特許第6199859号(P6199859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6199859特に、制御されたブレーキ装置用のマスタシリンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199859
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】特に、制御されたブレーキ装置用のマスタシリンダ
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/16 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   B60T11/16 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-508833(P2014-508833)
(86)(22)【出願日】2012年5月4日
(65)【公表番号】特表2014-513007(P2014-513007A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012058280
(87)【国際公開番号】WO2012150347
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】102011075359.1
(32)【優先日】2011年5月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500030596
【氏名又は名称】コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ、ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ドロット、ペテル
(72)【発明者】
【氏名】ユングマン、ウド
(72)【発明者】
【氏名】ビスチョフ、アンドレアス
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−142364(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0020291(US,A1)
【文献】 特表2005−520731(JP,A)
【文献】 特開2007−022363(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/006305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)内に移動可能であり、かつ、前記ハウジング(2)の環状溝(23、24)内に配置された密封要素(5、6)によって圧力チャンバ(7、8)に関して密封され、その圧力チャンバ(7、8)は、ピストン(46)内に形成された制御通路(51; 52)によって、加圧されていない供給チャンバ(11、12)に接続可能である少なくとも1つのピストン(46)を有するものであって、前記少なくとも1つのピストン(46)は、少なくとも2つの部分に形成され、本体(47)、及び環状の制御要素(48; 49)を有し、前記制御通路(51; 52)は、前記制御要素(48; 49)内に設けられる制御されたブレーキ装置用のマスタシリンダにおいて、
前記制御通路(51; 52)は、前記少なくとも1つのピストンの終端面に平行に形成される制御端(55)を有し、前記本体(47)は外部溝(54)を有し、前記制御端(55)は、前記本体(47)の外部溝(54)の側壁(56)及び前記本体(47)の外部側(57)によって形成され、前記制御要素(48; 49)は、前記本体(47)の前記外部溝(54)内に配置され、
前記制御要素(49)は、内部に指向されたリブ(64)及び外部に指向されたリブ(61)を有する波状のリングの形であるか、又は環体(63)に配置されているリブ(60)を備えた環体(63)を有するものであり、
前記制御通路(51; 52)は、前記制御要素(48; 49)の外部側上のリブ(60;61)間のギャップとして設けられることを特徴とする、ブレーキ装置用のマスタシリンダ。
【請求項2】
前記本体(47)は、旋削される部分として、または押出成形される部分として設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のマスタシリンダ。
【請求項3】
前記本体(47)は、アルミニウムで作られていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマスタシリンダ。
【請求項4】
前記制御要素(51; 52)は、前記本体(47)に拡張適合することができる可逆的に変形可能な予備成形物として設けられていることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載のマスタシリンダ。
【請求項5】
前記制御要素(48)は、プラスチック材料で作られていることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載のマスタシリンダ。
【請求項6】
前記制御要素(49)は、弾性のあるシートメタルからなることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載のマスタシリンダ。
【請求項7】
前記外部溝(54)は、前記本体(47)の減少した直径の領域内に設けられることを特徴とする、請求項ないしのいずれか1項に記載のマスタシリンダ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この発明は、ハウジング内において移動可能で、かつ、ハウジングの環状溝内に配置された密封要素によって圧力チャンバに関して密封される少なくとも1本のピストンを有する、特には制御されたブレーキ装置用のマスタシリンダに関し、その圧力チャンバは、ピストン内に形成された制御通路によって加圧されていない供給チャンバに接続可能である。
【0002】
このタイプのマスタシリンダは、例えば、DE102004057137A1から知られており、制御通路は、小さな横断面の放射状の横方向孔として設けられ、さらに、周囲の内部溝は、マスタシリンダのデッド行程をできるだけ短く維持し、かつ、同時に、横方向孔の長さを減少することによってスロットリング抵抗を低下するために、横方向孔の領域における内側に形成される。
【0003】
制御介在圧力媒体の場合には、牽引制御(ASR)、または電子安定プログラム(ESP)を備えたブレーキ装置のような制御されたブレーキ装置の使用によって、ポンプによってマスタシリンダを介して圧力媒体貯蔵容器から供給される。ここの不利益は、横方向孔の小さな横断面が過度の流体抵抗を生成し、かつ、必要な圧力媒体が、充分に速くポンプに利用可能になることができないことである。
【0004】
流体抵抗を減少するために、より多くの横方向孔を提供し、かつ、横方向孔をその直径に関して最適化する可能性が、既知のマスタシリンダとともに在る。しかしながら、第1に述べた解決の不利益は、ピストンの安定性の利益に対して流体抵抗が減少し、また、さらに、多くの小さな横方向孔の設置が非経済的であるということにおいて出現する。第2の解決は、マスタシリンダのデッド行程が、孔の制御する側端の移動によって増加されるという不利益がある。
【0005】
これらの不利益を回避するために、DE102009054695A1は、ピストンがプラスチック材料からなり、ピストンの制御通路がピストンの端部面と平行に形成される制御端を有することを提案し、この制御通路は、ピストンの外部側における軸方向の溝として構成される。このことは、閉止行程が同一のままである間に制御通路の流体横断面を増加することを可能にし、その結果、制御介在の間の動的挙動を改善することができる。軸方向の溝は、ピストンの外部側における密封要素の画定された誘導が確実であるという利益を有する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、この発明の目的は、既知のマスタシリンダの前述した不利益に関して改善される異なるマスタシリンダを提供することである。
【0007】
この目的は、この発明によって、ピストンが少なくとも2つの部分で形成され、制御通路が設けられる本体および環状の制御要素を有することで達成される。制御要素であって、圧力を加えることを実行しないものは、したがって、本体の安定性に影響を及ぼすことなしに、非常に壁の薄い、金属透かし細工構成(filigree configuration)を有する。換言すれば、ピストンの圧力領域および供給領域は、相互から分離される。
【0008】
この発明の有利な実施例によれば、環状の制御要素は、本体の外部溝内に配置される。前記溝は、製造中に、単純なやり方で本体内に本質的に単純化して本体内に形成することができる。
【0009】
制御通路は、好ましくはピストンの端部面に対して平行に形成された制御端を有し、この制御端は、本体において形成される。それによって閉止行程が同一のままである間に、制御通路の流体横断面を増加させるのを可能とし、その結果、制御介在の間の動的挙動を改善することができる。
【0010】
この場合には、制御端が、制御要素の外部溝の側壁および本体の外部側に形成される場合に、特に有利である。
【0011】
この発明の有利な開発によれば、制御通路は、制御要素の外部側における軸方向の溝として提供される。軸方向の溝は、ピストンの外部側における密封する要素の画定された誘導が確実であるという利益を有する。
【0012】
この発明の代りの有利な実施例は、制御要素が波状のリングとして構成されることを規定する。
【0013】
この発明の他の代りの有利な実施例は、制御通路は、制御要素の内側におけるリブ間のギャップとして提供され、このリブは、制御端に向かって指向された制御要素の側において制御要素を越えて軸方向に突出することを規定する。
【0014】
本体は、好ましくは、旋削されるか、または押出し成形された部分として提供される。
【0015】
本体がアルミニウムからなる場合には、重量に関して最適化されたピストンを達成することができる。
【0016】
この発明の有利な実施例によれば、制御要素は、本体に拡張適合することができる可逆的に変形可能な予備成形物(preform)として提供される場合、組立ては、単純なやり方で実行することができる。
【0017】
制御要素は、好ましくはプラスチック材料からなり、それによって低コストの製造を達成することができる。
【0018】
この発明の他の実施例によれば、制御要素は、弾性的な板金から形成することができる。
【0019】
この発明の特に有利な実施例は、外部溝が、本体の減少された直径の領域において設けられることを規定する。動的安定制御装置のためのより小さい流体抵抗、および量不足の場合における改善された供給流の両方は、より大きなピストンとハウジングとの間の今や初期により大きなギャップの利点として引用することができる。
この発明のさらなる特徴、利点、および可能な適用は、従請求項から、さらには、常に高度に図式化された形成で、以下の代表的な実施例の記述から、明白である:
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】縦断面図における既知のマスタシリンダを示す;
図2】3次元表現で、この発明によるマスタシリンダの第1の代表的な実施例のピストンを示す;
図3図2によるピストンの拡大した詳細を示す;
図4】3次元表現で、図2および3に示されるようなこの発明によるマスタシリンダの制御要素(control element)を示す;
図5】3次元表現で、 完備した制御要素を備えた図2によるピストンの詳細を示す;
図6】3次元表現で、この発明によるマスタシリンダの第2の代表的な実施例の制御要素を示す;
図7】3次元表現で、図6による完備した制御要素を備えたピストンを示す;
図8】3次元表現で、この発明によるマスタシリンダの第3の代表的な実施例のピストンの詳細を示す;
図9図8によるピストンのさらなる詳細を示す;
図10】3次元の表現で、図8、9に示されるようなこの発明によるマスタシリンダの制御要素を示す。
図11】3次元の表現で、図10による制御要素の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、縦断面図において、例えば、牽引制御(ASR) およびまたは、電子安定プログラム(ESP)を備えた制御されたブレーキ装置における用途を見出し、さらには、プランジャ形のタンデム設計である既知のマスタシリンダ1を示している。
【0022】
マスタシリンダ1は、ハウジング2内で移動可能である第1および第2のピストン3、4を有し、動的に装着した内部の密封リップ26、27と、静的に装着した外部の密封リップ28、29とを備えた環状の密封要素5、6は、 ハウジング2の環状溝23、24内に設けられる。動的に装着した内部の密封リップ26、26は、ピストン3、4に対する第1の密封面によって支持し、さらに、静的に装着した外部の密封リップ28、29は、環状溝23、24の底部に対する第2の密封面によって支持する。ピストン3、4の外部側面30、31は、ガイド面として役立つ。
【0023】
第1および第2の圧力チャンバ7、8は、図1に表わされたマスタシリンダ1の非作動状態で、圧力媒体チャンネル32、33、およびハウジング2内の供給チャンバ11、12経由で、さらに、制御通路9、10経由で、加圧されていない(unpressurised)圧力媒体貯蔵容器(図示せず)に対する第1および第2のピストン3、4の側部36、37において設けられたポット形の壁21、22における横方向孔の形状で接続される。その配置によって、マスタシリンダ1は、ピストン3、4の周面における4から24個までの横方向孔9、10を有する。このピストン3、4は、圧縮バネ34、35によって付勢される。
【0024】
この圧縮バネ34、35は、ポット形の壁21、22の内部に少なくとも部分的に配置される。中央スタッド38、39は、それが軸方向に壁21、22から出ていく前で終端し、壁21、22を通って中心に突出している。この終端40、41は、スリーブ17、18用のストップ42、43を備えており、そのストップ42、43は、スリーブ17、18が、スタッド38、39に関して一定範囲に嵌め込むことができるような方法で、カラー19、20と協働する。換言すれば、スリーブ17、18は、圧縮バネ34、35によって、作動時にピストンの内部内に付勢される。理解されるように、ストップ42、43は、好ましくは、スタッド38、39に、リベット止め−特には揺れリベット止め−されるワッシャである。スリーブ17、18の対向端部は、圧縮バネ34、35の当接(abutment)用のプレート状のカラー44、45を有する。
【0025】
マスタシリンダ1を作動するために、第1のピストン3は、作動方向Aにおいて移動される。このことが起こるとともに、第1のピストン3の移動は、第2のピストン4に圧縮バネ34経由で伝達される。横方向孔9、10が密封要素5、6の領域にある、すなわち、孔の制御する側端が通過されるや否や、マスタシリンダ1のいわゆるデッド行程は終了し、したがって、圧力媒体は、もはや供給チャンバ11、12から横方向孔9、10経由で圧力チャンバ7、8に到達することができない。圧力媒体容器に対する圧力チャンバ7、8の接続は、中断され、かつ、圧力が圧力チャンバ7、8内において増加される。
【0026】
マスタシリンダ1に縦に並べて配置された2本のピストン3、4は、構造および動作において実際に同一であり、その結果、第1のピストン3だけがさらに記述される。
【0027】
ASRまたはESP介在中に、非作動の、または作動されたピストン3によって、ホイールブレーキの方向における圧力チャンバ経由で圧力媒体容器から圧力媒体を供給し、ホイールブレーキは、好ましくはポンプによって達成され、ホイールブレーキの方向、またはマスタシリンダ1の方向に汲みあげる(戻り原理return principle)ために、その入口は、マスタシリンダ1の圧力チャンバ7、8、またはホイールブレーキに、選択的に接続可能であることは、必要であることができる。この目的のために、マスタシリンダ1の非作動状態におけるASRまたはESP介在中に、圧力媒体は、圧力媒体チャンネル32、供給チャンバ11、横方向孔9、および圧力チャンバ7経由で圧力媒体貯蔵容器から供給される。マスタシリンダ1の作動状態におけるESP介在中に、圧力媒体は、密封要素5の外部の密封リップ28を横切って流れることによってさらに供給され、外部の密封リップ28の密封面が、環状溝23の底部に対して、もはやもたれかからないように、そのリップは、内部の密封リップ26の方向に吸引圧力によってその上に折り重ねられる。特にマスタシリンダ1の非作動位置において、ASRまたはESP介在中に、ポンプに充分な圧力媒体を迅速に利用可能にするために、マスタシリンダ1のデッド行程は、またできるだけ短く維持しなければならないが、横方向孔9の流体抵抗をできるだけ低く維持することが必要である。
【0028】
横方向孔9、10の領域において、それぞれの放射方向の、周辺の内部溝15、16は、横方向孔9、10の長さを短くして、ピストン3、4の内部側13、14に設けられる。スロットリング抵抗は、それによって減少されるように意図される。このことは、しかしながら、第1に、内部溝15、16を生産する技術的な複雑さ、およびコストの理由で不利であることが判明し、さらに、第2に、横方向孔9、10の流体抵抗は、孔径に直接依存するので、その結果、内部溝15、16は、流体抵抗のいかなる減少をも可能にしない。さらに、多くの横方向孔9、10が設けられる場合には、ピストン3、4の安定性は、否定的に影響を受ける場合がある。
【0029】
図1による既知のマスタシリンダからの動作および構造において基本的に異ならないこの発明によるマスタシリンダの代表的な実施例は、図2−11から明白である。ピストンだけが、図1による既知のマスタシリンダに関して改造され、その結果、それらの動作および構造の繰り返されてきた記述を省略することができ、これまでに記述されたピストン3に対応して、この発明によるマスタシリンダのピストン46だけが、記述される。類似の部品は、同一の参照符号によって示される。
【0030】
安定性、流れの断面、および生産コストに関して既知のマスタシリンダを改良するために、以下に記述される代表的な実施例のピストン46は、少なくとも2つの部分で形成され、本体47および環状の制御要素48、49、50を有し、さらに、制御通路51、52、53は、制御要素48、49、50内に設けられる。このことは、すべての代表的な実施例において、制御要素48、49、50であって、圧力装填を実行しないものは、本体47の安定性に影響を及ぼすことなしに非常に薄い壁の金属透かし細工構造を有することができるという利益を生じる。したがって、この発明によるピストン46の構成の結果として、ピストン46の圧力領域および供給領域は、相互から分離される。
【0031】
本体47は、例えば、重量に関して最適化されたピストン46を得るためにアルミニウムからなる、旋削したか、または押出成形された部分として提供され、すべての代表的な実施例において、環状の制御要素48、49、50が配置される外部溝54が設けられる。外部溝54は、本質的に本体の生産を単純化して、製造中に単純なやり方で本体47に加工することができる。
【0032】
組立てを単純化するために、制御要素48、49、50は、すべての実施例において、本体47に拡張適合される、可逆的に変形可能な予備成形物である。
【0033】
図4および10において3次元的に表わされた第1および第3の代表的な実施例の制御要素48、50は、プラスチック材料からなり、それによって低コストの製造を達成することができる。代りに、図6に示される第2の代表的な実施例の制御要素49は、弾性のあるシートメタルからなる波状リングの形である。
【0034】
閉止行程が変わらない間に、制御通路51、52、53の流体横断面を拡大するために、その結果、動的挙動は、制御介在の間に改善されることができ、制御通路51、52、53は、ピストンの端面に平行に形成される制御端55を有し、さらに、制御端55は、例えば図3から明らかなように、外部溝54の側壁56および本体47の外部側57によって本体47に形成される。
【0035】
図5および7による第1の2つの代表的な実施例は、制御要素48、49の外部側における軸方向溝として制御通路51、52を示している。軸方向の溝は、ピストン46の外側57における密封要素5の画定された誘導が確実であるという利点を有する。
【0036】
ここで、第1の代表的な実施例は、制御通路51が環体63において配置されるリブ60間のギャップの形をしていることを規定している。制御要素48は、図5から明らかなように、その環体63と外部溝54内において係合する。
【0037】
第2の代表的な実施例によれば、制御要素49は、波状リングとして、外部に指向されたリブ61の間のギャップを提供し、かつ、内部に指向されたリブ64は、固定手段として外部溝54内に係合する。
【0038】
対照的に、図8および9による第3の代表的な実施例は、代りに、外部溝54内に係合するリブ58間のギャップとして設けられる。図10、11は、3次元の表現で、第3の代表的な実施例の制御要素50を示し、拡大された詳細が、図11に示されている。リブ58が制御要素50の内部側59に設けられること、さらには、制御端部55に向かって指向した制御要素50の側部におけるリブ58が、制御要素50を越えて軸方向に突出することが、これらの図から明確に理解できる。外部溝54の側壁56に対する制御要素50の当接は、それによって防ぐことができる。同時に、リブ58の突出部とリブ58間のギャップとは、本体47の安定性を制限することなく、できるだけ大きな流体横断面を可能にする。
【0039】
例えば、図3、7、および8において見ることができるように、外部溝54が本体47の減少した直径の領域において設けられる場合には、このことは、先ず初めに、より大きな、ピストン46とハウジング2との間のギャップ、および、安定性制御装置用の、より小さな流体抵抗と、量不足の場合の圧力媒体の改善された供給との両方を、利点として生み出す。
【0040】
さらに注目されるべきことは、搭載された状態において、制御要素48、49、および50は、ピストンの端部面で終端し、その結果、ピストン46の外部側57に対する内部の密封リップ26の当接を、確実にすることができる。この目的のために、制御要素48、49の外側における制御通路51、52を形成するリブ60、61、または、リブ58が配置される内部側における環体62のいずれか一方は、本体47のピストンの端部面まで延在することができ、制御要素48、49、および50は、ピストンの端部面においてピストン46の搭載を容易にする面取り部(chamfer)65、66、および67を有する。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] ハウジング(2)内に移動可能であり、かつ、ハウジング(2)の環状溝(23、24)内に配置された密封要素(5、6)によって圧力チャンバ(7、8)に関して密封され、その圧力チャンバ(7、8)は、ピストン(46)内に形成された制御通路(51; 52; 53)によって、加圧されていない供給チャンバ(11、12)に接続可能である少なくとも1つのピストン(46)を有するものであって、 ピストン(46)は、少なくとも2つの部分に形成され、本体(47)、および環状の制御要素(48; 49; 50)を有し、制御通路(51; 52; 53)は、制御要素(48; 49; 50)内に設けられることを特徴とする、特には、制御されたブレーキ装置用のマスタシリンダ。
[2] 環状の制御要素(48; 49; 50)は、本体(47)の外部溝(54)内に配置されることを特徴とする[1]記載のマスタシリンダ。
[3]制御通路(51; 52; 53)は、 ピストンの終端面に平行に形成される制御端(55)を有し、制御端(55)は、本体(47)に形成されることを特徴とする、[1]または[2]記載のマスタシリンダ。
[4] 制御端(55)は、外部溝(54)の側壁(56)、および、本体(47)の外部側(57)によって形成されることを特徴とする[2]および[3]記載のマスタシリンダ。
[5]制御通路(51; 52)は、制御要素(48; 49)の外部側における軸方向溝として設けられることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[6]制御要素(49)は、波状のリングの形であることを特徴とする先行する[1]〜[4]のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[7] 制御通路(53)は、制御要素(50)の内部側(59)におけるリブ(58)間のギャップとして設けられ、リブ(58)は、制御端(55)に向かって指向された制御要素(50)の側部における制御要素(50)を越えて軸方向に突出することを特徴とする、先行する[1]〜[4]のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[8] 本体(47)は、旋削されるか、または押出成形される部分として設けられることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[9] 本体(47)は、アルミニウムで作られることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[10] 制御要素(51; 52; 53)は、本体(47)に拡張適合することができる可逆的に変形可能な予備成形物として設けられることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[11] 制御要素(48; 50)は、プラスチック材料で作られることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[12] 制御要素(49)は、弾性のあるシートメタルからなることを特徴とする先行する[1]〜[10]のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
[13] 外部溝(54)は、本体(47)の減少した直径の領域内に設けられることを特徴とする先行する[2]〜[12]のいずれか1項記載のマスタシリンダ。
【符号の説明】
【0041】
1 マスタシリンダ
2 ハウジング
3 ピストン
4 ピストン
5 密封要素
6 密封要素
7 圧力チャンバ
8 圧力チャンバ
9 制御通路
10 制御通路
11 供給チャンバ
12 供給チャンバ
13 内部側
14 内部側
15 内部溝
16 内部溝
17 スリーブ
18 スリーブ
19 カラー
20 カラー
21 壁
22 壁
23 環状溝
24 環状溝
26 内部密封リップ
27 内部密封リップ
28 外部密封リップ
29 外部密封リップ
30 外部側
31 外部側
32 圧力媒体チャンネル
33 圧力媒体チャンネル
34 圧縮スプリング
35 圧縮スプリング
36 側部
37 側部
38 スタッド
39 スタッド
40 終端
41 終端
42 ストップ
43 ストップ
44 カラー
45 カラー
46 ピストン
47 本体
48 制御要素
49 制御要素
50 制御要素
51 制御通路
52 制御通路
53 制御通路
54 外部溝
55 制御端
56 側壁
57 外部側
58 リブ
59 内部側
60 リブ
61 リブ
62 環体
63 環体
64 リブ
65 面取り部
66 面取り部
67 面取り部
A 作動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11