(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザ装置に提供される情報は、ユーザ装置の位置だけでなく、ユーザ装置がその位置に滞在している時間長にも基づいて選択されると好適であると考えられる。しかしながら、セルの端部(境界部)に位置するユーザ装置については、実際にユーザ装置が移動していないにも関わらず、滞在セルが頻繁に変更される現象(いわゆる「バタツキ」)が生じる場合がある。ユーザ装置の滞在セルに応じてユーザ装置の位置を特定する技術においては、バタツキによってユーザ装置の位置が頻繁に変更されることにより、ユーザ装置によるセルへの滞在時間長が適切に算定されない可能性がある。
【0005】
以上の事情を考慮して、本発明は、ユーザ装置によるセルへの滞在時間長をより適切に算定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線通信システムは、ユーザ装置によるセルへの滞在に関する情報を各々が示す複数の滞在情報要素を記憶する滞在情報記憶部と、第1セルに滞在していた前記ユーザ装置が前記第1セルとは異なる第2セルへの滞在を開始することを検出するセル滞在検出部と、前記ユーザ装置による前記第2セルへの滞在に関する滞在情報要素に基づいて、前記第2セルへの滞在の開始および終了が繰り返されるバタツキ状態が生じているか否かを判定するバタツキ判定部と、前記バタツキ判定部の判定に応じて前記第2セルへの滞在時間長を算定する算定部とを備える。
【0007】
本発明の好適な態様において、前記算定部は、前記バタツキ状態が生じていると前記バタツキ判定部が判定した場合に、前記バタツキ状態が生じていないと前記バタツキ判定部が判定した場合よりも、前記第2セルへの前記滞在時間長がより長くなるように算定する。
【0008】
本発明の好適な態様において、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第1セルから前記第2セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの暫定滞在開始時刻として前記バタツキ判定部に供給し、前記バタツキ判定部は、前記バタツキ状態が生じていると判定した場合、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として前記算定部に供給する一方で、前記バタツキ状態が生じていないと判定した場合、前記暫定滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として前記算定部に供給し、前記算定部は、複数の前記滞在情報要素が示す複数の滞在開始時刻に前記真の滞在開始時刻が含まれない場合に、当該真の滞在開始時刻を含む新たな滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に書き込む一方で、複数の前記滞在情報要素が示す複数の滞在開始時刻に前記真の滞在開始時刻が含まれる場合に、新たな滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に書き込まず、その後、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第2セルから他セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの滞在終了時刻として取得して前記算定部に供給し、前記算定部は、複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在開始時刻を取得し、前記滞在開始時刻と前記滞在終了時刻との差分を前記第2セルへの滞在時間長として算定する。
【0009】
本発明の好適な態様において、前記バタツキ判定部は、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する前記滞在情報要素が示す滞在終了時刻と、前記暫定滞在開始時刻との差分が閾値を下回る場合に、前記バタツキ状態が生じていると判定する一方で、前記差分が前記閾値を上回る場合または前記第2セルへの滞在に関する滞在情報要素が前記滞在情報記憶部に記憶されていない場合に、前記バタツキ状態が生じていないと判定する。
【0010】
本発明の好適な態様において、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第2セルへの滞在を継続していることを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの滞在終了時刻として取得して前記算定部に供給し、前記算定部は、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在開始時刻を取得し、前記滞在開始時刻と前記滞在終了時刻との差分を前記第2セルへの滞在時間長として算定する。
【0011】
本発明の好適な態様において、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第1セルから前記第2セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの暫定滞在開始時刻として前記バタツキ判定部に供給し、前記バタツキ判定部は、前記バタツキ状態が生じていると判定した場合、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として前記算定部に供給する一方で、前記バタツキ状態が生じていないと判定した場合、前記暫定滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として前記算定部に供給し、前記算定部は、前記バタツキ判定部から供給された前記真の滞在開始時刻を含む新たな滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に書き込み、その後、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第2セルから他セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの滞在終了時刻として取得して前記算定部に供給し、前記算定部は、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの滞在に相当し滞在終了時刻を含まない未完滞在情報要素が示す滞在開始時刻を取得し、前記滞在開始時刻と前記セル滞在検出部から供給された前記滞在終了時刻との差分を前記第2セルへの滞在時間長として算定する。
【0012】
本発明の好適な態様において、前記バタツキ判定部は、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素が示す前記第2セルへの滞在の頻度が閾値を上回る場合に、前記バタツキ状態が生じていると判定する一方で、前記頻度が前記閾値を下回る場合または前記第2セルへの滞在に関する滞在情報要素が前記滞在情報記憶部に記憶されていない場合に、前記バタツキ状態が生じていないと判定する。
【0013】
本発明の好適な態様において、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第1セルから前記第2セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの暫定滞在開始時刻として前記バタツキ判定部に供給し、前記バタツキ判定部は、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在終了時刻と、前記暫定滞在開始時刻との差分が閾値を下回る場合に、前記バタツキ状態が生じていると判定し、真を示すバタツキ判定フラグおよび前記暫定滞在開始時刻を前記算定部に供給する一方で、前記差分が前記閾値を上回る場合または前記第2セルへの滞在に関する滞在情報要素が前記滞在情報記憶部に記憶されていない場合に、前記バタツキ状態が生じていないと判定し、偽を示すバタツキ判定フラグおよび前記暫定滞在開始時刻を前記算定部に供給し、前記算定部は、前記バタツキ判定部から供給された、前記バタツキ判定フラグと、滞在開始時刻として前記暫定滞在開始時刻とを含む新たな滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に書き込み、その後、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第2セルから他セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの滞在終了時刻として取得して前記算定部に供給し、前記算定部は、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記第2セルへの最新の滞在に相当する前記新たな滞在情報要素が示す前記バタツキ判定フラグを取得し、取得された前記バタツキ判定フラグが真を示す場合、前記新たな滞在情報要素に相当する滞在の直前の前記第2セルへの滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在時間長と、前記新たな滞在情報要素が示す滞在開始時刻と前記滞在終了時刻との差分と、の合計を前記第2セルへの滞在時間長として算定する一方で、取得された前記バタツキ判定フラグが偽を示す場合、前記新たな滞在情報要素が示す滞在開始時刻と前記滞在終了時刻との差分を前記第2セルへの滞在時間長として算定する。
【0014】
本発明の好適な態様において、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第1セルから前記第2セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの暫定滞在開始時刻として前記バタツキ判定部に供給し、前記バタツキ判定部は、前記バタツキ状態が生じていると判定した場合、前記バタツキ状態に関与する前記第2セルを含む複数セルに対して1つの見做しセル識別子を付与し、前記見做しセル識別子を有する滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に記憶し、前記滞在情報記憶部に記憶される複数の前記滞在情報要素のうち前記見做しセル識別子に対応する最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として設定し、前記見做しセル識別子および前記真の滞在開始時刻を前記算定部に供給する一方で、前記バタツキ状態が生じていないと判定した場合、前記暫定滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として設定し、前記第2セルのセル識別子および前記真の滞在開始時刻を前記算定部に供給し、前記算定部は、前記バタツキ判定部から供給された
前記見做しセル識別子
または前記第2セルの前記セル識別子に対応する1以上の滞在情報要素が示す1以上の滞在開始時刻に前記真の滞在開始時刻が含まれない場合に、当該真の滞在開始時刻および前記供給された
見做しセル識別子
または前記第2セルのセル識別子を含む新たな滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に書き込む一方で、前記供給された
見做しセル識別子
または前記第2セルのセル識別子に対応する1以上の滞在情報要素が示す1以上の滞在開始時刻に前記真の滞在開始時刻が含まれる場合に、新たな滞在情報要素を前記滞在情報記憶部に書き込まず、その後、前記セル滞在検出部は、前記ユーザ装置が前記第2セルから他セルへの滞在を開始することを検出した場合、現在時刻を前記第2セルの滞在終了時刻として取得して前記算定部に供給し、前記算定部は、前記第2セルに対応する前記見做しセル識別子に対応する滞在情報要素のうち最新の滞在に相当する滞在情報要素が示す滞在開始時刻を取得し、前記滞在開始時刻と前記滞在終了時刻との差分を前記第2セルへの滞在時間長として算定する。
【0015】
本発明の通信制御方法は、ユーザ装置によるセルへの滞在に関する情報を各々が示す複数の滞在情報要素を記憶することと、第1セルに滞在していた前記ユーザ装置が前記第1セルとは異なる第2セルへの滞在を開始することを検出することと、前記ユーザ装置による前記第2セルへの滞在に関する滞在情報要素に基づいて、前記第2セルへの滞在の開始および終了が繰り返されるバタツキ状態が生じているか否かを判定することと、バタツキ状態の判定に応じて前記第2セルへの滞在時間長を算定することとを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザ装置によるセルへの滞在時間長がより適切に算定される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1. 第1実施形態
1(1). 無線通信システムの概略
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システムCSを示すブロック図である。無線通信システムCSは、ユーザ装置100と基地局200とを要素として備える。基地局200は、上記以外の不図示の要素、交換局およびゲートウェイを備えるコアネットワークに接続される。ネットワークNWは、無線通信システムCSが備える上記の要素のうち、ユーザ装置100以外の要素を備える。
【0019】
無線通信システムCS内の各要素は、任意のアクセス技術(Access Technology)に従って通信を実行する。例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)規格に含まれるLTE/SAE(Long Term Evolution / System Architecture Evolution)規格が、採用可能なアクセス技術として例示される。無線アクセスの多重方式として、周波数多重分割が用いられてもよいし、時分割多重が用いられてもよい。無線通信システムCSにおいて、複数の無線アクセス技術(例えば、3G及びLTE)が採用されてもよい。
【0020】
図2に示すように、基地局200(200a,200b)は、その周囲にセルC(Ca,Cb)を形成する。セルCは、固有のセル識別子によって識別される。ユーザ装置100は、そのユーザ装置100が滞在する(在圏する)セルCに対応する基地局200と無線通信することが可能である。なお、1つの基地局200が複数のセルCを形成してもよい。各セルCにおいて利用される無線アクセス技術は任意に選択され得る。例えば、1つの基地局200が形成する複数のセルCにおいて、共通の無線アクセス技術が採用されてもよいし、異なる無線アクセス技術が採用されてもよい。
【0021】
図2において、ユーザ装置100aは、セルCaおよびセルCbの双方に在圏する。無線通信環境は刻々と変化するため、ユーザ装置100aが滞在するセルC(例えば、ユーザ装置100aにとって最も受信電力の高いセルC)も刻々と変化する。以上のように、ユーザ装置100aが大きく移動しないにも関わらず滞在セルが頻繁に変化することは、一般的に「バタツキ(ping-pong, fluttering)」と称される。
【0022】
前述の通り、ユーザ装置100の位置に応じた情報提供について、ユーザ装置がその位置に滞在している時間長(滞在時間長)にも基づいて提供される情報が選択されると好適であると考えられる。しかしながら、バタツキによる滞在セルの頻繁な変化により、滞在時間長が適切に算定されない可能性がある。例えば、
図2において、静止しているユーザ装置100aの滞在セルが、セルCaおよびセルCbのいずれか一方から他方へ1分おきに変化する場合、実際には長時間にわたりユーザ装置100aが同じ場所に位置しているにも関わらず、セルCaおよびセルCbへの滞在時間が細かく(1分毎に)分断されてしまう。
【0023】
本実施形態では、バタツキが生じている場合に、バタツキが生じていない場合よりも、セルCへの滞在時間がより長くなるように算定される。具体的な構成を以下に説明する。
【0024】
1(2). 各要素の構成
1(2)−1. ユーザ装置の構成
図3は、第1実施形態に係るユーザ装置100の構成を示すブロック図である。ユーザ装置100は、無線通信部110と制御部120と記憶部130とを備える。音声・映像等を出力する出力装置およびユーザからの指示を受け付ける入力装置等の図示は便宜的に省略されている。無線通信部110は、基地局200と無線通信を実行するための要素であり、送受信アンテナと、各基地局200からの下り無線信号を受信して電気信号に変換する受信回路と、制御信号、ユーザ信号等の電気信号を上り無線信号に変換する送信回路とを含む。記憶部130は、通信制御に関する情報、特にユーザ装置100によるセルへの滞在に関する情報(滞在情報SI)を記憶する。すなわち、記憶部130は、滞在情報記憶部として機能し得る。滞在情報SIには、複数の滞在情報要素SEが含まれる(詳細は後述される)。
【0025】
制御部120は、セル滞在検出部122とバタツキ判定部124と算定部126とを備える。セル滞在検出部122は、ユーザ装置100が現在滞在しているセルC(元セル)から他のセルC(新セル)への滞在を開始することを検出する。バタツキ判定部124は、記憶部130に記憶される滞在情報要素SEに基づいて、同一セルへの滞在の開始および終了が高頻度に繰り返されるバタツキ状態が生じているか否かを判定する。算定部126は、バタツキ判定部124による以上のバタツキ判定に応じて、ユーザ装置100がセルに滞在していた期間の時間長(滞在時間長)を算定する。制御部120内の各要素の動作の更なる詳細は後述される。制御部120および制御部120内の各要素は、ユーザ装置100内のCPU(不図示)が、記憶部130に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
【0026】
1(2)−2. 基地局の構成
図4は、第1実施形態に係る基地局200の構成を示すブロック図である。基地局200は、無線通信部210とネットワーク通信部220と制御部230とを備える。無線通信部210は、ユーザ装置100と無線通信を実行するための要素であり、ユーザ装置100の無線通信部110と同様に構成される。ネットワーク通信部220は、ネットワークNW内の他のノード(他の基地局200、交換局、ゲートウェイ等)と有線にて通信を実行する要素である。制御部230は、無線通信部210およびネットワーク通信部220を介して、ユーザ装置100およびネットワークNW内の他のノードと信号(制御信号、データ信号等)を送受信する。制御部230は、基地局200内のCPU(不図示)が、記憶部(不図示)に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
【0027】
1(3). 滞在時間長の更新動作
1(3)−1. 概説
以下に、本実施形態に係る滞在時間長の算定動作を説明する。概略的に説明すると、ユーザ装置100がバタツキ状態にあると判定された場合には、セルCへの滞在開始時刻を、現実の滞在開始時刻(後述される「暫定滞在開始時刻」)から、そのセルCへの過去の滞在開始時刻に戻した上で滞在時間長の算定動作が実行される。
【0028】
図5は、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作の説明図である。以下、時系列的に説明する。時刻t=0においてユーザ装置100がセルCcへの滞在を開始する。時刻t=5において、ユーザ装置100はセルCcへの滞在を終了しセルCaへの滞在を開始する。この際(t=5)、ユーザ装置100(算定部126)は、セルCcへの滞在時間長を「5」と算定する。次いで、時刻t=15において、ユーザ装置100はセルCaへの滞在を終了しセルCbへの滞在を開始する。この際(t=15)、セルCaへの滞在時間長は「10」と算定される。以上は、バタツキ状態が発生していない場合の動作である。
【0029】
時刻t=25において、ユーザ装置100はセルCbへの滞在を終了し、再びセルCaへの滞在を開始する。ユーザ装置100(バタツキ判定部124)は、前回の(過去における最新の)セルCaへの滞在終了時刻(t=15)と今回の滞在開始時刻(t=25)との差分d(d=10)が閾値Th1(
図5の例では、Th1=60)を下回ることに基づいて、セルCaについてバタツキ状態が生じていると判定する。ユーザ装置100(算定部126)は、以上のバタツキ判定に基づき、今回の滞在開始時刻(暫定滞在開始時刻)ではなく、前回のセルCaへの滞在開始時刻(t=5)を真の滞在開始時刻に設定する。その後、時刻t=50においてセルCaへの滞在を終了すると、ユーザ装置100は、真の滞在開始時刻(t=5)と滞在終了時刻(t=50)とを用いて、セルCaへの滞在時間長(L=45)を算定する。以上が、バタツキ状態が発生している場合の動作である。時刻t=50および時刻t=60において、セルCbについても、バタツキを考慮した同様の更新動作が実行される。
【0030】
1(3)−2. 更新動作の詳細
図6から
図10を参照して、滞在時間長の更新動作をより詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作を示すフローチャートである。
図7は、
図6のフローチャート中のステップS320の動作をより詳細に示すフローチャートである。
図8は、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作における情報フローを示す図である。
図9および
図10は、記憶部130に記憶される滞在情報SIの構成を例示する図である。滞在情報SIは、ユーザ装置100によるセルCへの滞在に関する情報を各々が示す複数の滞在情報要素SE(SE1,SE2,SE3,…)を含む。
【0031】
滞在時間長の更新動作は、大きく3段階に分けられる。第1段階(S100)は、セル滞在検出部122により実行される、滞在セルの変更が検出されたか否かを判定する処理である。第2段階(S200)は、変更前の滞在セル(「元セル」と称する)について、滞在終了時刻および滞在時間長を算定する処理である。第3段階(S300)は、変更後の滞在セル(「新セル」と称する)について、バタツキ判定を実行し真の滞在開始時刻を確定する処理である。
図6および
図7に示される通り、ステップS200はステップS210からS230を含み、ステップS300はステップS310からS350を含む。
【0032】
以上のように、滞在セルの変更時に、元セルの滞在終了処理(S200)および新セルの滞在開始処理(S300)が実行される。他方、1つのセルC(Ca)について見ると、
図8に示すように、滞在開始処理(S
300)の後、新たな滞在セルの変更に伴う滞在終了処理(S
200)が実行されることにより、一連の処理が完結する。そこで、以下では、セルCaについて、滞在開始処理を先に説明した後に滞在終了処理が説明される。また、以下では、
図5で説明した時系列を援用して、時刻t=25のセルCaへの滞在開始および時刻t=50のセルCaへの滞在終了における動作が説明される。
【0033】
時刻t=25において、セル滞在検出部122は、ユーザ装置100がセルCb(元セル)からセルCa(新セル)への滞在を開始することを検出すると(S100;YES)、現在時刻(t=25)をセルCaの暫定滞在開始時刻として取得し、バタツキ判定部124に供給する(S310)。滞在セルの変更が検出されない場合は、セル滞在検出部122によって検出ループが繰り返される(S100;NO)。なお、セルCbについての処理(S200)の説明は省略する。
【0034】
滞在セルの変更が検出されると、バタツキ判定部124はバタツキ状態が生じているか否かを判定し、真の滞在開始時刻を設定する(S320)。ステップS320の詳細を、
図7を参照して説明する。バタツキ判定部124は、セルCaのセル識別子を含む滞在情報要素SEが、滞在情報SI内に存在するか否かを判定する(S3201)。バタツキ判定部124は、そのような滞在情報要素SEのうち、セルCaへの最新の滞在に相当する(すなわち、最も値が大きい)滞在終了時刻を取得する(S3202)。
図9の例では、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SE2が示す滞在終了時刻(t=15)が取得される。なお、この時点では、現在の滞在セルCaについての滞在情報要素SEは、滞在情報SIに書き込まれていない。
【0035】
バタツキ判定部124は、セル滞在検出部122から供給された暫定滞在開始時刻と、ステップS3202で取得された滞在終了時刻との差分d(d=10)が、閾値Th1(Th1=60)を下回るか否かを判定する(S3203)。本例では差分dが閾値Th1を下回るので(S3203;YES)、バタツキ判定部124はバタツキ状態が発生していると判定する。そして、バタツキ判定部124は、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SE2が示す滞在開始時刻(t=5)を真の滞在開始時刻に設定し、算定部126に供給する(S3206)。
【0036】
なお、セルCaのセル識別子を含む滞在情報要素SEが滞在情報SI内に存在しない場合(S3201;NO)、または差分dが閾値Th1を上回る場合(S3203;NO)には、バタツキ判定部124はバタツキ状態が発生していないと判定する。そして、セル滞在検出部122から供給された暫定滞在開始時刻を真の滞在開始時刻に設定し、算定部126に供給する(S3207)。
【0037】
図6を再び参照して、説明を継続する。算定部126は、バタツキ判定部124から供給された真の滞在開始時刻を有する滞在情報要素SEが滞在情報SIに含まれるか否かを判定する(S340)。真の滞在開始時刻を有する滞在情報要素SEが含まれない場合(S340;NO)、算定部126は、新セルのセル識別子とその真の滞在開始時刻とを含む新たな滞在情報要素SEを滞在情報SI(記憶部130)に書き込む(S350)。他方、その真の滞在開始時刻を有する滞在情報要素SEが含まれる場合(S340;YES)、算定部126は、新たな滞在情報要素SEを書き込まない。
【0038】
本例では、真の滞在開始時刻(t=5)を含む滞在情報要素SE2が滞在情報SIに含まれるから、算定部126は新たな滞在情報要素SEを書き込まない。結果として、真の滞在開始時刻(t=5)を有する滞在情報要素SE2が、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SEとして維持される。
【0039】
その後、時刻t=50において、セル滞在検出部122が、ユーザ装置100がセルCa(元セル)からセルCb(新セル)への滞在を開始することを検出すると(S100;YES)、現在時刻(t=50)をセルCaの滞在終了時刻として取得し、算定部126に供給する(S210)。なお、セルCbについての処理(S300)の説明は省略する。
【0040】
算定部126は、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SE2が示す滞在開始時刻(t=5)を取得し、その滞在開始時刻とステップS210で取得された滞在終了時刻(t=50)との差分をセルCaへの滞在時間長(L=45)として算定する(S220)。そして、算定部126は、
図10に示されるように、滞在終了時刻(t=50)と滞在時間長(L=45)とを滞在情報要素SE2に書き込む(S230)。なお、以上のステップS200の更新動作は、滞在情報要素SEに滞在終了時刻および滞在時間長が記憶されていてもいなくても、同じように実行される。
【0041】
1(4). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、バタツキ状態が生じている場合には、新セルへの滞在が開始されても、その新セルに対応する(その新セルのセル識別子を有する)新たな滞在情報要素SEが記憶部130に書き込まれない。そして、その後にその新セルへの滞在が終了すると、その新セルに対応する滞在情報要素SEのうち最新の滞在情報要素SEの滞在終了時刻および滞在時間長が更新される。換言すると、バタツキ状態が生じている場合には、新セルへの滞在開始時刻が更新されないままに維持される。
【0042】
2. 第2実施形態
本発明の第2実施形態を以下に説明する。以下に例示する各実施形態において、作用、機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の説明を適宜に省略する。
【0043】
2(1). 更新動作の詳細
図11を参照して、本実施形態の更新動作の詳細を説明する。第1実施形態と同様に、滞在開始処理(S300)を先に説明した後に滞在終了処理(S200)が説明される。また、同様に、以下の説明においては
図5で説明した時系列が援用される。
【0044】
時刻t=25において、ユーザ装置100がセルCaへの滞在を開始する。滞在開始処理について、ステップS100,S310,およびS320は第1実施形態と同様に実行される。したがって、真の滞在開始時刻は、第1実施形態と同様に、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SE2が示す滞在開始時刻(t=5)である。算定部126は、セルCaのセル識別子と、バタツキ判定部124から供給された真の滞在開始時刻とを含む新たな滞在情報要素SE4を、滞在情報SI(記憶部130)に書き込む(S332)。
図12に、新たな滞在情報要素SE4が書き込まれた後の滞在情報SIを示す。
【0045】
第1実施形態と異なり、算定部126は、セルCへの滞在が開始する度に滞在情報要素SEを書き込む。書き込まれる滞在情報要素SEは、セル識別子および滞在開始時刻を有し滞在終了時刻および滞在時間長を有さない滞在情報要素SE(未完滞在情報要素)である。
【0046】
その後、時刻t=50において、ユーザ装置100がセルCaへの滞在を終了する。滞在終了処理について、ステップS100およびS210は第1実施形態と同様に実行される。算定部126は、滞在情報SIに含まれる複数の滞在情報要素SEのうち、新セルであるセルCaへの滞在に相当し滞在終了時刻を含まない滞在情報要素SE4(未完滞在情報要素)が示す滞在開始時刻(t=5)を取得する。算定部126は、さらに、その滞在開始時刻とステップS210で供給された滞在終了時刻(t=50)との差分をセルCaへの滞在時間長(L=45)として算定する(S222)。そして、算定部126は、
図13に示されるように、滞在終了時刻(t=50)と滞在時間長(L=45)とを滞在情報要素SE4に書き込む(S230)。
【0047】
2(2). バタツキ状態判定の変形例
本実施形態において、任意のバタツキ状態判定基準が採用され得る。
図14は、バタツキ判定を含むステップS320(
図7)の変形例を示すフローチャートである。本変形例では、
図7のステップS3202およびS3203が、新たなステップS3204およびS3205に置換されている。バタツキ判定部124は、滞在情報SIに含まれる複数の滞在情報要素SEが示すセルCaへの滞在の頻度を取得する。「滞在の頻度」として採用される値は任意である。例えば、直近の10分間に新セル(セルCa)に滞在した回数、直近のn回の滞在セル変更のうち新セル(セルCa)に滞在した回数、等の値が「滞在の頻度」として採用され得る。バタツキ判定部124は、セルCaへの滞在の頻度が閾値Th2を上回る場合に、バタツキ状態が生じていると判定する(S3205;YES)。他方、セルCaへの滞在の頻度が閾値Th2を下回る場合に、またはセルCaへの滞在に関する滞在情報要素SEが滞在情報SIに含まれない場合に、バタツキ状態が生じていないと判定する(S3205;NO)。後の動作は前述と同様である。
【0048】
2(3). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、バタツキ状態が生じている場合には、新セルへの滞在が開始されると、その新セルに対応する新たな滞在情報要素SE(未完滞在情報要素)の滞在開始時刻として、その新セルに対応する滞在情報要素SEのうち最新の滞在情報要素SEの滞在開始時刻が書き込まれる。結果として、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0049】
3. 第3実施形態
以上の実施形態では、ユーザ装置100の滞在セルが変更された場合に更新動作が実行される。本実施形態では、さらに、ユーザ装置100の滞在セルが変更されていない場合にも更新動作が実行される。
【0050】
3(1). 滞在セルが変更されない場合の更新動作
図15を参照して、本実施形態の更新動作を説明する。本実施形態では、ユーザ装置100がセルCaへの滞在を継続していると想定する。セル滞在検出部122が、ユーザ装置100がセルCaへの滞在を継続していることを検出した場合(すなわち、滞在セルCaの変更を検出しない場合)(S100;NO)、現在時刻を現セルであるセルCaの滞在終了時刻として取得し、算定部126に供給する(S410)。なお、滞在セルCaの変更が検出された場合は、第1実施形態または第2実施形態の動作と同様であるから、説明を省略する。
【0051】
算定部126は、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SEが示す滞在開始時刻を取得し、その滞在開始時刻とステップS410で取得された滞在終了時刻との差分を、セルCaへの滞在時間長として算定する(S420)。そして、算定部126は、滞在終了時刻と滞在時間長とを滞在情報要素SEに書き込む(S430)。
【0052】
3(2). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、滞在セル変更の有無にかかわらず滞在時間長が更新されるから、滞在セルが長期にわたって変更されない場合であっても、ユーザ装置100によるセルCへの滞在時間長がより適切に算定される。
【0053】
4. 第4実施形態
4(1). バタツキ判定フラグを用いた更新動作
4(1)−1. 概説
以下に、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作を説明する。概略的に説明すると、ユーザ装置100がバタツキ状態にあると判定された場合には、過去のセルCへの滞在時間長と、現在のセルCへの滞在時間長とを合算するように滞在時間長の算定動作が実行される。
【0054】
図16は、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作の説明図である。
図16の時系列自体は、
図5で説明した時系列と同様である。以下、時系列的に説明する。バタツキ状態が発生していない場合の動作は、第1実施形態(
図5)と同様であるから説明を割愛する。時刻t=25において、ユーザ装置100はセルCaへの滞在を再び開始する。ユーザ装置100(バタツキ判定部124)は、前回の(過去における最新の)セルCaへの滞在終了時刻(t=15)と今回の滞在開始時刻(t=25)との差分d(d=10)が閾値Th1を下回ることに基づいて、セルCaについてバタツキ状態が生じていると判定する。ユーザ装置100(算定部126)は、以上のバタツキ判定に基づき、真を示すバタツキ判定フラグとともに今回の滞在開始時刻を記憶部130に記憶する。その後、時刻t=50においてセルCaへの滞在を終了すると、ユーザ装置100は、過去のセルCaへの滞在時間長(L=10)と今回のセルCaへの滞在時間長(L=25)とを合算して、バタツキを考慮したセルCaへの滞在時間長(L=35)を算定する。以上が、バタツキ状態が発生している場合の動作である。
【0055】
4(1)−2. 更新動作の詳細
図17および
図18のフローチャートを参照して、滞在時間長の更新動作をより詳細に説明する。第1実施形態と同様に、滞在開始処理(S300)を先に説明した後に滞在終了処理(S200)が説明される。
【0056】
時刻t=25において、ユーザ装置100がセルCaへの滞在を開始する。滞在開始処理について、ステップS100およびS310が第1実施形態と同様に実行されることにより、セルCaの暫定滞在開始時刻(t=25)がセル滞在検出部122からバタツキ判定部124に供給される。滞在セルの変更が検出されると、バタツキ判定部124は、バタツキ状態が生じているか否かを判定し、判定結果を示すバタツキ判定フラグを出力する(S321)。
【0057】
ステップS321の詳細を、
図18を参照して説明する。
図18のステップS3211からS3213までの処理は、
図7のステップS3201からS3203までの処理と同様に実行される。すなわち、バタツキ判定部124は、セルCaへの最新の滞在に相当する滞在終了時刻(t=15)を取得し、滞在終了時刻と暫定滞在開始時刻との差分dが閾値Th1を下回ることに基づいてバタツキ状態が発生していると判定する(S3213;YES)。そして、バタツキ判定部124は、真である論理値(TRUE)を示すバタツキ判定フラグと暫定滞在開始時刻とを算定部126に供給する(S3216)。なお、バタツキ状態が発生していないと判定された場合には(S3213;NO)、バタツキ判定部124は、偽である論理値(FALSE)を示すバタツキ判定フラグと暫定滞在開始時刻とを算定部126に供給する(S3217)。
【0058】
算定部126は、セルCaのセル識別子と、バタツキ判定部124から供給されたバタツキ判定フラグと、滞在開始時刻としてセルCaへの暫定開始時刻とを含む新たな滞在情報要素SE4を、滞在情報SI(記憶部130)に書き込む(S331)。
図19に、新たな滞在情報要素SE4が書き込まれた後の滞在情報SIを示す。
【0059】
その後、時刻t=50において、ユーザ装置100がセルCaへの滞在を終了する。滞在終了処理について、ステップS100およびS210は第1実施形態と同様に実行される。セルCaへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SE4が示すバタツキ判定フラグを取得する(S221)。
【0060】
バタツキ判定フラグが真(TRUE)を示す場合(S231;YES)、算定部126は、新たな滞在情報要素SE4に相当する滞在の直前のセルCaへの滞在に相当する滞在情報要素SE2が示す滞在時間長(L=10)と、新たな滞在情報要素SE4が示す滞在開始時刻(t=25)およびステップS210で取得された滞在終了時刻(t=50)との差分(d=25)と、の合計を、セルCaへの滞在時間長(L=35)として算定する(S241)。
【0061】
なお、バタツキ判定フラグが偽(FALSE)を示す場合(S231;NO)、算定部126は、新たな滞在情報要素SE
4が示す滞在開始時刻と、ステップS210で取得された滞在終了時刻との差分を、セルCaへの滞在時間長(L=35)として算定する(S251)。
【0062】
そして、算定部126は、ステップS210で取得された滞在終了時刻と、ステップS241またはS251で算定された滞在時間長とを、新たな滞在情報要素SE
4に書き込む(S261)。本例(バタツキ判定フラグが真である場合)における書き込み後の滞在情報SIを
図20に示す。
【0063】
4(2). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、バタツキ状態が生じている場合には、真を示すバタツキ判定フラグが滞在情報要素SEに設定され、過去の滞在時間長と今回の滞在時間長とが合算される。結果として、ユーザ装置100によるセルCへの滞在時間長がより適切に算定される。
【0064】
5. 第5実施形態
5(1). 見做しセルを用いた更新動作
5(1)−1. 概説
以下に、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作を説明する。概略的に説明すると、ユーザ装置100がバタツキ状態にあると判定された場合には、バタツキが発生している複数のセルCを仮想的な1つのセル(見做しセル)として扱い、見做しセルについて滞在時間長の算定動作が実行される。
【0065】
図21は、本実施形態に係る滞在時間長の更新動作の説明図である。
図21の時系列自体は、
図5で説明した時系列と同様である。以下、本実施形態に特徴的な箇所を時系列的に説明する。時刻t=25において、ユーザ装置100はセルCaへの滞在を再び開始する。ユーザ装置100(バタツキ判定部124)は、前述の実施形態と同様に、セルCaについてバタツキ状態が生じていると判定する。ユーザ装置100(バタツキ判定部124)は、判定されたバタツキに関与するセルCaおよびセルCbをグループ化して見做しセルCxとする。見做しセルCxのセル識別子は、セルCaおよびセルCbと対応付けられて記憶部130に記憶される。そして、ユーザ装置100(算定部126)は、見做しセルCxへの滞在開始時刻(t=5)を真の滞在開始時刻に設定する。その後、t=50においてセルCaへの滞在を終了すると、ユーザ装置100は、真の滞在開始時刻(t=5)と滞在終了時刻(t=50)とを用いて、セルCaを含む見做しセルCxへの滞在時間長(L=45)を算定する。
【0066】
5(1)−2. 更新動作の詳細
図22から
図25を参照して、滞在時間長の更新動作をより詳細に説明する。第1実施形態と同様に、滞在開始処理(S300)を先に説明した後に滞在終了処理(S200)が説明される。
図22および
図23が更新動作を示すフローチャートであり、
図24および
図25が滞在情報SIの構成を例示する図である。
【0067】
時刻t=25において、ユーザ装置100がセルCbからセルCaへの滞在を開始する。滞在開始処理について、ステップS100およびS310が第1実施形態と同様に実行されることにより、セルCaの暫定滞在開始時刻(t=25)がセル滞在検出部122からバタツキ判定部124に供給される。滞在セルの変更が検出されると、バタツキ判定部124は、バタツキ状態が生じているか否かを判定し、滞在時間長を算定するのに用いられる見做しセル識別子と真の滞在開始時刻とを設定して算定部126に供給する(S322)。
【0068】
ステップS322の詳細を、
図23を参照して説明する。バタツキ判定部124は、新セルであるセルCaのセル識別子を含むバタツキセル情報が記憶部130に記憶されているか否かを判定する(S3221)。バタツキセル情報が記憶されていない場合(S3221;NO)、バタツキ判定部124は、第1実施形態のステップS3201からS3203と同様にして、バタツキ状態が発生しているか否かを判定する(S3222〜S3224)。バタツキ状態が発生していると判定すると(S3224;YES)、バタツキ判定部124は、バタツキ状態に関与するセルCaおよびセルCbに対して見做しセルCxのセル識別子を付与し、セルCaのセル識別子およびセルCbのセル識別子と見做しセルCxのセル識別子とを関連付けて、バタツキセル情報として記憶部130に記憶する(S3225)。さらに、バタツキ判定部124は、見做しセルCxに対応する滞在情報要素SE4を新たに生成し、記憶部130に記憶する(S3225)。
【0069】
ステップS3225の後、又はステップS3221の判定結果がYESである場合(バタツキ状態が既に発生している場合)、バタツキ判定部124はセルCaに対応する見做しセルCxのセル識別子を取得する(S3226)。バタツキ判定部124は、滞在情報SIに含まれる複数の滞在情報要素SEのうち、見做しセル識別子(Cx)に対応する滞在情報要素SE4が示す最新の滞在開始時刻(t=5)を真の滞在開始時刻として設定し、見做しセルCxのセル識別子と真の滞在開始時刻とを算定部126に供給する(S3227)。
【0070】
なお、バタツキ状態が発生していないと判定された場合(S3222;NOまたはS3224;NO)、バタツキ判定部124は、セルCaの暫定滞在開始時刻を真の滞在開始時刻として設定し、セルCaのセル識別子と真の滞在開始時刻とを算定部126に供給する(S3228)。
【0071】
図22を再び参照して、説明を継続する。算定部126は、バタツキ判定部124から供給されるセル識別子に対応する滞在情報要素SEが示す滞在開始時刻に、バタツキ判定部124から供給された真の滞在開始時刻が含まれるか否かを判定する(S342)。その真の滞在開始時刻が含まれない場合(S342;YES)、算定部126は、真の滞在開始時刻および新セルのセル識別子を含む新たな滞在情報要素SEを滞在情報SI(記憶部130)に書き込む(S352)。他方、その真の滞在開始時刻が含まれる場合(S342;YES)、算定部126は、新たな滞在情報要素SEを書き込まない。
【0072】
本例では、
図24に示されるように、見做しセルCxに対応する真の滞在開始時刻(t=5)を含む滞在情報要素SE4が滞在情報SIに含まれるから、算定部126は新たな滞在情報要素SEを書き込まない。結果として、真の滞在開始時刻(t=5)を有する滞在情報要素SE4が、見做しセルCxへの最新の滞在に相当する滞在情報要素SEとして維持される。
【0073】
その後、t=50において、セル滞在検出部122が、ユーザ装置100がセルCa(元セル)からセルCb(新セル)への滞在を開始することを検出すると(S100;YES)、現在時刻(t=50)をセルCa(見做しセルCx)の滞在終了時刻として取得し、算定部126に供給する(S210)。なお、セルCbについての処理(S300)の説明は省略する。
【0074】
算定部126は、見做しセルCxのセル識別子に対応する滞在情報要素SE4が示す滞在開始時刻(t=5)を取得し、その滞在開始時刻とステップS210で取得された滞在終了時刻(t=50)との差分をセルCa(見做しセルCx)への滞在時間長(L=45)として算定する(S222)。そして、算定部126は、
図25に示されるように、滞在終了時刻(t=50)と滞在時間長(L=45)とを滞在情報要素SE4に書き込む(S232)。
【0075】
5(2). 本実施形態の効果
以上の構成によれば、ユーザ装置100がバタツキ状態にあると判定された場合、バタツキが発生している複数のセルCが見做しセルCxとして関連付けられ、見做しセルCxについて滞在時間長の算定動作が実行される。結果として、ユーザ装置100の滞在時間長がより適切に算定される。
【0076】
6. 変形例
以上の実施形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以上の実施の形態および以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0077】
6(1). 変形例1
以上の実施形態の元セルの滞在終了処理(S200)において、算定部126は、滞在終了時刻と滞在時間長とを滞在情報SI(記憶部130)に書き込む。しかし、滞在時間長は滞在開始時刻と滞在終了時刻との差分として算定可能である。そのため、算定部126は、元セルの滞在終了処理(S200)において、滞在終了時刻と滞在時間長とのうち滞在終了時刻のみを滞在情報SI(記憶部130)に書き込んでもよい。以上の構成において、算定部126は、必要に応じて、滞在情報SI(記憶部130)に記憶される滞在開始時刻と滞在終了時刻とを用いて滞在時間長を算定することが可能である。
【0078】
6(2). 変形例2
以上の実施形態においては、ユーザ装置100がセル滞在検出部122、バタツキ判定部124、算定部126、および記憶部130(滞在情報SI)を備える。しかしながら、以上の要素の少なくともいずれかがネットワークNW側の装置(例えば、基地局200、専用サーバ装置)に備えられてもよい。例えば、セル滞在検出部122、バタツキ判定部124、算定部126、および記憶部130(滞在情報SI)の全てがネットワークNW側の装置に備えられてもよい。また、バタツキ判定部124、算定部126、および記憶部130(滞在情報SI)がネットワークNW側の装置に備えられてもよい。記憶部130(滞在情報SI)がネットワークNW側の装置に備えられてもよい。すなわち、本発明を実施するための要素の各々は、無線通信システムCSの任意の箇所に配置され得る。
【0079】
6(3). 変形例3
ユーザ装置100は基地局200と無線通信が可能な任意の装置である。ユーザ装置100は、例えば、フィーチャーフォンまたはスマートフォン等の携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。
【0080】
6(4). 変形例4
無線通信システムCS内の各要素(ユーザ装置100、基地局200)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。