(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態の半導体記憶装置について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。以下では、半導体記憶装置として、メモリセルが半導体基板上方に積層された三次元積層型NAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。
【0008】
[第1実施形態]
第1実施形態の半導体記憶装置について説明する。
【0009】
1.半導体記憶装置の構成
まず、第1実施形態の半導体記憶装置の構成について述べる。
【0010】
1.1 半導体記憶装置の全体構成
第1実施形態の半導体記憶装置の全体構成を
図1に示す。図示するように、NAND型フラッシュメモリ1は、メモリセルアレイ10、センスアンプモジュール11、カラムセレクタ12、入出力回路13、及び制御回路14を備えている。
【0011】
メモリセルアレイ10は、不揮発性のメモリセルの集合である複数のブロックBLK(BLK0,BLK1,BLK2,…,BLKn−1)を備えている。同一ブロックBLK内のデータは一括して消去される。ブロックBLKの各々は、メモリセルが直列接続されたNANDストリング15の集合である複数のメモリグループGP(GP0,GP1,GP2,…,GPm−1)を備えている。メモリセルアレイ10内のブロック数及びブロック内のメモリグループ数は任意である。なお、n,mは0以上の自然数である。
【0012】
センスアンプモジュール11は、データの読み出し時には、メモリセルから読み出したデータをセンス・増幅する。また、データの書き込み時には、センスアンプモジュール11は、書き込みデータをメモリセルに転送する。センスアンプモジュール11は、複数のセンスアンプユニット、ラッチ回路、及びバス等の組を有している。これらの詳細については後述する。
【0013】
カラムセレクタ12は、メモリセルアレイ10のカラム方向(後述するビット線)を選択する。
【0014】
入出力回路13は、NAND型フラッシュメモリ1の外部のコントローラまたはホスト機器との間のデータの授受を司る。入出力回路13は、データの読み出し時には、センスアンプモジュール11でセンス・増幅されたデータを外部へ出力する。また入出力回路13は、データの書き込み時には外部から書き込みデータを受信し、これをセンスアンプモジュール11に転送する。
【0015】
制御回路14は、NAND型フラッシュメモリ1内のメモリセルアレイ10、センスアンプモジュール11、カラムセレクタ12、及び入出力回路13を含む全体の動作を制御する。
【0016】
1.2 メモリセルアレイ10内のブロック構成
メモリセルアレイ10内のブロックの構成について説明する。ブロックBLK0の回路図を
図2に示す。その他のブロックBLKも同様の構成を有している。
【0017】
ブロックBLK0は複数のメモリグループGPを含む。各々のメモリグループGPは、複数(本例ではL個)のNANDストリング15を含む。
【0018】
NANDストリング15の各々は、例えば8個のメモリセルトランジスタ(以下、メモリセルとも記す)MT(MT0〜MT7)と、選択トランジスタST1,ST2と、バックゲートトランジスタBTとを含んでいる。
【0019】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを含む積層ゲートを備え、データを不揮発に記憶する。なお、メモリセルトランジスタMTの個数は8個に限られず、16個や32個,64個,128個等であってもよく、その数は限定されるものではない。
【0020】
バックゲートトランジスタBTもメモリセルトランジスタMTと同様に、制御ゲートと電荷蓄積層とを含む積層ゲートを備える。メモリセルトランジスタMT及びバックゲートトランジスタBTは、選択トランジスタST1,ST2間に、直列接続されるように配置されている。なお、バックゲートトランジスタBTは、データを記憶するためのものでは無い。NANDストリング15は、バックゲートを有しないタイプであってもよい。
【0021】
この直列接続の一端側のメモリセルトランジスタMT7の一端は選択トランジスタST1の一端に接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0の一端は選択トランジスタST2の一端に接続されている。
【0022】
メモリグループGP0〜GPm−1の各々の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGS0〜SGSm−1に共通接続され、選択トランジスタST2のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGS0〜SGSm−1に共通接続される。これに対して、同一のブロックBLK0内にあるメモリセルトランジスタMT0〜MT7の制御ゲートはそれぞれワード線WL0〜WL7に共通接続され、バックゲートトランジスタBTの制御ゲートはバックゲート線BGに共通接続される。ブロックBLK0〜BLKn−1では、それぞれBG0〜BGn−1に共通接続される。
【0023】
すなわち、ワード線WL0〜WL7及びバックゲート線BGは同一ブロックBLK0内の複数のメモリグループGP間で共通に接続されているのに対し、セレクトゲート線SGD,SGSは、同一ブロックBLK0内であってもメモリグループGP毎に独立している。
【0024】
また、メモリセルアレイ10内でマトリクス状に配置されたNANDストリング15のうち、同一列にあるNANDストリング15の選択トランジスタST1の他端は、いずれかのビット線BLに共通接続される。すなわち、ビット線BLは、複数のブロックBLK間でNANDストリング15を共通に接続する。また、選択トランジスタST2の他端は、いずれかのソース線SLに接続されている。ソース線SLは、例えば複数のメモリグループGP間で、NANDストリング15を共通に接続する。
【0025】
前述の通り、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMTのデータは、一括して消去される。これに対してデータの読み出し及び書き込みは、いずれかのブロックBLKのいずれかのメモリグループGPにおける、いずれかのワード線WLに共通に接続された複数のメモリセルトランジスタMTに対して、一括して行われる。この読み出し及び書き込み単位を「ページ」と呼ぶ。
【0026】
上記構成のメモリセルアレイ10において、メモリセルトランジスタMT、選択トランジスタST1,ST2、及びバックゲートトランジスタBTは、半導体基板上方に三次元的に積層されている。一例としては、半導体基板上に例えばセンスアンプモジュール11等の周辺回路の一部が形成され、この周辺回路の上方にメモリセルアレイ10が形成される。
【0027】
メモリセルアレイ10の構成は、上記の例に限られない。メモリセルアレイ10の構成については、例えば、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という2009年3月19日に出願された米国特許出願12/407,403号に記載されている。また、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という2009年3月18日に出願された米国特許出願12/406,524号、“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法”という2010年3月25日に出願された米国特許出願12/679,991号、“半導体メモリ及びその製造方法”という2009年3月23日に出願された米国特許出願12/532,030号に記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0028】
1.3 センスアンプモジュール11の構成
センスアンプモジュール11は、
図3に示すように、センスアンプユニットSAU及びラッチ回路XDLを備えている。センスアンプユニットSAU及びラッチ回路XDLは、各ビット線BLに設けられている。すなわち、1本のビット線BLに対して1組のセンスアンプユニットSAU及びラッチ回路XDLが配置されている。
【0029】
図3を用いて、センスアンプユニットSAU及びラッチ回路XDLの構成を説明する。センスアンプユニットSAUは、対応するビット線BLに読み出されたデータをセンス・増幅し、また対応するビット線BLに書き込みデータを転送する。ラッチ回路XDLもまたビット線BL毎に設けられ、対応するビット線BLに関連するデータを一時的に保持する。
【0030】
センスアンプユニットSAUと入出力回路13との間のデータ授受は、ラッチ回路XDLを介して行われる。ラッチ回路XDLは、NAND型フラッシュメモリ1のキャッシュ動作に用いられる。センスアンプユニットSAUは、後述する複数のラッチ回路を含む。このため、これらのラッチ回路が使用中であっても、ラッチ回路XDLが空いていれば、NAND型フラッシュメモリ1は外部からデータを受け付けることができる。
【0031】
センスアンプユニットSAUとラッチ回路XDLとの間は、バスDBUSによって互いにデータ送受信可能なように接続される。バスDBUSは、複数(例えば、16個)のセンスアンプユニットSAUによって共有される。
【0032】
次に、センスアンプユニットSAUの詳細な構成について、引き続き
図3を参照して説明する。センスアンプユニットSAUは、センスアンプ部SA、3つのラッチ回路SDL,UDL,LDL、プリチャージ回路30、及びバススイッチ32を備えている。
【0033】
センスアンプ部SAは、ビット線BLを直接的に制御するモジュールである。センスアンプ部SAは、ビット線BLに読み出されたデータをセンス・増幅し、また書き込みデータに応じてビット線BLに電圧を印加する。ラッチ回路SDL、UDL、及びLDLは、データを一時的に保持する。データの書き込み時には、例えばこの3つのラッチ回路のうちのラッチ回路SDLの保持データに応じて、センスアンプ部SAはビット線BLの電位を制御する。また、センスアンプ部SAでセンス・増幅されたデータは、例えばまずラッチ回路SDLに格納される。その他のラッチ回路UDL及びLDLは、個々のメモリセルが2ビット以上のデータを保持する多値動作、あるいは、いわゆるQuick pass動作を行うために使用される。センスアンプ部SA、並びに3つのラッチ回路SDL,UDL,及びLDLは、互いにデータを送受信可能なようにバスLBUSによって接続されている。
【0034】
センスアンプ部SAは、ビット線制御部BC、電圧生成回路20、及びストローブ部SBを有する。ビット線制御部BCは、ビット線BLの電位を制御すると共に、メモリセルに記憶されているデータをセンスする。電圧生成回路20は、ビット線BLに供給する電位SRCGNDを生成する。ストローブ部SBは、バスLBUSを介して読み出しデータをラッチ回路SDLに転送する。
【0035】
ビット線制御部BCは、nチャネルMOS電界効果トランジスタ(以下、nMOSトランジスタ)40〜43、45〜47、49、50、及びpチャネルMOS電界効果トランジスタ(以下、pMOSトランジスタ)44、47、48を含む。nMOSトランジスタ40は高耐圧のトランジスタであり、その他のトランジスタは低耐圧のトランジスタである。
【0036】
nMOSトランジスタ40は、ゲートに信号BLSが印加され、一端が、対応するビット線BLに接続される。nMOSトランジスタ41は、一端がnMOSトランジスタ40の他端に接続され、ゲートに信号BLCが印加される。nMOSトランジスタ41は、対応するビット線BLを、信号BLCに応じた電位にクランプするためのものである。
【0037】
nMOSトランジスタ42は、一端がnMOSトランジスタ41の他端に接続され、ゲートに信号LAT_Sが入力される。nMOSトランジスタ43は、一端がnMOSトランジスタ42の他端に接続され、他端がノードSSRCに接続され、ゲートに信号BLXが入力される。pMOSトランジスタ44は、一端がノードSSRCに接続され、他端に電源電圧VDDSAが与えられ、ゲートがノードINV_Sに接続される。
【0038】
nMOSトランジスタ45は、一端がノードSSRCに接続され、他端がノードSENに接続され、ゲートに信号HLLが入力される。nMOSトランジスタ46は、一端がノードSENに接続され、ゲートに信号XXLが入力される。pMOSトランジスタ47は、一端がnMOSトランジスタ46の他端に接続され、ゲートに信号INV_Sが入力される。
【0039】
nMOSトランジスタ49は、一端がnMOSトランジスタ41の他端に接続され、他端がノードSRCGNDに接続され、ゲートがノードINV_Sに接続される。nMOSトランジスタ50は、一端がノードSRCGNDに接続され、他端に電圧SRC(例えば0V)が供給され、ゲートに信号SRC_SWが入力される。pMOSトランジスタ48は、一端がノードSRCGNDに接続され、他端がnMOSトランジスタ41の他端に接続され、ゲートに信号LAT_Sが入力される。さらに、電圧生成回路20がノードSRCGNDに接続されている。
【0040】
ストローブ部SBは、低耐圧のnMOSトランジスタ52〜56を含む。nMOSトランジスタ53は、一端が接地され、ゲートがノードSENに接続される。nMOSトランジスタ54は、一端がnMOSトランジスタ53の他端に接続され、他端がバスLBUSに接続され、ゲートに制御信号STBが入力される。
【0041】
nMOSトランジスタ52は、一端がノードSENに接続され、他端がバスLBUSに接続され、ゲートに制御信号BLQが入力される。nMOSトランジスタ56は、一端が接地され、ゲートがバスLBUSに接続される。nMOSトランジスタ55は、一端がnMOSトランジスタ56の他端に接続され、他端がノードSENに接続され、ゲートに制御信号LSLが入力される。
【0042】
キャパシタ素子51は、一方電極がノードSENに接続され、他方電極にクロックCLKが入力される。
【0043】
次に、
図3を参照してラッチ回路SDLについて説明する。図示するようにラッチ回路SDLは、低耐圧のnMOSトランジスタ60〜63及び低耐圧のpMOSトランジスタ64〜67を備えている。
【0044】
nMOSトランジスタ60は、一端がバスLBUSに接続され、他端がノードLAT_Sに接続され、ゲートに制御信号STLが入力される。nMOSトランジスタ61は、一端がバスLBUSに接続され、他端がノードINV_Sに接続され、ゲートに制御信号STIが入力される。nMOSトランジスタ62は、一端が接地され、他端がノードLAT_Sに接続され、ゲートがノードINV_Sに接続される。nMOSトランジスタ63は、一端が接地され、他端がノードINV_Sに接続され、ゲートがノードLAT_Sに接続される。pMOSトランジスタ64は、一端がノードLAT_Sに接続され、ゲートがノードINV_Sに接続される。pMOSトランジスタ65は、一端がノードINV_Sに接続され、ゲートがノードLAT_Sに接続される。pMOSトランジスタ66は、一端がpMOSトランジスタ64の他端に接続され、他端に電源電圧VDDSAが印加され、ゲートに制御信号SLLが入力される。pMOSトランジスタ67は、一端がpMOSトランジスタ65の他端に接続され、他端に電源電圧VDDSAが印加され、ゲートに制御信号SLIが入力される。
【0045】
ラッチ回路SDLでは、nMOSトランジスタ62とpMOSトランジスタ64で第1インバータが構成され、nMOSトランジスタ63とpMOSトランジスタ65で第2インバータが構成されている。そして、第1インバータの出力及び第2インバータの入力(ノードLAT_S)が、データ転送用のnMOSトランジスタ60を介してバスLBUSに接続される。第1インバータの入力及び第2インバータの出力(ノードINV_S)が、データ転送用のnMOSトランジスタ61を介してバスLBUSに接続される。ラッチ回路SDLは、データをノードLAT_Sで保持し、その反転データをノードINV_Sで保持する。
【0046】
ラッチ回路LDL及びUDLは、ラッチ回路SDLと同様の構成を有しているので、説明は省略するが、各トランジスタの参照番号及び制御信号名は、
図3の通りラッチ回路SDLのものとは区別する。
【0047】
プリチャージ回路30は、バスLBUSをプリチャージする。プリチャージ回路30は、例えば低耐圧のnMOSトランジスタ31を含み、一端がバスLBUSに接続され、ゲートには制御信号LPCが与えられる。
【0048】
バススイッチ32は、バスDBUSとバスLBUSとを接続することで、センスアンプユニットSAUをラッチ回路XDLに接続する。すなわち、バススイッチ32は、例えば低耐圧のnMOSトランジスタ33を含み、一端がバスDBUSに接続され、他端がバスLBUSに接続され、ゲートには制御信号DSWが与えられる。
【0049】
2.データの読み出し動作
次に、第1実施形態におけるデータの読み出し動作について説明する。読み出し動作は、例えば制御回路14が各種制御信号を制御することによって、センスアンプ部SAが行う。
【0050】
各メモリセルは、2ビット以上のデータを記憶できる。2ビットのデータのデータを記憶する場合、メモリセルは、
図4に示すように4つの閾値電圧(閾値レベルとも称される)のいずれかを有する。4つの閾値レベルは、閾値レベルの低い順からEレベル、Aレベル、Bレベル、Cレベルと称される。4つのレベルのそれぞれに固有の値を割り当てることにより、1つのメモリセルにおいて2ビットのデータを保持することができる。各メモリセルは、下位と上位の各ビットにおいて、“1”(低閾値)データと“0”(高閾値)データを記憶することが可能である。ただし、実際には、メモリセルセル相互間の特性のばらつきに起因して、同じ閾値電圧を有することを意図された複数のメモリセルであっても、閾値電圧はばらつく。この結果、
図3に示されるように閾値電圧は分布を有する。
【0051】
4つの閾値電圧のいずれかを有するメモリセル(以下、4値セル)の読み出しは、下位ビットの読み出しと、続く上位ビットの読み出しとを含む。下位ビットの読み出しでは、メモリセルが、Eレベル又はAレベルを有するか、あるいはBレベル又はCレベルを有するかが判別される。そのために、選択ワード線WLに、電圧VBが印加される。電圧VBは、Aレベルの分布の上端とBレベルの分布の下端との間に位置する。電圧VB以下の閾値レベルを有するメモリセルは、Eレベル又はAレベルを有すると判断される。電圧VBより大きい閾値レベルを有するメモリセルは、Bレベル又はCレベルを有すると判断される。
【0052】
上位ビットの読み出しでは、Aレベル読み出しとCレベル読み出しが行われる。Aレベル読み出しでは、選択ワード線に電圧VAが印加されて、メモリセルがEレベルを有するか、Aレベルを有するかが判別される。電圧VAは、Eレベルの分布の上端とAレベルの分布の下端との間に位置する。電圧VA以下の閾値レベルを有するメモリセルは、Eレベルの閾値レベルを有すると判別され、電圧VAより大きい閾値レベルを有するメモリセルは、Aレベルの閾値レベルを有すると判別される。
【0053】
Cレベル読み出しでは、選択ワード遷移電圧VCが印加されて、メモリセルがBレベルを有するか、Cレベルを有するかが判別される。電圧VCは、Bレベルの分布の上端とCレベルの分布の下端との間に位置する。電圧VC以下の閾値レベルを有するメモリセルは、Bレベルを有すると判断され、電圧VCより大きい閾値レベルを有するメモリセルは、Cレベルを有すると判断される。
【0054】
例えばAレベル読み出しは、2回の読み出しによって行われる方式(以下、2回読み出し方式)と、1回の読み出しによって行われる方式(以下、1回読み出し方式)を含む。2回読み出し方式では、閾値レベルがEレベルであるかAレベルであるかが2回の読み出しにより判別され、1回読み出し方式では1回の読み出しにより判別される。Cレベル読み出しも、同様に2回読み出し方式と1回読み出し方式を含む。
【0055】
電圧Vreadは、Cレベルの分布の上端より大きい値を有する。メモリセルは、電圧Vreadを受け取ると、閾値レベルの値によらずオンする。
【0056】
2.1 2回読み出し方式
4値セルに対する上位ビットの読み出しに2回読み出し方式を適用した場合を、
図5を用いて説明する。
【0057】
御回路14は、まず2回の読み出しを使用してAレベル読み出しを行う。具体的には、制御回路14は、まずAレベル読み出しのための1回目のデータの読み出しを行う。この読み出しは、下位ビットの読み出し時にオンしたメモリセルの全てのビット線BLに対して一括して行われる。この読み出しで、まず、制御回路14は、選択ワード線WLに電圧VAを印加し、非選択のワード線WLには電圧Vreadを印加する。制御回路14は、また、ビット線BLの電圧をプリチャージ電圧BLPRに設定する。センスの開始により、メモリセルは、その閾値レベルに応じて、オンするか、オフを維持する。メモリセルがオンしたビット線BLでは、ビット線BLからソース線SLにセル電流が流れ、ビット線BLの電圧は大きく低下する。他方、メモリセルがオフを維持したビット線BLではセル電流は流れない。センスアンプモジュール11は、セル電流が流れるか否かによって、メモリセルの閾値レベルがEレベルであるかAレベルであるかを判別する。ただし、実際には、電流のリークにより、メモリセルがオフを維持したビット線BLからもセル電流が流れ、ビット線BLの電圧は若干低下し、制御回路14は、ビット線BLの電圧の低下の度合いに基づいて閾値レベルの判別を行う。
【0058】
次に、制御回路14は、Aレベルのための2回目の読み出しを行う。具体的には、制御回路14は、1回目の読み出しにおいてメモリセルがオフを維持した(セル電流が流れなかった)ビット線BLの電圧をプリチャージ電圧BLPRに再度設定する。また、制御回路14は、1回目の読み出しのときにメモリセルがオンした(セル電流が流れた)ビット線BLの電圧を電圧SRCCGNDに維持する。電圧SRCGNDは、プリチャージ電圧BLPRとソース線SLの電圧SRC(例えば、0V)との間の大きさを有し、例えば電圧BLPRと電圧SRCとの中間の大きさを有し、電圧生成回路20によって生成される。センスの開始により、メモリセルがオンしたビット線BLでは、ビット線BLからソース線SLにセル電流が流れる。センスアンプモジュール11は、セル電流が流れるか否かによって、メモリセルの閾値レベルがEレベルであるかAレベルであるかを判別する。
【0059】
次に、制御回路14は、Cレベルのための1回目、2回目の読み出しを行う。Cレベル読み出しは、Aレベル読み出しでの電圧VAに代えて、電圧VCを用いる。Cレベル読み出しのその他の点は、Aレベル読み出しでの対応する点と同じである。Cレベルの1回目の読み出しは、下位ビットの読み出し時にオフを維持したメモリセルの全てのビット線BLに対して一括して行われる。この読み出しで、上記のように電圧VCが用いられて、メモリセルがオンしたビット線BLでは、ビット線BLからソース線SLにセル電流が流れ、メモリセルがオフを維持したビット線BLではセル電流は流れない。次に、制御回路14は、Cレベルのための2回目の読み出しにおいても、1回目の読み出しのときにメモリセルがオンした(セル電流が流れた)ビット線BLの電圧を電圧SRCCGNDに維持する。続くセンスにより、センスアンプモジュール11は、セル電流が流れるか否かによって、メモリセルの閾値レベルがBレベルであるかCレベルであるかを判別する。
【0060】
2.2 1回読み出し方式
4値セルに対する上位ビットの読み出しに1回読み出し方式を適用した場合を、
図6を用いて説明する。
【0061】
制御回路14は、まず1回の読み出しを使用してAレベル読み出しを行う。この読み出しは、下位ビットの読み出し時にオンしたメモリセルの全てのビット線BLに対して一括して行われる。この読み出しで、まず、制御回路14は、選択ワード線WLに電圧VAを印加し、非選択のワード線WLには電圧Vreadを印加する。制御回路14は、また、ビット線BLの電圧をプリチャージ電圧BLPRに設定する。センスの開始により、メモリセルは、その閾値レベルに応じて、オンするかオフを維持する。メモリセルがオンしたビット線BLでは、ビット線BLからソース線SLにセル電流が流れ、ビット線BLの電圧は大きく低下する。他方、メモリセルがオフを維持したビット線BLではセル電流は流れない。センスアンプモジュール11は、セル電流が流れるか否かによって、メモリセルの閾値レベルがEレベルであるかAレベルであるかを判別する。
【0062】
次に、制御回路14は、Cレベル読み出しを行う。制御回路14は、まず、Aレベル読み出しにおいてメモリセルがオンしたビット線BLの電圧をプリチャージ電圧BLPRに再度設定する。一方、制御回路14は、1回目の読み出しでメモリセルがオフを維持したビット線BLを電圧SRCGNDに維持する。その後、制御回路14は、選択ワード線WLに電圧VCを印加する。続くセンスにより、センスアンプモジュール11は、セル電流が流れるか否かによって、メモリセルの閾値レベルがBレベルであるかCレベルであるかを判別する。
【0063】
2.3 変形例
次に、
図5に示した読み出し動作の変形例について、
図7を用いて説明する。
図5に示した例では、制御回路14は、Aレベル読み出しとCレベル読み出しにおいて、メモリセルがオンしたビット線の電圧を同じ電圧に設定する。一方、変形例では、制御回路14は、Aレベル読み出しとCレベル読み出しにおいて、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧を異なる電圧に設定する。
【0064】
すなわち、
図7に示すように、制御回路14は、Aレベル読み出しにおいて、1回目の読み出しのときにメモリセルがオンしたビット線BLの電圧を電圧SRCCGND1に維持する。電圧SRCGND1は、電圧SRCGND1は、プリチャージ電圧BLPRとソース線電圧SRCとの間の大きさを有し、センスアンプ部SA内の電圧生成回路によって生成される。
【0065】
また、制御回路14は、Cレベル読み出しにおいて、1回目の読み出しのときにメモリセルがオンしたビット線BLの電圧を電圧SRCCGND2に維持する。電圧SRCGND2は、電圧SRCGND1と異なる大きさを有し、例えば電圧SRCと電圧SRCGND1との間の大きさを有し、センスアンプ部SA内の電圧生成回路によって生成される。
【0066】
メモリセルがオンしたビット線BLに印加される電圧が、3種類以上あってもよい。例えば、NAND型フラッシュメモリ1が、1つのメモリセルにおいて4を超える数の値(例えば8値)を保持できる場合、3種類以上の電圧SRCGNDが利用される。すなわち、4値の場合のAレベル読み出しおよびCレベル読み出しのためにそれぞれ電圧SRCGND1、SRCGND2が使用されるのと同様に、さらなるレベルの読み出しのためにさらなる電圧SRCGNDが使用される。
【0067】
2.4 センスアンプ部
次に、読み出し動作におけるセンスアンプ部SAの動作について、
図8を用いて説明する。なお、
図8には1回の読み出し時のタイミングチャートを示す。センスアンプ部SAは、例えば制御回路14からの各種制御信号によって動作する。
【0068】
図8中の時刻t2以前に示すように、まず読み出しのためにビット線BLがプリチャージされる。信号BLS,BLC,LAT,BLXが“H”レベルとなり、またノードINV_Sは初期状態で“L”レベルとなることにより、pMOSトランジスタ44、nMOSトランジスタ40〜43を介して、ビット線BLが例えば0.5Vにプリチャージされる。
【0069】
この際、信号HLLも“H”レベルとなることで、キャパシタ素子51が充電され、ノードSENの電圧は例えば2.5V程度に上昇する。
【0070】
次に、時刻t2において、信号HLLが“L”レベルとなり、データのセンスが行われる。
図8に示すように、信号HLLが“L”レベルとなる一方で、信号XXLが“H”レベル、信号INV_Sが“L”レベル、信号LAT_Sが“H”レベルになっているため、キャパシタ素子51に充電された電荷は、ビット線BLに流れるセル電流に応じて放電される。
【0071】
その結果、ノードSENの電圧は、2.5Vからある電圧V1に低下する。メモリセルが保持するデータが“1”データであれば、ビット線BLからソース線SLに十分に大きなセル電流が流れる。そのため、電圧V1も十分に低くなる。他方、保持するデータが“0”データであれば、ビット線BLからソース線SLに流れる電流は小さい。従って、電圧V1は、前述の場合よりも高くなる。
【0072】
図示するように、時刻t3において、信号XXLが“L”レベルとなり、トランジスタ46がオフ状態となる。その結果、センスされたデータがノードSENに保持される。その後、ノードSENに保持されたデータは、ラッチSDLに取り込まれる。以上により、データセンスが終了する。
【0073】
次に、電圧生成回路20について、
図9を用いて説明する。電圧生成回路20の構成を
図9に示す。電圧生成回路20は、読み出し動作において、ノードSRCGNDにおいて、電圧SRCGNDを生成する。
【0074】
図9に示すように、電圧生成回路20は、レギュレータ21、ドライバ22、及びトランジスタ23を有する。レギュレータ21は、オペアンプOP1、OP2、トランジスタ24、及び定電圧回路25を含む。
【0075】
レギュレータ21は、ノードVBLLにおいて、ドライバ22の入力端子と接続されている。ノードVBLLは、トランジスタ23を介して接地されており、また、トランジスタ24を介して電源電圧の供給ノードと接続されている。ドライバ22は、ノードVBLLにおいてレギュレータ21からの電圧を受け取り、ノードSRCGNDにおいて電圧SRCGNDを出力する。定電圧回路25はある一定の電圧を出力する。定電圧は、目標の電圧SRCGNDである。オペアンプOP1は、非反転入力端子(+)においてノードVBLLと接続されており、反転入力端子(−)において参照電圧VREF1を受け取り、出力ノードにおいてトランジスタ23のゲートと接続されている。オペアンプOP2は、非反転入力においてノードVBLLと接続されており、反転入力において参照電圧VREF1を受け取り、出力ノードにおいてトランジスタ24のゲートと接続されている。
【0076】
ノードVBLLの電圧が電圧SRCGNDより高くなると、オペアンプOP1はトランジスタ23をオンさせて、ノードVBLLの電圧を下降させる。一方、ノードVBLLの電圧が電圧SRCGNDより低くなると、オペアンプOP2は、トランジスタ24をオンさせて、ノードVBLLの電圧を上昇させる。こうして、レギュレータ21は、固定の電圧SRCGNDを出力する。
【0077】
異なる2つ以上の電圧SRCGND(例えばSRCGND1、SRCGND2)を生成するには、それぞれの電圧を生成するためのレギュレータ21が設けられる。各レギュレータ21は、定電圧回路25を用いて、対応する電圧SRCGNDを生成する。
【0078】
3.第1実施形態の効果
前述した第1実施形態の効果について、比較例の説明と共に以下に説明する。
【0079】
NAND型フラッシュメモリにおける電流センス方式のセンスアンプでは、選択されたビット線BLの電圧及びセル電流の変動が収まるまでの待ち時間がある。
図5〜
図7中の“BL developing”がビット線の電圧及びセル電流の変動が収まるまでの待ち時間を示す。
【0080】
例えば、上記待ち時間、ソース線の電圧の上昇などを考慮してロックアウトやノーロックアウトと呼ばれるビット線の制御が行われることがある。ロックアウトは、メモリセルがオンしたビット線BLが、ある電圧に固定されることを指す。固定される電圧は、ソース線電圧SRCである。2回読み出し方式は、Aレベル読み出しまたはCレベル読み出しの中でロックアウトを行うためのものである。また、ロックアウトは、Aレベル読み出し後のCレベル読み出しの間にも行われ得る。他方、ノーロックアウトは、1回読み出しに相当し、ノーロックアウトでは、Aレベル読み出しおよびCレベル読み出しの間でもロックアウトは行われない。
【0081】
1回目の読み出しでオンしたメモリセルを割り出して、これらと接続されたビット線をロックアウトすることで、メモリセルアレイ内の全電流の総和を低減できるととともに、電流の流れにくいビット線についても高精度にデータを読み出すことができる。また、Aレベル読み出しにおいて行われたロックアウトをCレベル読み出しにおいても継続することにより、メモリセルアレイ内での電流の消費を抑制できる。しかし、ロックアウトの際に、メモリセルがオンしたビット線の電圧はプリチャージ電圧からソース線電圧に変動する。このため、非選択のビット線に隣接するビット線は、ロックアウトしない場合よりも大きなカップリングノイズを受ける。このため、このカップリングノイズが収まり、選択ビット線の電流及び電圧が安定するまでの待ち時間が必要である。よって、読み出し時間が長い。
【0082】
一方、ノーロックアウトを用いた読み出し動作では、Aレベル読み出しおよびCレベル読み出しが各々1回の読み出しで完了し、また、Cレベル読み出しの開始の際もロックアウトは行われない。よって、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧変動はロックアウトの場合より小さい。しかしながら、Cレベル読み出しの開始の際に全てのビット線がプリチャージされるため、消費電流は大きい。
【0083】
このように、ロックアウトまたはノーロックアウトを用いたどちらの読み出し動作も一長一短があり、状況に応じて使い分けられている。
【0084】
これに対して、第1実施形態では、2回読み出し方式での2回目の読み出しの間、およびAレベル読み出し後のCレベル読み出しの間、メモリセルがオンしたビット線BLは電圧SRCGNDに維持される。このため、ロックアウトと同じく、消費電流の抑制および読み出し精度の向上が可能である。さらに、第1実施形態では、電圧SRCGNDは、比較例でのソース電圧より高い。このため、ロックアウトの場合よりもメモリセルがオンしたビット線の電圧の変動の振幅は小さく、ビット線の電圧及びセル電流が安定するまでの時間は短い。一方、Cレベル読み出しの開始の際、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧SRCGNDとプリチャージ電圧BLPRとの差は、ノーロックアウトでのビット線の電圧とプリチャージ電圧との差より小さい。このため、ノーロックアウトの場合よりもプリチャージに要する電流は少ない。このように、第1実施形態によれば、ノーロックアウトでの場合よりも少ない電流で、かつロックアウトの場合よりもさらに高い速度での読み出しを実現できる。
【0085】
第1実施形態と比較例との読み出し動作における読み出し速度と消費電流の違いを
図10に示す。
図10中では第1実施形態の読み出し動作を高速ロックアウトと表記している。
【0086】
図示するように、ロックアウトを用いた読み出し動作は読み出し速度が遅いが、消費電流が小さい。また、ノーロックアウトを用いた読み出し動作は読み出し速度が速いが、消費電流が大きい。これらに比べて、第1実施形態の読み出し速度はノーロックアウトの動作とほぼ同等の速度を有する。消費電流は、ロックアウトの動作より大きいが、ノーロックアウトの動作より小さくできる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の半導体記憶装置について説明する。第1実施形態では、メモリセルがオンしたビット線BLの電位は、電圧SRCのノードへの接続に代えて、固定の電圧SRCGNDのノードへの接続によって固定される。一方、第2実施形態では、電流の制限により、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧が、電圧SRCより高い値に設定される。以下に述べる構成及び動作を除き、第2実施形態の半導体記憶装置の構成及び動作は第1実施形態と同様である。
【0088】
1.センスアンプの電流制御回路
まず、センスアンプ部SAの電流制限回路について説明する。
図11に示すように、センスアンプ部SAは、
図9でのレギュレータ21およびnMOSトランジスタ23に代えて、電流制限回路70を有する。電流制限回路70は、ドライバ22を流れる電流を制限し、この制限を通じて、ノードSRCからセンスアンプ部SAおよびビット線BLを介してソース線SLに流れる電流の量を制限する。電流制限回路70は例えばカレントミラー回路を備える。カレントミラー回路は、nMOSトランジスタ57、58、及び定電流源59を有する。定電流源59およびトランジスタ57は、電源電圧VDDSAの供給ノードと接地ノードとの間に直列接続されている。定電流源59は、リファレンス電流Irefを供給する。トランジスタ58は、ドライバ22の入力端と接地ノードとの間に接続されている。トランジスタ57のゲートは、定電流源59とトランジスタ57との間の接続ノード、およびトランジスタ58のゲートと接続されている。カレントミラー回路によって、トランジスタ58を介して電流Iaが流れる。
【0089】
リファレンス電流Irefと、トランジスタ57、58のチャネル幅Wを適切に設定することにより、所望の電流Iaが得られる。電流Iaによって、ドライバ22からノードSRCGNDに流れる電流の量が変動し、センスアンプ部SAおよびビット線BLを介してソース線SLに流れる電流の量が制限される。電圧SRCGNDは、電流Iaと釣り合う大きさに落着する。このようにして得られた電圧SRCGNDが、電圧SRCに代えて、メモリセルがオンしたビット線BLに印加される。
【0090】
2.データ読み出し動作
4値セルに対する上位ビットの読み出しに2回読み出し方式を適用した場合を、
図12及び
図13を用いて説明する。以降に説明する読み出し動作は、例えば制御回路14が各種制御信号を制御することによって、センスアンプ部SAが行う。
【0091】
図12及び
図13に示すように、制御回路14は、2回目の読み出しの間、およびAレベル読み出し後のCレベル読み出しの間、メモリセルがオンしたビット線BLは、ノードSRCGNDに電気的に接続される。
図12および
図13は、それぞれ、ノードSRCGNDの電圧が、それぞれ電圧SRCGND3、SRCGND4の場合を示している。電圧SRCGND3、SRCGND4は、いずれもソース線電圧SRCとプリチャージ電圧BLPRとの間の大きさを有し、SRCGND4は、SRCGND3より低い。
【0092】
センス開始後のビット線BLの電圧の変動は、選択ワード線のページのデータのパターンに基づいて定まる。例えばあるデータのパターンでは、メモリセルがオフしているビット線BLの電圧によるプリチャージ電圧BLPRからの低下は少ない。一方、別のデータのパターンでは、メモリセルがオフをしているビット線BLの電圧の電圧BLPRからの低下は大きい。
図12は、ビット線BLの電圧の低下がより小さいケースを示し、
図13は、ビット線BLの電圧の低下がより大きいケースを示している。このようなメモリセルがオンしているビット線BLの電圧の低下の大きさの違いに基づき、
図12のケースでは、ノードSRCGNDの電圧は大きく、例えば電圧SRCGND3であり、
図13のケースでは、ノードSRCGNDの電圧は小さく、例えば電圧SRCGND4である。
【0093】
その他の点は、読み出しそのものを含め、第1実施形態と同じである。
【0094】
ビット線BLの電圧の低下がより小さいケースでは、ビット線BLの電圧が安定するまでの時間は短い。メモリセルがオンしたビット線BLの電圧の変動が大きいからである。一方、ビット線BLの電圧の低下がより小さいケースでは、ビット線BLの電圧が安定するまでの時間は短い。すなわち、ビット線BLの電圧の低下の大きさに基づいて、必要な待ち時間が異なる。他方、上記のように、ビット線BLの電圧の低下の大きさに基づいて、ノードSRCGNDの大きさが異なる。すなわち、必要な待ち時間の長さと、ノードSRCGNDの電圧の大きさは、相関関係を有する。これを利用して、制御回路14は、ノードSRCGNDの電圧の大きさを監視し、ノードSRCGNDの大きさに基づいて、ビット線BLの安定までの待ち時間を変更することができる。待ち時間の変更を通じた最適化により、高速な読み出し動作が可能である。
【0095】
3.第2実施形態の効果
第2実施形態でも、第1実施形態と同じく、2回目の読み出しの間、およびAレベル読み出し後のCレベル読み出しの間、ビット線BLの電圧が電圧BLPRと電圧SRCとの間の大きさに設定される。このため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
【0096】
さらに、第2実施形態によれば、電圧SRCGNDの大きさがビット線BLの電圧の安定までに必要な時間を反映しており、電圧SRCGDNの大きさが監視されてビット線BLの電圧の安定までの待ち時間が変更される。これにより、最適な待ち時間を設定することができ、読み出し動作の高速化が可能である。
【0097】
[その他の変形例等]
前述した第1、第2実施形態の更なる変形例等を以下に説明する。
【0098】
1.第1変形例
第1、第2実施形態の変形例について説明する。以下では、Aレベルの読み出しについて述べるが、Cレベルの読み出しについても同様である。
【0099】
図5、
図6、
図7、
図12、
図13に示した読み出し動作では、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧は、プリチャージ電圧BLPRから低下し始めた後、電圧SRCGNDへと低下する。一方、第1変形例では、
図14に示すように、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧は、まず、ソース線電圧SRCまで下げられ、その後電圧SRCGNDへと上げられる。
【0100】
まず、第1変形例の電圧生成回路20について、
図15を参照して説明する。
図15に示すように、電圧生成回路20は、クランプ部26、ドライバ22、及びnMOSトランジスタ50を有する。クランプ部26は、オペアンプOP3及びnMOSトランジスタ27を含み、電圧VSRCGNDを出力する。電圧VSRCGNDは、ドライバ22に供給される。電圧VSRCGNDは、目標のビット線の電圧SRCGNDに相当する。
【0101】
nMOSトランジスタ27は、ドライバ22とノードVDDSAとの間に接続されており、閾値電圧Vthを有する。オペアンプOP3の非反転入力端子には電圧VREF2が入力され、オペアンプOP3の出力端子は反転入力端子とnMOSトランジスタ27のゲートに接続されている。電圧VREF2は、電圧VSRCGNDと閾値電圧Vthとを合わせた値を有する。
【0102】
このような要素の接続および電圧により、オペアンプOP3は、出力端子での電圧を電圧VREF2に維持するように働く。これにより、nMOSトランジスタ27のゲートには、電圧VREF2(=電圧VSRCGND+電圧Vth)が供給され、結果、クランプ部26は電圧VSRCGNDを出力する。
【0103】
図14に示すように、1回目の読み出しの後、期間P1ではnMOSトランジスタ50がオンし、ソース線電圧SRCを、メモリセルがオンしたビット線BLに供給する。期間P1の後、nMOSトランジスタ50はオフする。よって、期間P2ではクランプ部26から出力された電圧VSRCGNDが、ドライバ22を介してビット線BLに供給される。これにより、
図14に示すように、ビット線BLの電圧SRCGNDを、電圧SRCまで一旦さげ、その後プリチャージ電圧BLPRとソース線の電圧SRCとの間の中間電圧まで上昇させることができる。
【0104】
メモリセルがオンしたビット線BLの電圧は、ソース線電圧SRCから電圧SRCGNDへと上げられる方がプリチャージ電圧BLPRから電圧SRCGNDへと下げられる場合よりも、早く安定する場合がある。このような場合に第1変形例を使用することにより、メモリセルがオンしたビット線BLの電圧を早く安定させることができる。また、第1変形例によれば、適用された第1または第2実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0105】
2.第2変形例
第1、第2実施形態を書き込みベリファイに適用することが可能である。ベリファイは、正しく書き込みが行われたかを検証するための読み出し動作を指す。
【0106】
図16を用いて、Aレベルの書き込みベリファイの動作を説明する。Aレベルの書き込みベリファイ時には、Eレベルの閾値電圧を有するメモリセルに対してはベリファイが行われる必要はない。よって、Eレベルを有するメモリセルに接続されたビット線BLはプリチャージされる必要が無い。そこで、制御回路14は、そのようなビット線BLの電圧を電圧SRCGNDに設定する。同様に、Bレベルの書き込みのベリファイ時には、Eレベル及びAレベルを有するメモリセルに接続されたビット線BLは、電圧SRCGNDに設定される。その他のレベルについても同様である。
【0107】
第2変形例によれば、適用された第1または第2実施形態と同じ効果を得ることができ、また書き込みベリファイでの読み出しにおいても第1または第2実施形態の効果を得ることができる。
【0108】
実施形態は、2ビットのデータを記憶可能なメモリセルに適用する場合を例に挙げ説明したが、1ビットまたはnビット(nは3以上の自然数)のデータを記憶可能なメモリセルにも適用することができる。
【0109】
また、本実施形態は、三次元積層型NAND型フラッシュメモリに限らず、その他のNAND型フラッシュメモリ全般に適用できる。また、各実施形態はそれぞれが単独で実施されても良いが、組み合わせ可能な複数の実施形態が組み合わされて実施されてもよい。
【0110】
なお、各実施形態及び変形例において、
(1)読み出し動作では、
Aレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される電圧は、例えば0V〜0.55Vの間である。これに限定されることなく、0.1V〜0.24V, 0.21V〜0.31V, 0.31V〜0.4V, 0.4V〜0.5V, 0.5V〜0.55Vいずれかの間にしてもよい。
【0111】
Bレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される電圧は、例えば1.5V〜2.3Vの間である。これに限定されることなく、1.65V〜1.8V, 1.8V〜1.95V, 1.95V〜2.1V, 2.1V〜2.3Vいずれかの間にしてもよい。
【0112】
Cレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される電圧は、例えば3.0V〜4.0Vの間である。これに限定されることなく、3.0V〜3.2V, 3.2V〜3.4V, 3.4V〜3.5V, 3.5V〜3.6V, 3.6V〜4.0Vいずれかの間にしてもよい。
【0113】
読み出し動作の時間(tR)としては、例えば25μs〜38μs, 38μs〜70μs, 70μs〜80μsの間にしてもよい。
【0114】
(2)書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作を含む。書き込み動作では、
プログラム動作時に選択されたワード線に最初に印加される電圧は、例えば13.7V〜14.3Vの間である。これに限定されることなく、例えば13.7V〜14.0V, 14.0V〜14.6Vいずれかの間としてもよい。奇数番目のワード線を書き込む際の、選択されたワード線に最初に印加される電圧と、偶数番目のワード線を書き込む際の、選択されたワード線に最初に印加される電圧を変えてもよい。
【0115】
プログラム動作をISPP方式(Incremental Step Pulse Program)としたとき、ステップアップの電圧として、例えば0.5V程度が挙げられる。
【0116】
非選択のワード線に印加される電圧としては、例えば6.0V〜7.3Vの間としてもよい。この場合に限定されることなく、例えば7.3V〜8.4Vの間としてもよく、6.0V以下としてもよい。
【0117】
非選択のワード線が奇数番目のワード線であるか、偶数番目のワード線であるかで、印加するパス電圧を変えてもよい。
【0118】
書き込み動作の時間(tProg)としては、例えば1700μs〜1800μs, 1800μs〜1900μs, 1900μs〜2000μsの間にしてもよい。
【0119】
(3)消去動作では、
半導体基板上部に形成され、かつ、上記メモリセルが上方に配置されたウェルに最初に印加する電圧は、例えば12V〜13.6Vの間である。この場合に限定されることなく、例えば13.6V〜14.8V, 14.8V〜19.0V, 19.0〜19.8V, 19.8V〜21Vの間であってもよい。
【0120】
消去動作の時間(tErase)としては、例えば3000μs〜4000μs, 4000μs〜5000μs, 4000μs〜9000μsの間にしてもよい。
【0121】
(4)メモリセルの構造は、
半導体基板(シリコン基板)上に膜厚が4〜10nmのトンネル絶縁膜を介して配置された電荷蓄積層を有している。この電荷蓄積層は膜厚が2〜3nmのSiN、またはSiONなどの絶縁膜と膜厚が3〜8nmのポリシリコンとの積層構造にすることができる。また、ポリシリコンにはRuなどの金属が添加されていても良い。電荷蓄積層の上には絶縁膜を有している。この絶縁膜は、例えば、膜厚が3〜10nmの下層High−k膜と膜厚が3〜10nmの上層High−k膜に挟まれた膜厚が4〜10nmのシリコン酸化膜を有している。High−k膜はHfOなどが挙げられる。また、シリコン酸化膜の膜厚はHigh−k膜の膜厚よりも厚くすることができる。絶縁膜上には膜厚が3〜10nmの仕事関数調整用の材料を介して膜厚が30nm〜70nmの制御電極が形成されている。ここで仕事関数調整用の材料はTaOなどの金属酸化膜、TaNなどの金属窒化膜である。制御電極にはWなどを用いることができる。
【0122】
また、メモリセル間にはエアギャップを形成することができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。