(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の前記大径側端部から前記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部と、前記円錐台状胴部及び前記円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部と、前記円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなるコネクターと、
前記複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように前記円柱状頭部に同軸的に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変壁部と、当該環状非可変壁部の前記環状フランジ部とは反対側の環状端部から前記環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部とを、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる環状体とを備えるコネクター型接着補助器具。
前記コネクターは、前記環状フランジ部に沿い前記円錐台状胴部の外周面の少なくとも一部から外方へ突出するように形成してなる回り止め部を具備することを特徴とする請求項1に記載のコネクター型接着補助器具。
前記環状体は、前記環状壁部の前記環状非可変壁部からその内方に向けて突出するように前記環状壁部と一体に前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料で形成してなる複数の周側係合片部を備えており、
当該複数の周側係合片部は、前記環状非可変壁部の内周方向に間隔をおいて位置するように形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具。
前記複数の周側長手状係合片部は、それぞれ、前記環状非可変厚肉部の前記環状非可変薄肉部との環状境界部から当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出するロッド部と、当該ロッド部の延出端部に形成してなる球部とでもって構成されていることを特徴とする請求項7に記載のコネクター型接着補助器具。
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、前記複数の周側長手状係合片部は、それぞれ、前記環状非可変厚肉部の前記環状非可変薄肉部との環状境界部から当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出するロッド部と、当該ロッド部の延出端部に形成してなる球部とでもって、構成されていることを特徴とする請求項17に記載の接着補助システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のモルタル接着補助具において、一方の型枠が例えば木製である場合、当該一方の型枠の両面は、通常、一様な平面ではなく凹凸面となっていることが多い。従って、モルタル接着補助器具の環状支持突起が、その環状先端部にて、平面形状となっている場合や、楔状等の尖った形状となっている場合には、次のような問題が発生する。
【0010】
例えば、モルタル接着補助具の一方の型枠の対向面と当接する環状支持突起の環状先端部の形状が平面状となっている場合に、一方の型枠の対向面が凹凸面状になっていると、環状支持突起の平面状の環状先端部と一方の型枠の凹凸面状の対向面とが一様には当接し得ず、両者の間に隙間が形成されてしまう。
【0011】
これでは、生コンクリートを両型枠間に打ち込んだとき、当該生コンクリートが環状支持突起の環状先端部と一方の型枠の凹凸面状の対向面との間の隙間から環状支持突起内に漏えいしてしまい、モルタル接着補助具の環状支持突起の内部が生コンクリートから遮断できない。
【0012】
また、環状支持突起の環状先端部が横断面楔状等の尖った横断面形状となっている場合には、一方の型枠の対向面が凹凸面状ではなく平面状であるとすると、環状支持突起の尖った形状の環状先端部が、一方の型枠の平面状の対向面に食い込むように押し込まれて、一方の型枠の対向面に環状の食い込み溝を形成してしまう。
【0013】
このような環状の食い込み溝が一方の型枠の対向面に形成されると、その後の一方の型枠の再利用の際に、上述の一方の型枠の環状溝に起因して、モルタル接着補助具と一方の型枠とが一様には当接し得ず、モルタル接着補助器具の環状支持突起と一方の型枠との当接面の間に環状の食い込み溝による隙間が形成される。
【0014】
これでは、生コンクリートを両型枠間に打ち込んだとき、当該生コンクリートがモルタル接着補助具と一方の型枠との間の隙間から環状支持突起内に漏えいしてしまい、環状支持突起の内部が生コンクリートから遮断できない。
【0015】
ここで、一方の型枠の対向面が平面状ではなく凹凸面状である場合には、環状支持突起の平面状の環状先端部と一方の型枠の凹凸面状の対向面とは一様には当接し得ず、モルタル接着補助器具の環状支持突起と一方の型枠との当接面の間には、隙間と食い込み溝とが共に間欠的に形成されてしまう。
【0016】
要するに、モルタル接着補助器具の一方の型枠の対向面と当接する環状支持突起の環状先端部及び一方の型枠の対向面のうちの少なくとも一方の形状が、環状支持突起の環状先端部と一方の型枠の対向面とを一様に当接し得ない形状となっている場合には、生コンクリートが環状支持突起の環状先端部と一方の型枠の対向面との間を通り環状支持突起内に漏えいしてしまい、環状支持突起の内部が生コンクリートから遮断できない。
【0017】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、複数の係合片部をその外周から包囲する環状体の構成に工夫を凝らし、型枠の当該環状体との当接が一様に成立するようにした接着補助器具及び当該接着補助器具を備える接着補助システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題の解決にあたり、本発明に係るコネクター型接着補助器具は、請求項1の記載によれば、
大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部(110a)と、当該円錐台状胴部の上記大径側端部から上記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部(110b)と
、円錐台状胴部及び円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部(110c)と、円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部(110d)とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体に成形してなるコネクター(110)と、
複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部に同軸的に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変壁部(121、122、123)と、当該環状非可変壁部の環状フランジ部とは反対側の環状端部から環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部(126)と
を、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体
に形成してなる環状壁部(120a)を設けてなる環状体(120)とを備える。
【0019】
これによれば、コネクター型接着補助器具は、コネクターと、当該コネクターの円
柱状頭部に環状壁部にて圧入してなる環状体との2つの別部品でもって一体的に構成されている。
【0020】
当該コネクター型接着補助器具において、コネクターは、円錐台状胴部、円柱状頭部、環状フランジ部及び複数の面側係合片部でもって所定の耐光性顔料含有樹脂材料により一体
に形成されている。
【0021】
ここで、円
柱状頭部が、円錐台状胴部
の大径側端部か
ら小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出するとともに、環状フランジ部は、円錐台状胴部及び円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出している。
【0022】
従って、このように環状フランジ部の外径が円錐台状胴部及び円柱状頭部の境界部の外径よりも大きくても、円錐台状胴部が、環状フランジ部側の大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成されている。
【0023】
よって、コネクターの成形用金型が簡単な構成にて形成され得る。なお、コネクター型接着補助器具がコンクリート体に埋設されても、環状フランジ部が、コネクター型接着補助器具のコンクリート体からの抜け止めの役割を果たすので、上述のように円錐台状胴部が、環状フランジ部側の大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成されていても、コネクター型接着補助器具がコンクリート体から抜け出すことはない。
【0024】
また、モルタル壁がコンクリート体の表面に形成されても、複数の面側係合片部が、その形状でもって、円
柱状頭部の表面側にてモルタル壁との係合を良好に維持し得るので、モルタル壁のコンクリート体の表面からの剥がれが長期に亘り良好に防止され得る。
【0025】
また、環状体が、コネクターとは別部品として、環状非可変壁部及び環状可変部でもって一体に構成されている。従って、環状体の成形用金型が、上述したコネクターの成形用金型とともに簡単な構成にて形成され得る。このことは、コネクター型接着補助器具全体としての成形用金型の構成が簡単になることを意味し、コネクター型接着補助器具の生産性の向上につながる。
【0026】
ここで、環状壁の環状非可変壁部が、コネクターの複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部に同軸的に圧入されて環状フランジ部に着座しており、環状可変部が当該環状非可変壁部の環状フランジ部とは反対側の環状端部から環状フランジ部から離れる方向に突出するように形成されている。
【0027】
従って、コンクリート体の形成に先立ち、コネクター型接着補助器具が、環状体の環状可変部が、木材或いは合成樹脂からなる両型枠の一方の型枠により押圧されても、当該環状可変部は、型枠からの押圧により潰れるように変形する。従って、型枠は、環状可変部との対向面の対向部位にて当該環状可変部に一様に当接し得る。換言すれば、型枠の上記対向面が凹凸状に湾曲していても、型枠が、環状可変部との対向面の対向部位にて当該環状可変部に一様に密着して環状可変部との間に隙間を形成しない。
【0028】
これにより、その後の生コンクリートが両型枠の間にコネクター型接着補助器具を介し打ち込まれても、生コンクリートが、コネクター型接着補助器具の環状体の環状可変部と一方の型枠との間から環状体の内側に浸入することがない。従って、環状体の内側に位置するコネクターの複数の面側係合片部が、生コンクリートから良好に遮断され得る。
【0029】
また、コネクター及び環状体が所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって形成されているから、当該コネクター及び環状体は、紫外線等の外光を受けても、長期に亘り劣化することがない。
【0030】
以上によれば、コネクター型接着補助器具は、コンクリート体に対するモルタル壁の接着力(アンカー効果)を長期に亘り良好に維持し得る。
【0031】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載のコネクター型接着補助器具において、
コネクターは、環状フランジ部に沿い円錐台状胴部の外周面の少なくとも一部から外方へ突出するように形成してなる回り止め部(116)を具備することを特徴とする。
【0032】
このように、回り止め部が、円錐台状胴部及び環状フランジ部の少なくとも一方の一部から外方へ突出するように形成されているから、コネクター型接着補助器具のコンクリート体内での軸回りが良好に阻止され得る。また、回り止め部が環状フランジ部に沿い円錐台状胴部の外周面の少なくとも一部から外方へ突出するように形成されているから、コネクターの成形用金型の構成がより一層簡単になる。
【0033】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1また2に記載のコネクター型接着補助器具において、
上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料は、ナイロン6に耐光性黒色顔料を均一に含有してなることを特徴とする。
【0034】
これによれば、請求項1または2に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。特に、ナイロン6が、引っ張り力に対し良好な伸長特性を有するから、仮にモルタル壁がコンクリート体の表面が剥がれ落ちようとする事態が発生しても、コネクターの複数の面側係合片がモルタル壁の各対応内部との間の係合により伸長してモルタル壁の剥がれによる落下を未然に防止し得る。
【0035】
従って、耐光性黒色顔料によるコネクター及び環状体の耐光性と相まって、コンクリート体に対するモルタル壁の接着力を長期に亘り良好に維持し得る。
【0036】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具において、
複数の面側係合片部は、複数のロッド状湾曲片部からなり、当該複数のロッド状湾曲片部は、それぞれ、
円柱状頭部の上記延出端面から外方へ凸な湾曲状に突出するように形成されていることを特徴とする。
【0037】
これにより、モルタル壁が複数の面側係合片部と
円柱状頭部の延出端面との間にまで係合することとなり、コネクター型接着補助器具における複数の面側係合片部のモルタル壁との係合がより一層強固になり、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0038】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求
項4に記載のコネクター型接着補助器具において、
円柱状頭
部にはその上記延出端
面から当該円柱状頭部の延出基端部に向け凹状となるように複数条の凹
部(113)が互いに並行に形成されており、
上記複数のロッド状湾曲片部は、その両端部にて、上記複
数条の凹部の各々ごとに当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて
円柱状頭部の上記延出端面に形成されていることを特徴とする。
【0039】
このように複数のロッド状湾曲片部が、
円柱状頭
部にその延出端
面から当該円柱状頭部の延出基端部に向け凹状となるように互いに並行に形成した複数条の凹部に当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて
円柱状頭部
の延出端面に形成されている。従って、モルタル壁が複数のロッド状湾曲片部と
円柱状頭部の延出端面との間にも係合し得ることとなり、当該モルタル壁をコンクリート体の表面から長期に亘りより一層離脱不能に維持し得る。その結果、請求
項4に記載の発明の作用効果より一層向上され得る。
【0040】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1〜5のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具において、
環状体は、環状壁部の環状非可変壁部からその内方に向けて突出するように環状壁部と一体に上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料で形成してなる複数の周側係合片部(120b)を備えており、
当該複数の周側係合片部は、環状非可変壁部の内周方向に間隔をおいて位置す
るように形成されていることを特徴とする。
【0041】
これによれば、環状体が上述の構成にて複数の周側係合片部を備えることから、当該周側係合片部は、コネクターの複数の面側係合片部と相まって、モルタル壁との係合を行い、モルタル壁のコンクリート体の表面との接着力をより一層強化し得る。これにより、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明の作用効果をより一層向上させ得る。
【0042】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求
項6に記載のコネクター型接着補
助器具において、
環状壁
部にて、
環状非可変壁部は、円柱状頭部に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変着座部(121)と
、当該環状非可変着座部から環状フランジ部とは反対方向へ延出するように円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部(122)と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部(123)とを有してなり、
環状可変部は、環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から環状フランジ部とは反対方向に突起状に突
出するように形成されており、
複数の周側係合片部は、環状非可変厚肉部の環状非可変薄肉部との環状境界部からその周方向に亘り間隔をおくように当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出する複数の周側長手状係合片部であることを特徴とする。
【0043】
このように環状壁部の環状非可変壁部を構成することで、請求
項6に記載の発明の作用効果がより一層具体的に達成され得る。
【0044】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項7に記載のコネクター型接着補助器具において、
上記複数の周側長手状係合片部は、それぞれ、環状非可変厚肉部の環状非可変薄肉部との環状境界部から当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出するロッド部(124)と、当該ロッド部の延出端部に形成してなる球部(125)とでもって構成されていることを特徴とする。
【0045】
これによれば、複数の周側長手状係合片部が、ロッド部と球部とでもって一体に形成されている。従って、所定の耐光性顔料含有樹脂材料が、ナイロン6に耐光性黒色顔料を均一に含有してなる場合には、ナイロン6が、引っ張り力に対し良好な伸長特性を有することから、仮にモルタル壁がコンクリート体の表面が剥がれ落ちようとする事態が発生しても、環状体の複数の周側長手状係合片部がそのロッド部及び球部でもって、モルタル壁の各対応内部との間の係合により伸長してモルタル壁の剥がれによる落下を未然に防止し得る。特に、周側長手状係合片部が、球部にて、ロッド部よりもモルタル壁との係合を強固に維持するので、モルタル壁の剥がれによる落下がより一層良好に防止され得る。
【0046】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項7に記載のコネクター型接着補助器具において、環状可変部は、
上記突起状に突出する突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されていることを特徴とする。
【0047】
これにより、環状壁部が、環状可変部にて、上述のように型枠により押圧されても、環状可変部が、その突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されているから、型枠の環状可変部の突出端部との当接部位の変形等がより一層良好に防止され得る。その結果、請求項7に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0048】
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項1〜9のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具において、
円筒部(131)と、当該円筒部の軸方向一側端部と一体とな
るように同軸的に形成してなる環状鍔部(132)と
を備えるセパジョイント(130)を具備しており
、
コネクターは、円錐台状胴部の底部に同軸的に形成してなる大径孔部(115b)と、円錐台状胴部の上記底部を除く部位及び円柱状頭部に亘り上記大径孔部よりも小さな内径にて同軸的に形成してなる小径孔部(115a)とでもって構成される軸孔部(115)を設けてなり、
セパジョイントは、その円筒部にて、コネクターの上記軸孔部
のうちの上記小径軸孔部
に上記大径孔部を介し同軸的に圧入されるとともに、上
記環状鍔部にて、上記軸孔部
の上記大径軸孔部に嵌装されており、
複数の面側係合片部は
、円柱状頭部の上記延出端面
にその上記小径孔部の外周側にて形成されていることを特徴とする。
【0049】
これによれば、セパジョイントが、上記構成を有することで
、その円筒部にて、コネクターの軸孔部のうちの小径軸孔部に大径孔部を介し同軸的に圧入されるとともに、環状鍔部にて、軸孔部の大径軸孔部に嵌装される。
このようにセパジョイントがコネクタ
ーの小径孔部に圧入された状態で、コンクリート体内にてスペーサボルトに螺合されることで、コネクターがセパジョイントを介しスペーサボルト
に接続されると、コネクター型接着補助器具のスペーサボルトとの接続がしっかりとなされ、コネクター型接着補助器具のコンクリート体内での維持を強固にし得る。その結果、請求項1
〜9のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0050】
また、本発明は、請求項11の記載によれば、請求項10に記載のコネクター型接着補助器具において、
スペーサボルト(150)がセパジョイントに同軸的に形成してなる雌ねじ孔部(130a)に対し上記環状鍔部側から当該雌ねじ孔部の軸方向中間部位まで螺合され、かつ環状体が木材或いは合成樹脂材料からなる型枠に当接された状態にて、当該型枠に形成してなる貫通状孔部(F1)
を通してスペーサボルトに対向するようにセ
パジョイントの上記雌ねじ孔部に螺合される型締めボルト(140
)を、補助部品として有することを特徴とする。
【0051】
これによれば、型締めボルトを別途わざわざ準備しなくて済むので、便利である。
【0052】
また、本発明に係る接着補助システムは、請求項12の記載によれば、
コンクリート体(10)の表面に形成されるモルタル壁(M)のコンクリート体との接着を補助するためのものである。
【0053】
当該接着補助システムにおいて、
大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部(110a)と、当該円錐台状胴部の上記大径側端部から上記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部(110b)と、円錐台状胴部及び円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部(110c)と、円錐台状胴部及び環状フランジ部の少なくとも一方の一部から外方へ突出する回り止め部(116)と、
円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部(110d)とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体に成形してなるコネクター(110)と、複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部に同軸的に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変壁部(121、122、123)と、当該環状非可変壁部の環状フランジ部とは反対側の環状端部から環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部(126)と
を、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体
に形成してなる環状壁部(120a)を設けてなる環状体(120)とを備えるコネクター型接着補助器具(200、300、300A)と、
中央孔部を形成してなる基板(210、310)と、当該基板にその両面の一方の面から突出するように上記中央孔部の周囲に分散して形成される複数の面側係合片部(220a、220b)
とを有するよう
に、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体的に形成される複数のディスク型接着補助器具(200、300、300A)とを備えており、
複数のコネクター型接着補助器具は、それぞれ、円錐台状胴部にて、互いに対向して設
置してなる木材或いは合成樹脂材料からなる両型枠の一方の型枠から分散状に他方の型枠に向けて延出する複数のスペーサボルト(150)
に、環状体の環状可変
部を他方の型枠に対
向させるよう
に、連結され、か
つ、環状壁部の環状非可変壁部に向けて環状可変部を変形さ
せるように他方の型枠を押圧してなり、
複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、コンクリート体が両型枠の間に複数のスペーサボルト及び複数のコネクター型接着補助器具を介し打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された後、両型
枠を除去した上で、複数のコネクター型接着補助器具とは異なる位置に
て、コンクリート体の表面に分散状に配設され、かつ
、基板にて、上記中央孔
部を通してネジをコンクリート
体にその表面から締着することで、コンクリート体の表面に組み付けられており、
モルタル壁が、各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具を介しコンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させることで、形成されていることを特徴とする。
【0054】
このように、上述のように構成した複数のコネクター型接着補助器具及び複数のディスク型接着補助器具を備えて、複数のコネクター型接着補助器具は、それぞれ、円錐台状胴部にて、互いに対向して設置
してなる木材或いは合成樹脂材料からなる両型枠の一方の型枠から分散状に他方の型枠に向けて延出する複数のスペーサボルト
に、環状体の
環状可変部を他方の型枠に対
向させるよう
に、連結され、か
つ、環状壁部の環状非可変壁部に向けて環状可変部を変形
させるように他方の型枠を押圧してなり、
複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、コンクリート体が両型枠の間に複数のスペーサボルト及び複数のコネクター型接着補助器具を介し打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された後、両型
枠を除去した上で、複数のコネクター型接着補助器具とは異なる位置に
て、コンクリート体の表面に分散状に配設され、かつ
、基板にて、中央孔
部を通してネジをコンクリート
体にその表面に締着することで、コンクリート体の表面に組み付けられており、
モルタル壁が、各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具を介しコンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させることで、形成されている。
【0055】
これにより、複数のコネクター型接着補助器具の各々においては、環状体の環状可変部が他方の型枠からの押圧により環状非可変壁部に向けて変形しながら当該他方の型枠の環状体に対する対向面に当接する。従って、他方の型枠が例えば凹凸状に湾曲していても、環状体は、環状可変部にて、一様に、隙間を形成することなく、他方の型枠の環状体に対する対向面に当接し得る。
【0056】
よって、生コンクリートが、コネクター型接着補助器具の環状体の環状可変部と他方の型枠との間から環状体の内側に浸入することがない
。その結果、環状体の内側に位置するコネクターの複数の面側係合片部が、生コンクリートから良好に遮断され得る。本請求
項12に係る発明は、その他の請求項1に記載の発明の作用効果を達成し得るのは勿論である。
【0057】
以上のように、複数のコネクター型接着補助器具及び複数のディスク型接着補助器具が、コンクリート体とモルタル壁との間に分散して埋設されることで、各コネクター型及びディスク型の接着補助器具が、ともに、各複数の面側係合片部でもって、モルタル壁のコンクリート体に対するアンカー効果を相乗的に高め得る。このことは、各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具による相乗的な接着補助のもと、モルタル壁が、コンクリート体から剥がれ落ちたりすることなく、長期に亘り、コンクリート体の表面に対する接着を良好に維持し得ることを意味する。
【0058】
また、本発明は、請求項13の記載によれば、請求項12に記載の接着補助システムにおいて、
上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料は、6ナイロンに耐光性黒色顔料を均一に含有してなることを特徴とする。
【0059】
これによれば
、請求項12に記載の発明の作用効果を達成しつつ請求項3に記載の発明の作用効果を達成し得る接着システムの提供が可能となる。
【0060】
また、本発明は、請求項14の記載によれば、請求項12または13に記載の接着補助システムにおいて、
複数のコネクター型接着補助器具の各々において、複数の面側係合片部は、複数のロッド状湾曲片部からなり、当該複数のロッド状湾曲片部は、それぞれ
、円柱状頭部
の上記延出端面から外方へ凸な湾曲状に突出するように形成されていることを特徴とする。
【0061】
これによれば
、請求項12または13に記載の発明の作用効果を達成しつつ請求項4に記載の発明の作用効果を達成し得る接着補助システムの提供が可能となる。
【0062】
また、本発明は、請求項15の記載によれば、請求
項14に記載の接着補助システ
ムでは、
複数のコネクター型接着補助器具の各々において、
円
柱状頭部にはその上記延出端
面から当該円柱状頭部の延出基端部に向け凹状となるように複数条の凹部が互いに並行に形成されており、
複数のロッド状湾曲片部は、その両端部にて、上記複数状の凹部の各々ごとに当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて
円柱状頭部の上記延出端面に形成されていることを特徴とする。
【0063】
これによれば
、請求項14に記載の発明の作用効果を達成しつつ請求項5に記載の発明の作用効果を達成し得る接着補助システムの提供が可能となる。
【0064】
また、本発明は、請求項16の記載によれば、請求項12〜15のいずれか1つに記載の接着補助システムにおいて、
複数のコネクター型接着補助器具の各々にて、
環状体は、環状壁部の環状非可変壁部からその内方に向けて突出するように環状壁部と一体に上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料
でもって形成してなる複数の周側係合片部(120b)を備えており、
当該複数の周側係合片部は、環状非可変壁部の内周方向に間隔をおいて位置す
るように形成されていることを特徴とする。
【0065】
これによれば
、請求項12〜15のいずれか1つに記載の発明を達成しつつ請求項6に記載の発明の作用効果を達成し得る接着補助システムの提供が可能となる。
【0066】
また、本発明は、請求項17の記載によれば、請求
項16に記載の接着補助システムにおいて、
複数のコネクター型接着補助器具の各々にて、
環状壁部の環状非可変壁部は、円柱状頭部に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変着座部(121)と、環状非可変着座部から環状フランジ部とは反対方向へ延出するように円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部(122)と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部(123)とを有してなり
、
環状壁部の環状可変部は、環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から環状フランジ部とは反対方向に突起状に突
出するように形成されており、
複数の周側係合片部は、環状非可変厚肉部の環状非可変薄肉部との環状境界部からその周方向に亘り間隔をおくように当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出する複数の周側長手状係合片部であることを特徴とする。
【0067】
これによれば
、請求項16に記載の発明の作用効果を達成しつつ請求項7に記載の発明の作用効果を達成し得る接着補助システムの提供が可能となる。
【0068】
また、本発明は、請求項18の記載によれば、請求項17に記載の型接着補助システムにおいて、
複数のコネクター型接着補助器具の各々において、複数の周側長手状係合片部は、それぞれ、環状非可変厚肉部の環状非可変薄肉部との環状境界部から当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出するロッド部(124)と、当該ロッド部の延出端部に形成してなる球部(125)とでもっ
て、構成されていることを特徴とする。
【0069】
これによれば
、請求項17に記載の発明の作用効果を達成しつつ請求項8に記載の発明の作用効果を達成し得る接着補助システムの提供が可能となる。
【0070】
また、本発明は、請求項19の記載によれば、請求項17に記載の接着補助システムにおいて、複数のコネクター型接着補助器具の各々にて、環状可変部は
、上記突起状に突出する突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されていることを特徴とする。
【0071】
これによれば
、請求項17に記載の発明の作用効果を達成しつつ請求項9に記載の発明の作用効果を達成し得る接着補助システムの提供が可能となる。
【0076】
また、本発明は、請求項
20の記載によれば、請求項12に記載の接着補助システムにおいて、
複数のディスク型接着補助器具の各々にて、基板はその中央孔部の外周側にて複数条の開口部を分散状に形成してなり、
複数の面側係合片部は、複数条の開口部の各々ごとに、当該開口部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて形成されていることを特徴とする。
【0077】
これによれば、生モルタルが複数の面側係合片部と基板との間に加えて、基板の複数条の開口部内にも浸入するから、生モルタルのコンクリート体の表面に対する複数のディスク型接着補助器具の接着力がより一層強固になる。その結果、請求項12に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0078】
また、本発明は、請求項
21の記載によれば、請求項12または13に記載の接着補助システムにおいて、
複数のディスク型接着補助器具の各々にて、基板に上記一方の面から複数の面側係合片の内側にて上記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフック(220a〜220d、330a〜330d)
を設けてなり、
当該複数のフックは、それぞれ、基板の上記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部(221、331)と、当該立ち上がり部から基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部(222、332)とでもって、構成されて
、環状板を、上記各立ち上がり部によ
り包囲した状態にて上記各折れ曲がり部により基板の上記一方の面との間に挟持してなることを特徴とする。
【0079】
このように、各ディスク型接着補助器具において、上述のように構成してなる複数のフックが、各立ち上がり部により環状板を包囲した状態にて各折れ曲がり部により基板の一方の面との間に挟持するので、ネジを環状板及び基板の中央孔部を通してコンクリート体に締着すれば、各ディスク型接着補助器具がコンクリート体にしっかりと組み付けられ得る。その結果、請求項1
2または1
3に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0080】
本発明は、請求項
22の記載によれば、請求項12に記載の接着補助システムにおいて、
環状板部(260a)と、当該環状板部
の内周縁
部から当
該内周縁部に沿い間隔
をおくように位置して環状板部の表面側へ延出する複数の内側糸状片部(260c)とを有するよう
に、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体的に形成してなる環状部材(WS1)
を、複数、備えており、
複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、基板の上記中央孔部にて、
ネジを環状板部にその表面側から通してコンクリート体にその表面から締着することで、コンクリート体の表面に組み付けられていることを特徴とする。
【0081】
これによれば、環状部材が、上述のように構成した環状板部及び複数の内側糸状片部の一体的構成にて所定の耐光性顔料含有樹脂材料により形成されている。
【0082】
これに伴い、複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、基板の上記中央孔部にて、
ネジを環状板部にその表面側から通してコンクリート体にその表面から締着することで、組み付けられている
。これにより、複数のディスク型接着補助器具は、コンクリート体の表面に良好に組み付けられ得る。その結果、環状板部及び複数の内側糸状片部の一体的構成からなる上記耐光性顔料含有樹脂材料製環状部材を用いても、請求項12に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0083】
また、本発明は、請求項
23の記載によれば、請求項12に記載の接着補助システムにおいて、
環状板部(260a)と、当該環状板部の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて環状板部の表面側へ延出する複数の外側糸状片部(260d)とを有するよう
に、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、一体的に形成してなる環状部材(WS1)を、複数、備えており、
複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、基板の上記中央孔部にて、
ネジを環状板部にその表面側から通してコンクリート体にその表面から締着することで、コンクリート体の表面に組み付けられていることを特徴とする。
【0084】
これによれば、環状部材が、上述のように構成した環状板部及び複数の外側糸状片部の一体的構成にて上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料により形成されている。
【0085】
これに伴い、複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、基板の上記中央孔部にて
、ネジを環状板部にその表面側から通してコンクリート体にその表面から締着することにより、組み付けられていることで、複数のディスク型接着補助器具は、コンクリート体の表面に良好に組み付けられ得る。その結果、環状板部及び複数の外側糸状片部の一体的構成からなる上記耐光性顔料含有樹脂材料製環状部材を用いても、請求項12に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0086】
また、本発明は、請求項
24の記載によれば、請求項
22に記載の接着補助システムにおいて、
複数の環状部
材は、それぞれ、環状板部の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて環状板部の表面側へ延出する複数の外側糸状片部(260d)をも一体的に有するよう
に、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもっ
て、形成されていることを特徴とする。
【0087】
これによれば、環状部材が、上述のように構成した環状板部、複数の内側糸状片部及び複数の外側糸状片部の一体的構成にて上記耐光性顔料含有樹脂材料により形成されていることによっても、請求項
22に記載の発明の作用効果を達成し得る。
【0088】
また、本発明は、請求項
25の記載によれば、請求項
23または
24に記載の接着補助システムにおいて、
複数の環状部
材は、それぞれ、環状
板部の内周縁部から同軸的にその裏面側へ延出するように上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料により一体的に形成してなる環状ボス部(260b)を備え
て、当該環状ボス部を基板の対応中央孔部内に同軸的に嵌装するようにして、環状板部にて、基板の対応中央孔部にその表面側から載置されており、
複数のディスク型接着補助器具
は、それぞれ、ネジをその頭部にて複数の環状部材のうちの対応環状部材の環状ボス部に着座
させるとともに、当該ネジをその首下部にて上記対応環状部材の環状ボス部を通してコンクリート
体にその表
面から締着することで、当該コンクリート体に組み付けられていることを特徴とする。
【0089】
このように、複数の環状部材が、それぞれ、環状ボス部をも一体的に備え
る。これにより、当該環状ボス部が、基板の対応中央孔部に嵌装されることで、環状板部の基板に対する支持が確実になされ得る。その結果、複数のディスク型接着補助器具の各々が基板に対ししっかりと組み付けられて、請求項
23または
24に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0090】
また、本発明は、請求項
26の記載によれば、請求項12〜
25のいずれか1つに記載のモルタル用接着補助システムにおいて、
複数のディスク型接着補助器具の各々
にて、基板は
、上記中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部(213a〜213j、313a〜313k、313n)を分散して形成してなり、
複数の面側係合片部は
、それぞれ、基板の上記一方の面にて、上記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように湾曲状に形成されるととも
に当該対応長手状開口部の長手方向
には間隔をおいて形成されていることを特徴とする。
【0091】
このように、複数の面側係合片部が、複数の湾曲状係合片部として、上述のように、各対応長手状開口部に形成されることで、生モルタルが各ディスク型接着補助器具を介しコンクリート体の表面に塗布されたとき、当該生モルタルは、各ディスク型接着補助器具の複数の面側係合片部に係合するのは勿論のこと、当該複数の面側係合片部を介し対応の長手状開口部内にも入り込む。従って、各ディスク型接着補助器具によるモルタル壁に対する補助接着力がより一層強化されることで、請求項12〜
25のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0092】
また、本発明は、請求項
27の記載によれば、請求項12〜
25のいずれか1つに記載の接着補助システムにおいて、
複数のディスク型接着補助器具の各々において、基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の周側係合片部(320)を具備することを特徴とする。
【0093】
このように、複数の周側係合片部が基板の外周部から周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出することで、生モルタルが上述のごとく当該モルタル用接着補助器具を介しコンクリート体の表面に塗布されたとき、当該モルタル用接着補助器具は、複数の外周側係合片によっても、生モルタルと係合する。
【0094】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁となったとき、当該モルタル用接着補助器具は、複数の周側係合片部によっても、モルタル壁にその内部にてしっかりと係合する
。従って、当該モルタル用接着補助器具は、基板から突出する複数の係合片部でもって、モルタル壁をコンクリート体の表面に支持し得る。その結果、請求項12〜
25のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層良好に達成され得る。
【0095】
また、本発明は、請求
項28の記載によれば、請求項
27に記載の接着補助システムにおいて、
複数のディスク型接着補助器具の各々において、複数の周側係合片部は、それぞれ、基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部(321、323)と、当該基部の延出端部から折れ曲がるように延出する折れ曲がり部(322)とにより形成されていることを特徴とする。
【0096】
このように、複数の周側係合片部を構成することで、当該複数の周側係合片部は、それぞれ、基部及び折れ曲がり部でもって、モルタル壁とより一層良好に係合し得る。その結果、当該ディスク型接着補助器具がコンクリート体に対するモルタル壁の接着力をより一層強化し得る。
【0097】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明が、接着補助システムとして、コンクリート構造体10に適用される実施形態を示す。コンクリート構造体10は、例えば、鉄筋コンクリート建造物において、複数のコンクリート壁でもって構成されている。
【0100】
当該接着補助システム(以下、接着補助システムMSともいう)は、コンクリート構造体10の複数のコンクリート壁の各表面に形成してなる各モルタル壁の対応コンクリート壁に対する接着補助の役割を果たすものである。
【0101】
以下、本第1実施形態では、当該接着補助システムMSが、上述の複数のコンクリート壁のうちの
図1にて示すコンクリート壁10aの表面11に形成してなるモルタル壁Mに適用される例について説明する。
【0102】
本第1実施形態においては、モルタル壁Mは、生モルタルをコンクリート壁10aの表面11に接着補助システムMSを介し所定の厚さでもって塗布した後硬化させることにより形成されている。なお、コンクリート壁10aは、例えば、コンクリート構造体10の縦壁の一例をいう。
【0103】
当該接着補助システムMSは、複数のコネクター型接着補助器具100(
図1では4個のコネクター型接着補助器具100のみを示す)及び複数のディスク型接着補助器具200(
図1では、単一のディスク型接着補助器具200のみを示す。)を備えている。
【0104】
複数のコネクター型接着補助器具100は、それぞれ、
図2にて例示するごとく、コンクリート壁10aを形成する前の生コンクリートの状態で後述のように形成される複数の収容穴部12内に収容されて、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。なお、複数の収容穴部12は、それぞれ、
図2にて例示するごとく、コンクリート壁10aにその表面11側からコネクター型接着補助器具100を収容するように凹状に形成されている。
【0105】
複数のディスク型接着補助器具200は、それぞれ、
図3にて例示するごとく、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。
【0106】
本第1実施形態において、
図2は、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設した後のコネクター型接着補助器具100を示す。また、上述のように埋設した後のコネクター型接着補助器具100を、埋設前のコネクター型接着補助器具100に対して、特に、埋設後コネクター型接着補助器具100ともいう。これに伴い、埋設前のコネクター型接着補助器具100は、単に、コネクター型接着補助器具100ともいう。
【0107】
なお、埋設後コネクター型接着補助器具100は、後述のごとく環状突起部126が環状壁部120aに向けて押圧により変形された状態にある点で、埋設前のコネクター型接着補助器具100とは相違するものの、その他の構成においては、埋設前のコネクター型接着補助器具100と同様である。一方、接着補助器具200は、埋設前後において同様の構成を有する。
【0108】
複数の埋設後コネクター型接着補助器具100は、それぞれ、4個の埋設後コネクター型接着補助器具100ごとに、コンクリート壁10aの表面11にて、
図1にて例示するごとく、矩形状輪郭RL(後述する)の各隅角部に位置するように配設されている。このことは、複数の埋設後コネクター型接着補助器具100が、4個の埋設後コネクター型接着補助器具100ごとに、コンクリート壁10a(
図1参照)の表面11において、矩形状に配設されていることを意味する。
【0109】
本第1実施形態では、
図1にて例示するように配列してなる4個の埋設後コネクター型接着補助器具100を例に挙げると、当該4個の埋設後コネクター型接着補助器具100の各中心を矩形状に結ぶことで、矩形状輪郭RLが構成される。換言すれば、矩形状輪郭RLが、コンクリート壁10aの表面11にて、矩形状に配列してなる4個の埋設後コネクター型接着補助器具100ごとに構成される。
【0110】
一方、複数のディスク型接着補助器具200は、コンクリート壁10aの表面11にて、複数の埋設後コネクター型接着補助器具100に対し次のような位置に配設されている。
【0111】
即ち、複数のディスク型接着補助器具200は、そのディスク型接着補助器具200ごとに、
図1にて例示するごとく、各対応の矩形状輪郭RLの中心(矩形状輪郭RLの対角線上の中心)において、コンクリート壁10aの表面11に配設されている。
【0112】
このことは、複数のディスク型接着補助器具200は、一隅角部を共有する4個の矩形状輪郭RL(以下、第1矩形状輪郭RLともいう)の各々の中心に位置する4個のディスク型接着補助器具200毎に、コンクリート壁10aの表面11にて矩形状に配設されて、矩形状輪郭(以下、第2矩形状輪郭ともいう)を構成することを意味する。なお、当該第2矩形状輪郭は、第1矩形状輪郭RLと合同の形状を有する。
【0113】
本第1実施形態では、4個の埋設後コネクター型接着補助器具100でもって構成される各第1矩形状輪郭RLの各辺の長さは、例えば、D=60(cm)と設定されている(
図1参照)。従って、第1矩形状輪郭RL及び第2矩形状輪郭は、共に、正方形状である。
【0114】
これにより、複数の埋設後コネクター型接着補助器具100は、第1矩形状輪郭RLを構成する4個の埋設後コネクター型接着補助器具100毎に、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する埋設後コネクター型接着補助器具100による接着補助力を良好に発揮する役割を果たす。また、複数のディスク型接着補助器具200は、上記第2矩形状輪郭を構成する4個のディスク型接着補助器具200ごとに、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対するディスク型接着補助器具200による接着補助力を良好に発揮する役割を果たす。
【0115】
さらに、第1矩形状輪郭RLの4つの隅角部に位置する4個の埋設後コネクター型接着補助器具100と、第1矩形状輪郭RLの中心に位置するディスク型接着補助器具200とでもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力を、埋設後コネクター型接着補助器具100による接着補助力のみの場合に比べて、さらに強化する役割を果たす。
【0116】
次に、当該複数のコネクター型接着補助器具100の構成について詳細に説明する。当該複数のコネクター型接着補助器具100は、共に、同一の構成を有するように形成されている。
【0117】
そこで、複数のコネクター型接着補助器具100のうち、
図1にて図示左上側に位置する埋設後コネクター型接着補助器具100に対応する埋設前のコネクター型接着補助器具100(以下、左上側コネクター型接着補助器具100ともいう)を例に挙げその構成について説明する。
【0118】
当該左上側コネクター型接着補助器具100は、
図2及び
図4〜
図8のいずれかにて示すごとく、コネクター110、タコ足環状体120(以下、環状体120ともいう)、セパジョイント13
0(セパボルト130ともいう)及び型締めボルト140を備えている。
【0119】
ここで、左上側コネクター型接着補助器具100は、コネクター110、タコ足環状体120及びセパボルト130に加えて、型締めボルト140をも備える構成となっているが、型締めボルト140は、後述のごとく、型枠Fを型締めする際に要するのみで、型枠Fを取り外す際には当該型枠Fと共に除去されるものである。従って、埋設後のコネクター型接着補助器具100は、コネクター110、タコ足環状体120及びセパボルト130のみにより構成される。
【0120】
このようなことから、左上側コネクター型接着補助器具100は、コネクター110、タコ足環状体120及びセパボルト130からなる構成として把握してもよく、コネクター110、タコ足環状体120及びセパボルト130に型締めボルト140を補助部品として加えた構成として把握してもよい。なお、このようなことは、左上側コネクター型接着補助器具100以外のコネクター型接着補助器具100であっても同様に成立する。
【0121】
左上側コネクター型接着補助器具100において、コネクター110は、
図2、
図4〜
図11のいずれかに示すごとく、円錐台状胴部110a、円
柱状頭部110b、環状フランジ部110c及び複数の係合片部110dを備えており、これら円錐台状胴部110a、環状フランジ部110b、円
柱状頭部110c及び複数の係合片部110dは、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、
図5或いは
図9にて例示するごとく、一体的に射出成形により形成されている。
【0122】
本第1実施形態において、当該所定の耐光性顔料含有樹脂材料としては、例えば、合成樹脂材料の一種であるエンジニアリングプラスチックのうちのナイロンの一種、株式会社東レ製射出成形用非強化ナイロン6にカーボンブラック等の黒色顔料を均一に含有させたものが採用されている。当該射出成形用非強化ナイロン6を採用したのは、コンクリートがアルカリ性であることを考慮すれば、ナイロン6は、耐アルカリ性に優れ、かつ、例えば、引っ張り力に対する伸長性等に優れるためにある。
【0123】
当該射出成形用非強化ナイロン6は、例えば、次のような特性を有する。
【0124】
せん断強さ:23(℃)及び絶乾状態で76(MPa)
引張り強さ:23(℃)及び絶乾状態で87(MPa)
曲げ強さ:23(℃)及び絶乾状態で120(MPa)
曲げ弾性率:23(℃)及び絶乾状態で3.1(GPa)
また、上述のように黒色顔料を非強化ナイロン6に含有させた理由は、コネクター110及びタコ足環状体120の紫外線等による劣化を未然に防止するためである。このことは、コネクター110及びタコ足環状体120が紫外線等の光に対する良好な耐光性を有することを意味する。
【0125】
なお、上述の所定の耐光性顔料含有樹脂材料として選定したナイロン6は、東芝製射出成形用非強化ナイロン6に限ることなく、当該非強化ナイロン6と同様の特性を有するナイロンであってもよい。
【0126】
円錐台状胴部110aは、
図9〜
図11のいずれかにて示すごとく、円
柱状頭部110bと同軸的にかつ一体的に形成されており、当該円錐台状胴部110aは、その下端面111から上端面112にかけて、縦断面台形状にて末広がり状に形成されている。
【0127】
ここで、円錐台状胴部110aの下端面111の外径は、25(mm)であって、当該円錐台状胴部110aの上端面112の外径30(mm)(円
柱状頭部110bの外径に相当)よりも小さくなっている。また、円錐台状胴部110aの下端面111から上端面112(環状フランジ部110cの下面に相当)までの軸長は、10(mm)となっている。
【0128】
円
柱状頭部110bは、円錐台状胴部110aの上端面112の外径と同一の外径を有するように円
柱状に形成されており、当該円
柱状頭部110bの上端面(表面)には、複数条の凹部113が、円柱状頭部110bの表面にて、
図11にて図示上下方向に長手状に左右方向には列状となるように、横断面半長楕円状にて凹状に形成されている。
【0129】
本第1実施形態において、当該複数条の凹部113の各両隣接凹部113の幅方向中心間隔は、例えば、3.5(mm)となっている。また、複数条の凹部113の各幅は、3(mm)となっている。なお、左右外側凹部113の幅方向中心間隔は、21(mm)である。
【0130】
また、円
柱状頭部110bは、
図2、
図6及び10のいずれにて示すごとく、中空状受け板部114を有しており、当該中空状受け板部114は、コネクター110の軸孔部115に対し同軸的に対応するように円
柱状頭部11
0の円錐台状胴部110aからの延出端面の中央部にて、円柱状頭部110bの左内側凹部113、中央側凹部113及び右内側凹部113の各中央部に亘るように形成されてい
る(図6、図9或いは図11参照)。なお、中空状受け板部114の中空部の内径は、8(mm)となっている。
【0131】
ここで、軸孔部115は、円
柱状頭部110bから円錐台状胴部110aに亘る中心孔部、即ち、コネクター110の中心孔部として貫通状に形成されている。当該軸孔部115は、小径孔部115a及び大径孔部115bでもって構成されており、小径孔部115aは、
図11にて示すごとく、コネクター110にその中空状受け板部11
4の裏面から円錐台状胴部110
aの軸方向底部側中間部位にかけて同軸的に形成されている。大径孔部115bは
、図6或いは図11にて示すごとく、小径孔部115aよりも大きな内径を有しており、当該大径孔部115bは、当該小径孔部115aの中空状受け板部114とは反対側端部から延出するように円錐台状胴部110aの底部にて小径孔部115aと同軸的に形成されている。
【0132】
環状フランジ部110cは、後述するごとく、コンクリート壁10aからのコネクター110の抜け止めの役割を果たすもので、当該環状フランジ部110cは、円
柱状頭部110bの下端部から径方向に沿い外方へ環状に突出するように形成されている。従って、当該環状フランジ部110cの外径は、円
柱状頭部110bの外径よりも大きく、例えば、39(mm)となっている。また、環状フランジ部110cの厚さは、4(mm)となっている。
【0133】
また、円錐台状胴部110aと環状フランジ部110cとの境界部には、回り止め部116が設けられている(
図9参照)。当該回り止め部116は、円錐台状胴部110aの上端部から直方体形状にて環状フランジ部110cの下面に沿い径方向へ外方に向け突出するように円錐台状胴部110a及び環状フランジ部1110cと一体に上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料により形成されており、当該回り止め部116は、後述するごとくコンクリート壁10aにおけるコネクター110の回り止めの役割を果たす。
【0134】
複数の係合片部110dは、
図9或いは
図11にて示すごとく、円柱状頭部110bの表面に列状に形成されている。当該複数の係合片部110dは、それぞれ、ロッド状係合片部として、円柱状頭部110bの表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲するとともに、円柱状頭部110bの表面に形成してなる複数条の凹部113に対向するように、円柱状頭部110bと一体的に形成されている。なお、複数の係合片部110dの各の太さ(外径)及び曲率半径は、それぞれ、0.6(mm)及び1.5(mm)である。
【0135】
本第1実施形態において、複数の係合片部110dの各々は、生モルタル内に深く浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。なお、本第1実施形態において、係合片部110dは、以下、面側係合片部110dともいう。
【0136】
ここで、複数の面側係合片部110dと複数条の凹部113との対応構成について
図10を参照して説明すると、複数の面側係合片部110d及び複数条の凹部113は、円柱状頭部110bの表面の
図10にて図示上下方向中心線を基準に左右対称的に形成されている。
【0137】
複数の面側係合片部110dのうちの6つの左外側面側係合片部110dは、それぞれ、複数条の凹部113のうちの左外側凹部113の上下方向に間隔をおいて当該左外側凹部113を跨ぐようにして円柱状頭部110bの表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲状に形成されている。
【0138】
6つの左外側面側係合片部110dの右側に位置する7つの左中側面側係合片部110dは、それぞれ、左外側凹部113の右側に位置する左中側凹部113の上下方向に間隔をおいて当該左中側凹部113を跨ぐようにして円柱状頭部110bの表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲状に形成されている。なお、7つの左中側面側係合片部110dは、6つの左外側面側係合片部110dとは左中側凹部113の上下方向に位置ずれするように形成されている。
【0139】
また、7つの左中側面側係合片部110dの右側に位置する上下4つずつの左内側面側係合片部110dは、それぞれ、左中側凹部113の右側に位置する上下2つの左内側凹部113を跨ぐようにして円柱状頭部110bの表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲状に形成されている。なお、上下4つずつの左内側面側係合片部110dは、7つの左中側面側係合片部110dとは上下2つの左内側凹部113の上下方向に位置ずれするように形成されている。
【0140】
円柱状頭部110bの表面の左右方向中央部に位置する上下3つずつの中央面側係合片部110dは、それぞれ、円柱状頭部110bの表面の左右方向中央部に位置する上下2つの凹部113を跨ぐようにして円柱状頭部110bの表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲状に形成されている。なお、上下3つずつの中央面側係合片部110dは、上下4つずつの左内側面側係合片部110dとは上下2つの凹部113の上下方向に位置ずれするように形成されている。
【0141】
また、右外側凹部113、右中側凹部113及び右内側凹部113は、
図10にて図示上下方向中心線を基準に、左外側凹部113、左中側凹部113及び左内側凹部113とは左右対称的な位置にて、円柱状頭部110bの表面に形成されている。また、6つの右外側面側係合片部110d、7つの右中側面側係合片部110d及び上下4つずつの右内側面側係合片部110dは、それぞれ、
図10にて図示上下方向中心線を基準に、6つの左外側面側係合片部110d、7つの左中側面側係合片部110d及び上下4つずつの左内側面側係合片部110dとは対称的な位置にて、右外側凹部113、右中側凹部113及び右内側凹部113を跨ぐようにして円柱状頭部110bの表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲状に形成されている。
【0142】
なお、左内側、中央側及び右内側の各上下2つの凹部113は、上下4つずつの左内側面側係合片部110d、上下3つずつの中央側面側係合片部110d及び右内側面側係合片部110dと共に、
図10にて示すごとく、コネクター110の軸孔部113の円柱部110bの表面側開口部を介し上下に分かれて位置する。本第1実施形態において、複数の面側係合片部110d及び複数条の凹部113は、円柱状頭部110bの表面においてその全体に亘りモルタルとの係合力をバランスよく均一にするように形成されている。
【0143】
環状体120は、
図2及び
図4〜
図7のいずれかにて示すごとく、コネクター110の円
柱状頭部110bに同軸的に圧入により嵌装されて環状フランジ部110c上に着座する。当該環状体120は、
図2、
図4〜
図7及び
図12〜
図15のいずれかにて示すごとく、環状壁部120aと、複数の係合片部120bとを備えており、これら環状壁部120a及び複数の係合片部120bは、上述した所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、射出成形でもって一体に形成されている。
【0144】
環状壁部120aは、環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123を備えており、これら環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123は、変形不能に形成されているから、環状非可変着座部、環状非可変厚肉部、環状非可変薄肉部ともいう。ここで、環状着座部121は、環状フランジ部110cの環状上面に同軸的に着座するもので、当該環状着座部121の環状着座面部の外径は、環状フランジ部110cの外径と等しく、38.5(mm)となっている。なお、当該環状着座部121の軸長は、2.5(mm)である。
【0145】
環状厚肉部122は、環状着座部121の内周上端部から上方へ同軸的に延出するように形成されており、当該環状厚肉部122の肉厚、外径及び軸長は、それぞれ、3.2(mm)、36.1(mm)及び6.5(mm)である一方、当該環状厚肉部122の内径は、環状着座部121の内径に等しい。
【0146】
ここで、環状着座部121及び環状厚肉部122は、その各内径にて、円
柱状頭部110bの外径に対し、後述する圧入可能な構成のもと、当該円
柱状頭部110bに同軸的に圧入可能なように、29.7(mm)に設定されている。
【0147】
当該圧入可能な構成は、
図14及び
図15にて示すように、2条の環状凸部122a及び複数の浅い矩形くぼみ部122bからなるもので、2条の環状凸部122aは、環状着座部121及び環状厚肉部122の双方の内周面の軸方向中間部位から内方へ突出するように形成されている。当該2条の環状凸部122aの各突出幅は、0.2(mm)となっており、当該2条の環状凸部122aの各軸方向長さは、0.4(mm)となっている。また、当該2条の環状凸部122aの軸方向間隔は、3(mm)となっている。
【0148】
また、複数の矩形くぼみ部122bは、環状着座部121及び環状厚肉部122の双方の内周面に亘り、浅く形成されている。なお、環状着座部121及び環状厚肉部122は、円
柱状頭部110bに圧入可能であればよく、必要に応じて複数の矩形くぼみ部122bを廃止してもよい。また、環状着座部121及び環状厚肉部122の内径及び円
柱状頭部110bの外径を上述のように圧入可能に設定することで、2条の環状凸部122a及び複数の浅い矩形くぼみ部122bの双方を廃止するようにしてもよい。
【0149】
環状薄肉部123は、環状厚肉部122の外周上端部から同軸的に上方へ延出するように形成されており、当該環状薄肉部123の肉厚及び外径は、それぞれ、1.5(mm)及び36.1(mm)となっている。
【0150】
複数の係合片部120bは、
図12〜
図17のいずれかにて示すごとく、それぞれ、ロッド部124及び球部125でもって一体に形成されており、各ロッド部124は、厚肉部122の上端内周部から所定の角度の間隔にて当該厚肉部122の軸心に向け所定の角度でもって斜め上方へ一体にロッド状に延出されている。また、各球部125は、所定の球径を有して、各対応のロッド部124の延出端部に同軸的に支持されている。これにより、複数の係合片部120bの各々において、球部125は、ロッド部124の外径よりも大きな外径のもとに、ロッド部124のモルタルからの抜け防止の役割を果たすべく、モルタルと強固に係合する機能を果たす。
【0151】
ここで、複数の係合片部120bの数は16であり、これに伴い、上述の所定の角度は、22.5度となっている。また、上述の所定の角度は、薄肉部123の軸心に対し約45度であり、複数の係合片部120bの各ロッド部124の太さ(外径)は、0.6(mm)となっている。また、上述の所定の球径は、1.5(mm)となっている。なお、本実施形態において、以下、複数の係合片部120bは、それぞれ、周側係合片部120bともいう。
【0152】
また、環状壁120は、
図12〜
図15、
図17及び
図18のいずれかにて示すように、環状突起部126を備えている。環状突起部126は、環状薄肉部123の延出端面の幅方向中間部位から所定の高さだけ上方へ延出するように、縦断面山形状にて、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、当該環状薄肉部123と一体に形成されている。
【0153】
当該環状突起部126は、その基部126aにて、
図17にて示すごとく、環状薄肉部123の延出端面の幅方向中間部位に一体に形成されており、当該環状突起部126は、基部126aから縦断面山形状に上方へ延出している。
【0154】
また、当該環状突起部126の頂部126bは、その縦断面内にて、丸みをおびるように、0.1(mm)の曲率半径を有する。本第1実施形態において、環状突起部126の基部126aの幅(薄肉部123の幅方向に沿う幅)は、0.5(mm)となっている。また、上記所定の高さは、0.1(mm)〜2.0(mm)の範囲以内の値となっている。これにより、環状壁部120aにおいて、環状突起部126は、後述のごとく環状薄肉部123に向けて押圧されても、当該環状突起部126以外の環状壁部120aの構成部位の変形を招くことなく、容易に変形し得る形状となっている。なお、環状壁部120aをその半径方向にみたとき、環状突起部126は、その頂部126bにて、各周側係合片部120bの球部125の中心に対向する。
【0155】
ここで、本第1実施形態において、環状突起部126を環状壁部120aに形成した根拠について説明する。
【0156】
従来、接着補助器具をコンクリート壁に埋設するにあたっては、本明細書の冒頭にて述べたように、複数の接着補助器具を両型枠の間にて一方の型枠に当接した状態にて挟持し、当該一方の型枠を各接着補助器具に向けて押圧することで、両型枠の間に各接着補助器具を型締めする。これに伴い、一方の型枠が各接着補助器具に押し付けられる。
【0157】
このとき、当該一方の型枠が例えば木製である場合、当該一方の型枠の両面は、通常、一様な平面ではなく、凹凸面となっていることが多い。従って、例えば、接着補助器具の一方の型枠の対向面と当接する環状端部の端面形状が、平面状となっている場合には、接着補助器具の環状端部の端面とこれに対する一方の型枠の対向面とが一様には当接せず、両者の間に隙間が形成されてしまう。
【0158】
また、例えば、各接着補助器具の環状端部が、上述とは異なり、横断面楔状等の尖った断面形状となっている場合には、各接着補助器具の尖った形状の環状端部が一方の型枠にその対向面から食い込むように押し込まれて、一方の型枠の対向面に環状溝を形成すると、その後の一方の型枠の再利用の際に、上述の一方の型枠の環状溝に起因して、接着補助器具と一方の型枠とが一様には当接し得ず、接着補助器具と一方の型枠との当接面の間に環状溝による隙間が形成されてしまう。
【0159】
要するに、接着補助器具の一方の型枠の対向面と当接する環状端部及び一方の型枠の対向面のうちの少なくとも一方の形状が、接着補助器具の環状端部と一方の型枠の対向面との当接を一様に密着し得ない形状となっている場合には、生コンクリートが、接着補助器具の環状端部と一方の型枠の対向面との間を通り接着補助器具の環状壁部120a内に漏えいしてしまい、接着補助器具の環状壁部120aの内部を生コンクリートから遮断することができない。
【0160】
そこで、本第1実施形態においては、タコ足環状体120が、その環状壁部120aの環状薄肉部123の延出上端部に一体に形成してなる環状突起部126を備えるようにして、一方の型枠が、押圧されて、左上側コネクター型接着補助器具100のタコ足環状体120に押し付けられたとき、当該一方の型枠が、その対向面にて、環状壁部120aの環状薄肉部123の延出端部に向けて押し付けられる。
【0161】
ここで、タコ足環状体120の環状突起部126は、上述のような変形し易い形状に構成されていることで、当該環状突起部126は、一方の型枠の対向面の変形をも招くことなく、環状壁部120aの環状薄肉部123の延出端部に向けて容易に変形し得るようになっている。
【0162】
これにより、一方の型枠は、環状突起部126を環状薄肉部123の延出端部に向けて変形しながら、環状薄肉部123の延出端部に押圧されることとなる。その結果、変形した環状突起部126は、一方の型枠の対向面との間に隙間を形成することなく当該対向面に一様に密着し得る。これが、上述のように環状突起部126をタコ足環状体120の環状壁部120aに備えるようにした根拠である。なお、本実施形態では、環状突起部126は、環状可変部としての役割を果たす。これに対し、環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123は、環状突起部126とは異なり、変形不能であることから、それぞれ、環状非可変着座部、環状非可変厚肉部及び環状非可変薄肉部としての役割を果たす。なお、当該環状非可変着座部、環状非可変厚肉部及び環状非可変薄肉部は、まとめて、環状非可変壁部ともいう。
【0163】
セパジョイント130は、ステンレス鋼等の金属からなるもので、当該セパジョイント130は、
図5及び
図6のいずれかにて示すごとく、コネクター110の軸孔部115内に嵌装されている。セパジョイント130は円筒状のもので、当該セパジョイント130の中空部は、雌ねじ孔部130aとして形成されており、当該雌ねじ孔部130aには、スペーサボルト150(後述する)が螺合するようになっている。
【0164】
当該セパジョイント130は、
図18及び
図19のいずれかにて示すごとく、円筒部131及び鍔部132でもって構成されており、円筒部131は、
図6にて例示するごとく、コネクター110の軸孔部115の小径孔部115a内にコネクター110の胴部110a側にかけて同軸的に圧入により嵌装されている。鍔部132は、円筒部131と同軸的に一体に形成されて、コネクター110の軸孔部115の大径孔部115b内に嵌装されている。
【0165】
型締めボルト140は、ステンレス鋼等の金属からなるもので、当該型締めボルト140は、
図4〜
図6のいずれかにて示すごとく、円柱台状頭部110bの外方から中空状受け板部114の中空部を通してセパジョイント130の雌ねじ孔部130aに螺合されるものである。当該型締めボルト140は、
図20及び
図21のいずれかにて示すごとく、雄ねじ部141、鍔部142、工具把持部143及び雄ねじ部144を備えており、これら雄ねじ部141、鍔部142、工具把持部143及び雄ねじ部144は、その順序にて、雄ねじ部141から雄ねじ部144にかけて同軸的に一体に形成されている。
【0166】
ここで、雄ねじ部141は、中空状受け板部114を介しセパジョイント130の雌ねじ孔部130aに螺合されるものである。鍔部142は、雄ねじ部142をセパジョイント130の雌ねじ孔部130aに螺合させた状態で中空状受け板部114に着座するようになっている。工具把持部143は、雄ねじ部142をセパジョイント130の雌ねじ孔部130aに螺合させるにあたり、工具(図示しない)により把持されるものである。雄ねじ部144は、型締め用ナット (後述する)により螺合されるものである。
【0167】
次に、複数のディスク型接着補助器具200の構成について説明する。当該複数のディスク型接着補助器具200は、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、
図1にて示すように、4個のコネクター型接着補助器具100の中央に位置するディスク型接着補助器具200(以下、中央側接着補助器具200ともいう)を例にとり、その構成について説明する。
【0168】
当該中央側接着補助器具200は、上述した左上側コネクター型接着補助器具100の形成材料と同様の形成材料でもって、
図3及び
図22〜
図25のいずれかにて示すごとく、基板210、4個のフック220a〜220d及び複数の係合片部230を一体的に有するように、樹脂射出成形により形成されている。なお、係合片部230は、以下、面側係合片部230ともいう。
【0169】
基板210は、円板状のもので、当該基板210は、
図3及び
図22〜
図25のいずれかにて示すごとく、中央孔部211、4個の内側開孔部212a〜212d及び10個の外側開孔部213a〜213jを備えている。本第1実施形態において、基板210の厚さT及び外径Vは、それぞれ、T=1.0(mm)及びV=35(mm)に設定されている(
図24及び
図25参照)。
【0170】
中央孔部211は、基板210の中央部に円形貫通孔状に形成されている。4個の内側開孔部212a〜212dは、基板210において中央孔部211の外周部に沿い等角度間隔にて略矩形貫通孔状に形成されている。本第1実施形態において、中央孔部211の内径Uは、U=6(mm)に設定されている(
図25参照)。
【0171】
また、10個の外側開孔部213a〜213jは、それぞれ、基板210において、4個の内側開孔部212a〜212dの外周側に長手矩形貫通孔状に形成されており、当該10個の外側開孔部213a〜213jは、
図23にて示すごとく、上下方向に沿い互いに平行となるように基板210に配設されている。
【0172】
当該10個の外側開孔部213a〜213jのうち、
図23にて左右両端側に位置する両外側開孔部213a、213jは、基板210の左右方向中心線X(
図23参照)に対し左右対称的な位置にて基板210に形成され、かつ、基板210の上下方向中心線Y(左右方向中心線Xに直交する中心線)に対し上下対称的に形成されている。
【0173】
両外側開孔部213b、213iは、両外側開孔部213a、213jの内側(中央孔部211側)にて、左右方向中心線Xに対し左右対称的な位置にて基板210に形成され、かつ、上下方向中心線Yに対し上下対称的に基板210に形成されている。
【0174】
また、各両外側開孔部213c、213d及び213g、231hは、
図23にて示すごとく、両外側開孔部213b、213iの内側(中央孔部111側)にて、左右方向中心線Xに対し左右対称的な位置にて基板210に形成され、かつ、上下方向中心線Yに対し上下に対称的な位置にて基板210に形成されている。
【0175】
また、両外側開孔部213e、213fは、基板210において、左右方向中心線X上における両内側開孔部212a、212bの上下両側にて、
図23にて示すごとく、上下方向中心線Yに対し上下対称的な位置にて形成されている。
【0176】
4個のフック220a〜220dは、後述する各座金WS(
図3及び
図26参照)を支持する役割を果たすもので、当該4個のフック220a〜220dは、それぞれ、
図22或いは
図23にて示すごとく、4個の内側開孔部212a〜212dから基板210の表面側へ延出するように形成されている。本第1実施形態において、4個のフック220a〜220dのうち各両対向フックの基板210からの延出基端部間の基板210の表面に沿う間隔Wは、W=13(mm)に設定されている(
図25参照)。
【0177】
ここで、4個のフック220a〜220dのうち、フック220aは、その基端部にて、
図22或いは
図23にて示すごとく、内側開孔部212aの上側縁部に一体的に形成されている。当該フック220aは、
図3にて示すごとく、立ち上がり部221と、折れ曲がり部222とを備えており、立ち上がり部221は、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部222は、立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行に中央孔部211側へL字状に折れ曲るように延出されている。
【0178】
残りのフック220b、220c及び220dは、フック220aと同様に、立ち上がり部221及び折れ曲がり部222でもって構成されている。フック220bは、その基端部にて、
図22或いは
図23にて示すごとく、内側開孔部212bの下側縁部に一体的に形成されている。当該フック220bにおいて、立ち上がり部221は、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している(
図22参照)。また、折れ曲がり部222は、フック220bの立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行となるようにフック220a側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0179】
フック220cは、その基端部にて、
図22或いは
図23にて示すごとく、内側開孔部212cの左側縁部に形成されている。当該フック220cにおいて、立ち上がり部221は、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している(
図22参照)。また、折れ曲がり部222は、フック220cの立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行なるように中央孔部211側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0180】
また、フック220dは、その基端部にて、
図22或いは
図23にて示すごとく、内側開孔部212dの右側縁部に形成されている。当該フック220dにおいては、立ち上がり部221が、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している(
図22参照)。また、折れ曲がり部222は、フック220dの立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行となるようにフック220c側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0181】
以上のように構成した4個のフック220a〜220dは、その各折れ曲がり部222と中央孔部211との間にて座金WS(
図3参照)を挟持して支持するようになっている。
【0182】
複数の面側係合片部230は、
図22、
図23のいずれかにて示すごとく、左右両側係合片部群230a及び上下両側係合片部群230bを構成する。左右両側係合片部群230aは、
図23において、左右方向中心線Xに対し互いに左右対称的な構成にて基板210に形成されている。
【0183】
当該左右両側係合片部群230aにおいて、左側係合片部群230aは、
図23にて示すごとく、左側に位置する5個の面側係合片部230(左側係合片部230)を有する。当該5個の左側係合片部230は、
図23にて示すごとく、外側開孔部213aの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213aを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213aから基板210の表面の上方へ半ループ状に突出するように形成されている。本第1実施形態においては、各面側係合片部230は、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0184】
また、左側係合片部群230aは、5個の左側係合片部230の内側(中心孔部211側)に位置する11個の左内側係合片部230を有しており、当該11個の左内側係合片部230は、
図23にて示すごとく、外側開孔部213aの右側に位置する外側開孔部213bの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、当該外側開孔部213bを左右方向に跨ぐようにして、
図8にて示すごとく、当該外側開孔部213bから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0185】
一方、右側係合片部群230aは、左側係合片部群230aの5個の左側係合片部230及び11個の左内側係合片部230にそれぞれ対応する5個の右側係合片部230及び11個の右内側係合片部230でもって構成されている。
【0186】
ここで、右側係合片部群230aの5個の右側係合片部230は、
図23にて示すごとく、基板210の左右方向中心線Xを基準として、左側係合片部群230aの5個の左側係合片部230とは対称的な位置にて、外側開孔部213jの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213jを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213jから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0187】
また、右側係合片部群230aの11個の右内側係合片部230は、
図23にて示すごとく、左右方向中心線Xに対し、左側係合片部群230aの11個の左内側係合片部230とは左右対称的な位置にて、外側開孔部213iの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213jを左右方向に跨ぐようにして、
図8にて示すごとく、当該外側開孔部213iから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0188】
上下両側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、上下方向中心線Yに対し互いに上下対称的な構成にて基板210に形成されている。
【0189】
当該上下両側係合片部群230bにおいて、上側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、基板210の左右方向中央(左右方向中心線Xに対応)にて、3個の中央側係合片部230を有しており、当該3個の中央側係合片部230は、
図10にて示すごとく、外側開孔部213eの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213eを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213eから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0190】
また、上側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、3個の中央側係合片部230の左側に位置する4個の中央左側係合片部230を有しており、当該4個の中央左側係合片部230は、外側開孔部213cの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、
図23にて示すごとく、外側開孔部213cを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213cから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0191】
また、上側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、左右方向中心線Xに対し4個の中央左側係合片部230とは対称的な位置にある4つの中央右側係合片部230を有しており、当該4個の中央右側係合片部230は、
図23にて示すごとく、外側開孔部213gの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213gを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213gから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0192】
また、下側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、基板210の左右方向中央にて、3個の中央側係合片部230を有しており、当該3個の中央側係合片部230は、
図10にて示すごとく、外側開孔部213fの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213fを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213fから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0193】
また、下側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、3個の中央側係合片部230の左側に位置する4個の中央左側係合片部230を有しており、当該4個の中央左側係合片部230は、
図23にて示すごとく、外側開孔部213dの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213dを左右方向に跨ぐようにして、
図22にて示すごとく、当該外側開孔部213dから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0194】
また、下側係合片部群230bは、
図23にて示すごとく、左右方向中心線Xに対し4個の中央左側係合片部230とは対称的な位置にある4つの中央右側係合片部230を有しており、当該4個の中央右側係合片部230は、
図23にて示すごとく、外側開孔部213hの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213hを左右方向に跨ぐようにして、
図8にて示すごとく、当該外側開孔部213hから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。なお、本実施形態において、各係合片部230の頂部の基板210の裏面からの高さHは、H=3(mm)に設定されている(
図24参照)。
【0195】
本実施形態では、複数の係合片部230は、以上のような構成により、基板210の表面の全体に亘りモルタルとの係合力がバランスよく均一になるように配置形成されている。
【0196】
上述のように構成された中央側接着補助器具200は、
図3にて示すごとく、基板210を、その裏面にて、コンクリート壁10aの表面に当接するとともに、コンクリートネジSCを、その首下部にて、4個のフック220a〜220dの各折れ曲がり部222と基板210の中央孔部211との間に挟持してなる座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通して、コンクリート壁10aに締着することで、コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に埋設されている。
【0197】
以上のように構成した本第1実施形態において、モルタル壁Mを、接着補助システムMSによる接着補助のもとに、コンクリート構造体10の複数のコンクリート壁に接着する例について、
図27にて示す工程図に基づき説明する。
【0198】
ここでは、モルタル壁Mを、
図1に示す構成において、接着補助システムMSによる接着補助のもとに、上記複数のコンクリート壁のうちのコンクリート壁10aに接着する例について説明する。
【0199】
まず、
図27の型枠設置工程S1において、
図28にて示す両コンクリート型枠F(
図28では、一方のコンクリート型枠Fのみを示す)を互いに対向するように組み立てて設置する。なお、以下、コンクリート型枠Fは、型枠Fともいう。
【0200】
ついで、スペーサボルト及びコネクター型接着補助器具組み付け工程S2において、予め準備した複数のスペーサボルト150及び複数のコネクター型接着補助器具100(埋設前のコネクター型接着補助器具100)のうちの4本のスペーサボルト150及び4個のコネクター型接着補助器具100が、両型枠Fの間に組み付けられる。
【0201】
ここでは、4本のスペーサボルト150及び4個のコネクター型接着補助器具100が、次のようにして、互いに対向する両型枠Fに対しその間隔を一定間隔にするように組み付けられる。
【0202】
4個のコネクター型接着補助器具100のうち、上述した左上側コネクター型接着補助器具100を例に挙げると、上述した4本のスペーサボルト150のうち左上側コネクター型接着補助器具100に対する対応スペーサボルト150が、その一側軸方向雄ネジ部にて、左上側コネクター型接着補助器具100のセパボルト130に締着される。
【0203】
然る後、このように螺着された対応スペーサボルト150及び左上側コネクター型接着補助器具100が、
図28にて例示するごとく、両型枠Fの間にて、その一方の型枠Fに形成してなる貫通孔部F1(
図28参照)に同軸的に対応するように、保持される。
【0204】
次の型枠締め付けボルト締着工程S3にて、上述のような保持状態において、左上側コネクター型接着補助器具100の補助部品としての型枠締め付けボルト140が、一方の型枠Fの貫通孔部F1に挿通されて、一対の端太材160a及びいわゆるフォームタイ(登録商標)である型枠緊張結金具160bを介し型締め用ナット160cに係脱可能に螺着される。
【0205】
ここで、当該ナット160cは、型枠緊張結金具160b及び一対の端太材160aを介し、一方の型枠Fを、左上側コネクター型接着補助器具100に向けて押圧するように、対応型枠締め付けボルト140との間で螺合調整される。なお、対応スペーサボルト150は、その他側軸方向雄ネジ部にて、他方の型枠Fに締着される。
【0206】
これにより、左上側コネクター型接着補助器具100及び対応スペーサボルト150は、一方の型枠Fの貫通孔部F1に対応する位置にて、両型枠Fに保持され得る。なお、一方の型枠Fの貫通孔部F1の形成部位は、コンクリート壁10aのうちの第1矩形状輪郭RL(
図1参照)の左上側隅角部に対応する。
【0207】
上述のように一方の型枠Fが左上側コネクター型接着補助器具100に向けて押圧されると、当該一方の型枠Fがその内面のうち左上側コネクター型接着補助器具100の環状壁部120aの環状突起部126に対応する部位にて当該環状突起部126に押し付けられる。
【0208】
なお、一方の型枠Fを介するナット160cのコネクター型接続補助器具100に対する押圧力は、約200(kgf/cm
2)、即ち、19.6(MPa)に達するものの、この押圧力は、環状壁部120aにより受け止められるため、各面側係合片部120が押圧力でもって潰されることはない。
【0209】
しかして、環状突起部126が上述のごとく変形し易いように形成されていることから、当該環状突起部126は、一方の型枠Fによる押圧力に伴い、押しつぶされるように環状薄肉部123の延出端部に向けて変形していく。
【0210】
これに伴い、一方の型枠Fの内面のうち環状突起部126との当接部位にて変形することなく、当該一方の型枠Fがその内面にて環状壁部120aの環状薄肉壁部の環状延出端部に、変形環状突起部126を介し、一様に密着当接し得る。
【0211】
このとき、一方の型枠Fが木製或いは合成樹脂材料製であるために、当該一方の型枠Fの内面が一様な平面状にはならず、例えば、凹凸状に湾曲していても、上述のように環状突起部126が押しつぶされるように変形していくことから、一方の型枠Fの内面のうち環状突起部126との当接部位が変形することはない。このようなことは、環状突起部126の先端部が、丸みを帯びた横断面形状となっていることから、より一層、一方の型枠Fの内面のうち環状突起部126との当接部位の変形が抑制され得る。このことは、一方の型枠Fの再利用の繰り返しが可能であることを意味する。
【0212】
然る後、上述のように一方の型枠Fがその内面にて環状壁部120aの環状薄肉壁部の環状延出端部に、環状突起部126を介し、一様に当接し得ることで、一方の型枠Fと環状突起部126との間に隙間ができることがない。
【0213】
なお、一方の型枠Fを介するナット160cのコネクター型接続補助器具100に対する押圧力は、約200(kgf/cm
2)、即ち、19.6(MPa)に達するものの、この押圧力は、環状壁部120aの環状突起部126以外の部位により受け止められるため、各面側係合片部110dや各周側係合片部120bが押圧力でもって潰されることはない。
【0214】
型枠締め付けボルト締着工程S3の処理後、生コンクリート打ち込み工程S4において、生コンクリートが両型枠Fの間に打ち込まれる。これに伴い、生コンクリートが、両型枠Fの間に流入する。なお、生コンクリートとは、いまだ硬化していないコンクリートをいう。
【0215】
このとき、左上側コネクター型接着補助器具100の複数の面側係合片部110d及び複数の周側係合片部120bは、コネクター110の円柱状頭部110b、環状壁部120a及び一方の型枠Fにより囲われる領域内に密封されているため、生コンクリートが環状壁部120aの環状突起部126と一方の型枠Fの内面との間から上記領域内に漏れて入り込むことはない。これにより、複数の面側係合片部110d及び複数の周側係合片部120bは、生コンクリートから確実に隔離され得る。
【0216】
上述のごとく、生コンクリートが両型枠F間に打ち込まれることにより、当該生コンクリートが,両型枠の間の空間領域のうち左上側コネクター型接着補助器具100を除く領域に充満することとなる。
【0217】
然る後、次の生コンクリート硬化待ち工程S5において、両型枠F間に充満している生コンクリートが硬化するまで所定の待ち時間の間待つ。このようにして生コンクリートが硬化すると、コンクリート壁10aが形成される。このとき、コンクリート壁10aには、左上側コネクター型接着補助器具100を収容してなる収容穴部12が形成されている。
【0218】
次の型枠締め付けボルト取り外し工程S6において、ナット160cが型枠締め付けボルト140から離脱される。然る後、一対の端太材160a及び型枠緊張結金具160bが型枠締め付けボルト140から離脱されるとともに、型枠締め付けボルト140がセパジョイント130から離脱される。
【0219】
このとき、型枠締め付けボルト140を回動して離脱させることになるが、コネクター110の回り止め部116が、コンクリート壁10a内にその収容穴部12の周壁部から係合することにより、回動不能に維持されている。このため、コネクター型接着補助器具100が、型枠締め付けボルト140の回動に付随して共回りすることはない。また、コネクター110の環状フランジ部110cが、
図28にて示すごとく、コンクリート壁10aのうちの収容穴部12の周壁部位内に保持されているため、コネクター型接着補助器具100の収容穴部12からの脱出が確実に防止され得る。
【0220】
なお、以上のような工程の処理は、
図1の4つのコネクター型接着補助器具100のうちの各残りのコネクター型接着補助器具100についても、同様になされる。
【0221】
ついで、型枠取り外し工程S7において、両型枠Fが、コンクリート壁10aから取り外される。これに伴い、コンクリート壁10aが、
図29にて示すごとく、その収容穴部12内に左上側コネクター型接着補助器具100を収容した状態で、両型枠Fから解放される。このとき、左上側コネクター型接着補助器具100は、セパボルト130により、収容穴部12内にて、スペーサネジ150の一方の軸方向雄ネジ部により支持されている。
【0222】
ついで、ディスク型接着補助器具組み付け工程S8において、複数のディスク型接着補助器具200のうちの上記中央側接着補助器具200が、次のようにして、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0223】
即ち、中央側接着補助器具200が、基板210にて、コンクリート壁10aの表面11のうち第1矩形状輪郭RLの中央に対する対応部位に設置される(
図1及び
図30参照)。このとき、基板210は、その裏面にて、
図30にて示すごとく、複数の面側係合片部230及び4個のフック220a〜220dを外方に向け突出させるように、コンクリート壁10aの表面11に設置される。
【0224】
このような設置状態において、
図26に示す座金WSが、
図30にて示すごとく、基板210のうち中央孔部211を中心とする環状部位(以下、中央環状部位Pともいう)上に4個のフック220a〜220dを介し設置される。
【0225】
ここでは、座金WSが、各フック220a〜220dをその弾力に抗して折れ曲がり部222にて押し広げるようにして、中央環状部位P上に設置される。このため、座金WSが、各フック220a〜220dの内側にて当該各フック220a〜220dの折れ曲がり部222と基板210の環状中央部位Pとの間に挟持される。
【0226】
本第1実施形態において、座金WSは、平座金として、例えば、ステンレススチールでもって環状に形成されており、当該座金WSの厚さZ、内径Ri及び外径Roは、それぞれ、Z=0.7(mm)、Ri=6(mm)及びRo=13(mm)に設定されている(
図26参照)。なお、中央環状部位Pは、各フック220a〜220dの立ち上がり部221の基板210からの延出基端部の内側(中央孔部211側)において基板210に形成される環状領域をいう。
【0227】
上述のように座金WSを挟持した後、コンクリートネジSCが、
図30にて示すごとく、その首下部にて、座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通してコンクリート壁10aに締着される。
【0228】
この締着は、電気工具(図示しない)によりコンクリート壁10aに座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通して下孔部を形成した後に、コンクリートネジSCをその首下部にて座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通して上記下孔部に締着することで行われる。
【0229】
このような締着状態においては、座金WSの内径Riが基板210の中央孔部211の内径Vと同一であることから、コンクリートネジSCは、その頭部にて、座金WSを基板210の中央孔部211の外周部上にしっかりと保持し得る。従って、基板210は、座金WS及びコンクリートネジSCによってコンクリート壁10aに安定状態にてしっかりと組み付けられ得る。
【0230】
以上のようにして4個のコネクター型接着補助器具100及びディスク型接着補助器具200(中央側接着補助器具200)のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、
図2及び
図3にて示すごとく、所定の厚さにて、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。なお、生モルタルとは、未だ硬化していないモルタルをいう。
【0231】
このとき、当該塗布は、4個のコネクター型接着補助器具100及びディスク型接着補助器具200をコンクリート壁10aの表面上にて覆うようになされる。従って、各コネクター型接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、ディスク型接着補助器具200が、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設されることとなる。
【0232】
これに伴い、生モルタルは、各コネクター型接着補助器具100の環状壁部120aの内部に浸入する。ついで、このように浸入した生モルタルは、さらに、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部110dを介しコネクター110の円柱状頭部110bの表面(延出端面)に向けて浸入する。
【0233】
ここで、上述のように複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部110dを介しコネクター110の円柱状頭部110bの延出端面に向けて浸入する生モルタルは、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120の各々の間を通り円柱状頭部110bの延出端面に達する。
【0234】
また、このように円柱状頭部110bの延出端面に達する生コンクリートは、円柱状頭部110bの延出端面に形成した各凹部113内にも達する。このことは、生コンクリートが,互いに対向する面側係合片部110dと凹部113の内面との間にも行き亘ることを意味する。従って、複数の面側係合片部110dと円柱状頭部110bの延出端面との間に浸入する生モルタルの量は、円柱状頭部110bの延出端面に複数の凹部113を形成したことで、増大する。
【0235】
また、ディスク型接着補助器具200においては、上述のように生モルタルが塗布されると、当該生モルタルは、複数の面側係合片部230を介し基板210の表面に達する。ここで、このように複数の面側係合片部230を介し基板210の表面に達する生モルタルは、互いに隣り合う各両面側係合片部230の間を通り基板210の複数の外側開孔部213a〜213jの各内部に行き亘る。このことは、ディスク型接着補助器具200による生モルタルのコンクリート壁10aとの接着がより一層強化されることを意味する。
【0236】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化するまで所定の待ち時間の間待つ。これに伴い、当該生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0237】
以上説明したように、本第1実施形態では、接着補助システムが、上述のように構成した複数のコネクター型接着補助器具100及び複数のディスク型接着補助器具200を備える。ここで、複数のコネクター型接着補助器具100が、それぞれ、上述のように環状体120の環状壁部120aをコネクター110の円
柱状頭部110bに圧入した状態において、各環状壁部120aの環状突起部126にて両型枠Fの一方の型枠に対向するように、各セパジョイント130でもって、当該一方の型枠側から他方の型枠側に向けて延出する複数のスペーサボルト150に連結される。また、複数のコネクター型接着補助器具100が、各環状壁部120aにて、各対応の環状突起部126を押しつぶすように変形させながら当該一方の型枠を介し各対応のコネクター110側へ押圧される。なお、このような押圧力は、環状壁部120aを介し環状フランジ部110bにより受承される。
【0238】
これにより、複数のコネクター型接着補助器具100の各々においては、上述した環状突起部126の変形が、環状壁部120aのうちの環状突起部126以外の構成部位の変形及び一方の型枠Fの環状壁部120aに対する対向面の部分的変形を伴うことなく、なされることで、環状壁部120aが、コネクター110及び一方の型枠と共に、密閉空間を構成して、当該密閉空間内に複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部110dを閉じ込める。
【0239】
従って、上述のように生コンクリートを両型枠Fの間に打ち込んでも、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bが当該生コンクリートから良好に隔離されるので、当該生コンクリートが複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bに達することがない。このことは、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bが、生コンクリートで汚れることなく、生モルタルと良好に密着し得ることを意味する。
【0240】
また、環状壁部120aのうち、環状突起部126を除く部位は、上述のごとく、一方の型枠による押圧によって変形することはないので、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bは、その原形状を、上述の密閉空間内にて、良好に維持し得る。
【0241】
従って、上述のように、生モルタルがコンクリート壁10aの表面11に複数のコネクター型接着補助器具100を介し塗布されることで、当該生モルタルは、各コネクター型接着補助器具100の複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bに良好に係合し得る。このことは、各コネクター型接着補助器具100の複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bは、生モルタルの硬化後に形成されるモルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合し得ることを意味する。
【0242】
その結果、複数のコネクター型接着補助器具100は、その複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部110dでもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着を良好に補助し、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)を良好に高め得る。
【0243】
また、複数のコネクター型接着補助器具100は、上述のように両型枠Fを取り外すことで除去した後も、各セパボルト130にて、対応の各スペーサボルト150に連結したまま、取り外すことなく、そのまま、継続的に維持される。従って、当該複数のコネクター型接着補助器具100の取外し作業や新たな取付け作業を繰り返す必要がないため、作業性を向上し得るのは勿論のこと、複数のコネクター型接着補助器具100の廃棄に起因するような環境汚染問題の発生をも未然に防止し得る。
【0244】
また、上述のように、コンクリート壁10aが、両型枠Fの間に打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された上で、両型枠Fが、除去された後において、複数のディスク型接着補助器具200が、コンクリート壁10aの表面11に複数のコネクター型接着補助器具100とは異なる位置(矩形状輪郭RLの中央部)にて分散して配設されるとともに、それぞれ、中央孔部211にて、各ネジSCによりコンクリート壁10aの表面11に締着される。
【0245】
従って、当該複数のディスク型接着補助器具200は、各ネジSCによりコンクリート壁10aの表面にしっかりと組み付けられる。このような状態で、生モルタルが上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布されることで、当該生モルタルが、複数のディスク型接着補助器具200の各々の複数の面側係合片部230に、複数のコネクター型接着補助器具100の複数の面側係合片部と同様に、しっかりと係合し得る。
【0246】
これに伴い、生モルタルが硬化してモルタル壁として形成されることで、複数のディスク型接着補助器具200の各々の複数の面側係合片部230は、モルタル壁に、その内部にて、複数のコネクター型接着補助器具100の各々の複数の面側係合片部120と同様に、しっかりと係合し得る。
【0247】
その結果、複数のディスク型接着補助器具200は、その各複数の面側係合片部230でもって、複数のコネクター型接着補助器具100と同様に、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着を良好に補助し、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力、即ちアンカー効果を良好に高め得る。
【0248】
ここで、複数のコネクター型接着補助器具100は、それぞれ、複数の面側係合片部120bにて、コンクリート壁10aの表面11から突出するのみであり、複数のディスク型接着補助器具200の各々の基板210は、板状であるから、生モルタルの塗布厚さは、ほぼ、コンクリート壁10aの表面に亘り、一様に維持し得るのは勿論のこと、可能な限り薄くすることができることから、生モルタルの塗布量の軽減に役立つ。
【0249】
また、ディスク型接着補助器具200は、コネクター型接着補助器具100の構成とは異なり、単なる板状の基板210に複数の面側係合片部230及び4つのフック220a〜20dを形成した構成であることから、当該ディスク型接着補助器具200は、コネクター型接着補助器具100に比べてより一層簡単な構成にて形成することができる。
【0250】
以上のように、複数のコネクター型接着補助器具100及び複数のディスク型接着補助器具200が、コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に格子状に分散して埋設されることで、各コネクター型接着補助器具100が複数の面側係合片110d及び複数の周側係合片120bでもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対するアンカー効果を高めるとともに、各ディスク型接着補助器具200が、複数の面側係合片部でもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対するアンカー効果を高め得る。
【0251】
このことは、複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具100、200による接着補助による相乗的なアンカー効果のもと、モルタル壁Mが、コンクリート壁10aから剥がれ落ちたりすることなく、長期に亘り、コンクリート壁10aの表面11に対する接着を良好に維持し得ることを意味する。
【0252】
また、本第1実施形態において、コネクター型接着補助器具100は、コネクター110と環状体120との別体による2部品で構成されている。ここで、コネクター110においては、円錐台状胴部110aが環状フランジ部110cから軸方向に離れるほど末すぼまり状に構成されているから、コネクター110の成型用金型が、円錐台状胴部110aが環状フランジ部110cから軸方向に離れるほど末広がり状に構成される場合に比べて、より簡単な構成で済む。従って、コネクター110の量産性の向上につながる。なお、このようなことは、回り止め部116が、環状フランジ部110cの下面に沿うように円錐台状胴部110aの大径側外周面部に突設されているから、より一層改善され得る。
【0253】
また、コネクター型接着補助器具100は、スペーサボルト150との接続のために、コネクター110に同軸的に圧入したセパジョイント130を有するので、コネクター型接着補助器具100とスペーサボルト150との接続が強固になされ得る。また、コネクター型接着補助器具100は、型締めボルト140を補助部品としているため、別途、型締めボルトをわざわざ準備する必要もなく、便利である。なお、型締めボルト140としては、全長の異なるものを複数準備すると便利である。
【0254】
また、コネクター型接着補助器具100において、コネクター110及び環状体120が、ナイロン6に耐光性黒色顔料を均一に含有してなる所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって形成されているから、当該コネクター110及び環状体120は、紫外線等の外光を受けても、長期に亘り劣化することなく、良好な品質に維持され得る。
【0255】
さらに、ナイロン6が、引っ張り力に対し良好な伸長特性を有するから、仮にモルタル壁がコンクリート体の表面が剥がれ落ちようとする事態が発生しても、コネクター110の複数の面側係合片部110dや環状体120の周側係合片部120bがモルタル壁の各対応内部との間の良好な係合により伸長することで、モルタル壁の剥がれによる落下を未然に防止し得る。
【0256】
従って、耐光性黒色顔料によるコネクター及び環状体の耐光性と相まって、コンクリート体に対するモルタル壁の接着力を長期に亘り良好に維持し得る。
(第2実施形態)
図31は、本発明に係る接着補助システムMSの第2実施形態の要部を示している。当該第2実施形態では、接着補助システムMSが上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具100を備えるとともに、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具300(
図31では単一の接着補助器具300のみを示す。)を備えている。
【0257】
本第2実施形態では、複数の接着補助器具100は、上記第1実施形態と同様に、それぞれ、コンクリート壁10aの複数の収容穴部12内に収容されて、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。
【0258】
また、複数の接着補助器具300は、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200と同様に、
図31にて例示するごとく、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。本第2実施形態において、接着補助器具300は、上記第1実施形態にて述べた接着補助器具200と同様に、ディスク型接着補助器具300ともいう。なお、ディスク型接着補助器具300は、ディスク型接着補助器具200と同様に、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間への埋設前後において同様の構成を有する。
【0259】
複数のディスク型接着補助器具300は、そのディスク型接着補助器具300毎に、上記第1実施形態にて述べたディスク型接着補助器具200と同様に、各対応の矩形状輪郭RL(
図1参照)の中心において、コンクリート壁10aの表面11に配設されている。
【0260】
このことは、複数のディスク型接着補助器具300は、一隅角部を共有する4個の第1矩形状輪郭RLの各々の中心に位置する4個の接着補助器具300でもって、コンクリート壁10aの表面11にて矩形状に配設されて、矩形状輪郭(以下、上記第1実施形態と同様に、第2矩形状輪郭ともいう)を構成することを意味する。
【0261】
これにより、複数のディスク型接着補助器具300は、上記第2矩形状輪郭を構成する4個のディスク型接着補助器具300ごとに、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対するディスク型接着補助器具300による接着補助力を良好に発揮する役割を果たす。
【0262】
さらに、上記第1実施形態と同様に、第1矩形状輪郭RLの4つの隅角部に位置する4個のコネクター型接着補助器具100と、第1矩形状輪郭RLの中心に位置するディスク型接着補助器具300とでもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力を、コネクター型接着補助器具100による接着補助力のみの場合に比べてさらに強化する役割を果たす。
【0263】
次に、複数のディスク型接着補助器具300の構成について説明する。当該複数のディスク型接着補助器具300は、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、4個のコネクター型接着補助器具100の中央に位置するディスク型接着補助器具300(以下、中央側接着補助器具300ともいう)を例にとり、その構成について説明する。
【0264】
当該中央側接着補助器具300は、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200の形成材料と同様の形成材料でもって、
図31〜
図35のいずれかにて示すごとく、基板310、複数の係合片部320、4個のフック330a〜330d及び複数の係合片部340を一体的に有するように、射出成形により形成されている。なお、本第2実施形態において、複数の係合片部320は、以下、周側係合片部320ともいい、また、複数の係合片部340は、以下、複数の面側係合片部340ともいう。
【0265】
基板310は、円板状のもので、当該基板310は、
図31〜
図34のいずれかにて示すごとく、中央孔部311、4個の内側開孔部312a〜313d及び12個の外側開孔部313a〜313k及び313nを備えている。本第2実施形態において、基板310の厚さT1及び外径V1は、それぞれ、T1=0.7(mm)及びV1=32(mm)に設定されている(
図34及び
図35参照)。
【0266】
中央孔部311は、基板310の中央部に円形貫通孔状に形成されている。4個の内側開孔部312a〜312dは、基板310において中央孔部311の外周部に沿い等角度間隔にて略矩形貫通孔状に形成されている。本第2実施形態において、中央孔部311の内径U1は、U1=6(mm)に設定されている(
図34参照)。
【0267】
また、12個の外側開孔部313a〜313k及び313nは、それぞれ、基板310において、4個の内側開孔部312a〜312dの外周側に長手矩形貫通孔状に形成されており、当該12個の外側開孔部313a〜313k及び313nは、
図33にて示すごとく、上下方向に沿い互いに平行となるように基板310に配列されている。
【0268】
当該12個の外側開孔部313a〜313k及び313nのうち、
図33にて左右両端側に位置する両外側開孔部313a、313nは、基板310の左右方向中心線X1(
図33参照)に対し左右対称的な位置にて基板310に形成され、かつ、基板310の上下方向中心線Y1(
図33参照)に対し上下対称的な位置にて基板310に形成されている。なお、当該左右方向中心線X1及び上下方向中心線Y1は、基板310の表面において互いに直交している。
【0269】
各両外側開孔部313b、313c及び313j、313kは、両外側開孔部313a、313nの内側(中央孔部311側)にて、左右方向中心線X1に対し左右対称的な位置にて基板310に形成され、かつ、上下方向中心線Y1に対し上下対称的な位置にて基板310に形成されている。
【0270】
各両外側開孔部313d、313e及び313h、313iは、各両外側開孔部313b、313c及び313j、313kの内側(中央孔部311側)にて、左右方向中心線X1に対し左右対称的な位置にて基板310に形成され、かつ、上下方向中心線Y1に対し上下対称的な位置にて基板310に形成されている。
【0271】
また、両外側開孔部313f、313gは、基板310において、左右方向中心線X1上における両内側開孔部312a、312bの上下両側にて、
図33にて示すごとく、上下方向中心線Y1に対し上下対称的な位置にて形成されている。
【0272】
複数の周側係合片部320は、
図31〜
図34のいずれかにて示すごとく、基板310の外周部から半径方向に向け放射状に延出するように形成されている。
【0273】
当該複数の周側係合片部320は、共に、同一の構成を有することから、当該複数の周側係合片部320のうちの一周側係合片部320を例にとり説明する。当該一周側係合片部320は、
図31或いは
図34にて示すごとく、両脚部321、322及び腕部323でもって、U字状となるように形成されている。
【0274】
即ち、当該一周側係合片部320において、脚部321は、基板320の外周部からその表面側へL字状に折れ曲がるように延出している。腕部323は、脚部321の延出端部から基板310の半径方向に沿い外方へL字状に折れ曲がるように延出している。また、脚部322は、腕部323の延出端部から基板310の裏面側へL字状に折れ曲がるように延出している。
【0275】
本第2実施形態においては、各周側係合片部320は、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0276】
4個のフック330a〜330dは、上記第1実施形態にて述べた各座金WS(
図3参照)を支持する役割を果たすもので、当該4個のフック330a〜330dは、それぞれ、
図32にて示すごとく、4個の内側開孔部312a〜312dから基板310の表面側へ延出するように形成されている。本第2実施形態において、4個のフック330a〜330dのうち各4両対向フックの基板310からの延出基端部間の基板310の表面に沿う間隔W1は、W1=13(mm)に設定されている(
図34参照)。
【0277】
ここで、4個のフック330a〜330dのうち、フック330aは、その基端部にて、
図32にて示すごとく、内側開孔部312aの上側縁部に一体的に形成されている。当該フック330aは、
図32、
図34及び
図35のいずれかにて示すごとく、立ち上がり部331と、折れ曲がり部332とを備えており、立ち上がり部331は、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、立ち上がり部331の延出端部から基板210の表面に平行に中央孔部311側へL字状に折れ曲るように延出されている。
【0278】
残りのフック330b、330c及び330dは、フック330aと同様に、立ち上がり部331及び折れ曲がり部332でもって構成されている。フック330bは、その基端部にて、
図32にて示すごとく、内側開孔部312bの下側縁部に一体的に形成されている。当該フック330bにおいて、立ち上がり部331は、
図32にて示すごとく、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、フック330bの立ち上がり部331の延出端部から基板310の表面に平行となるようにフック330a側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0279】
フック330cは、その基端部にて、
図32にて示すごとく、内側開孔部312cの左側縁部に形成されている。当該フック330cにおいて、立ち上がり部331は、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、フック330cの立ち上がり部331の延出端部から基板310の表面に平行なるように中央孔部311側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0280】
また、フック330dは、その基端部にて、
図32にて示すごとく、内側開孔部312dの右側縁部に形成されている。当該フック330dにおいては、立ち上がり部331が、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、フック330dの立ち上がり部331の延出端部から基板310の表面に平行となるようにフック330c側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0281】
以上のように構成した4個のフック330a〜330dは、その各折れ曲がり部332と中央孔部311との間にて座金WS(
図3参照)を挟持して支持するようになっている。ここで、4個のフック330a〜330dは、等角度間隔にて、基板310の表面に形成されているから、座金WSは、その全体に亘り、当該4個のフック330a〜330dにより基板310に対し安定的に支持され得
る。
【0282】
複数の面側係合片部340は、
図33にて示すごとく、左右両側係合片部群340a及び上下両側係合片部群340bを構成する。
【0283】
左右両側係合片部群340aは、
図33において、左右方向中心線X1に対し互いに左右対称的な構成にて基板310に形成されている。
【0284】
当該左右両側係合片部群340aにおいて、左側係合片部群340aは、
図33にて示すごとく、左側に位置する7個の面側係合片部340(左側係合片部340)を有する。当該7個の面側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313aの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313aを左右方向に跨ぐようにして、
図32にて示すごとく、当該外側開孔部313aから基板310の表面の上方へ半ループ状に突出するように形成されている。本第2実施形態においては、各面側係合片部340は、上記第1実施形態にて述べた各面側係合片部230と同様に、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0285】
また、左側係合片部群340aは、7個の左側係合片部340の内側(中心孔部311側)に位置する3個の左上内側係合片部340及び3個の左下内側係合片部340を有している。
【0286】
3個の左上内側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313aの右上側に位置する外側開孔部313bの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313bを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313bから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。一方、3個の左下内側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313aの右下側に位置する外側開孔部313cの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313cを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313cから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0287】
また、右側係合片部群340aは、左側係合片部群340aの11個の左側係合片部340及び各3個の左上下内側係合片部330にそれぞれ対応する11個の右側係合片部340及び各3個の右上下内側係合片部340でもって構成されている。
【0288】
ここで、11個の右側係合片部340は、
図33にて示すごとく、基板310の左右方向中心線X1を基準として、左側係合片部群340aの11個の左側係合片部340とは対称的な位置にて、外側開孔部313nの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313nを左右方向に跨ぐようにして、
図32及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313nから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0289】
また、3個の右上内側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313nの左上側に位置する外側開孔部313jの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313jを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図32から分かるように、当該外側開孔部313jから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0290】
一方、3個の右下内側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313nの左下側に位置する外側開孔部313kの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313kを左右方向に跨ぐようにして、
図32及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313kから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0291】
上下両側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、上下方向中心線Y1に対し互いに上下対称的な構成にて基板310に形成されている。
【0292】
当該上下両側係合片部群340bにおいて、上側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、基板310の左右方向中央(左右方向中心線X1に対応)にて、2個の中央側係合片部340を有しており、当該2個の中央側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313fの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313fを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313fから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0293】
また、上側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、2個の中央側係合片部340の左側に位置する3個の中央左側係合片部340を有しており、当該3個の中央左側係合片部340は、外側開孔部313dの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、
図33にて示すごとく、外側開孔部313dを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313dから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0294】
また、上側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、左右方向中心線X1に対し3個の中央左側係合片部340とは対称的な位置にある3個の中央右側係合片部340を有しており、当該3個の中央右側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313hの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313hを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313hから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0295】
また、下側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、基板310の左右方向中央にて、2個の中央側係合片部340を有しており、当該2個の中央側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313iの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313iを左右方向に跨ぐようにして、
図32及び
図33のいずれかから分かるように、当該外側開孔部313iから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0296】
また、下側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、2個の中央側係合片部340の左側に位置する3個の中央左側係合片部340を有しており、当該3個の中央左側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313eの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313eを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313eから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0297】
また、下側係合片部群340bは、
図33にて示すごとく、左右方向中心線X1に対し3個の中央左側係合片部340とは対称的な位置にある3個の中央右側係合片部340を有しており、当該3個の中央右側係合片部340は、
図33にて示すごとく、外側開孔部313kの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313kを左右方向に跨ぐようにして、
図31及び
図33から分かるように、当該外側開孔部313kから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。なお、本第2実施形態において、各面側係合片部340の頂部の基板310の裏面からの高さH1は、H1=2.1(mm)に設定されている(
図35参照)。
【0298】
上述のように構成された中央側接着補助器具300は、
図31にて示すごとく、基板310を、その裏面にて、コンクリート壁10aの表面に当接するとともに、コンクリートネジSCを、その首下部にて、4個のフック330a〜330dの各折れ曲がり部と基板310の中央孔部311との間に保持してなる座金WSの中空部及び基板310の中央孔部311を通して、コンクリート壁10aに締着することで、座金WSをコンクリートネジSCの頭部とコンクリート壁10aとの間に挟持し、コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に埋設されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0299】
以上のように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に
図14の型枠取り外し工程S7の処理を終了すると、次のディスク型接着補助器具組み付け工程S8において、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具300のうちの上記中央側接着補助器具300が、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0300】
即ち、中央側接着補助器具300が、基板310にて、コンクリート壁10aの表面11のうち第1矩形状輪郭RLの中央に対する対応部位に設置される(
図1及び
図36参照)。このとき、基板310は、その裏面にて、
図36にて示すごとく、複数の係合片部340及び4個のフック330a〜330dを上方に向け突出させるように、コンクリート壁10aの表面11に設置される。
【0301】
このような設置状態において、上記第1実施形態にて述べた座金WSが、
図36にて示すごとく、基板310のうち中央孔部311を中心とする環状部位(以下、本第2実施形態でも、中央環状部位Pという)上に4個のフック330a〜330dを介し設置される。
【0302】
ここでは、座金WSが、各フック330a〜330dの延出端部をその弾力に抗して押し広げるようにして、中央環状部位P上に設置される。このため、座金WSが、各フック330a〜330dの内側にて当該各フック330a〜330dの延出端部と基板310の環状中央部位Pとの間に挟持される。なお、本第2実施形態における中央環状部位Pは、各フック330a〜330dの基板310からの延出基端部の内側(中央孔部311側)において基板310に形成される環状領域をいう。
【0303】
このように座金WSを挟持した後、コンクリートネジSCが、
図36にて示すごとく、その首下部にて、座金WSの中空部及び基板310の中央孔部311を通して上記第1実施形態と同様にコンクリート壁10aに締着される。
【0304】
以上のようにしてディスク型接着補助器具300(中央側接着補助器具300)及び上記第1実施形態にて述べた4個のコネクター型接着補助器具100のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、
図2及び
図31にて示すごとく、上記第1実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0305】
従って、上記第1実施形態にて述べたコネクター型接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、ディスク型接着補助器具300が、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設される。
【0306】
これに伴い、生モルタルが、上記第1実施形態にて述べたと同様に、コネクター型接着補助器具100内に浸入するとともに、ディスク型接着補助器具300において、複数の面側係合片部340を介し基板310の表面に達する。ここで、このように複数の面側係合片部340を介し基板310の表面に達する生モルタルは、互いに隣り合う各両面側係合片部340の間を通り基板310の複数の外側開孔部313a〜313k、313nの各内部に行き亘る。
【0307】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化するまで所定時間の間待つ。これに伴い、当該生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0308】
以上説明したように、本第2実施形態によれば、各ディスク型接着補助器具300は、複数の面側係合片部340に加えて、上記第1実施形態にて説明した各ディスク型接着補助器具200とは異なり、複数の周側係合片部320を上述した構成でもって備えている。
【0309】
従って、複数の周側係合片部320が基板310の外周部から放射状に延出することで、生モルタルが上述のごとく当該モルタル用接着補助器具300を介しコンクリート壁10aの表面11に塗布されたとき、当該モルタル用接着補助器具300は、複数の面側係合片部340だけでなく、複数の周側係合片部320によっても、生モルタルと係合する。ここで、複数の周側係合片部320及び複数の面側係合片部340は、上述のような配置構成を有することで、ディスク型接着補助器具300の基板310の生モルタルとの係合を基板310の全体に亘りバランスよく確保し得る。
【0310】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁Mとなったとき、当該モルタル用接着補助器具300は、複数の面側係合片部340及び複数の周側係合片部320によって、バランスよく、モルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合する。その結果、当該モルタル用接着補助器具300は、基板310から突出する複数の面側係合片部340及び複数の周側係合片部320の双方によって、モルタル壁Mをコンクリート壁10aの表面11に支持し得る。これにより、モルタル用接着補助器具300によるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力が、より一層強化され得る。
【0311】
ここで、ディスク型接着補助器具300毎に、複数の面側係合片部340或いは左右上下の各側係合片部群340a、340bは、それぞれ、基板310の表面において左右方向中心線X1及び上下方向中心線Y1の双方に対し対称的に設けられているため、各面側係合片部340或いは各側係合片部群340a、340bによるモルタル壁Mに対する接着補助力は、基板310の表面の全体に亘り均一に発揮され得る。その結果、上述したモルタル用接着補助器具300による接着補助力が安定的に強化され得る。
【0312】
その結果、本第2実施形態では、接着補助システムによる接着補助のもと、複数のコネクター型接着補助器具100及び複数のディスク型接着補助器具300の双方のモルタル壁Mとの係合力に基づき、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)が、より一層安定的に強化され得る。このことは、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの脱落が、上記第1実施形態にて述べた所定の耐光性顔料含有樹脂材料による複数のコネクター型接着補助器具100及び複数のディスク型接着補助器具300の劣化防止作用のもと、長期に亘り、より一層良好に防止され得ることを意味する。本第2実施形態のその他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図37は、本発明に係る接着補助システムMSの第3実施形態の要部を示している。当該第3実施形態では、接着補助システムMSが上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具100を備えるとともに、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具200A(
図37では単一の接着補助器具200Aのみを示す。)を備えている。
【0313】
本第3実施形態では、複数の接着補助器具100は、上記第1実施形態と同様に、それぞれ、コンクリート壁10aの複数の収容穴部12内に収容されて、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。
【0314】
また、複数の接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200と同様に、
図37にて例示するごとく、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。本第3実施形態において、接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて述べた接着補助器具200と同様に、ディスク型接着補助器具200Aともいう。なお、ディスク型接着補助器具200Aは、ディスク型接着補助器具200と同様に、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間への埋設前後において同様の構成を有する。
【0315】
当該接着補助器具200Aは、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、上記第1実施形態にて述べた4個の接着補助器具100(
図1参照)の中央に接着補助器具200に代えて位置する接着補助器具200A(以下、中央側接着補助器具200Aともいう)を例にとり、その構成について説明する。
【0316】
当該中央側接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200において、4個の内側開孔部212a〜212d及び4個のフック220a〜220dを廃止するとともに、複数の係合片部250(以下、周側係合片部250ともいう)を付加的に設けた構成を有する。
【0317】
複数の周側係合片部250は、
図37〜
図41のいずれかにて示すごとく、基板210の外周部から半径方向に向け放射状に延出するように、基板210と同様の形成材料でもって、当該基板210と一体的に形成されている。ここで、当該複数の周側係合片部250は、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0318】
複数の周側係合片部250は、共に、同一の構成を有することから、当該複数の周側係合片部250のうちの一周側係合片部250を例にとり説明する。当該一周側係合片部250は、
図37〜
図41のいずれかにて示すごとく、腕部251及び脚部252でもって、L字状となるように形成されている。
【0319】
即ち、当該一周側係合片部250において、腕部251は、その基端部にて、基板210の外周部にその表面側から一体的に形成されており、当該腕部251は、その基端部から外方に向け基板210の半径方向に延出されている。また、脚部252は、腕部251の延出端部から基板210の裏面側へL字状に折れ曲がるように延出している。
【0320】
本第3実施形態において、基板210は、上記第1実施形態にて述べた中央孔部211に代えて、中央孔部211aを有しており、当該中央孔部211aの内径U1は、中央孔部211の内径Uよりも小さく、U2=6.4(mm)となっている(
図41参照)。また、本第3実施形態にいう基板210の厚さは、T2=0.7(mm)であって、上記第1実施形態にいう基板210の厚さTよりも薄い(
図40参照)。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0321】
以上のように構成した本第3実施形態において、上記第1実施形態と同様に
図27の型枠取り外し工程S7の処理を終了すると、次のディスク型接着補助器具組み付け工程S8において、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具200Aのうちの上記中央側接着補助器具200Aが、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0322】
即ち、中央側接着補助器具200Aが、基板210にて、コンクリート壁10aの表面11のうち第1矩形状輪郭RLの中央に対する対応部位に設置される(
図1及び
図46参照)。このとき、基板210は、その裏面にて、
図46にて示すごとく、複数の面側係合片部230を上方に向け突出させるように、コンクリート壁10aの表面11に設置される。
【0323】
このような設置状態において、環状部材WS1が、上記第1実施形態にて述べた座金WSに代えて、環状座金部材として、
図37及び
図46のいずれかにて示すごとく、基板210の中央孔部211aに次のようにして組み付けられる。
【0324】
ここで、環状部材WS1は、
図42〜
図45にて示す構成を有するように、基板210と同一の形成材料でもって、樹脂成形でもって一体的に形成されている。当該環状部材WS1は、環状平板部260a、環状ボス部260b、複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dを備えている。
【0325】
環状平板部260aは、基板210の中央孔部211aを中心とする環状部位(以下、本第3実施形態では、中央環状部位P1ともいう)上に着座する(
図37及び
図46参照)。なお、環状平板部260aの中空部の内周面は、縦断面末すぼまり状に形成されている。
【0326】
環状ボス部260bは、環状平板部260aの中空部の周縁部から下方へ同軸的に延出するように形成されており、当該環状ボス部260bは、
図46にて示すごとく、基板210の中央孔部211a内にその表面側から同軸的にかつ液密的に嵌装される。
【0327】
複数の内側糸状片部260cは、その各基端部にて、環状平板部260aの中空部の周縁部にその周方向に沿い間隔をおいて環状平板部260aの表面側から一体的に形成されており、当該複数の内側糸状片部260cは、その各基端部から環状平板部260aの表面から離れる方向へ緩やかに凸な湾曲形状にて環状平板部260aの中心に向けて傾斜状に延出している(
図42及び
図45参照)。なお、各内側糸状片部260cは、その延出端部にて、環状平板部260aの中空部に向けL字状に屈曲している。
【0328】
また、複数の外側糸状片部260dは、その各基端部にて、環状平板部260aの外周面にその周方向に沿い間隔をおいて一体的に形成されており、当該複数の外側糸状片部260dは、その各基端部から環状平板部260aの表面から離れる方向へ緩やかに凸な湾曲形状にて環状平板部260aの外方に向けて半径方向へ傾斜状に延出している(
図42及び
図45参照)。なお、各外側糸状片部260dは、その延出端部にて、環状平板部260aの中空部側へL字状に屈曲している。
【0329】
ここで、環状部材WS1において、環状平板部260aの外径G及び厚さF1は、それぞれ、G=13(mm)及びF1=1(mm)であり、環状ボス部260bの外径D1、内径D2及び軸長F2は、それぞれ、D1=6.3(mm)、D2=4.3(mm)及びF2=1(mm)である(
図43及び
図45のいずれか参照)。また、複数の外側糸状片部260dの各延出端部を結ぶ円周の径Zは、Z=18.3(mm)であり、当該複数の外側糸状片部260dの各延出端部から環状ボス部260bの延出端部からの高さEは、E=4.35(mm)である(
図43及び
図45のいずれか参照)。また、複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dの各々の太さは、0.7(mm)である。なお、環状部材WS1における各上記寸法は、複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dが、生モルタル内に深く浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように選定されている。
【0330】
しかして、上述のように構成した環状部材WS1は、環状ボス部260bを基板210の中央孔部211a内に液密的に嵌装させるようにして、環状平板部260aにて、基板210の中央環状部位P1にその表面側から着座することで、基板210に組み付けられる。
【0331】
これに伴い、複数の内側糸状片部260cは、それぞれ、環状平板部260aの中空部の周縁部からその中央に向け傾斜状に、かつ環状平板部260aの表面の外方へ緩やかに凸な湾曲状に延出するとともに、複数の外側糸状片部260dは、それぞれ、環状平板部260aの表面から離れる方向へ緩やかに凸な湾曲形状にて、当該環状平板部260aの外周面から当該環状平板部260aの半径方向に沿いその表面側斜め外方に向けて傾斜状に延出する。
【0332】
このように環状部材WS1の基板210に対する組み付けが完了すると、コンクリートネジSC1が、
図46にて示すごとく、その首下部にて、環状部材WS1の環状平板部260aの中空部及び基板210の中央孔部211aを通して上記第1実施形態と実質的に同様にコンクリート壁10aに締着される。ここで、コンクリートネジSC1は、その頭部にて皿状に形成されており、当該コンクリートネジSC1は、その皿状頭部にて、環状平板部260aの中空部内にその縦断面末すぼまり状の内周面に沿い着座する。
【0333】
以上のようにしてディスク型接着補助器具200A(中央側接着補助器具200A)及び上記第1実施形態にて述べた4個のコネクター型接着補助器具100のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、
図37にて示すごとく、上記第1実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0334】
従って、上記第1実施形態にて述べた1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、ディスク型接着補助器具200Aが、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設される。
【0335】
これに伴い、生モルタルが、上記第1実施形態にて述べたと同様に、コネクター型接着補助器具100内に浸入するとともに、ディスク型接着補助器具200Aにおいて、複数の内側糸状片部260c、複数の外側糸状片部260d、複数の周側係合片部250及び複数の面側係合片部230を介し基板210の表面に達する。
【0336】
ここで、このように複数の面側係合片部230を介し基板210の表面に達する生モルタルは、上記第1実施形態にて述べたと同様に、基板210の複数の外側開孔部313a〜313k、313nの各内部にも行き亘る。これにより、生モルタルのコンクリート壁10aの表面との接着がより一層強化され得る。
【0337】
また、上述のように生モルタルが複数の周側係合片部250を介し基板210の表面に達する過程において、当該生モルタルは、各周側係合片部250の外周面にしっかりと係合する。このとき、各周側係合片部250において、腕部251が脚部252の延出端部からL字状に屈曲するように形成されているため、当該生モルタルは、各周側係合片部250の屈曲部にもしっかりと係合する。
【0338】
また、上述のように生モルタルが複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dを介し基板210の表面に達する過程において、当該生モルタルは、複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dの各外周面にしっかりと係合する。しかも、各内側糸状片部260cの延出端部及び各外側糸状片部260dの延出端部は、上述のごとく、L字状に屈曲しているから、生モルタルは、各内側糸状片部260c及び各外側糸状片部260dの延出端部に対ししっかりと係合する。
【0339】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0340】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、各ディスク型接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて説明した各ディスク型接着補助器具200とは異なり、複数の面側係合片部230に加えて、複数の周側係合片部250を上述した構成でもって備えている。
【0341】
しかも、環状部材WS1が、複数の内側糸状片部260c及び複数の糸状片部260dを有することで、当該複数の内側糸状片部260c及び複数の糸状片部260dでもって、生モルタルとしっかりと係合し得る。
【0342】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁Mとなったとき、当該モルタル用接着補助器具200Aは、複数の面側係合片部230だけでなく、複数の周側係合片部250並びに環状部材WS1の複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dによっても、モルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合する。
【0343】
従って、当該モルタル用接着補助器具200Aは、基板210から突出する複数の面側係合片部230だけでなく、複数の周側係合片部250並びに環状部材WS1の複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dによっても、モルタル壁Mをコンクリート壁10aの表面11に支持し得る。これにより、モルタル用接着補助器具200Aによるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力が、より一層強化され得る。
【0344】
ここで、ディスク型接着補助器具200A毎に、複数の面側係合片部230は、複数の周側係合片部250とともに、それぞれ、基板210の表面において左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対し対称的に設けられているため、各面側係合片部230によるモルタル壁Mに対する接着補助力は、基板210の表面の全体に亘り均一に発揮され得る。また、このようなことは、環状部材WS1の複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dも、同様に基板210の表面において左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対し対称的に位置するように設けられていることで同様に達成され得る。
【0345】
その結果、本第3実施形態では、接着補助システムによる接着補助のもと、複数のコネクター型接着補助器具100及び複数のディスク型接着補助器具200Aの双方のモルタル壁Mとの係合力に基づきモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)が、安定的により一層強化され得る。換言すれば、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの脱落が、上記第1実施形態にて述べた所定の耐光性顔料含有樹脂材料による劣化防止のもと、長期に亘り、より一層良好に防止され得ることを意味する。
【0346】
また、本第3実施形態では、環状部材WS1が、上記第1実施形態にて述べた環状部材WS1とは異なり、基板210と同様の形成材料(上記第1実施形態にて述べた所定の耐光性顔料含有樹脂材料)でもって、上記構成を有するように一体成形により形成されている。このため、環状部材WS1が、生モルタルと良好に係合するに要する形状に自由に設計され得る。
(第4実施形態)
図47は、本発明に係る接着補助システムMSの第4実施形態の要部を示している。当該第4実施形態では、接着補助システムMSが上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具100を備えるとともに、上記第2実施形態にて述べた複数の接着補助器具300に代えて、複数の接着補助器具300A(
図47では単一の接着補助器具300Aのみを示す。)を備えている。
【0347】
複数の接着補助器具300Aは、上記第2実施形態にて述べた複数の接着補助器具300(
図33参照)において4個の内側開孔部312a〜312d及び4個のフック330a〜330dを廃止した構成となっている。なお、本第4実施形態において、接着補助器具300Aは、ディスク型接着補助器具300Aともいう。複数の接着補助器具300Aの各々のその他の構成は、複数の接着補助器具300の各々と同様である。
【0348】
また、本第4実施形態においては、上記第2実施形態にて述べた中央側接着補助器具300をコンクリート10の表面11に基板310を介し組み付けるに当たり採用される座金WS(
図26参照)に代えて、上記第3実施形態にて述べた環状部材WS1(
図42参照)が、中央側接着補助器具300に対応する中央側接着補助器具300Aをコンクリート10の表面11に基板310を介し組み付けるに当たり採用される。その他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0349】
以上のように構成した本第4実施形態において、上記第2実施形態と同様に
図27の型枠取り外し工程S7の処理を終了すると、次のディスク型接着補助器具組み付け工程S8において、上記第2実施形態にて述べた中央側接着補助器具300に代えて、複数の接着補助器具300Aのうちの上記中央側接着補助器具300Aが、中央側接着補助器具300と同様に、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0350】
このような組み付け状態において、環状部材WS1が、上記第2実施形態にて述べた座金WSに代えて、
図47〜
図51のいずれかにて示すごとく、基板310の中央孔部311aに次のようにして組み付けられる。なお、本第7実施形態では、基板310の中央孔部311aは、上記第2実施形態にて述べた基板310の中央孔部311よりも、小さく、上記第6実施形態にて述べた基板210の中央孔部211aと同一の値に形成されている。
【0351】
しかして、環状部材WS1は、環状ボス部260bを基板310の中央孔部311a内に液密的に嵌装させるようにして、環状平板部260aにて、基板310の中央環状部位(上記第3実施形態にて述べた中央環状部位P1に対応)にその表面側から着座することで、基板310に組み付けられる。
【0352】
これに伴い、複数の内側糸状片部260cは、それぞれ、環状平板部260aの中空部の周縁部からその中央に向け傾斜状に環状平板部260aの表面の外方へ緩やかに凸な湾曲状にて延出するとともに、複数の外側糸状片部260dは、それぞれ、環状平板部260aの外周面から当該環状平板部260aの外方に向けて半径方向へ傾斜状に延出する。
【0353】
このように環状部材WS1の基板310に対する組み付けが完了すると、コンクリートネジSC1が、
図47にて示すごとく、その首下部にて、環状部材WS1の環状平板部260aの中空部及び基板310の中央孔部311aを通して上記第1実施形態と実質的に同様にコンクリート壁10aに締着される。なお、コンクリートネジSC1は、その皿状頭部にて、環状平板部260aの中空部内にその縦断面末すぼまり状内周面に沿い着座する。
【0354】
以上のようにしてディスク型接着補助器具300A(中央側接着補助器具300A)及び上記第1実施形態にて述べた4個のコネクター型接着補助器具100のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、
図47にて示すごとく、上記第2実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0355】
従って、上記第1実施形態にて述べた1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、ディスク型接着補助器具300Aが、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設される。
【0356】
これに伴い、生モルタルが、上記第2実施形態にて述べたと同様に、コネクター型接着補助器具100内に浸入するとともに、環状部材WS1の複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260d並びにディスク型接着補助器具300Aの複数の周側係合片部320及び複数の面側係合片部340を介し基板310の表面に達する。
【0357】
ここで、このように複数の係合片部340を介し基板310の表面に達する生モルタルは、上記第2実施形態にて述べたと同様に、基板310の複数の外側開孔部313a〜313k、313nの各内部に行き亘る。
【0358】
また、上述のように生モルタルが複数の周側係合片部320を介し基板310の表面に達する過程において、当該生モルタルは、各周側係合片部320の外周面にしっかりと係合する。このとき、当該生モルタルは、各周側係合片部320の屈曲部にもしっかりと係合する。
【0359】
また、上述のように生モルタルが複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dを介し基板310の表面に達する過程において、当該生モルタルは、複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dの各外周面にしっかりと係合する。しかも、各内側糸状片部260cの延出端部及び各外側糸状片部260dの延出端部は、上述のごとく、L字状に屈曲しているから、生モルタルは、各内側糸状片部260c及び各外側糸状片部260dの延出端部に対ししっかりと係合する。
【0360】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0361】
以上説明したように、本第4実施形態によれば、環状部材WS1が、複数の内側糸状片部260c及び複数の糸状片部260dを有することで、当該複数の内側糸状片部260c及び複数の糸状片部260dでもって、生モルタルとしっかりと係合し得る。
【0362】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁Mとなったとき、当該モルタル用接着補助器具300Aは、複数の面側係合片部340及び複数の周側係合片部320だけでなく、環状部材WS1の複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dによっても、モルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合する。
【0363】
これにより、当該モルタル用接着補助器具300Aは、基板310から突出する複数の面側係合片部340及び複数の周側係合片部320だけでなく、環状部材WS1の複数の内側糸状片部260c及び複数の外側糸状片部260dによっても、モルタル壁Mをコンクリート壁10aの表面11に支持し得る。これにより、モルタル用接着補助器具300Aによるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力が、より一層強化され得る。
【0364】
その結果、本第4実施形態では、接着補助システムによる接着補助のもと、複数のコネクター型接着補助器具100及び複数のディスク型接着補助器具300Aの双方のモルタル壁Mとの係合力に基づき、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)が、より一層強化され得る。このことは、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの脱落が、長期に亘り、より一層良好に防止され得ることを意味する。その他の作用効果は、上記第1及び第2の実施形態と同様である。
【0365】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態や変形例に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、接着補助器具100の接着力は、スペーサボルトの単位面積当たりの使用個数にもよるが、一般には50kgf/個(490Pa/個)以上になるように設計することが好ましい。
【0366】
このような特性を満足させるため、係合片部110dの寸法としては、係合片部110dの太さを0.05(mm)〜5.0(mm)の範囲以内の値とし、係合片部1110dの径を1.0(mm)〜10.0(mm)の範囲以内の値にすることが好ましい。
(2)本発明の実施にあたり、接着補助器具100毎の係合片部110dの数は、特に限定されるものではないが、20〜100個にすることが好ましい。
(3)本発明の実施にあたり、接着補助器具100のコネクター110は、上記実施形態とは異なり、例えば、多角形状に形成してもよい。
(4)本発明の実施にあたり、接着補助器具200或いは300を基板210或いは310に組み付けるにあたり採用される座金WSは、上記第1或いは第2の実施形態とは異なり、必要に応じて、廃止するようにしてもよい。
【0367】
この場合には、基板210の各内側開孔部212a〜212d及び各フック220a〜220d或いは基板310の各内側開孔部312a〜312d及び各フック330a〜330dは廃止すればよい。
(5)本発明の実施にあたり、複数の係合片部220は、上記第1実施形態にて述べた配列に限ることなく、基板210の表面に亘り分散して形成されていてもよく、また、係合片部220の数は、上記第1実施形態にて述べた数に限ることなく適宜変更して実施してもよい。
(6)本発明の実施にあたり、基板210の複数の外側開孔部213a〜213j及び基板310の複数の外側開孔部313a〜313k、313nは、廃止してもよい。
(7)本発明の実施にあたり、係合片部110d或いは220の形状は、半円状或いは円弧状であってもよい。また、係合片部120或いは220の形状は、一般的には、湾曲状であってもよい。
(8)本発明の実施にあたり、上記第2実施形態における各係合片部320は、基板310の外周部の端面部或いは表面部から放射状に延出する基部及び当該各基部の延出端部からL字状に折れ曲がる折れ曲がり部でもって構成するようにしてもよい。
(9)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた座金WSは、ネジSCをコンクリート壁10aに締着する際における基板210の中央穴部111の強度を補助することができればよい。従って、座金WSは、ステンレス鋼に限らず、鉄等の環状板であってもよく、また、環状樹脂板や環状バネ座金であってもよい。
(10)本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた各接着補助器具200或いは300は、各接着補助器具100と入れ替えて配設するようにしてもよい。
(11)本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた複数の接着補助器具200或いは300及び複数の接着補助器具100は、格子状に配設することに限らず、双方ともに、互いに異なる位置にて、分散してコンクリート壁10aの表面に配設されていてもよい。
(12)本発明の実施にあたり、上記第1或いは第2の実施形態にて述べたディスク型接着補助器具200或いは300において、複数の面側係合片部240或いは340は、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた例に限定することなく、基板210或いは310の表面に亘り分散して配設するようにしてもよい。
【0368】
この場合、複数の面側係合片部240或いは340は、基板210或いは310の表面に沿う左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対称的に分散配設することが好ましい。これにより、接着補助器具200或いは300における複数の面側係合片部240或いは340のモルタル壁に対する接着補助力が、基板210或いは310の全面に亘りバランスよく均一化され得る。
(13)本発明の実施にあたり、接着補助器具200或いは300のフック230或いは240は、4個に限ることなく、複数個或いは複数対であってもよい。例えば、フック230或いは240は、2個、3個或いは5個を、基板210或いは310の表面にて中央孔部の外周に沿い等角度間隔にて設けるようにしてもよく、また、一対或いは三対を、基板210或いは310の表面にて中央孔部の外周に沿い等角度間隔にて設けるようにしてもよい。要するに、座金WSをその全面に亘り均一に基板210或いは310の表面上に挟持し得ればよい。
(14)本発明の実施にあたり、環状体120の周側係合片部120bは、ロッド状に限ることなく、半ループ状等の湾曲状、糸状、フック状にて、環状壁部120aの一部、例えば、環状薄肉部123の内周部に沿い形成されていてもよい。
(15)また、本発明の実施にあたり、接着補助システムは、複数の接着穂補助器具200に依存することなく、複数の接着補助器具100のみをコンクリート壁10aに分散して埋設するようにしてもよい。例えば、
図1において、接着補助器具100を、中央接着補助器具200に代えて、矩形状輪郭RLの中央部に配設するようにしてもよい。
(16)また、本発明の実施にあたり、
図1において、4つの接着補助器具200を、4つの接着補助器具100に代えて、矩形状輪郭RLの各隅角部に配置し、接着補助器具100を、中央接着補助器具200に代えて、矩形状輪郭RLの中央部に配設するようにしてもよい。
(17)本発明の実施にあたり、接着補助器具200或いは300の基板は、上記実施形態とは異なり、例えば、三角形状や四角形状等の多角形状に形成してもよい。
(18)本発明の実施にあたり、回り止め部116は、上記第1実施形態とは異なり、複数、コネクター110の環状フランジ部の下面及び円錐台状胴部110aの外周に沿い間隔をおいて形成するようにしてもよい。なお、回り止め部116の形状は、上記第1実施形態にて述べた形状に限ることなく、適宜変更してもよい。また、回り止め部116が突出形状では凹形状に形成してもよい。例えば、環状フランジ部110cの下面から円錐台状胴部110aの外周面に沿い軸方向に凹形状に当該円錐台状胴部110aの小径側端部まで形成するようにしてもよく、或いは、円錐台状胴部110aの外周面の軸方向中間部位から当該円錐台状胴部110aの小径側端部まで形成するようにしてもよい。
【課題】複数の係合片部をその外周から包囲する環状体の構成に工夫を凝らし、型枠の当該環状体との当接が一様に成立するようにした接着補助器具及び当該接着補助器具を備える接着補助システムを提供する。
【解決手段】コネクター部は、円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の大径側端部から同軸的に延出する円柱状頭部と、円錐台状胴部及び円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部と、円錐台状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって一体に成形されている。環状体は、複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部に同軸的に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変壁部と、当該環状非可変壁部の環状フランジ部とは反対側の環状端部から環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部とを所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって一体に成形してなる環状壁を設けてなる。