特許第6199743号(P6199743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許6199743プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段
<>
  • 特許6199743-プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段 図000002
  • 特許6199743-プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段 図000003
  • 特許6199743-プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段 図000004
  • 特許6199743-プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段 図000005
  • 特許6199743-プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段 図000006
  • 特許6199743-プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199743
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】プレフィルドシリンジと安全デバイス、安全デバイスと注射デバイスを組み合わせて使用するためのアダプタ手段
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   A61M5/32 510P
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-546716(P2013-546716)
(86)(22)【出願日】2011年12月30日
(65)【公表番号】特表2014-503299(P2014-503299A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2011074274
(87)【国際公開番号】WO2012093069
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年12月12日
(31)【優先権主張番号】11150074.0
(32)【優先日】2011年1月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ギャレス・ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】シオンド・オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エクマン
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/104779(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0060897(US,A1)
【文献】 特表2002−529152(JP,A)
【文献】 特表2009−511177(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0127857(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタ手段(1)と組み合せるプレフィルドシリンジ(2)及びプレフィルドシリンジ(2)用の安全デバイス(3)を含む注射デバイス(D)の安全デバイス(3)が
中空支持ボディ(3.1)及び
−中空支持ボディ(3.1)に対して摺動可能に配置され、そして注射工程の終了時に支持ボディ(3.1)を実質的に内部に受け入れる中空外部ボディ(3.2)、ここで、プレフィルドシリンジ(2)の内部キャビティ(2.1.2)内に含まれる薬物又は薬剤が、皮下針(2.3)を通して排出される注射行程を実行するために、外部ボディ(3.2)の近位面は、ピストンロッド(2.4)及びピストン(2.6)が外部ボディ(3.2)を遠位方向に手動で押すことによって移動し得るように、プレフィルドシリンジ(2)のピストン(2.6)に連結されたピストンロッド(2.4)に隣接するように配置されている、ここで、スプリング手段(3.3)が、外部ボディ(3.2)を支持ボディ(3.1)に対して近位方向に付勢するために、安全デバイス(3)内に配置される、
を含み、ここで、アダプタ手段(1)が、プレフィルドシリンジ(2)をそれに付けるように適合され、それにより、アダプタ手段(1)が、プレフィルドシリンジ(2)のバレル(2.1)に係合し、そしてここで、アダプタ手段(1)が、アダプタ手段(1)を支持ボディ(3.1)にロックするように適合される少なくとも一つのロッキング突出部(1.1.1)を含む、該注射デバイス(D)であって、
外部ボディ(3.2)に連結されたアダプタ手段(1)が、支持ボディ(3.1)に対して外部ボディ(3.2)の近位方向運動によって、支持ボディ(3.1)に対して、プレフィルドシリンジ(2)の皮下針(2.3)が支持ボディ(3.1)から遠位的に突出する第一の位置(I)から、皮下針(2.3)が支持ボディにより取り囲まれる第二の位置(II)へ可動であるような方式で支持ボディ(3.1)内に保持され、ここで、アダプタ手段(1)のロッキング突出部(1.1.1)は、支持ボディ(3.1)内に形成されたロッキング凹部(3.1.3)に係合して、第二の位置(II)においてアダプタ手段(1)を不可逆的にロックする、
ここで、外部ボディ(3.2)の半径方向突出部(3.2.1.1)は、支持ボディ(3.1)内に形成された縦方向スロット(3.1.1)を通して半径方向内側に突出し、ここで、半径方向突出部(3.2.1.1)は、アダプタ手段(1)の遠位カラー(1.1)を捕捉してアダプタ手段(1)を外部ボディ(3.2)に連結し、プレフィルドシリンジ(2)を固定させて備えたアダプタ手段(1)が、支持ボディ(3.1)に対して外部ボディ(3.2)の近位運動により、近位方向で第一の位置(I)から後退させられる、
ことを特徴とする、上記注射デバイス(D)。
【請求項2】
アダプタ手段(1)が、プレフィルドシリンジ(2)のバレル(2.1)の軸方向長さに実質的に対応する軸方向の寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載の注射デバイス(D)。
【請求項3】
アダプタ手段(1)の二つの対向するクランプアーム(1.4)が、プレフィルドシリンジ(2)のバレル(2.1)に摩擦係合してプレフィルドシリンジ(2)をアダプタ手段(1)に付けるように適合されることを特徴とする、請求項2に記載の注射デバイス(D)。
【請求項4】
アダプタ手段(1)が、プレフィルドシリンジ(2)のバレル(2.1)の外径に対応する内径を備えた中央開口部(1.3)を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の注射デバイス(D)。
【請求項5】
アダプタ手段(1)が、バレル(2.1)のバレルカラー(2.1.1)に隣接するように適合された近位カラー(1.2)を含むことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の注射デバイス(D)。
【請求項6】
二つのロッキング突出部(1.1.1)が、アダプタ手段(1)の二つの対向する側面から半径方向外側に突出することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の注射デバイス(D)。
【請求項7】
スプリング手段(3.3)が、非エネルギ化状態で、又は若干のエネルギ化状態でのみ、安全デバイス(3)内に配置されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の注射デバイス(D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、針の安全を提供する安全デバイスに関し、そしてより詳しくは、プレフィルドシリンジ用の安全デバイスに関する。安全デバイス内にプレフィルドシリンジを取り付けるように適合されたアダプタ手段が提供される。安全デバイスは、プレフィルドシリンジ中に含まれる薬物又は薬剤の注射の前、その間、その後の偶発的な針刺し傷及び針損傷を避けるように適合される。特に、安全デバイスは、皮下の自己投与注射のために、又は医療専門家により投与される注射のために、針の安全性を提供する。本発明は、更に、プレフィルドシリンジを含む注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物の選択された用量で充填されたプレフィルドシリンジは、患者に薬物を投与するための公知のデバイスである。使用前及び使用後のプレフィルドシリンジの針を覆う安全デバイスも、また、公知である。一般的にこれらのデバイスは、手動で動き、又は針を取り囲む緩和スプリングの作用により動く針シールドを含む。
【0003】
当該分野で公知の異なったタイプの安全デバイスは、本体に対して可動なプレフィルドシリンジを配置することにより、針の安全性を提供する目的が実施でき、ここで、充填シリンジは、注射後本体内へ後退する。
【0004】
特許文献1は、手動制御注射の後に続く自動シリンジ後退を備えた医薬品送達機器を開示している。機器は、ハウジング、シリンジキャリッジ、キャリッジ内に保持された薬物充填シリンジ、第一の位置でハウジング内に配列され、そして第二の位置で注射サイト内へ挿入するためにハウジングからハウジングの近位端を超えて突出するシリンジ針の先端、手動でシフトするテーブルプランジャ、キャリッジ(carriage)を第一の位置から第二の位置へ前進させるため、及びプランジャがハウジングに向かって近位的に手動で突っ込むとき、シリジンから医薬品を注射するためのキャリッジ及びハウジング及びプランジャ上の手段、並びに第二の位置から針の先端を、プランジャが遠位的にシフトするとき、ハウジング内に配列する位置へキャリッジを後退させるためのキャリッジ及びプランジャ上の手段を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO第2010/104779号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、偶発的な針突き刺し損傷を防ぐ改良された注射デバイスを提供することである。
【0007】
目的は、請求項1に記載のアダプタ手段で実施される。
【0008】
本発明の好ましい実施態様は、従属項で与えられる。
【0009】
本明細書の文脈において、用語「遠位」及び「近位」は、注射を実施する人の視点から規定される。結果的に、遠位方向は、注射を受ける患者の体に向かう方向を言い、そして、遠位端は、患者の体に向かうエレメントの端部を規定する。エレメントの近位端又は近位方向は、それぞれ、注射を受ける患者の体から離れてそして遠位端又は遠位方向とは反対側に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、注射デバイスは、プレフィルドシリンジ及びプレフィルドシリンジ用の安全デバイスを含む。安全デバイスは、
−アダプタ手段、
−中空支持ボディ、及び
−支持ボディに対して摺動可能に配置された中空外部ボディ、
を含む。
アダプタ手段は、プレフィルドシリンジをそれに付ける(affix)ように適合され、それにより、アダプタ手段は、プレフィルドシリンジのバレルと係合する。アダプタ手段は、アダプタ手段を安全デバイスにロックするように適合された少なくとも一つのロッキング突出部を含む。
【0011】
注射デバイスは、都合よく、安全デバイス及びアダプタ手段のために事前に述べた利点を組み合わせる。注射デバイスは、患者の皮膚の下に薬物又は薬剤を注射投与(injection deliver)する前、その間、その後に取扱うのが容易であり、そして、偶発的な針突き刺し損傷を阻止する
【0012】
アダプタ手段は、アダプタ手段にプレフィルドシリンジのバレルに係合し、そして付けるのに好適な内部寸法を含む。アダプタ手段は、アダプタ手段、及び安全デバイス内でそれに固定されたプレフィルドシリンジを確実に取り付けるように設計された外部寸法を含む。異なったサイズのプレフィルドシリンが、安全デバイス内に保持され得るように、異なった内部寸法と同一の外部寸法を備えた異なったアダプタ手段を提供することは、本発明の範囲内である。安全デバイスの主構成部材が、あるサイズ又はタイプのプレフィルドシリンジを要求する特定の医学的適用とは独立に、大量に製造し得るので、これは製造コストを低下させる。
【0013】
更にその上、アダプタカラーのロッキング突出部は、針の安全性を提供する安全デバイス内での位置において、アダプタカラー内に保持されるプレフィルドシリンジを確実にロックするための手段を提供し、それにより、プレフィルドシリンジの使用済みの皮下針の再露出を阻止する。
【0014】
アダプタ手段は、プレフィルドシリンジのバレルの軸方向の長さに実質的に対応する軸方向の寸法を有してもよい。アダプタカラーは、例えば、プレフィルドシリンジを安全デバイスに取り付ける取り付け手段、針の安全性を確保するプレフィルドシリンジ用の後退機構、又は、使用済み皮下針の再露出を阻止する機構などの、安全デバイスの安全機能により係合され得るバレルの軸方向の全長に実質的に沿って、プラットフォームを提供する。
【0015】
本発明の可能な実施態様によると、アダプタ手段の二つの反対方向のクランプアームは、プレフィルドシリンジをアダプタ手段に付けるためにプレフィルドシリンジのバレルを摩擦係合するように適合される。クランプアームは、プレフィルドシリンジをその内部で堅く保持し、そしてプレフィルドシリンジをアダプタ手段に付けるために、簡単な手段を提供する。
【0016】
アダプタ手段は、プレフィルドシリンジのバレルの外径に対応する内径を備えた中央開口部を含み得る。特に、異なったサイズのプレフィルドシリンジは、異なった外径を備えたバレルを含んでもよく、ここで、異なったサイズのプレフィルドシリンジの各々は、一つの対応するサイズのアダプタカラーに固定可能である。アダプタカラーは、その結果、安全デバイスがアダプタ手段を経由して安全デバイス内に取り付けられたプレフィルドシリンジの寸法に本質的に独立した寸法を有しても良いように、安全デバイスのためのスペーサエレメントとして使用し得る。
【0017】
本発明の可能性のある実施態様によると、アダプタ手段は、バレルのバレルカラーに隣接するように適合された近位カラーを含む。近位カラーは、その結果、少なくとも遠位方向において、アダプタ手段に対してプレフィルドシリンジの変位を避ける。
【0018】
本発明の別の可能性のある実施態様によると、二つのロッキング突出部は、アダプタカラーと針の安全位置に固定されたプレフィルドシリンジを確実にロックするために、アダプタ手段の二つの対向する側面から半径方向外側に突出する。
【0019】
本発明によると、プレフィルドシリンジ用の安全デバイスは、
−アダプタ手段、
−中空支持ボディ、及び
−支持ボディに対して摺動可能に配置された中空外部ボディ、
を含む。アダプタ手段は、プレフィルドシリンジをそれに付けるように適合される。アダプタ手段が支持ボディに対して第一の位置から第二の位置へ可動であるような方法で,アダプタ手段は、支持ボディ内に保持され、ここで、アダプタ手段のロッキング突出部は、第二の位置においてアダプタ手段を不可逆的にロックために、支持ボディ内に形成されたロッキング凹部と係合する。
【0020】
アダプタ手段を備えた安全デバイスは、都合よく、前述の利点を組み合わせ、そして、特に、注射を実施した後、偶発的針突き刺し損傷を阻止する。ロッキング突出部及びロッキング凹部は、アダプタを後退した第二位置へロックするために、特に簡単な手段を構成する。ロッキング凹部は、安全デバイスの支持ボディ内に形成された開口部の形状を有してもよい。あるいは、ロッキング凹部は、人が第二の位置においてアダプタ手段をロッキングするロッキング突出部を改ざんすることを阻止するために、支持ボディの内面に形成され得る。
【0021】
本発明の可能な実施態様によると、外部ボディの半径方向突出部は、半径方向内側に、そして支持ボディ内に形成された縦方向スロットを通して突出する。半径方向突出部は、アダプタ手段を外部ボディに連結するために、アダプタ手段の遠位カラーを捕捉する。半径方向突出部は、外部ボディと支持ボディの間の相対回転が阻止されるように、外部ボディが支持ボディに対して摺動するとき、縦方向スロットに沿って動く。外部ボディは、その結果、都合よく、直線並進運動で摺動し、それにより、特に、注射を受ける患者の皮膚に隣接し得る部分の不愉快な回転を阻止する。更にその上、遠位カラーを捕捉する半径方向突出部は、プレフィルドシリンジを第二の位置に取り付けるアダプタカラーを後退させる信頼性のある、そして効率的な機構を提供し、ここで、第二の位置において、支持ボディは、偶発的な針突き刺し損傷を避けるために、プレフィルドシリンジの皮下針を取り囲む。
【0022】
外部ボディに連結されたアダプタ手段は、第一の位置から第二の位置へ、支持ボディに対して外部ボディの近位運動により可動的であってもよい。プレフィルドシリンジの後退は、その結果、安全デバイスの自動後退機構が機能しない場合、外部ボディを手動で起動することにより実施し得る。
【0023】
本発明の別の可能な実施態様によると、スプリング手段は、近位方向において、支持ボディに対して外部ボディを付勢するために、安全デバイス内に配置される。外部ボディを付勢するスプリング手段は、注射が完了したとき、第一の位置から第二の位置へ外部ボディを連結するアダプタ手段を自動的に後退させる。針の安全性を確保するために安全デバイスの使用者の更なる相互作用は必要としない。
【0024】
スプリング手段は、材料の疲労を避けるために、非エネルギ化状態で、又は若干のエネルギのみを付与された状態内で配置されてもよい。安全デバイスは、その結果、長期期間の保存の後ですら、確実に使用し得る。
【0025】
更にその上、プレフィルドシリンジは、第一の位置において支持ボディ内に保持されるアダプタ手段に固定される。第一の位置において、プレフィルドシリンジの皮下針は、支持ボディから遠位的に突出する。アダプタ手段に固定されたプレフィルドシリンジは、支持ボディに対して、第一の位置から第二の位置へ可動である。第二の位置において、プレフィルドシリンジの皮下針は、支持ボディにより取り囲まれる。アダプタ手段のロッキング突出部は、第二の位置においてアダプタ手段を不可逆的にロックするために、支持ボディ内に形成されたロッキング凹部に係合する。
【0026】
本発明の可能性のある実施態様によると、外部ボディは、注射行程を実行するために、遠位方向において支持ボディに対して可動であり、それにより、プレフィルドシリンジの内部キャビティに含まれる薬物又は薬剤は、皮下針を通して排出される。外部ボディは、薬物を放出するためにピストンに連結するピストンロッドに隣接する。あるいは、ピストンロッドは、外部ボディに一体化される。外部ボディは使用者により、握られてもよく、そして、未経験の使用者ですら注射デバイスの使用を可能にする患者の皮膚面に向かって、単一の直線注射行程において押されてもよい。
【0027】
本発明の詳細は以下に記載される。しかし、詳細な記載及び具体的な例は、本発明の可能な実施態様を示し、そして図を用いてのみ与えられることは、理解すべきである。本発明の精神及び範囲内での図示された実施態様の様々な変化及び改変は、当業者により認識される。
【0028】
本発明は、以下に与えられた詳細な記載から、よく理解されるであろう。添付の図面は、説明目的のためにのみ与えられ、そして本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】固定されたプレフィルドシリンジを備えたアダプタ手段の透視図を示す。
図2】使用前の注射デバイスの透視図を示す。
図3】第一の位置に保持されたアダプタ手段に固定されたプレフィルドシリンジを備えた注射デバイスの断面図を示す。
図4】注射行程の終了時における注射デバイスの断面図を示す。
図5】第二の位置に保持されるアダプタ手段に固定されたプレフィルドシリンジを備えた注射デバイスの第一の断面図を示す。
図6】第二の位置に保持されるアダプタ手段に固定されたプレフィルドシリンジを備えた注射デバイスの第二の断面図を示す。
【0030】
対応する部分は、全ての図において、同一の参照記号で記す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、プレフィルドシリンジ2とプレフィルドシリンジ2用の安全デバイス3の組み合せで使用するためのアダプタ手段1を示す。プレフィルドシリンジ2は、プレフィルドシリンジ2のバレル2.1の実質的な軸方向の長さを超えて広がるアダプタ手段1内に取り付けられる。アダプタ手段1は、半径方向外側に突出する遠位カラー1.1及びバレル2のバレルカラー2.1.1に隣接する近位カラー1.2を含む。アダプタ手段1は、バレル2.1に堅固に嵌合し、そしてアダプタ手段1内にプレフィルドシリンジ2を取り付けるためにバレル2.1と摩擦係合する。
【0032】
ノズル2.2は、遠位方向にアダプタ手段1を突出させる。プレフィルドシリンジ2の皮下針2.3は、ノズル2.2に固定される。ピストンロッド2.4は、近位方向において、バレル2.1を突出させる。アダプタ手段1は、プレフィルドシリンジ2のバレル2.1の外径に対応する内径を有する中央開口部1.3を含む。プレフィルドシリンジ2は、バレル2.1と摩擦係合している二つの対向するクランプアーム1.4の間で取り付けられる。
【0033】
あるいは、アダプタ手段1は、バレル2.1の外径に対応する内径を有する実質的に円筒形状であってもよく、ここで、実質的に円筒状のアダプタ手段1の内面は、プレフィルドシリンジ2のバレル2.1と係合する。
【0034】
少なくとも一つのロッキング突出部1.1.1は、半径の外側方向においてアダプタ手段1の遠位カラー1.1から突出する。ロッキング突出部1.1.1は、弾性的に偏向可能であり、そして注射後、プレフィルドシリンジ2のための針の安全性を提供する安全デバイス3に、アダプタ手段1をロックするように適合される。
【0035】
あるいは、ロッキング突出部1.1.1は、アダプタ手段1のクランプアーム1.4又は近位カラー1.2から突出し得る。
【0036】
図1は遠位カラー1.1を示し、ここで二つの半径方向外側に突出するロッキング突出部1.1.1は、遠位カラー1.1の反対側に形成される。アダプタ手段1は、ポリマー、エラストマー、又は特に、シリコーンエラストマーなどの弾性的なプラスチック材料で作られる。
【0037】
図2は、使用前のプレフィルドシリンジ2及び安全デバイス1を含む注射デバイスDの透視図を示す。プレフィルドシリンジ1は、安全デバイス3内に取り付けられたアダプタ手段1内に保持される。安全デバイス3は、中空支持ボディ3.1及び中空外部ボディ3.2を含む。外部ボディ3.2は、支持ボディ3.1に対して摺動可能に配置される。注射中に、外部ボディ3.2は、プレフィルドシリンジ2のピストンロッド2.4を起動させるために、遠位方向で指示本体2.1に対して動き、それにより、バレル2.1の内部キャビティ2.1.2内に含まれる薬物が放出される。
【0038】
あるいは、ピストンロッド2.4は、外部ボディ1.3に一体化され得る。
【0039】
支持ボディ3.1は、支持ボディ3.1の実質的に軸方向の長さを超えて広がる少なくとも一つの縦方向スロット3.1.1を含む。縦方向スロット3.1.1は、外部ボディ3.2の可撓性アーム3.2.1に形成された半径方向突出部3.2.1.1を収容する。可撓性アーム3.2.1は外部ボディ3.2に一体化され、そして半径方向外側に弾性的に偏向可能である。半径方向突出部3.2.1.1は、外部ボディ3.2が注射行程を実行するために、支持ボディ3.1に対して動くとき、縦方向スロット3.1.1に沿って動く。
【0040】
円周状の保持部材3.2.2は、外部ボディ3.2の外面に形成される。保持部材3.2.2は、注射行程の実施時に使用者の手を支え、それによって、外部ボディ3.2は、手動で、支持ボディ3.1に対して遠位方向に押される。
【0041】
プレフィルドシリンジ2は、皮下針2.3が遠位方向において支持ボディを突出させるように、支持ボディ3.1内に保持されるアダプタ手段1に固定される。注射デバイスDの使用前に、皮下針2.3が、プレフィルドシリンジのノズル2.2に摩擦で固定されるニードルキャップ2.5で覆われる。
【0042】
更に、支持ボディ3.1は、増大した表面積を提供し、そして注射中に患者の皮膚の上に載っている(rest onto)ように適合するフランジ(図示されていない)を含んでもよい。
【0043】
アダプタ手段1の内部寸法及び、特に、中央開口部1.3の内径は、プレフィルドシリンジ2の外部寸法、及び特に、バレル2.1の外径に対応する。プレフィルドシリン2がアダプタ手段1に堅く保持され得るように、種々のサイズのプレフィルドシリンジ2の外部寸法に適合する内部寸法を含む異なったアダプタ手段1を提供することは本発明の範囲内である。異なったアダプタ手段1の外部寸法は、アダプタ手段1が支持ボディ3.1内に取り付けることができるように、支持ボディ1.2の内部寸法と同一であり、及びそれに対応する。アダプタ手段1は、その結果、安全デバイス3の支持ボディ3.1内で様々なサイズの内の一つのプレフィルドシリンジを取り付けることを可能にするスペーサエレメントとして動作する。支持ボディ3.1及び外部ボディ3.2を含む安全デバイス3の主構成部材の寸法は、その結果、プレフィルドシリンジ2の外部寸法と本質的に独立して選択され得る
【0044】
図3は内部キャビティ2.1.2に含まれる薬物又は薬剤が患者の皮膚の下に送達される前の注射デバイスDの断面図を示す。アダプタ手段1の近位カラー1.2は、支持ボディ3.1の内面に形成された二つの反対側で半径方向内側に突出する内部リブ3.1.2に隣接する。内部リブ3.1.2は、アダプタ手段1とその中に保持されるプレフィルドシリンジ2を近位方向における第一位置から動くことを可能にする方法でアダプタ手段1を支持ボディ3.1に取り付ける。
【0045】
二つの縦方向スロット3.1.1は、支持ボディ3.1の反対側に形成される。各々の縦方向スロット3.1.1は、注射行程が実施されるとき、縦方向スロット3.1.1に沿って動く一つの半径方向突出部3.2.1.1を受け入れ、それにより、外部ボディ3.2の支持ボディ3.1に対して相対的回転が阻止される。半径方向突出部3.2.1.1は、アダプタ手段1の遠位カラー1.1が注射行程の終了時に、半径方向突出部3.2.1.1により係合され得るように、縦方向スロット3.1.1を通して突出する。
【0046】
注射が実施される前に、半径方向突出部3.2.1.1は、支持ボディ3.1に対して外部ボディ3.2の近位運動を制限するために、支持ボディ3.1の内部リブ3.1.2に隣接する。
【0047】
ピストンロッド2.4は、内部キャビティ2.1.2の近位端を液密的にシールするピストン2.6と連結する。ピストンロッド2.4は、ピストンロッド2.4とピストン2.6が遠位方向で外部ボディ3.2を手動で押すことにより動き得るように、外部ボディ3.2の近位面に隣接し、それにより、薬物はプレフィルドシリンジ2の皮下針2.3を通して排出される。
【0048】
スプリング手段3.3は、近位方向において、支持ボディ3.1に対して外部ボディ3.2を付勢する安全デバイス3と一緒に配置される。始めに、スプリング手段3.3は、安全デバイス3内で非エネルギ化状態又は若干のエネルギ化状態でのみ配置される。図3で示すスプリング手段3.3は、遠位方向で支持ボディ3.1に対して、及び近位方向で外部ボディ3.2に対して、重みがかかる従来の圧縮スプリングとして実施される。圧縮スプリングが金属から作られる。
【0049】
あるいは、スプリング手段3.3は、製造コストを下げるために、プラスチック材料から作られてもよい。スプリング手段3.3は、異なった形状、及び近位方向において外部ボディ3.2を付勢するために好適なデザインを有し得る。
【0050】
図4は注射行程の終了時の注射デバイスDの断面図を示す。支持ボディ3.1は、実質的に、中空外部ボディ3.2内に、受け入れられる。スプリング手段3.3は、外部ボディ3.2が近位方向において、支持ボディ3.1に対して、強く付勢するように、完全にエネルギが付与され、そして充電される。ピストンロッド2.4は、バレル2.1内に完全に押し込まれる。半径方向突出部3.2.1.1は、それに固定されたプレフィルドシリンジ2を有するアダプタ手段1が支持ボディ3.1に対して外部ボディ3.2の近位運動により、近位方向で第一の位置Iから後退し得るように、遠位カラー1.1と係合する。
【0051】
遠位カラー1.1は、半径方向突出部3.2.1.1の第二の先細の側面3.2.1.2に対応する第一の先細側面1.1.2を含む。第一及び第二の先細側面1.1.2、3.2.1.2は、半径方向突出部3.2.1.1を遠位方向において遠位カラー1.1を通過することを可能にし、それにより可撓性アーム3.2.1を半径方向外側に偏向させる。
【0052】
図5は注射を実施した後の注射デバイスDの第一の断面図を示す。プレフィルドシリンジ2をそれに固定したアダプタ手段1は、後退した第二の位置IIに保持され、ここでプレフィルドシリンジの皮下針2.3は、支持ボディ3.1で囲まれる。スプリング手段3.3は、非エネルギ化又は若干のエネルギ化状態にある。
【0053】
図6は注射デバイスDの第二の断面図を示す。図6に示された切断面は、実質的に円筒形の安全デバイス3の軸の周囲を約90°の角度で、第一の断面図に対して回転する。アダプタ手段1のロッキング突出部1.1.1は、第二の位置IIでアダプタ手段1とそれに固定されたプレフィルドシリンジ2を恒久的にロックするために支持ボディ3.1内に形成されたロッキング凹部3.1.3に掛止する。その結果、プレフィルドシリンジ2の皮下針2.3の再露出は、ロッキング凹部3.1.3に係合するロッキング突出部1.1.1により阻止される。
【0054】
ロッキング凹部3.1.3に係合するロッキング突出部1.1.1は、外部ボディ3.2により取り囲まれ、そして外部から接近不能である。これは、アダプタ手段1を第二の位置IIで保持することからロックを解除するため、人がロッキング突出部1.1.1を改造することを阻止する。支持ボディ3.1に対して外部ボディ3.2の運動が、ロッキング突出部1.1.1とロッキング凹部3.1.3の露出を阻止する縦方向スロット3.1.1の近位端に隣接する半径方向突出部3.2.1.1により制限される。
【0055】
注射は次の通りに実施される。
ニードルキャップ2.5を取り除いた後、皮下針2.3は、患者の皮膚内に挿入される。増大した表面積を提供するフランジ(図示されていない)は、薬物又は薬剤の注射を容易にするために患者の皮膚の上に載っていてもよい。外部ボディ3.2は、注射行程を実行するために患者の皮膚に向かって遠位方向に押し、それにより、外部ボディ3.2は、支持ボディ3.1に対して、直線並進運動で動く。ピストン2.6は、内部キャビティ2.1.2に含まれている薬物を患者の皮膚の下に投与するために、遠位方向に外部ボディ3.2と連結して動く。
【0056】
注射行程の終了時に、薬物は完全に投与され、そしてスプリング手段3.3は、十分エネルギを付与される。半径方向突出部3.2.1.1は、遠位カラー1.1を掴む。注射サイトから注射デバイスDを取り除いたとき、スプリング手段3.3は緩和し、それにより外部ボディ3.2は、アダプタ手段1をプレフィルドシリンジ2と一緒に、第一の位置Iから第二の位置IIへ後退させるために、近位方向に動く。
【0057】
第二の位置IIにおいて、ロッキング突出部1.1.1は、皮下針2.3の連続露出を阻止するように、アダプタ手段1とプレフィルドシリンジ2を第二の位置IIに不可逆的にロックするため、ロッキング凹部3.1.3に係合する。
【0058】
参照番号リスト:
1:アダプタ手段;
1.1:遠位カラー:
1.1.1:ロッキング突出部;
1.1.2: 第一の先細側面;
1.2:近位カラー;
1.3:中央開口部;
1.4:クランプアーム;
2:プレフィルドシリンジ;
2.1:バレル;
2.1.1:バレルカラー;
2.1.2:内部キャビティ;
2.2:ノズル;
2.3:皮下針;
2.4:ピストンロッド;
2.5:ニードルキャップ;
2.6:ピストン;
3:安全デバイス;
3.1:支持ボディ;
3.1.1:縦方向スロット;
3.1.2:内部リブ;
3.1.3:ロッキング凹部;
3.2:外部ボディ;
3.2.1:可撓性アーム;
3.2.1.1:半径方向突出部;
3.2.1.2:第二の先細側面;
3.2.2:保持手段;
3.3:スプリング手段;
D:注射デバイス;
I:第一の位置;
II:第二の位置;
図1
図2
図3
図4
図5
図6