(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願に記載された発明の態様の理解を助けるために、本明細書において使用される用語は以下に定義される。
【0014】
「近位」は、本願において開示された手術器具の端部であって、使用中にオペレータに近い方を指す。
【0015】
「遠位」は、本願開示の手術器具の端部であって、使用中にオペレータから遠い方を指す。
【0016】
下記の詳細な説明において、添付の図面への参照がなされ、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に記載されており、本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態も利用可能であり、構造的または論理的変更をなすことができると理解されよう。よって、以下の詳細な説明は限定するものとしてとられるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0017】
本願開示は、手術部位に対して最小限に侵襲性のアクセスを提供するための複数の手術装置を有する手術システム100に関する。一実施形態において、手術システム100は円錐部300、拡張器200、および手術器具400、閉塞装置600、またはこれらの任意の組み合わせを有する。
【0018】
図1を参照すると、例として、体の組織または結腸を拡張する拡張器200が提供される(これに限定されない)。体の組織は、体にあるいずれの組織でもよく、例えば、皮膚、筋膜、脂肪組織、筋肉、靱帯、腹膜などである(これらに限定されない)。体の組織の拡張は、先に作られた組織腔(例えば、腹部、胸部、内臓、関節など(これらに限定されない)の直径を大きくし、患者の外部から体腔に通過する。拡張器200は細長い胴体210、テーパー部220、近位端201、および遠位端202を有する。
【0019】
テーパー部220は円錐であり、細長い胴体210の遠位端から拡張器200の遠位端202までテーパーし、これにより拡張器先端221を備える。拡張器先端221は、丸みを帯びており、あるいは半円の形状をしており、体腔に位置する体の組織および臓器へのダメージを避ける。拡張器先端221は組織内腔(tissue lumen)内への遠位端202の挿入を容易にする。一実施形態において、テーパー部220は拡張器200が体の組織を通過する際に体の組織を次第に拡張し、ここではテーパー部220が体の組織を所望の直径に拡張し、これにより組織内腔の直径を大きくする。組織内腔の拡張によって、手術器具400または手術器具400に係合した円錐部300の通過が可能になる。一実施形態において、テーパー部220は平滑な表面を有する。
【0020】
テーパー部220の長さは体の組織の厚みに依る。テーパー部220の長さは体の組織の厚みが増すにつれて長くなる。適切な使用を可能にするのであればいずれのテーパー部220の長さでもよいが、好適にはテーパー部220の長さは1.00インチ〜6.50インチである。テーパー部220の近位端の直径は、組織内腔に挿入される手術器具400および円錐部300の幅または直径に依る。適切な使用を可能にするのであればいずれのテーパー部220の近位端の直径でもよいが、好適にはテーパー部220の近位端の直径は0.80インチ〜1.50インチである。例えば、テーパー部220の近位端は、直径0.83インチ、0.98インチ、1.06インチ、1.14インチ、1.30インチ等を有し得る。
【0021】
一実施形態において、テーパー部220は、少なくとも一のマーカー222を有する。マーカー222は、組織内腔の直径を表示し、および/または拡張器200が体の組織を貫通した距離を表示することができる。テーパー部220にあるマーカー222の位置は変えることができ、組織内腔に導入される手術器具400の幅または直径に依る。一実施形態において、マーカー222は好適にはテーパー部220周囲の外周溝である。遠位端202からのマーカー222の実際の距離は、組織内腔の所望の直径、テーパー部220の長さ、非テーパー部213の直径、および/または体の組織内への所望の貫通距離に依る。マーカー222の箇所の好適な直径は、0.60インチよりも大きいか同等である。一実施形態において、テーパー部220は、複数の手術器具400の直径または円錐部300の直径に対応する複数のマーカー222を有する。例えば、テーパー部220は、直径0.83インチに対応するマーカー222を有し、直径0.98インチに対応するマーカー222、直径1.06インチに対応するマーカー222、直径1.14インチに対応するマーカー222、および直径1.30インチに対応するマーカー222を有する。
【0022】
一実施形態において、拡張器200は、表面積を減少させるために拡張器溝223を有し、これにより組織内腔を貫通する拡張器によって作られる拡張器200と組織内腔との間の摩擦を減少させる。拡張器溝223はチャネルであり、拡張器200の表面積摩擦の減少を可能にし、かつ組織内腔の拡張を可能にする任意の寸法を有し得る。拡張器溝223の幅は拡張器200と組織内腔との間の摩擦の量に影響し、ここでは拡張器溝223の幅の増加が拡張器200と組織内腔との間の摩擦を減少させる。一実施形態において、拡張器溝223はテーパー部220の表面に位置する。一実施形態において、拡張器溝223はテーパー部220および非テーパー部213の表面に位置する。拡張器溝223はテーパー部220の近位端からテーパー部220の遠位端に延在し、かつ
図1に示されるように直線状であるか、らせん状である。一実施形態において、遠位端での拡張器溝223の深さは近位端での拡張器溝223の深さよりも浅い。
【0023】
一実施形態において、細長い胴体210はハンドル211およびテーパー部212を有する。ハンドル211は拡張器200の近位端201に位置する。一の好適な実施形態において、細長い胴体210は、ハンドル211を適切な位置決めを提供し、容易にするように構成され、テーパー部220に対するハンドル211の方向をユーザーに指し示す。一実施形態において、ハンドル211の断面は多角形を有し、これによりユーザーがしっかりと掴むことができる。テーパー部212は実質的に円錐形状である。テーパー部212は、組織内腔を通して拡張器200を逆方向に引っ張ることによって回収されるときにこの組織内腔を再拡張することができる。一実施形態において、テーパー部212およびハンドル211は拡張器200をより軽くしかつより容易に操作できるようにする。テーパー部212の近位端はハンドル211と係合し、かつテーパー部212の遠位端はテーパー部220の近位端と係合する。
【0024】
一実施形態において、細長い胴体210はテーパー部220とテーパー部212との間に延在する非テーパー部213を有する。ここで、テーパー部212の近位端はハンドル211と係合し、かつテーパー部212の遠位端は非テーパー部213と係合する。非テーパー部213の遠位端はテーパー部220に係合し、かつ非テーパー部213の近位端は拡張器200のテーパー部212に係合する。非テーパー部213は体の組織の拡張を維持する。
【0025】
一実施形態において、
図1に示されるように、細長い胴体210はユーザーの手のひらへの怪我を防ぐためにノブ214を有する。ノブは細長い胴体210の近位端と係合する。ノブ214の直径は適切な使用を可能にするのであればいずれの寸法でもよいが、好適にはノブ214の直径は非テーパー部213の直径と同じである。
【0026】
一実施形態において、ノブ214は、組織内腔または結腸の直径ならびに/またはノブ214が体の組織もしくは結腸に貫通した距離を表示するマーカー216を有し得る。ノブ214にあるマーカー216の位置は変更することができ、組織内腔または結腸に導入される手術器具400の幅または直径に依る。一実施形態において、マーカー216は好適にはノブ214の外周溝である。ノブ214の近位端からのマーカー216の実際の距離は、組織内腔または結腸所望の直径、ノブ214の長さ、ならびに/または体の組織もしくは結腸への所望の貫通距離に依る。マーカー216の箇所での好適な直径は0.60インチよりも大きいかこれと同等である。一実施形態において、ノブ214は複数の手術器具400の直径または円錐部300の直径に対応する複数のマーカー216を有する。例えば、ノブ214は直径0.83インチに対応するマーカー216、直径0.98インチに対応するマーカー216、直径1.06インチに対応するマーカー216、直径1.14インチに対応するマーカー216、および直径1.30インチに対応するマーカー216有する。
【0027】
拡張器200の寸法は、組織内腔または結腸の所望の直径、組織内腔が通る体の組織の厚み、貫通される腔、または組織内腔を通る手術器具400の種類に依るが、拡張器200の長さは適切な使用を可能にするのであればいずれの長さでもよい。例えば、拡張器200の長さは、好適には11.00インチ〜17.00インチであり、細長い胴体210の長さは好適には5.00インチ〜11.00インチであり、ハンドル211の長さは好適には2.00インチ〜8.00インチであり、テーパー部220の長さは1.00インチ〜6.50インチであり、テーパー部212の長さは好適には1.00インチ〜3.00インチであり、非テーパー部213の長さは好適には1.00インチ〜5.00インチであり、拡張器先端221の最も大きな直径の長さは好適には0.12インチ〜0.38インチであり、およびテーパー部220のテーパー角は好適には4度〜25度である(これらに限定しない)。
【0028】
一実施形態において、拡張器200は組織内腔の壁と係合するための雄ねじを有し、これによりユーザーが拡張器200を組織内腔内にねじ込むか回すことで拡張器200を組織内腔を通して引っ張る力を作る。この雄ねじはテーパー部220の近位端から拡張器200の遠位端202までテーパー部220の表面にらせん状に延びる。雄ねじは、拡張器200を組織内腔を通して引っ張ることを可能にする任意のガイド角度を有し得る。一実施形態において、拡張器は複数の別個の雄ねじを有することができる。拡張器200は、組織内腔を貫通および拡張するための拡張器200を回転することによって体の組織を拡張するためにコルク抜きの様に使用することもでき、これにより雄ねじは拡張器200が手術部位に突き刺さるのを防ぐ。
【0029】
一実施形態において、手術器具400は体の組織を通る任意の器具であり得、例えば、手術用ステープラー、ファン・レトラクター、間接型解剖器具などである(これらに限定されない)。手術器具400は適切な使用を可能にするのであればいずれのサイズでもよい。
図2a〜3aを参照すると、手術器具400が提供され、これは例として、近似ノブ410、ハンドル組立体420、細長い胴体430、カートリッジ組立体440、およびアンビル組立体450を有する円形手術用ステープラーとして図示されるものである(これに限定されない)。
【0030】
ハンドル組立体420は細長い胴体430によりカートリッジ組立体440に接続されている。ハンドル組立体420は手術用ステープラーを駆動するための引き金422を有し、この引き金422は複数のステープルからなる円形の構成を展開し、組織の一部分を円形に切断し除去する。アンビル組立体450はアンビルリテーナ451およびアンビル452を有する。近似ノブ410は手術器具400の近位端401に位置する。近似ノブ410は、アンビルリテーナ451に動作的に接続され、これは、近似ノブ410の動作(例えば回転)がアンビルリテーナ451の前進または後退をもたらすようになされる。アンビル452はアンビルリテーナ451に解放可能に固定され、一方の位置においてアンビル452がアンビルリテーナ451から分離され、他方の位置においてアンビル452はアンビルリテーナ451と相互作用する。アンビルリテーナ451そしてアンビル452は、例えば近似ノブ410を回転させるという動作によってカートリッジ組立体440と接近するように移動可能である。手術用ステープラーを作動させる前に、ステープル・ライン・エンハンスナー(staple line enhancer)、例えばペリストリップ(peristrip)がアンビルリテーナ451を越えて渡され、手術用ステープラーの遠位端402上に渡される(これに限定されない)。カートリッジ組立体440は複数の直径サイズを有する。
【0031】
図2a〜5を参照すると、例として、円錐部300が、取り囲む体の組織または結腸を拡張することによって体の組織または結腸を通して手術器具400を導入し(これに限定されない)、これにより取り囲む体の組織に生じる外傷の量を最小限にする。一実施形態において、円錐部300は任意の適切な手段によって外傷を最小限にすることができ、例えば、円錐部300によって、ユーザーが体の組織内の組織内腔の方向を特定することができ、組織内腔を通して手術器具400をナビゲートし、同時に取り囲む組織への損傷を最小限にすることができる(これに限定されない)。一実施形態において、この円錐部300は除去されるときにこの取り囲む組織を切断するのではなく拡張することで、この取り囲む組織および内腔が幾分締め付けられることを可能にし、その拡張前の形態をいくらか回復し、これによりヘルニア形成のリスクを減らし、および/または組織内腔を閉じる(閉鎖する)ためにより多くの縫合糸を必要とする必要性を減らす。一実施形態において、円錐部300は、ユーザーが締め付けていた組織内腔の先に拡張した部分を再拡張することができ、同時に取り囲む体の組織への損傷は最小限となる。
【0032】
図4a〜4cおよび5を参照すると、円錐部300は、本体310、円錐部先端320、長手方向に延在する軸方向穴330、および外面303を有する。円錐部300の近位端301は手術器具400の遠位端402と係合する。
【0033】
本体310は円錐であり、好適には近位端301から遠位端302まで円錐であり、これにより円錐部先端320を提供することができる。円錐部先端320は、丸みを帯びており、あるいは半円の形状をしており、体腔に位置する体の組織および臓器への損傷(ダメージ)を避ける。一実施形態において、円錐部先端320は、先に作られた組織内腔内への遠位端302の挿入を容易にする。組織内腔はトロカールといった器具によって作られることができる。ここで、円錐部300は、円錐部310が体の組織を通過する際に体の組織を次第に拡張し、ここでは円錐部300が体の組織を所望の直径に拡張し、これにより組織内腔の直径を大きくし、この器具が体または腹腔内により容易に入ることができる。一実施形態において、このテーパーした構成は、先に拡張された組織内腔内への遠位端302の挿入を容易する。組織内腔は例えば拡張器やトロカールなど(これらに限定されない)を使用して先に拡張されることができる。ここで、円錐部300はこの円錐部300が体の組織を通過する際に体の組織を次第に再拡張することを可能にする。円錐部300によって、ユーザーが体の組織内の組織内腔の方向を特定することができ、組織内腔を通して体または腹腔内にナビゲートする。
【0034】
長手方向に延在する軸方向穴330は、アンビルリテーナ451を同軸で受け入れ、これにより円錐部300の近位端301を手術器具400の遠位端402に係合することを可能にする。一実施形態において、軸方向穴330はアンビルリテーナ451を受け入れ、これにより円錐部300の側方移動や間違った位置に移動するのを防ぐ。軸方向穴330は任意の適切な寸法でよいが、好適にはその寸法は円錐部300と共に使用されるアンビルリテーナ451の寸法に対応する。例えば、アンビルリテーナ451と軸方向穴330との間の交差はゼロであり、ここでは、軸方向穴330は、アンビルリテーナ451に嵌合するように設計され、あるいは、円錐部300がアンビルリテーナ451から解放されるようにゼロよりも大きい(これらに限定されない)。一実施形態において、軸方向穴330の深さはアンビルリテーナ451の長さよりも浅く、これによりアンビルリテーナが拡張した位置にあるときにこのアンビルリテーナは円錐部300を手術器具400から離すように押すことができる。
【0035】
一実施形態において、円錐部300の近位端301は近位空洞340および空洞表面341を有し、ここでは、空洞表面341の外縁は手術器具400の遠位端402の外縁と係合する。近位空洞340はペリストリップを円錐部300の近位端301と接触することを防ぎ、円錐部300の近位端301(円錐部300が手術器具400の遠位端402から外される(非係合状態にされる)ところ)にくっつくことを防ぐ。一実施形態において、円錐部300の近位端301は近位空洞340の周りの環状肩部350を有し、ここでこの肩部350は手術器具400の遠位端402の外縁と係合する。これは、ペリストリップが円錐部300の近位端301と接触するのを防ぎ、このペリストリップが円錐部300の近位端301(錐部300が手術器具400から外れるところ)にくっつくのを防ぐ。近位空洞340は近位空洞340が手術器具400を受け入れることができる直径を有することができる。近位空洞340は近位空洞340が手術器具400および保護鞘(保護用覆い)500を受け入れることができる直径を有することができ、ここで手術器具400は保護鞘500によって受け入れられる。肩部350は手術器具400の直径に対応する任意の直径を有することができる。肩部350は手術器具400および保護鞘500の直径に対応する任意の直径を有することができ、ここで手術器具400は保護鞘500によって受け入れられる。一実施形態において、肩部350の直径によって、肩部350がペリストリップと接触するのを防ぐことができ、手術器具400の適切な動作が可能となる。
【0036】
一実施形態において、アンビル452が手術用ステープラーと相互作用する場合でかつ手術器具400が閉じられた位置にある場合、近位空洞340はアンビル452の遠位端と嵌合するように設計される。ここで、近位空洞340およびカラー(環状部)360は、アンビル452がその取り付けられた閉じられた位置にあるときに円錐部300が手術器具400の遠位端402に置かれて保持されることを可能にし、これにより手術器具400が組織内腔を通るときにアンビル452が手術器具400と係合することを可能にする。この実施形態において、近位空洞340は、手術器具400と共に使用するために利用可能な複数のアンビル452の寸法に対応する任意の寸法を有することができ、なお適時に容易な解放を可能にすることができる。
【0037】
一実施形態において、円錐部300は、この円錐部300が手術器具400の近位端401と係合するときにこの円錐部300の側方移動や間違った位置に移動するのを防ぐカラー360を有する。カラー360は、手術器具400の遠位端402を受け入れるカラー空洞370を提供する。カラー360は手術器具400の遠位端402と嵌合するように設計され、これにより円錐部300の側方移動や間違った位置に移動するのを防ぐ。この実施形態において、円錐部300の環状肩部350は手術器具400の遠位端402と係合し、これにより円錐部300が手術器具400から外れるときにペリストリップが円錐部300にくっつくのを防ぐ。カラー360は任意の適切な寸法でよいが、好適にはカラー360は、高さは0.25インチと2.00インチとの間で、幅はカラー360の外面の一地点からカラー360の反対側の外面の一地点までが0.60インチと1.50インチの間であり、厚さが0.03インチと0.16インチの間である。一実施形態において、アンビルリテーナ451は軸方向穴330よりも長い。ここで、カラー360は好適には高さが1/4インチと2インチの間である。一実施形態において、カラー360の高さは完全に伸びたアンビルリテーナ451の長さから軸方向穴330の深さを引いたものである。
【0038】
円錐部300の寸法は、組織内腔の所望の直径、組織内腔が通る体の組織の厚み、貫通される腔、または組織内腔を通る手術器具400の種類に依るが、円錐部300の長さは好適には約1.00インチ〜6.50インチ、近位空洞340の深さは好適には約0.16インチ〜0.34インチ、肩部350の幅は好適には約0.02〜0.05インチ、カラー360の高さは好適には約0.25〜2.00インチである。
【0039】
円錐部300の近位端の直径は、手術器具400の幅または直径、または手術器具400および保護鞘500の直径に依り、ここで手術器具400は保護鞘500によって受け入れられる。適切な使用を可能にするのであればいずれの円錐部300の近位端の直径でもよいが、好適には円錐部の近位端の直径は0.80インチ〜1.50インチである。例えば、円錐部300の近位端は直径0.83インチ、0.98インチ、1.06インチ、1.14インチ、1.30インチ、などを有し得る。
【0040】
一実施形態において、円錐部300は表面積を減少させるための円錐部溝375を有し、これにより円錐部300と組織内腔の間の摩擦を減少させる。円錐部溝375はチャネルであり、円錐部300の表面積摩擦を減少させることができ、かつ組織内腔の拡張を可能にする任意の寸法を有し得る。円錐部溝375の幅は円錐部300と組織内腔との間の摩擦の量に影響し、ここでは円錐部溝375の幅の増加が円錐部300と組織内腔との間の摩擦を減少させる。拡張器溝223は円錐部300の表面に位置する。円錐部溝375は円錐部300の近位端301から遠位端302に延在し、、かつ
図4bおよび4cに示されるように直線状であるか、らせん状であり得る。一実施形態において、遠位端での円錐部溝375の深さは近位端での円錐部溝375の深さよりも浅い。一実施形態において、近位端301での円錐部溝375の幅は遠位端302での円錐部溝375の幅よりも大きい。
【0041】
一実施形態において、
図5に示されるように、円錐部300は細長い胴体430に対する円錐部300の長手方向運動を防ぐための固定装置380を有する。好適には固定装置380は経路381および固定糸382を有するが、あらゆる適切な固定装置380が可能である。経路381は、円錐部300を横断して延び、その直径は固定糸382を円錐部300を通すことができるものである。固定糸382は二つの端部383、384を有する。円錐部300が手術器具400の遠位端402に係合し、固定糸382が経路381を通るため、固定糸382の二つの端部383、384は手術器具400の遠位端402に向かって引っ張られ、これにより円錐部300に掛かる実質的に長手方向力が手術器具400の遠位端402に向かって生じ、円錐部300を手術器具400に固定する。一実施形態において、端部383、384は固定糸の使用を更に容易にするために互いに結ばれ、より大きな力ベクトルが円錐部300に掛かることを可能にする。好適には経路381は円錐部先端320に位置するが、経路381はあらゆる適切な位置が可能であり、例えば、経路381は本体310の近位端301に位置することができる(これに限定しない)。固定糸382は好適には縫合糸である。
【0042】
一実施形態において、固定装置380は軸方向穴330内に組み込まれたクリップである。ここで、軸方向穴330の幅はアンビルリテーナ451の幅よりも僅かに小さく、これによりアンビルリテーナ451が軸方向穴330内に通るときにクリップがアンビルリテーナ451と係合することができ、これにより円錐部300の長手方向運動を防ぐ。
【0043】
好適な実施形態において、システム100は外科的処置がもたらす汚染、接種、感染などを防ぐための保護鞘500を有する。
図2a〜3bを参照すると、保護鞘500は、細長い内腔520を画成する細長い管状体510を有し、近位端501および遠位端502を有する。手術器具400は保護鞘500の内腔を通り、これにより手術器具400が組織内腔を通して出入りする際に手術器具400が体の組織に接触するのを防ぐ。保護鞘500の寸法は手術器具400の寸法に依って変更し得る。保護鞘の内径は手術器具400の外径よりも大きな直径を有し、手術器具400が内腔520を通してスムーズに移動することができるように設計される。保護鞘500の長さは手術器具400が通る体の組織の厚みよりも長く、よって体の組織との接触から手術器具400を隔離し、よって手術器具400の配置および除去の間に組織の汚染から隔離する。好適な実施形態において、保護鞘500の長さはハンドル組立体420の遠位端と手術器具400の遠位端402まで1インチの間の距離である。保護鞘500はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ラテックス、無ラテックス材料などから成形されることができる。
【0044】
一実施形態において、
図3aに示されるように、保護鞘500はこの保護鞘500の内面と係合する少なくとも一のリブ530を有する。リブ530は、手術器具400が保護鞘500の内部から外されるときに発生する手術器具と保護鞘500の内面との間の摩擦を減少することができる。一実施形態において、リブ530は保護鞘500の全長に亘る。一実施形態において、リブ530は保護鞘500の全長の一部に亘る。リブ530は手術器具400と保護鞘500の内面の間の間隙532を提供する。腹部からのガス(気体)、例えば、二酸化炭素は、間隙532を満たし、これにより手術器具400に接触する保護鞘500の内面積の量を減少させ、これにより保護鞘500の内面と手術器具400との間の摩擦の量を減少させる。
【0045】
一実施形態において、
図3bに示されるように、システムは保護鞘の近位端と手術器具400との間を通るの量を減少させるための鞘シール540を有し、これにより保護鞘500の内面と手術器具400との間の摩擦が減少することを確実にし、および/または外科的処置(外科手術)を行うのに必要とされる腹腔の大きさを維持する。一実施形態において、鞘シール540はこの鞘シール540を保護鞘500および/または手術器具400に係合しまたは固定できるように接着物質を備える一の表面を有する。
図3bに示されるように、鞘シール540は保護鞘500および手術器具400の近位端と同時に係合することができ、これによりガスが保護鞘500の近位端と手術器具400との間を通ることを防ぐ。鞘シール540は保護鞘500の近位端および手術器具400の周囲に巻き付けられる。一実施形態において、このガスは二酸化炭素といった腹部ガスであり得る。
【0046】
一実施形態において、
図3bに示されるように、このシステムは鞘シール540を裂くための分離機構550を有し、これにより手術器具400から保護鞘500の近位端を切り離す。分離機構550は鞘シール540を分離するか裂くための任意の手段(例えば、ミシン目)であり得るが、好適には分離機構550はひも、縫合糸などである。
図3bに示されるように、分離機構550は保護鞘500の近位端に並置された手術器具400の周囲に配置されている。そして鞘シール540の一部は保護鞘500の近位端の周囲に配置されておりこれに係合し、鞘シール540の一部は手術器具400の周囲に配置されておりこれに係合し、ここで、分離機構550はこの分離機構550の一部が鞘シール540から露出されるように配置されている。一実施形態において、分離機構550は保護鞘500内に組み込まれている。手術器具400を保護鞘500の内部から外すことができるように、分離機構550の露出された部分が引っ張られ、これにより鞘シール540を2つの部分に裂き、手術器具400から保護鞘500を切り離す。
【0047】
一実施形態において、保護鞘500はこの保護鞘500を手術器具400に固定するための鞘固定具を有し、これにより保護鞘500が手術器具400から外れるのを防止する。鞘固定具は保護鞘500を手術器具400に固定するために任意の適切な手段であり得るが、この鞘固定具は好適にはアンビルリテーナ451と係合する補強部であり、これにより保護鞘500を手術器具400に固定する。この補強部は保護鞘500を手術器具400に固定することができる任意の適切な手段であり得るが、例えば、厚みを増やした部分や、鞘固定具内に組み込まれてアンビルリテーナ451の一部を受け入れるような大きさに形成されたリングなどである(これらに限定されない)。一実施形態において、鞘固定具は手術器具400の遠位端と係合するクリップである。一実施形態において、保護鞘500および円錐部300は単一の装置に再組立される。
【0048】
一実施形態において、遠位端402の直径が手術器具400の他の部分(例えば、カートリッジ組立体440および細長い胴体430)の直径よりも大きい所では、このシステムはカートリッジ組立体440および/または細長い胴体430の直径が実質的に遠位端402の直径に類似するように手術器具400の直径を大きくするためのシェル460を有する。シェル460によって大きくされた手術器具400の直径は、カートリッジ組立体440および/または細長い胴体430が組織内腔を通るときに保護鞘500と組織内腔との間の体腔から逃れた腹部ガスを防ぐ。シェル460の長さは任意の長さであり得、好適には手術器具400が組織内腔を通る距離に実質的に類似する。シェル460は任意の剛体材料からなることができる(例えばプラスチックや金属など)。
【0049】
例として、手術用ステープラーが手術器具400である(これに限定されない)、手術システム100を用いる方法が記載される。切り込みが体の組織に作られる。トロカールまたは類似する器具がこの切り込みに挿入され、かつ体の組織を通して挿入され、これにより組織内腔を作る。トロカールは組織内腔から除去され、拡張器先端221が組織内腔内に挿入され、これにより組織内腔を拡張する。拡張器200はマーカー222によって示される体の組織内の所望の深さまで貫通し、これにより体の組織を、使用される手術器具400の所望の直径を受け入れるのに十分な特定の直径まで拡張し、組織内腔の直径を大きくする。組織内腔は手術用ステープラーの通過を可能にする。手術用ステープラーの細長い胴体430は保護鞘500の遠位端502が手術用ステープラーの遠位端402と実質的に面一になるまでまたは僅かに遠位端402を越えるまで保護鞘500の内腔520を進む。
【0050】
固定糸382が円錐部300の経路381に通される。円錐部300は手術用ステープラーの遠位端402と係合し、これによりカラー空洞370は手術用ステープラーの遠位端402および保護鞘500の遠位端502を受け入れ、手術用ステープラーの周縁部は円錐部300の肩部350と係合する。保護鞘500を受け入れることによって、カラー360は手術用ステープラーと円錐部300との間に保護鞘500を並置することによって保護鞘500を適所に固定する。あるいは、円錐部300は手術用ステープラーの遠位端402の周囲に予め組み込まれる。固定糸382の二つの端部383、384は手術用ステープラーの遠位端402に向かって引っ張られ、これにより円錐部300を手術用ステープラーに繋留する。一実施形態において、拡張器200のテーパー部220の寸法および形状は実質的に円錐部300の寸法および形状に類似する。一実施形態において、テーパー部220および円錐部300の寸法および形状は、導入される手術器具400の種類に依る。
【0051】
手術用ステープラーに取り付けられた円錐部300の先端が組織内腔に挿入される。円錐部先端300は、ユーザーが組織内腔の方向を見つけることを可能にし、円錐部300、手術用ステープラー、および鞘500を組織内腔を通してナビゲートし、前記組織内腔を拡張する。円錐部300、鞘500、および手術用ステープラーが体腔内の所望の位置に到達すると、手術用糸の二つの端部383、384に掛けられた力が除去され、アンビルリテーナ451が引き戻される。円錐部300は手術用ステープラーから離れ落ちるか除去され、患者の外部にあり続ける2つの固定糸の端部383、384で体腔内に置かれる。保護鞘500は組織内腔内で手術器具400の周囲に残り、これにより手術用ステープラーが組織内腔に接触して汚染することを防ぐ。
【0052】
一実施形態において、
図5に示されるように、円錐部300は、この円錐部300を組織内腔を通して引っ張ることによって円錐部300を体腔から回収するための回収装置390を有する。一実施形態において、回収装置390は回収糸であり、この回収糸は好適には固定糸382と同じ糸である。しかしながら、例えば捕捉器具(grasper)、針、クランプなど(これらに限定されない)のあらゆる適切な回収装置390でよい。回収捕捉器具はこの捕捉器具の長手方向軸に垂直なペグを備える捕捉器具であり得る。このペグは円錐部300内の経路381を通り、円錐部300は組織内腔を通して引っ張られる。
【0053】
手術用ステープラーの使用が終わると、係合するアンビル452を備える手術用ステープラーは保護鞘500の内腔520を通して回収され、よって汚染することや感染症の原因となることなしに組織内腔を存在させる。次に保護鞘500が組織内腔を通して引っ張られ、別のトロカールの箇所を介して除去され、よってこの取り囲む組織の汚染を減少させかつ防ぐ。回収糸の端部が組織内腔を通して突出しており、この回収糸は引っ張られ、これにより円錐部300の先端が整合し、組織内腔を通して戻り、これにより組織内腔をたどり、拡張して、取り囲む組織への損傷を最小限にする。
【0054】
図6a〜6dを参照すると、例として、傷口を塞ぐ(閉じる)ための閉塞装置600である(これに限定されない)。閉塞装置600はガイド610および円錐部300を有し、円錐部300は縫合糸を受け入れる複数の針案内穴621を有する。軸方向穴330はガイド610を受け入れる。一実施形態において、軸方向穴330の水平断面は多角形であり、ガイド610は対応する多角形であり、これにより閉塞装置600が閉塞装置600の垂直軸を中心に回転されることを可能にする。一実施形態において、ガイド610は針案内穴621の位置決めを可能にする。一実施形態において、ガイド610は閉塞装置を組織内腔から回収することを可能にする。ガイド610は、ハンドル611、細長い胴体612、およびロック装置613を有する。あらゆる適切なロック装置613が可能であり、例えば、圧力摩擦装置、ボールおよびプランジャなどである(これらに限定されない)。ロック装置613はボールおよびプランジャであり、軸方向穴330の遠位端331はボール614を受け入れるためのスロット630を有し、これによりガイド610が軸方向穴330から引き出されるのを防ぐ。
【0055】
針案内穴621の数は円錐部300の大きさに依る。好適な実施形態において、円錐部300は4つの針案内穴621a、621b、621c、および621dを有する。一の好適な実施形態において、針案内穴621aおよび621cは実質的に互いに平行であり、針案内穴621bおよび621dは実質的に互いに平行である。一の好適な実施形態において、針案内穴621は軸線624に対して実質的に等しい角度で位置決めされている。針案内穴621は近位穴622および遠位穴623を有し、この針案内穴621は、近位穴622が近位空洞340の表面に位置し、かつ遠位穴623が円錐部300の外面303に位置するように、位置決めされる。針案内穴621はあらゆる適切な角度でよいが、好適にはこの角度は軸線624から0度〜60度の間である。
【0056】
一実施形態において、円錐部300は傷を塞ぐための閉塞装置600を有する。針案内穴621の数は、円錐部300の大きさに依る。好適な実施形態において、円錐部300は4つの針案内穴621a、621b、621c、および621dを有する。一の好適な実施形態において、針案内穴621aおよび621cは実質的に互いに平行であり、針案内穴621bおよび621dは実質的に互いに平行である。一の好適な実施形態において、針案内穴621は軸線624に対して実質的に等しい角度で位置決めされている。針案内穴621は近位穴622および遠位穴623を有し、この針案内穴621は、近位穴622が近位空洞340の表面に位置し、かつ遠位穴623が円錐部300の外面303に位置するように、位置決めされる。針案内穴621はあらゆる適切な角度でよいが、好適にはこの角度は軸線624から0度〜60度の間である。
【0057】
一実施形態において、縫合糸の端部641は、針案内穴621aの近位穴622aを通り、針案内穴621aの遠位穴623aに出て、閉じられるべき所望の体の組織660を通り、体腔内を通る。端部641は、閉じられるべき所望の体の組織660を通して回収されて引っ張られ、針案内穴621bの遠位穴623bを通り、針案内穴621bを通り、針案内穴621bの近位穴622bを通して出る。縫合糸は、縫合糸通し装置などの助けによって針案内穴621および穴622、623を通過することができる。そして円錐部300はガイド610を用いて組織内腔から除去され、閉塞は従来の方法で行われる。
【0058】
好適な実施形態において、
図6c〜6dに示されるように、閉塞縫合糸640の一端部642を閉塞装置600および体腔の外に保持する一方、閉塞縫合糸640の他端部641は縫合糸通し装置650によって針案内穴621aの近位穴622aを通り、針案内穴621aを通り、針案内穴621aの遠位穴623aを通り、閉じられるべき所望の体の組織660を通り、体腔内に入る。閉塞縫合糸640の端部641は解放され、体腔内に一時的に放置される。端部641も端部642もない縫合糸通し装置650は、針案内穴621bの近位穴622bを通り、針案内穴621bを通り、針案内穴621bの遠位穴623bを通り、閉じられるべき所望の体の組織660の反対側を通り、体腔内に入る。端部641は縫合糸通し装置650によって把持され、体の組織660を通し、針案内穴621bの遠位穴623bを通し、針案内穴621bを通し、近位穴622bを通し引っ張られる。次に端部641および642の両方が固定され、円錐部300がガイド610を用いて組織内腔から除去され、閉塞縫合糸640の二つの端部641および642を避けて通る。次に閉塞縫合糸640の二つの端部641および642は従来の方法で組織内腔を閉じる。これは、複数の針案内穴621を通して付加的な閉塞縫合糸640を用いて、あるいは、針案内穴621の方向そして付加的な閉塞縫合糸640の配置を変えるために回収ガイド部材610を用いて、繰り返すことができる。
【0059】
拡張器200、円錐部300、閉塞装置600、およびガイド610は、任意の適切な材料か、許容される殺菌可能な医療グレード材料の組み合わせを含む。例えば、拡張器200、円錐部300、閉塞装置600、およびガイド610は、ステンレス鋼、手術用鋼、チタン合金、一または複数の成形可能および/または熱成形可能なプラスチック、ポリマー、複合物(組織内腔の通過または創作のために十分に剛性のある)から成形され得る(これらに限定されない)。拡張器200、円錐部300、閉塞装置600、およびガイド610は、射出成形法、第2のスリットによる吹き込み成形法、その他の方法によって製造することができる。
【0060】
本発明の原理、実施形態、動作モードを記載してきた。しかしながら、本発明は、上記の特定の実施形態に限定されると解されるべきではなく、なぜならそれらは例示的なものと解されるべきであり、限定的なものと解されるべきではないからである。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に様々な変更を加えることができると理解されよう。
【0061】
本発明の変更および変形は上記記載に鑑み可能である。従って、本発明は本明細書において具体的に記載されたもの以外の態様で実施することができる理解されよう。