特許第6199810号(P6199810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199810
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/02 20060101AFI20170911BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20170911BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20170911BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20170911BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170911BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   G03G21/02
   G03G21/14
   B41J29/00 Z
   B41J29/46 Z
   B41J29/38 Z
   H04N1/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-122149(P2014-122149)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-4057(P2016-4057A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 弘三
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−181307(JP,A)
【文献】 特開平09−190123(JP,A)
【文献】 特開2007−086423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/02
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/46
G03G 21/14
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を生成する画像形成部と、
前記画像形成部における印刷物の生成に応じて課金を行う課金部と、
前記画像形成部における印刷物生成中のエラーを検知するエラー検知部と、
前記エラー検知部の検知結果に基づいて、前記画像形成部において発生した複数回のエラーが同一の使用者による異常操作に起因するエラーである場合を意図的なエラーと判定する判定部と、
前記判定部が同一使用者により意図的に発生された複数回のエラーであると判定した場合、前記課金部が課金を実施する際の課金条件を用紙の先端が定着器の先端に到達した時点に変更する課金条件変更部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記課金条件変更部は、前記判定部が同一使用者により意図的に発生された複数回のエラーであると判定した場合、前記課金部が課金を行うタイミングを通常時より早める課金条件に変更する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記課金部は、画像形成されるすべての用紙に課金を行うとともに、エラー検知部がエラーを検知した場合に、エラーの対象となる用紙について返金を行う構成であり、
前記課金条件変更部は、前記判定部が同一使用者により意図的に発生された複数回のエラーであると判定した場合、前記課金部による返金を禁止する課金条件に変更する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
予め指定された解除条件を満足する場合、前記課金条件変更部に、変更した課金条件を変更前の課金条件に変更させる変更解除部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機、複合機等の画像形成装置は、広く普及しており、オフィス等の他、コンビニエンスストアや公共施設等の不特定多数の人が出入りする場所にも設置されている。このような不特定多数の人が使用する画像形成装置では、使用者から利用料を徴収するために課金が実施されている。
【0003】
複写等の画像形成に対する課金は、例えば、用紙サイズの種別やモノクロ・カラー等のカラーモードの種別ごとに定められた単価にしたがって、例えば、用紙上に画像が形成される都度実施される。また、オフィス等の特定の人しか使用しない環境に設置されている画像形成装置であっても、例えば、個人ごとや部門ごとに使用量が計数されている。このような使用量は経費分配等に使用されるため、一種の課金といえる。
【0004】
画像形成中に用紙詰まり(ジャム)等のエラーが発生した場合、画像形成装置は、画像形成動作を中止する。そして、ジャムを引き起こした用紙の除去を使用者に要求する。この場合、エラーに起因して正常な印刷物が出力されていないときに課金を行うと問題がある。そのため、正常な印刷物が出力されない可能性がある場合には、その画像形成については課金を実施しないという処理も行われている。
【0005】
しかしながら、正常な印刷物が出力されない可能性がある場合に課金を画一的に行わない構成を採用した場合、課金なしで印刷物を取得することも可能になってしまう。例えば、悪意を有する使用者が、画像形成部のカバーを開く等により意図的にエラーを発生させると、その使用者は、その時点で画像形成装置内において画像形成が完了している用紙を課金なしで取得することができる。
【0006】
この対策として、特許文献1は、エラー発生時に、定着器を通過した課金対象状態の用紙が存在するか否かにより、課金処理を実施するか否かを判断する画像形成装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−086423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような画像形成装置では、定着器を完全に通過した用紙を課金対象状態の用紙としているため、悪意を有する使用者が課金なしで印刷物を取得することを完全に防止することはできない。
【0009】
例えば、印刷される画像データが用紙の半分程度にしかない場合、用紙が定着器を完全に通過しなくても、使用者は正常な印刷物を取得することができる。すなわち、A4サイズの画像データをA3サイズの半分に印刷される設定とし、当該画像データが転写された用紙が定着器を完全に通過する前に、用紙カセットを引き出す等によりエラーを発生させると、無課金で正常な印刷物を取得することができる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、悪意を有する使用者による無課金での印刷物取得をより確実に防止することができる、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、以下の技術的手段を採用している。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、画像形成部、課金部、エラー検知部、判定部及び課金条件変更部を備える。画像形成部は、印刷物を生成する。課金部は、画像形成部における印刷物の生成に応じて課金を行う。エラー検知部は、画像形成部における印刷物生成中のエラーを検知する。判定部は、前記エラー検知部の検知結果に基づいて、前記画像形成部において発生した複数回のエラーが同一の使用者による異常操作に起因するエラーである場合を意図的なエラーと判定する。課金条件変更部は、判定部が同一使用者により意図的に発生された複数回のエラーであると判定した場合、課金部が課金を実施する際の課金条件を用紙の先端が定着器の先端に到達した時点に変更する。
【0012】
この画像形成装置は、エラーの発生状況に基づいて、発生した複数回のエラーが同一使用者により意図的に発生されたエラーであるときに課金条件を変更することができる。したがって、同一使用者が意図的に複数回のエラーを発生させたときに、より確実に課金が可能な課金条件を選択することができる。
【0013】
例えば、課金条件変更部は、判定部が同一使用者により意図的に発生された複数回のエラーであると判定した場合、課金部が課金を行うタイミングを通常時より早める課金条件に変更することができる。また、課金条件変更部は、判定部が同一の使用者により意図的に発生された複数回のエラーであると判定した場合、課金部による返金を禁止する課金条件に変更することもできる。当該構成は、課金部が、画像形成されるすべての用紙に課金を行うとともに、エラー検知部がエラーを検知した場合に、エラーの対象となる用紙について返金を行う構成に適用可能である。
【0014】
以上の画像形成装置は、変更解除部をさらに備えることができる。変更解除部は、予め指定された解除条件を満足する場合、課金条件変更部に、変更した課金条件を変更前の課金条件に変更させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、悪意を有する使用者による無課金での印刷物取得をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における複合機の全体構成を示す概略構成図
図2】本発明の一実施形態における複合機のハードウェア構成を示す図
図3】本発明の一実施形態における複合機を示す機能ブロック図
図4】本発明の一実施形態における複合機が実施する課金条件変更手順の一例を示すフロー図
図5】本発明の一実施形態における複合機が実施する課金条件変更解除手順の一例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
【0018】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120及び画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。複合機100の前面には、ユーザが複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる操作パネル171が設けられている。
【0019】
本体101の上部には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。
【0020】
画像形成部140は、画像読取部120が生成した画像データや、図示しないネットワークを通じて他の機器から受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光ビームを照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
【0021】
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置又は収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から給紙する。給紙された用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158及び加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙される。
【0022】
図2は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204及び画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ205が内部バス206を介して接続されている。ROM203やHDD204等はプログラムを格納しており、CPU201はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU201はRAM202を作業領域として利用し、ドライバ205とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD204は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークを通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
【0023】
内部バス206には、操作パネル171や各種のセンサ207も接続されている。操作パネル171は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU201に供給する。操作パネル171は、CPU201からの制御信号にしたがって自身が備えるディスプレイに操作画面を表示する。センサ207は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台上の原稿の検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。
【0024】
CPU201は、例えばROM203に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
【0025】
図3は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図3に示すように、複合機100は、課金部301、エラー検知部302、判定部303、課金条件変更部304及び変更解除部305を備える。
【0026】
課金部301は、画像形成部140における印刷物の生成に応じて課金を行う。本実施形態では、課金部301は、画像形成部140が実行した画像形成処理の内容を取得し、予め登録された課金条件にしたがって当該画像形成処理に対して課金する。課金条件は、複合機100において画像形成を実行した場合に、その画像形成処理の内容に応じた課金を実現するための各種情報を含む。例えば、課金条件は、用紙サイズ、カラーモード(モノクロ、モノカラー、フルカラー等)、印刷面(片面印刷、両面印刷)、用紙タイプ(普通紙、光沢紙等)の組合せごとの単価を含む。また、課金条件は、課金を実施するタイミングも含む。課金を実施するタイミングとは、画像形成が実施される用紙が画像形成部140のどの位置に到達したときに課金を実行するかを示す情報である。本実施形態では、課金実施タイミングとして、用紙の後端が定着器148を通過した時点が登録されている。なお、用紙後端の定着器148の通過は、公知の任意の手法により検知することができる。例えば、定着器148の下流側の用紙搬送路において用紙の有無を検知するセンサにより検知することができる。また、レジストローラ157が用紙搬送を開始した時点からの経過時間等によって検知することもできる。
【0027】
エラー検知部302は、画像形成部140における印刷物生成中のエラーを検知する。
印刷物生成中のエラーは、紙詰まりや紙切れ等、画像形成処理を中断する必要がある各種のエラーを意味し、画像形成処理を中断する必要のないエラーは含まない。エラー検知部302は、画像形成部140の各所に配置された各種センサの出力に基づいて印刷ジョブ実行中のエラーを検知する。
【0028】
判定部303は、エラー検知部302の検知結果に基づいて、画像形成部140において発生したエラーが使用者により意図的に発生されたエラーであるか否かを判定する。意図的なエラーは、例えば、インターロックが作動する操作や電源遮断等、画像形成処理中に実施する必要のない使用者の操作(以下、異常操作という。)に起因するエラーを含む。インターロックが作動する操作には、例えば、ジャムが発生していない画像形成処理中における本体101のカバーの開放や、プラテンカバー102が備える原稿搬送装置のカバーの開放がある。
【0029】
なお、上述の異常操作に起因するエラーは、使用者の無知や不注意により、使用者が意図せずに発生することも考えられる。このような、意図せずに発生したエラーを、意図的に発生されたエラーの判断から排除する観点では、同一の使用者による異常操作に起因するエラーが複数回(例えば、2回)発生したことを、意図的に発生されたエラーと認める条件にしてもよい。同一の使用者であることは、例えば、一連の課金処理中、予め指定された時間内、予め指定された印刷枚数内等、使用者同一を判断可能(推定可能)な任意の条件に基づいて判定すればよい。また、同様の観点で、ユーザが複合機100に複写開始を指示してから予め指定された経過時間内に発生した異常操作に起因するエラーを意図的に発生されたエラーと認める条件にしてもよい。なお、当該経過時間に基づく条件は、上述の発生回数に基づく条件と併用することもできる。
【0030】
なお、一連の課金処理中は、例えば、コインベンダやカードベンダが課金部301に接続されている場合は、コインやカードが投入されてから排出されるまでの間として定義することができる。また、例えば、オフィス等において、使用者別の課金カウンタを使用して課金部301が課金(カウンタのカウントアップ)を実施する構成では、カウントアップ対象の課金カウンタを特定するために使用者が複合機100に入力する識別情報が同一である間として定義することができる。公知のように、このような識別情報の入力は、操作パネル171を通じたユーザID及びパスワードの入力や、識別情報を格納したICカード等の可搬記憶媒体の読み取り等により実行される。
【0031】
課金条件変更部304は、判定部303が使用者により意図的に発生されたエラーであると判定した場合、課金部301が課金する際の課金条件を変更する。特に限定されないが、本実施形態では、判定部303が使用者により意図的に発生されたエラーであると判定した場合、課金条件変更部304は、課金部301の課金条件に含まれる課金実施タイミングを通常時より早める状態に変更する。ここでは、課金条件変更部304は、課金実施タイミングを、用紙の先端が定着器148に到達した時点に変更する。この課金実施タイミングでは、悪意を有する使用者が、例えば、定着器148を通過した時点で意図的にエラーを発生させて無課金で印刷物を取得しようとしても、その時点で課金が完了していることになる。また、課金前の印刷物は定着器148を通過していないため、定着器148を通過する前に意図的にエラーを発生させても画像が用紙に定着しておらず、取得する意味がない。そのため、無課金での印刷物取得を防止できることになる。
【0032】
用紙先端の定着器148到達は、公知の任意の手法により検知することができる。例えば、定着器148の上流側の用紙搬送路において用紙の有無を検知するセンサにより検知することができる。また、レジストローラ157が用紙搬送を開始した時点からの経過時間等によって検知することもできる。なお、課金実施タイミングは、1枚の用紙に対する画像形成処理において通常時より早ければよく、用紙後端の転写部通過、用紙先端の転写部到達、現像器144によるトナー像形成完了、露光器143による静電潜像形成完了等を課金実施タイミングとしてもよい。
【0033】
変更解除部305は、予め指定された解除条件を満足する場合、課金条件変更部304に、変更した課金条件を変更前の課金条件に変更させる。すなわち、変更解除部305は、課金条件変更部304による課金条件変更を解除する。解除条件としては、例えば、一連の課金処理の終了、予め指定された時間の経過、予め指定された印刷枚数の出力等、悪意を有する使用者が無課金での印刷物取得を断念したことが想定される任意の条件を採用することができる。
【0034】
図4は、複合機100が実施する課金条件変更手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、例えば、複合機100の主電源をオン状態になったこと(起動したこと)又は後述の課金条件変更解除処理が完了したことをトリガとして開始する。
【0035】
当該手順が開始すると、判定部303は、使用者が同一であるか否かを常に監視する。ここでは、使用者が同一であることは、上述の手法により判定することができる(ステップS401)。使用者が同一である状況下では、判定部303は、エラー検知部302が画像形成部140におけるエラーを検知するまで待機する(ステップS401Yes、S402No、S401)。
【0036】
エラー検知部302が画像形成部140における印刷ジョブ実行中のエラーを検知すると、エラー検知部302はそのエラーの内容を示す情報を判定部303に入力する(ステップS402Yes)。このとき、判定部303は、発生したエラーが、上述の異常操作に起因するエラーであるか否かを判定する(ステップS403)。異常操作に起因するエラーでない場合、判定部303は特に何もしない(ステップS403No、S401)。
【0037】
一方、異常操作に起因するエラーである場合、判定部303は自身が備えるエラーカウンタをカウントアップする(ステップS403Yes、S404)。そして、判定部303は、エラーカウンタの計数値が、使用者による意図的なエラーと判定する規定回数に到達しているか否かを判定する。例えば、規定回数が2回である場合、エラーカウンタの計数値が「1」であるときは、判定部303は、意図的なエラーと判定せず、特に何もしない(ステップS405No、S401)。また、エラーカウンタの計数値が「2」であるときは、判定部303は、意図的なエラーと判定し、その旨を課金条件変更部304に通知する。当該通知を受けた課金条件変更部304は、課金部301の課金条件(ここでは、課金実施タイミング)を変更する(ステップS405Yes、S406)。
【0038】
なお、判定部303が、意図的なエラーと判定していない状況下において、使用者に変更があった場合、判定部303は、エラーカウンタの計数値をリセットする(ステップS401No、S407、S402)。これにより、異なる使用者が意図せずに実施した異常操作により意図的なエラーが発生したと判定部303が判定することを避けることができる。
【0039】
なお、以上の実施形態では、異常操作に起因するエラーは複数回発生したときに、使用者による意図的なエラーが発生したと判定する構成ついて説明した。しかしながら、判定部303は、1回の異常操作の発生により、使用者による意図的なエラーが発生したと判定してもよい。この場合、上述の規定回数は1回となる。
【0040】
続いて、課金条件変更部304が課金部301の課金条件を変更した状況下で複合機100が実行する手順について説明する。図5は、複合機100が実施する課金条件変更解除手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、例えば、課金条件変更部304が課金部301の課金条件を変更したことをトリガとして開始する。
【0041】
当該手順が開始すると、変更解除部305は、予め指定された上述した解除条件が満足されるか否かを常に監視する(ステップS501)。解除条件が満足されない状況下では、変更解除部305は、特に何もしない。そのため、課金条件変更部304による課金部301の課金条件の変更が継続される(ステップS501No)。
【0042】
一方、解除条件が満足されると、変更解除部305は、課金条件変更部304に、課金条件変更の解除を指示する(ステップS501Yes)。当該指示を受けた課金条件変更部304は、課金部301の課金条件を、変更前の課金条件に変更する(ステップS502)する。これにより、課金部301の課金条件は、通常時の課金条件に復帰する。
【0043】
以上説明したように、複合機100は、エラーの発生状況に基づいて、発生したエラーが使用者により意図的に発生されたエラーであるときに課金条件を変更することができる。したがって、使用者が意図的にエラーを発生させたときに、より確実に課金が可能な課金条件を選択することができる。
【0044】
また、複合機100は、変更解除部305を備えるため、悪意を有する使用者による無課金での印刷物取得を防止するための課金条件の変更を自動的に解除することができる。
【0045】
ところで、上述の実施形態では、費用の先取りを避けるために、使用者による意図的なエラーと判定された場合、課金条件変更部304が課金実施タイミングを変更する構成を例示した。しかしながら、課金は、複合機100において、用紙が定着部148を通過した時点のように画像形成が正常に完了した際に実施されるのではなく、画像形成が正常に完了した又は画像形成に異常が発生したにかかわらず、画像形成されるすべての用紙に対して実施することも可能である。この場合、エラー検知部302がエラーを検知した場合に課金部301が、エラーの対象となる用紙について返金を行う構成とすれば、通常時において、上述の実施形態と同様の課金を実現することができる。
【0046】
このような構成では、課金条件変更部304は、判定部303により使用者による意図的なエラーと判定された場合、課金部301の課金条件を、課金部301による返金を禁止する課金条件に変更することで、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、変更解除部305により、悪意を有する使用者による無課金での印刷物取得を防止するための課金条件の変更を自動的に解除することも可能である。
【0047】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、特に好ましい形態として、変更解除部305を備える構成を説明したが、変更解除部305は選択的構成要素である。当該構成要素を備えない画像形成装置であっても、悪意を有する使用者による無課金で印刷物取得することを防止できる。この場合、課金条件変更部304による課金条件変更の解除は、管理者による操作等により実施すればよい。
【0048】
また、図4及び図5に示したフローチャートは、等価な作用を奏する範囲において適宜変更可能である。例えば、図4では、判定部303が、使用者が同一であるか否かを常に監視する構成とした。しかしながら、判定部303が、異常操作発生時に、使用者が同一であるか否かを判定するための使用者識別情報を保持する構成であってもよい。この場合、以降で異常操作が発生したときに、その時点における使用者識別情報と保持している情報とを比較することで、使用者の同一性を判定することができる。なお、使用者識別情報として、例えば、一連の課金において同一の識別子が付与される課金ID、エラー発生時刻、エラー発生時の印刷枚数カウンタの計数値等を使用することができる。
【0049】
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、悪意を有する使用者による無課金での印刷物取得をより確実に防止することができ、画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0051】
100 複合機
301 課金部
302 エラー検知部
303 判定部
304 課金条件変更部
305 変更解除部
図1
図2
図3
図4
図5