【実施例】
【0019】
下記の実施例及び比較例において使用した物質及び装置は、下記の通りである。
【0020】
廃糖蜜:南西糖業株式会社徳和瀬工場の、サトウキビを原料とする原料糖製造工程より排出された、ブリックス値の異なる4種類の原料糖最終糖蜜(ブリックス(Brix)値:81%、80%、78%、75%)
消石灰:株式会社丸京石灰製
【0021】
混合装置:バッチ式レーディゲミキサーM−20型、型式FKM−130D(ドラム容量130リットル)(株式会社マツボー製)
【0022】
(実施例1)
消石灰10.0キログラム及び廃糖蜜27.0キログラム(ブリックス値80%)を使用した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)216質量部である)。まず、消石灰の全量を、混合装置であるレーディゲミキサーのドラム中に仕込んだ。次いで、レーディゲミキサーを起動して撹拌混合を開始した。撹拌混合開始後、直ちに廃糖蜜をレーディゲミキサーのドラム中に滴下添加して、約3分間で廃糖蜜全量の添加を完了した。その後、更に、運転を継続して撹拌混合を実施した。この間、レーディゲミキサーの所要電流値を監視した。電流値は廃糖蜜の添加に伴って上昇し、添加終了後も、更に、電流値は上昇したが、その後、電流値は低下してほぼ一定となった。レーディゲミキサーの電流値がほぼ一定となったところで、レーディゲミキサーの運転を停止した。撹拌混合時間は、運転開始から合計約8分間であった。撹拌混合中のレーディゲミキサーのショベル回転数を160回転/分とし、チョッパー回転数を1,800回転/分とした。また、撹拌混合中、内容物の温度上昇を防止するために空気送風を実施した。運転終了後、内容物を取り出したところ、
図1に示すような粒状の造粒物、即ち、固形化糖蜜が得られた。該粒状の造粒物の粒度分布は、1.0〜20.0mmの範囲に存在するものが、全体の90質量%以上であった。ここで、造粒物の粒度は、目開き1.0mm及び20.0mmの篩を用意し、それを使用して測定したものである。
【0023】
(実施例2)
廃糖蜜26.0キログラム(ブリックス値80%)を使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)208質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、実施例1で得られた造粒物とほぼ同様の粒状の造粒物が得られた。
【0024】
(実施例3)
廃糖蜜20.0キログラム(ブリックス値80%)を使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)160質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、実施例1で得られた造粒物とほぼ同様の粒状の造粒物が得られた。
【0025】
(実施例4)
ブリックス値81%の廃糖蜜20.0キログラムを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)162質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、実施例1で得られた造粒物とほぼ同様の粒状の造粒物が得られた。
【0026】
(実施例5)
ブリックス値78%の廃糖蜜20.0キログラムを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)156質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、実施例1で得られた造粒物とほぼ同様の粒状の造粒物が得られた。
【0027】
(実施例6)
ブリックス値75%の廃糖蜜20.0キログラムを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)150質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、実施例1で得られた造粒物とほぼ同様の粒状の造粒物が得られた。
【0028】
(実施例7)
ブリックス値81%の廃糖蜜30.0キログラムを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)243質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、実施例1で得られた造粒物とほぼ同様の粒状の造粒物が得られた。
【0029】
(比較例1)
廃糖蜜15.0キログラム(固形分80質量%)を使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)120質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、
図2に示すような粉状の造粒物が得られた。該粉状の造粒物の粒度は、90質量%以上が1.0mm未満であった。
【0030】
(比較例2)
廃糖蜜35.0キログラム(固形分80質量%)を使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)280質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、硬い粘土状物が得られ粒状化されていなかった。また、該粘土状物は、時間の経過と共に、更に硬化してコンクリート様の塊状物に変化した。
【0031】
(比較例3)
ブリックス値81%の廃糖蜜10.0キログラムを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した(消石灰100質量部に対して廃糖蜜(固形分)81質量部である)。運転終了後、内容物を取り出したところ、比較例1とほぼ同様の粉状の造粒物が得られた。該粉状の造粒物の粒度は、90質量%以上が1.0mm未満であった。
【0032】
(比較例4)
混合装置として、バッチ式レーディゲミキサーに代えて、プラネタリーミキサー(株式会社井上製作所製PLM−50、タンク全容量57リットル)を使用し、かつ、消石灰及び廃糖蜜の仕込量をいずれも半分にした以外は、実施例1と同様にして実施した。運転終了後、内容物を取り出したところ、大きな1つの塊状物が得られ粒状化されていなかった。
【0033】
上記の実施例1〜7及び比較例1〜4の結果を下記の表1に示した。
【0034】
【表1】
表1中、*印は、混合装置として、プラネタリーミキサーを使用したものである。
【0035】
実施例1〜7は、本発明の範囲内で消石灰と廃糖蜜(固形分)との配合比を変化させたものである。いずれも、製造された固形化糖蜜は粒状の形態を示していた。一方、比較例1及び3は、いずれも廃糖蜜(固形分)の配合比を本発明の範囲未満にしたものである。製造された固形化糖蜜はいずれも粉状となった。比較例2は、廃糖蜜(固形分)の配合比を本発明の範囲を超えるものにしたものである。製造された固形化糖蜜は硬い粘土状のものとなった。また、比較例4は、混合装置として、三次元流動の状態を与えるバッチ式レーディゲミキサーに代えて、プラネタリーミキサーを使用したものである。このような二次元流動の状態を与える装置では、固形化糖蜜は粒状化せず、大きな塊状物として得られることが分かった。
【0036】
(実施例8)
実施例1で得られた固形化糖蜜を肥料として使用して、クロタラリア(マメ科)の栽培試験を実施した。約500m
2の圃場にクロタラリアの種子約1キログラムをほぼ均等に播種した。次いで、実施例1で得られた固形化糖蜜200キログラムを該圃場にほぼ均等になるように散布した。一方、比較のため、同一の広さに同量のクロタラリアの種子を播種した圃場を準備し、こちらには実施例1で得られた造粒物及びその他の肥料を散布しなかった。これらの圃場は隣接しており、播種前のpH値はいずれも4.6であった。クロタラリアの種子を撒いてから25日後、45日後、60日後に両者の圃場におけるクロタラリアの成長度合いを目視により観察した。
【0037】
クロタラリアの種子を撒いてから45日後において、両者の圃場でのクロタラリアの成長に顕著な差が見られ始めた。60日後には、両者の間でその成長に著しい相違が生じた。
図3にその様子を示した。このように、実施例1で得られた固形化糖蜜は、非常に良好な肥効を有していることが分かった。