凹部であって、側壁部22の上下方向の中間に底223aを有する凹部223が複数個で形成されている。
【0025】
図4に示した容器20が、図1に示した容器10と相違する点は、容器20の側壁部22に設けられた凹部223が、容器10の側壁部12に設けられた凹部123とは異なる位置に形成されている点である。この相違点により、以下に述べるように容器10と容器20とを上下に積み重ねたとき、上側の容器が下側の容器の蓋として機能する。
【0026】
本実施形態のOAローラ用梱包容器1は、容器10と容器20との組み合わせからなる。図1に示した容器10及び図4に示した容器20を上下に積み重ねた状態の模式的な正面図を図5に示す。上側の容器10と下側の容器20とを積み重ねたときには、上側の容器10の側壁部12の裏側に形成された中空空間に、下側の容器20の側壁部22の上部が入り込む。このとき、下側の容器20の側壁部22に設けられた部分的な凹部223の位置と、上側の容器10の側壁部12に設けられた部分的な凹部123の位置とが異なっていることから、当該下側の容器20の側壁部22の上端が、上側の容器10の側壁部12の部分的な凹部123の底面123aの裏側に当接する。したがって、この状態のとき、上側の容器10の収容部11の機能体用凹み部112aの裏面が、下側の容器20の収容部11に収容されたOAローラRの機能体R1に接触しないような空隙を有しつつ、上側の容器10が下側の容器20の上面を覆うように構成されているので、上側の容器10は、下側の容器20の蓋の役割を果たす。このことにより、OAローラ用収納容器の蓋を別途に用意することが不要となり、また、蓋を製造、使用することが不要となったため、OAローラ用収納容器を用いたOAローラの搬送コストを低下させることができる。
【0027】
また、本実施形態のOAローラ用梱包容器1は、容器10と容器20とを積み重ねたときに、両容器の側壁部の外壁が部分的に重なっていることから、両者を積み重ねたときに容器10と容器20との間に外部からゴミが侵入することを防止することができる。
【0028】
更に、本実施形態のOAローラ用梱包容器1の各容器10、20は、収容部11のシャフト用凹み部112bが、容器20の上側に容器10を積み重ねたときに、当該シャフト用凹み部112bの裏側が容器20に収容されたOAローラRのシャフトR2に近接する深さを有していることから、容器20に収容されたOAローラRのシャフトR2の上下方向の遊動を抑止することができ、よってOAローラRを安定的に搬送することができる。
【0029】
図5に示したOAローラ用梱包容器1は、容器20の上に容器10を積み重ねている。もっとも、各容器の積み重ねの上下関係は、図示した例に限られず、容器10の上に容器20を積み重ねた場合であっても、上述したOAローラ用梱包容器1の効果を全て得ることができる。また、容器の積み重ねは、容器10と容器20とを複数対で積み重ねてもよい。
【0030】
図示した本実施形態のOAローラ用梱包容器1は、各容器10、20の側壁部12、22の部分的な凹部123、223が、上方から見て概略的に長方形を有する側壁部12、22の長辺、短辺のいずれにも設けられているが、少なくとも長辺又は短辺のいずれかの2辺に設けられていることにより本発明で所期した効果を得ることができる。もっとも、図示したように四辺に設けることが、容器を上下に積み重ねたときに確実に蓋としての役割を果たすことができるので好ましい。
【0031】
また、容器10の側壁部12の部分的な凹部123と、容器20の側壁部12の部分的な凹部223との位置関係は、容器10と容器20とを上下に積み重ねたときに上方から見て、完全に入れ違いになっている必要はない。要は、容器10と容器20とを上下に積み重ねたときに、一方の容器(10又は20)の凹部(123又は223)の底部(123a又は223a)に、他方の容器(20又は10)の側壁部(22又は12)の上端の少なくとも一部が当接して、それ以上に容器同士が入り込まないように容器の移動が抑止できればよい。
【0032】
更に、各容器10、20の側壁部12、22に形成された部分的な凹部123、223の形状は、図1〜4に示された形状に限定されない、部分的な凹部の形状が異なる本発明の別の実施形態のOAローラ用梱包容器1の容器の要部を図6に示す。図6の容器30は、側壁部32が、曲線的な波形のフランジ321と、フランジ321と接続する外壁322とを有し、外壁322の上側が、曲面になって凹部が形成されている例である。複数個の容器を上下に積み重ねたときに側壁部の対応する位置で、この波形の位相が異なっているか、又は周期が異なっている構成を具備することにより、側壁部の凹部が、上側の容器と下側の容器との対応する側壁部で、異なる位置に形成されていて、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
容器10又は容器20の収容部11に設けられたリブ111は、収容部11の底面から突出する高さが、OAローラRの機能体R1の直径よりも大きいものであることが好ましい。これは、容器10と容器20とを上下に積み重ねた状態で、上側の容器10の中央部に何らかの外力が下向きに加わった場合に、上側の容器10の収容部1の底面が、下側の容器20のリブ111に優先的に接触し、これにより、上側の容器10の収容部1の底面が、下側の容器20の収容部11に収容されたOAローラRの機能体R1の表面に接触するのを効果的に回避することができるからである。
【0034】
また、容器10又は容器20のリブ111は、容器10、20を上下に積み重ねて上側の容器10の側壁部12の凹部123の底面123aに、下側の容器20の側壁部22の上端が当接したときに、上側の容器10の収容部11の底面が、下側の容器20のリブ111の上端と近接又は当接するように構成することが、上側の容器10に何らかの外力が下向きに加わった場合に、上側の容器10の変形を抑制することから、より好ましい。
【0035】
本実施形態のOAローラ用梱包容器1の各容器10、20に収容するOAローラRは、機能体R1の両端から突出しているシャフトR2の寸法又は形状が、互いに異なるものであってもよい。このようなOAローラRを収容する場合は、各容器10、20の収容部11のシャフト用凹み部112bの寸法、形状をシャフトに応じて異ならせた寸法、形状とすればよい。もっとも、本実施形態のOAローラ用梱包容器1は、シャフトの寸法又は形状が、互いに同一であるOAローラを収容する構成とすることができることはいうまでもない。
【0036】
次に、本発明の更に別の実施形態のOAローラ用梱包容器2を、図7〜9を用いて説明する。図7は、本実施形態に係るOAローラ用梱包容器2の一つの容器30の模式的な平面図で示し、図8は、容器30と一対をなす本実施形態に係るOAローラの一つの容器40式的な平面図であり、図9は、容器40の上に容器30を積み重ねた使用状態を示す本実施形態のOAローラ用梱包容器2の模式的な正面図である。
【0037】
図7の容器30は、上方から見た外形が概略的に長方形のトレイ形状を有している。この容器30は、OAローラRを収容する凹みを有する収容部31を有している。この収容部31の周囲には、側壁部22を有している。図7の側壁部22は、図4に示した容器20の側壁部22と同じ構成を有している。したがって、以下では側壁部22についての重複した説明を省略する。
【0038】
図7の収容部31は、図4の収容部11との対比で、収容部31全体が、側壁部22のうちの一方の短辺側寄りに位置している点で図4に示した容器20の収容部11と相違し、その点以外は同じ構成を有している。収容部31は、図7では、収容部11よりも紙面右側の短辺寄りに位置している。図7の収容部31のリブ311は、図4の収容部11のリブ111に対応する。以下同様に、図7の収容部31の凹み312は、図4の収容部11の凹み112に対応する。図7の収容部31の機能体用凹み部312aは、図4の収容部11の機能体用凹み部112aに対応する。図7の収容部31のシャフト用凹み部312bは、図4の収容部11のシャフト用凹み部112bに対応する。図7の収容部31のシャフト支持部312cは、図4の収容部11のシャフト支持部112cに対応する。図7のシャフト支持部312cの溝312dは、図4のシャフト支持部112cの溝112dに対応する。これらの収容部31の各部材は、収容部11の各部材と相対的な位置が異なるだけで用途、機能は同じであるので、用途、機能についての重複する説明は省略する。
【0039】
図8の容器40は、上方から見た外形が概略的に長方形のトレイ形状を有している。この容器40は、OAローラRを収容する凹みを有する収容部41を有している。この収容部31の周囲には、側壁部12を有している。図8の側壁部12は、図1に示した容器10の側壁部12と同じ構成を有している。したがって、以下では側壁部12についての重複した説明を省略する。
【0040】
図8の収容部41は、図1の収容部11との対比で、収容部41全体が、側壁部12のうちの一方の短辺側寄りに位置している点で図1に示した容器10の収容部11と相違し、その点以外は同じ構成を有している。収容部41は、図8では、収容部11よりも紙面左側の短辺寄りに位置している。図8の収容部41のリブ411は、図1の収容部11のリブ111に対応する。以下同様に、図8の収容部41の凹み412は、図1の収容部11の凹み112に対応する。図8の収容部41の機能体用凹み部412aは、図1の収容部11の機能体用凹み部112aに対応する。図8の収容部41のシャフト用凹み部412bは、図1の収容部11のシャフト用凹み部112bに対応する。図8の収容部41のシャフト支持部412cは、図1の収容部11のシャフト支持部112cに対応する。図8のシャフト支持部412cの溝412dは、図1のシャフト支持部112cの溝112dに対応する。これらの収容部41の各部材は、収容部11の各部材と相対的な位置が異なるだけで用途、機能は同じであるので、以下では重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態のOAローラ用梱包容器2は、容器30と容器40との組み合わせからなる。図7に示した容器30及び図8に示した容器40を上下に積み重ねた状態の模式的な正面図を図9に示す。上側の容器30と下側の容器40とを積み重ねたときには、上側の容器30の側壁部22の裏側に形成された中空空間に、下側の容器40の側壁部12の上部が入り込む。このとき、下側の容器40の側壁部12に設けられた部分的な凹部123の位置と、上側の容器30の側壁部22に設けられた部分的な凹部223の位置とが異なっていることから、当該下側の容器40の側壁部12の上端が、上側の容器30の側壁部22の部分的な凹部223の底面223aの裏側に当接する。したがって、この状態のとき、上側の容器30の収容部31の機能体用凹み部312aの裏面が、下側の容器40の収容部41に収容されたOAローラRの機能体R1に接触しないような空隙を有しつつ、上側の容器30が下側の容器40の上面を覆うように構成されているので、上側の容器30は、下側の容器40の蓋の役割を果たす。このことにより、OAローラ用収納容器の蓋を別途に用意することが不要となり、また、蓋を製造、使用することが不要となったため、OAローラ用収納容器を用いたOAローラの搬送コストを低下させることができる。
【0042】
また、本実施形態のOAローラ用梱包容器2は、容器30と容器40とを積み重ねたときに、両容器の側壁部の外壁が部分的に重なっていることから、両者を積み重ねたときに容器30と容器40との間に外部からゴミが侵入することを防止することができる。
【0043】
更に、本実施形態のOAローラ用梱包容器2の各容器30、40は、収容部31のシャフト用凹み部312bが、容器40の上側に容器30を積み重ねたときに、当該シャフト用凹み部312bの裏側が容器40に収容されたOAローラRのシャフトR2に近接する深さを有していることから、容器40に収容されたOAローラRのシャフトR2の上下方向の遊動を抑止することができ、よってOAローラRを安定的に搬送することができる。
【0044】
以上述べた本実施形態のOAローラ用梱包容器2の効果は、先に図5を用いて説明したは、OAローラ用梱包容器1の効果と同じであり、OAローラ用梱包容器2は、OAローラ用梱包容器1が有する全ての効果を有している。
【0045】
本実施形態のOAローラ用梱包容器2は、容器30の収容部31が、容器20の収容部11よりも紙面右側の短辺側寄りに位置し、容器40の収容部41が、容器10の収容部11よりも紙面左側の短辺側寄りに位置している。したがって、容器30のリブ311と容器40のリブ411とは、同一直線上には位置しない。すなわち、OAローラ用梱包容器2は、容器30のリブ311と容器40のリブ411とが上下方向で異なる位置に形成されている。この点で、図5に示したOAローラ用梱包容器1が、上側の容器10のリブ111と下側の容器20のリブ111とは、上下方向で同じ位置に形成されているのとは相違する。本実施形態のOAローラ用梱包容器2は、容器30のリブ311と容器40のリブ411とが上下方向で異なる位置に形成されていることから、上側の容器30の収容部31の機能体用凹み部312aの底面を、下側の容器40のリブ411で支持することが可能になる。したがって、図5に示したOAローラ用梱包容器1との対比で、本実施形態のOAローラ用梱包容器2は、上方からの力に対する耐荷重性を向上させることができる。
【0046】
図8に示したOAローラ用梱包容器2は、容器40の上に容器30を積み重ねている。もっとも、各容器の積み重ねの上下関係は、図示した例に限られず、容器30の上に容器40を積み重ねた場合であっても、上述したOAローラ用梱包容器2の効果を全て得ることができる。また、容器の積み重ねは、容器30と容器40とを複数対で積み重ねてもよい。
【0047】
以上、本発明のOAローラ用梱包容器を、実施の形態に基づいて説明したが、本発明のOAローラ用梱包容器は、実施の形態又は図面に記載されたものに限定されず、幾多の変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1、2 OAローラ用梱包容器
10、40 容器
11 収容部
12 側壁部
20、30 容器
22 側壁部
111、311、411 リブ
112、312、412 凹み
112a、312a、412a 機能体用凹み部
112b、312b、412b シャフト用凹み部
112c、312c、412c シャフト支持部
112d、312d、412d 溝
121 フランジ
122 外壁
123 部分的な凹部
123a 底
221 フランジ
222 外壁
223 部分的な凹部
223a 底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9