【実施例1】
【0019】
図1乃至
図4に、本発明の電磁操作式開閉装置の実施例1を示す。
【0020】
該図に示す如く、本実施例の電磁操作式開閉装置は、電磁石14から成る電磁操作装置(操作器)11と、電磁石14で発生した電磁力に伴う駆動力が駆動ロッド、レバー、絶縁ロッドから成るリンク機構を介して伝達され、絶縁物で一体注形された絶縁物注形遮断部228を有する真空遮断器32とを備え、絶縁物注形遮断部228とケース10とが中間固定板197を介して固定ボルトで固定されて概略構成されている。以下、これらの詳細について説明する。
【0021】
電磁操作装置11は、
図1乃至
図3に示す如く、箱型形状に形成されたケース10を備えており、ケース10は正面側に開口12を有し、ケース10の奥正面側には、正面カバー(図示省略)が着脱自在に固定されるようになっている。
【0022】
このケース10内の中央には、電磁石14を中心として一方側にコンデンサ16が、他方側に制御基板18が、それぞれ別々に独立して配置されており、電磁石14は、リブ172を介してケース10にボルト、ナットを用いて固定され、コンデンサ16と制御基板18は、それぞれ反対側のケース10の側面に固定されている。即ち、コンデンサ16は、
図1の紙面手前方向から見て、ケース10の左側面にベルト(図示せず)を介してボルト、ナットを用いて固定され、制御基板18は、ケース10の右側面にスペーサ20を介してボルト、ナットを用いて固定されている。
【0023】
更に、ケース10内には、
図4に示すように、真空遮断器32の開閉状態を外部に送出する補助接点34、開閉状態を表示する表示板36、開閉動作回数をカウントするカウンタ38がコンデンサ16の上部で、かつ、ケース10に固定されたプレート171上に収納されている。
【0024】
22は、二次プラグであり、ケース10の上部側に引っ掛ける構造で固定されており、この二次プラグ22には、電源用のケーブル、デジタル継電器またはアナログ継電器からの信号ケーブル28などが接続されている。信号ケーブル28は、ケース10の内部で補助接点34や制御基板18に接続されている。
【0025】
制御基板18は、二次プラグ22から電力の供給を受けると共に、デジタル継電器またはアナログ継電器などから投入指令または開極指令(遮断指令)を受け、電磁石14の駆動を制御するための論理演算を行う制御ロジック部、コンデンサ16を充放電するための充放電回路、コイル48の通電方向を制御するためのリレーやリレー接点などが実装されている。
【0026】
また、制御基板18には、コンデンサ16の充電が完了したことを示す発光ダイオード50が実装され、手動操作により、真空遮断器32に対して投入を指令するための「入」用押しボタンスイッチ52と、手動操作により、真空遮断器32に対して開極指令(遮断指令)を出力するための「切」用押しボタンスイッチ54が実装されている。
【0027】
次に、電磁石14について説明する。
図3に示す様に、電磁石14は、可動鉄心58と、固定鉄心60と、コイル48と、シャフト62と、2枚の可動平板64及び66と、永久磁石68と、筒状に形成された鉄製のカバー70及び72と、鉄製の支持板76と、固定ロッド78とから構成されており、コイル48は、支持板74と支持板76との間に配置されたコイルボビン48a内に収納されている。
【0028】
また、電磁石14の中央部には、シャフト62が鉛直方向に配置され、シャフト62の上部側は、プレート56の貫通孔82内に挿入され、下部側は、支持板76と支持板174の貫通孔84内に挿入されている。これにより、シャフト62は、昇降及び摺動自在となっている。
【0029】
このシャフト62の外周面には、可動鉄心58、可動平板64及び66がナットを用いてシャフト62に固定され、シャフト62の下部側には、ピン(図示せず)を介してシャフト(駆動ロッド)88が連結されている。シャフト62には、大小2つの可動平板64及び66(下側の可動平板66が大、上側の可動平板64が小)が取り付けられているが、これは、必要磁束密度を確保しつつ可動部質量を低減し、動作に必要なエネルギを低減させるためである。
【0030】
更に、シャフト62の下部側には支持板90が連結されており、この支持板90と下部プレート80との間には、シャフト62の軸心を中心とした円を描くリング状の遮断ばね92が装着されている(下部プレート80に遮断ばね92の一端が装着されている)。この遮断ばね92は、可動鉄心58を固定鉄心60から離間させるための弾性力を、支持板90を介してシャフト62に付与するものである。
【0031】
また、可動鉄心58の周囲には、可動平板66の下側に永久磁石68が配置されており、永久磁石68は、支持板74の上側に固定されている。固定鉄心60は、支持板76にボルトを用いて固定されている。
【0032】
下部プレート80には、下部プレート80の電磁石14に対してコンデンサ16とは逆側に、下部プレート80に支持されるショックアブソーバ190と、ストッパ191が設けられている。ストッパ191は、ショックアブソーバ190よりもシャフト98に近い位置に設けられている。ショックアブソーバ190は、下部プレート80との間でナット194を通じて固定されており、このナット194を回転させることで、高さ調整ができるようにしている。
【0033】
また、ストッパ191は、下部プレート80との間に薄板195を挿入して固定されており、挿入する薄板195の厚さを変化させることで、ストッパ191の高さを調整可能にしている。
【0034】
ショックアブソーバ190には、高さ方向において電磁石14とは反対側に、球形の球状アダプタ192が設けられ、シャフト98には、当該シャフト98を回転軸としてシャフト98に対して回転可能に支持されるレバー193が備えられ、レバー193は、真空遮断器32の開極時に球状アダプタ192とストッパ191の双方に接触する。レバー193の上面は、開極時に、真空遮断器32が接地される床面に対して並行になる様に形成されている。ショックアブソーバ190とストッパ191は、電磁石14に対してコンデンサ16とは逆側(制御基板18側)に配置されている。
【0035】
即ち、本実施例において、下部プレート80は、遮断ばね92を固定する遮断ばね抑えの役割と、ショックアブソーバ190を支持する役割と、ストッパ191を支持する役割のいずれも兼ねている。また、ショックアブソーバ190の中心軸と、電磁石14の中心軸は
図3の紙面奥行き方向に一致しており、紙面奥行き方向に伸びるシャフト98とショックアブソーバ190の中心軸の距離と、シャフト98と電磁石14の中心軸の距離は等しくなっている(同じ距離にある)。
【0036】
よって、ショックアブソーバ190に球状アダプタ192を介して接触するレバー193と、電磁石14と連結されるレバー96は、同一形状とすることができ、これにより、部品の種類を減らすことができ、部品の製造が容易にできる。また、電磁石14は、ケース10の真空遮断器32側に、ボルト173を介して固定されている。
【0037】
更に、シャフト88の下部側は、更にピン94を介して一対のレバー96に連結されている。このレバー96は、電磁石14から発生する電磁力に伴う駆動力の伝達方向を変換するリンク機構の一要素として構成されており、シャフト98に対して回転可能に支持されている。このシャフト98は、更にレバー100に連結されているレバー96も、やはりシャフト98に対して回転可能に支持されており、レバー96が回転することでシャフト98の回転を介してレバー100が回転するようになっている。
【0038】
また、
図4に示す如く、表示板36に繋がる操作ロッド170には、レバー186が接続されており、レバー186は、シャフト98に対して回転可能に支持されている。レバー186は、シャフト98から見てレバー96とは反対側に伸延している。上述したレバー100は、ピン102を介して絶縁ロッド114に連結されている。
【0039】
また、
図3に示す如く、絶縁ロッド114の内部には、接圧を付与するワイプ機構(図示せず)が組み込まれており、絶縁ロッド114の上部側は、可撓性を有するフレキシブル導体121を介して水平方向に設けられた可動フィーダ導体122に連結されていると共に、真空遮断器32の可動導体124に連結されている。可動導体124は、可動電極124Aに連結されており、可動電極124Aに相対向して固定電極125Aが配置されている。この固定電極125Aは、固定導体125に連結されている。これらは可動電極124Aと共に、真空遮断器32を構成する絶縁筒126内に収納されており、この真空遮断器32内は真空に保たれている。
【0040】
また、固定導体125は、水平方向に設けられた固定フィーダ導体129に連結されており、固定フィーダ導体129には遮断部接触子である上コンタクト130が連結され、可動フィーダ導体122には遮断部接触子である下コンタクト132が連結され、上コンタクト130及び下コンタクト132には、配電盤の導体が接続されるようになっている。
【0041】
また、固定フィーダ導体129と可動フィーダ導体122は、高さ方向に離隔されており、高さ方向(縦方向)に配置された真空遮断器32が両者の間を電気的に接続するものである。
【0042】
そして、真空遮断器32の内部の可動電極124Aが固定電極125Aに接触することで電流が投入され、固定フィーダ導体129と可動フィーダ導体122が電気的に導通する。一方、可動電極124Aが固定電極125Aから開極されることで、固定フィーダ導体129と可動フィーダ導体122が開放される。
【0043】
また、本実施例では、
図2に示すように、コンデンサ16を3台組み合わせて所定の静電容量を確保している。これら3台のコンデンサ16で蓄積した電力をコイル48に通電し、磁界を発生させ、投入または開極動作を実現している。コンデンサ16で蓄積した電力のコイル48への通電方向は、制御基板18によって制御される。
【0044】
このような構成とすることにより、コンデンサ1台で所定の静電容量を確保する場合に比較して、占有面積は大きくなるが、コンデンサ16の高さが低減できるため、コンデンサ16の上部の空間を広く確保することができ、保守性を向上できる。なお、コンデンサ16の数は、3台に限られるものでないことは言うまでもない。
【0045】
図1及び
図4に示すように、補助接点34と表示板36及びカウンタ38は、真空
遮断器32の状態検出機構として、それぞれ電磁石14の側方で、かつ、コンデンサ16の上部に配置されてプレート171に固定されている。
【0046】
図4に示すように、操作ロッド170のうちでレバー186に接続される側とは反対側は、ピン136を介して表示板36と接続されている。操作ロッド170は、シャフト98と共に回転するので、操作ロッド170の位置から真空遮断器32の状態(投入又は遮断)を特定することが可能になる。表示板36は、ピン144を介して操作ロッド170に接続されているので、表示板36も真空遮断器32の状態に応じて動作し、その動作位置により、現在の真空遮断器32の状態を示すことができる。
【0047】
表示板36は、カウンタ38に接続されており、真空遮断器32の可動電極124Aの動作回数=操作ロッド170の動作回数=表示板36の動作回数と言う関係性に着目し、表示板36の動作回数から真空遮断器32の可動電極124Aの動作回数をカウントするものである。表示板36には、補助接点34との間にピン144が設けられている。
【0048】
次に、本実施例の特徴である中間固定板197及びその周辺の構成を、
図4、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0049】
図6に示すように、中間固定板197は、ボルト固定穴301、操作シャフト通過穴302、ボルト通過穴300が形成されている。ボルト固定穴301は、中間固定板197内の上コンタクト130側にあり、このボルト固定穴301に後述する固定ボルト260を通すことで、絶縁物注形遮断部228が、中間固定板197を介してケース10に固定されている。
【0050】
即ち、
図5に示すように、3相の絶縁物注形遮断部228、229、230は、中間固定板197に一体に固定され、この絶縁物注形遮断部228、229、230の下部周囲を覆うように絶縁物から成るボルト固定部216、217、218、219、220、221が設置され、このボルト固定部216、217、218、219、220、221にも、ボルト固定穴301と同様に穴を備えており、固定ボルト260を、中間固定板197のボルト固定穴301を通してボルト固定部216、217、218、219、220、221の各穴の内部を貫通することで、絶縁物注形遮断部228、229、230は固定される。なお、固定ボルト260は、合計で6本となる。
【0051】
また、ボルト通過穴300は、絶縁物注形遮断部228、229、230の操作機構部250側にあり、しかも、固定ボルト260よりも大きな穴となっており、絶縁物注形遮断部228、229、230の装着時、固定ボルト260は通過するだけで固定には関係しない。更に、絶縁物注形遮断部228、229、230に設けられている操作シャフト通過穴302は、操作機構部250からの駆動を伝える操作シャフトを通過させる穴を備えている。
【0052】
図7(a)は従来の固定ボルト部を、図
7(b)は本実施例の固定ボルト部の1つであるボルト固定部254を示したものである。
【0053】
図7(a)に示すように、従来の固定ボルト部では、固定ボルト260がボルト固定部254を貫通していないため、応力発生時に弾性率の違いにより、ボルト固定部254に破断発生部分272が生じるが、
図7(b)に示す本実施例の構造では、固定ボルト260がボルト固定部254を貫通しているため、応力発生時に弾性率の違いによる破断発生部分272が生じることがないため、応力の影響を低減したボルト固定部254を得ることができる。
【0054】
次に、絶縁物注形遮断部230の取り外し方について
図4及び
図5を用いて説明する。
【0055】
先ず、中間固定板197を固定している固定ボルト260と
図4の奥側方向でも同様に中間固定板197を固定しているボルト1本を外す。その後、絶縁物注形遮断部230を、中間固定板197の接触面より直角に持ち上げる。これにより、操作器部側固定ボルト261及び奥側のボルトを取り外すことなく、絶縁物注形遮断部230は、取り外すことができる。また、奥行き方向に並んで配置される絶縁物注形遮断部228及び229も同様に取り外しが可能となる。
【0056】
このような本実施例の構成とすることにより、絶縁物注形遮断部228、229、230とケース10とを中間固定板197を介してボルト固定する構成であっても、容易に絶縁物注形遮断部228、229、230を取り外すことできることは勿論、絶縁物注形遮断部228、229、230とケース10とを中間固定板197を介して行われるボルト固定の信頼性を向上させることができる。