(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199893
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】エアーポケット検出方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20170911BHJP
C30B 33/00 20060101ALI20170911BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
G01N21/956 A
C30B33/00
G01N21/88 J
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-550325(P2014-550325)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-511308(P2015-511308A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2012070169
(87)【国際公開番号】WO2013101527
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月16日
(31)【優先権主張番号】61/580,900
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514165336
【氏名又は名称】サンエディソン・セミコンダクター・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SunEdison Semiconductor Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エフ・バレー
【審査官】
越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−258555(JP,A)
【文献】
特開2008−102027(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0149947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる、コンピュータにより実行される方法であって、
複数のピクセルを含む複数のデータユニットを有するマトリックスを調製する工程であって、上記複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含む工程と、
処理装置により、上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定する工程であって、上記対応するデータユニットは、上記マトリックスについて第1のオペレーションにより規定される工程と、
上記処理装置により、上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分に基づいて、第1のインデックス値を算出する工程であって、上記第1のインデックスを算出することが、上記対応するデータユニットの上記差分の二乗平均平方根を決定することを含む工程と、
上記第1のインデックス値と、予め決定された閾値と、に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程と、を備える方法。
【請求項2】
上記第1のオペレーションは、上記マトリックスの第1軸の周りの反転オペレーションを含み、および上記マトリックスの第1軸の周りの折り曲げオペレーションを含み、それにより、複数のデータユニットが、上記マトリックスの第1半体または上記マトリックスの第2半体に含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記マトリックスの複数のデータユニットを調製するため、上記イメージデータを補完する工程をさらに含み、および上記単結晶材料のイメージ内のデータユニットのブロブを目的の領域として認識する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記マトリックスを調製するため、目的の領域に付加的なデータユニットを割り当てる工程、および、上記マトリックスを調製するため、目的の領域からデータユニットを取り出す工程の少なくとも1つをさらに含み、および上記マトリックスのサイズおよび目的の領域に関連する強度の少なくとも一方に基づき、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記マトリックスについての第2のオペレーションに基づき第2のインデックス値を算出する工程をさらに含み、
上記第2のオペレーションは、上記マトリックスの第2軸の周りの反転オペレーションおよび折り曲げオペレーションのいずれかを含み、
上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程が、上記第1のインデックス値、上記第2のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記マトリックスの第3軸の周りの反転オペレーションおよび折り曲げオペレーションの一方を含む上記マトリックスの第3のオペレーションに基づいて、第3のインデックス値を算出する工程と、
上記マトリックスの第4軸の周りの反転オペレーションおよび折り曲げオペレーションの一方を含む上記マトリックスの第4のオペレーションに基づいて、第4のインデックス値を算出する工程と、をさらに含み、
上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程が、上記第1のインデックス値、上記第2のインデックス値、上記第3のインデックス値、上記第4のインデックス値、および、予め決定された閾値に基づいて、単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記マトリックスを調製する工程が、上記目的の領域を含むイメージデータの一部にスクエアマトリックスを配置する工程を含み、および上記スクエアマトリックスを配置する工程が、上記目的の領域について上記スクエアマトリックスを実質的に中央に配置する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも部分的に上記イメージデータに関連する強度に基づいて、または少なくとも部分的に上記目的の領域のサイズに基づいて、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる検出システムであって、
材料に向かって近赤外(NIR)光を放射するよう構成された光源と、
上記材料を通過した光に基づいて、イメージデータを捕捉するため、上記材料に近接して配置された検出装置と、
上記光源および上記検出装置に接続された処理装置と、を備え、
上記処理装置は、
単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有し、且つ複数のピクセルを含む複数のデータユニット、を含むスクエアマトリックスを特定し、
上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスでの第1オペレーションにより規定された、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定し、
上記決定された差分に基づいて第1のインデックス値を算出し、上記第1のインデックスを算出するため、上記対応するデータユニットの上記差分の二乗平均平方根を決定するように構成され、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定するように構成されている検出システム。
【請求項10】
上記第1のオペレーションは、上記マトリックスの第1軸の周りの反転オペレーション、または上記マトリックスの第1軸の周りの折り曲げオペレーションを含み、それにより、複数のデータユニットが、上記マトリックスの第1半体または上記マトリックスの第2半体に含まれる請求項9に記載の検出システム。
【請求項11】
さらに、上記処理装置は、スクエアマトリックスのサイズおよび目的の領域に関連する強度の少なくとも一方に基づいて、上記スクエアマトリックスおよび上記インデックス値の少なくとも一方を標準化するように構成されている請求項9に記載の検出システム。
【請求項12】
上記単結晶材料は、シリコン材料、ゲルマニウム材料およびガリウムヒ素材料のいずれか1つを含む請求項9に記載の検出システム。
【請求項13】
中に内蔵された、コンピュータにより実行可能な命令を有する、1以上の、持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアであって、
少なくとも1つの処理装置により実行されるとき、上記コンピュータにより実行可能な命令は、少なくとも1つの処理装置に、
単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有し、且つ複数のピクセルを含む複数のデータユニット、を含むマトリックスを特定させ、
上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスについて第1のオペレーションにより規定された、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定させ、
上記データユニットと、上記対応するデータユニットと、の差分に基づいて、第1のインデックス値を算出させ、上記第1のインデックス値を算出するため、上記コンピュータにより実行可能な命令が、さらに、上記処理装置に、上記対応するデータユニットの上記差分の二乗平均平方根を決定させ、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定させる保存メディア。
【請求項14】
上記コンピュータにより実行可能な命令が、さらに、上記処理装置に、上記マトリックスのサイズおよび上記目的の領域に関連する強度の少なくとも一方に基づいて、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化させる請求項13に記載の持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月28日に出願された米国仮出願第61/580,900号に基づく優先権を主張する。当該出願の全開示は、全体として、本明細書において引用することにより援用する。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、エアーポケット検出システムおよび方法に関し、より詳細には、単結晶材料内の目的の領域におけるイメージオブジェクトの対称性に基づく、単結晶材料における1以上のエアーポケットの検出に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコンインゴット等の単結晶インゴットは成長に供され、複数の半導体ウェハに加工される。複数のウェハにスライスされる前および/または後において、インゴット内に1以上のエアーポケット(例えば、ボイド)が存在するか否かを決定するために、加工の間、1以上の試験もしくは検査が行われることがある。エアーポケットを有するインゴットの部分をさらに加工することを回避するために、当該プロセスの初期においてエアーポケットを検出することが望ましい。これは、エアーポケットは、インゴットの構造完全性、および/または、1以上の製品におけるインゴットの有用性に影響を与えるかもしれないからである。例えば、半導体および/または光起電装置の製造の間などのいくつかの将来の処理においてウェハの欠陥を抑えるため、製品ウェハの出荷前にエアーポケットを検出することが要求される。
【0004】
このセクションは、読み手に、本開示の様々な態様に関連するであろう技術の様々な側面を紹介することを意図しており、以下に記載され、および/または、クレームされている。本考察は、本開示の様々な側面をより良く理解することを容易にするため、読み手に背景技術情報を提供するのに有益であると思われる。したがって、これらの言及を上述の観点から捉えるべきであり、従来技術の自白と捉えるべきではないことは理解されよう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示のある態様では、単結晶材料においてエアーポケットを検出するために用いられる、コンピュータにより実行される方法が提供される。当該方法は、複数のデータユニットを有するマトリックスを調製することを含む。当該複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含む。また、本発明は、処理装置により、マトリックスのデータユニットと、当該マトリックスの対応するデータユニットとの間の差分を決定することを含む。当該対応するデータユニットは、当該マトリックスについての第1オペレーションにより規定される。また、本発明は、上記処理装置により、対応するデータユニットの差分に基づいて、第1のインデックス値を算出すること、および、上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、単結晶材料内においてエアーポケットを特定することを含む。
【0006】
本開示の他の態様は、材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる検出システムである。当該検出システムは、材料に向かって近赤外(NIR)光を放射するように構成された光源と、上記材料を通過した光に基づいて、イメージデータを捕捉するため、当該材料に近接して配置された検出装置と、上記光源および上記検出装置に接続された処理装置と、を備える。上記処理装置は、複数のデータユニットを含むスクエアマトリックスを特定し、マトリックスのデータユニットと、マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定し、当該対応するデータユニットの差分に基づいて第1のインデックス値を算出し、当該第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、当該単結晶中においてエアーポケットを特定するように構成されている。当該複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含み、対応するデータユニットは、当該マトリックスの第1オペレーションにより規定される。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、中に内蔵された、コンピュータにより実行可能な命令を有する、1以上の、持続的であって、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアである。少なくとも1つの処理装置により実行されるとき、コンピュータで実行可能な命令は、少なくとも1つの処理装置に、複数のデータユニットを含むマトリックスを特定させ、上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスの対応するデータユニットとの差分を決定させ、対応するデータユニットの差分に基づいて第1のインデックス値を算出させ、上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定させる。上記複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含み、対応するデータユニットは、上記マトリックスにおいて第1のオペレーションにより規定される。
【0008】
本開示のある態様では、単結晶材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる、コンピュータにより実行される方法が提供される。当該方法は、複数のデータユニットを含むマトリックスを調製することを含む。当該複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含む。また、本発明は、上記マトリックスのセンターを通過する第1軸に基づいて、上記マトリックスの第1半体および第2半体を規定することと、処理装置により、上記第1半体のデータユニットと、上記第2半体の対応するデータユニットと、の差分を決定することと、上記処理装置により、上記決定された差分に基づいて、第1のインデックス値を算出することと、上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、単結晶材料中においてエアーポケットを特定することと、を含む。
【0009】
本開示の他の態様は、材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる検出システムである。当該検出システムは、材料に向かって近赤外(NIR)光を放射するように構成された光源と、上記材料を通過した光に基づいて、イメージデータを捕捉するため、上記材料に近接して配置された検出装置と、上記光源および上記検出装置に接続された処理装置と、を備える。当該処理装置は、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有する複数のデータユニットおよびセンターを含むマトリックスを調製し、上記マトリックスのセンターを通過する第1軸に基づいて、上記マトリックスの第1半体および第2半体を規定し、上記第1半体のデータユニットと、上記第2半体の対応するデータユニットと、の差分を決定し、上記決定された差分に基づいて、第1のインデックス値を算出し、上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定するように構成されている。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、中に内蔵された、コンピュータにより実行可能な命令を有する、1以上の、持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアである。少なくとも1つの処理装置により実行されるとき、コンピュータで実行可能な命令は、少なくとも1つの処理装置に、複数のデータユニットおよびセンターを含むマトリックスを特定させ、当該マトリックスのセンターを通過する第1軸に基づいて、当該マトリックスの第1半体および第2半体を規定させ、第1半体のデータユニットと、第2半体の対応するデータユニットとの差分を決定させ、決定された差分に基づいて、第1のインデックス値を算出させ、上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定させる。上記複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含む。
【0011】
本開示の上述の態様に関連して述べた特徴には様々な改良が存在する。更なる特徴を本開示の上述の態様に組み込んでもよい。これらの改良および付加的な特徴は、個々に、若しくは、任意の組み合わせで存在してもよい。例えば、本開示の任意の実施の形態に関連して以下に述べられた様々な特徴を、本開示の任意の上述の態様に、単独で、若しくは、任意の組み合わせで、組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、例示的な検出システムのブロックダイアグラムである。
【
図2】
図2は、エアーポケット(APK)変異体を有する材料についてのイメージデータを例示する。
【
図3】
図3は、非APK変異体を有する材料についてのイメージデータを例示する。
【
図4】
図4は、APK変異体を有しマトリックスに設けられたマスクを有する材料についてのイメージデータを例示する。
【
図5】
図5は、
図2の材料の4つの例示的な軸を例示するブロックダイアグラムである。対応する参照番号は、図面を通して、対応する部材を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において記載されているシステムは、単結晶材料(単結晶サンプル等)を通過した光を検出し、検出された光に基づいてイメージデータを処理し当該材料内にエアーポケット(APK)が存在するか否かを決定するように操作可能である。一般的に、APK変異体(具体的には、ボイド)は、実質的に円形の形状をなし、一方、非APK変異体は、円形の形状から外れている。本明細書に開示されたシステムは、材料のイメージデータの強度の対称性を決定し、当該材料においてAPK変異体と非APK変異体とを区別する。
【0014】
ある実施の形態において、本明細書において記載された方法、システム、および、コンピュータで読み取り可能なメディアの技術効果は、(a)単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有する複数のデータユニットを含むマトリックスを調製することと、(b)処理装置により、マトリックスのデータユニットと、マトリックスの第1オペレーションにより規定されるマトリックスの対応するデータユニットとの差分を決定することと、(c)上記処理装置により、対応するデータユニットの差分に基づいて、第1のインデックス値を算出することと、(d)上記第1のインデックス値と予め決定されている閾値とに基づいて、上記単結晶材料内のエアーポケットを特定することと、の少なくとも1つを含む。
【0015】
図面を参照すると、例示的な検出システムが
図1に開示されており、概して、100により示されている。この実施の形態において、検出システム100は、近IR光源若しくは近赤外光源等の光源102を備え、材料104に向かう光を検出する。光源102は、材料104を通過するのに十分な波長を規定する光を提供するように構成されている。様々な実施の形態において、光源102からの光(具体的には、近赤外(NIR)光)の波長は、材料104の厚さに基づいて選択される。ある具体例では、光源102から放出された近赤外光の波長は、約1〜約2μmである。しかしながら、1以上の異なる波長を有する光が光源102から放出されてもよいと考えられる。
【0016】
検出システム100は、材料104の反対サイドに取込装置106を備え、取込装置106は、材料104を通過した光を捕捉するように構成されている。この具体例において、イメージ取込装置106は、シリコンベースCCD若しくはCMOSアレイカメラ等のカメラである。他の具体例において、取込装置106は、InGaAsMOSアレイカメラを含む。ここで考えられるイメージアレイは2次元である。さらに、機械化されたスキャンニングを備える、1次元ライン−スキャンカメラ若しくは2次元時間遅延インテグレーション(TDIライン−スキャン)カメラを使用して、2次元イメージアレイを作成してもよい。一方、標準的な2次元アレイ”スナップショット”カメラを使用してもよい。シングルキャプチャーデバイス104を採用してもよい。シングルキャプチャーデバイス104は、ニプコー円板(Nipkow disk)若しくは他の方法を用いて2次元イメージを作成するために使用され、単一のキャプチャーデバイス若しくは一連の別体のキャプチャーデバイスにおいて、イメージをスキャンする。概して、光源102により放出され材料104を伝播した特定の波長の光を捕捉するように構成された様々なタイプの取込装置106が本出願において考えられる。取込装置106は、2次元イメージデータが生成されるように設けられる。この2次元イメージデータは、実質的に焦点が合っており、材料104を通過した光を表現している。イメージデータは、シングルイメージ若しくはマルチプルイメージとして提供してもよい。マルチプルイメージは、材料104のマルチプルイメージを、材料104の異なる深さで、若しくは、異なる方向から(視野角度若しくは照射角度等)スライスしたものとして提供してもよい。
【0017】
材料104は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素等の様々な異なるタイプの材料、若しくは、結晶プロセスにより形成された他のタイプの材料を含んでいてもよい。この実施の形態では、単結晶材料104は、1以上のインゴットセクション、スライス、ウェハ、スラグ、スラブ、および/または、シリンダーを構成するチョクラルスキー(CZ)成長材料である。
図1に示される材料104は、名目上(nominally)平坦な(plain)平行面であり、材料104の上面は、下面と実質的に平行である。他の具体例において、材料は、円柱状インゴットセクション等の殆ど平坦な平行面、若しくは、平坦でない平行面であってもよい。
【0018】
この実施の形態において、単結晶材料104は、検出システム100において、様々な条件で試験に供される(例えば、様々なドーパントによりある程度まで潜在的にドープされ、粗くされ(スラブもしくはスラグ等、または、スライス後、粉砕後、ラッピング後、もしくは、エッチング後)、研磨され(例えば、フロントサイドが研磨されるのみであり、バックサイドが様々な条件にあるSSPウェハ、もしくは、両サイドが研磨され、フロント表面が潜在的に最終研磨もしくは鏡面研磨されたDSPウェハ)、および/または、潜在的に、ドーピングレベルが異なることを除いて、同じ単結晶材料のエピタキシャル層により被覆される)。材料104は、様々な厚さ、例えば、1mm〜約数十mm(about 10's of mm)もしくは他の厚さで、成長プロセスから直接導き出され、もしくは、1以上の処理ステップ後与えられてもよい。
【0019】
検出システム100は、さらに、処理装置108と、処理装置108に接続されたメモリー110と、を備える。処理装置108は、1以上の処理ユニット(具体的には、マルチコア構造)を含んでいてもよい。本明細書において使用している処理装置との用語は、本明細書において記載されている機能を実行するため命令することができる、中央処理装置、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および/または、任意の他の回路若しくはプロセッサを指す。さらに、処理装置108は、互いに近接して、および/または、互いから離れて配置された、分離された別々の装置を含んでいてもよい。
【0020】
メモリー110は、実行可能な命令等の情報、および/または、他のデータが保存され、および/または、呼び出されるように作動可能な1以上のデバイスである。メモリー110は、以下に限定される訳ではないが、ハードディスク記憶装置、光学ドライブ/ディスク記憶装置、取外可能ディスク記憶装置、フラッシュメモリー、非揮発性メモリー、ROM、EEPROM、ランダムアクセスメモリー(RAM)等の1以上のコンピュータ読み取り可能メディアを含んでいてもよい。いくつかの具体例において、メモリー110は、1以上の、持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアであって、以下に限定される訳ではないが、コンピュータ実行可能な命令、イメージデータ、予め決定された閾値、および/または、本明細書において明示的若しくは本来的に参照する他のタイプのデータを保存するように構成された保存メディアを含む。メモリー110は、処理装置108に組み込まれ、および/または、処理装置108から分離されていてもよく、および/または、1以上のネットワーク(具体的には、クラウド保存装置)にアクセス可能であってもよい。
【0021】
本明細書において用いられているように、”目的の領域”との用語は、バイナリーイメージ領域若しくはグレースケールイメージ領域を含む任意のイメージ領域を指し、これには、1以上のイメージオブジェクト若しくはブロブが含まれる。本明細書において用いられているように、”イメージオブジェクト”および”ブロブ”との用語は、例えば、少なくとも一部が、本明細書に記載された方法およびシステムにより評価されるデータユニットを指す。いくつかの実施の形態において、”イメージオブジェクト”との用語は、グレースケールイメージ内のデータユニットを指し、一方、”ブロブ”との用語は、バイナリーイメージ内のデータユニットを指す。
【0022】
使用に際して、単結晶材料104は、光源102と、取込装置106との間に配置され、光源102からの光が材料104を通過し、取込装置106により捕捉される。取込装置106は、捕捉された2次元のイメージアレイを生成するため、可能性として、材料104若しくは画像取込装置106をスキャンすることを要求する。取込装置106により発生させたイメージデータが処理装置108に与えられ、処理装置108は、メモリー110においてイメージデータを保存する。取込装置106により捕捉された材料のサンプルイメージデータは、
図2A〜4Aにおいて説明している。本明細書において記載されたシステムおよび方法は、イメージデータを処理するために与えられ、材料104中に1以上のAPKが存在するか否かを決定する。
【0023】
この実施の形態において、イメージデータは、イメージデータの目的の領域(例えば、変異体(anomaly))を表現するデータユニットのマトリックス(例えば、ピクチャー要素若しくはピクセル)を調製するために処理される。ある具体例において、処理装置108は、
図2B〜4Bに示されているように、1以上の閾値にしたがって、イメージデータの強度を反転させる。当該処理により、ピクセルのイメージオブジェクト(例えば、ブロブ)が調製される。これは、材料104内における変異体を表している。処理装置108は、目的の領域(例えば、
図2Aの目的の領域114等)として変異体を特定する。目的の領域は、APKを含んでいてもよい。少なくとも1つの実施の形態において、処理装置108は、より大きく、より簡易に特定されたAPKを特定するために、1以上の初期プロセスを適用してもよいし、もしくは、適用しなくてもよい。一方、本明細書における他の方法を用いて、APK変異体および非APK変異体を特定してもよい。例えば、より大きなAPKもしくはAPKに似ていない変異体は、ラインスキャンもしくはTDIラインスキャンカメラ等の取込装置106により、材料104のイメージングの間に特定されてもよい。さらに、様々な実施の形態において、処理装置208は、最初、フィルタリング、インバーティング、もしくは、他のオペレーション等のイメージデータについての1以上の他のオペレーションを実行し、本明細書で提供された方法にしたがってイメージデータをより効率的に処理することを提供してもよい。
【0024】
データユニットのマトリックスは、イメージオブジェクトを示すイメージの少なくとも一部を含み、目的の領域を検出する際、処理装置108は、当該データユニットのマトリックスを規定する。例示された具体例において、処理装置108は、
図2Bおよび3Bにそれぞれ示すイメージオブジェクト114および124を含むグレースケールデータユニットのマトリックス107および127を調製する。具体例において、マトリックス107および127は正方形である。他の実施の形態において、マトリックスは、少なくとも1以上の軸に対して実質的に対称である様々な形状を含んでいてもよい。マトリックスのサイズは、潜在的に、さらなる処理の前に、検出されたイメージオブジェクトの外側にピクセルを含むように拡大され、もしくは、イメージオブジェクトの最外のピクセルを除去するように縮小される。バックグランドノイズに対して、目的の領域のイメージ品質を改善するため、閾値処理および/または他の処理方法をさらに用いてもよい。さらに、目的の領域に配置されたベストフィットサークル、ベストフィット楕円、もしくは、閾値バイナリーに基づいて、マスクをイメージデータに適用してもよい。
図4の具体例において、円形のマスク111が目的の領域114に適用され、マスク111の外側において、ノイズおよび他の影響を制限する。具体的な実施の形態において、処理装置108は、マスク111外側のデータユニット(例えば、ピクセル)をゼロ強度もしくは黒に設定する。当然のことながら、マスクの様々な異なるタイプおよび形状(具体的には、楕円、円形、イメージオブジェクト閾値境界)を様々な実施の形態において使用してもよく、検出システム100の効率および/または正確性を向上させる。例えば、
図2、3に示すような他の実施の形態において、マスクを省略してもよいし、もしくは、複数の重み付けレベル(multiple weighting levels)を含んでいてもよい。
【0025】
図2に示すように、マトリックス107は、イメージデータ内においてイメージオブジェクト114上に配置される。イメージオブジェクト114は、概して、センター113を含み、処理装置7は、イメージオブジェクト114のセンター113上において、実質的にマトリックス107を中央に配置させる。ある具体例において、バイリニアーのおよび/またはバイキューブの補間法を用いることにより、イメージオブジェクトにおいて、マトリックスは中央に配置される。より詳細には、1以上の補間アルゴリズムを、正方形の材料内のマトリックス内において、もしくは、マトリックスを特定する前のいずれかにおいて、存在するデータユニットに適用し、イメージデータの解像度を向上させる。ある具体例において、処理装置108は、向上した解像度を提供するため、現存のデータユニットに基づいて多項式補間を採用し、追加のデータユニットをマトリックスに充填させる。そのような具体例において、処理装置108は、N×Nピクセルスクエアマトリックスを4N×4Nピクセルスクエアマトリックスに拡張してもよい。Nは、奇数もしくは偶数の整数である。補間法を用いることにより、目的の領域のセンターは、より正確に配置され、以下に記載のように使用される。マトリックスの拡張は、バイリニアーの、もしくは、バイキューブの補間法、もしくは、潜在的には、他の方法を用いて、一般的に実行してもよい。
【0026】
1以上の具体例において、目的の領域は、2Dバイナリーイメージブロブ−フィット楕円形セントロイド(2D binary image blob-fit ellipse centroid)、もしくは、質量計算の強度重み付け中心(intensity-weighted center of mass calculation)、理想の境界を有するバイナリーイメージブロブ(binary image blob)およびグレースケールイメージオブジェクト(gray-scale image object)の使用によるグレースケールイメージデータのセンター−フィット(center-fit of the gray-scale image data)に基づいて、中央に配置される。別の態様では、マトリックスを、イメージオブジェクトの中心に配置しなくてもよく、および/または、全イメージオブジェクト未満の対象物を含んでいてもよい。1以上の実施の形態において、マトリックスは、イメージオブジェクトの周りの付加的なデータユニットで拡張されていてもよい(padded)。例えば、
図2Bのマトリックスは、イメージオブジェクト114を囲む付加的なデータユニット115を例示し、一方、
図4Bのマトリックスは、イメージオブジェクト114を囲むデータユニットを減少させるためのマスク111を含む。別の態様では、イメージオブジェクトは、マトリックスの境界により切り取られ(clipped)、イメージオブジェクトの中心に最も近いマトリックスデータのみ含んでいてもよい。
【0027】
マトリックスには、データユニットがいくらか含まれている。
図2Bの具体例において、マトリックス107は、およそ180×180ピクセルのイメージデータを含む。
図3Bの具体例において、マトリックス127は、およそ90×90ピクセルのイメージデータを含む。
図2Aおよび3Aに示すように、マトリックス107および127のそれぞれは、およそ1000×750ピクセルのイメージデータから選択される。いくつかのファクター(例えば、イメージオブジェクトのサイズ)に依存して、マトリックスには、データユニットがいくらか含まれていてもよい。マトリックスは、約3×3データユニットから、取込装置106により与えられる大きさの捕捉された全イメージデータまで含んでいてもよい。さらに、マトリックスは、1以上のタイプの補間法もしくはサブサンプリングにより、サイズ、および/または、解像度を増加させてもよいし、および/または、減少させてもよい。スクエアマトリックスのサイズは変数であり、当該変数は、様々な実施の形態において、高体積もしくは中程度の体積のものを製造する際における検査に適した期間、処理装置108により処理されうるデータの量に基づいて選択可能であることを理解すべきである。例えば、材料104の製造プロセスにおいて使用されるとき、十分な信用が与えられるように、マトリックスに含まれるデータの量を選択してもよい。一方、約1.0秒未満もしくは他の適切な時間間隔において、スクエアイメージの処理を実行する。
【0028】
マトリックスが特定されるとき、処理装置108により、複数のマトリックス半体が規定され、これらの半体は、マトリックスの複数の異なる軸により規定される。いくつかのサンプル半体およびサンプル軸が
図5に示されている。特に、軸200は、垂直に延び、マトリックス107の左側半体208と、右側半体210と、を規定する。一方、軸202は、水平に延び、上半体および下半体を規定する。さらに、軸204は、対角線状に延び、右上半体および左下半体を規定する。一方、軸206は、対角線状に延び、左上半体および右下半体を規定する。当然のことながら、
図5に示される軸および半体は、例示のためのものであり、軸および/または半体の方向を制限するものではない。本明細書において使用されているように、”半体”なる用語は、概して、2つの半体のそれぞれに含まれる実質的に同数のデータユニットにおける、実質的に同じ大きさのマトリックス分離体(dissection)を意味する。データユニットの数の半分の値から僅かにずれていることは、上記定義の範囲内と考えるべきである。
【0029】
さらに、
図5の実施の形態に示されているように、軸200、202、204、および、206のそれぞれは、マトリックス107のセンター109を通過する。この具体例において、マトリックス107のセンター109は、実質的に、イメージオブジェクト114のセンター113と同じである。他の実施の形態において、マトリックスのセンターは、イメージオブジェクトに対して反対側に配置されていてもよい。
【0030】
図5Aの垂直軸200に関して、この実施の形態において、処理装置108は、軸200の周りのマトリックス107の反転を実行し、オリジナルのマトリックスのデータユニットと、反転されたマトリックスの対応するデータユニットとの差分を決定する。他の実施の形態において、処理装置108は、軸200の周りのマトリックス107の折り曲げを実行し、左半体208のデータユニットと、右半体210の対応するデータユニットとの差分を決定する。対応するデータユニットは、マトリックス107が、例えば、軸200等の軸にしたがって、マトリックス107が物理的に折り曲げられ、および/または、反転された場合に重なるようなデータユニットを含む。
図5Aにおいて示されているように、ピクセル212Aおよび212Bは、一対の対応するデータユニットを示している。マトリックスに含まれる目的の領域の強度が対称な形状をなす場合、対応するデータポイント間の相違は、およそゼロである。しかしながら、目的の領域が非対称である場合、対応するデータユニット間の差分のいくつかは、実質的にはゼロではないであろう。
【0031】
使用される差分の算出は、同じ符号を有する全ての差分を積算する。例えば、全ての差分は、正の値として積算され、任意のイメージ差分は積算の大きさを増大させる。例えば、同じ符号の差分を得るために、パーデータユニット差分の絶対値、もしくは、二乗されたパーデータユニット差分の平方根を用いて、積算を実行してもよい。また、パーデータユニット差分の同じ符号を得るための他の方法もしくは差分のオペレーションが考えられる。他のそのようなオペレーションには、対応するデータユニットの合計として2乗の差分を積算し、その合計を積算した差分の数で除し、その後、その百分率の平方根をとることが含まれる。これは、差分の二乗平均平方根(もしくは、RMS)と称される。他の線形もしくは非線形の差分の重み付けも本開示の範囲内であると理解すべきである。
【0032】
詳細には、例えば、
図2Aに示されているように、イメージデータ118内のイメージオブジェクト114もしくは変異体は、実質的に円形状である。マトリックス107が、垂直軸200に沿って折り曲げられるときの、対応する各データユニットの差分が、
図2Cに示されている。イメージオブジェクト114は、イメージオブジェクト114の内側から外側へ推移した完全な円形ではないため、
図2Cに示すように、いくつかの差分は、ゼロ以外の大きさを有する。対照的に、
図3Aの具体例に示されているように、イメージデータ128内のイメージオブジェクト124は、実質的に非円形である。したがって、マトリックス127が、垂直軸に沿って折り曲げられるとき、対応する各データユニットの差分の少なくとも一部が、
図3Cに示すように、ゼロを実質的に超える大きさを有する。イメージオブジェクト124(もしくは変異体)は非円形であり、非対称的であるため、強度の差分は、
図2Cに示される差分より大きい。このように、APKの円形状に基づいてAPKを検出するため、処理装置108は、目的の領域の対称性の指標として、マトリックスの半体における対応するデータユニット間の差分を決定することができる。マトリックスが反転されるとき、対称性のため、差分の同じ符号の積算を、全マトリックスに亘って実行することができ、マトリックスがそれ自体折り曲げられるとき、マトリックスの半体において実行してもよい。いくつかの具体例において、そのような積算は、2のファクターおよび/またはおよそ2のファクターだけ異なる。
【0033】
さらに、処理装置108は、2つの半体の対応するデータユニットの積算された差分に基づくインデックス値を計算し、メモリー110において当該インデックス値を保存する。その後、インデックス値を、単独、もしくは、データマトリックスもしくはオリジナルのイメージデータの他のマトリックスと併せて用いて、APKを特定する。インデックス値は、予め決定された閾値と比較してもよく、および/または、マトリックスおよび/またはオリジナルイメージの指標のより複雑な関数に組み込まれてもよい。この実施の形態において、処理装置108は、対応するデータユニット間の差分のRMSを決定する。RMSはインデックス値を提供する。インデックス値は、差分の計算に含まれるマトリックスデータユニットの平均値に基づいてさらに標準化され、下部のイメージの明るさおよび/または暗さは、インデックス値に影響を与えず、十分に、インデックス値の結論に影響を与える。RMSプロセスは、マトリックスサイズの影響を既に除去しているが、対応するデータユニット間の差分の他の積算は、適切なマトリックスサイズ標準化ステップと考えられうる。他の具体例において、インデックス値は、対応するデータユニットの各差分のドット積により与えてもよい。ドット積は、ドット積積算において、信頼される数多くのデータユニットにより積算され、標準化される。1以上の他の方法を用いて、予め決定された一の閾値もしくは複数の閾値と比較するため、APK、非APK、もしくは、可能性のあるAPKのイメージ判断を決定するため、もしくは、サンプル分別(通過(PASS)、失敗(FAIL)、もしくは、再検査(REVIEW)等)のため、対応するユニットの差分を合算してもよい。さらに存在する場合は、より詳細な分析が必要かもしれない。1以上の実施の形態において、予め決定された一の閾値もしくは複数の閾値は、APK変異体および非APK変異体を含むことが知られた材料について、本明細書において記載された方法の複数の使用から収集された経験的データに基づいている。さらに、予め決定された複数の閾値は上下に調整され、APKの特定における信頼性を変更してもよい。マトリックスおよび/またはオリジナルイメージの典型的な複数の指標を用いて、最も明確に、APKに似ているイメージを、APKと似ていないイメージから明らかにする。いくつかのケースにおいて、より高い解像度の他のイメージを要求してもよいし、もしくは、変異体の最終クラス分けの前に他の計測学的技術を使用してもよい。いくつかの実施の形態において、この方法を、変異体のより低い解像度イメージおよびより高い解像度イメージに適用してもよい。
【0034】
さらに、様々な実施の形態において、処理装置108は、マトリックスの複数の軸に基づいてマルチプルインデックス値を算出し、メモリー110にマルチプルインデックス値を保存する。
図5に示されるこの実施の形態において、4つのインデックス値は、各対の半体、もしくは、各対のマトリックス(反転させたものとオリジナルのもの)について、決定される。詳細には、インデックス値は、左側/右側半体、上側/下側半体、右上/左下半体、および、左上/右下半体のそれぞれについて計算する。この方法では、処理装置108は、実質的に対照的な形状、例えば、十字架もしくはダイアモンド形等の形状について、APKを特定できない可能性を実質的に制限する。当然のことながら、異なる方向に向けられた複数の様々な軸を用いて、複数の異なるインデックス値を決定してもよい。軸の数および方向は、概して、APKを決定する際の信頼性の少なくとも閾値レベルではなく、材料104内の一片の破片もしくは他の非APK変異体を提供するように選択される。
【0035】
複数のインデックス値が算出されるとき、APKの特定は、予め決定された値と比較した、複数のインデックス値の組み合わせに基づく。この実施の形態において、4つの軸の各インデックス値を一緒に足し合わせて、当該マトリックスについてトータルインデックス値が与えられる。平均の値および最大インデックス値は、また、マトリックスの潜在的に有用な指標である。予め決定された閾値を提供し、トータルインデックス値が材料104内のAPK変異体もしくは非APK変異体を示すか否かを示すために提供する。予め決定された閾値と比較する前において、付加的な情報を含んでいてもよい。ある具体例において、楕円の長径の、短径に対する比率は、複数のインデックス値に追加される。楕円は、例えば、発見された変異体イメージブロブのモーメントの方法を用いて、ベストフィット楕円形等のバイナリーブロブイメージに基づいていてもよい。他の様々な値および指標をさらに含めて、APKおよび非APK変異体の検出の正確性を向上させるために含まれている。
【0036】
この実施の形態において、1以上の折り曲げ/差分、もしくは、反転/差分の後、処理装置108は、目的の領域の2次元サイズ、および/または、目的の領域の強度を説明するために、上記差分(具体的には、
図2Cおよび3C)を表示するイメージを標準化してもよい。より詳細には、この実施の形態において、イメージを標準化することは、ピクセルの全数でインデックス値を除すること、および/または、平均強度でインデックス値を除することを含んでいてもよい。複数の様々なオペレーションを提供し、イメージデータ、および/または、インデックス値を、単一の予め決定された閾値との与えられた正確な比較に対して標準化してもよい。より一般的には、各材料104についてのデータは、十分に処理され、イメージオブジェクトの3次元(3D)形状は、イメージオブジェクトがエアーポケットであるかもしくは他の何かであるかを決定することを制御する。強度およびサイズは、当該決定に対して貢献するかもしれないが、しかしながら、3D形状は、試験下における主な特徴であり、本明細書において記載されたオペレーションにより生成される。イメージデータを標準化することは、この実施の形態における折り曲げおよび反転オペレーションの後、実行されるが、しかしながら、他の実施の形態において、1以上の折り曲げオペレーションの前に完了してもよい。
【0037】
当然のことながら、本開示の1以上の態様は、本明細書において記載された機能、方法、および/または、プロセスを実行するように構成されている場合、一般目的のコンピューティングデバイスを特定の目的のコンピューティングデバイスに変更することができる。
【0038】
本明細書における実施の形態が、1以上の、持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアに保存され、1以上の処理装置により実行されるコンピュータ実行可能な命令(プログラムコンポーネントもしくはモジュール等)の概略的文章中に記載されている。本明細書において記載された態様は、コンポーネントもしくはモジュールの任意の数および機構で実施されうる。例えば、本開示の態様は、図面に例示され本明細書に記載された特定のコンピュータ実行可能な命令もしくは特定のコンポーネントもしくはモジュールに制限されない。本発明の代替の実施の形態には、本明細書に例示され記載されたものより多いもしくは少ない機能を有する異なるコンピュータ実行可能な命令もしくはコンポーネントを含んでいてもよい。
【0039】
本明細書において例示され記載された実施の形態におけるオペレーションの実行もしくは実施の順序は、特に限定する場合を除き、根本的なことではない。すなわち、オペレーションは、特に限定する場合を除き、任意の順序で実行してもよく、本発明の実施の形態は、本明細書において開示されたものより多いもしくは少ないオペレーションを含んでいてもよい。例えば、他のオペレーションの前、同時期、後に特定のオペレーションを実行もしくは実施することは、本発明の態様の範囲内に含まれると考えられる。
【0040】
本発明もしくはその実施の形態の要素を導入する際、冠詞”a(一つの)”、”an(一つの)”、”the(その)”、および、”said(上述の)”は、1以上の要素が存在することを意味することを意図している。”compriging(含む)”、”including(具備する)”、”containing(含有する)”、”having(有する)”は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の他の要素が存在してもよいことを意味することを意図している。特定の方向(具体的には、”上部”、”下部”、”側部”等)を示す用語の使用は、記載を容易にするためであり、記載された事項の任意の特定の方向を要求しない。
【0041】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構成および方法において様々な変更を実行することができるため、上記記載に含まれ、添付の図面に示された全ての事項は、例示と解釈されるべきであり、限定の意味に解釈されるべきではない。
【0042】
本発明は、以下の態様を含む。
態様1:
単結晶材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる、コンピュータにより実行される方法であって、
複数のデータユニットを有するマトリックスを調製する工程であって、上記複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含む工程と、
処理装置により、上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定する工程であって、上記対応するデータユニットは、上記マトリックスについて第1のオペレーションにより規定される工程と、
上記処理装置により、上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分に基づいて、第1のインデックス値を算出する工程と、
上記第1のインデックス値と、予め決定された閾値と、に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程と、を備える方法。
態様2:
上記第1のオペレーションは、上記マトリックスの第1軸の周りの反転オペレーションを含む態様1に記載の方法。
態様3:
上記第1のオペレーションは、上記マトリックスの第1軸の周りの折り曲げオペレーションを含み、それにより、複数のデータユニットが、上記マトリックスの第1半体または上記マトリックスの第2半体に含まれる態様1に記載の方法。
態様4:
上記マトリックスの複数のデータユニットを調製するため、上記イメージデータを補完する工程をさらに含む態様1に記載の方法。
態様5:
上記単結晶材料のイメージ内のデータユニットのブロブを目的の領域として認識する工程をさらに含む態様1または態様26に記載の方法。
態様6:
上記マトリックスを調製するため、目的の領域に付加的なデータユニットを割り当てる工程、および、上記マトリックスを調製するため、目的の領域からデータユニットを取り出す工程の少なくとも1つをさらに含む態様1または態様26に記載の方法。
態様7:
上記マトリックスのサイズおよび目的の領域に関連する強度の少なくとも一方に基づき、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化する工程をさらに含む態様1または態様26に記載の方法。
態様8:
上記マトリックスについての第2のオペレーションに基づき第2のインデックス値を算出する工程をさらに含み、
上記第2のオペレーションは、上記マトリックスの第2軸の周りの反転オペレーションおよび折り曲げオペレーションのいずれかを含み、
上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程が、上記第1のインデックス値、上記第2のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程を含む態様1に記載の方法。
態様9:
上記マトリックスの第3軸の周りの反転オペレーションおよび折り曲げオペレーションの一方を含む上記マトリックスの第3のオペレーションに基づいて、第3のインデックス値を算出する工程と、
上記マトリックスの第4軸の周りの反転オペレーションおよび折り曲げオペレーションの一方を含む上記マトリックスの第4のオペレーションに基づいて、第4のインデックス値を算出する工程と、をさらに含み、
上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程が、上記第1のインデックス値、上記第2のインデックス値、上記第3のインデックス値、上記第4のインデックス値、および、予め決定された閾値に基づいて、単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程を含む態様8に記載の方法。
態様10:
上記マトリックスを調製する工程が、上記目的の領域を含むイメージデータの一部にスクエアマトリックスを配置する工程を含む態様1または態様26に記載の方法。
態様11:
上記スクエアマトリックスを配置する工程が、上記目的の領域について上記スクエアマトリックスを実質的に中央に配置する工程を含む態様10に記載の方法。
態様12:
少なくとも部分的に上記イメージデータに関連する強度に基づいて、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化する工程をさらに含む態様1または態様26に記載の方法。
態様13:
少なくとも部分的に上記目的の領域のサイズに基づいて、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化する工程をさらに含む態様1または態様26に記載の方法。
態様14:
上記単結晶材料は、シリコン材料、ゲルマニウム材料およびガリウムヒ素材料のいずれか1つを含む態様1または態様26に記載の方法。
態様15:
材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる検出システムであって、
材料に向かって近赤外(NIR)光を放射するよう構成された光源と、
上記材料を通過した光に基づいて、イメージデータを捕捉するため、上記材料に近接して配置された検出装置と、
上記光源および上記検出装置に接続された処理装置と、を備え、
上記処理装置は、
単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有する複数のデータユニットを含むスクエアマトリックスを特定し、
上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスでの第1オペレーションにより規定された、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定し、
上記決定された差分に基づいて第1のインデックス値を算出し、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定するように構成されている検出システム。
態様16:
上記第1のオペレーションは、上記マトリックスの第1軸の周りの反転オペレーションを含む態様15に記載の検出システム。
態様17:
上記第1のオペレーションは、上記マトリックスの第1軸の周りの折り曲げオペレーションを含み、それにより、複数のデータユニットが、上記マトリックスの第1半体または上記マトリックスの第2半体に含まれる態様15に記載の検出システム。
態様18:
さらに、上記処理装置は、スクエアマトリックスのサイズおよび目的の領域に関連する強度の少なくとも一方に基づいて、上記スクエアマトリックスおよび上記インデックス値の少なくとも一方を標準化するように構成されている態様15に記載の検出システム。
態様19:
上記処理装置は、上記第1のインデックスを算出するため、対応するデータユニットの差分の二乗平均平方根を決定するように構成されている態様15または態様30に記載の検出システム。
態様20:
上記複数のデータユニットは、複数のピクセルを含む態様15もしくは態様30に記載の検出システム。
態様21:
上記単結晶材料は、シリコン材料、ゲルマニウム材料およびガリウムヒ素材料のいずれか1つを含む態様15または態様30に記載の検出システム。
態様22:
上記処理装置は、上記目的の領域において上記スクエアマトリックスを実質的に中央に配置するように構成されている態様15に記載の検出システム。
態様23:
中に内蔵された、コンピュータにより実行可能な命令を有する、1以上の、持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアであって、
少なくとも1つの処理装置により実行されるとき、上記コンピュータにより実行可能な命令は、少なくとも1つの処理装置に、
上記単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有する複数のデータユニットを含むマトリックスを特定させ、
上記マトリックスのデータユニットと、上記マトリックスについて第1のオペレーションにより規定された、上記マトリックスの対応するデータユニットと、の差分を決定させ、
上記データユニットと、上記対応するデータユニットと、の差分に基づいて、第1のインデックス値を算出させ、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定させる保存メディア。
態様24:
上記コンピュータにより実行可能な命令が、さらに、上記処理装置に、上記マトリックスのサイズおよび上記目的の領域に関連する強度の少なくとも一方に基づいて、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化させる態様23または態様33に記載の保存メディア。
態様25:
上記第1のインデックス値を算出するため、上記コンピュータにより実行可能な命令が、さらに、上記処理装置に、上記データユニットと上記対応するデータユニットとの差分の二乗平均平方根を決定させる態様23または態様33に記載の保存メディア。
態様26:
単結晶材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる、コンピュータにより実行される方法であって、
複数のデータユニットおよびセンターを備えるマトリックスを調製する工程であって、上記複数のデータユニットは、単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを含む工程と、
上記マトリックスのセンターを通過する第1軸に基づいて、上記マトリックスの第1半体および第2半体を規定する工程と、
処理装置により、上記第1半体のデータユニットと、上記第2半体の対応するデータユニットと、の差分を決定する工程と、
上記処理装置により、上記決定された差分に基づいて、第1のインデックス値を算出する工程と、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程と、を備える方法。
態様27:
上記マトリックスのセンターを通過する第2軸であって、上記第1軸と異なる第2軸に基づいて、上記マトリックスの第3半体および第4半体を規定する工程と、
上記処理装置により、上記第3半体のデータユニットと、上記第4半体の対応するデータユニットと、の差分を決定する工程と、
上記処理装置により、上記第3半体と上記第4半体の対応するデータユニットの差分に基づいて第2のインデックス値を算出する工程と、をさらに備え、
上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程が、さらに、上記第2のインデックス値に基づいている態様26に記載の方法。
態様28:
上記処理装置により、第1軸および第2軸と異なる第3軸により規定される第5半体および第6半体の対応するデータユニット間の差分に基づいて、第3のインデックス値を算出する工程と、
上記処理装置により、第1軸、第2軸および第3軸と異なる第4軸により規定される第7半体および第8半体の対応するデータユニット間の差分に基づいて、第4インデックス値を算出する工程と、を備え、
上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定する工程は、さらに、上記第3インデックス値および上記第4インデックス値に基づいている態様27に記載の方法。
態様29:
上記第1、第2、第3、および、第4のインデックス値は、対応するデータユニットの差分の二乗平均平方根である態様28に記載の方法。
態様30:
材料中においてエアーポケットを検出するために用いられる検出システムであって、
材料に向かって近赤外(NIR)光を放射するように構成された光源と、
上記材料を通過した光に基づいて、イメージデータを捕捉するため、上記材料に近接して配置された検出装置と、
上記光源および上記検出装置に接続された処理装置と、を備え、
上記処理装置は、
単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有する複数のデータユニットおよびセンターを含むマトリックスを調製し、
上記マトリックスのセンターを通過する第1軸に基づいて、上記マトリックスの第1半体および第2半体を規定し、
上記第1半体のデータユニットと、上記第2半体の対応するデータユニットと、の差分を決定し、
上記決定された差分に基づいて、第1のインデックス値を算出し、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定するように構成された検出システム。
態様31:
さらに、上記マトリックスのサイズおよび目的の領域に関連する強度の少なくとも1つに基づいて、上記マトリックスおよび上記第1のインデックス値の少なくとも一方を標準化するように構成されている態様30に記載の検出システム。
態様32:
上記処理装置は、上記目的の領域において上記マトリックスを実質的に中心に配置させるように構成されている態様30に記載の検出システム。
態様33:
中に内蔵された、コンピュータにより実行可能な命令を有する、1以上の、持続的であり、コンピュータにより読み取り可能な保存メディアであって、
少なくとも1つの処理装置により実行されるとき、上記コンピュータにより実行可能な命令は、少なくとも1つの処理装置に、
単結晶材料の目的の領域に関連するイメージデータを有する複数のデータユニットおよびセンターを含むマトリックスを特定させ、
上記マトリックスのセンターを通過する第1軸に基づいて、上記マトリックスの第1半体および第2半体を規定させ、
上記第1半体のデータユニットと、上記第2半体の対応するデータユニットと、の差分を決定させ、
上記決定された差分に基づいて、第1のインデックス値を算出させ、
上記第1のインデックス値および予め決定された閾値に基づいて、上記単結晶材料中においてエアーポケットを特定させる保存メディア。