(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
産業発達に伴い電力の需要が増大し、昼間と夜間の負荷の格差及び季節間、休日間の電力使用量の格差が益々増加して、負荷率の下落が日ごとに深刻化している。
【0003】
最近、このような理由から、余剰電力を活用してピーク負荷を削減するための多様な負荷管理技術の開発が加速化しているが、このような技術のうち代表的なものが電池電力貯蔵システム(Battery Energy Storage System)である。
【0004】
電池電力貯蔵システムは、夜間の余剰電力や風力、太陽光などから発電された余剰電力を貯蔵して、ピーク負荷または系統の事故時に貯蔵された電力を放電して負荷に電力を供給する。
【0005】
これによって、最大負荷削減と負荷平準化を達成できることになる。
【0006】
特に、最近多様な新再生エネルギー源の出現により注目を集めている知能型電力網(Smart Grid)にも、このような電池電力貯蔵システムを利用することができる。
【0007】
一方、このようなエネルギー貯蔵システム(または、電池電力貯蔵システム)は、系統から電力の供給を受けたり電力を供給する複数の負荷電源と、各負荷電源を制御する複数のスレーブ電力制御器と、各スレーブ電力制御器を制御するマスター電力制御器と、を含むことができる。
【0008】
各スレーブ電力制御器は、制御する各負荷電源に電力を放出したり充電するようにする制御信号を伝送することができる。
【0009】
一方、従来の場合、各スレーブ電力制御器において制御信号を伝送する際に、各スレーブ電力制御器を制御するマスター電力制御器と、各スレーブ電力制御器との時間同期化がなされないので、各スレーブ電力制御器から出力される制御信号の出力時点が相互に異なり、各負荷電源から電力を放出する時点が異なってしまう問題点がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は、一般的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。
【0016】
従って、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例がありえることは、当業者にとって明らかである。
【0017】
以下、
図1を参照して、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵システムの構成に対して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵システムの構成を示したブロック図である。
【0019】
図1に示すように、エネルギー貯蔵システムは、マスター電力制御器200、複数のスレーブ電力制御器301、302、303、複数の負荷電源401、402、403及び系統100を含むことができる。
【0020】
また、
図1に図示されてはいないが、エネルギー貯蔵システムは、エネルギー管理システム(図示されない)及び1つ以上のPLCモジュール(図示されない)を含むことができる。
【0021】
エネルギー管理システム100は、エネルギー貯蔵システムと連結された上位系統(図示されない)から特定の制御命令を受信することができる。
【0022】
特定の制御命令がエネルギー管理システムに受信されると、エネルギー管理システムは、エネルギー管理システムの管理対象として予め設定された下位系統(PLCモジュール、複数の電力制御器及び負荷電源)に伝送する制御命令を生成することができる。
【0023】
下位系統に伝達される制御命令が生成されると、エネルギー管理システムはPLCモジュールに特定の制御命令を伝送することができる。
【0024】
PLCモジュールは、エネルギー管理システムから特定の制御命令を受信することができる。
【0025】
PLCモジュールは、特定の制御命令を受信し、特定の制御命令に基づいてPLCモジュールが管理すると予め設定された複数の電力制御器200、301、302、303にそれぞれ伝送する制御命令を生成することができる。
【0026】
予め設定された複数の電力制御器200、301、302、303にそれぞれ伝送する制御命令が生成されると、PLCモジュールは、生成された制御命令を予め設定された複数の電力制御器200、301、302、303に伝送することができる。
【0027】
1つのPLCモジュールは、少なくとも2つ以上の電力制御器を制御でき、1つのPLCモジュールは、少なくとも2つ以上の電力制御器から下位系統の状態情報(例えば、負荷電源の充電率情報)を受信することができる。
【0028】
予め設定された複数の電力制御器200、301、302、303を制御する構成要素としてPLCモジュールを用いることで、大容量エネルギー貯蔵システムの場合、各状況に応じた複雑なシークエンスが存在することがあるが、エネルギー貯蔵システム内で発生しうる複雑なシークエンスを、ユーザー(または、運営者)が容易に使用できるようにシステムプログラムに変える動作をPLCモジュールが処理することができる。
【0029】
2つ以上の電力制御モジュールを1つのPLCモジュールが制御することで、費用削減の効果がある。
【0030】
また、PLCモジュールは、エラーが既に発生した構成要素のみを別に分離し又は交替することが可能であり、これによって、より安定的かつ効率的に運転が可能である。
【0031】
また、PLCモジュールは、一例として、Master-kプログラムを設置でき、ユーザーはMaster-kプログラムが設置された状態で、PLCモジュールを動作させることができる。
【0032】
複数の電力制御器200、301、302、303は、下位系統の複数の各負荷電源401、402、403から各負荷電源401、402、403の状態情報を受信することができる。
【0033】
各負荷電源401、402、403の状態情報の例として、各負荷電源401、402、403内に含まれたバッテリーの充電状態情報を含むことができる。
【0034】
下位系統の複数の各負荷電源401、402、403から各負荷電源401、402、403の状態情報が受信されると、複数の電力制御器200、301、302、303は、受信された各バッテリーモジュールの状態情報をPLCモジュールに伝送することができる。
【0035】
また、複数の電力制御器200、301、302、303は、上位系統のPLCモジュールから各制御命令を受信することができる。
【0036】
上位系統のPLCモジュールから各制御命令が受信されると、複数の各電力制御器200、301、302、303は、下位系統の複数の負荷電源401、402、403に伝送する複数の各制御命令を生成することができる。
【0037】
各電力制御器200、301、302、303は、上位系統のPLCモジュールから受信された各制御命令に基づいて、複数の各負荷電源401、402、403に伝送する複数の各制御命令を複数の負荷電源401、402、403に伝送することができる。
【0038】
複数の各負荷電源401、402、403は、バッテリー(図示されない)を含むことができる。
【0039】
複数の各負荷電源401、402、403は、複数の各負荷電源401、402、403内に含まれたバッテリーのバッテリー状態情報を生成することができる。
【0040】
バッテリーのバッテリー状態情報が生成されると、複数の各負荷電源401、402、403は、生成された各バッテリーのバッテリー状態情報を上位系統である複数の各電力制御器200、301、302、303に伝送することができる。
【0041】
バッテリー状態情報には、各バッテリーのバッテリー充電率情報及び各バッテリーのセル(cell)情報を含むことができ、これに対しては限定する必要はない。
【0042】
以下、
図2を参照して、本発明の実施例に係るスレーブ電力制御器の間の時間同期化方法に対して詳しく説明する。
【0043】
図2は、本発明の実施例に係る各スレーブ電力制御器の間の時間同期化方法を示したフローチャートである。
【0044】
図2に示すように、複数の電力制御器のうちのマスター電力制御器200は、複数のスレーブ電力制御器301、302、303を介して各負荷電源に周期的に制御信号を伝送することができる。
【0045】
マスター電力制御器200は、PLCモジュール(図示されない)から特定の制御信号を受信し、受信した特定の制御信号に基づいて、各負荷電源を充電または放電するようにする制御信号を生成することができる。マスター電力制御器200は、生成された制御信号を複数の各スレーブ電力制御器301、302、303に伝送することができる。複数の各スレーブ電力制御器301、302、303は、伝送された各制御信号に基づいて、各負荷電源を充電または放電するようにする電圧出力命令(または、電圧入力命令)を各負荷電源401、402、403に伝送することができる。
【0046】
各負荷電源401、402、403に電圧出力命令(または、電圧入力命令)が伝送されると、複数の各負荷電源401、402、403は、電圧出力命令(または、電圧入力命令)に応じて、系統100に第1交流電圧、第2交流電圧または第3交流電圧をそれぞれ出力する(S201)。
【0047】
各負荷電源から第1、第2または第3交流電圧が出力されると、各負荷電源を制御するように設定された各スレーブ電力制御器301、302、303は、第1交流電圧、第2交流電圧または第3交流電圧のゼロクロッシング時点を検出する(S203)。
【0048】
ゼロクロッシング時点とは、出力される各交流電圧の位相値が0度(または、0ラジアン)に到達する時点を意味し、これに対しては限定しない。
【0049】
具体的に、第1負荷電源を制御するように設定された第1スレーブ電力制御器301は、第1負荷電源401から系統100に出力される第1交流電圧の第1ゼロクロッシング時点を検出することができる。また、第2負荷電源402を制御するように設定された第2スレーブ電力制御器302は、第2負荷電源402から系統100に出力される第2交流電圧の第2ゼロクロッシング時点を検出することができる。また、第3負荷電源を制御するように設定された第3スレーブ電力制御器303は、第1負荷電源403から系統100に出力される第3交流電圧の第3ゼロクロッシング時点を検出することができる。
【0050】
第1、第2、第3ゼロクロッシング時点が検出されると、各スレーブ電力制御器301、302、303は、検出された第1、第2、第3ゼロクロッシング時点に基づいて各負荷電源を制御する(S205)。
【0051】
以下、
図3を参照して、本発明の実施例に係る複数の電力制御器の間の時間同期化方法に対して詳しく説明する。
【0052】
図3は、本発明の実施例に係るマスター電力制御器及び複数のスレーブ電力制御器の時間同期化過程が示されたブロック図である。
【0053】
図3に示すように、マスター電力制御器200は、周期的に制御信号を第1スレーブ電力制御器301、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303に伝送することができる。
【0054】
制御信号が伝送されると、第1スレーブ電力制御器301は、伝送された制御信号に基づいて、系統100に交流電圧を出力するようにする電圧出力命令を伝送することができる。また、制御信号が伝送されると、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303はそれぞれ制御するように設定された第2負荷電源402及び第3負荷電源403に交流電圧出力命令を伝送することができる。
【0055】
各負荷電源401、402、403に電圧出力命令が伝送されると、第1負荷電源401、第2負荷電源402及び第3負荷電源403は、系統100に交流電力特性を持つ第1交流電圧、第2交流電圧及び第3交流電圧を伝送することができる。
【0056】
周期的に第1負荷電源401から系統100に第1交流電圧が出力されると、第1スレーブ電力制御器301は、第1負荷電源401から出力される第1交流電圧のゼロクロッシング(zero crossing)時点(または、第1ゼロクロッシング時点)を検出することができる。また、第2負荷電源402から系統100に第2交流電圧が出力されると、第2スレーブ電力制御器302は、第2負荷電源402から出力される第2交流電圧のゼロクロッシング時点(または、第2ゼロクロッシング時点)を検出することができる。同様に、第3負荷電源403から系統100に第3交流電圧が出力されると、第3スレーブ電力制御器303は、第3負荷電源403から出力される第3交流電圧のゼロクロッシング時点(または、第3ゼロクロッシング時点)を検出することができる。
【0057】
各負荷電源401、402、403から出力される交流電圧の第1、第2及び第3ゼロクロッシング時点が検出されると、各ゼロクロッシング時点を検出した第1、第2、第3スレーブ電力制御器301、302、303は、検出された第1、第2、第3ゼロクロッシング時点を、各スレーブ電力制御器内に含まれた記憶部(図示されない)に記憶することができる。
【0058】
各検出された第1、第2、第3ゼロクロッシング時点が各スレーブ電力制御器内の記憶部に記憶された状態で、各スレーブ電力制御器301、302、303は記憶された各ゼロクロッシング時点に基づいて、それぞれ制御するように設定された負荷電源401、402、403を制御することができる。また、各負荷電源401、402、403から出力される交流電圧の第1、第2及び第3ゼロクロッシング時点が検出されると、各ゼロクロッシング時点を検出した第1、第2、第3スレーブ電力制御器301、302、303は、検出された第1、第2、第3ゼロクロッシング時点をマスター電力制御器200に伝送することができる。
【0059】
以下、
図4ないし
図7を参照して、本発明の実施例に係る各電力制御器の間の時間同期化以後各負荷電源を制御する方法に対して詳しく説明する。
【0060】
図4ないし
図7は、本発明の実施例に係る時間同期化過程以後、マスター電力制御器が各スレーブ電力制御器を介して各負荷電源を同時に制御する過程が示されたブロック図である。
【0061】
まず、
図4に示すように、各ゼロクロッシング時点情報が伝送されると、マスター電力制御器200は、伝送された各ゼロクロッシング時点情報に基づいて、各スレーブ電力制御器301、302、303を同期化することができる。
【0062】
前記動作として、マスター電力制御器200は、上部系統から伝送された特定の制御信号を各スレーブ電力制御器301、302、303が受信して、第1ゼロクロッシング時点から一定時間経過後、同時に各負荷電源の制御動作を行うようにすることができ、これによって、エネルギー貯蔵システム全体の同期化を図ることができる長所がある。
【0063】
より詳しくは、マスター電力制御器200は、伝送された各ゼロクロッシング時点情報に基づいて、各スレーブ電力制御器301、302、303の動作に必要な時間情報を同期化するように、各スレーブ電力制御器301、302、303を制御することができる。
【0064】
各スレーブ電力制御器301、302、303の動作時間情報が同期化されると、各スレーブ電力制御器301、302、303は、同期化された時間情報に基づいて、各負荷電源を制御するようにする制御信号を各負荷電源401、402、403に伝送することができる。
【0065】
一例として、
図4に示すように、第1スレーブ電力制御器301、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303は、同期化された時間情報に基づいて、マスター電力制御器200から伝送された制御信号に応じて、第1負荷電源401、第2負荷電源402及び第3負荷電源403が特定動作を行うようにする制御信号の出力時点を、第1ゼロクロッシング時点から90度だけ遅延した時間に同期化して、制御信号を各負荷電源401、402、403に出力することができる。より詳しくは、各スレーブ電力制御器301、302、303は、各負荷電源401、402、403に、各負荷電源から系統100に電力を出力するようにする電圧出力命令(または、放電命令)を伝送することができ、各負荷電源401、402、403は、同期化された時間情報(第1ゼロクロッシング時点+90度)に基づいて、生成された電圧出力命令に応じて、同時にそれぞれ系統100に交流電圧を出力することができる。
【0066】
他の実施例として、第1スレーブ電力制御器301、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303は、同期化された時間情報に基づいて、マスター電力制御器200から伝送された制御信号に応じて、同時に第1負荷電源401、第2負荷電源402及び第3負荷電源403にPWM(Pulse Width Modulation)信号を伝送することができる。各負荷電源401、402、403にPWM信号が伝送されると、各負荷電源401、402、403は、伝送されたPWM信号に基づいて、各負荷電源401、402、403内のバッテリー(図示されない)に貯蔵された直流電力を交流電力に変換して、それぞれ系統100で転送することができる。
【0067】
また、
図5に示すように、他の一例として、第1スレーブ電力制御器301、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303は、同期化された時間情報に基づいて、マスター電力制御器200から伝送された制御信号に応じて、第1負荷電源401、第2負荷電源402及び第3負荷電源403が特定動作を行うようにする制御信号の出力時点を、第1ゼロクロッシング時点から180度だけ遅延した時間に同期化して、制御信号を各負荷電源401、402、403に出力することができる。
【0068】
より詳しくは、各スレーブ電力制御器301、302、303は、各負荷電源401、402、403に、各負荷電源から系統100に電力を出力するようにする電圧出力命令(または、放電命令)を伝送することができ、各負荷電源401、402、403は、同期化された時間情報(第1ゼロクロッシング時点+180度)に基づいて、生成された電圧出力命令に応じて、同時にそれぞれ系統100に交流電圧を出力することができる。
【0069】
また他の一例として、
図6に示すように、第1スレーブ電力制御器301、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303は、同期化された時間情報に基づいて、マスター電力制御器200から伝送された制御信号に応じて、第1負荷電源401、第2負荷電源402及び第3負荷電源403が特定動作を行うようにする制御信号の出力時点を、第1ゼロクロッシング時点から270度だけ遅延した時間に同期化して、制御信号を各負荷電源401、402、403に出力することができる。より詳しくは、各スレーブ電力制御器301、302、303は、各負荷電源401、402、403に、各負荷電源から系統100に電力を出力するようにする電圧出力命令(または、放電命令)を伝送することができ、各負荷電源401、402、403は、同期化された時間情報(第1ゼロクロッシング時点+270度)に基づいて、生成された電圧出力命令に応じて、同時にそれぞれ系統100に交流電圧を出力することができる。
【0070】
また他の一例として、
図7に示すように、第1スレーブ電力制御器301、第2スレーブ電力制御器302及び第3スレーブ電力制御器303は、同期化された時間情報に基づいて、マスター電力制御器200から伝送された制御信号に応じて、第1負荷電源401、第2負荷電源402及び第3負荷電源403が特定動作を行うようにする制御信号の出力時点を、第1ゼロクロッシング時点から360度だけ遅延した時間に同期化して、制御信号を各負荷電源401、402、403に出力することができる。
【0071】
より詳しくは、各スレーブ電力制御器301、302、303は、各負荷電源401、402、403に、各負荷電源から系統100に電力を出力するようにする電圧出力命令(または、放電命令)を伝送することができ、各負荷電源401、402、403は、同期化された時間情報(第1ゼロクロッシング時点+360度)に基づいて、生成された電圧出力命令に応じて、同時にそれぞれ系統100に交流電圧を出力することができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はその特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、上記実施例や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施例や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。