特許第6199946号(P6199946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199946
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】濾過遠心分離機
(51)【国際特許分類】
   B04B 3/00 20060101AFI20170911BHJP
   B04B 7/06 20060101ALI20170911BHJP
   B04B 7/18 20060101ALI20170911BHJP
   B01D 33/06 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   B04B3/00 B
   B04B7/06 Z
   B04B7/18
   B01D33/06 F
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-243623(P2015-243623)
(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2016-117059(P2016-117059A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】10 2014 119 605.8
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515347371
【氏名又は名称】アンドリッツ カーエムペーテー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス フェラー
(72)【発明者】
【氏名】ガンナー グリム
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/106669(WO,A1)
【文献】 実開昭56−121452(JP,U)
【文献】 実開平06−072621(JP,U)
【文献】 特開2002−045730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B
B01D 33/06
B01D 24/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液懸濁液から固形物を濾過する濾過遠心分離機であって、
その内面に形成され且つその周方向に延びる周辺溝を有する濾過ドラムと、
前記濾過ドラムに挿入可能であり、少なくとも前記濾過ドラムに挿入される際に、軸方向及び半径方向を規定し且つその軸端部に周縁部を有する中空円筒形状を形成し、濾過される前記懸濁液から前記固形物を保持し且つ濾過される前記懸濁液の液体が通過可能であるように構成されており、前記周縁部のうちの少なくとも一の周縁部に、少なくとも実質的に互いに重なりあい且つ互いに貼り付けられた少なくとも二つのリボン層によって形成される周辺リボン構造を備える、濾布であって、前記少なくとも二つのリボン層の一のリボン層は前記濾布によって形成されており、前記濾布が前記濾過ドラムに挿入されると、前記周辺リボン構造が前記リボン層の全てと共に前記濾過ドラムの前記周辺溝に受けとられる濾布と、
前記濾布とは別体にて形成されており、閉じた状態で一体形成されており、半径方向且つばね弾性的に柔軟である締付けリングであって、前記周辺溝に受け取られた前記周辺リボン構造の前記リボン層の全てを、半径方向外向きに前記濾過ドラムに押しつけ、前記濾布を前記濾過ドラムにしっかり保持し続けるために、前記周辺リボン構造の前記リボン層の全てが、前記周辺溝と前記締付けリングとの間に配置されるように、前記周辺溝に対向した前記濾過ドラムの内部に配置可能である、締付けリングと、
を備えることを特徴とする濾過遠心分離機。
【請求項2】
前記周辺リボン構造の前記少なくとも二つのリボン層の他のリボン層は、前記濾布と同じ材料によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の濾過遠心分離機。
【請求項3】
前記周辺リボン構造の前記少なくとも二つのリボン層の他のリボン層は、前記濾布の前記一の周縁部に、縫合及び/又は溶接及び/又は接着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過遠心分離機。
【請求項4】
前記半径方向において最も内側のリボン層は、前記濾布によって形成された前記一のリボン層であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【請求項5】
前記周辺リボン構造の少なくとも二のリボン層は、前記周辺リボン構造の全てのリボン層であるが、前記少なくとも二のリボン層は、前記濾布の前記周縁部を折り返すことを介して、任意には前記濾布の前記周縁部をヘミングすることを介して、前記濾布によって形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【請求項6】
前記濾布は、織布材から、任意にはプラスチック製織布材から作成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【請求項7】
前記濾布は、周方向に閉じて一体形成されている濾布であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【請求項8】
前記締付けリングは、金属から、任意にはばね鋼から作成される締付けリングであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【請求項9】
前記締付けリングは、モノリシックに作成され、或いは前記締付けリングは、フラットストリップをリング状に曲げて、当接長手方向端部の縁間を溶接することを介して作成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【請求項10】
前記周辺リボン構造の容積は、前記周辺溝の容積と少なくとも実質的に等しく、前記周辺リボン構造は、前記周辺溝を実質的に完全に占めることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の濾過遠心分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過ドラムと、周辺リボン構造を備える濾布と、それらとは別体にて、閉じた状態で一体形成され、周辺リボン構造を半径方向外向きに濾過ドラムに押しつけることにより濾布が濾過ドラムにしっかり保持されたままになるような締付けリングと、を備えた、固液懸濁液から固形物をろ過する濾過遠心分離機等の、濾過遠心分離機の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
濾過遠心分離機は、例えば、医薬品、食品、又は精製化学薬品を製造する製薬業、食品産業、化学工業において用いられる。
【0003】
濾過遠心分離機の可能な構造種類としては、例えば不連続ピーラー遠心分離機が公知である。これは濾過ドラムを備えているが、当該濾過ドラムは、ハウジングに回転可能に支持されており、当該濾過ドラムには、濾過される固液懸濁液が、濾過ドラム内に突出する懸濁液供給装置によって供給される。更に、固形物排出装置が濾過ドラム内に突出しており、それを用いて、濾過された固形物が濾過ドラムから排出される。加えて、ピーラー遠心分離機は、濾過ドラムの内壁に、通常濾布である濾過手段を備えており、その濾過手段は、固形物を固液懸濁液から分離し、特に、例えば締付け手段によって濾過ドラム内で実質的にずれないように、しっかり保持される。
【0004】
動作中、濾過される固液懸濁液は、懸濁液供給装置を介して回転濾過ドラムに供給される。濾過ドラムの回転によって、濾過される固液懸濁液は、半径方向外向きに濾過ドラムの半径方向内壁に、即ち濾布に押しつけられる。懸濁液の液体は、濾布上に付着した固形物と濾布とに浸透し、(例えば排水穴、又は排水路を用いて)濾過ドラムから排出又はむしろ遠心分離される。固形物は、濾布上に濾過ケーキとして留まり、例えば液体を遠心分離することにより液体及び固形物の分離が必要な程度だけ得られた際には、排出装置を用いて、例えば濾過ケーキを剥ぎとるピーリングナイフを用いて、固形物が濾過ドラムから最終的に排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、濾布の破損や製品損失、並びに製品汚染を防止するために濾布ずれに起因した固形物による濾布のしわの生成又は迂回が生じないように、濾布が濾過ドラムにしっかり取り付けられていることが、このような濾過遠心分離機の機能には重要である。特に、しわの生成は、固形物排出中のピーリングナイフによる濾布の破損につながり、ダウンタイムの増加、再洗浄、濾布の取替コストを意味しうる。
【0006】
同様に、濾過ドラムへの濾布の装着は、作業者が好ましくは一人で容易に迅速に行えることが必要であり、また、濾布と対応する締付け手段は、費用効率が高く、且つ濾過遠心分離機の利用分野の幅を最大限とするのに適していることが必要である。異なる濾布や対応する装着手段の数を維持して、製造コストや保管費用を低く保つためには、特に、溶媒を含む固液懸濁液等、できるだけ多様な物質の濾過に適していることが必要である。
【0007】
従って、前述の要請の下、締付け手段による濾布のドラムへの装着改良が継続的に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、濾布が締付け手段によって道具なしに数工程で濾過ドラムに装着可能であり、締付け手段が濾過遠心分離機の複数の利用分野に適するように形成されており、濾布がしっかり装着されるような、遠心分離機を提供する。これにより、濾過ドラムでの濾布ずれが防止され、同時に、簡単且つ迅速な設置が達成され、製造コストや保管費用が低く保たれる。更に、締付けリング及び濾布は、費用効率の高い材料から簡単に製造でき、これにより、締付け手段及び濾布の費用を低く保つことができる。
【0009】
本発明の一の様態によれば、固液懸濁液から固形物を濾過する濾過遠心分離機(例えば不連続(ピーラー)遠心分離機、例えば本発明の背景技術で述べられた遠心分離機)は、(半径方向)内面(例えば濾過ドラムのフィルタジャケットの半径方向内面)に形成され且つ周方向に(例えば連続的に周方向に、例えば全面的に又は360度連続的に周方向に)延びる周辺溝を有する濾過ドラムと、該濾過ドラムに挿入可能であり、少なくとも前記濾過ドラムに挿入される際に、軸方向及び半径方向を規定し且つその軸端部に周縁部(例えば、第1軸端部に第1周縁部と、第2軸端部に第2周縁部と)を有する中空円筒形状を形成し、濾過される前記懸濁液から前記固形物を保持し且つ濾過される前記懸濁液の液体が通過可能であるように構成されており、前記周縁部のうちの少なくとも一の周縁部に、少なくとも実質的に互いに重なりあい且つ互いに貼り付けられた少なくとも二つ(例えばちょうど二、ちょうど三、ちょうど四等)のリボン層によって形成される周辺リボン構造を備える、濾布であって、該濾布が前記濾過ドラムに挿入されると、前記周辺リボン構造が前記濾過ドラムの前記周辺溝に受けとられる濾布と、前記濾布とは別体にて(例えば別部品として)形成されており、閉じた状態で一体形成されており、半径方向且つばね弾性的に柔軟であり、前記周辺溝に受け取られた前記周辺リボン構造を、半径方向外向きに前記濾過ドラムに押しつける(例えばばね弾性的に締める)ことにより、前記濾布が前記濾過ドラムにしっかり保持されたままになるように、前記周辺溝に対向した前記濾過ドラムの内部に配置可能である、締付けリングと、を備える。締付けリングが閉じた状態で一体形成されているという特徴は、閉じたリング(形状)が、一体(統合体)として備わるという意味である。即ち、締付けリングは、そのリング形状が非破壊的に(再び)開けないような、着脱不可能エンドレスリング(即ち、着脱不可能にエンドレスなリング)である。即ち、リング形状を(再び)開くためには、締付けリングの一部が、(例えば機械的又は熱的にリングを切断するか、エンドレスリング形状を形成する接続に機械的過大応力をかけて当該接続を切断することにより)破壊される必要がある。従って、締付けリングには、着脱可能な留め具は存在せず、それ故、ドラムに挿入されるためには半径方向内向きに弾性変形されなければならない。一の実施形態によれば、リングは、一のモノリシックな統合体として形成される。更に、周辺リボン構造は、例えば濾布が保持及び/又は支持される例えば支持ふるい(構造)及び/又は支持ストレーナを含まない。即ち、周辺リボン構造では、そのような支持ふるい(構造)及び/又は支持ストレーナが省略されるか、存在しない。一の実施形態によれば、周辺リボン構造及び/又は周辺リボン構造に隣接する濾布の一部は、締付けリングによって周辺リボン構造を周辺溝に押しつけ可能であるように、半径方向外向きに変形可能な柔軟性を有する。前記柔軟性とは、周辺リボン構造に半径方向外向きに作用する5バール又は2バールよりも低い圧力等の低圧であって、上記変形には十分であるように提供される。
【0010】
締付けリングの半径方向の押圧力は、その半径方向のばね弾性に基づいており、それに応じて、締付けリングは、濾過ドラムに挿入するために例えばいくらか半径方向内向きに押しつけられる。そして前述のように濾過ドラムに配置される際、その弾性復元力によって元の形状に戻って、周縁部に受け取られた周辺リボン構造を半径方向外向きに濾過ドラムに押しつける。
【0011】
前記周辺リボン構造は、例えば、前記濾布と同じ材料によって、例えば同じ織布材によって形成される。しかしながら、周辺リボン構造のリボン層は、濾布とは異なる及び/又は互いに異なる材料から夫々形成されてよい。
【0012】
前記周辺リボン構造は、前記濾布の前記一の周縁部に、例えば縫合、溶接、又は接着される。例えば、周辺リボン構造のリボン層は、互いに縫合及び/又は溶接及び/又は接着されてよく、その後パッケージとして濾布に共通に縫合及び/又は溶接及び/又は接着されてよい。しかしながら、周辺リボン構造のリボン層は、濾布に順に縫合及び/又は溶接及び/又は接着されてもよい。
【0013】
周辺リボン構造のリボン層は、例えば軸方向において互いに異なる幅を有し、例えば、半径方向において外側のリボン層は、半径方向において内側のリボン層よりも、軸方向において狭い又は広い幅を(例えば周辺溝の断面形状に応じて)有する。更に、リボン層は、例えば半径方向から見て等しい厚さであり、例えば濾布と同じ厚さでよく、或いは(例えば周辺溝の断面形状に応じて)例えば半径方向において、濾布とは異なる及び/又は互いに異なるような厚さを有する。更に、周辺リボン構造の容積は、例えば、周辺溝の容積と少なくとも実質的に等しく、周辺リボン構造は、例えば、周辺溝を実質的に完全に占める。従って、周辺リボン構造は、対応する周辺溝において、デッドスポットをできるだけ減少させ且つできるだけ正確及び/又は形状適合させた、周辺リボン構造の嵌め合いを達成できるように、濾過ドラムの対応する周辺溝の形状に適合されうる。
【0014】
前記周辺リボン構造の一のリボン層は、任意には前記半径方向において最も内側のリボン層であるが、前記一のリボン層は、例えば、前記濾布によって、任意には濾布の一の周縁部によって形成される。
【0015】
前記周辺リボン構造の少なくとも二のリボン層は、任意には前記周辺リボン構造の全てのリボン層であるが、前記少なくとも二のリボン層は、例えば、前記濾布の前記周縁部を折り返すことを介して、任意には前記濾布の前記周縁部をヘミングすることを介して、前記濾布によって形成される。
【0016】
前記半径方向において最も内側のリボン層は、前記周辺溝の外で前記濾布に向かって延び且つ濾布と重なる、フラップ部又はトルク部を備えており、該フラップ部又はトルク部を用いて前記周辺リボン構造は濾布に固定されている。
【0017】
前記濾布は、例えば、織布材から、任意にはプラスチック製織布材から作成される。更に、前記濾布は、例えば、周方向に閉じて一体形成されている濾布である。後者は、閉じた円周形状が一体形成されるという意味である。
【0018】
前記締付けリングは、例えば、金属から、任意にはばね鋼から作成される締付けリングである。前記締付けリングは、例えば、モノリシックに作成され、或いはフラットストリップをリング状に曲げて、当接長手方向端部の縁間を溶接することを介して作成される。締付けリングは、周辺リボン構造が周辺溝と締付けリングとの間に配置されると、締付けリングの外側により、半径方向に作用する押圧力が周辺リボン構造に付加されるように、例えば、濾過ドラムの周辺溝の直径と少なくとも実質的に等しい又は僅かに小さい(外径)直径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の各種実施形態に係る濾過遠心分離機の模式的断面図である。
図2】本発明の第1実施形態を示す図1の領域Aの拡大図である。
図3】本発明の第2実施形態を示す図1の領域Aの拡大図である。
図4】本発明の第3実施形態を示す図1の領域Aの拡大図である。
図5】本発明の第4実施形態を示す図1の領域Aの拡大図である。
図6】本発明の第5実施形態を示す図1の領域Aの拡大図である。
【0020】
図面では、同一又は類似の部品に対して同じ参照符号が用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明について、図面を参照して実施形態を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1及び図6に示すように、本発明の各種実施形態に係る、固液懸濁液から固形物を濾過する濾過遠心分離機1は、濾布30と、締付けリング40とを備える。
【0023】
本発明の各種実施形態に係る濾過ドラム10は、中空円筒形状を有するドラムジャケット11と、ドラムジャケット11の軸端部(例えば図1では、ドラムジャケット11の右端部)で接続され、ドラムジャケット11のこの端部に交差する第1ドラム底部13と、ドラムジャケット11の他の(例えば逆側の)軸端部(例えば図1では、ドラムジャケット11の左端部)で接続され、中央開口部17を備える第2ドラム底部(ドラムカラー)15と、を備える。
【0024】
更に、本発明の各種実施形態に係る濾過ドラム10は、濾過ドラム10の第1軸側12において濾過ドラム10の(半径方向)内面21に、任意にはドラムジャケット11の第1軸側においてドラムジャケット11の(半径方向)内面に形成された、一の(例えば第1)周辺溝19を備える。更に、濾過ドラム10は、濾過ドラムの第1軸側とは逆側である濾過ドラム10の第2軸側14において濾過ドラム10の(半径方向)内面21に、任意には濾過ドラムの第1軸側とは逆側であるドラムジャケット11の第2軸側においてドラムジャケット11の(半径方向)内面に形成された、例えば第2周辺溝20を備える。更に、周辺溝19は、濾過ドラム10の周方向に、任意にはドラムジャケット11の周方向に延びる。周辺溝20も、濾過ドラム10の周方向に、任意にはドラムジャケット11の周方向に延びる。
【0025】
本発明の各種実施形態に係る濾布30は、(例えば後述される遠心分離カバー43が開けられた状態で)開口部17を介して濾過ドラムに挿入可能である。濾布30は、少なくとも濾過ドラム10に挿入される際に、軸方向X及び半径方向Rを規定する中空円筒形状を有する(図2から図6を参照)。例えば、濾布30は、濾過ドラム10に挿入可能であり、且つ中空円筒形状を形成する、(例えば濾布シートの長手方向端部の両方の縁間を縫合することにより)周方向に閉じた濾布として形成されてよい。さもなければ、濾布30は、濾布シートの長手方向端部の両方を内部で重ね合わせることにより、濾過ドラム10に挿入可能であり、且つ濾過ドラム10に中空円筒形状を形成する、(開いた又は閉じていない)濾布シートとしても形成されてよい。加えて、濾布30は、軸端部に周縁部を備え、例えば濾布30の第1軸端部に第1周縁部と、第2軸端部に第2周縁部とを備える。図2から図6において、図1を参照すると左側である、濾布30の軸端部における一の周縁部32のみが例示される。
【0026】
濾布30は、濾過される懸濁液から固形物を保持し且つ濾過される懸濁液の液体が通過可能であるように更に構成されている。このため、濾布30は、濾過のために所定のメッシュサイズ(又は孔幅)を有する織布材、例えばプラスチック製織布材、例えばポリプロピレン織布材、から作成されるが、これらに限定されない。例えば、濾布30は、フェルト材から作成されてもよく、或いは濾布30は、編んだ濾布であってよい。基本的には、濾布の濾過特性及び材料特性は、遠心分離機における目的の利用分野やその利用に適するように選択されてよい。
【0027】
更に、本発明の各種実施形態に係る濾布30は、周縁部のうちの少なくとも一の(例えば一方のみ又は両方の)周縁部において、周辺リボン構造34を備える。周辺リボン構造34は、半径方向Rに少なくとも実質的に互いに重なりあい且つ互いに貼り合わされた(例えば互いに縫合された及び/又は互いに溶接された)少なくとも二つ(例えばちょうど二、ちょうど三、ちょうど四等)のリボン層によって形成される。濾布30が濾過ドラム10に挿入されると、周辺リボン構造34が濾過ドラム10の周辺溝19に受けとられる。リボン層は、軸方向Xにおいて互いに異なる幅を有してよく、例えば、半径方向Rにおいて外側のリボン層は、半径方向Rにおいて内側のリボン層よりも、軸方向Xにおいて狭い又は広い幅を(例えば周辺溝の断面形状に応じて)有してよい。リボン層は、更に、半径方向Rから見て等しい厚さであり、例えば濾布30と同じ厚さでよく、或いは(例えば周辺溝の断面形状に応じて)半径方向Rにおいて、濾布とは異なる及び/又は互いに異なるような厚さを有してよい。更に、周辺リボン構造の容積は、例えば、周辺溝の容積と少なくとも実質的に等しく、周辺リボン構造は、例えば、周辺溝を実質的に完全に占める。従って、周辺リボン構造34は、対応する周辺溝において、デッドスポットをできるだけ減少させ且つできるだけ正確及び/又は形状適合させた、周辺リボン構造34の嵌め合いを達成できるように、濾過ドラム10の対応する周辺溝の形状に適合されうる。
【0028】
本発明における図2に示した第1実施形態では、周辺リボン構造34は、一方が他方の上に配置された二のリボン層36及び38によって形成される。更に、図2における周辺リボン構造34は、濾布30の一の周縁部32に縫合される。例えば、二つのリボン層36及び38は、互いに縫合されてよく、その後パッケージとして濾布30に共通に縫合されてよい。しかしながら、二つのリボン層36及び38は、濾布30に逐次縫合されてもよい。しかしながら、第1実施形態の周辺リボン構造34は、溶接及び/又は接着等の異なる方法で濾布30の周縁部32に付加的に又は交互に取り付けられてもよい。本発明の第1実施形態では、周辺リボン構造34(及び/又は周辺リボン構造34のリボン層36及び38)は、濾布30と同じ織布材から作成される。これは、中でも、周辺リボン構造の耐久性が、濾布30の耐久性と少なくとも実質的に同じであるという利点があり、これにより、濾布30と比較して周辺リボン構造34の早期の摩耗や濾過ドラム10への装着不良による濾布30の破損が防止される。
【0029】
本発明における図3に示した第2実施形態では、第2実施形態に係る周辺リボン構造34’は、一方が他方の上に配置された二つのリボン層36’及び38’(例えば第1リボン層36’及び第2リボン層38’)により形成される。本発明の第2実施形態では、二つのリボン層36’及び38’は、本発明の第1実施形態について既に述べたように、縫合、溶接及び/又は接着により濾布30に取り付けられてもよい。本発明の第2実施形態における二つのリボン層36’及び38’は、濾布30とは異なる材料から作成される。更に、第2実施形態における二つのリボン層36’及び38’は、濾布30とは異なり、且つ互いに異なる材料、例えばプラスチック材、ゴム材、フェルト材等から作成されてよい。例えば、濾布30は、織物材から作成されてよいが、一方、リボン層36’及び38’は、織物材からは夫々作成されず、例えばプラスチック(例えばフラットプラスチックストリップ)、ゴム、フェルト等の、例えば一体的及び/又はモノリシックに形成されたストリップから作成される。
【0030】
本発明における図4に示した第3実施形態では、第3実施形態に係る周辺リボン構造34’’の二つのリボン層のうちの一の(例えば第1)リボン層36’’は、任意には半径方向Rにおいて最も内側の層であるが、濾布30によって、任意には濾布30の周縁部32によって形成される。第2リボン層38’’は、前述のように、例えば縫合、溶接及び/又は接着を介して濾布30に取り付けられてよい。それ故、第2リボン層38’’は、濾布30と同じ織物材から作成される。その結果、中でも、第1実施形態について前述したように、周辺リボン構造34’’の耐久性が、濾布30の耐久性と同じであるという利点をもたらす。しかしながら、第2リボン層38’’は、濾布30とは異なる材料、例えばプラスチック材、ゴム材、フェルト材等から作成されてよい。例えば、濾布30は、織物材から作成されてよいが、一方、第2リボン層38’’は、織物材からは夫々作成されず、例えばプラスチック(例えばフラットプラスチックストリップ)又はゴムの、例えば一体的及び/又はモノリシックに形成されたストリップから作成される。
【0031】
本発明における図5に示した第4実施形態では、周辺リボン構造34’’’は、三つのリボン層36’’’、38’’’、及び39により形成され、半径方向Rにおいて最も内側のリボン層39は、周辺溝の外で濾布30に向かって走行し且つ濾布30と重なる、フラップ部39’を備えており、該フラップ部を用いて周辺リボン構造34’’’は濾布30に取り付けられる(例えば縫合及び/又は溶接及び/又は接着される)。しかしながら、周辺リボン構造34’’’は、二つのリボン層のみ、即ち、半径方向Rにおいて最も内側であり且つフラップ部39’を有するリボン層39と、第2リボン層36とを備えてもよい。リボン層36’’’、38’’’、及び39は、濾布30と同じ材料から夫々形成されてよく、或いは濾布とは異なる及び/又は互いに異なる材料から夫々形成されてよい。例えば、リボン層39は濾布30と同じ織物材から形成されてよいが、一方リボン層36’’’及び38’’’は、濾布30とは異なる材料から形成されてよい。
【0032】
本発明の第5実施形態では、図6に示すように、周辺リボン構造34’’’’の少なくとも二つ(例えばちょうど二、ちょうど三、ちょうど四等)のリボン層は、周縁部32を折り返すことを介して、任意には周縁部を32折り返して縫う(又はヘムを取る)ことを介して、濾布30によって形成される。例えば、周辺リボン構造34’’’’の全てのリボン層36’’’’は、図6の場合のように、濾布30によって形成されてよい。しかしながら、一定数(例えばちょうど二、ちょうど三、ちょうど四等)のリボン層が濾布30によって形成され、更なるリボン層が濾布30によって形成されたリボン層に取り付けられてよい。全てのリボン層36’’’’が濾布30によって形成される本発明の第5実施形態に係る図6に示した周辺リボン構造34’’’’も、周辺リボン構造が濾布と同じ耐久性を有するという前述の利点を有する。
【0033】
本発明の各種実施形態に係る締付けリング40は、濾布30とは別体にて形成される。これにより、例えば締付けリング40の摩耗の場合には、締付けリングのみを高費用効率で取り替える必要があり、濾布30を使用し続けることができる。更に、締付けリング40は、閉じた状態であり、一体として形成される(即ち、締付けリングはエンドレスリングの形態で、即ちそのリング形状が非破壊的に(再び)開けないように作成される。即ち、リング形状を(再び)開くためには、締付けリングの一部が、(例えば機械的又は熱的にリングを切断するか、エンドレスリング形状を形成する接続に機械的過大応力をかけて当該接続を切断することにより)破壊される必要がある)。締付けリング40は、周辺溝に受け取られた周辺リボン構造34、34’、34’’、34’’’、及び34’’’’を、半径方向外向きに濾過ドラム10に押しつけることにより、濾布30が濾過ドラム10にしっかり保持されたままになるように、周辺溝19に対向した濾過ドラム10の内部に配置可能である。このため、締付けリング40は、周辺リボン構造34、34’、34’’、34’’’、及び34’’’’が周辺溝19と締付けリング40との間に配置されると、締付けリング40の外側41により、半径方向に作用する押圧力が周辺リボン構造34、34’、34’’、34’’’、及び34’’’’に付加されるように、例えば、濾過ドラムの周辺溝19の直径と少なくとも実質的に等しい又は僅かに小さい(外径)直径を有する。更に、締付けリング40は、半径方向且つばね弾性的に柔軟であり、半径方向外向き及び内向きに押しつけられることにより濾過ドラム10に挿入可能であり、濾過ドラム10に挿入される際に元の形状に戻ることができる。前述の締付けリング40は、濾過ドラム10に装着するための特別な道具は必要とせず、一人の人間により簡単な工程を介して簡単に手動で装着及び脱着されてよいので、製造コスト及び管理コストや濾過遠心分離機1のダウンタイムが少なくなる。
【0034】
本発明の各種実施形態に係る締付けリング40は、金属から、任意にはばね鋼から作成される締付けリングであってよい。更に、締付けリングは、モノリシックに作成されよく(例えば単一の型でエンドレスリングとして鋳造されてよく)、或いはフラット(金属)ストリップをリング状に曲げて、当接長手方向端部の縁間を溶接することを介して作成されてよい(即ち、リング形状は非破壊的に(再び)開けない)。フラットストリップの端部同士は、重なり合ってもよく、非破壊的に互いに溶接するか、リベットで留めるか、他の方法で固定されてよい。しかしながら、締付けリングは、金属とは異なる材料、例えばプラスチック又は複数の材料の組み合わせから作成することもできる。金属から作成された締付けリングを用いると、費用効率良く製造できる。更に、金属から作成された締付けリングは、濾過遠心分離機の複数の利用分野、特に製薬業に適しており、長寿命であり、再生利用可能である。
【0035】
本発明の各種実施形態に係る濾過遠心分離機1は、図1に示すように、開くように機枠45又は装置ハウジングに回動可能に接続された遠心分離機カバー43を更に備える。遠心分離機カバー43では、固液懸濁液を濾過ドラム10に供給する懸濁液供給装置55と、固形物を濾過ドラム10から排出する固形物排出装置50とが取り付けられている。遠心分離機カバー43が閉じた状態では、遠心分離機カバー43は、濾過ドラム10の開口部17を密封状態で閉めており、懸濁液供給装置55及び固形物排出装置50は、濾過ドラム10に突出して、遠心分離機カバー43と機枠45との間に密封状態で形成された空間47に濾過ドラム10が配置されるように、機枠45と共に濾過ドラム10を囲んでいる。更に、空間47に接続された液体排出装置57は、空間47の最低点の高さで機枠45に設けられる。濾過ドラム10は、駆動軸60に片側接続され、駆動軸60によって機枠45に突出状態で取り付けられる。濾過ドラム10は、駆動軸60に対して、伝達装置70、例えば図1に示したベルトドライブ、チェーンドライブ、又はギアドライブを介して、駆動装置65、例えば電気駆動から伝達されるトルクによって駆動される。しかしながら、駆動軸60は、クラッチを介して駆動装置65に接続されてもよく、又は駆動装置65の出力軸と一体形成されてもよい。
【0036】
図1に示した濾過遠心分離機の機能は、以下の通りである。濾過される固液懸濁液は、懸濁液供給装置55によって濾過ドラム10に供給される。濾過ドラム10は、駆動装置65によって回転され、これにより、固液懸濁液が濾過ドラム10の内面21に押しつけられる。固液懸濁液の液体は、内面21に取り付けられた濾布30と、濾過ドラム10とに(例えば濾過ドラム10の穴を用いて)浸透可能であり、従って、濾過ドラム10から空間47を通って遠心分離機カバー(例えば遠心分離機カバーの内壁)43及び機枠45に遠心分離できる。液体は、液体排出装置57によって空間47から最終的に排出される。固液懸濁液の固形物は、濾布30上に留まり、このような方法で固液懸濁液から分離される。最後に、液体が十分に吐出されると、濾過ケーキとして濾布30に存在する固形物は、固形物排出装置50を用いて、例えば濾過ドラム10を回転制御して固形物排出装置50を介して濾布30から固形物を剥ぎ取ることにより(例えば固形物排出装置50に設けられたピーリングナイフを用いて)、濾布30から除去され、固形物排出装置50を用いて濾過ドラム10から排出される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6