(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反射面および前記蛍光体樹脂層と前記導光体層との界面の少なくとも一方に、前記複数の発光素子から出射される光の一部を散乱させるような処理が施された散乱処理部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
前記複数の発光素子は、二次元的な所定形状に配置され、前記蛍光体樹脂層および前記導光体層の少なくとも一方によりライン連結されて形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
次に、本発明の実施の形態の一例を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る発光モジュールからなる車両用灯具を備えた車両の平面図である。
【0016】
車両1は、その車体前部1Aの左右にヘッドランプ(HL)を備え、車体後部1Cの左右に、テールランプ,ストップランプ,ターンシグナルランプ及びバックアップが収容されたリアコンビネーションランプ(RCL)を備えている。車両1のHLには、本発明の第1の実施形態に係る発光モジュール20からなる標識灯200が収容されている。この標識灯200は、主にデイタイムランニングランプとして用いられるが、RCLに収容されてデイタイムランニングランプの他にターンシグナルランプ、あるいはストップランプとして用いられても良い。また、車両1のバックウィンドウ6の中央上端部には、後述の発光モジュール30からなるHMSL(High Mount Stop Lamp)300が配設されている。そして、車両1の車体前部1Aは、その中央部がラウンド状に凸に形成され、複雑な湾曲形状となっている。
【0017】
図2は第1の実施形態に係る発光モジュールからなる標識灯を含むHLの正面図、
図3は本実施形態の標識灯の斜視図、
図4は本実施形態の標識灯の縦断面図(
図3におけるIV‐IV線に沿う断面図)である。なお、
図2では透光カバー4を介して見える灯室内を実線で示している。
【0018】
HLは、容器状をしたランプボディ2と透明な透光カバー4で画成された灯室内に、正面視右側にロービームランプLoLが配設され、左側にハイビームランプHiLが配設され、さらにその左側にターンシグナルランプTSLが並んで配設されている。そして、LoLとHiLの下側領域には、発光モジュール20からなる標識灯200が配設されている。ランプボディ2と透光カバー4及びこれらからなる灯室内は、車体前部1Aの流線形状に倣って、車体前部1Aから車体側方1Bに廻り込むように三次元的に形成されている。これに応じて、灯室内の標識灯200も、灯室内左右方向に湾曲形状に倣って延びるように配置されている。また、LoL、HiLおよび標識灯200は、灯室内に配設されたエクステンション5によって、その固定部や電気配線等が灯具正面から視認されない構成となっている。
【0019】
次に、標識灯200を構成する発光モジュール20を詳細に説明する。発光モジュール20は、発光素子22と、FPC(フレキシブル印刷回路基板)24と、発光素子22からの光を導光可能な導光体層26と、蛍光体を含有する蛍光体樹脂層28と、を備えている。
【0020】
発光素子22は、370nm〜420nmの波長域にピーク波長を有する紫外線又は短波長可視光を発光するInGaN系の化合物半導体であり、一例として、発する光の中心波長が約400nmの1mm角LEDチップを採用している。なお、発光素子22はこれに限定されず、例えば紫外線又は短波長可視光を発光するレーザダイオード(LD)が採用されても良い。
【0021】
FPC24は、発光素子22の面状配線部材かつ支持基板であり、
図4に示すように、横長の絶縁樹脂フィルム241の表面に銅箔等からなる導電層242を所要の電極パターンとして形成し、この導電層242の表面を絶縁コート膜243で被覆したものである。FPC24の長さ方向の一端部24aには給電端子24bが形成されている。この給電端子24bがランプボディ2に設けられた図示しない中継コネクタに嵌合することで電気的に接続され、図示しない外部電源が中継コネクタから給電端子24bを介して導電層242に給電され、導電層242上に載置する発光素子22に給電されるようになっている。発光素子22は、該FPC24上(陽極となる導電層242上)に、導電性を備える銀ペースト23等を用いてはんだ付けされ、陰極となる導電層242にワイヤ27で接続されて、導通する構成となっている。ここで、発光素子22が搭載される導電層242の上面は後述の反射面24cを構成している。
【0022】
導光体層26は、発光素子22または蛍光体樹脂層28に含有される蛍光体が発する光を導光可能な透明樹脂から構成されている。導光体層26を構成する透明樹脂は、例えば液状またはゲル状のシリコーン樹脂からなる透明樹脂ペーストから形成され、この透明樹脂ペーストにより発光素子22の上面及び側面が被覆されている。本実施形態においては、導光体層26を構成する材料は、その上面に設けられる蛍光体樹脂層28を構成する材料とは異なる屈折率を有していることが好ましい。特に、この導光体層26は、蛍光体樹脂層28よりも大きい屈折率を有している材料から形成されていることが好ましい。
【0023】
導光体層26の上面には蛍光体樹脂層28が設けられている。この蛍光体樹脂層28は、発光素子22から出射される光により励起され可視光を発光する蛍光体を含有している。具体的には、蛍光体樹脂層28は、後述する黄色蛍光体と青色蛍光体を重量比2:1で混合し、混合された蛍光体を液状又はゲル状のシリコーン樹脂からなるバインダー材に対して1.8vol%となるように混入しミキシングすることで、蛍光体ペーストとして作成される。なお、バインダー材は上記に限定されるものではなく、フッ素樹脂等の耐紫外線性能に優れた他の部材が採用されても良い。
【0024】
黄色蛍光体は、近紫外光又は短波長可視光を効率的に吸収する一方、450nm以上の可視光の吸収がほとんどないものを用いる。黄色蛍光体は、近紫外光又は短波長可視光を波長変換して黄色光を発する蛍光体であり、放射する光のドミナント波長は564nm以上582nm以下のものを用いる。黄色蛍光体としては、SiO
2・1.0(Ca
0.54,Sr
0.36,Eu
0.1)O・0.17SrCl
2で表される蛍光体が用いられる。黄色蛍光体は、原料の混合比においてSiO
2を過剰に添加することで、蛍光体内にクリストバライトを生成させた蛍光体である。
【0025】
黄色蛍光体を製造するにあたって、まず、SiO
2、Ca(OH)
2、SrCl
2・6H
2O、及びEu
2O
3の各原料をこれらのモル比がSiO
2:Ca(OH)
2:SrCl
2・6H
2O:Eu
2O
3=1.1:0.45:1.0:0.13となるように秤量した。次に秤量した各原料をアルミナ乳鉢に入れ約30分粉砕混合し、原料混合物を得た。この原料混合物をアルミナ坩堝に入れ、還元雰囲気の電気炉で雰囲気(5/95)の(H
2/N
2)、1030℃で5〜40時間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を温純水で丹念に洗浄し、黄色蛍光体を得た。
【0026】
なお、黄色蛍光体を形成する材料は上記材料に限られず、一般式がM
1O
2・a(M
21‐z,M
4z)O・bM
3X
2で表される他の材料が採用されてもよい。但し、M
1は、Si、Ge、Ti、Zr及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。M
2は、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。M
3は、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Xは、少なくとも1種のハロゲン元素、M
4は希土類元素及びMnからなる群より選ばれるEu
2+を必須とする少なくとも1種の元素を示す。aは、0.1≦a≦1.3の範囲であり、bは0.1≦b≦0.25の範囲であり、zは0.03<z<0.8の範囲である。この一般式では、本実施形態にて採用した黄色蛍光体は、M
1=Si、M
2=Ca/Sr(モル比60/40)、M
3=Sr、X=Cl、M
4=Eu
2+、a=0.9、b=0.17、M
4の含有量c(モル比)がc/(a+c)=0.1となる。
さらに、黄色蛍光体として、(Ca
0.51,Sr
0.49)
7/6Si
3Ci
2/6、または(Re
1−rSm
r)
2(Al
1−SGa
S)
5O
12:Ce (0≦r<1、0≦s≦1、ReはY、Gdからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表される蛍光体を用いることもできる。
【0027】
青色蛍光体は、近紫外光又は短波長可視光を波長変換して青色光を発する青色蛍光体である。青色蛍光体は、近紫外光または短波長可視光を効率的に吸収し、ドミナント波長が440nm以上470nm以下の光を放射するものを用いる。青色蛍光体としては、(Ca
4.67Mg
0.5)(PO
4)
3Cl:Eu
0.08で表される蛍光体が用いられる。
【0028】
なお、青色蛍光体はこれに限られず、以下の一般式で表される蛍光体群の中から選択してもよい。
一般式M
1a(M
2O
4)
bX
c:Re
d
M
1はCa、Sr、Baのうち一種以上を必須とし、一部をMg、Zn、Cd、K、Ag、Tiからなる群の元素に置き換えることができる。M
2は、Pを必須とし、一部をV、Si、As、Mn、Co、Cr、Mo、W、Bからなる群の元素に置き換えることができる。Xは少なくとも1種のハロゲン元素、ReはEu
2+を必須とする少なくとも1種の土類元素、またはMnを示す。また、aは4.2≦a≦5.8、bは2.5≦b≦3.5、cは0.8<c<1.4、dは0.01<d<0.1の範囲とされる。
一般式M
11‐aMgAl
10O
17:Eu
2+a
M
1はCa、Sr、Ba、Znからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、aは0.001≦a≦0.5の範囲とされる。
一般式M
11‐aMgSi
2O
8:Eu
2+a
M
1は、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、aは0.001≦a≦0.8の範囲とされる。
一般式M
12‐a(B
5O
9)X:Re
a
M
1は、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Xは少なくとも1種のハロゲン元素、aは0.001≦a≦0.5の範囲とされる。
さらに、青色蛍光体として、BaMgAl
10O
17:Euまたは(Sr,Ca,Ba)
5(PO
4)
3Cl:Euで表される蛍光体を用いることもできる。
【0029】
なお、蛍光体としては、上記に例示した黄色蛍光体および青色蛍光体のほかに、緑色蛍光体、赤色蛍光体、およびアンバー色蛍光体のうちの1つまたはこれらのうちの2つ以上の蛍光体を組み合わせることにより構成されてもよい。
【0030】
緑色蛍光体は、近紫外光または短波長可視光を波長変換して緑色光を発する蛍光体である。緑色蛍光体としては、ZnS:Cu,Al、BaMgAl
10O
17:Eu,MnまたはZnSiO
3:Mnで表される蛍光体が用いられる。
【0031】
赤色蛍光体は、近紫外線または短波長可視光を波長変換して赤色の可視光を発光する蛍光体である。赤色蛍光体としては、Y
2O
2S:Eu、La
2O
2S:Eu、(Sr,Ca)S:Eu、CaS:Eu、Ba
2Zn
3:Mn、CaAlAiN
3:Eu、Sr
0.95Ca
0.95Eu
0.1SiO
4、Na
3(Y
1−xEu
x)Si
2O
7、Ca
2SiS
4:Eu、Eu
2SiS
4、3.5MgO・0.5MgF
2・GeO
2:Mn、またはM(Ga
1−xEu
x)
2O
4 (MはCa、Sr、Baからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表される蛍光体が用いられる。
【0032】
アンバー色蛍光体は、近紫外線または短波長可視光を波長変換してアンバー色の可視光を発光する蛍光体である。アンバー色蛍光体として、Ca
3Si
2O
7:Eu、Sr
3SiO
5:Eu、(Sr
1−xEu
x(1−y)Yb)O・SiO
2、(Ba
aCa
bSr
cMg
dEu
xMn
y)SiO
4、(Sr
1−xBa
x)
3SiO
5、(A、M)2SiO
4 (AはCa、Sr、Baからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Mは付活剤)、(Ca
1−y−zSr
yBa
z)
2-xEu
xSiS
4、Ca
xSi
12−(m+n)Al
(m+n)O
nN
16−n:Eu、(Ca
2−x−y−z、M
xP
2O
7:Eu
y,Mn
z、またはaRe
2O
3・[M]O・bAl
2O
3:Euで表される蛍光体が用いられる。
【0033】
次に、発光モジュール20の形成方法について説明する。
まず、発光素子22を、FPC24の車体前部1A側から車体側方1B側にかけて、所定間隔をおいて一直線状に実装したのち、車両1の回り込み形状箇所において二股に分岐して、車体側方1Bに向けて二列に並設するように実装する。これにより、発光素子22はFPC24面上に枝分かれした二次元的な形状に複数個載置されている。
【0034】
次に、10ccのシリンジ(吐出口径φ1mm)のディスペンサを用いて、導光体層26を構成する透明樹脂ペーストを各発光素子22上に塗布(ポッティングまたは印刷など)する。具体的には、実装した発光素子22のうち一直線状の箇所から分岐上方側の箇所に載置された発光素子22を一体的に被覆するように、ディスペンサノズルを約10mm/secの速度で移動させて透明樹脂ペーストを塗布する。その後、透明樹脂ペーストの吐出を中止して二股分岐点にディスペンサを移動して、分岐下方側の箇所に載置された発光素子22を一体的に被覆するよう透明体樹脂ペーストを塗布する。これにより、各発光素子22は、断面半球状(ドーム形状)で略均等量にモールドされた導光体層26でライン連結されるとともに、封止されている。その後、このようなドーム形状を保持したまま導光体層26に加熱処理を施して硬化させる。
【0035】
次に、同様にディスペンサを用いて、黄色蛍光体と青色蛍光体を含有した蛍光体樹脂層28を構成する蛍光体ペーストにより導光体層26を被覆する。このときも、まずは、ディスペンサノズルを約10mm/secの速度で移動させて一直線状の箇所から分岐上方側の箇所の導光体層26上に蛍光体ペーストを塗布する。その後、蛍光体ペーストの吐出を中止して二股分岐点にディスペンサを移動して、分岐下方側の箇所の導光体層26を被覆するよう蛍光体ペーストを塗布する。これにより、導光体層26は、断面半球状(ドーム形状)で略均等量にモールドされた蛍光体樹脂層28で封止されている。最後に、このようなドーム形状を保持したまま蛍光体樹脂層28を1時間150℃を維持する加熱処理を施して硬化させる。
【0036】
なお、導光体層26や蛍光体樹脂層28をディスペンサを用いて塗布する際には、一筆書きの要領で形成するようにしてもよい。すなわち、ディスペンサノズルが分岐上方側の端部まで移動されたときに樹脂ペーストを吐出したままの状態で、二股分岐点までディスペンサを戻し、そこからディスペンサを分岐下方側の箇所に移動させて樹脂ペーストを塗布することもできる。
【0037】
以上により、車体前部1A側から車体側方1Bにかけて発光ラインが枝分かれする二次元的な発光形状を有する発光モジュール20が形成される。また、蛍光体樹脂層28は硬化した状態で伸び率約300%を示し、可撓性を備えている。
【0038】
そして、
図3に示すように、その下端部をL字に折り曲げておく等して形成された支持片部11aを備え、放熱性を有するアルミ板等からなる固定板11を、所望する流線形状に沿って灯室内左右方向の所要箇所に配置する。そして、発光モジュール20を流線形状に倣って湾曲させながら、発光モジュール20の裏面を固定板11に接着して、支持片部11aをランプボディ2の下面にネジ12等で固定する。これにより、発光モジュール20は、車両形状に倣って三次元的に廻り込む形状の灯室内に容易に取り付けられる。
【0039】
図5は発光モジュール20の横断面図(
図3におけるI−I線に沿う断面図)であり、
図6は
図5に示す発光モジュール20の一部拡大断面図である。
図5および
図6においては、FPC24の構成を簡略化して示している。上記説明した発光モジュール20では、発光素子22が点灯されると、
図6(a)に示されるように、発光素子22の発光層22aから発光素子22の上面方向(FPC24の反射面24cとは反対の方向)に出射される光のうち一部の光L1は、蛍光体樹脂層28中に入射される。また、他の一部の光L2は、発光素子22を被覆する導光体層26と、蛍光体樹脂層28との間の界面29で反射される。この反射光L2は、界面29と反射面24cとの間で反射を繰り返すことにより導光体層26内において発光素子22の周囲に広がる方向(
図6(a),(b)の左右方向)に導光された後に蛍光体樹脂層28中に分散される。これらの光L1,L2により、蛍光体樹脂層28に含有される蛍光体が発光され蛍光体樹脂層28全体が略均一に発光するとともに、車体前部側から車体側方にかけて発光ラインが枝分かれした二次元的な発光を形成する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、反射面24cを有するFPC24と蛍光体樹脂層28との間に設けられる導光体層26により導光体層26と蛍光体樹脂層28との界面29で各発光素子22から出射される光の反射が生じ、各発光素子22の周囲に広がる方向に光を拡散させることができる。その結果、各発光素子22から出射される光の量を横方向に対して略均一化して蛍光体樹脂層28に入射させることができる。そのため、発光モジュール20に搭載される発光素子22同士の間隔を広くしても、明暗差の小さい略均一な発光を得ることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、導光体層26が蛍光体樹脂層28とは異なる屈折率を有している場合には、導光体層26と蛍光体樹脂層28との界面29で反射される光L2の光量を増やすことができ、明暗差の解消を促進させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、導光体層26が蛍光体樹脂層28よりも大きい屈折率を有している材料から形成されている場合には、導光体層26と蛍光体樹脂層28との界面29で反射される光L2の屈折角度が拡大し、明暗差の解消をさらに促進させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、発光素子22は、導光体層26内に設けられている。そのため、
図6(b)に示されるように、発光素子22の発光層22aから出射される光のうち発光素子22の上面方向に向けて出射される光L1,L2だけでなく、発光素子22の側面から出射される光L3も導光体層26内で導光させることができる。
【0044】
さらに、本実施形態によれば、複数の発光素子22は、二次元的な所定形状に配置され、導光体層26および蛍光体樹脂層28によりライン連結されて封止されている。そのため、複雑な発光形状の発光モジュール20であっても略均一に発光させることができる。
【0045】
また、ディスペンサをプログラム制御して導光体層26および蛍光体樹脂層28を所望する発光形状のとおりに(発光素子22上に)塗布するだけで、ライン発光が二次元的に入り組んだ形状である文字や図形等の新規な発光形状を容易に実現することができる。このとき、一筆書きの要領で導光体層26および蛍光体樹脂層28を所定の形状となるように容易に塗布することも可能である。また、二次元的な広がりを有する発光を形成するのに単一型発光モジュールを組み合わせる必要がない分、製造コストも安価となる。
【0046】
また、発光モジュール20は、発光素子22への配線部材である支持基板が可撓性を備えるFPC24で構成されている上に、硬化した導光体層26および蛍光体樹脂層28も可撓性を有するので、導光体層26および蛍光体樹脂層28とFPC24とが一体に自在に湾曲し、車体前部1Aの複雑な三次元的流線形状と同じ形状を取ることができる。よって、湾曲自在な発光モジュール20を用いれば、従来のようにセラミック等の固い支持基板を用いて形成された発光モジュールでは配設が困難であった車両1の灯室内のような三次元的な湾曲箇所においても、容易に発光形成することができる。
【0047】
さらには、特許文献1のような発光素子の光と蛍光体の光を合成する従来の発光モジュールでは、蛍光体の厚みで発光素子からの距離に応じて色のバランスが変わるため、均一な色でのライン発光が難しかったが、発光モジュール20では、黄色蛍光体と青色蛍光体からの発光のみで白色光を得て、光源光は黄色蛍光体と青色蛍光体の発光に寄与するのみであるので、本実施形態のような複雑な発光形状を形成しても、高光束かつ均一な色の発光が得られる。
【0048】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る発光モジュール30の一部拡大断面図である。
図7における発光モジュール30は、第1の実施形態と同様に、発光素子22と、FPC24と、導光体層26と、蛍光体樹脂層28と、を備えている。
【0049】
第2の実施形態においては、各発光素子22は、その少なくとも一部(
図7においては、発光素子22全体)が蛍光体樹脂層28内に位置している点が第1の実施形態と異なっている。発光モジュール30を形成する方法は以下の通りである。まず、FPC24上に、透明樹脂基板などの透明部材を配置することにより導光体層26を形成し、次に、導光体層26の上面に発光素子22を所定間隔をおいて一直線状に実装する。その後、蛍光体を含有した蛍光体樹脂層28の蛍光体ペーストを、導光体層26上に実装された発光素子22を被覆するように塗布し、蛍光体ペーストを加熱処理により硬化して蛍光体樹脂層28を形成する。
【0050】
本実施形態によれば、発光素子22は、導光体層26を介してFPC24と離間して設けられる蛍光体樹脂層28内に位置している。そのため、
図8に示されるように、発光素子22の発光層22aから出射される光は、蛍光体樹脂層28に直接入射する光L4と、導光体層26を導光した後に蛍光体樹脂層28に入射する光L5とに分散され、発光モジュール30を略均一に発光させることができる。
【0051】
また、本実施形態の変形例として、
図9に示す発光モジュール30aのように、発光素子22の少なくとも一部が蛍光体樹脂層28内に位置している構成としてもよい。この構成によれば、発光素子22の発光層22aから出射される光のうち、反射面24cに対向する面から出射される光だけでなく発光素子の側面から出射される光が導光体層26内に入射されるため、導光体層26に入射される光量を増やすことができる。
【0052】
このように、発光素子22の配置を調整して発光素子22の蛍光体樹脂層28内に位置される領域を変更することより、発光素子22から出射される光のうち蛍光体樹脂層28に直接入射する光L4と導光体層26内を導光した後に蛍光体樹脂層28に入射する光L5との割合を制御することができるため、発光モジュール30aの略均一的な発光をさらに高めることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図10(a)は、第3の実施形態に係る発光モジュール40の一部拡大断面図である。
【0054】
発光モジュール40は、第1の実施形態と同様に、発光素子22と、FPC24と、導光体層26と、蛍光体樹脂層28と、を備えている。発光素子22はFPC24の反射面24c上に位置している。FPC24の反射面24c上および導光体層26と蛍光体樹脂層28との界面29上の少なくとも一部には、発光素子22から出射される光の一部を散乱させるような処理が施された散乱処理部41が設けられている。散乱処理部41には、例えば半球状、凹凸状、台形状、コーン状からなる微小ステップを形成する処理が施されていることが好ましい。なお、散乱処理部41は、FPC24の反射面24cおよび導光体層26と蛍光体樹脂層28との界面29の少なくとも一方に設けられる構成としてもよい。
【0055】
本実施形態によれば、散乱処理部41が設けられていることで、発光素子22から出射される光が発光素子22の周囲に広がる方向にさらに拡散されるとともに、散乱処理部41での光の制御が可能となる。
【0056】
また、
図10(b)に示される発光モジュール40aのように、発光素子22は導光体層26と蛍光体樹脂層28との間に位置している構成としてもよい。この構成によれば、発光素子22から出射される光のうち蛍光体樹脂層28に直接入射する光と導光体層26内を導光した後に蛍光体樹脂層28に入射する光との割合を制御することが可能となるとともに、散乱処理部41での光の制御が可能となる。
【0057】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る発光モジュール50を示す断面図である。
図11に示されるように、発光モジュール50を点灯させる際には、直線状に配置された発光素子22を1つずつあるいは連続するグループごとに順次点灯させるシーケンシャル点灯を行うことができる。なお、発光モジュール50では、FPC24は設けられておらず、導光体層(透明樹脂基板)26の底面に反射面26aが設けられている。これにより、発光モジュール50においても、第1から第3の実施形態と同様に、明暗差の小さい略均一な発光を得ることができる。
【0058】
従来の発光素子では本実施形態のようにシーケンシャル点灯を行うと、発光位置が明確に移動してしまい、グラデーション状に徐々に発光位置が移動するような自然な発光パターンを実現することができない。一方、本実施形態によれば、各発光素子22から出射される光は発光素子22の周囲に広がる方向に分散して発光されるため、発光素子22を
図11中の左右方向に順次点灯させる場合であっても、連続的でなめらかな発光位置の移動を実現でき、新規な見映えの発光パターンを提供することができる。
【0059】
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態に係る発光モジュール60の正面図である。発光モジュール60は所望の形状、例えば
図11に示すように略L字状に形成することができる。この発光モジュール60は、標識灯としての機能を発揮し、例えば、DRLユニット、ターンシグナルランプユニット、ストップランプユニットとして用いることができる。また、本実施形態では、略L字状の発光モジュール60を複数個並列して配置する構成を採用してもよい。このとき、各発光モジュール60の蛍光体樹脂層28に含有される蛍光体の種類を変えることで、発光モジュール60毎に発光色を変えることができる。これにより、例えば一部の発光モジュール60がアンバー色または黄色で発光するターンシグナルランプユニットとして構成され他の発光モジュール60が赤色で発光するストップランプユニットとして構成されるような発光モジュール群を提供することができ、車両用灯具としての汎用性を高めることができる。
【0060】
なお、発光モジュール60は、
図12に示されるような略L字状の形状に限られず、ディスペンサの設定を変更するだけで、様々な文字や図形等の発光を形成することができる。したがって、所望の形状の車両用灯具を容易に形成することができる。
【0061】
(第6の実施形態)
図13は第6の実施形態に係る発光モジュールからなるHMSLの斜視図である。なお、
図13では透光カバー34を介して見える灯室内を実線で示している。
【0062】
図13におけるHMSL300は、容器状のケース32と、透明な透光カバー34と、これらで画成された灯室内に配設された発光モジュール70と、から構成されている。HMSL300は、ケース32を介してバックウィンドウ6の内側上端中央部にボルト及びナット等の公知の方法で固定されている。
【0063】
発光モジュール70は、発光素子22と、導光体層26と、黄色蛍光体と青色蛍光体に代えて赤色蛍光体を含有した蛍光体樹脂層28と、支持基板36とを備えている。支持基板36には、一例として金蒸着によって電極パターンを形成した長方形プレート状の窒化アルミニウム板を採用している。支持基板36上(電極パターン上)には、第1の実施形態と同様の方法で、それぞれ「S」「T」「O」「P」の文字形状に発光素子22が実装され、第1の実施形態と同様に、ディスペンサのプログラム制御により、発光素子22上を被覆するように導光体層26および蛍光体樹脂層28が「S」「T」「O」「P」の文字形状に塗布されている。そして、支持基板36をケース32にネジ固定等することによって、発光モジュール70は灯室内に取り付けられている。
【0064】
なお、車両1のRCLの各テールランプ,ストップランプ,ターンシグナルランプ及びバックアップは、それぞれ独立したスイッチ群によって車両1のバッテリ(図示せず)と電気的に接続されており、いずれかのスイッチがONになると対応するランプが点灯するようになっている。HMSL300は、ケース32内に設けられた図示しない制御回路がコネクタ付ハーネス33を介して車両1のバッテリ側ワイヤハーネス(図示せず)に電気的に接続されるとともに、RCLスイッチ群においてストップランプ用のスイッチがONになると、制御回路にも電流が流れて発光素子22が点灯するよう構成されている。即ち、HMSL300はRCLのストップランプと連動して点灯し、発光モジュール70(の蛍光体樹脂層28)が「STOP」の文字形状に均一かつ高光束に赤色発光する。
【0065】
発光モジュール70として、蛍光体樹脂層28に含有される赤色蛍光体は、近紫外線又は短波長可視光を波長変換して赤色の可視光を発光する、(Ca
1‐x‐ySr
x)AlSiN
3:Eu
2+y(ここで、xは0≦x≦0.992、yは0.001≦y≦0.015の範囲である)で表される。なお、赤色光が得られ、放射する光のピーク波長が660nm以上800nm以下の波長域にあるものであれば上記の材料に限定されない。
【0066】
本実施形態によれば、発光モジュール70によって、従来は可視光を発光する複数個のLEDが一直線状(一次元的)に並んだ発光形状が一般的であったHMSLに、二次元的な広がりを有する新規な発光形状を容易に形成することができる。また、高光束かつ均一な発光が得られるので、後続車からの視認性にも優れたHMSLを提供することができる。
【0067】
なお、発光モジュール70は、「STOP」の形状に限られず、ディスペンサの設定を変更するだけで、様々な文字や図形等の発光を形成することができる。従って、例えば「右」「左」の形状に発光素子22を並べて導光体層26および蛍光体樹脂層28でライン連結した発光モジュールを形成し、RCLのターンシグナルランプの点灯と連動させる車両用灯具を形成することも容易である。
【0068】
また、本実施形態においても支持基板36にFPCを用いれば、車両1のバックウィンドウ6が湾曲した仕様となった場合でも、発光モジュール70がバックウィンドウ6に沿って自在に曲がるので、容易に配設することができる。
【0069】
(第7の実施形態)
図14は第7の実施形態に係る発光モジュールからなる三角表示板の正面図である。なお、
図14では透光カバー42を介して見える灯室内を実線で示している。
【0070】
図14における三角表示板400は、車両1の緊急停車の際に用いられる三角形の枠状の器具であり、第6の実施形態と同様に、発光モジュール80と、発光モジュール80の前面を保護する三角形枠状の透明な透光カバー42と、から構成されている。発光モジュール80は、第1の実施形態と同様に、発光素子22と、導光体層26と、黄色蛍光体と青色蛍光体を含有した蛍光体樹脂層28と、支持基板44とを備えている。支持基板44は、一例として金蒸着によって電極パターンが形成されるとともにそれ以外の面を鏡面状に形成した三角形枠状の窒化アルミニウム板から構成される。
【0071】
発光モジュール80として、蛍光体樹脂層28に、黄色蛍光体と青色蛍光体に代えて、近紫外線又は短波長可視光を波長変換して赤色の可視光を発光する、(Ca
1‐x‐ySr
x)AlSiN
3:Eu
2+y(ここで、xは0≦x≦0.992、yは0.001≦y≦0.015の範囲である)で表される赤色蛍光体が混入されている。なお、赤色光が得られ、放射する光のピーク波長が660nm以上800nm以下の波長域にあるものであれば上記の材料に限定されない。
【0072】
発光モジュール80は、支持基板44上に、第1の実施形態と同様の発光素子22が第1の実施形態と同様の方法で三角形状に実装され、ディスペンサのプログラム制御により、発光素子22上を被覆するように導光体層26および赤色蛍光体を含有した蛍光体樹脂層28が「△」の図形状に塗布されている。
【0073】
この三角表示板400は、支持基板44の裏面に設けられた所定の外部電源や、或いは車両1のトランクリッドの裏面に装着すると車両1のバッテリから給電されるように構成される。これにより、発光素子22が点灯し、発光モジュール80(の蛍光体樹脂層28)が「△」の図形形状に均一かつ高光束に赤色発光する。本実施形態によれば、発光モジュール80によって、従来の赤色反射板を用いた表示板よりも高光束かつ均一な発光が得られるので、視認性に優れた三角表示板を提供することができる。
【0074】
なお、発光モジュール80には、「△」の形状に限られず、ディスペンサの設定を変更するだけで、様々な文字や図形の発光を形成することができる。従って、例えば「□」の形状に発光素子22を並べて導光体層26および蛍光体樹脂層28でライン連結した発光モジュールを形成し、これらを道路等に設置される表示灯や照明灯を形成することも容易である。
【0075】
また、第6および第7の実施形態の発光モジュール70,80において、第1の実施形態の黄色蛍光体と青色蛍光体を用いて白色発光する車両用灯具や表示灯を構成してもよい。
【0076】
また、第1の実施形態の標識灯200や第6の実施形態のHMSL300において、黄色蛍光体と青色蛍光体に加えて赤色蛍光体も混入した蛍光体樹脂層28とすれば、赤色の波長領域が補われて、演色性も兼ね備えた白色発光を有する車両用灯具や表示灯等を提供することができる。
【0077】
(第8の実施形態)
第8の実施形態においては、
図15に示すように、ドーム状のレンズ形状にした導光体層26および蛍光体樹脂層28を連ねて形成することにより、発光モジュール90が構成されている。なお、本実施形態において、第1から第7の実施形態と同一構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
標識灯200においては、SAE J2087 AUG91や,ECE87等の規格に合致した配光とするために、発光モジュール以外にレンズや反射鏡等が用いられることが多いが、本件発明者は、蛍光体樹脂層28の粘度を1〜500Pa・s、蛍光体樹脂層28を塗布(ポッティング)する際にシリンジ内に加える塗布圧力を1kPa〜50kPa、シリンジの吐出口径を0.1〜2.5mm、ディスペンサノズル移動スピードを0〜100mm/sに調整することにより、蛍光体樹脂層28をレンズ形状に塗布できることを見出した。より具体的には、蛍光体樹脂層28の粘度を100Pa・s、蛍光体樹脂層28を塗布する際にシリンジ内に加える塗布圧力を50kPa、シリンジの吐出口径を1.43mmとした上で、ディスペンサノズル移動スピード0mm/s(停止)で蛍光体樹脂層28を塗布し、塗布後、ディスペンサノズルを約8mm移動し、その移動した位置に蛍光体樹脂層28を塗布する。これを繰り返すことにより、ドーム状のレンズ形状を連ねたライン光源が得られることになる。導光体層26についても同様に形成することでレンズ形状に塗布することができる。
このような発光モジュール90は、レンズ機能を有するため、標識灯200の光源として用いた場合、発光モジュール90以外のレンズが不要となるか、大幅に簡素化でき、コストを低減することができる。
【0078】
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、
図16、
図17に示すように、アルミ基板等からなる支持基板54に反射鏡が形成された発光モジュール100を示している。
この第9の実施形態においては、支持基板54の表面に溝51が形成されている(
図17参照)。この溝51の両側壁内面51aは、その底面51bから開口に向かうに従って互いに離れるように傾斜されており、溝51内の底面51bに、所定間隔毎に発光素子22が搭載(配置)されている。この溝51内及び発光素子22に導光体層26が塗布される。また、支持基板54における溝51上には、蛍光体樹脂層28が円弧状をもって形成されている。これにより、溝51の両側壁内面51aは、反射鏡による配光制御機能を有することになり、このような発光モジュール100を標識灯200の光源として用いた場合には、発光モジュール100以外の反射鏡が不要となるか、大幅に簡素化でき、コスト低減を図ることができる。
【0079】
図18は、第9の実施形態の変形例を示している。
本変形例では、アルミ基板等の支持基板64に、各発光素子22の配置位置において凹所52がそれぞれ個別に形成されており、その各凹所52の底面52bに発光素子22が配置されている。この場合、各凹所52の開口が平面視円形に形成されていると共に、その各凹所52が支持基板64の肉厚方向の内方に向かうに従って徐々に縮径されており、凹所52の内周面52aは、その凹所52の縮径構造に基づき、反射鏡としての機能を有することになる。
【0080】
図19は、第9の実施形態の別の変形例を示している。
本変形例においては、アルミ基板等の支持基板74に各凹所53が平面視四角形状にそれぞれ形成され、その各凹所53の開口辺から垂下する内面53aが、対向するもの同士に関し、各凹所53の開口辺から垂下するに従い互いに近づくように傾斜されている。これにより、本変形例においては、各凹所53の開口辺から垂下する内面53aが反射鏡としての機能を有することになる。
【0081】
図20は、第9の実施形態のさらに別の変形例を示している。
本変形例においては、支持基板84上に一対の隆起部54が設けられている。この一対の隆起部54は、その両者54間に溝を構成するように配置されており、各発光素子22は、その一対の隆起部54間における支持基板84上に配置されている。この両隆起部54の内面54aは、支持基板84の肉厚方向の外方に向かうに従って互いに離れるように傾斜されており、この傾斜した両内面54aが、隆起部54の材質等(アルミ等)に基づき反射鏡としての機能を有することになっている。
この場合、一対の隆起部54を設けて溝を形成することに代えて、隆起部54により発光素子22毎の凹所を形成し、その各凹所内に発光素子22をそれぞれ配置してもよい。
【0082】
以上、各実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様も包含する。
(1)導光体層26および蛍光体樹脂層28の形成方法については、ディスペンサの塗布に限定されず、印刷法や、射出成形、圧縮成形等の他の成形方法を用いてもよいこと。
(2)上記の実施形態において、FPC24が、エポキシ等の樹脂やアルミ、銅等の金属で形成されることが多いが、他の材料を用いていてもよいこと。
(3)標識灯200の形状によっては、FPC24以外の厚みのあるガラスエポキシ基板、アルミや銅等の金属基板、セラミック基板等の屈曲性の低い基板が用いられてもよいこと。
(4)フレキシブル性確保の為に、FPC24と、上記(3)で示した屈曲性の低い基板とを組み合わせて用いること。
具体的には、
図21、
図22に示すように、屈曲性の低い基板94上に発光素子22を搭載したユニットUを用意し、そのようなユニットUを間隔をあけてFPC24に取付けることが好ましい。すなわち、
図21に示すように、各ユニットUにおける基板(屈曲性の低い基板)94をFPC24の一方の面(
図13中、下面)に取付ける一方、FPC24を貫通させて発光素子22を該FPC24の他方の面(
図21中、上面)側に突出させ、その発光素子22を導光体層26および蛍光体樹脂層28により被覆してもよいし、
図22に示すように、屈曲性の低い基板94上に発光素子22を搭載したユニットUをFPC24の他方の面(
図22中、上面)に取付け、そのユニットUを導光体層26および蛍光体樹脂層28により被覆してもよい。
(5)標識灯200のSAE規格(SAE J2087 AUG91)およびECE規格(ECE R87)を満たす為に、発光モジュール20からの出射光束として200〜1200lm程度とすること。
このため、本発光モジュール20においては、前記出射光束が得るべく、複数個の発光素子22に500〜3000mAの電流を流すこととされている。
(6)複数個の発光素子22を載置する適正間隔を、一つの発光素子22に流す電流値によって変えること。
具体的には、発光素子22間の間隔と、流す最適電流値との関係を次のようにすることが好ましい。
0.5〜5mm間隔で10〜30mA。
3〜20mm間隔で20〜300mA。
10〜50mm間隔で100〜1000mA。
30〜100mm間隔で300〜1500mA。
より具体的には、発光素子22に流す電流値を100mAとするとき、発光素子22間の間隔を8mmとすることがより好ましい。複数個の発光素子22を上記各適正間隔よりも広くすると、発光モジュール20に明部と暗部が生じてしまって均一発光とならない一方、各適正間隔よりも狭くなると、不要に発光素子22の数が多くなってコストアップとなってしまうからである。
(7)標識灯200に関し、意匠上、項目(5)の光束条件を満たしつつ、色々な長さが要求される場合には、複数個の発光素子22を載置する間隔と一つの発光素子22に流す電流値を変えることにより、色々な長さの発光モジュール20を実現すること。
具体的には、発光素子22間の間隔と、流す最適電流値との関係に対する標識灯200用の発光モジュール20の長さとして、次のような対応関係にあるものが好ましい。
発光素子22間の間隔0.5〜5mmであって最適電流値10〜30mAの場合には発光モジュール20の長さ8〜1500mm。
発光素子22間の間隔3〜20mmであって最適電流値20〜300mAの場合には発光モジュール20の長さ3〜3000mm。
発光素子22間の間隔10〜50mmであって最適電流値100〜1000mAの場合には発光モジュール20の長さ10〜1500mm。
発光素子22間の間隔30〜100mmであって最適電流値300〜1500mAの場合には発光モジュール20の長さ30〜1000mm。
これにより、標識灯200に関し、幅広い意匠に対応可能な長さを自由に実現できる。
より具体的な一例として、標識灯200用の発光モジュール20が、光束200lm、長さ200mmを必要とする場合には、発光素子22の載置間隔を8.3mm、1つの発光素子22に流す電流値を40mAとし、発光素子22を24個載置することにより、上記内容が実現できる。
(8)断面半球状(ドーム形状)に塗布された蛍光体樹脂層28の塗布幅の適正値を、発光素子22の幅〜20mmとし、塗布高さの適正値を塗布幅の0.5倍〜3倍とすること。
適正値より塗布幅や塗布高さが大きくなると、蛍光体樹脂層28の内側で発光した光が外側に出る効率が低下し、結果、発光モジュール20の効率を低下させてしまう一方、適正値より塗布幅や塗布高さが小さいと、発光素子22を被い尽くすことが困難となり、発光モジュール20の製造が困難になるからである。
(9)固定板11に発光モジュール20を固定する方法として、接着に限らず、ネジ締結、かしめ、他部品による押さえこみ等の他の方法を用いること。
(10)固定板11として、アルミ以外の鉄、銅、セラミック等の他の材料が用いること。
(11)固定板11に、放熱性能を高めるべく、ヒートパイプ、水冷ユニット、ペルチェ素子等の熱輸送部材を設けること。
(12)固定板11に発光素子22を直接実装し、その実装した発光素子22を導光体層26および蛍光体樹脂層28によって封止したチップオンボードの形態をとること。
これにより、FPC24等の基板が不要となり、コストを低減できる。
(13)標識灯200の駆動電圧として、車輌のバッテリ電圧12V、24Vや、DC‐DCコンバーターで車輌のバッテリ電圧を所望の電圧に変換した電圧が用いられること。
この際、発光素子22の配線は[駆動電圧÷発光素子22の電圧]以下の数となるような直列接続を基本としたものとなる。 また、電流制限が必要な為、電流制限機能を持ったDC‐DCコンバーターを用いない場合は、抵抗器、トランジスタ、FET、定電流ダイオード等の別途電流制限電源回路が用いられることになる。
【0083】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0084】
例えば、反射面が設けられる支持基板としては、FPC24に限られず、厚みのあるガラスエポキシ基板、アルミや銅等の金属基板、セラミック基板等の屈曲性の低い基板が用いられてもよい。また、フレキシブル性を確保するために、FPC24と、屈曲性の低い基板とを組み合わせてもよい。
【0085】
また、導光体層26としては、透明樹脂ペーストの代わりにポリカーボネート、アクリル樹脂などからなる透明樹脂基板を用いてもよい。この場合、透明樹脂基板の一面(
図5における導光体層26の底面)に発光素子22の下面が露出するように発光素子22を設け、透明樹脂基板の発光素子22が露出された面とFPC24の反射面24cが対向するように透明樹脂基板をFPC24に接着し、その後、透明樹脂基板の上面に蛍光体樹脂層28を設けることで、本実施形態の発光モジュールを形成することができる。
【0086】
上記説明した実施形態においては、蛍光体樹脂層28の厚みは一定であるが、この例に限られない。蛍光体樹脂層28の厚みを変えて凹凸状に形成することで立体感のある新規な見映えの発光パターンを実現することが可能となる。