(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転可能容器は、前記軸方向に回転されるように構成され、前記コイル状のワイヤー部分は、前記回転可能容器の回転方向に対応する方向に巻かれている請求項1に記載の装置。
前記コイル状のワイヤー部分は、前記ヘリカル特徴部と前記本体部の内部表面によって形成される1以上の溝との組み合わせが可能となるように、前記ヘリカル特徴部に対応するピッチを有する請求項1に記載の装置。
前記回転可能容器は、前記軸方向に回転されるように構成され、前記コイル状のワイヤー部分は、前記回転可能容器の回転方向に対応する方向に巻かれている請求項7に記載の方法。
前記コイル状のワイヤー部分は、前記ヘリカル特徴部と前記本体部の内部表面によって形成される1以上の溝との組み合わせが可能となるように、前記ヘリカル特徴部に対応するピッチを有する請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示による、回転容器内の残留トナーを低減するためのシステム及び方法は、一般的には、それらのシステム及び方法のための、この特定の効用に関する。本開示に記載され、示される例示的実施形態は、プラスチックもしくは射出成形のボトル、カートリッジまたはディスペンサを含む、回転トナーボトル、カートリッジまたはディスペンサのいかなる特定の構成にも特に限定されると解釈してはならない。本開示で詳述する装置および方法を用いて、使用中に、粉末状の物質を容器から空にするのを助けることができる、ユニークな容器構成の有利な使用が考察されることが、認識されなければならない。
【0012】
本明細書で用いられるように、「トナー」という用語は、一般的には、印刷されたテキストおよび画像を画像受け取り基板上に形成する電子写真画像形成装置、レーザープリンターおよび写真複写機などの画像形成装置のマーキング材料として使用される粉末状の材料を指す。
【0013】
本明細書で用いられるように、「トナーカートリッジ」という用語は、一般的には、トナーが顧客および/またはエンドユーザーへの供給に便利なようにパッケージされる閉じた容器を指す。トナーカートリッジは、顧客またはエンドユーザーが画像形成装置の完全な交換ユニットとして取り付ける交換可能な消耗部品であり、一旦トナーカートリッジが画像形成装置に取り付けられると、それは画像形成装置がトナーにアクセスするために開かれることができる。
【0014】
本明細書で用いられるように、「ピッチ」という用語は、一般的には、例えば1つまたは複数のヘリカル特徴部の、コイル状のワイヤー部分の少なくとも一部のコイルとコイルとの間隔、または溝と溝との間隔、または突起と突起との間隔を指す。
【0015】
図1は、一実施形態による、回転容器内の残留トナーを低減することができるシステムの図である。
【0016】
特定の画像形成装置は、画像受け取り基板上の画像形成のためのマーキング材料として、粉末状のトナーを使用する。トナーは、典型的には、異なるサイズ、形状および組成物の容器内にパッケージされる。これらの容器は、射出成形または中空成形による容器製品をしばしば含む。これらの容器は、「トナーカートリッジ」と一般的に呼ぶことができる。顧客および/またはエンドユーザーは、トナー自体触れることは全くない。
【0017】
今日の画像形成装置は、トナーを含むすべての消耗品の監視レベルのためのモニター機能を含む。特定のトナーカートリッジ内のトナーを含む、いかなる消耗品もほとんど使い果たしたという表示があれば、慎重な顧客またはエンドユーザーは、交換消耗部品、この場合はトナーカートリッジ、を調達して用意しておくであろう。このように、トナーが枯渇したことを画像形成装置が顧客またはエンドユーザーに知らせた場合に、顧客またはエンドユーザーは、消耗した部品を取り除いて、それを新しい完全な部品に置き換えるだけでよい。
【0018】
トナーカートリッジの1つの特別な構成は、一般的に断面において円形のトナーボトルである。これらのトナーボトルは、画像形成装置内で回転するように特に構成され、それらは、トナーボトルに格納されるトナー材料がトナーボトルのディスペンス端部の開口に向かって軸方向に運ばれるように、画像形成装置に取り付けられる。それから、トナーボトルのトナー材料は、内部ヘリカル特徴部から形成されるらせん状の錐によって、ディスペンス端部の軸方向の中心開口に向かって押しやられ、トナー材料は、使用するためにトナーボトルから画像形成装置に運ばれる。
【0019】
トナーボトルからトナー材料の全てを分配することは、難しいことであり得る。トナー材料がトナーボトルの壁に沿って軸方向にトナーボトルのディスペンス端部(エンドキャップ)まで流れ、それからエンドキャップのトナーボトルの壁から放射状に中心に位置するディスペンスポイントまで流れるにつれて、トナー材料の何割かは、典型的には、トナーボトルの内部表面の全てに付着する。
【0020】
これは、実際にこのタイプのトナーボトルで観察される問題であるが、トナー材料は、トナーボトルの内面を滑ってトナーボトルの放出端へ運ばれなければならないが、効率良くそうすることができない。トナー材料の全てに満たない量がボトルの内面を滑って動く場合には、トナー材料の全てに満たない量がトナーボトルから分配されて利用できる。これは、見かけはトナーボトルが空になっているが、トナーボトルにトナー材料が残ることになり、結果として無駄になる。
【0021】
経験によれば、いくらかのかなり多くの使用可能な残留トナー材料が特定のトナーボトルに残っている場合に、特定のトナーボトル内のトナー材料の全部が排出されたことを画像形成装置が示す可能性がある。顧客またはエンドユーザーが、取り外しまたは交換の際に、トナーボトルを単純に目視することで、相当な量の残留トナーが特定のトナーボトルに残っていることを確認することができる。例えば、特定のトナーボトルを単純に手で攪拌することによって、特定のトナーボトルの内部表面の全てに付着している残留トナーを除去して、残留トナーを利用可能にすることができる。例えば、手動による攪拌は、ユーザーが画像形成装置からトナーボトルを取り外して、手に持ち、それからトナーボトルを物理的に振り動かすことで行うことができる。それから明らかに消耗したトナーボトルを画像形成装置に元通りに取り付ければ、残留トナー材料が回収されて、画像形成装置で使用することができる。
【0022】
従来の回転トナーボトル画像形成装置の上記の状況からみて、画像形成装置からトナーボトルを取り除いて手動による撹拌を実行する必要なしに、トナーカートリッジ寿命を最大にし、これによって、空のトナーカートリッジを交換するために必要とされる時間および材料の両方を低減するために、トナーボトルの残留トナーを除去するシステム及び方法を実現することは、有益であろう。
【0023】
この問題に対処するために、
図1のシステム100は、回転容器の残留トナーを低減する能力を導入する。
図1は、画像形成装置のトナーなどの粉末材料を供給するために用いることができるシステム100の分解立体図を示す。システム100は、一般的には、トナーボトルシステム101と、トナーボトルシステム101内部のインサート140と、トナーボトルシステム101が取り付けられる筐体160とを備える。
図1に示すように、トナーボトルシステム101は、一般的には、容器本体110およびエンドキャップ120を含む。後で詳しく述べるように、容器本体110およびエンドキャップ120は、典型的には密閉容器として組み合わされ、その各々はトナーボトルシステム101に格納されたトナーのディスペンス端部への流れを促進する物理的特徴を含み、ディスペンス端部はエンドキャップ120を貫通するディスペンス開口部135を含む。
【0024】
図1に、特定の物理的特徴を例示的に示す。容器本体110は、容器本体110の壁に成形されたヘリカル特徴部115を含むことができる。ヘリカル特徴部115は、トナーボトルシステム101が方向「A」に回転するにつれて、トナーボトルシステム101のトナーを、ディスペンス端部すなわちエンドキャップ120およびディスペンス開口部135へ向かう軸方向「B」へ動かすか、または押すための、らせん状の錐として作用することを目的とする。
【0025】
トナーがトナーボトルシステム101のディスペンス端部のエンドキャップ120に到着すると、トナーボトルのエンドキャップ120には、複数の面125がある。この複数の面125は、再びトナーボトルシステム101が方向「A」に回転するにつれて、トナーを持ち上げて、中心に位置するディスペンス開口部135の方へトナーが滑って動くことができるように用いることができる。一旦トナーがディスペンス開口部135に置かれれば、システム100がインストールされる画像形成装置の画像形成材料の輸送導管130の中に、トナーが供給される。画像形成材料の輸送導管130は、例えば、画像形成装置の画像マーキング装置の一部でもよいし、あるいは画像形成装置の画像マーキング装置にトナーを運ぶための搬送システムの少なくとも一部であってもよい。
【0026】
しかし、上述したように、いくらかの残留トナーは、容器本体110内部のヘリカル特徴部115およびいかなる表面にでも残る可能性がある。したがって、システム100は、またインサート140を含む。単一のインサート140について、一般的に述べるが、トナーボトルシステム101は、サイズ、形状または構成が同一又は異なるインサート140のいかなる個数および組合せも含むことができることが、理解されるべきである。
【0027】
トナーボトルシステム101が画像形成装置によって回転するにつれて、トナーボトルシステム101により格納されるトナーの少なくとも一部を攪拌するように、インサート140は構成される。トナーボトルシステムにより格納されるトナーの少なくとも一部を攪拌することは、ヘリカル特徴部115および/または容器本体110の内部表面に固められたか、または取り付けられた、いかなるトナー材料をもゆるめることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、インサート140は、物理的接触によりトナーを直接攪拌することができ、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面と協働して、トナーボトルシステム101によって格納されるトナーを攪拌することができる。また、インサート140は、トナーボトルシステム101内部に振動を生じさせて、トナーを攪拌させることもできる。
【0029】
インサート140は、これらに限定されないが、例えば厚みおよび長さを有するロッド、長さ、ピッチ、ワイヤー厚もしくは直径、およびコイル直径を有するコイル状のワイヤー部分、ブラシ型インサート、あるいは、例えばロッド、コイル状のワイヤー部分および/またはブラシのいずれかを含む1つまたは複数の部分を有する、それらのいかなる組み合わせなどの形式をとることができる。
【0030】
様々な実施形態によれば、インサート140は、例えば、容器本体110およびエンドキャップ120だけで拘束される容器本体110の内側部分で、自由にタンブルし、回転し、転がり、軸方向に並進することなどができる。
【0031】
他の実施形態では、インサート140は、容器本体110の第1の端部の少なくとも1つと、容器本体110の第1の端部から軸方向に遠くの容器本体110の第2の端部と、エンドキャップ120とによって拘束されることができる。この例では、インサート140は、容器本体110内部のトナーをタンブルし、攪拌することができるが、しかし、トナーボトルシステム101が回転するにつれて、完全には軸方向に並進することができない。しかし、形に応じて、インサート140は、少なくとも1つの端部に拘束されている間に、トナーボトルシステム101が回転するにつれて、軸方向に屈曲および/または変動することができることに留意すべきである。
【0032】
インサート140は、金属、ポリマー、セラミック、炭素繊維、木などのトナー材料を攪拌することができるいかなる材料も含む。いくつかの実施形態では、インサート140は、トナー材料をはね返すために帯電させることができる。このような場合には、インサート140はトナーボトルシステム101内でトナーを攪拌するだけでなく、インサート140は、あったとしてもわずかなトナーがインサート140に付着することも確実にする。
【0033】
インサート140は、いかなるサイズであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、インサート140は容器本体110の長さより短い長さであってもよく、他の実施形態では、インサート140は容器本体110の長さ以上の長さであってもよい。インサート140の長さは、トナーボトルシステム101が回転するにつれて、インサートが、トナーボトルシステム101の内部で、どの程度に自由にタンブルし、回転し、および/または並進することができるかということに影響を及ぼすことができる。いくつかの実施形態では、インサート140の長さは約120mm〜約200mmである。しかし、容器本体110のサイズに応じて、インサート140の長さはそれに限定されない。インサート140がコイル状のワイヤー部分を含む場合には、インサート140の長さは、未延伸か、延伸されたか、または完全に引き延ばされた状態のコイル状のワイヤー部分のいずれかに基づいて、決定することができる。
【0034】
様々な実施形態によれば、インサート140のコイル状のワイヤー部分は、約60mm〜約100mmのピッチと、本体部の内部断面直径より小さい無制約コイル直径と、約1mm〜約4mmのワイヤー直径とを有することができるが、しかし、いかなるコイル状のワイヤー部分のピッチ、無制約コイル直径、またはワイヤー直径も、それに限定されない。いくつかの実施形態では、インサート140は、1つまたは複数の左巻きおよび/または右巻きのコイル状のワイヤー部分を含むことができる。複数のインサート140を含む実施形態では、複数のインサートは、各々同じタイプもしくは異なるタイプであってもよいし、またはタイプの組合せであってもよい。複数のインサート140のいずれかが1つまたは複数のコイル状のワイヤー部分を含む場合には、それらの1つまたは複数のコイル状のワイヤー部分は、同一または異なる巻き方向を有し、個々に左巻きおよび/または右巻きのいかなる組合せであってもよい。
【0035】
1つまたは複数の実施形態では、インサート140は、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成されるいかなる溝をも組み合わせるように、あるいは引き立たせるように構成される1つまたは複数の部分を含むことができる。例えば、インサート140がコイル状のワイヤー部分を含む場合には、コイル状のワイヤー部分のコイルは、ヘリカル特徴部115のコイルと同一か類似のピッチでもよい。あるいは、インサートがブラシ型インサートである場合には、ブラシの剛毛は、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成されるいかなる溝にも延びることができて、トナーボトルシステム101が回転するにつれて、トナーを攪拌することができる。同様に、インサート140は、ブラシ部であるとみなすことができる他のいかなるタイプの物理的特徴のいかなる組合せも含むことができる。そのブラシ部は、それ自体はブラシの剛毛で実現されるものではないが、インサート140のロッド部またはコイル状のワイヤー部分から伸張し、例えば、円板、伸張するフィンガー、またはスポンジもしくは固体材料の1つもしくは複数を含むブロックなどであって、ヘリカル特徴部および容器本体110の内部表面によって形成されるいかなる溝をも引き立たせることができる。したがって、インサート140は、例えば、容器本体110の内部表面およびヘリカル特徴部115のいずれかによって形成される、容器本体110の内壁から、トナーを掃き集める効果を有することができる。あるいは、トナーを攪乱して、トナーが容器本体110の底に集まるように促す効果を有することができる。通常トナーボトルシステム101に残っているトナーを、容器本体110の底に集める場合には、ヘリカル特徴部115、または、例えば他の内部らせん状の錐は、画像形成装置で使用できるように、トナーをディスペンス開口部135へ移動させることができる。
【0036】
しかし、他の実施形態では、インサート140は、上述したように、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成される溝の形状との衝突するように構成される、1つまたは複数の部分を含むことができる。インサート140の衝突する部分は、インサート140の1つまたは複数の部分を、少なくとも部分的に、ヘリカル特徴部115によって形成される溝に落とし込み、トナーボトルシステム101が回転するにつれて、容器本体の内壁からトナーを掃き集めることを可能にする。あるいは、インサート140の衝突する部分は、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成される溝に落とし込むことが全くできず、溝内のトナーの部分を振動のみによって間接的に攪乱させる。
【0037】
上述したように、インサート140は、容器本体110およびエンドキャップ120のいずれかによって拘束することができる。あるいは、トナーボトルシステム101は、インサート拘束部材150をさらに含むことができて、それは、所定のトナー量がトナーボトルシステム101に残るまで、トナーボトルシステム101が回転する間、インサート140の動きを制限するように構成される。トナーボトルシステム101残る所定のトナー量は、例えば、画像形成装置により形成される画像の決定された数、またはトナーボトルシステム101から放出されるトナーの決定された量に基づくことができる。一旦所定のトナー量がトナーボトルシステム101に残ると、インサート拘束部材150は、インサート140を解放して、インサート140がトナーボトルシステム101の内部で自由に、または少なくともいくつかの他の手段により拘束されているインサート140によって制限されない程度に、動けるようにして、トナーボトルシステム101が回転するにつれてトナーを攪拌できるようにする。インサート拘束部材150は、要求に応じて磁化され消磁されるように構成される磁石、または要求に応じてインサート140を保持し解放するように構成される機械的拘束のいずれでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、インサート拘束部材が磁石型拘束である場合には、筐体160は、例えば画像形成装置の様々な要素を少なくともインサート拘束部材150により形成される磁場から保護するために、トナーボトルシステム101が回転するときに、インサート拘束部材150に関連する磁場の範囲を少なくともインサート140と関連する領域に制限するように構成されるシールド部170をさらに含むことができる。
【0039】
様々な実施形態によれば、システム100は、制御モジュール180をさらに含むことができる。制御モジュール180は、それ自身がプロセッサおよびメモリーであるか、あるいは、1つまたは複数のプログラムのためのコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つのメモリーと通信するように実現されたものであって、少なくとも1つのメモリーとコンピュータプログラムコードとは、少なくとも1つのプロセッサと共に、トナーボトルシステム101に残り得るいかなる残留トナーも攪拌するように、要求に応じてインサート140を拘束し解放するように構成される。
【0040】
図2は、1つの例示的実施形態による、自由に動くインサートを有する回転容器内の残留トナーを低減することができるシステムの断面側面図である。この例では、トナーボトルシステム101は、容器本体110、容器本体110の内部表面に形成されるヘリカル特徴部115、エンドキャップ120、およびコイル状のワイヤー部分を完全に含むように示したインサート140を含む。インサート140は、容器本体110のいかなる表面またはエンドキャップ120によっても拘束を受けないように示されている。したがって、トナーボトルシステム101が取り付けられた画像形成装置によって、トナーボトルシステム101が方向「A」に回転するにつれて、インサート140は、容器本体内部で自由にタンブルし、方向「B」のまわりを回転し、方向「B」に完全に並進することができる。
【0041】
インサート140は、上述したように、トナーボトルシステム101内部にあるいかなるトナーも攪拌し、さもなければトナーボトルシステム101内部に残り得るいかなる残留トナーも低減することを促進する。トナーボトルシステム内部でトナーを攪拌することは、トナーボトルシステム101内部のトナーの全体量が時間とともに減少するにつれて、トナーボトルシステム101内のトナーを、画像形成装置の中に、より予測可能で均一に分配することを容易にすることもできる。
【0042】
図3は、1つの例示的実施形態による、少なくとも1つの端部に拘束されるインサートを有する回転容器内の残留トナーを低減することができるシステムの断面側面図である。この例では、トナーボトルシステム101は、容器本体110、容器本体110の内部表面に形成されるヘリカル特徴部115、エンドキャップ120、およびコイル状のワイヤー部分を完全に含むように示したインサート140を含む。
【0043】
インサート140は、エンドキャップ120の反対側にある容器本体110の端部によって拘束されるように示されている。この例では、トナーボトルシステム101が取り付けられた画像形成装置によって、トナーボトルシステム101は方向「A」に回転する。
インサート140は、容器本体内でタンブルし、方向「B」のまわりで回転し、様々な要因によって許容される程度まで、方向「B」に並進することができる。様々な要因は、これに限定されないが、例えば、容器本体110によって拘束されるインサート140、インサートの特定の寸法および/または材料(すなわち、インサート140のばね定数または一般的な柔軟性に寄与する要因)などである。例えば、インサート140が容器本体110の一方の端部によって拘束される場合には、トナーボトルシステム101が方向「A」に回転するにつれて、インサート140の残りは、はじいたり、パタパタしたり、巻き付いたり、巻き戻したり、その他をすることができる。この例では、インサート140の自由端部およびインサート140の自由端部とインサート140の拘束された端部との間のインサート140のいかなる部分も、方向「B」に並進することができる。
【0044】
他の実施形態では、インサート140は、両方の端部で、例えば一方の端部が容器本体110によって、他方の端部がエンドキャップ120または容器本体110によって、拘束することができる点に留意すべきである。2つの端部で拘束された場合には、インサート140は、上記の例で述べたように、同様にタンブルし、回転し、並進することができる。しかし、単純にインサート140は自由端部をもたず、インサート140が方向「B」に並進するいかなる量も、インサート140の2つの拘束された端部の間に生じる並進量に制限される。
【0045】
配置に関係なく、インサート140は、上述したように、トナーボトルシステム101内部にあるいかなるトナーも攪拌し、さもなければトナーボトルシステム101内部に残り得るいかなる残留トナーも低減することを促進し、そして、トナーボトルシステム101内部のトナーの全体量が時間とともに減少するにつれて、トナーボトルシステム101内のトナーを、画像形成装置の中に、より予測可能で均一に分配することを容易にする。
【0046】
図4は、1つの例示的実施形態による、ブラシ型インサートの図である。この例では、インサート140は、ロッド部401および複数のブラシ部403を含む。ロッド部401は、組み立ての際に容器本体110およびエンドキャップ120によって収容できるいかなる長さでもあってもよい。ブラシ部403は、ロッド部401の長さに沿って、いかなる数または配置であってもよい。いくつかの実施形態では、ブラシ部403は、トナーボトルシステム101内でトナーを攪拌するために、上述したように、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成されるいかなる溝とも協働するように構成される、図示するような区分化された部分を含むことができる。あるいは、ブラシ部403は、完全にロッド部401をカバーすることができて、および/または、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成されるいかなる溝とも衝突するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ブラシ部403は、例えば剛毛、固体材料またはスポンジ材料のいかなる組合せも含むことができて、この組み合わせは、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面と協働し、トナーボトルシステム101が方向「A」に回転するにつれて、トナーボトルシステム内部のいかなる残留トナーも攪拌するように構成される。例示するブラシ型インサート140は、単一部品の直線状のロッド部401を有するように見えるが、議論されたロッド部401はいかなる単一のまたは複数の部品配置を含むいかなる形式もとり得る点に留意すべきである。さらに、それが単一部品の特徴か、または複数部品の特徴であるかにかかわらず、ロッド部401は、直線状の/堅い形式、直線状の/柔軟な形式、曲線状の形式、少なくとも1つの部分から180度以外の角度で分岐する少なくとも1つの部分と少なくとも1つの他の部分とを有するロッド、ロッド部401の長さに沿って変化する段のあるタイプの形式、ブラシ部403を有するコイル状の形式などのいかなる組合せであってもよい。
【0047】
図5Aおよび
図5Bは、1つの例示的実施形態による、インサートを用いてトナーを攪拌することにより、回転容器内の残留トナーを低減する効果を示す。
【0048】
図5Aは、上述したように、方向「B」に面する容器本体110の端部から、エンドキャップ120に向かって見た透視図を示す。この例では、トナーボトルシステム101内部のトナー501は、インサート140によって攪拌されなかった。トナーボトルシステム101は、明確にするために、インサート140を欠いたものを示す。したがって、トナー501はトナーボトルシステム101のディスペンス端部の方へ動かされるが、いくらかの残留トナー501は、ヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面によって形成される溝の中で、ヘリカル特徴部115および容器本体110のいかなる内部表面にも付着したままである。トナーボトルシステム101がインサート拘束部材150を含んで、インサート140がトナー501を攪拌することができなかった場合には、同様な結果が発生する可能性がある。
【0049】
図5Bは、
図5Aに示したように、方向「B」に面する容器本体110の同じ端部から、エンドキャップ120に向かって見た透視図を示す。しかし、この例では、トナーボトルシステム101は、トナー501を攪拌することができたインサート140を含む。このように、インサート140は、残留トナー501がヘリカル特徴部115および容器本体110の内部表面から分離するように、残留トナー501を攪拌し、その結果、残留トナー501は、画像形成装置の中に分配するために、エンドキャップ120に向かってヘリカル特徴部115によって動かされ得る。
【0050】
この例によれば、インサート140が
図5Aに示したように存在しないか、インサート140がトナー501を攪拌できないように拘束されている場合には、約125グラムの残留トナー501が無駄になり、それは基板の約3000枚の印刷に相当する。しかし、トナーボトルシステム101がインサート140を含み、インサート140が、
図5Bに示すように、トナー501を攪拌することができたので、残留トナー501の全てとまではいかないが、大部分の残留トナー501は、システム100によって回収することができて、これによりトナーボトルシステム101の寿命を最大にして、無駄を低減することができる。しかしながら、残留トナー501および無駄のこの減少は、トナーボトルシステム101およびシステム100全体として、インサート140を用いてトナーを攪拌する効果を例示するための単なる例にすぎない点に留意すべきである。システム100の性能は、残留トナーを回収し、無駄を低減する性能に関する上述した量に限定されると考えてはならない。
【0051】
図6Aおよび
図6Bは、インサートを用いて残留トナーを攪拌することにより回転容器内の残留トナーを低減する効果を示す図である。
図6Aおよび
図6Bは、上述したように、トナーがトナーボトルシステムから供給されるテストケースである。テストケースは、トナーボトルシステム内に残っているトナーの量が減少するにつれて、トナーボトルシステムによって分配されたトナー量をグラム単位で測定した。
【0052】
図6Aは、インサートがトナーボトルシステム101内に存在しないためか、またはインサートが拘束されて、ボトルシステム101内のトナーを攪拌することができないために、トナーボトルシステム内のトナーがインサートによって攪拌されない例示的テストケース601を示す。この例では、トナーボトルシステム内部のトナーの残量が減少するにつれて、トナーボトルシステムによって分配されるトナー量を、プロット603に示す。プロット603は、システム内のトナー量が約450グラムから約100グラムに減少するにつれて、トナーボトルシステムによって分配されるトナー量が比較的一貫していて、約4グラムであることを示す。しかし、トナーボトルシステム内の残量が約100グラム未満になった後、トナーボトルシステムによって分配されるトナー量はランダムになるが、これは、トナーボトルシステムの性能が最適ではなく、画像形成装置がトナーボトルシステムは「空である」と決定することができることを示す。たとえトナーボトルシステムがその内部で利用できる使用可能なトナー量をまだ有する場合であっても、画像形成装置の印刷品質はこの場合顕著に低下するおそれもある。
【0053】
図6Bは、トナーボトルシステム内のトナーがインサートによって攪拌される例示的テストケース605を示す。この例では、トナーボトルシステム内部のトナーの残量が減少するにつれて、トナーボトルシステムによって分配されるトナー量を、プロット607に示す。プロット607は、システム内のトナー量が約450グラムから約10グラムに減少するにつれて、トナーボトルシステムによって分配されるトナー量が比較的一貫していて、約4グラムであることを示す。しかし、トナーボトルシステム内の残量が約10グラム未満になった後、トナーボトルシステムによって分配されるトナー量は0グラムに向かって著しく低下する。ほとんどトナーボトルシステムが完全に空になるまで、トナーボトルシステムの性能が最適であることを、このテストは示す。したがって、トナーボトルシステム内部のトナーが攪拌されないトナーボトルシステムと比較すると、トナーボトルシステムに残る残留トナーの量は、あるとしても、より少ない量である。トナーボトルシステム101が上述したようなインサートを含む場合には、トナーを攪拌するトナーボトルシステムの寿命は、トナーを攪拌しないトナーボトルシステムよりも長い。このように、画像形成装置は、トナーボトルシステムが「空である」と決定することができないし、および/または、トナーボトルシステムに残っている残留トナーがほとんど0グラムになるまでは、画像形成装置の印刷品質が顕著に低下することはない。
【0054】
図7は、1つの実施形態による、回転容器内の残留トナーを低減するための処理700のフローチャートである。ステップ701では、インサートが提供されて、トナーボトルシステムに含まれる。インサートは、トナーボトルシステム内でのインサートの動きを、特定量まで、またはインサートが無拘束となり得る所定の時間までは完全に、制限するように選択的に拘束することができる。それからステップ703では、トナーボトルシステムは、トナーボトルシステムに格納されるトナーを分配するために回転させられる。トナーボトルシステムは、この例では、容器本体、エンドキャップ、少なくとも容器本体の内部表面に形成されるヘリカル特徴部、およびインサートを含む。トナーボトルシステムが回転するにつれて、インサートは、容器本体およびエンドキャップによって拘束される空間の中でタンブルし、回転することが少なくともできる。次に、ステップ705では、インサートは、トナーボトルシステム内部のトナーの大部分が、ヘリカル特徴部によって、トナーボトルシステムのディスペンス端部に、そして画像形成装置に運ばれた後に、通常、いかなるヘリカル特徴部または容器本体の内部表面に付着したままのいかなる残留トナーも少なくとも攪拌する。トナーボトルシステムによって格納されるトナーを攪拌することを容易にするために、ステップ705では、インサートは選択的に無拘束であってもよい。
【0055】
回転容器内の残留トナーを低減するための、本明細書に記載した処理は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアおよび/もしくはファームウェアおよび/もしくはハードウェアの組合せによって、有利に実現することができる。例えば、本明細書に記載した処理は、プロセッサ、デジタル信号処理(DSP)チップ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などによって、有利に実現することができる。
【0056】
開示された実施形態は、命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができて、それらは、プロセッサにより実行される際に、上記で概説した方法のステップのうちの全てまたは少なくともいくつかを、プロセッサに実行させることができる。
【0057】
上述した例示的なシステム及び方法は、特定の従来部品を参照するが、それは、本開示の主題を熟知し、容易に理解するために本開示の主題が実現され得る、好適な操作および製品処理の環境についての簡潔で一般的な説明を提供するためである。本開示の物理的部品は、成形構造および射出成形構造の形式であってもよい。必要というわけではないが、本開示の実施形態は、記載した特定の機能を実行するために、少なくとも部分的には、ハードウェア回路、ファームウェア、またはソフトウェアのコンピュータ実行可能命令の形式で提供することができる。これらは、プロセッサによって実行される個々のプログラムモジュールを含むことができる。