特許第6199909号(P6199909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199909
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】鉄系合金粉末を用いた溶射による塗布
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20170911BHJP
   C23C 4/06 20160101ALI20170911BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20170911BHJP
   B22F 9/08 20060101ALI20170911BHJP
   C22C 30/00 20060101ALI20170911BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20170911BHJP
   C22C 38/12 20060101ALI20170911BHJP
   B22F 7/02 20060101ALI20170911BHJP
   B22F 5/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B22F1/00 T
   C23C4/06
   C22C38/00 304
   B22F9/08 A
   C22C30/00
   C22C33/02 B
   C22C38/12
   B22F7/02
   B22F5/00 S
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-561140(P2014-561140)
(86)(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公表番号】特表2015-515542(P2015-515542A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2013029792
(87)【国際公開番号】WO2013134606
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】61/608,853
(32)【優先日】2012年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599058372
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファーソン,デニス・ビィ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】レスペランス,ジル
(72)【発明者】
【氏名】コス,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ボーリュー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ファージング,レスリー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ショーエンウェッター,トッド
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00266149(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0252636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00〜8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射技術において用いられる粉末金属材料であって、粉末金属材料の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含み、
粉末金属材料は、粉末金属材料の総容積に基づき、少なくとも15.0vol%の量の金属炭化物を含み、金属炭化物は、M8C7、M7C3およびM6Cからなる群から選択され、Mは少なくとも1つの金属原子であり、Cは炭素であり、M8C7は(V63Fe37)8C7であり、M7C3は、(Cr34Fe66)7C3、Cr3.5Fe3.5C3およびCr4Fe3C3からなる群から選択され、M6Cは、Mo3Fe3C、Mo2Fe4C、W3Fe3CおよびW2Fe4Cからなる群から選択される、粉末金属材料。
【請求項2】
3.5wt%〜4.0wt%の炭素、11.0wt%〜15.0wt%のクロム、1.5wt%〜3.5wt%のタングステン、4.0wt%〜6.5wt%のバナジウム、1.0wt%〜3.0wt%のモリブデン、0.3wt%以下の酸素、および50.0wt%〜81.5wt%の鉄を含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項3】
3.8wt%の炭素、13.0wt%のクロム、2.5wt%のタングステン、6.0wt%のバナジウム、1.5wt%のモリブデン、0.2wt%の酸素、70.0wt%〜80.0wt%の鉄、および2.0wt%以下の量の不純物からなる、請求項2に記載の粉末金属材料。
【請求項4】
コバルト、ニオブ、チタン、マンガン、硫黄、シリコン、リン、ジルコニウム、およびタンタルのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の粉末金属材料。
【請求項5】
溶射技術において用いられる粉末金属材料を形成する方法であって、
溶融した鉄系合金の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む溶融した鉄系合金を供給するステップと、
溶融した鉄系合金をアトマイズして、アトマイズされた鉄系合金の小滴を供給するステップとを含み、
粉末金属材料は、粉末金属材料の総容積に基づき、少なくとも15.0vol%の量の金属炭化物を含み、金属炭化物は、M8C7、M7C3およびM6Cからなる群から選択され、Mは少なくとも1つの金属原子であり、Cは炭素であり、M8C7は(V63Fe37)8C7であり、M7C3は、(Cr34Fe66)7C3、Cr3.5Fe3.5C3およびCr4Fe3C3からなる群から選択され、M6Cは、Mo3Fe3C、Mo2Fe4C、W3Fe3CおよびW2Fe4Cからなる群から選択される、方法。
【請求項6】
アトマイズされた小滴を粉砕するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
耐摩耗性部品であって、溶射された粉末金属材料を含み、前記溶射された粉末金属材料は、前記溶射された粉末金属材料の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含み、
粉末金属材料は、粉末金属材料の総容積に基づき、少なくとも15.0vol%の量の金属炭化物を含み、金属炭化物は、M8C7、M7C3およびM6Cからなる群から選択され、Mは少なくとも1つの金属原子であり、Cは炭素であり、M8C7は(V63Fe37)8C7であり、M7C3は、(Cr34Fe66)7C3、Cr3.5Fe3.5C3およびCr4Fe3C3からなる群から選択され、M6Cは、Mo3Fe3C、Mo2Fe4C、W3Fe3CおよびW2Fe4Cからなる群から選択される、耐摩耗性部品。
【請求項8】
外面を備えた本体をさらに含み、前記溶射された粉末金属材料は前記外面上に配置される、請求項に記載の耐摩耗性部品。
【請求項9】
前記本体は、中心軸を囲む内面と、前記内面とは反対側に面する外面とを呈するピストンリングであり、前記溶射された粉末金属材料は前記外面上にコーティングを形成する、請求項に記載の耐摩耗性部品。
【請求項10】
前記本体は外面を呈するピストンであり、前記溶射された粉末金属材料は前記外面上にコーティングを形成する、請求項に記載の耐摩耗性部品。
【請求項11】
前記耐摩耗性部品は、前記溶射された粉末金属材料からなる、請求項に記載の耐摩耗性部品。
【請求項12】
前記耐摩耗性部品はピストンリングである、請求項11に記載の耐摩耗性部品。
【請求項13】
前記溶射された粉末金属材料と混合される第2の粉末金属材料を含む、請求項に記載の耐摩耗性部品。
【請求項14】
耐摩耗性部品を形成する方法であって、粉末金属材料を溶射するステップを含み、前記粉末金属材料は、粉末金属組成物の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含み、
粉末金属材料は、粉末金属材料の総容積に基づき、少なくとも15.0vol%の量の金属炭化物を含み、金属炭化物は、M8C7、M7C3およびM6Cからなる群から選択され、Mは少なくとも1つの金属原子であり、Cは炭素であり、M8C7は(V63Fe37)8C7であり、M7C3は、(Cr34Fe66)7C3、Cr3.5Fe3.5C3およびCr4Fe3C3からなる群から選択され、M6Cは、Mo3Fe3C、Mo2Fe4C、W3Fe3CおよびW2Fe4Cからなる群から選択される、方法。
【請求項15】
前記溶射するステップは、粉末式フレーム溶射、プラズマ溶射、コールドスプレー、および高速酸素燃料溶射(HVOF)からなる群から選択される溶射技術である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶射するステップよりも前に粉末金属材料を加熱するステップを含み、前記粉末金属材料は溶射するステップ中に加熱される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
溶射技術は、燃料と酸素との混合物を含む燃焼チャンバを設けるステップと、燃料と酸素との混合物に点火するステップと、点火するステップの後に粉末金属材料を燃焼チャンバに供給して、粉末金属材料を加速させるステップとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記点火するステップは、燃焼チャンバにおいて圧力を発生させるステップと、粉末金属材料を最高で超音速にまで加速させるステップとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
本体を設けるステップを含み、前記溶射するステップは、本体上に粉末金属材料を溶射するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記溶射するステップでは耐摩耗性部品を形成し、耐摩耗性部品は、中心軸を囲む内面と、内面の反対側に面する外面とを呈するピストンリングである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年3月9日に提出され、その内容全体が引用によりこの明細書中に援用される仮出願連続番号第61/608,853号の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、概して、耐摩耗性の溶射粉末、その形成方法、およびその塗布に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
溶射技術は、ピストンおよびピストンリングなどの自動車のエンジン部品に耐摩耗性コーティングを塗布するのに用いられる。このコーティングにより、ピストンがシリンダに沿って摺動する際の摩耗からピストンリングの表面を保護することができる。このコーティングはまた、エンジンの燃焼チャンバ内で極端な温度や汚染物質に晒されることによってもたらされるピストンの腐食および酸化を抑制する。このような耐摩耗性コーティングは、さまざまなセラミック材料、クロムベースの粉末およびモリブデンベースの粉末から形成されてきた。溶射技術の例には燃焼、放電、コールドスプレおよびレーザが含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一局面は、溶射技術において用いられる粉末金属材料を提供する。粉末金属材料は、粉末金属組成物の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む。
【0005】
本発明の別の局面は、溶射技術において用いられる粉末金属材料を形成する方法を提供する。当該方法は、溶融した鉄系合金の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む溶融した鉄系合金を供給するステップと、溶融した鉄系合金をアトマイズして、水アトマイズされた鉄系合金の小滴を供給するステップとを含む。
【0006】
本発明のさらに別の局面は、溶射された粉末金属材料を含む耐摩耗性部品を提供する。溶射された粉末金属材料は、溶射された粉末金属材料の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む。
【0007】
本発明の別の局面は、耐摩耗性部品を形成する方法を提供する。当該方法は、粉末金属材料を溶射するステップを含む。粉末金属材料は、粉末金属材料の総重量に基づいて、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、0.5wt%以下の酸素、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む。
【発明の効果】
【0008】
溶射粉末は、溶射技術において用いられる他の材料と比べて低コストでひときわ優れた耐摩耗性をもたらす。溶射粉末はまた、融点が低いため、溶射技術を用いている間、より低温にする必要があり、これによりエネルギが節約される。溶射粉末はまた、本体を破損させることなく、ピストンまたはピストンリングなどの金属体に塗布され得る。加えて、溶射技術を用いている間、溶射粉末は、溶射技術において用いられる他の鉄系材料と比べて、改善された耐酸化性をもたらし得る。
【0009】
図面の簡単な説明
本発明の他の利点は、これらが、添付の図面に関連付けて検討される場合に以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されると、容易に認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に従った、ピストンの外面上に溶射粉末を溶射する高速酸素燃料溶射(HVOF:high velocity oxygen fuel spraying)チャンバガンを示す図である。
図2】本発明の別の実施形態に従った、ピストンリングの外面上に溶射粉末を溶射するHVOFチャンバガンを示す図である。
図3図2のピストンリングを線3に沿って示す断面図である。
図4】本発明の別の実施形態に従った、溶射成形部分を形成するために溶射粉末を溶射するHVOFチャンバガンを示す図である。
図5】溶射粉末を形成するために用いられる例示的なプロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明の一局面は、溶射プロセスまたは溶射塗布とも称される溶射技術において用いられる耐摩耗性粉末金属材料を提供する。溶射粉末20とも称される粉末金属材料は、炭素(C)、クロム(Cr)、タングステン(W)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)および鉄(Fe)を含む溶融した鉄系合金をアトマイズすることによって形成される。溶射粉末20は、鉄系であり、任意には、コバルト(Co)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、硫黄(S)、シリコン(Si)、リン(P)、ジルコニウム(Zr)、およびタンタル(Ta)などの他の成分を含む。
【0012】
溶射粉末20は、他の溶射材料と比べて、低コストでひときわ優れた耐磨耗性を提供するのに十分な量のクロム、タングステン、バナジウムおよびモリブデンを含む。これらの元素はまた、金属炭化物を形成するのに十分な量で存在する。一実施形態においては、溶射粉末20は、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、好ましくは11.0wt%〜15.0wt%のクロム、最も好ましくは13.0wt%のクロム;1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、好ましくは1.5wt%〜3.5wt%のタングステン、最も好ましくは2.5wt%のタングステン;3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、好ましくは4.0wt%〜6.5wt%のバナジウム、最も好ましくは6.0wt%のバナジウム;および、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、好ましくは1.0wt%〜3.0wt%のモリブデン、最も好ましくは1.5wt%のモリブデンを含む。
【0013】
溶射粉末20は、溶射粉末20の総容積に基づいて、15vol%を上回る量の金属炭化物を供給するのに十分な量の炭素を含む。一実施形態においては、溶射粉末20は、溶射粉末20の総重量に基づいて、少なくとも3.0wt%の炭素、または3.0wt%〜7.0wt%の炭素、好ましくは約3.8wt%の炭素を含む。溶射粉末20中の炭素の量が増加すると、溶射粉末20の硬度も高くなる。これは、大量の炭素により、アトマイズステップ中により大量の炭化物が形成され、これにより硬度が高くなるからである。溶射粉末20中の炭素の量は炭素合計(Ctot)と称される。
【0014】
溶射粉末20はまた、合金炭化物中に平衡状態で固定されている総炭素含有量を表わす炭素の化学量論量(Cstoich)を含む。炭化物の種類および組成は、炭素含有量および合金元素含有量の相関関係によって変化する。
【0015】
アトマイズ中に所望量の金属炭化物を形成するのに必要なCstoichは、溶射粉末20中に存在する炭化物形成元素の量に左右される。特定の組成物についてのCstoichは、各々の炭化物形成元素の量に対して各元素に特有の倍率を掛けることによって得られる。特定の炭化物形成元素に関して、倍率は、その特定の炭化物形成元素を1wt%析出させるのに必要な炭素の量に等しい。倍率は、形成される析出物の種類、炭素の量および各合金元素の量によって異なる。具体的な炭化物についての倍率は、炭素の量および合金元素の量に応じても異なるだろう。
【0016】
たとえば、Mとも称される(Cr23.5Fe7.3Mo3.22.9の析出物を溶射粉末20中に形成するために、炭化物形成元素の倍率は以下のように計算される。まず、M炭化物の原子比率が以下のとおり決定される:1.88原子のCr、0.58原子のFe、5.05原子のV、0.26原子のMo、0.23原子のW、および7原子のC。次いで、M炭化物の1モル当たりの各元素の質量が以下のとおり決定される:V=257.15グラム、Cr=97.76グラム、Fe=32.62グラム、Mo=24.56グラム、W=42.65グラム、およびC=84.07グラム。次に、各々の炭化物形成元素の重量比が以下のとおり決定される:V=47.73wt%、Cr=18.14wt%、Fe=6.05wt%、Mo=4.56wt%、W=7.92wt%、およびC=15.60wt%。重量比は、47.73グラムのVが15.60グラムのCで反応するであろうことを示し、これは、1グラムのVが0.33グラムCで反応するであろうことを意味する。M炭化物中に1.0wt%のVを析出させるために、0.33wt%の炭素が必要となる。したがって、Vについての倍率は0.33である。Cr=0.29、Mo=0.06およびW=0.03についての倍率を決定するために同じ計算が行なわれる。
【0017】
次いで、各々の炭化物形成元素の量に対して関連する倍率を掛け、それらの値の各々を合計することによって、溶射粉末20中のCstoichが決定される。たとえば、溶射粉末20が4.0wt%のV、13.0wt%のCr、1.5wt%のMoおよび2.5wt%のWを含む場合、Cstoich=(4.00.33)+(13.00.29)+(1.50.06)+(2.50.03)=5.26wt%となる。
【0018】
加えて、溶射粉末20は、1.1未満のCtot/Cstoich量を含む。したがって、溶射粉末20が7.0wt%を上限として炭素を含む場合、Cstoichは6.36wt%の炭素になるだろう(7.0wt%の炭素/1.1)。
【0019】
以下の表は、溶射粉末20中に見出すことのできる他の炭化物の種類の例と、一般的な炭化物の化学量論比に関するCr、V、MoおよびWについての倍率の例とを示す。しかしながら、表に列挙された各炭化物中の金属原子は部分的に他の原子と置き換えることができたであろうが、それによって倍率に影響を及ぼす可能性があっただろう。
【0020】
【表1】
【0021】
金属炭化物はアトマイズプロセス中に形成され、少なくとも15.0vol%、好ましくは40.0vol%〜60.0vol%、または47.0vol%〜52.0vol%、典型的には約50.0vol%の量で存在する。一実施形態においては、溶射粉末20は、クロムリッチな炭化物、モリブデンリッチな炭化物、タングステンリッチな炭化物およびバナジウムリッチな炭化物を総量が約50.0vol%となるように含む。
【0022】
金属炭化物はナノスケールの微細構造を有する。一実施形態においては、金属炭化物は、1ナノメートル〜400ナノメートルの直径を有する。微細なナノ炭化物構造は、金属体24および124のそれぞれの外面22および122に対する溶射粉末20の付着を改善させ得る。したがって、溶射粉末20から形成される耐摩耗性コーティングには、フレーキング、チッピングおよび層間剥離が起こりにくくなる。微細な炭化物構造はまた、より均質な微細構造をもたらし、これにより、より粗い炭化物微細構造を備えた溶射材料と比べて、耐衝撃性および耐疲労性が改善され得る。上述したように、炭化物は、M、M、MC、MC、M23およびMCを含むさまざまな種類であってもよく、Mは、Fe、Cr、V、Moおよび/またはWなどの少なくとも1つの金属原子であり、Cは炭素である。一実施形態においては、金属炭化物は、M、M、MCからなる群から選択される。Mは(V63Fe37であり、Mは、(Cr34Fe66、Cr3.5Fe3.5およびCrFeからなる群から選択される。MCは、MoFeC、MoFeC、WFeCおよびWFeCからなる群から選択される。
【0023】
溶射粉末20の微細構造はまた、ナノスケールのオーステナイトを含み、ナノスケールの炭化物に加えて、ナノスケールのマルテンサイトを含んでもよい。また、溶射プロセス中に溶射粉末20の酸化を制限するのに十分な量の炭素も存在している。酸化は、溶射プロセス中における雰囲気制御の不足、清浄度の欠如、および温度のせいで起こる可能性がある。
【0024】
溶射粉末20は、任意には、耐磨耗性の改善または別の材料特徴の向上に寄与し得る他の元素を含んでいてもよい。一実施形態においては、溶射粉末20は、コバルト、ニオブ、チタン、マンガン、硫黄、シリコン、リン、ジルコニウム、およびタンタルのうち少なくとも1つを含む。一実施形態においては、溶射粉末20は、4.0wt%〜15.0wt%のコバルト;7.0wt%までのニオブ;7.0wt%までのチタン;2.0wt%までのマンガン;1.15wt%までの硫黄;2.0wt%までのシリコン;2.0wt%までのリン;2.0wt%までのジルコニウム;および2.0wt%までのタンタルのうち少なくとも1つを含む。一実施形態においては、溶射粉末20は、粉末中に硫化物または硫黄含有化合物を形成するためにあらかじめ合金化された硫黄を含有する。硫化物(例えば、MnS、CrS)は機械加工性を改善させるものであることが知られており、耐磨耗性に有利になり得る。
【0025】
溶射粉末20の組成物の残りは鉄である。一実施形態においては、溶射粉末20は、少なくとも40.0wt%の鉄、または50.0wt%〜81.5wt%の鉄、好ましくは70.0wt%〜80.0wt%の鉄を含む。溶射粉末20は、典型的には、800Hv50〜1500Hv50の微小硬度を有する。硬度が高いことにより、ひときわ優れた耐磨耗性を有する耐摩耗性コーティング26がもたらされ、微細構造によって靭性が改善されるはずである。炭素の量が増加するのに応じて溶射粉末20の微小硬度が高くなる。
【0026】
具体的な一実施形態においては、溶射粉末20は、3.8wt%の炭素、13.0wt%のクロム、2.5wt%のタングステン、4.0wt%〜6.0wt%のバナジウム、1.5wt%のモリブデン、0.2wt%の酸素、70.0wt%〜80.0wt%の鉄、および2.0wt%以下の量の不純物を含む。
【0027】
具体的な実施形態の溶射粉末20は、約1,235℃(2,255°F)の融点を有し、その温度で完全に溶融することとなる。しかしながら、溶射粉末20の融点は、炭素含有量および合金元素含有量の相関関係に応じてわずかに変動するだろう。しかしながら、溶射粉末20は、1,150℃ほどの低い温度ではごくわずかな液相を含む可能性がある。融点が低いことにより、より高い融点を有する溶射材料と比べて、溶射プロセス中にいくつかの利点が提供される。コーティングされている本体24の外面22に溶射粉末20を塗布するためのエネルギが少なくて済む。溶射粉末22はより低い温度で溶射することができるので、コーティングされている本体24への入熱がより少なくなり、製造機器の摩耗がより少なくなり、場合によっては耐摩耗性コーティング26における孔隙率がより低くなり、溶射プロセス中に溶射粉末20の酸化がより抑制される可能性がある。融点が低いことにより、コールドスプレー技術を用いる機会も得られる。
【0028】
溶射粉末20は、溶融した鉄系合金を水アトマイズまたはガスアトマイズすることによって形成される。水アトマイズを用いて溶射粉末20を形成する例示的なプロセスが図5に示される。しかしながら、水アトマイズステップはガスアトマイズステップと置換えられてもよい。一実施形態においては、アトマイズ前に供給される鉄系合金は、3.0wt%〜7.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む。鉄系合金は、典型的には、炭素、クロム、タングステン、バナジウム、モリブデンおよび鉄を含むプレ合金として提供される。鉄系合金はまた、酸素含有量が低く、好ましくは0.5wt%以下である。鉄系合金の炭素含有量は、溶融ステップおよびアトマイズステップ中に合金を酸化から保護するのに十分である。
【0029】
鉄系合金は、溶融すると、水アトマイザまたはガスアトマイザに供給される。鉄系合金の炭素含有量が高いことにより、溶融した鉄系合金中の酸素の溶解度が低下する。溶融した鉄系合金中の酸素レベルを低下させることにより、溶融ステップおよびアトマイズステップ中に炭化物形成元素を酸化から保護するという利点が得られる。炭素含有量が比較的高いことにより、アトマイズステップ中に、オーステナイト、または場合によってはマルテンサイト、を溶射粉末20のマトリックス(ここに炭化物が析出している)に形成することが可能となる。鉄系合金中の炭化物形成合金元素の量が増加すると、アトマイズステップ中にマトリックスにおいて形成される炭化物の量も増加させることができる。
【0030】
アトマイザにおいては、高圧水または高圧ガスの流れによって、溶融した鉄系合金の流れに衝撃を与えることにより、この溶融した鉄系合金流を分散させ、急速に凝固させて、十分に合金化された金属小滴にする。ガスアトマイズでは、典型的には、丸形状の粒子が生じるのに対して、水アトマイズでは、典型的には不規則な形状の粒子が生じる。好ましくは、各々の小滴は、少なくとも3.0wt%の炭素、10.0wt%〜25.0wt%のクロム、1.0wt%〜5.0wt%のタングステン、3.5wt%〜7.0wt%のバナジウム、1.0wt%〜5.0wt%のモリブデン、および少なくとも40.0wt%の鉄を含む溶融した1ロット分の金属の、十分に合金化された化学組成を有する。各々の小滴はまた、好ましくは、均一に分散された炭化物を含む。小滴の主元素は、溶融ステップおよびアトマイズステップ中においては、炭素含有量の高い粉末によって酸化から保護される。炭素含有量が高く、酸素含有量が低いことによっても、アトマイズステップ中の酸化が制限される。しかしながら、小滴の外面は、場合によっては水または非保護大気に晒されることにより、酸化する可能性がある。いくつかの特性は、ガスアトマイズを用いると、水アトマイズを用いる場合よりも改善させることができ、たとえば、より適切な流れや、より望ましい見掛け密度を得ることができ、酸素含有量をより低下させることができる。
【0031】
次に、アトマイズされた小滴はドライヤを通ってグラインダに送られ、そこで、アトマイズされた材料が機械的に粉砕または破砕され、次いでふるいに掛けられる。小滴が硬質で非常に微細なナノ構造を有していることにより、粉砕の容易性が改善される。ボールミルまたは他の機械的破砕機が用いられてもよい。加えて、小滴は、その粉砕前にアニールされてもよいが、アニールステップは、小滴の粉砕前には必要ではなく、典型的には、アニールステップは行なわれない。アトマイズステップ中にアトマイズされた小滴上に外側酸化物被膜が形成される場合、機械的な粉砕により、外側酸化物被膜が砕かれて小滴の大部分からこの外側酸化物被膜が分離される。次に、図5に示されるように、粉砕された小滴が酸化物被膜から分離され、アトマイズされた溶射粉末20および酸化物粒子30を作り出す。ガスアトマイズが用いられるようないくつかの場合には、外側酸化物被膜が最小限となり、除去しなくても許容され得る。しかしながら、機械的な粉砕ステップを用いて、小滴を粉砕してそのサイズを小さくすることもできる。溶射粉末20はさらに、サイズ、形状および、一般的に粉末金属に関連する他の特徴によって分類されてもよい。次に、溶射粉末20は、ピストンまたはピストンリングなどの耐摩耗性部品28、128、228を形成するのに用いることができる。
【0032】
図1は、溶射粉末20を含む耐摩耗性部品28の一例を示す。図1においては、耐摩耗性部品28は、具体的には外面22を呈するスカートである本体24を含むピストンである。溶射粉末20は、外面22上に耐摩耗性コーティングを形成するために、溶射技術によって本体24の外面22に塗布される。耐摩耗性コーティングは、典型的には、800Hv50〜1,500Hv50の微小硬度を有する。図2は、溶射粉末20を含む耐摩耗性部品128の別の例を示す。耐摩耗性部品128は本体124を含む。本体124は、具体的には、中心軸Aを囲む内面136と、内面136とは反対側に面する外面122とを呈するコーティングされていないピストンリングである。溶射粉末20は、外面122上に耐摩耗性コーティングを形成するために、溶射技術によって外面122に塗布される。
【0033】
溶射粉末20はまた、他の部品(図示せず)、たとえば、タービンブレード、トランスミッション部品、排気系統部品、クランクシャフト、他の自動車部品、パルプローラおよび紙ローラ、オイルおよび石油化学ドリル部品、ゴルフクラブおよび外科用器具などの上に耐摩耗性コーティングを形成するために用いることができる。
【0034】
図4は、耐摩耗性部品228の別の例、具体的にはピストンリングであり、この場合、耐摩耗性部品228は全体が溶射粉末20で構成される。耐摩耗性部品228は、中心軸Aを囲む内面236と、内面236とは反対側に面する外面222とを呈する。この耐摩耗性部品228は溶射成形部分と称される。溶射成形部分は、典型的には、800Hv50〜1,500Hv50の微小硬度を有する。
【0035】
さまざまな溶射技術を用いて、耐摩耗性部品28、128、228を形成することができる。4つの典型的な溶射技術は、燃焼、放電、コールドスプレーおよびレーザである。溶射技術は各々、耐摩耗性コーティングを形成するために本体24および124のそれぞれの外面22および122上に、または、溶射成形部分を形成するために基板238上に、溶射粉末20を溶射するステップを含む。溶射するステップは、最高で超音速に相当し得る高速に溶射粉末20を加速させるステップを含む。溶射粉末20は、コーティングまたは溶射成形部分を形成するために高速で溶射されてきたが、溶射された粉末または溶射されたコーティングとも称することができる。燃焼技術、放電技術およびレーザ技術は、溶融粉末を溶射する前に溶射粉末20を溶融させるステップを含む。これらの技術は、溶射粉末20を加熱し、次いで、溶射粉末20を加熱しつつ、加熱された溶射粉末20を加速させて本体24および124のそれぞれの外面22および122へと、または基板238上へと高速で送り込むステップを含む。
【0036】
燃焼技術の一例には、粉末式フレーム溶射または溶線式フレーム溶射などのフレーム溶射が含まれる。燃焼技術の別の例として、酸素および気体燃料(HVOF−G)または液体燃料(HVOF−K)を含む高速酸素燃料溶射(HVOF:high velocity oxygen fuel spraying)が挙げられる。
【0037】
放電技術はプラズマ溶射または溶線式アーク溶射を含み得る。プラズマ溶射は、典型的には、不活性ガス(IPS)下、真空(VPS)下で、または、プラズマジェットに溶射粉末を注入する(SPS)前に懸濁液中に溶射粉末20を分散させることによって行なわれる。プラズマ溶射はまた、大気プラズマ溶射(APS:atmospherical plasma spraying)、加圧プラズマ溶射(HPPS:high pressure plasma spraying)、水安定化プラズマ溶射(WSPS:water-stabilized plasma spraying)、反応性プラズマ溶射(RPS:reactive plasma spraying)、または水中プラズマ溶射(UPS:underwater plasma spraying)を含み得る。窒素がプラズマ溶射プロセス中に不活性ガスとして用いられる場合、バナジウム炭窒化物が形成される可能性があり、これにより硬度および耐磨耗性が改善される。この可能性は、溶射プロセスよりも前に溶射粉末20の処理パラメータおよび化学的性質によって制御される。
【0038】
最も好ましい溶射技術は、粉末式フレーム溶射、プラズマ溶射、コールドスプレーおよび高速酸素燃料溶射(HVOF)である。図1図2および図4はHVOFプロセスにおけるステップを示しており、HVOFチャンバガンが、溶射粉末20を本体24および124のそれぞれの外面22、122上に、または基板238上に溶射する。HVOFチャンバガンは、ノズル34と流体連通する加圧燃焼チャンバ32を含む。燃焼チャンバ32は、酸素などのキャリヤガスと、アセチレン、水素、プロパンまたはプロピレンなどの燃料との混合物を含む。この混合物に点火することによって、高圧火炎を発生させ、燃焼チャンバにおいて圧力を生じさせる。ノズル34を介して火炎を形成して、最高でも超音速に相当し得る高速になるまでキャリヤガスを加速させる。次に、溶射粉末20は、高圧燃焼チャンバ32に軸方向に供給されるか、またはノズル34の片方から直接供給される。キャリヤガスにより溶射粉末20を加速させて高速でHVOFチャンバガンから送り出す。
【0039】
図1および図2の実施形態においては、溶射粉末20を本体24および124のそれぞれの外面22および122に塗布して、耐摩耗性コーティングを形成する。図3は、図2の本体124に塗布された耐摩耗性コーティングの厚さtを示す。この厚さは、用いられる溶射技術、本体124の設計、および耐摩耗性部品28の用途に依存する。一実施形態においては、耐摩耗性コーティングの厚さは20ミクロン〜200ミクロンである。
【0040】
耐摩耗性部品28を形成する方法は、任意には、溶射後加熱処理を含んでもよい。一実施形態においては、当該方法は、溶射粉末20を本体24、124に塗布した後または溶射成形部分に形成した後にアニールするステップを含む。アニールするステップまたは他の熱処理ステップでは、溶射粉末20の微細構造をより粗くすることによってその微細構造を変化させてもよい。たとえば、金属炭化物は、1ナノメートル〜400ナノメートではなく、少なくとも1ミクロンの直径を有してもよい。
【0041】
本発明の別の局面は、耐摩耗性部品228を形成する方法を提供する。耐摩耗性部品228は、溶射粉末20から成る溶射成形部分、たとえば図4のピストンリングなどである。溶射成形部分は、溶射粉末20を基板238上に最大500ミリメートルの厚さになるまで溶射することによって製造される。溶射成形プロセスは、ニアネットシェイプ(near−net−shape)プロセスであり、ASMハンドブックの第7巻に記載されるように、移動する基板上の溶射粉末を捕捉することを含む。このプロセスによって提供されるいくつかの利点として、98%を超える密度、微細な等軸粒、巨視的な分離の無いこと、事前に粒子境界が存在しないこと、機械的特性の向上、材料/合金化の自由度、および、たとえば2kg/秒を上回るような高い堆積率が挙げられる。
【0042】
加えて、溶射粉末20は、耐摩耗性部品28、128および228、すなわち、耐性のあるコーティングまたは溶射成形部分のいずれか、を形成するために、他の粉末とともに一緒に溶射されてもよい。本発明の溶射粉末20とともに溶射され得る他の粉末の例として、金属間化合物、他の硬質相、および金属合金が含まれる。ともに溶射された粉末を含む耐摩耗性コーティング26および溶射成形部分は、溶射粉末20単独で提供される微細構造とは異なり、広範囲の微細構造を提供することができた。
【0043】
本発明の多くの変更例および変形例が上述の教示に照らして実現可能であり、添付の特許請求の範囲内で具体的に記載される以外の態様で実施され得ることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5