【実施例】
【0027】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
【0028】
実施例1:魚肉すり身入り菓子様加工食品(ドーナツ)
表1、2の処方に従って魚肉すり身入りドーナツを調製した。
<魚肉すり身ペーストの調製>
冷凍すり身をカッターで粗ずりし、食塩を加えて塩摺りした。次いで、砂糖、水産練り製品用品質改良剤、乳清タンパク、氷(半量)を加え、カッティングした。更に、加工でん粉、日持向上剤、サイクロデキストリン、残りの氷を加え、最終品温8℃まで擂り上げた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
<ドーナツの調製>
表2に記載の処方にて、本発明にかかるドーナツを調製した。
まず、万能混合撹拌機のボールに砂糖、食塩、乳化剤、香料を加え、126rpmで1分間撹拌した。次いで表1に記載の処方に基づいて調製した魚肉すり身ペーストを添加し、126rpmで2分間混合後、残りの材料を加えて126rpmで30秒間混合しドーナツの生地とした。ここで、乾燥こんにゃく加工品(サンスマート[登録商標]400)を添加していない系を実施例1−A、添加した系を実施例1−Bとした。
【0032】
得られたドーナツの生地を約18g/1ヶとなるよう搾り出し袋で計量成形後、170℃で3分間油ちょうし、魚肉すり身含有油ちょう食品(ドーナツ)を調製した。得られたドーナツに含まれる魚肉すり身の保存のため急速凍結し、10日間凍結保存後電子レンジで加熱して、食感及び風味を評価した。使用したデキストリンの由来、DE値及び粘度(25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した後、25℃条件下で、B型粘度計 ローターNo.2を用いて回転数12rpmで1分間測定)の測定値と併せて、結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
<備考>
実施例1-A :スマートテイスト※*
実施例1-B-1:スマートテイスト※*
実施例1-B-2:スマートテイスト※*
実施例1-B-3:松谷化学工業(株)社 パセリSA II
比較例1-B-1:松谷化学工業(株)社 パインデックス♯100
比較例1-B-2:松谷化学工業(株)社 パインデックス♯1
比較例1-B-3:松谷化学工業(株)社 TK−16
【0035】
実施例1−Aで調製したドーナツは、生地の保形性がやや悪くなり、実施例Bに比べ若干作業効率の低下が感じられた。食した際の食感は、ソフトで軽い食感であり実施例1−Bのものと大差なく、魚臭も気にならないものであった。
実施例1−Bで調製したドーナツは、表3に評価を記載したとおり、DE値が2〜5の範囲にある馬鈴薯由来のデキストリンを使用することにより、ソフトな食感であり風味もよく、成形性にも優れているとの結果が得られた。一方、馬鈴薯以外を由来とするデキストリンを使用した比較例では、DE値が5を超えるものだけでなく、DE値が2〜5の範囲内にあっても油っぽい仕上がりとなり、また成形性に問題が生じていた(1−B−1)。
【0036】
実施例2 魚肉すり身入り菓子様加工食品(チョコドーナツ風)
表4の処方に基づき、魚肉すり身ペーストを調製した(単位:部)。
【0037】
【表4】
【0038】
<調製方法>
(1)カッターに1を加え、粗ずりした。
(2)(1)に2を加え、塩ずりした。
(3)(2)に3・5・6の全量と、9の半分量を加え、カッティングした。
(4)(3)に4・7・8と残りの9を加え、最終品温8℃まで擂り上げた。
【0039】
<ドーナツ処方>
次いで、表5の処方に基づいてチョコドーナツを調製した。(単位:部)
【0040】
【表5】
【0041】
<ドーナツの製造方法>
(1)万能混合攪拌機のボールに6〜9・11〜13を加え、126rpmで1分間混合した。
(2)(1)に5を加えて126rpmで2分間混合した。
(3)(2)に1〜4・10を加えて126rpmで30秒間混合し、生地が約18g/1ヶになるように成形(絞り出し)した。
(4)(3)を油ちょう(170℃ 3分)した。
(5)(4)をチョコレートコーティングし、急速凍結した。
【0042】
<試食、評価>
試食前に、室温又は冷蔵庫にて自然解凍した。得られたドーナツ(実施例2)は、ソフトで軽い食感を有し、魚肉すり身を25%も含有する加工食品とは思えない菓子様食感に類似したドーナツであった。また、得られたドーナツは魚肉特有の臭いも低減され、チョコレートの風味には何ら影響は感じられないチョコドーナツであった。
【0043】
実施例3:魚肉すり身入り菓子様加工食品(ケーキ)
表6の処方に従って魚肉すり身入りケーキを調製した。
具体的には、フードカッターにて冷凍すり身を粗ずりし、食塩を添加して塩ずりした。3〜5を加え、カッティングした。引き続き、6〜11、16〜18を加えカッティングした。12〜15を加え、品温8℃まで擂りあげ、マドレーヌ型のカップに充填した。150℃で30分間オーブンで焼成後、急速凍結した。
【0044】
【表6】
【0045】
調製した魚肉すり身入りケーキについて、10日間凍結後、電子レンジで加熱して、食感及び風味を評価した。
得られたケーキ(実施例3)は、ソフトで軽い食感を有し、魚肉すり身を25%も含有する加工食品とは思えないほど菓子様の食感を有するケーキであった。また、得られたケーキは魚肉特有の臭いも低減され、風味も改善されたケーキであった。
【0046】
実施例4:魚肉すり身入り菓子様加工食品(チョコレートケーキ)
表7の処方に従って魚肉すり身入りケーキを調製した。
<ホイップ部の調製>
水に、加工でん粉、乳清タンパク、砂糖及びグァーガムの粉体混合物を添加し、ハンドミキサーにてホイップした。
<ケーキ部の調製>
フードカッターにて冷凍すり身を粗ずりし、食塩を添加して塩ずりした。処方中の4〜5、及び氷の半量を加えカッティングした。引き続き、6〜13と残りの氷を加えカッティングした。3を加えて品温8℃まで擂りあげた後、14のホイップを加えて軽く混合した。カップに充填し、85℃で30分間スチーム処理して、チョコレートケーキを調製した。
【0047】
【表7】
【0048】
得られたチョコレートケーキ(実施例4)は、ソフトで軽い食感を有し、魚肉すり身を25%も含有する加工食品とは思えない菓子様食感に類似したチョコレートケーキであった。また、得られたチョコレートケーキは魚肉特有の臭いも低減され、風味も改善されたケーキであった。
一方、表7のデキストリンを添加しない以外は、実施例4と同様にチョコレートケーキを調製したが(比較例4)、重い食感となり、魚臭さも感じられた。
【0049】
上記実施例に示す通り、魚肉すり身入り菓子様加工食品にデキストリンを添加することにより、軽いソフトな食感を付与することができ、魚肉すり身による魚臭をも抑制できることが明らかとなった。また、さらに乾燥こんにゃく加工品を併用することにより、菓子様加工食品の生地を適度な粘度に保ち、成形性の向上を図ることができた。