特許第6200103号(P6200103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200103
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20170911BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170911BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170911BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20170911BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20170911BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01L29/78 301G
   H01L29/78 301X
   H01L29/78 301S
   H01L21/28 301R
   H01L29/58 G
   H01L29/44 L
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-563004(P2016-563004)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】JP2015079195
(87)【国際公開番号】WO2017064793
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】311014428
【氏名又は名称】ユニサンティス エレクトロニクス シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Unisantis Electronics Singapore Pte Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】舛岡 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 広記
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/115305(WO,A1)
【文献】 特開2008−172164(JP,A)
【文献】 特許第5759077(JP,B2)
【文献】 特開2005−012213(JP,A)
【文献】 特開2013−021274(JP,A)
【文献】 特表2013−514663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された平面状半導体層と、
平面状半導体層上に形成された柱状半導体層と、
前記柱状半導体層を囲む第1の絶縁物と、
前記第1の絶縁物を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第1のゲートと、
前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第2のゲートと、
前記第2のゲートは前記第1のゲートの下方に位置するのであって、
前記第1の絶縁物を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第3のゲートと、
前記第3のゲートは前記第2のゲートの下方に位置するのであって、
前記第1の絶縁物を取り囲む第3の仕事関数を有する第1の金属層と、
前記第1の金属層は前記第1のゲートの上方に位置するのであって、
前記第1の金属層は前記柱状半導体層の上部と電気的に接続され
前記第1の金属層は前記第1のゲートと電気的に絶縁され
前記第1の絶縁物を取り囲む第3の仕事関数を有する第2の金属層と、を有し、前記第2の金属層は前記第3のゲートの下方に位置するのであって、
前記第2の金属層は前記柱状半導体層の下部と電気的に接続され
前記第2の金属層は前記第3のゲートと電気的に絶縁され
前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第4のゲートと、を有し、
前記第4のゲートは前記第3のゲートの下方に位置するのであって、
前記第4のゲートは前記第2の金属層の上方に位置するのであって、
前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートと前記第4のゲートは電気的に接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2の金属層は前記平面状半導体層上面に接触することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の金属層は前記平面状半導体層上に延在することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の金属層と前記柱状半導体層の上部とを接続する第3の金属層を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のゲートと前記第1の金属層の間に第2の絶縁膜を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3のゲートと前記第2の金属層との間に第3の絶縁膜を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数を有する金属からなる第5のゲートと、を有し、
前記第5のゲートは前記第4のゲートの下方に位置するのであって、
前記第5のゲートは前記第2の金属層の上方に位置するのであって、
前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートと前記第4のゲートと前記第5のゲートは電気的に接続されることを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間であることを特徴とする請求項1又は7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の仕事関数は、4.2eV以上であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間であることを特徴とする請求項1又は8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間であることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の仕事関数は、5.0eV以下であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1のゲートと前記第2のゲートとの間に形成された第4の絶縁膜と、
前記第2のゲートと前記第3のゲートとの間に形成された第5の絶縁膜と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第3のゲートと前記第4のゲートとの間に形成された第6の絶縁膜を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第4のゲートと前記第5のゲートとの間に形成された第7の絶縁膜を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のSGTでは、ゲート長が短くなると、バリスティック伝導によりドレイン電流を向上させることができることが報告されている(例えば、特許文献1を参照)。バリスティック伝導とは、チャンネル長(ゲート長)がキャリアの平均自由工程より短くなると、キャリアが散乱を受けることなく、ソースからドレインまで走行するようになる現象を示す。
【0003】
しかしながら、従来のSGTでは、シリコン柱径が5nmのとき、ゲート長10nm以下になると、サブスレッショルドスイングが増大することが報告されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
一方で、Si/SiGe/Si/SiGe、Si/Ge/Si/Ge、又はn−Si/p−Si/n−Si交互層のような、種々の交互半導体層を含む基板をエッチングし、半導体ナノワイヤ中の埋め込み量子井戸又は超格子構造体を有する半導体ナノワイヤが報告されている(例えば、特許文献3を参照)。しかしながら、Si/SiGe/Si/SiGe、Si/Ge/Si/Geでは物質間に界面が存在し、欠陥の原因となる。また、n−Si/p−Si/n−Siでは、不純物の位置制御が難しい。また、不純物自体がキャリアの散乱の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−200434号公報
【特許文献2】特開2004−356314号公報
【特許文献3】特開2011−519730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層に超格子もしくは量子井戸構造を形成する構造を有する半導体装置もしくは高速動作が可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、基板上に形成された平面状半導体層と、平面状半導体層上に形成された柱状半導体層と、前記柱状半導体層を囲む第1の絶縁物と、前記第1の絶縁物を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第1のゲートと、前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第2のゲートと、前記第2のゲートは前記第1のゲートの下方に位置するのであって、前記第1の絶縁物を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第3のゲートと、前記第3のゲートは前記第2のゲートの下方に位置するのであって、前記第1の絶縁物を取り囲む第3の仕事関数を有する第1の金属層と、前記第1の金属層は前記第1のゲートの上方に位置するのであって、前記第1の金属層は前記柱状半導体層の上部と電気的に接続するのであって、前記第1の金属層は前記第1のゲートと電気的に絶縁するのであって、前記第1の絶縁物を取り囲む第3の仕事関数を有する第2の金属層と、を有し、前記第2の金属層は前記第3のゲートの下方に位置するのであって、前記第2の金属層は前記柱状半導体層の下部と電気的に接続するのであって、前記第2の金属層は前記第3のゲートと電気的に絶縁するのであって、前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートは電気的に接続することを特徴とする。
【0008】
また、前記第2の金属層は前記平面状半導体層上面に接触することを特徴とする。
【0009】
また、前記第2の金属層は前記平面状半導体層上に延在することを特徴とする。
【0010】
また、前記第1の金属層と前記柱状半導体層の上部とを接続する第3の金属層を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記第1のゲートと前記第1の金属層の間に第2の絶縁膜を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記第3のゲートと前記第2の金属層との間に第3の絶縁膜を有することを特徴とする。
【0013】
また、前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第4のゲートと、を有し、前記第4のゲートは前記第3のゲートの下方に位置するのであって、前記第4のゲートは前記第2の金属層の上方に位置するのであって、前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートと前記第4のゲートは電気的に接続することを特徴とする。
【0014】
また、前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数を有する金属からなる第5のゲートと、を有し、前記第5のゲートは前記第4のゲートの下方に位置するのであって、前記第5のゲートは前記第2の金属層の上方に位置するのであって、前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートと前記第4のゲートと前記第5のゲートは電気的に接続することを特徴とする。
【0015】
また、前記第3の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間であることを特徴とする。
【0016】
また、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間であることを特徴とする。
【0017】
また、前記第1の仕事関数は、4.2eV以上であることを特徴とする。
【0018】
また、前記第3の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間であることを特徴とする。
【0019】
また、前記第2の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間であることを特徴とする。
【0020】
また、前記第1の仕事関数は、5.0eV以下であることを特徴とする。
【0021】
また、前記第1のゲートと前記第2のゲートとの間に形成された第4の絶縁膜と、前記第2のゲートと前記第3のゲートとの間に形成された第5の絶縁膜と、を有することを特徴とする。
【0022】
また、前記第3のゲートと前記第4のゲートとの間に形成された第6の絶縁膜を有することを特徴とする。
【0023】
また、前記第4のゲートと前記第5のゲートとの間に形成された第7の絶縁膜を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層に超格子もしくは量子井戸構造を形成する構造を有する半導体装置もしくは高速動作が可能な半導体装置を提供することができる。
【0025】
基板上に形成された平面状半導体層と、平面状半導体層上に形成された柱状半導体層と、前記柱状半導体層を囲む第1の絶縁物と、前記第1の絶縁物を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第1のゲートと、前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第2のゲートと、前記第2のゲートは前記第1のゲートの下方に位置するのであって、前記第1の絶縁物を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第3のゲートと、前記第3のゲートは前記第2のゲートの下方に位置するのであって、前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートは電気的に接続することを特徴とすることにより、
例えば、柱状半導体層を柱状シリコン層とし、前記第1の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とすると、p型シリコンの仕事関数5.15eVの近傍であるため、柱状半導体層の第1のゲートと第3のゲートに囲われた部分はp型シリコンとして機能し、n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、柱状半導体層の第2のゲートに囲われた部分はn型シリコンとして機能することにより、p型シリコンとして機能する部分とn型シリコンとして機能する部分とp型シリコンとして機能する部分とにより、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層に超格子もしくは量子井戸構造を形成することができる。
このとき、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層に超格子もしくは量子井戸構造を形成するから、p型シリコンとして機能する部分とn型シリコンとして機能する部分との間に界面は存在しないため、欠陥を減少させることができる。また、不純物を用いていないため、不純物の位置制御は不要であるし、不純物によるキャリアの散乱を抑制することができる。
【0026】
また、前記第1の絶縁物を取り囲む第3の仕事関数を有する第1の金属層と、前記第1の金属層は前記第1のゲートの上方に位置するのであって、前記第1の金属層は前記柱状半導体層の上部と電気的に接続するのであって、前記第1の金属層は前記第1のゲートと電気的に絶縁するのであって、前記第1の絶縁物を取り囲む第3の仕事関数を有する第2の金属層と、を有し、前記第2の金属層は前記第3のゲートの下方に位置するのであって、前記第2の金属層は前記柱状半導体層の下部と電気的に接続するのであって、前記第2の金属層は前記第3のゲートと電気的に絶縁することを特徴とすることにより、第3の仕事関数を有する第1の金属層と第2の金属層の金属と半導体との仕事関数差により、柱状半導体層の上部と下部に、n型半導体層として機能する領域もしくはp型半導体層として機能する領域、すなわちソースもしくはドレインとして機能する領域を形成することができる。
【0027】
例えば、柱状半導体層を柱状シリコン層とし、第1のゲートと第3のゲートの高さをバリスティック伝導が起こる程度の高さとし、前記第3の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とし、前記第1の仕事関数は、4.2eV以上の仕事関数とすると、柱状半導体層の第1のゲートと第3のゲートに囲われた部分はトランジスタのチャネルとして機能し、n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、柱状半導体層の第2のゲートに囲われた部分はn型シリコンとして機能し、柱状半導体層の第1の金属層と第2の金属層に囲われた部分はn型シリコンとして機能することにより、チャネルとして機能する部分とn型シリコンとして機能する部分とチャネルとして機能する部分とにより、バリスティック伝導を有するトランジスタを2個直列することにより、バリスティック伝導を有し且つゲート長が長いトランジスタを可能とする。
【0028】
また、前記第2の金属層は前記平面状半導体層上面に接触することを特徴とすることにより、第2の金属層に接触する部分の平面状半導体層上面は、第3の仕事関数を有する第2の金属層の金属と半導体との仕事関数差により、n型半導体層として機能する領域もしくはp型半導体層として機能する領域となるから、前記第2の金属層は前記柱状半導体層の下部と電気的に接続することができる。また、第2の金属層と柱状半導体層の下部との間はゲート絶縁膜として機能する第1の絶縁膜を隔てたのみであるから、第2の金属層と柱状半導体層の下部との間を低抵抗化することができる。すなわち、寄生抵抗を小さくすることができる。
【0029】
また、前記第2の金属層は前記平面状半導体層上に延在することを特徴とすることにより、第2の金属層は金属であるから、柱状半導体層下部と第2の金属層に接続されるコンタクトとの間を低抵抗化することができる。
【0030】
また、前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第4のゲートと、を有し、前記第4のゲートは前記第3のゲートの下方に位置するのであって、前記第4のゲートは前記第2の金属層の上方に位置するのであって、前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートと前記第4のゲートは電気的に接続することを特徴とし、前記第1の絶縁物を取り囲む前記第1の仕事関数を有する金属からなる第5のゲートと、を有し、前記第5のゲートは前記第4のゲートの下方に位置するのであって、前記第4のゲートは前記第2の金属層の上方に位置するのであって、前記第1のゲートと前記第2のゲートと前記第3のゲートと前記第4のゲートと前記第5のゲートは電気的に接続することを特徴とし、第1の仕事関数によるゲートと第2の仕事関数によるゲートが柱状半導体層を繰り返し取り囲むことにより、柱状半導体層内に超格子を形成することができる。
【0031】
また、第1の仕事関数によるゲートと第2の仕事関数によるゲートが柱状半導体層を繰り返し取り囲むことにより、バリスティック伝導を有するトランジスタを2個以上直列することにより、バリスティック伝導を有し且つゲート長が長いトランジスタを可能とする。
【0032】
また、前記第1のゲートと前記第2のゲートとの間に形成された第4の絶縁膜と、前記第2のゲートと前記第3のゲートとの間に形成された第5の絶縁膜と、を有することを特徴とし、前記第3のゲートと前記第4のゲートとの間に形成された第6の絶縁膜を有することを特徴とし、前記第4のゲートと前記第5のゲートとの間に形成された第7の絶縁膜を有することを特徴とすることにより、各ゲートを絶縁膜により分離することで、第1の仕事関数を有する金属と第2の仕事関数を有する金属が混じることを抑制し、また、第1の仕事関数を有する金属と第2の仕事関数を有する金属により化合物が形成されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】(A)は本発明に係る半導体装置の鳥瞰図である。(B)は(A)のX−X’面での断面図である。
図2】(A)は本発明に係る半導体装置の鳥瞰図である。(B)は(A)のX−X’面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置を、図1を参照しながら説明する。本実施例の半導体層は、シリコン層であることが好ましい。また、半導体層は、Ge、CといったIV族の半導体としてもよい。また、半導体層はIII族とIV族の化合物半導体としてもよい。
【0035】
基板100上に形成された平面状半導体層101と、平面状半導体層101上に形成された柱状半導体層102と、前記柱状半導体層102を囲む第1の絶縁物103と、前記第1の絶縁物103を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第1のゲート104と、前記第1の絶縁物103を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第2のゲート105と、前記第2のゲート105は前記第1のゲート104の下方に位置するのであって、前記第1の絶縁物103を取り囲む第1の仕事関数を有する金属からなる第3のゲート106と、前記第3のゲート106は前記第2のゲート105の下方に位置するのであって、前記第1の絶縁物103を取り囲む第3の仕事関数を有する第1の金属層110と、前記第1の金属層110は前記第1のゲート104の上方に位置するのであって、前記第1の金属層110は前記柱状半導体層102の上部と電気的に接続するのであって、前記第1の金属層110は前記第1のゲート104と電気的に絶縁するのであって、前記第1の絶縁物103を取り囲む第3の仕事関数を有する第2の金属層109と、を有し、前記第2の金属層109は前記第3のゲート106の下方に位置するのであって、前記第2の金属層109は前記柱状半導体層102の下部と電気的に接続するのであって、前記第2の金属層109は前記第3のゲート106と電気的に絶縁するのであって、前記第1のゲート104と前記第2のゲート105と前記第3のゲート106は電気的に接続することを特徴とする。
【0036】
第1の絶縁物103はゲート絶縁膜として機能する。第1の絶縁物103は酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、高誘電体膜のどれか、もしくは酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、高誘電体膜のどれか一つを少なくとも含むことが好ましい。
【0037】
第1のゲート104の下に第2のゲート105が接触し、第2のゲート105の下に第3のゲート106が接触していることで、前記第1のゲート104と前記第2のゲート105と前記第3のゲート106が電気的に接続している。
【0038】
例えば、柱状半導体層102を柱状シリコン層とし、前記第1の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とすると、p型シリコンの仕事関数5.15eVの近傍であるため、柱状半導体層102の第1のゲート104と第3のゲート106に囲われた部分はp型シリコンとして機能し、n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、柱状半導体層102の第2のゲート105に囲われた部分はn型シリコンとして機能することにより、p型シリコンとして機能する部分とn型シリコンとして機能する部分とp型シリコンとして機能する部分とにより、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層102に超格子もしくは量子井戸構造を形成することができる。
【0039】
このとき、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層102に超格子もしくは量子井戸構造を形成するから、p型シリコンとして機能する部分とn型シリコンとして機能する部分との間に界面は存在しないため、欠陥を減少させることができる。また、不純物を用いていないため、不純物の位置制御は不要であるし、不純物によるキャリアの散乱を抑制することができる。
【0040】
上記例では、前記第1の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間としたが、第1の仕事関数と第2の仕事関数が異なっていればよく、柱状半導体層102に超格子もしくは量子井戸構造を形成することができる。
【0041】
また、第3の仕事関数を有する第1の金属層110と第2の金属層109の金属と半導体との仕事関数差により、柱状半導体層102の上部と下部に、n型半導体層として機能する領域もしくはp型半導体層として機能する領域、すなわちソースもしくはドレインとして機能する領域を形成することができる。
【0042】
例えば、柱状半導体層102を柱状シリコン層とし、第1のゲートと第3のゲートの高さをバリスティック伝導が起こる程度の高さとし、前記第3の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とし、前記第1の仕事関数は、4.2eV以上の仕事関数とすると、柱状半導体層102の第1のゲート104と第3のゲート106に囲われた部分はトランジスタのチャネルとして機能し、n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、柱状半導体層102の第2のゲート105に囲われた部分はn型シリコンとして機能し、柱状半導体層102の第1の金属層110と第2の金属層109に囲われた部分はn型シリコンとして機能することにより、チャネルとして機能する部分とn型シリコンとして機能する部分とチャネルとして機能する部分とにより、バリスティック伝導を有するトランジスタを2個直列することにより、バリスティック伝導を有し且つゲート長が長いトランジスタを可能とする。
【0043】
前記第3の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間であることが好ましい。また、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間であることが好ましい。n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、第2の仕事関数を有する第2のゲート105に囲まれた柱状半導体層102の部分は、柱状半導体層102がシリコンであるとき、n型シリコンとして機能する。例えば、タンタルとチタンの化合物(TaTi)や窒化タンタル(TaN)が好ましい。
【0044】
また、前記第1の仕事関数は、4.2eV以上であることが好ましい。第1の仕事関数が4.2eV以上であると、第1の仕事関数を有するゲート(第1のゲート104、第3のゲート106、第5のゲート108)によりチャネルが形成されるトランジスタをn型のエンハンスメント型として動作することができる。例えば、ミッドギャップの仕事関数を持つ金属や、ルテニウム(Ru)や窒化チタン(TiN)が好ましい。
【0045】
上記例では、前記第3の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、4.0eVから4.2eVの間とし、前記第1の仕事関数は、4.2eV以上の仕事関数としたが、第1の仕事関数と第2の仕事関数が異なっていればよく、トランジスタとして機能する仕事関数であればよい。また、第3の仕事関数もトランジスタとして機能する仕事関数であればよい。
【0046】
また、pMOSとして用いるとき、前記第3の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間であることが好ましい。また、前記第2の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間であることが好ましい。p型シリコンの仕事関数5.15eVの近傍であるため、第2の仕事関数を有する第2のゲート105に囲まれた柱状半導体層102の部分は、柱状半導体層102がシリコンであるとき、p型シリコンとして機能する。例えば、ルテニウム(Ru)や窒化チタン(TiN)が好ましい。
【0047】
また、pMOSとして用いるとき、前記第1の仕事関数は、5.0eV以下であることが好ましい。第1の仕事関数が5.0eV以下であると、第1の仕事関数を有するゲート(第1のゲート104、第3のゲート106、第5のゲート108)によりチャネルが形成されるトランジスタをp型のエンハンスメント型として動作することができる。例えば、ミッドギャップの仕事関数を持つ金属や、タンタルとチタンの化合物(TaTi)や窒化タンタル(TaN)が好ましい。
【0048】
上記例では、前記第3の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間とし、前記第2の仕事関数は、5.0eVから5.2eVの間とし、前記第1の仕事関数は、5.0eV以下の仕事関数としたが、第1の仕事関数と第2の仕事関数が異なっていればよく、トランジスタとして機能する仕事関数であればよい。また、第3の仕事関数もトランジスタとして機能する仕事関数であればよい。
【0049】
前記第2の金属層109は前記平面状半導体層101上面に接触することを特徴とする。第2の金属層109に接触する部分の平面状半導体層101上面は、第3の仕事関数を有する第2の金属層109の金属と半導体との仕事関数差により、n型半導体層として機能する領域もしくはp型半導体層として機能する領域となるから、前記第2の金属層109は前記柱状半導体層102の下部と電気的に接続することができる。また、第2の金属層109と柱状半導体層102の下部との間はゲート絶縁膜として機能する第1の絶縁膜103を隔てたのみであるから、第2の金属層109と柱状半導体層102の下部との間を低抵抗化することができる。すなわち、寄生抵抗を小さくすることができる。
【0050】
また、前記第2の金属層109は前記平面状半導体層101上に延在することを特徴とすることにより、第2の金属層109は金属であるから、柱状半導体層102下部と第2の金属層109に接続されるコンタクトとの間を低抵抗化することができる。また、第2の金像層は、平面状半導体層101の外側に延在してもよい。このとき、第2の金属層は柱状半導体層下部に対する配線として使用できる。
【0051】
また、平面状半導体層101上部に拡散層を有していてもよい。また、柱状半導体層上部に拡散層を有していてもよい。
【0052】
また、前記第1の金属層110と前記柱状半導体層102の上部とを接続する第3の金属層113を有することを特徴とする。前記第1の金属層110は前記柱状半導体層102の上部と電気的に接続することができる。
【0053】
また、前記第1のゲート104と前記第1の金属層110の間に第2の絶縁膜112を有することを特徴とする。第2の絶縁膜112により、第1のゲートと第1の金属層110は電気的に絶縁できる。
【0054】
また、前記第3のゲート106と前記第2の金属層109との間に第3の絶縁膜111を有することを特徴とする。第3の絶縁膜111により、前記第3のゲート106と前記第2の金属層109は電気的に絶縁できる。
【0055】
また、前記第1の絶縁物103を取り囲む前記第1の仕事関数と異なる第2の仕事関数を有する金属からなる第4のゲート107と、を有し、前記第4のゲート107は前記第3のゲート106の下方に位置するのであって、前記第4のゲート107は前記第2の金属層109の上方に位置するのであって、前記第1のゲート104と前記第2のゲート105と前記第3のゲート106と前記第4のゲート107は電気的に接続することを特徴とし、前記第1の絶縁物103を取り囲む前記第1の仕事関数を有する金属からなる第5のゲート108と、を有し、前記第5のゲート108は前記第4のゲート107の下方に位置するのであって、前記第5のゲート108は前記第2の金属層109の上方に位置するのであって、前記第1のゲート104と前記第2のゲート105と前記第3のゲート106と前記第4のゲート107と前記第5のゲート108は電気的に接続することを特徴とし、第1の仕事関数によるゲート104、106、108と第2の仕事関数によるゲート105、107が柱状半導体層102を繰り返し取り囲むことにより、柱状半導体層102内に超格子を形成することができる。第1の仕事関数と第2の仕事関数が異なっていればよい。
【0056】
また、第1の仕事関数によるゲート104、106、108と第2の仕事関数によるゲート105、107が柱状半導体層を繰り返し取り囲むことにより、第1のゲート104と第3のゲート106と第5のゲート108の高さをバリスティック伝導が起こる程度の高さとすると、バリスティック伝導を有するトランジスタを2個以上直列することにより、バリスティック伝導を有し且つゲート長が長いトランジスタを可能とする。
【0057】
また、第1のゲート104と第3のゲート106と第5のゲート108の高さは同じであることが好ましい。また、第2のゲート105と第4のゲート107の高さは同じであることが好ましい。第1のゲート104と第3のゲート106と第5のゲート108の高さは同じであり、第2のゲート105と第4のゲート107の高さは同じであると、金属と半導体との仕事関数差によって柱状半導体層102に周期ポテンシャルを形成することができる。第1の仕事関数と第2の仕事関数が異なっていれば周期ポテンシャルを形成することができる。
【0058】
また、図2に示すように、前記第1のゲート104と前記第2のゲート105との間に形成された第4の絶縁膜214と、前記第2のゲート105と前記第3のゲート106との間に形成された第5の絶縁膜215と、を有することを特徴とし、前記第3のゲート106と前記第4のゲート107との間に形成された第6の絶縁膜216を有することを特徴とし、前記第4のゲート107と前記第5のゲート108との間に形成された第7の絶縁膜217を有することを特徴とすることにより、各ゲートを絶縁膜により分離することで、第1の仕事関数を有する金属と第2の仕事関数を有する金属が混じることを抑制し、また、第1の仕事関数を有する金属と第2の仕事関数を有する金属により化合物が形成されることを抑制することができる。
【0059】
第4の絶縁膜214、第5の絶縁膜215、第6の絶縁膜216、第7の絶縁膜217は、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、高誘電体膜のどれか、もしくは酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、高誘電体膜のどれか一つを少なくとも含むことが好ましい
【0060】
このとき、各ゲート104、105、106、107、108をコンタクトや配線を用いて電気的に接続する必要がある。
【0061】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0062】
例えば、上記実施例において、p型(p+型を含む。)とn型(n+型を含む。)とをそれぞれ反対の導電型とした半導体装置も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
100.基板
101.平面状半導体層
102.柱状半導体層
103.第1の絶縁物
104.第1のゲート
105.第2のゲート
106.第3のゲート
107.第4のゲート
108.第5のゲート
109.第2の金属層
110.第1の金属層
111.第3の絶縁膜
112.第2の絶縁膜
113.第3の金属層
214.第4の絶縁膜
215.第5の絶縁膜
216.第6の絶縁膜
217.第7の絶縁膜
図1
図2