(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、警光灯本体の信頼性を確保することは困難であった。すなわち、警光灯本体と車両は別工程で製造されるため、警光灯を車両に搭載して運用を開始するためには、警光灯本体と車両とを電気的に接続する必要がある。特許文献1においては、車載警告灯のベースに形成された穴から車両に形成された穴にコードが延びているが、特許文献1の
図1に示されるように当該コードは車載警光灯と車両の上部との間で切断されていないため、警光灯本体内または車両内でコードを接続する必要がある。車両内でコードを接続することは極めて困難であるため、従来、一般的には、警光灯本体内でコードが接続される。
【0005】
そこで、警光灯本体内でコードを接続するためには、警光灯本体を分解または開閉可能な構成にしておき、警光灯本体を分解し、または外壁を開けてコードを接続する必要がある。しかし、警光灯本体は屋外で長期にわたって使用され得るため、警光灯本体内の回路が防水されていることが極めて重要であり、一旦、警光灯本体を分解し、または外壁を開ける作業が行われると、再度警光灯本体を組み上げる作業を行ったとしても、防水の信頼性を確保することは困難である。特に、警光灯本体と車両の製造者が異なる場合において警光灯本体の製造者が防水性能を保証した状態で納入しても、ユーザ側で警光灯本体の分解等が行われると、当該防水性能を保証することができず、警光灯本体を運用する際の信頼性が低下する。
【0006】
一方、特許文献2においては、カプラによって防水を行っているが、カプラと散光式警光灯との間でハーネスが露出しているため、ハーネスを容易に切断可能な状態である。散光式警光灯は、一般に、緊急車両で使用されるため、いたずらなどによってハーネスが容易に切断可能な状態であると信頼性が損なわれる。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、信頼性を損なうことなくユーザ側でハーネス同士の接続を実施可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、外部に光を出力する発光部を備える本体と、本体と車体との間に連結される連結部と、を備え、連結部を連結することで隠蔽される本体上の部位である本体側隠蔽部に本体の内部から外部に開口する本体側開口部が形成されているとともに、本体側隠蔽部以外の部位に本体の内部に水を浸入させる浸入穴が形成されておらず、連結部の外壁には開閉可能な開閉部が形成されており、開閉部の内側において、本体側開口部から延びる本体側ハーネスと、連結部を連結することで隠蔽される車体上の部位である車体側隠蔽部に形成された車体側開口部から延びる車体側ハーネスと、が接続される、警光灯を構成する。
【0008】
すなわち、連結部を介して本体を車体に連結する構成において、連結部の内部で本体側ハーネスと車体側ハーネスとを連結する。そして、本体においては、内部に水を浸入させる浸入穴が形成されていないため、本体の防水性能が確保される。また、連結部には開閉部が形成されているため、当該開閉部を開けた状態でハーネスの先端に存在するコネクタ同士を接続する作業を行うことができる。従って、本体における防水の信頼性を損なうことなくユーザ側でハーネス同士の接続を実施することが可能である。
【0009】
ここで、本体は、発光部を備えており、発光部は、緊急時であることや作業中であることなど、所定の意味を表す光を警光灯の周囲に対して出力することができればよい。発光部の光源は特に限定されず、LED等の発光素子やハロゲンランプ等の電球などによって光源を構成可能である。むろん、発光部は光源からの光の出力方向を回転させる回転灯として構成されていても良いし、光源からの出力光の強度を変化させることで出力光を調整する構成であっても良い。
【0010】
また、本体は、本体側隠蔽部に本体側開口部が形成され、他の部位に内部に水を浸入させる浸入穴が形成されていないことにより、屋外で使用されたとしても本体内に水が浸入しないように構成されていれば良い。むろん、浸入穴の有無は、本体が組み上げられた状態で判断され、本体の組み上げ後に開口していないネジ穴のような穴が本体に形成されていたとしても、ネジの締結によって本体の内部に水が浸入しないのであれば、当該穴は浸入穴ではない。
【0011】
本体側隠蔽部以外の部位に本体の内部に水を浸入させる浸入穴が形成されていないように構成するためには、種々の構成が採用可能であり、例えば、本体側隠蔽部以外の部位において、外部に開口する穴が形成されていないように構成しても良いし、複数の部材を組み合わせて本体を構成する場合に、部材同士の隙間にシール部材を介在させる構成を採用しても良い。
【0012】
なお、本体側隠蔽部は、連結部が本体に連結された状態において本体の外部に露出しない部位である。従って、連結部が本体に連結された状態において、連結部が存在することによって本体側隠蔽部に形成された本体側開口部が本体および連結部の外部に露出しないように構成される。
【0013】
連結部は、本体と車体との間に連結されることにより、連結部を介して本体を車体に取り付けることができるように構成される。また、本体側開口部と車体側開口部とは、連結部によって隠蔽された部位に形成されているため、連結部は、本体側開口部と車体側開口部を外部に露出させない部材として機能する。このため、連結部は、本体側開口部と車体側開口部を防水する機能を有する。むろん、連結部と本体とが接触する部位は、シール部材等によって防水されていることが好ましい。
【0014】
さらに、連結部に形成される開閉部は、当該開閉部の内側において、本体側ハーネスと車体側ハーネスとを接続する作業を行うことができるように構成されていればよい。従って、開閉部は、ハーネスの先端であるコネクタを連結部の外部に引き出してコネクタ同士を接続することができるような開口部を有していても良いし、コネクタ同士を連結部の内部で接続することができるような開口部を有していても良い。開閉のための機構は種々の機構を採用可能であり、開閉部が着脱可能であっても良いし、ヒンジ等を利用して外壁を開閉できるように構成されていても良い。
【0015】
なお、連結部は開閉部を有しており、警光灯の利用者が本体および連結部を車体に取り付ける作業の過程で開閉部を開閉してハーネスのコネクタ同士を接続する作業を行うことが可能である。従って、本体における本体側開口部以外の部位において防水性能を保証することができることと比較して、開閉部における防水性能は相対的に低下するが、むろん、開閉部においても開閉部を閉じた状態で防水されることが好ましい。また、本体においては、連結部を介して本体を車体に取り付ける場面や、ハーネスのコネクタ同士を接続する場面において、本体を分解する必要はない。従って、本体における防水性能が連結部よりも高くなるように構成可能である。例えば、本体を構成する部品間に介在するように配置されるシール部材の性能やネジの性能、組み付けに要求される仕様(ネジの回転数など)を相対的に高度にする構成を採用可能である。
【0016】
さらに、連結部の内部にスピーカホーンが備えられ、本体の内部にスピーカドライバが備えられているとともに、スピーカドライバにおける音の出力口とスピーカホーンにおける音の入力口とを空洞によって連結する音伝導部が備えられている構成であっても良い。すなわち、連結部が、本体と車体とを連結する機能の他にスピーカホーンとしての機能を有するように構成する。この構成において、防水性能が確保される空間は本体の内部であるため、スピーカを駆動するための電気回路等を含み得るスピーカドライバは本体の内部に備えられる。この場合、スピーカドライバとスピーカホーンとは離れた位置に配置されることになるため、スピーカドライバからの出力音をスピーカホーンまで伝達するために、本体の内部に音伝導部が形成される。
【0017】
スピーカホーンは、入力口から入力した音の指向性や共鳴の状態を調整し、所望の周波数の音(例えば、サイレン音等)が所望の位置で充分な大きさとなるように音を調整することができればよい。従って、例えば、レフレックスホーンスピーカのように入力口から入力した音の進行方向が複数回変化するとともに音の進行とともに断面積が徐々に大きくなるような音の伝達路を備える構成等を想定可能である。
【0018】
スピーカドライバは、スピーカドライバの出力口からサイレン等の音を出力するための装置であり、例えば、電源、アンプ、振動板(ダイヤフラム)、磁石、ボイスコイル、出力音データの蓄積部などから構成された装置等を想定可能である。
【0019】
音伝導部は、スピーカドライバにおける音の出力口とスピーカホーンにおける音の入力口とを空洞によって連結する部位であればよい。すなわち、スピーカドライバの出力口とスピーカホーンの入力口とが任意の形状の中空の管体によって接続されることにより、スピーカドライバの出力口から出力された音が当該管体の内部の空洞を伝達してスピーカホーンの入力口に達するように構成されていれば良い。
【0020】
音伝導部は、本体の一部であれば良く、音伝導部を構成する管体が他の機能を有する部材と一体で構成されても良いし別体で構成されても良い。前者の例としては、例えば、本体が、発光部とスピーカドライバとスピーカホーンとを支持する支持部を備え、当該支持部と音伝導部とが一体として構成されている例を想定可能である。
【0021】
以上の構成において、車両において利用される出力音はサイレンなど、比較的大きな音が想定され、この場合に必要となるスピーカホーンにおいては、その横幅が本体の横幅の1/3程度を占めるとともに縦方向に数cm程度を占めるなど(例えば、本体の横幅110cm、スピーカホーンの横幅35cm等)、比較的大きい構造となる。従って、当該スピーカホーンを備えた連結部において、開閉部の内側にハーネスのコネクタを収容できるように構成することは容易であり、スピーカホーンとハーネスのコネクタの収容部とが連結部に設けられていることで、ハーネスのコネクタのために専用の空間を設ける必要はなく、警光灯を簡易な構成とすることができる。
【0022】
さらに、連結部は、本体側ハーネスのコネクタと車体側ハーネスのコネクタとを収容するとともに少なくとも一部が開閉部を構成するコネクタ収容室を備える構成としても良い。この構成によれば、開閉部を開閉しても連結部においてコネクタ収容室が露出するが、他の部位(スピーカホーン等)が露出しないように構成することができる。従って、コネクタ収容室から連結部の他の部位への水の浸入を防ぐように防水しておけば、開閉部の開閉によって水が浸入し得る部位を狭い範囲に限定することができる。むろん、この場合であっても開閉部を閉じることによってコネクタ収容室への水の浸入を防ぐように防水することが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)警光灯の構成:
(2)ハーネスの接続:
(3)他の実施形態:
【0025】
(1)警光灯の構成:
図1Aは本発明の一実施形態にかかる警光灯10の斜視図である。警光灯10は、本体20と当該本体に取り付けられる連結部30とを備えている。同
図1Aに示すように、本体20は一方に長いほぼ直方体の外形を有しており、その一面(下面)に連結部30が2個取り付けられる。警光灯10は、車両の上部に取り付けて使用される。すなわち、本体20の長手方向と車両の左右方向とが平行になるように警光灯10が車両の上部に取り付けられる。なお、本明細書では、
図1Aに示すように、車両の左右方向に平行な方向をx軸方向とし、x軸方向に垂直であるとともに車両の前後方向に平行な方向をy軸方向とし、x軸方向およびy軸方向に垂直な鉛直方向をz軸方向として座標軸を定義して説明をする。なお、この座標系において車両から見た上下方向、左右方向、前後方向を
図1Aに示す座標系に併記してある。
【0026】
本体20は、外部に光を出力する発光部(図示せず)を備えており、本実施形態において発光部には、複数のLED素子と当該複数のLED素子を所定の発光パターンで発光させるための装置が備えられている。当該装置に対しては、車両からLED素子の発光開始等の指示を行うことが可能であり、LED素子の光が外部に出力されることにより、緊急等の所定の意味を有する光を警光灯10から出力した状態で車両を走行させることができる。
【0027】
図1B、
図2Aおよび
図3は、警光灯10の分解斜視図であり、
図1B、
図2Aにおいては本体20と連結部30とが分解された状態において、さらに本体20を分解した状態を示している。
図3においては、さらに、本体20と連結部30とを分解した状態を示している。なお、
図1B、
図3は上方から眺めた分解斜視図、
図2Aは下方から眺めた分解斜視図である。本体20は、カバー20aと支持部20bとを備えており、一部の部位(発光部等)は省略して示している。
【0028】
カバー20aは、透明な有彩色(黄、黄赤、赤、青等)の樹脂で形成されており、内部に発光部を収容可能であるとともに、発光部から出力される光が外部から視認可能である。また、
図3に示すように、カバー20aはx軸方向に分解可能な複数の部品によって構成されており、各部品の下部の内壁には支持部20bのレール20i(後述)に対してスライド挿入可能な挿入部20jが形成されている。
【0029】
支持部20bは、アルミニウム製の薄い板によって構成される中空の部材であり、外形はほぼ直方体である。
図2Bは、支持部20bのx軸方向の端部を拡大した図であり、支持部20bにおいては、y軸方向の端部(車両の前後方向の端部)にx軸方向に平行な方向に延びるレール20iが形成されている。同
図2Bに示すように、レール20iは、支持部20bのy軸方向の端部が下方に屈曲しており、カバー20aの挿入部20jをx軸方向にスライド挿入できるように構成されている。
【0030】
さらに、支持部20bのx軸方向の両端には、板状の部材20fを取り付けることが可能である。すなわち、板状の部材20fには2個のネジ穴が形成され、支持部20bのx軸方向の両端の対応する位置に2個のネジ穴が形成されている。さらに、x軸方向の両端に取り付けられるカバー20aの部品には、下部に当該ネジによってカバー20aと支持部20bとを締結する作業を行うためのネジ穴が形成された凹部20kが形成されている。
【0031】
従って、カバー20aの各部品の挿入部20jを支持部20bのレール20iに対して所定の順序でスライド挿入し、最後に支持部20bのx軸方向の両端に板状の部材20fを仮配置した状態でx軸方向の両端に取り付けられるカバー20aの部品の挿入部20jを支持部20bのレール20iに対してスライド挿入しネジで締結することで、支持部20bでカバー20aを支持することが可能である。このように、支持部20bでカバー20aを支持した状態(支持部20bにカバー20aを取り付けた状態)において本体20はほぼ直方体であり、支持部20bはその底面(x−y平面に平行な面のなかの下側の面)を形成する。
【0032】
なお、本実施形態において、支持部20bの両端と板状の部材20fとの間にはシール部材が介在され、支持部20bのレール20iとカバー20aの挿入部20jとの間にはシール部材が挿入される。従って、これらのシール部材によって本体20は防水されることになる。
【0033】
さらに、支持部20bにおいては、y軸方向の中央にx軸方向に平行な方向に延びる中空の音道20cが形成されている。すなわち、
図2Bに示すように、支持部20bにおいては、z−y平面に垂直な方向の断面が長方形である音道20cがx軸方向に平行な方向に延びて支持部20bを貫通している。従って、音道20cはx軸方向の全長にわたってz−y平面に垂直な方向の断面形状が一定の形状であるとともに、x軸方向の全長にわたって断面積が一定である。
【0034】
支持部20bの上面には、
図2Bに示すようにx軸方向に平行な方向に2本のレール20eが形成されており、当該レール20eにはナットを挿入するとともにナットの位置を任意の位置に移動させることができる。また、ナットは、ネジ穴をレール20eの開口部に向けた状態(上方に向けた状態)で挿入され、上方側からネジをナットに挿入することにより、任意の位置においてネジをナットに締め付けることができる。
【0035】
支持部20bの上面の中央には
図1Bに示すようにスピーカドライバ20dが支持される。すなわち、スピーカドライバ20dは、径が徐々に小さくなる円形の部位を直方体の部位20d1に挿入することによって構成され、当該直方体の部位20d1には複数の箇所にネジ穴が形成されている。そして、当該ネジ穴にネジが挿入されてレール20eに挿入されたナットとネジとを締め付けることによって、スピーカドライバ20dが支持部20bの上面の中央に支持される。
【0036】
スピーカドライバ20dは、振動板(ダイヤフラム)、磁石、ボイスコイル等を備えた装置であり、振動板を振動させることによって出力される音を直方体の部位20d1の下面に形成された出力口(図示せず)から出力させることが可能である。支持部20bの上面の中央にはスピーカドライバ20dの出力口に対応したドライバ側開口部が形成されており、当該ドライバ側開口部は音道20cにつながっている。なお、スピーカドライバ20dは、スピーカドライバ20dの出力口とドライバ側開口部との間にシール部材20d2を挟んだ状態で支持部20bに取り付けられる。従って、スピーカドライバ20dの出力口から出力された音は、支持部20bの外部に漏れることなく音道20c内に伝達される。
【0037】
連結部30は、支持部20bの下面に連結される。すなわち、支持部20bの下面には、
図2Bに示すようにx軸方向に平行な方向に2本のレール20gが形成されており、当該レール20gにはナットを挿入するとともにナットの位置を任意の位置に移動させることができる。また、ナットは、ネジ穴をレール20gの開口部に向けた状態(下方に向けた状態)で挿入され、下方側からネジをナットに挿入することにより、任意の位置においてネジをナットに締め付けることができる。
【0038】
連結部30は、入力口から入力した音の指向性や共鳴の状態を調整し、サイレン音が所望の位置で充分な大きさとなるように音を調整するスピーカホーンS(
図3参照)を備えるユニットである。すなわち、連結部30は、下面を構成する下面部30dと前面および後面を構成する開閉部30e,30fと上面を構成する上面部30gと、下面部30dと車体との間に介在する台座部30hと連結部30を車体に取り付けるためのブラケット30iとを備えている。
【0039】
下面部30dは、x軸方向の両端である側面とz軸方向の一端である下面とを構成するとともに、当該側面の間において上下方向に延びるリブによって種々の構造が形成されている。すなわち、本実施形態においては、下面部30dのリブによって、音の入力口から徐々に音道の断面積を大きくしながら音の進行方向を2回変化させるスピーカホーンSが形成されている。さらに、連結部30を本体20に連結するためのボスBが4カ所に形成されている。さらに、連結部30の後部をコネクタ収容室Hとするための壁面が形成されており、当該コネクタ収容室Hの下側の壁面を構成する部位には、コネクタの挿入穴30rが形成されている(
図2A参照)。
【0040】
上面部30gは薄い板状の部材によって構成されており、下面部30dに形成されたボスBに対応する位置に穴30a、スピーカホーンSの端部(音の入力端)に対応する位置に音の入力口30b、コネクタ収容室Hの上面に対応する位置にコネクタの挿入穴30mが形成されている。従って、上面部30gを下面部30dと合わせることにより、スピーカホーンSを構成する下面部30dのリブとコネクタ収容室Hを構成する下面部30dのリブの上方が閉じられる。この結果、スピーカホーンSは前方および入力口30bで開口し、コネクタ収容室Hは後方およびコネクタの挿入穴30m,30rで開口する状態となる。
【0041】
上面部30gにおいては、さらに、前方端および後方端の4カ所で下方に屈曲されるとともにネジ穴が形成されている。これらのネジ穴のうち、左右方向の端部寄りの2カ所が小さく、中心寄りの2カ所が大きい。小さい方のネジ穴30nは開閉部30e,30fを連結するためのネジ穴であり、大きい方のネジ穴30oはブラケット30iを連結するためのネジ穴である。
【0042】
すなわち、開閉部30e,30fは、下面部30dの前方および後方を覆う大きさの部材であり、左右方向および上下方向に延びるフィンを備えている。また、開閉部30e,30fの左右方向の端部において、ネジ穴30nに対応する位置にネジ穴(
図3においては開閉部30fのネジ穴をHsと表記)が形成されている。従って、当該ネジ穴Hsをネジ穴30nに合わせた状態でネジによって開閉部30e,30fを下面部30dに連結することができる。下面部30dの前方および後方に対して開閉部30e,30fを連結した状態においては、
図1Bに示すように、スピーカホーンSは開閉部30eのフィンを介して前方に開口するとともに入力口30bで上方に開口した状態となる。また、コネクタ収容室Hは開閉部30fによって閉じられて後方に開口せず、コネクタの挿入穴30mで上方に開口し、コネクタの挿入穴30rで下方に開口した状態となる。
【0043】
以上のように、下面部30dに上面部30gおよび開閉部30e,30fが取り付けられた状態で連結部30は支持部20bに取り付けられる。すなわち、連結部30の上面部30gにおいてはネジを貫通させるための穴30aが4カ所で開口し、連結部30の下面部30dにおいてはネジを貫通させるためのボスBが4カ所で開口(
図2Aに示すHb)している。従って、
図2Aに一点鎖線の矢印で示すように、ボスBの下方の穴Hbに対して下方からネジが挿入されてレール20gに挿入されたナットと当該ネジとを締め付けることによって、連結部30が支持部20bの下面のx軸方向の両端に支持される。
【0044】
本実施形態において、連結部30を支持部20bに取り付ける位置は、x軸方向に変化させることが可能である。すなわち、支持部20bの下面においては、連結部30の取付位置に対応する2カ所に本体側開口部20hが形成されている。本体側開口部20hは、x軸方向に長く、長手方向の縁がx軸方向に平行な直線であるとともにx軸方向の両端において縁が半円形である。従って、連結部30の上面部に形成された入力口30bが本体側開口部20hを介して音道20cとつながっている範囲で連結部30の取付位置を変化させることができる。
【0045】
さらに、連結部30は、下方においてブラケット30iによって車体の上面に連結される。すなわち、ブラケット30iは、細長い板状の部材の両端を直角に屈曲されたような形状であり、両端のそれぞれにネジ穴30jを備えるとともに、屈曲された部位に挟まれた部位に2個のネジ穴30kを備えている。また、台座部30hは、周が略矩形である筒状の部材であり、当該周の上下方向の高さは連結部30の下面および車体の上面の形状に応じて徐々に変化するように構成されている。
【0046】
そして、連結部30の下面部30dにはブラケット30iの両端を挿入可能な穴30pが計4カ所に形成されており、台座部30hには周の内側に延びるリブの2カ所にブラケット30iの両端を挿入可能な穴30qが形成されている。従って、台座部30hの穴30qにブラケット30iの両端を挿入し、さらに、下面部30dの穴30pにブラケット30iの両端を挿入し、当該ブラケット30iの両端のネジ穴30jと連結部30の上面部30gのネジ穴30oとを向かい合わせることができる。従って、開閉部30e,30fを取り外した状態で、ネジ穴30jとネジ穴30oにネジを挿入して締結することにより、ブラケット30iと連結部30との間に台座部30hを介在させた状態でブラケット30iを連結部30に取り付けることができる。
【0047】
従って、ブラケット30iを当該ブラケット30iのネジ穴30kによって車体の上面に取り付け、連結部30と本体20とを連結させた状態で台座部30hを連結部30の下面に介在させつつブラケット30iと連結部30を連結することで、本体20および連結部30を車体の上方に取り付けることができる。なお、台座部30hは柔軟性のある樹脂であり、周の高さが連結部30の下面部30dおよび車体の上面の形状に応じて変化しているため、台座部30hは、車体および連結部30に対して防水を行うシール部材として機能する。また、連結部30において、部材同士が接触する部位、例えば、上面部30gと下面部30dとが接触する部位には、シール部材が配置され、防水がなされる。
【0048】
(2)ハーネスの接続:
以上のように、本実施形態にかかる本体20および連結部30は、車体の上面に取り付けることができる。そして、本実施形態にかかる本体20および連結部30は、信頼性を損なうことなくユーザ側でハーネス同士の接続を実施することができる構成を備えている。具体的には、車両の上面の内側には車体側ハーネスが備えられており、本体20の内側に備えられた発光部およびスピーカドライバには本体側ハーネスが接続されている。そして、車体側ハーネスの先端に連結されたコネクタと、本体側ハーネスの先端に連結されたコネクタとを接続することにより、車両内に搭載された電源や制御部から発光部およびスピーカドライバに電力や制御信号を供給することができる。
【0049】
図4は、連結部30をx軸方向の中央でy軸方向に切断した状態を示す断面図であり、当該
図4を用いてハーネスの接続を具体的に説明する。本体20の一部である支持部20bにおいては、本体側開口部20hに対してy軸方向に隣接する位置に支持部20bを貫通する本体側開口部20mが形成されている(
図2A参照)。当該本体側開口部20mは、連結部30の上面部30gに形成された挿入穴30mに対応する位置に形成されている。従って、ケーブル40aおよびコネクタ41aを備える本体側ハーネスが本体20内に収容されている状態において、ケーブル40aの先端に連結されたコネクタ41aを本体側開口部20mに挿入するとともに挿入穴30mに挿入することにより、本体側ハーネスの先端をコネクタ収容室H内に収容することができる。
【0050】
車体の上面Cにおいては、台座部30hの周に囲まれる位置に車体側開口部42が形成され、当該車体側開口部42には防水グランド42aが取り付けられているとともに、ケーブル40bおよびコネクタ41bを備える車体側ハーネスの先端は防水グランド42aを通して車体の外部に達する状態とされている。また、連結部30の下面部30dに形成された挿入穴30rは、台座部30hの周の内側に位置する。従って、車両内に収容されている台座部30hの周の内側でケーブル40bの先端に連結されたコネクタ41bを挿入穴30rに挿入することにより、車体側ハーネスの先端をコネクタ収容室H内に収容することができる。従って、開閉部30fを連結部30から取り外した状態で、コネクタ収容室H内に存在する本体側ハーネスのコネクタ41aと車体側ハーネスのコネクタ41bとを接続する作業を行うことが可能である。
【0051】
さらに、本実施形態においては、連結部30と車体の上面Cとの間に台座部30hが介在する状態で連結部30および本体20が車体の上面Cに取り付けられる。そして、台座部30hは周が略矩形の筒状の部材であるため、台座部30hの周が連結部30の下面部30dに接触することによって連結部30の下面部30dおよび車体の上面Cには外部に露出しない隠蔽部Pcが形成される。隠蔽部Pcの周囲の台座部30hは柔軟性のある樹脂であるため、台座部30hの上部は連結部30の下面部30dに密着し、台座部30hの下部は車体の上面Cに密着する。この結果、車体側開口部42および挿入穴30rに対する水の浸入が防止されるとともに、車体側ハーネスのケーブル40bが外部から切断されることを防止することができる。
【0052】
さらに、連結部30の上面部30gは平面状の部材であり、上面部30gと支持部20bとが密着するように取り付けられるため、本体20の支持部20bにおいて、連結部30の上面部30gが接触する部位は外部に露出しない隠蔽部Ph(
図2A参照)となる。上面部30gと支持部20bとの間にはシール部材が介在する状態であるため、本体側開口部20m,20hに対する水の浸入が防止される。また、本体側開口部20mの上部にはグロメット20m1が取り付けられるため、当該グロメット20m1によっても本体20への水の浸入が防止される。さらに、連結部30の挿入穴30rにはグロメット30r1が取り付けられるため、当該グロメット30r1によっても本体20への水の浸入が防止される。
【0053】
この構成によれば、本体20における防水に関わるシール部材(カバー20aと支持部20bとの間のシール部材や上面部30gと支持部20bとの間のシール部材等)を利用者が取り外すことなく、コネクタ41a,41b同士の接続作業を行うことができる。また、本体20の外面においては、本体側開口部以外の開口部が形成されておらず、本体20の外面の隠蔽部Ph以外の部位に、本体20の内部に対して水を浸入させる浸入穴は形成されていない。従って、本体20における防水に関わるシール部材を取り付ける作業を防水性能の保証者(警光灯の製造者等)が実施した後、警光灯が利用者に納入された後において、本体20における防水に関わるシール部材を利用者が取り外す作業や、本体20を連結部30から取り外す作業、本体20のカバー20a等を分解する作業等を行うことなくコネクタ41a,41b同士の接続作業を行うことができる。このため、本体20の防水性能が連結部30よりも高いという初期の防水性能を保証した状態で警光灯の運用を継続することが可能である。
【0054】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、連結部に形成された開閉部の内側で本体側ハーネスのコネクタと車体側ハーネスのコネクタとを接続することができるように構成されている限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、開閉部30fは開閉部30eと異なる形状であっても良く、コネクタ収容室Hの開口部のみを開閉するような形状であっても良い。むろん、開閉のための構造はネジに限定されず、他の構成、例えば、ヒンジによって開閉可能な蓋をロック機構によってロックしながら閉じ、ロック機構におけるロックを解除することによって開けるような構成であってもよい。
【0055】
また、本体側隠蔽部や車体側隠蔽部を形成するための部材は、上述の実施形態に限定されず、柔軟性のある樹脂によって本体と連結部との間を隠蔽することによって本体側隠蔽部を形成しても良い。さらに、連結部30の下面部30dを車体の上面Cに接触させながら取り付けることによって車体側隠蔽部を形成しても良い。
【0056】
さらに、本体側開口部20mは支持部20bの内外を通じさせていれば良く、上述の実施形態のように支持部20bの上下方向に貫通する穴によって本体側開口部20mを形成する構成の他、支持部20bの上面と下面の異なる位置に開口部が形成されており、両開口部を支持部20bの内部の空洞で連結する構成であってもよい。