特許第6200148号(P6200148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200148車両用通信ネットワークの運営管理システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200148
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】車両用通信ネットワークの運営管理システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   H04L12/28 200Z
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-264413(P2012-264413)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2013-126253(P2013-126253A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0135799
(32)【優先日】2011年12月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】車 尚 鎬
(72)【発明者】
【氏名】金 東 玉
(72)【発明者】
【氏名】尹 眞 樺
(72)【発明者】
【氏名】魯 容 豪
【審査官】 大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−098477(JP,A)
【文献】 特開2005−181789(JP,A)
【文献】 特開2003−324381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内部の各ユニットに備えられたノードが通信する車両用ネットワークの運営管理方法において、
車両のバッテリー電源が車両内部の各ユニットに供給され、それぞれの動作プログラムにより初期化を行うパワーオンモード段階と、
各ユニットのノードがネットワークに参加してネットワークをリクエストするノーマルモード段階と、
他のノードによってネットワークはリクエストされるが、他のノードをリクエストしないスリープアイエヌディモード段階と、
通信を終了するスリープモード段階と、
ネットワークに連結された全てのノードがこれ以上通信しない場合、前記スリープモードへの切換えを待機するウェイトバススリープモード段階と、
前記ユニットに電源が遮断されて通信することができないパワーオフモード段階と、を含んで構成され、
前記ウェイトバススリープモード段階で通信メッセージが発生した場合、前記スリープアイエヌディモード段階に進入することを特徴とする車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項2】
前記スリープアイエヌディモード段階は、前記ノーマルモード段階と基本動作遂行において同一であり、ネットワークを覚まさない点で前記ノーマルモード段階と異なる差を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項3】
前記ウェイトバススリープモード段階が約定された所定時間のあいだ持続する場合、前記スリープモード段階に進入することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項4】
前記スリープモード段階又は前記スリープアイエヌディモード段階で当該ノードが約定された形式のウェークアップ信号を受信することになれば、前記ノーマルモード段階に進入することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項5】
前記約定されたウェークアップ信号は、ユニット自体の動作によるローカルウェークアップ信号とリモートウェークアップ信号で具現されることを特徴とする請求項に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項6】
前記パワーオンモード段階で初期化した後、制御部は前記ノーマルモード段階に進入して全体ネットワークを覚ますためのリモートウェークアップ信号(Remote Wakeup Signal)を送り出し、
ドライバーアシストユニットの第2制御部が、ネットワークを構成する各ユニットの存在を確認した後、ネットワークを構成する各ノードに対する通信のためのアドレス割り当てが行われることを特徴とする請求項1に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項7】
前記アドレス割り当てが完了することになれば、前記スリープアイエヌディモード(SleepInd Mode)段階に切り換えられることを特徴とする請求項に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項8】
前記パワーオフモード段階は車両バッテリーが取り外されるか、ユニット全体又はCPU/MCUに電源供給が遮断されることにより生じることを特徴とする請求項1に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項9】
車両のバッテリーが取り付けられると、前記パワーオンモード段階、ノーマルモード段階、スリープアイエヌディモード段階、スリープモード段階が順次行われ、ネットワークの初期設定が完了することを特徴とする請求項に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項10】
前記ネットワークを構成する全てのユニットがスリープアイエヌディモード段階に進入するようになれば、前記ウェイトバススリープモード段階に進入することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信ネットワークの運営管理方法。
【請求項11】
車両内部の各ユニットに備えられたノードがDHCPサーバを備えるユニットを中心に通信する車両用ネットワークの運営管理システムにおいて、
車両に内蔵されるヘッドユニット(Head Unit)であって、
その内部には使用者入力部と、
映像出力部、音声出力部及び通信プロトコルを含む動作プログラムが貯蔵された第1動作プログラム貯蔵部と、
第1動作プログラム貯蔵部に貯蔵されたプログラムに基づき装置全般の動作を制御する第1制御部と、
他のユニット又はDHCPサーバとの通信のための第1通信部と、前記DHCPサーバとの通信を介して割り当てられた自己アドレス情報を貯蔵する第1自己アドレス情報貯蔵部と、が備えられ、
前記DHCPサーバ備えられたドライバーアシストユニットには、
通信プロトコルを含む動作プログラムが貯蔵された第2動作プログラム貯蔵部と、
この第2動作プログラム貯蔵部に貯蔵されたプログラムに基づき装置全般の動作を制御する第2制御部と、
他のユニットとの通信のための第2通信部と、
自己アドレス情報を貯蔵する第2自己アドレス情報貯蔵部と、
ネットワークを構成する各ユニットのアドレス情報を貯蔵するユニット別アドレス情報貯蔵部と、
ネットワークの動作状態を現わす動作モードをデータとして貯蔵するモード貯蔵部と、が備えられることを特徴とする車両用通信ネットワークの運営管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内部の通信ネットワーク技術に係り、より詳しくは、イーサネット(登録商標)通信を利用して車両内部の通信ネットワークを構成する場合、動的ホスト設定通信規約(DHCP;Dynamic Host Configuration Protocol)が有するIP設定所要時間の限界を解消できる車両用通信ネットワークの運営管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発達により自動車は日々に先端技術の集合体として変化しており、電子制御と映像情報に基づいた様々な付加機能が車両に取り付けられ、内部通信網を介して送信されるデータの量はますます増加している。その結果、約500k bps送信速度を有する従来のCAN(Control Area Network)通信方式のネットワークでは、長期的な観点から車両内部のユニット(Unit)等が取り交わすデータの量を処理しきれなくなる状況が到来すると予見されるところ、次世代車両内部ネットワークの安定的な通信方式としてイーサネット(登録商標)方式が検討されている。
【0003】
イーサネット(登録商標)通信を車両内部ネットワークに適用する場合、その通信が有する約100M〜1G bpsのデータ送信能力を勘案するとき、充分安定的なネットワーク具現が可能であるものと期待されているが、通信ユニット間のIP設定に対して考慮する必要がある。毎回利用する度に始動を掛け、消す車両の特性上、IPを割り当てて管理する問題が新しい障害要因として登場するようになった。
【0004】
すなわち、動的アドレスを用いる場合、スタートアップ(start up)時間は増加するが、ネットワークの自由度は上昇する反面、静的アドレスを用いる場合、スタートアップ時間は減少するが、ネットワークの柔軟性が落ちる問題が発生する。車両の運行特性上、全ての電装品は始動キーが動作する瞬間から正常動作を始めなければならないが、動的アドレスを用いることになれば初期始動時にネットワークの準備時間があまり長くかかることになるので(約10秒所要)、従来の一部事業者中には柔軟性が落ち各電装品に対してアドレスを管理しなければならない致命的なデメリットにもかかわらず、静的アドレスに割り当てる方式を検討したことがある。
【0005】
しかし、例えば、車両の前後左右に取り付けられる4つのカメラをイーサネット(登録商標)通信方式のネットワークで連結すると仮定すれば、静的アドレス割り当て方式の場合、前記4つのカメラそれぞれに対してIP割り当てを行わなければならず、4つのカメラのうちいずれか一つに故障が発生することになれば、当該位置のカメラでアドレスが割り当てられた部品を捜して交換しなければならないので、低い互換性と利用者にとっての不便を脱しにくい。
【0006】
さらに、ネットワークサーバがネットワークに連結されるノード情報を事前に完璧に知っていなければならず、新しいデバイスがネットワークに新しく連結される可能性が排除される状況を想定しなければならないので、現実的にネットワーク運営上多い制約を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2004/106858
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の事情を勘案してなされたものであって、本発明の目的は、イーサネット(登録商標)通信を利用して車両内部の通信ネットワークを構成する場合、動的ホスト設定通信規約(DHCP;Dynamic Host Configuration Protocol)が有するIP設定所要時間の限界を解消できる車両用通信ネットワークの運営管理システム及びをその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による車両用通信ネットワークの運営管理方法は、車両内部の各ユニットに備えられたノードが通信する車両用ネットワークの運営管理方法において、車両のバッテリー電源が車両内部の各ユニットに供給され、それぞれの動作プログラムにより初期化を行うパワーオンモード(PowerOn Mode)段階と、各ユニットのノードがネットワークに参加してネットワークをリクエスト(request)するノーマルモード(Normal Mode)段階と、他のノードによってネットワークはリクエストされるが、他のノードをリクエストしないスリープアイエヌディモード(SleepInd Mode;Sleep Indication Mode)段階と、通信を終了するスリープモード(Sleep Mode)段階と、ネットワークに連結された全てのノードがこれ以上通信しない場合、前記スリープモードへの切換えを待機するウェイトバススリープモード(WaitBus Sleep Mode)段階と、前記ユニットに電源が遮断されて通信することができないパワーオフモード(PowerOff Mode)段階と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
前記スリープアイエヌディモード段階は、前記ノーマルモード段階と基本動作遂行において同一であり、ネットワークを覚まさない(wakeup)点で前記ノーマルモード段階と異なる差を有することを特徴とする。
【0011】
前記ウェイトバススリープモード段階で通信メッセージが発生した場合、前記スリープアイエヌディモード段階に進入することを特徴とする。
【0012】
前記ウェイトバススリープモード段階が約定された所定時間のあいだ持続する場合、前記スリープモード段階に進入することを特徴とする。
【0013】
前記スリープモード段階又は前記スリープアイエヌディモード段階で当該ノードが約定された形式のウェークアップ(wakeup)信号を受信することになれば、前記ノーマルモード段階に進入することを特徴とする。
【0014】
前記約定されたウェークアップ信号は、ユニット自体の動作によるローカルウェークアップ信号とリモートウェークアップ信号で具現されることを特徴とする。
【0015】
前記パワーオンモード段階又は前記ノーマルモード段階で、ネットワークを構成する各ノードに対するアドレス割り当てが行われることを特徴とする。
【0016】
前記アドレス割り当てが完了することになれば、前記ノーマルモード段階に切り換えられることを特徴とする。
【0017】
前記パワーオフモード段階は車両バッテリーが取り外されるか、ユニット全体又はCPU/MCUに電源供給が遮断されることにより生じることを特徴とする。
【0018】
車両のバッテリーが取り付けられると、前記パワーオンモード段階、ノーマルモード段階、スリープアイエヌディモード段階、スリープモード段階が順次行われ、ネットワークの初期設定が完了することを特徴とする。
【0019】
前記ネットワークを構成する全てのユニットがスリープアイエヌディモード段階に進入するようになれば、前記ウェイトバススリープモード段階に進入することを特徴とする。
【0020】
本発明による車両用通信ネットワークの運営管理システムは、車両内部の各ユニットに備えられたノードが、DHCPサーバを備えたユニットを中心に通信をする車両用ネットワークの運営管理システムにおいて、前記ネットワークを構成する各ユニットには、通信プロトコルを含む動作プログラムが貯蔵された第1動作プログラム貯蔵部と、この第1動作プログラム貯蔵部に貯蔵されたプログラムに基づき装置全般の動作を制御する第1制御部と、他のユニット又はDHCPサーバとの通信のための第1通信部と、前記DHCPサーバとの通信を介して割り当てられた自己アドレス情報を貯蔵する第1自己アドレス情報貯蔵部と、が備えられ、前記DHCPサーバが備えられたユニットには、通信プロトコルを含む動作プログラムが貯蔵された第2動作プログラム貯蔵部と、この第2動作プログラム貯蔵部に貯蔵されたプログラムに基づき装置全般の動作を制御する第2制御部と、他のユニットとの通信のための第2通信部と、自己アドレス情報を貯蔵する第2自己アドレス情報貯蔵部と、ネットワークを構成する各ユニットのアドレス情報を貯蔵するユニット別アドレス情報貯蔵部と、ネットワークの動作状態を現わす動作モードをデータとして貯蔵するモード貯蔵部と、が備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、イーサネット(登録商標)通信を利用して車両内部の通信ネットワークを構成する場合、動的ホスト設定通信規約(DHCP;Dynamic Host Configuration Protocol)が有する過度なIP割り当て及び設定所要時間の限界を解消できる。動的アドレスを用いる時のようなネットワークの柔軟性を確保しながら、静的アドレスを用いるときのような速やかなネットワーク登録設定が可能になる。その結果、車両内の電装部品が速やかに起動され、車両始動と同時に各電装部要素が活性化されることはもちろん、安定的な車両用内部ネットワークの運用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による車両用通信ネットワークで連結された車両内部電装部品のネットワーク構成図である。
図2図1の車両用通信ネットワークシステムの主要構成を示すブロック図である。
図3図2の車両用通信ネットワークの動作フローを示すフローチャートである。
図4図3の車両用通信ネットワークのステートダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明による車両用通信ネットワークで連結された車両内部の電装部品のネットワーク構成図である。図1は、ネットワークを構成する全てのユニット(Unit)を示すものではなく、本発明の概念を説明するための一部の構成のみを示したものである。図1に示すように、車両に取り付けられるカメラ10a〜10d、ヘッドユニット20(Head Unit)など各電装部品にはECU(Electronic Control Unit)が内蔵され、各ECUには、イーサネット(登録商標)通信のための通信プログラムが内蔵される。
【0025】
一方、本発明のDHCPサーバは、ECUが内蔵された電装部品のうちいずれにも具現が可能なので、製造会社は車両設計時に戦略的な必要性又は有用性を検討した結果に従って、その取付け位置を自由に選定することができる。本実施例では、便宜上ドライバーアシストユニット(Driver Assist Unit)30にDHCPサーバが具現されたものと仮定する。
【0026】
図2は、図1に示す車両用通信ネットワークシステムの主要構成を示したブロック図である。図2の符号20は、車両に通常内蔵されるヘッドユニット(Head Unit)であって、その内部には使用者入力部21と、映像出力部22、音声出力部23及び動作プログラムが貯蔵された第1動作プログラム貯蔵部24と、この第1動作プログラム貯蔵部24に貯蔵されたプログラムに基づき装置全般の動作を制御する第1制御部25、他のユニット又はDHCPサーバとの通信のための第1通信部26、DHCPサーバとの通信を介し割り当てられた自己アドレス情報を貯蔵する第1自己アドレス情報貯蔵部27が備えられる。
【0027】
符号30は、DHCPサーバに備えられたドライバーアシストユニット(Driver Assist Unit)であって、内部には、イーサネット(登録商標)通信プロトコルを含む動作プログラムが貯蔵される第2動作プログラム貯蔵部34と、第2動作プログラム貯蔵部34に貯蔵されたプログラムに基づき装置全般の動作を制御する第2制御部35、他のユニットとの通信のための第2通信部36、自己アドレス情報を貯蔵する第2自己アドレス情報貯蔵部37、そしてネットワークを構成する各ユニットのアドレス情報を貯蔵するユニット別アドレス情報貯蔵部38及びネットワークの動作状態、すなわち動作モードをデータとして貯蔵するモード貯蔵部39が備えられる。
【0028】
図3のフローチャートを参照して、本発明の車両用通信ネットワークの運営管理方法の実行過程を説明する。本発明の車両用通信ネットワークの運営管理方法は、パワーオンモード(PowerOn Mode)、ノーマルモード(Normal Mode)、スリープアイエヌディモード(SleepInd Mode)、ウェイトバススリープモード(WaitBus Sleep Mode)、スリープモード(Sleep Mode)、パワーオフモード(PowerOff Mode)で構成された6つの動作モードを有する。
【0029】
図4は、6つの動作モードの相互動作関係を示す状態ダイヤグラムである。パワーオンモード(PowerOn Mode)は、車両の製造工程上でバッテリーが取り付けられる段階(Battery Attachment)、すなわちバッテリー電源が車両内部の各ユニットに供給され、それぞれの動作プログラムにより初期化を行う動作モードである。ノーマルモード(Normal Mode)は、各ユニットのECUがネットワークに参加してネットワークをリクエスト(request)するモードである。スリープアイエヌディモード(SleepInd Mode;Sleep Indication Mode)は、ユニットによってネットワークにリクエストされるが、ノーマルモードと基本動作遂行面では差がないが、ネットワークを覚まさ(wakeup)ない点がノーマルモードとは異なる。ただし、スリープアイエヌディモードでは、ECUが受領した信号に従いノーマルモードへの進入が可能である。
【0030】
スリープモード(Sleep Mode)は通信を終了するモードである。ウェイトバススリープモード(WaitBus Sleep Mode)はネットワークに連結された全てのノード(ユニット)等がこれ以上通信しない場合、通信終了状態(Sleep Mode)への切換えを待機するモードであって、このウェイトバススリープモードで通信メッセージが発生した場合、スリープアイエヌディモードに進入する。パワーオフモード(PowerOff Mode)は、車両のバッテリーが取り外されるか、ユニット全体又はCPU/MCUに電源が遮断され、通信することができない状態である。
【0031】
図3のフローチャートに示すように、車両生産工程上で各種電装部品の組み立てが完了し、バッテリーの取り付けが行われて車両内部の各ユニットに電源が供給されるようになれば(ST10)、各ユニットの制御部25、35はパワーオンモード(PowerOn Mode)に進入して動作プログラム貯蔵部24、34に貯蔵されたプログラムをローディングし、このプログラムに基づき初期化を行う。(ST11)
初期化した後、制御部25、35は、ノーマルモード(Normal Mode)に進入して全体ネットワークを覚ますためのリモートウェークアップ信号(Remote Wakeup Signal)を送り出す。(ST12)
【0032】
次いでDHCPサーバが具現されたドライバーアシストユニット30の第2制御部35は、ネットワークを構成する各ユニットの存在を確認した後、各ユニットに対するイーサネット(登録商標)アドレスを割り当てる。(ST13)
この段階を経てアドレス割り当てが完了すれば(ST14)、ユニットはネットワークを確定してスリープアイエヌディモード(SleepInd Mode)に進入する。(ST15)
【0033】
一方、この段階により全てのユニットがスリープアイエヌディモードに切り換えられることになれば(ST16)、ネットワークの動作モードはウェイトバススリープモード(WaitBus Sleep Mode)に進入して待機状態に切り換えられる。(ST17)
ウェイトバススリープモード状態が約定された時間、例えば500msのあいだ持続されたものと確認されれば(ST18)、ネットワーク動作モードはスリープモード(Sleep Mode)に切り換えられる。(ST19)
【0034】
スリープモードは、電源が供給される状況で通信が終了した状態であり、車両の始動が停止され電源状態がACC OFF又はIGN OFFになれば、ネットワークの動作モードはスリープモードに進入する。すなわち、車両のバッテリーが取り外されバッテリーの連結が解除されることにより電源供給が遮断されない以上、ネットワークの動作モードがパワーオフモード(PowerOff Mode)に切り換え(ST20〜ST21)られない。
【0035】
この段階によりアドレス割り当てが完了した状態で、車両は購買者(運転手)に引き渡される。運転手が車両のドアを開くか、車両オーディオを作動させるなどの一連のセンサ検出による動作感知によってローカルwakeup信号が発生され、ネットワークの動作モードはスリープモードからスリープアイエヌディモードに直ちに自動切り換えられる。イーサネット(登録商標)通信によるwakeup信号によってはリモートwakeupが行われ、スリープモードでスリープアイエヌディモードに切り換えられる。これによって車両内部の各電装部品が正常な動作を行うことができるようになる。
【0036】
すなわち、本実施例によれば、イーサネット(登録商標)通信を利用して車両内部の通信ネットワークを構成する場合、動的ホスト設定通信規約(DHCP;Dynamic Host Configuration Protocol)が有する過度なIP割り当て及び設定所要時間の限界を解消できる。車両用通信ネットワークの運営管理システム、及びその方法を実現することができる。なお、本発明は、本実施例に限定されず、多様に変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
車両の通信ネットワークの運営管理システム及び方法として好適である。
【符号の説明】
【0038】
10a〜10d カメラ
20 ヘッドユニット(Head Unit)
21 使用者入力部
22 映像出力部
23 音声出力部
24 第1動作プログラム貯蔵部
25 第1制御部
26 第1通信部
27 第1自己アドレス情報貯蔵部
30 ドライバーアシストユニット
34 第2動作プログラム貯蔵部
35 第2制御部
36 第2通信部
37 第2自己アドレス情報貯蔵部
38 ユニット別アドレス情報貯蔵部
39 モード貯蔵部
40 DVDプレーヤー
50 アンプ(Amp.)
60 リアシートディスプレイ
70 衛星受信機(satellite radio)
80 ブルートゥース(bluetooth)
90 GPS
図1
図2
図3
図4