(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199718
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20170911BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
G07G1/00 311E
G07G1/00 301Z
G07G1/01 301D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-249554(P2013-249554)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-106376(P2015-106376A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰弘
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−191816(JP,A)
【文献】
実開昭62−154531(JP,U)
【文献】
特開昭63−146198(JP,A)
【文献】
特開2002−032850(JP,A)
【文献】
特開平03−123991(JP,A)
【文献】
特開2015−052935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00
G07G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置されるカウンタ面を有するカウンタの当該カウンタ面に配置され、当該カウンタ面の面方向に薄型の扁平形状に形成された矩形状の筐体と、
前記筐体の上面に積層させて設けられた表示部と、
前記カウンタ面に対して所定の角度で屈曲された前記筐体の角部の両面に設けられ、物品に付されたコードシンボルを読み取るスキャナと、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記筐体のフレームは柔軟性を有している素材で形成されていて、
前記表示部も柔軟性を有しており、
前記筐体の角部の屈曲角度は可変である、
ことを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
物品が載置されるカウンタ面を有するカウンタの当該カウンタ面に配置され、当該カウンタ面の面方向に薄型の扁平形状に形成された矩形状の筐体と、
前記カウンタ面に対して所定の角度で屈曲された前記筐体の角部の一方の面側に設けられ、商品販売登録処理に関する情報を表示する表示部と、
前記カウンタ面に対して所定の角度で屈曲された前記筐体の角部の他方の面側に設けられ、物品に付されたコードシンボルを読み取るスキャナと、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS(Point Of Sales)端末に代表される商品販売データ処理装置として、商品のバーコードを読み取るスキャナ、オペレータ側に向く表示器、キーボード等の操作部等を備え、商品や商品籠を載置するカウンタ面を有するチェックアウトカウンタに設置されるものが知られている。
【0003】
また、キーボードおよび表示器をカウンタ面に配置するとともに、金銭箱およびプリンタをオペレータ側のカウンタ正面に配置して商品販売データ処理装置をチェックアウトカウンタと一体化させることで、上面を平面化する技術が開示されている。このようにすることで、オペレータと客との対面性が向上し、客とオペレータとの間での金銭授受や商品の受け渡し等が広い範囲で自由に行うことができるので、商品販売処理の迅速化が可能となっている。
【0004】
ところで、従来技術によれば、商品販売データ処理装置を一体化させたチェックアウトカウンタは、スキャナについては一体化していない。そこで、商品販売データ処理装置を一体化させたチェックアウトカウンタにおけるスキャナの使用態様について検討する。このようなチェックアウトカウンタにおいては、上面を平面化して客との対面性を向上させることを考慮すると、カウンタ面や側面に配置しておき、片手で把持して利用するタッチスキャナの使用が考えられる。
【0005】
タッチスキャナを使用する場合、商品販売処理に際して、オペレータは、一方の手に商品をバーコードが見えるようにして持ち、もう一方の手でタッチスキャナを持って当該バーコードを読み取ることになる。このように商品販売処理に際しては基本的にはオペレータの片手はタッチスキャナを把持するために塞がることになる。
【0006】
しかしながら、重量物などに対応する場合には両手を使わざるを得なくなるため、タッチスキャナをカウンタ面などに一度置いてから作業する必要があり、オペレータの操作性が低下するという問題がある。また、このようにタッチスキャナをカウンタ面などに一度置く際に、タッチスキャナをカウンタ面から落下させてしまい、タッチスキャナを壊してしまう場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、オペレータと客との対面性の向上を図りつつ、オペレータの操作性の向上を図ることができる商品販売データ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の商品販売データ処理装置は、物品が載置されるカウンタ面を有するカウンタの当該カウンタ面に配置され、
当該カウンタ面の面方向に薄型の扁平形状に形成され
た矩形状の筐体と、前記筐体の上面に積層させて設けられた表示部と、
前記カウンタ面に対して所定の角度で屈曲された前記筐体の角部の両面に設けられ、物品に付されたコードシンボルを読み取るスキャナと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るPOS端末を含む商品販売ユニットをオペレータ側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、商品販売ユニットを客側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、商品販売ユニットをオペレータ側斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、商品販売ユニットを客側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る商品販売データ処理装置であるPOS(Point Of Sales)端末について説明を行う。ここで、
図1は実施形態に係るPOS端末1を含む商品販売ユニット2をオペレータ側から見た斜視図、
図2は商品販売ユニット2を客側から見た斜視図、
図3は商品販売ユニット2をオペレータ側斜め上方から見た斜視図である。
【0011】
商品販売ユニット2は、コンビニエンスストア,薬局,書店などの対面カウンタの店舗で用いられるものであって、キャッシャと称されるオペレータが操作してチェックアウト業務を行う有人チェックアウト式のシステムである。
図1ないし
図3に示すように、商品販売ユニット2は、チェックアウトカウンタ10(カウンタ)と、商品販売データ処理装置の一例としてのPOS(Point Of Sales)端末1と、を備えている。
【0012】
POS端末1は、チェックアウトカウンタ10のカウンタ面を構成する天板11上に設置される。このようなチェックアウトカウンタ10のオペレータ側には、最上段棚板14と、上段棚板15と、中段棚板16と、下段棚板17と、を備える棚部12が設けられている。最上段棚板14には、POS端末1により制御されるドロワ20とプリンタ30とが設置される。中段棚板16と、下段棚板17とには、商品販売に使用する備品が置かれる。備品とは、例えば、買物袋や、箸や、予備のレシート用紙などである。また、チェックアウトカウンタ10のカウンタ面を構成する天板11は、買物籠や商品などの物品が載置されるカウンタとしても使用される。
【0013】
ドロワ20は、硬貨及び紙幣を収納し、POS端末1によって開放動作の制御を受ける。ドロワ20は、オペレータ側に設けられた開口から出没するように構成され、閉状態ではチェックアウトカウンタ10内に収納され、開状態ではオペレータ側に突出する。このドロワ20が引き出された開状態においてオペレータ側から金銭の出し入れ作業を行う。ドロワ20は、金銭が収納される上面開口の箱であり、各種の紙幣や硬貨が整理して収納される。通常、大きな額の紙幣から少額の紙幣、さらに額の大きな硬貨から少額の硬貨の順に、右から左に区分けして並べられている。
【0014】
なお、本実施形態においては、最上段棚板14にドロワ20を備えるようにしたが、これに限るものではない。例えば、ドロワ20に代えて、貨幣入出金装置(硬貨入出金装置及び紙幣入出金装置)を備えるようにしても良い。
【0015】
プリンタ30は、レシートや領収書の印字に用いられるレシートプリンタである。プリンタ30は、オペレータ側から見てドロワ20の左隣に、レシート排出口30aが形成されている。レシート排出口30aは、チェックアウト業務の完了時にプリントされるレシートの発行口である。
【0016】
次に、POS端末1について詳述する。
【0017】
POS端末1は、薄型の扁平矩形形状に形成されている筐体100に、表示部101と、スキャナ102と、非接触カードリーダライタ103と、タッチパネル104とを備えている。
【0018】
非接触カードリーダライタ103は、非接触ICカード(図示せず)と無線通信を確立し、非接触ICカードに対して情報を読み書きする。非接触ICカードは、一例として現金と等価な価値を有する電子マネーを記憶保存することが可能である。
【0019】
表示部101は、筐体100の上面全体を覆うように筐体100に積層されて設けられており、柔軟性を有しているフレキシブル有機EL(Electro-Luminescence)で構成されている。表示部101は、オペレータ表示エリア101aと、客側表示エリア101bと、電子マネー表示エリア101cとを備えている。そして、タッチパネル104は、表示部101上に積層されて設けられている。
【0020】
オペレータ表示エリア101aは、オペレータ用に画像を表示するエリアであり、商品販売登録処理に関する情報を表示する。また、オペレータ表示エリア101aは、入力操作に用いられる数字キーや締めキーなどの各種キーを備えるキーボードも表示する。
【0021】
客側表示エリア101bは、客用に画像を表示するエリアであり、商品販売に関する情報を表示する。商品販売に関する情報とは、例えば、キャンペーン情報や、割引情報や、セール情報や、メッセージ情報などである。また、客側表示エリア101bは、商品販売登録処理に関する情報として合計金額、単品価格や商品名を表示する。
【0022】
電子マネー表示エリア101cは、非接触カードリーダライタ103上に設けられており、電子マネー決済に関する情報を表示する。これにより、客は、電子マネー表示エリア101cの表示内容に従って電子マネー表示エリア101cに非接触ICカードをかざすことで、容易に電子マネーによる決済を行なうことができる。
【0023】
筐体100のフレームは、柔軟性を有している素材(例えば、アルミニウムなど)で形成されている。そして、筐体100は、上述したように薄型の扁平矩形形状であって、上面にフレキシブル有機ELである表示部101を配していることから、所定の可動範囲で、筐体100の角部を屈曲させることが可能である。
【0024】
スキャナ102は、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)撮像素子等のエリアイメージセンサと、このエリアイメージセンサの撮像領域に光を照射する複数のLED(Light Emitting Diode)発光素子と、を備えている。
【0025】
このようなスキャナ102は、上述したような屈曲可能な筐体100の角部(実施形態では、オペレータ側の一方の角部)の両面に設けられている。より詳細には、筐体100の角部は、チェックアウトカウンタ10のカウンタ面を構成する天板11に対して所定の角度(例えば、45度〜90度程度の角度)で屈曲されており、オペレータ側(正面側)に設けられるスキャナ102を正面側スキャナ102aとし、客側(背面側)に設けられるスキャナ102を背面側スキャナ102bとする。これにより、スキャナ102は自立し、オペレータ側へ向くため、商品に付されたバーコードの読み取り時、オペレータは両手を使えるようになる。
【0026】
すなわち、正面側スキャナ102aは、商品にコードシンボル(例えば、バーコード)の形態で付された商品コードなどの商品情報を45度〜90度程度の角度で読み取ることができる。一方、背面側スキャナ102bは、商品情報を90度〜145度程度の角度で読み取ることができる。このように両面で角度を変えることができるので、両面に角度を変えたスキャナ102(正面側スキャナ102aおよび背面側スキャナ102b)を設けることにより、商品の態様(例えば、水物など)によって、使い分けることが可能になる。
【0027】
このように筐体100は屈曲可能に構成されていることから、スキャナ102(正面側スキャナ102aおよび背面側スキャナ102b)の屈曲角度を最適角度に調整することで、両手を使い商品に付されたバーコードを読み取ることが可能である。
【0028】
なお、本実施形態においては、屈曲された筐体100の角部の客側(背面側)に、背面側スキャナ102bを設けるようにしたが、これに限るものではない。例えば、
図4に示すように、屈曲された筐体100の角部の客側(背面側)に、背面側スキャナ102bに代えて、商品販売登録処理に関する情報として合計金額、単品価格や商品名を表示するエリア101dを設けるようにしても良い。これにより、客側からの商品販売登録処理に関する情報(合計金額、単品価格や商品名)の視認性が向上する。
【0029】
次に、実施形態に係るPOS端末1を用いた商品販売の流れについて説明を行う。
【0030】
商品販売の際に、客は、POS端末1が設置されたチェックアウトカウンタ10のオペレータ側から見て左側のカウンタ面に商品の入った商品籠を載置する。オペレータは、買物籠に入れられた商品を手に取り、商品に付されているバーコードをスキャナ102(正面側スキャナ102aおよび背面側スキャナ102b)にかざして商品情報を読み取る。この際、POS端末1は、表示部101のオペレータ表示エリア101aに商品販売登録処理に関する情報として合計金額、単品価格や商品名を表示する。
【0031】
また、POS端末1は、商品販売に関する情報として商品の割引情報やキャンペーン情報などを表示部101の客側表示エリア101bに表示する。オペレータは、客側表示エリア101bに表示された、商品販売に関する情報を用いて販売促進活動を実施する。販売促進活動とは、例えば、客側表示エリア101bに表示された割引中の商品についての提案や、客側表示エリア101bに表示された実施予定のキャンペーンについての告知などである。そして、POS端末1は薄型の扁平矩形形状に形成されおり、オペレータは、表示部101の客側表示エリア101bを視認可能であることから、客側表示エリア101bを指差しながら販売促進活動を行うことが可能となる。
【0032】
買物籠に入れられた全ての商品の商品情報の読み取りが終了すると、POS端末1は、表示部101のオペレータ表示エリア101aおよび客側表示エリア101bに合計金額を表示する。
【0033】
表示部101の客側表示エリア101bを見て、客は、オペレータに金銭を支払う。オペレータは、金銭を受け取ると、オペレータ表示エリア101aに表示されたキーボードを操作して決済処理を行う。POS端末1は、オペレータ表示エリア101aに表示されたキーボードの締めキーの入力に応じてドロワ20を開放する。オペレータは、開いたドロワ20からオペレータ表示エリア101aに表示された額のつり銭を集め、レシート排出口30aから出るレシートを受け取り、レシートとつり銭を客へ渡す。そして、オペレータは、支払われた金銭をドロワ20に収納する。
【0034】
このように、実施形態に係るPOS端末1によれば、POS端末1の筐体100が薄型の扁平矩形形状に形成されているため、POS端末1を挟んで向かい合うオペレータと客との対面性が向上し、POS端末1上の空間を有効利用できる。このため、金銭の授受や商品の受け渡し等の客とオペレータのやり取りをPOS端末1の上部を含む広い範囲で自由に行うことができ、操作性が向上する。したがって、商品販売処理の迅速化が可能となる。
【0035】
また、実施形態に係るPOS端末1によれば、屈曲可能な筐体100の角部(実施形態では、オペレータ側の一方の角部)にスキャナ102を設けたため、スキャナ102がPOS端末1に一体化されているため、チェックアウトカウンタ10のカウンタ面を構成する天板11上に載せるだけで、簡単に設置することができる。
【0036】
また、実施形態に係るPOS端末1によれば、屈曲可能な筐体100の角部(実施形態では、オペレータ側の一方の角部)にスキャナ102を設けたため、POS端末1上の空間を有効利用できるとともに、オペレータは商品を両手で持って商品に付されているバーコードをスキャナ102にかざして商品情報を読み取ることができるので、重量物などにも対応可能であり、従来のようにタッチスキャナをカウンタ面などに一度置いてから作業する必要もなくなるので、客との対面性の向上を図りつつ、オペレータの操作性の向上を図ることができる。
【0037】
また、実施形態に係るPOS端末1によれば、屈曲可能な筐体100の角部(実施形態では、オペレータ側の一方の角部)にスキャナ102を設けたため、スキャナ102をカウンタ面から落下させることがないとともに、従来は邪魔だったケーブルを廃止することができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 商品販売データ処理装置
100 筐体
101 表示部
102 スキャナ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開平03−123991号公報