特許第6199691号(P6199691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199691
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】プリフォーム供給装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B29C49/42
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-215104(P2013-215104)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-77705(P2015-77705A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 慎也
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−071453(JP,A)
【文献】 特表2009−529437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 − 49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広口のプリフォームを所定の姿勢で整列させて一つずつ供給するプリフォーム供給装置であって、
投入された複数の前記プリフォームが貯留される貯留部と、
一端が前記貯留部に繋がる搬送路と、
前記貯留部及び前記搬送路を振動させることで、前記貯留部内のプリフォームを前記搬送路に沿って前記搬送路の入口となる一端から出口となる他端へ向かって一つずつ搬送させる振動部と、
前記搬送路に設けられ、互いに重なる前記プリフォームを一つずつに分離するとともに、所定の姿勢以外の姿勢で搬送される前記プリフォームを前記搬送路から排除する整列手段と、
を備え
前記搬送路は、前記一端から前記他端へ向かって次第に上方へ傾斜され、前記整列手段で選別されて排除された前記プリフォームを前記搬送路から前記貯留部へ落下させることを特徴とするプリフォーム供給装置。
【請求項2】
前記搬送路は、前記貯留部を中心とした螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項に記載のプリフォーム供給装置。
【請求項3】
前記整列手段は、一側部が開放された選別搬送路を有し、重心が前記選別搬送路からはみ出した姿勢で送り込まれる前記プリフォームを前記選別搬送路の開放された前記一側部から脱落させる第1選別機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のプリフォーム供給装置。
【請求項4】
前記整列手段は、互いに重なり合う前記プリフォームに空気を噴き付けることで、互いに重なり合う前記プリフォームを分離させる分離機構を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
【請求項5】
前記整列手段は、前記プリフォームの縁部に空気を噴き付けて回転させることで、前記プリフォームを所定の姿勢に配置させることを補助する補助ノズルを含む姿勢矯正機構を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
【請求項6】
前記整列手段は、前記搬送路の上方に張り出すとともに前記搬送路に対する高さ寸法が所定の姿勢の前記プリフォームよりも僅かに大きな寸法とされたプリフォーム選別棒を有し、所定の姿勢以外の姿勢で送り込まれる前記プリフォームを前記プリフォーム選別棒に接触させて排除する第2選別機構を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
【請求項7】
前記整列手段の少なくとも一部は、前記搬送路に対して着脱可能とされていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリフォームを整列させて一つずつ供給するプリフォーム供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器製造工場や飲料工場等において、射出成形機で成形したPET素材の有底のプリフォームをプリフォーム用コンテナに収納し、その後、コンテナに収納されたプリフォームを、ベルトコンベヤ等の手段で取り出して、プリフォーム整列搬送ユニットによって供給姿勢を揃えて単列状態でブロー成形機に供給するプリフォーム供給装置がある。
【0003】
このようなプリフォーム供給装置の一例として、特許文献1には、ベルトコンベヤとプリフォーム整列搬送との間にプリフォーム誘導シュートが設けられた例が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3131813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリフォームの形状は、ブロー成形後に形成される容器の用途に応じて複数の種類がある。例えば、飲料用ボトルにブロー成形されるプリフォームとしては、胴に対して比較的に小さい口部を有する細長い円筒形状の細口のプリフォームが多く用いられる。一方、食品や化粧品等の容器にブロー成形されるプリフォームは様々な形状があり、例えば、胴に対して比較的に大きい口部を有する広口のプリフォームが用いられる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のプリフォーム誘導シュートによれば、細口のプリフォームについては、多くのプリフォームの流動姿勢を規制しつつ整列してプリフォーム整列搬送ユニットに案内することができるものの、広口のプリフォームについては重心が中央付近にあり流動姿勢が規制しにくいため、横転姿勢の状態でプリフォーム整列搬送ユニットの入口付近まで案内されてしまう場合があった。この場合、横転状態のプリフォームは、プリフォーム整列搬送ユニットの一対のローラの隙間に案内されずにその手前付近で溜まってしまう。プリフォームが搬送経路の途中で大量に溜まってしまうと、プリフォーム供給装置の動作を止め、溜まったプリフォームを取り除く作業が必要となり、供給効率が下がってしまう。
【0007】
本発明は、広口のプリフォームであっても効率良くブロー成形機などの次工程用の機械に整列した状態で供給することが可能なプリフォーム供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明のプリフォーム供給装置は、
広口のプリフォームを所定の姿勢で整列させて一つずつ供給するプリフォーム供給装置であって、
投入された複数の前記プリフォームが貯留される貯留部と、
一端が前記貯留部に繋がる搬送路と、
前記貯留部及び前記搬送路を振動させることで、前記貯留部内のプリフォームを前記搬送路に沿って前記搬送路の入口となる一端から出口となる他端へ向かって一つずつ搬送させる振動部と、
前記搬送路に設けられ、互いに重なる前記プリフォームを一つずつに分離するとともに、所定の姿勢以外の姿勢で搬送される前記プリフォームを前記搬送路から排除する整列手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
このプリフォーム供給装置によれば、重心が中央付近にあることから姿勢が安定しない広口のプリフォームであっても、振動部での振動によってプリフォームの姿勢を整えたりプリフォームの重なりを解除しつつ搬送路に沿って搬送させるとともに、さらに整列手段によって所定の姿勢以外の姿勢で搬送されるプリフォームを排除して一つずつ所定の姿勢で送り出すことができる。
これにより、所定の姿勢以外の姿勢のプリフォームや複数が重なり合ったプリフォームが送り出されることによって生じる、搬送路でプリフォームが詰まって大量に溜まるような不具合の発生を抑制することができる。したがって、詰まって溜まったプリフォームを除去する作業が発生することを抑制し、効率良くブロー成形機などの次工程用の機械に整列した状態でプリフォームを供給することができる。
【0010】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記搬送路は、前記一端から前記他端へ向かって次第に上方へ傾斜され、前記整列手段で選別されて排除された前記プリフォームを前記搬送路から前記貯留部へ落下させても良い。
このプリフォーム供給装置によれば、搬送路が貯留部に繋がる入口となる一端からプリフォームの出口となる他端へ向かって次第に上方へ傾斜されている。このため、振動部での振動によって、プリフォームを搬送するとともに整列手段で排除されるプリフォームを搬送路から貯留部へ落下させることでき、容易に貯留部へ戻すことができる。これにより、排除したプリフォームを貯留部へ戻すための別個の機構等が不要となり、装置の小型化及び低コスト化が図れる。また、重なった状態のプリフォームを搬送路から貯留部に落下させることで、プリフォームの重なりを解除できる場合がある。
【0011】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記搬送路は、前記貯留部を中心とした螺旋状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、貯留部を中心に搬送路の距離を長く確保できるため、搬送中に振動部での振動によってプリフォームの姿勢を整えたりプリフォームの重なりを解除しやすくなる。また、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0012】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記整列手段は、一側部が開放された選別搬送路を有し、重心が前記選別搬送路からはみ出した姿勢で送り込まれる前記プリフォームを前記選別搬送路の開放された前記一側部から脱落させる第1選別機構を備えても良い。
このプリフォーム供給装置によれば、振動部での振動と第1選別機構によって、選別搬送路から重心がはみ出したプリフォームを選別搬送路から容易に排除することができる。
【0013】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記整列手段は、互いに重なり合う前記プリフォームに空気を噴き付けることで、互いに重なり合う前記プリフォームを分離させる分離機構を備えても良い。
このプリフォーム供給装置によれば、互いに重なり合うプリフォームに分離機構で空気を噴き付けることで、互いに重なり合うプリフォームを容易に分離させて搬送させることができる。
【0014】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記整列手段は、前記プリフォームの縁部に空気を噴き付けて回転させることで、前記プリフォームを所定の姿勢に配置させることを補助する補助ノズルを含む姿勢矯正機構を備えても良い。
このプリフォーム供給装置によれば、姿勢矯正機構の補助ノズルでプリフォームの縁部に空気を噴き付けることで、プリフォームを回転させて容易に所定の姿勢にすることができる。
【0015】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記整列手段は、前記搬送路の上方に張り出すとともに前記搬送路に対する高さ寸法が所定の姿勢の前記プリフォームよりも僅かに大きな寸法とされたプリフォーム選別棒を有し、所定の姿勢以外の姿勢で送り込まれる前記プリフォームを前記プリフォーム選別棒に接触させて排除する第2選別機構を備えても良い。
このプリフォーム供給装置によれば、所定の姿勢以外の姿勢のプリフォームをプリフォーム選別棒に接触させて容易に排除することができる。
【0016】
本発明のプリフォーム供給装置において、前記整列手段の少なくとも一部は、前記搬送路に対して着脱可能とされても良い。
このプリフォーム供給装置によれば、整列手段を容易に取り換えることができる。これにより、異なる形状や大きさが異なる設計のプリフォームに対して、そのプリフォームに対応した整列手段を搬送路に取り付けることで、そのプリフォームを容易に供給かつ整列可能にでき、設備費や調整時間を削減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、広口のプリフォームであっても効率良くブロー成形機などの次工程用の機械に整列した状態で供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るプリフォーム供給装置の平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るプリフォーム供給装置の側面図である。
図3】広口のプリフォームを説明するプリフォームの側面図である。
図4】プリフォーム供給装置の斜視図である。
図5】供給装置本体の斜視図である。
図6】第1選別機構でのプリフォームの選別の仕方を説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ搬送路に直交する断面図である。
図7】供給装置本体の搬送補助ノズル付近の斜視図である。
図8】整列ブロックのガイド棒付近の斜視図である。
図9】整列ブロックの分離機構及び姿勢矯正機構付近の斜視図である。
図10】分離機構でのプリフォームの分離の仕方を説明する搬送路に直交する断面図である。
図11】姿勢矯正機構でのプリフォームの姿勢矯正の仕方を説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ搬送路に直交する断面図である。
図12】整列ブロックの第2選別機構付近の斜視図である。
図13】第2選別機構でのプリフォームの選別の仕方を説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ搬送路に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るプリフォーム供給装置の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリフォーム供給装置11の平面図である。図2は、本発明の実施形態に係るプリフォーム供給装置11の側面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るプリフォーム供給装置11は、基台12と、この基台12の上部に支持された供給装置本体13とを備えている。プリフォーム供給装置11は、基台12に振動部41が設けられており、この振動部41は、基台12上に支持された供給装置本体13に振動を付与する。
【0021】
プリフォーム供給装置11には、プリフォーム搬送装置14が併設されており、プリフォーム供給装置11からプリフォーム搬送装置14へプリフォームPが所定の姿勢で整列されて一つずつ供給される。プリフォーム搬送装置14は、ブロー成形機15に接続されており、プリフォーム供給装置11から供給されたプリフォームPを一つずつ搬送し、次工程のブロー成形機15へ送り込む。
【0022】
図3は、広口のプリフォームPを説明するプリフォームの側面図である。
図3に示すように、本実施形態に係るプリフォーム供給装置11で供給するプリフォームPは、有底の胴部35に対して比較的に大きい口部36を備える。プリフォームPは、中心軸37を通る重心Gが胴部35の底部35a寄りとされている。プリフォームPは水平面HR上において倒立姿勢で自立することができる。口部36は円筒体に形成される。口部36の外周面にはねじ山が形成される。プリフォームPの中心軸37すなわち口部36の中心軸37は水平面HRに直交する。しかも、口部36の大きさに対して比較的に胴部35の高さは低く設定されることから、プリフォームPは倒立姿勢で安定する。
【0023】
その一方で、プリフォームPの胴部35の底部35aは丸みを帯びることから、正立姿勢のプリフォームPは水平面HR上において直立姿勢で自立することはできない。すなわち、正立姿勢のプリフォームPは水平面HRに対して口部36の中心軸37を直交させたまま水平面HR上で保持されることはできない。そのため、単に傾斜面で広口のプリフォームPを滑らせても、底部35aを下向きとした姿勢で整列しにくい。また、この広口のプリフォームPは、互いに重なり易い。
【0024】
プリフォームPには、口部36および胴部35の間にいわゆるサポートリングすなわちフランジ38が形成される。フランジ38は、口部36の中心軸37に直交する平面に沿って外側に向かって広がる。
【0025】
このプリフォームPは、倒立姿勢では口部36は下向きに開口し、反対に、正立姿勢では口部36は上向きに開口する。また、本例の広口のプリフォームPは口径/全長(口部から底部までの長さ)の比率(全長に対する口部の直径の比率)が約1/2以上となり、500mlボトル成形で用いられる通常の細口プリフォームの値(例えば1/4)に比べて著しく大きい。
【0026】
本実施形態に係るプリフォーム供給装置11では、倒立姿勢を所定の姿勢とし、この所定の姿勢のプリフォームPをプリフォーム搬送装置14へ送り出す。そして、プリフォームPは、倒立姿勢である所定の姿勢の状態でプリフォーム搬送装置14により搬送され、ブロー成形機15に一つずつ送り込まれる。
【0027】
図4は、プリフォーム供給装置11の斜視図である。
図4に示すように、供給装置本体13は、貯留部42と、搬送路43とを備えている。貯留部42は、供給装置本体13の平面視における中央部分に設けられており(図1参照)、この貯留部42には、複数のプリフォームPが投入されて貯留される。搬送路43は、貯留部42を囲うように配置されている。この搬送路43は、一端がプリフォームPの入口43aとされ、他端がプリフォームPの出口43bとされており、入口43aとなる一端が貯留部42に繋がっている。この搬送路43は、出口43bとなる他端がプリフォーム搬送装置14に繋げられており、この搬送路43では、入口43aから出口43bへ向かってプリフォームPが搬送される。
【0028】
搬送路43は、貯留部42を囲うように、貯留部42側である内側から次第に外側に張り出すような螺旋状に形成されている。そして、搬送路43は、貯留部42に繋がる入口43aとなる一端からプリフォームPの出口43bとなる他端へ向かって次第に上方へ傾斜されている。搬送路43は、その幅方向において内周側から外周側へ向かって僅かに下方へ傾斜されている。また、搬送路43には、外周側に、上方へ立設された外周壁44が設けられている。この搬送路43では、振動部41によって供給装置本体13に振動が付与されると、その振動によって貯留部42内のプリフォームPが入口43aとなる一端から出口43bとなる他端へ向かって搬送される。
【0029】
供給装置本体13の搬送路43には、上流側から順に、第1選別機構45、分離機構52、姿勢矯正機構53及び第2選別機構54が設けられており、本例ではこれらの第1選別機構45、分離機構52、姿勢矯正機構53及び第2選別機構54から整列手段が構成されている。また、第1選別機構45の下流側には、搬送補助ノズル46が設けられている。
【0030】
図5は、供給装置本体13の斜視図である。図6は、第1選別機構45でのプリフォームPの選別の仕方を説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ搬送路43に直交する断面図である。
【0031】
図5及び図6に示すように、第1選別機構45は、搬送路43に設けられた凹部47上に、この凹部47の少なくとも一部を塞ぐ選別搬送路43cを有している。選別搬送路43cは、長方形状の板状部材で構成され、凹部47上を、供給装置本体13の中心から外側に向かう方向Xに沿って移動可能に設置されている。本例では、選別搬送路43cは、搬送路43の幅寸法よりも選別搬送路43cの幅寸法Wが小さくなる位置に配置されている。また、この選別搬送路43cの幅寸法Wは、プリフォームPの胴部35の底部35aから重心Gまでの軸方向の寸法よりも僅かに大きくされている。また、この第1選別機構45における選別搬送路43cの幅寸法Wは、口部36から重心Gまでの軸方向の寸法及び口部36の縁部から重心Gまでの径方向の寸法よりも小さくされている。
【0032】
これにより、図6(a)に示すように、胴部35の底部35aが外周壁44寄りに配置され、さらに、胴部35が選別搬送路43cと外周壁44との隅部に沿って配置されつつその口部36が上流側を向いたプリフォームPは、選別搬送路43c上に重心Gが配置されるため、この第1選別機構45を通過する。また同様に、口部36が下流側を向きつつ、胴部35の底部35aが外周壁44寄りに配置されて、胴部35が選別搬送路43cと外周壁44との隅部に沿って配置されたプリフォームPも、選別搬送路43c上に重心Gが配置されるため、この第1選別機構45を通過する。これに対して、図6(b)に示すように、口部36が外周壁44と対向するように配置されたプリフォームPは、選別搬送路43cから重心Gが搬送路43の開放側(内側)にはみ出した位置に配置される。したがって、このプリフォームPは、第1選別機構45を通過できずに選別搬送路43cの開放側の縁部から落下し、下方側の貯留部42に戻される。また同様に、胴部35の底部35aが外周壁44と対向するように配置され、口部36が搬送路43の開放側にはみ出した位置に配置されたプリフォームPも、第1選別機構45を通過できずに選別搬送路43cの開放側の縁部から落下し、下方側の貯留部42に戻される。このように、この第1選別機構45を通過したプリフォームPは、その口部36が下流側または上流側のいずれかに向いた2方向に揃えられて単列化された状態で下流側へ搬送される。
【0033】
また、複数のプリフォームPが互いに重なり合っているような場合では、口部36から全体の重心Gまでの寸法が大きくなる。したがって、この場合、口部36から全体の重心Gまでの寸法が選別搬送路43cの幅寸法Wよりも大きくなることより、第1選別機構45を通過できずに選別搬送路43cの開放側の縁部から落下し、下方側の貯留部42に戻される。なお、互いに重なり合った複数のプリフォームPは、その中心軸37が搬送方向に沿って配置されている場合、重心Gが選別搬送路43c上に配置されることがあり、この場合、重なり合ったプリフォームPが第1選別機構45を通過してしまう場合もある。
【0034】
図7は、供給装置本体13の搬送補助ノズル付近の斜視図である。
図7に示すように、搬送補助ノズル46は、搬送路43における上方に配置されており、下流側へ向けて空気Aを噴出する。この搬送補助ノズル46は、第1選別機構45を通過したプリフォームPに空気Aを噴き付けることで、プリフォームPを下流側へ送り出す。
【0035】
図4に示すように、本例の整列手段の一部を構成する分離機構52、姿勢矯正機構53、第2選別機構54は、整列ブロック50に設けられており、ステンレスから形成されている。この整列ブロック50は、供給装置本体13に対して着脱可能とされている。整列ブロック50は、搬送路43の一部を構成する。
【0036】
図8は、整列ブロック50のガイド棒付近の斜視図である。図9は、整列ブロック50の分離機構52及び姿勢矯正機構53付近の斜視図である。図10は、分離機構52でのプリフォームPの分離の仕方を説明する搬送路43に直交する断面図である。図11は、姿勢矯正機構53でのプリフォームPの姿勢矯正の仕方を説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ搬送路43に直交する断面図である。
【0037】
図8に示すように、整列ブロック50の上流側には、この整列ブロック50の搬送路43にプリフォームPを案内するガイド棒55,56が設けられている。これらのガイド棒55,56も、ステンレスから形成されており、プリフォームPに接触した際にプリフォームPに傷が付かないように、バフ仕上げされている。これらのガイド棒55,56により、プリフォームPは、胴部35の底部35aが外周壁44側に配置される姿勢に整えられつつ下流側に搬送される。
【0038】
図9及び図10に示すように、分離機構52は、分離ノズル57を有している。分離ノズル57は、搬送路43の上方側に配置されており、供給装置本体13の内側へ向かって空気Aを噴出する。
【0039】
分離機構52では、互いに重なり合って口部36を供給装置本体13の内側へ向けて搬送されるプリフォームPのうちの供給装置本体13の内側に配置されたプリフォームPの口部36に空気Aを噴き付ける。これにより、供給装置本体13の内側のプリフォームP1を供給装置本体13の外側のプリフォームP2から引き剥がして搬送路43から落下させて貯留部42へ戻す。
【0040】
図11に示すように、姿勢矯正機構53は、第1傾斜面43Xと第2傾斜面43Yとを有する反転搬送路43Zと、姿勢矯正(反転)を補助する反転補助ノズル61と、姿勢矯正板62とを有している。反転搬送路43Zは、搬送路43のうち分離機構52より下流側の一部分である。反転搬送路43Zの第1傾斜面43Xは、反転搬送路43Zの幅方向において、外周壁44の立設部分から内側に向かって僅かに上方へ傾斜している。反転搬送路43Zの第2傾斜面43Yは、反転搬送路43Zの幅方向において、第1傾斜面43Xの内側の端部と接続する接続部分Cから内側に向かって下方へ傾斜している。反転補助ノズル61は、反転搬送路43Zの上方に配置されており、下方側へ向かって空気Aを噴出する。姿勢矯正板62は、反転搬送路43Zよりも内側に設けられている。この姿勢矯正板62は、反転搬送路43Zの第2傾斜面Yの内側の端部と接続する部分から供給装置本体13の内側へ向かって次第に上方へ傾斜した傾斜面62aを有している。また、姿勢矯正機構53には、プリフォームPを下流側の搬送路43へ案内するガイド棒63を有している(図9参照)。このガイド棒63も、ステンレスから形成されており、プリフォームPに接触した際にプリフォームPに傷が付かないように、バフ仕上げされている。
【0041】
口部36を供給装置本体13の内側へ向けた横向きの状態で姿勢矯正機構53まで搬送されてきたプリフォームPは、図11(a)に示すように、反転搬送路43Z上において、プリフォームPの重心Gが第2傾斜面43Yの上方に位置する。換言すると、プリフォームPの重心Gが第1傾斜面43Xの内側の端部(接続部分C)より内側に位置するため、横向きで搬送されてきたプリフォームPは、その自重により供給装置本体13の内側へ向かって口部36が下を向くように回転する。
【0042】
また、姿勢矯正機構53では、横向きで搬送されてきたプリフォームPの口部36の縁部における下方側の部分36a付近に向けて反転補助ノズル61からの空気Aが噴き付けられる。これにより、プリフォームPは、口部36の縁部における下方側の部分36aが反転補助ノズル61から噴出される空気Aによって押し下げられて、その自重による回転が補助される。すると、図11(b)に示すように、プリフォームPは、搬送路43の縁部を支点として約45°回転し、口部36が下へ向けられ、口部36が姿勢矯正板62の傾斜面62aに当接した状態で傾斜面62a上に配置される。これにより、プリフォームPは、供給装置本体13の貯留部42へ落下することなく、姿勢矯正板62上に配置される。
【0043】
その後、プリフォームPは、ガイド棒63で案内されながら、姿勢矯正板62から下流側の搬送路43へ送り出される。これにより、傾斜面62aに沿って斜めに配置されていたプリフォームPの姿勢が、搬送路43に対して口部36を下方へ向けて略垂直に配置された状態となる。なお、この姿勢矯正機構53で回転された際に、口部36が横を向いた状態となり、その状態で下流側の搬送路43へ搬送される場合もある。
【0044】
図12は、整列ブロックの第2選別機構54付近の斜視図である。図13は、第2選別機構54でのプリフォームPの選別の仕方を説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ搬送路43に直交する断面図である。
【0045】
図12に示すように、第2選別機構54は、プリフォーム選別棒65を備えている。プリフォーム選別棒65は、その一端が外周壁44の上端部に固定されており、他端が下流側へ延出しつつ搬送路43の上方側へ張り出されている。プリフォーム選別棒65と搬送路43との隙間は、プリフォームPの口部36から底部35aまでの高さ寸法よりも僅かに大きく、かつプリフォームPの口部36の外径よりも小さくされている。
【0046】
図13(a)に示すように、第2選別機構54では、搬送路43に対して口部36を下方へ向けて略垂直に配置された倒立姿勢の状態で搬送されるプリフォームPは、プリフォーム選別棒65に接触することなく、プリフォーム選別棒65の下方側を移動する。したがって、このように、口部36を下方へ向けた所定の姿勢とされたプリフォームPは、第2選別機構54から下流側へ搬送され、搬送路43の出口43bへ送り出される。また、プリフォームPの口径/全長(口部から底部までの長さ)の比率(全長に対する口部の直径の比率)が約1以上の場合、図13(b)に示すように、口部36が横を向いた状態で搬送されるプリフォームPは、その口部36にプリフォーム選別棒65が接触する。すると、このプリフォームPは、下流側へ延出しつつ搬送路43の上方側へ張り出されたプリフォーム選別棒65に沿って移動することで、供給装置本体13の内側へ押し出される。これにより、このプリフォームPは、搬送路43から貯留部42へ落下される。
【0047】
このように、この第2選別機構54では、口部36を下方側へ向けた倒立姿勢である所定の姿勢のプリフォームPだけが通過され、下流側へ送り出される。なお、射出成形時に形成されるゲートが底部35aに残留しているようなプリフォームPも、所定の姿勢であっても、プリフォーム選別棒65がゲートに接触することで排除される。
【0048】
また、搬送路43に対して口部36を下方へ向けた倒立姿勢の状態であって、互いに重なった状態のプリフォームPが搬送されてきた場合は、上側のプリフォームPの底部35aがプリフォーム選別棒65に接触して、重なった両方のプリフォームPが、供給装置本体13の内側へ押し出される。これにより、重なった両方のプリフォームPは、搬送路43から貯留部42へ落下される。
【0049】
搬送路43の出口43bへ送り出されたプリフォームPは、その後、プリフォーム搬送装置14へ送り込まれ、このプリフォーム搬送装置14によってブロー成形機15へ搬送される。そして、プリフォームPは、ブロー成形機15によってブロー成形される。
【0050】
以上、説明したように、本実施形態に係るプリフォーム供給装置11によれば、重心Gが中央付近にあることから姿勢が安定しない広口のプリフォームPであっても、振動部41での振動によってプリフォームPの姿勢を整えたりプリフォームPの重なりを解除しつつ搬送路43に沿って搬送させるとともに、本例の整列手段を構成する第1選別機構、分離機構52、姿勢矯正機構53及び第2選別機構54によって倒立姿勢以外の姿勢で搬送されるプリフォームPを排除して一つずつ倒立姿勢でブロー成形機15に送り出すことができる。
【0051】
これにより、倒立姿勢以外の姿勢のプリフォームPや複数重なり合ったプリフォームPが送り出されることによって生じる、搬送路43の途中でプリフォームPが詰まって大量に溜まるような不具合の発生を抑制することができる。したがって、詰まって溜まったプリフォームPを除去する作業が発生することを抑制し、効率良くブロー成形機15などの次工程用の機械に整列した状態で供給することができる。
【0052】
また、搬送路43が貯留部42に繋がる入口43aとなる一端からプリフォームPの出口43bとなる他端へ向かって次第に上方へ傾斜されている。このため、振動部41での振動によって、プリフォームPを搬送するとともに整列手段で排除されたプリフォームPを搬送路43から貯留部42へ落下させることができ、容易に貯留部42へ戻すことができる。これにより、排除したプリフォームPを貯留部42へ戻すための別個の機構等が不要となり、装置の小型化及び低コスト化が図れる。また、重なった状態のプリフォームPを搬送路43から貯留部42に落下させることで、プリフォームPが貯留部42や他のプリフォームに衝突してその重なりを解除できる場合がある。
【0053】
しかも、搬送路43が貯留部42を中心とした螺旋状に形成されているので、貯留部42を中心に搬送路43の距離を長く確保することができる。このため、搬送な中に振動部41での振動によってプリフォームPの姿勢を整えたりプリフォームの重なりを解除しやすくなる。また、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0054】
また、第1選別機構45においては、振動部41での振動によって、選別搬送路43cから重心Gがはみ出したプリフォームPを選別搬送路43cから容易に排除することができる。
【0055】
また、整列手段を構成する分離機構52において、互いに重なり合うプリフォームPの一方に空気Aを噴き付けることで、互いに重なり合うプリフォームPを容易に分離させて搬送させることができる。
【0056】
しかも、整列手段を構成する姿勢矯正機構53の反転補助ノズル61でプリフォームPの縁部に空気Aを噴き付けることで、プリフォームPを回転させて容易に所定の姿勢にすることができる。
【0057】
また、第2選別機構54において、所定の姿勢以外の姿勢のプリフォームPをプリフォーム選別棒65に接触させて容易に排除することができる。
【0058】
ところで、従来、特許文献1のようにプリフォームを落下させつつ姿勢を整列する装置構成では、プリフォームを滑り落とすための搬送路を長く確保しなければならず、装置全体が大型化しやすかった。また、このような大型の装置では、プリフォームの形状が設計変更になった場合に、その設計変更に対応するための調整に大幅な時間や手間がかかるものであった。
これに対し、上記の実施形態の構成では、整列手段の一部を構成する分離機構52、姿勢矯正機構53、第2選別機構54を備えた整列ブロック50が着脱可能であり、容易に取り換えることができる。また、第1選別機構45の選別搬送路43cは移動可能であり、その幅寸法Wは調整可能である。これにより、異なる形状や大きさが異なる設計のプリフォームPに対して、そのプリフォームPに対応した整列ブロック50を搬送路43に取り付けたり、選別搬送路43cの幅寸法Wを調整することで、そのプリフォームPに対して容易に供給かつ整列可能に調整できるため設備費や調整にかかる作業時間を大幅に削減することができる。なお、各選別機構、分離機構はプリフォームの形状やサイズ、重心バランスに基づき最適化される。そのため、ガイド棒等の配置や形状はプリフォーム毎に、適宜変更させることができる。
【符号の説明】
【0059】
11:プリフォーム供給装置、41:振動部、42:貯留部、43:搬送路、43a:入口、43b:出口、43c:選別搬送路、45:第1選別機構、52:分離機構、53:姿勢矯正機構、54:第2選別機構、65:プリフォーム選別棒、P:プリフォーム
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図13