(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200159
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】電子常磁性共鳴システムのための超低振動無冷媒クライオスタット
(51)【国際特許分類】
G01R 33/31 20060101AFI20170911BHJP
G01R 33/32 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
G01N24/02 510F
G01N24/04 510A
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-11830(P2013-11830)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-156251(P2013-156251A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】13/359,633
(32)【優先日】2012年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512190549
【氏名又は名称】コールドエッジ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・エイチ・ハイス
(72)【発明者】
【氏名】アジェイ・カトリ
【審査官】
立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−172597(JP,A)
【文献】
特表平07−507878(JP,A)
【文献】
特開2007−064984(JP,A)
【文献】
特開平04−295782(JP,A)
【文献】
特開2008−075893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/31
G01R 33/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉サイクル低温冷却器の用途のために一対の反対の磁石を有する電子常磁性共鳴システムのための超低振動無冷媒クライオスタットであって、
前記超低振動無冷媒クライオスタットは、
前記閉サイクル低温冷却器に熱的に接続されると共に気体ヘリウムが導入される細長いカップ状の試料容器と、
試料を保持すると共に前記試料容器に配置される試料スティック組立体と、
前記磁石に対して前記試料スティック組立体を機械的に配列する支持機構と、
前記閉サイクル低温冷却器によって生成された振動が前記試料に伝達されないように、前記試料容器に前記試料スティック組立体を接続するフレキシブルなゴムベローズと、
を備える超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項2】
前記閉サイクル低温冷却器は、前記閉サイクル低温冷却器の軸に沿って配置された第1のステージと第2のステージとを有し、
前記超低振動無冷媒クライオスタットは、前記閉サイクル低温冷却器の軸及び前記磁石間に垂直に延在する中空の真空シュラウドを更に備える請求項1に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項3】
前記試料容器を囲繞すると共に前記真空シュラウドの内部に配置された熱放射シールドを更に備える請求項2に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項4】
前記熱放射シールドと前記閉サイクル低温冷却器の第1のステージとの間に接続された熱伝導性リンクを更に備える請求項3に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項5】
前記真空シュラウドは、前記磁石間の領域に55mm以下の外形寸法を有する請求項2に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項6】
前記試料容器と前記試料スティック組立体との間に配置された薄壁のフレキシブルな金属ベローズを更に備える請求項1に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項7】
前記支持機構は、前記磁石に機械的に取り付けられたブラケットを備える請求項1に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項8】
前記ゴムベローズに接続されたインタフェースフランジと、
前記試料スティック組立体に前記インタフェースフランジをクランプするためのクランプと、
を更に備える請求項1に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項9】
前記ゴムベローズは、上側フランジと前記試料容器との間に接続され、
前記超低振動無冷媒クライオスタットは、前記上側フランジと前記試料容器との間に延在する複数の取り外し可能な支柱を更に備え、
前記支柱は、組み立て中に所定の位置にフランジを保持し、前記超低振動無冷媒クライオスタットの動作中に取り外される請求項1に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項10】
前記試料スティック組立体は、前記支柱が取り外される前に、前記上側フランジと対になって前記上側フランジにクランプされるフランジを有する請求項9に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項11】
前記試料容器は、少なくとも40mmの内径を有する請求項1に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項12】
自身の軸に沿って配置された第1のステージと第2のステージとを有する閉サイクル低温冷却器と、
前記閉サイクル低温冷却器に熱的に接続されると共に気体ヘリウムが導入される細長いカップ状の試料容器と、
試料を保持すると共に前記試料容器に配置される試料スティック組立体と、
前記閉サイクル低温冷却器の軸及び磁石間に垂直に延在する中空の真空シュラウドと、
前記磁石に対して前記試料スティック組立体を機械的に配列する支持機構と、
前記閉サイクル低温冷却器によって生成された振動が前記試料に伝達されないように、前記試料容器に前記試料スティック組立体を接続するフレキシブルなゴムベローズと、
を備える超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項13】
前記試料容器を囲繞すると共に前記真空シュラウドの内部に配置された熱放射シールドと、
前記熱放射シールドと前記閉サイクル低温冷却器の第1のステージとの間に接続された熱伝導性リンクと、
を更に備える請求項12に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項14】
前記支持機構は、前記磁石に機械的に取り付けられたブラケットを備える請求項13に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項15】
前記試料容器と前記ゴムベローズとの間に配置された薄壁のフレキシブルな金属ベローズを更に備える請求項14に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項16】
前記ゴムベローズは、上側フランジと前記試料容器との間に接続され、
前記超低振動無冷媒クライオスタットは、前記上側フランジと前記試料容器との間に延在する複数の取り外し可能な支柱を更に備え、
前記支柱は、組み立て中に所定の位置にフランジを保持し、前記超低振動無冷媒クライオスタットの動作中に取り外される請求項15に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【請求項17】
前記試料スティック組立体は、前記支柱が取り外される前に、前記上側フランジと対になって前記上側フランジにクランプされるフランジを有する請求項16に記載の超低振動無冷媒クライオスタット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子常磁性共鳴システムのための超低振動無冷媒クライオスタットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子常磁性共鳴(EPR)又は電子スピン共鳴(ESR)分光法は、有機及び無機の遊離基、又は遷移金属イオンを含む無機錯体のような1つ以上の不対電子を有する化学種を研究するための技術である。量子論によれば、電子は磁気モーメントをもたらす角運動量として理解されるスピンを有する。電子が磁界に配置された場合、磁気モーメントは磁界と一致する傾向がある。しかしながら、量子効果により、電子は2つの状態のみを採り得る:磁気モーメントが印加磁界に平行に配列されるか、磁気モーメント印加磁界に反平行に配列される。これらの2つの状態のそれぞれは異なるエネルギ準位を有する。電磁波が2つのエネルギ準位との間のセパレーションに対応する周波数で印加される場合、エネルギは電磁界から吸収され、この吸収は測定することができる。EPRスペクトルは、電磁波周波数又は印加磁界強度のいずれかの変更、及びエネルギ吸収の測定によって作成することができる。実際上、後者は一般に変化する。
【0003】
大部分の安定分子がそれらの全ての電子と対になるので、EPR現象は一般にそれらの分子において顕著ではない。常磁性の分子として知られているいくつかの分子は、奇数の電子を有し、それは言うまでもなく対になることができない。一般にEPR技術を通じて研究されるのはこれらの分子である。常磁性種に対するこの制約は、通常の化学溶剤及びマトリックスはEPRスペクトルを生じさせないので、EPR技術が大きな特殊性の1つであることも意味する。
【0004】
多くのEPR試験では、それは非常に低い温度(4〜10K)でEPR試料を測定するのに有利又は必要である。低温での動作の利点は、室温や相転移を研究するための能力において休止時間が非常に短い場合、試料からの信号レベルの増加を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの絶対温度の範囲に試料を冷却するためのいくつかの方法がある。最も広く用いられる方法は、液体ヘリウムの溶液に試料を浸すか、又は試料が液体ヘリウムの蒸発により流出する蒸気に浸される場合には試料容器に試料を配置するものである。しかしながら、この方法はいくつかの欠点を有する。液体ヘリウムはそれ自身が比較的に高価であり、液体ヘリウムが作業場所に運搬される場合には、ボイルオフによる液体ヘリウムのいくらかの損失を避けられず、液体ヘリウムを更に高価にする。更に、ヘリウムが蒸発するとき、一般に気体は試料容器の上部から大気に放出され、典型的な試験が液体ヘリウムの数リットルをそれぞれ用いるように失われる。ヘリウムボイルオフが継続的であるので、EPR装置が試験間に低温で止まることを許可するのは経済的ではなく、従って、試験は可能な限り迅速に行われなければならないし、ヘリウムを節約するために予定が立てられなければならない。いずれにせよ、ヘリウムは動作の数時間ごとに補充されなければならず、従って、長期試験は不可能である。
【0006】
これらの問題点を克服するために、液体ヘリウムを用いないシステムが開発されている。これらのシステムは、一般に、要求温度まで金属「コールドヘッド」を冷却するためには、従来のギフォード=マクマーン(GM)冷却器又はパルス管冷却器のような閉サイクル冷却器を用いる。冷却されるべき試料はコールドヘッドに取り付けられ、直接的な導通によって冷却される。これらのシステムも欠点を有する。第1に、試料がコールドヘッドに機械的に接続されるので、冷却器機構によって生じた全ての振動も試料に伝達される。これらの振動は、典型的に約1〜2ヘルツであり、パルス時間が振動サイクル時間よりはるかに短いので、典型的にはパルスEPR試験に対して問題を引き起こさない。しかしながら、振動は、継続的なEPR試験に対して問題を引き起こす場合がある。第2に、コールドヘッドと試料とを隔離するために、これらの後の要素は、典型的に真空にされたハウジングに同封される。従って、コールドヘッドは高温にされる必要があり、ハウジングは試料を交換する前に解放される必要がある。試料が交換された後、ハウジングを真空とし、コールドヘッドを適切な温度に低下させる必要があり、これらの両方は時間を消費する動作である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の本質に従って、閉サイクル低温冷却器は、細長いカップ状の試料容器に熱的に接続され、試料容器を冷却する。比較的に低圧の気体ヘリウムが試料容器に導入された結果、試料容器が閉サイクル低温冷却器によって冷却されると共に、試料容器の気体も冷却される。試料は、試料スティック組立体に取り付けられ、その後、試料容器内に降下し、低温で試験を行うために冷却された気体によって試料が冷却される。試料スティック組立体は、スペクトロメータ磁石に機械的に取り付けられ、閉サイクル低温冷却器によって生成された振動が試料に伝達されないように、フレキシブルなゴムベローズが試料スティック組立体を試料容器に接続する。
【0008】
ある実施の形態では、試料容器は、閉サイクル低温冷却器のコールドヘッドに垂直に延在する管状の真空シュラウドに含まれ、その結果として、従来の電子常磁性共鳴スペクトロメータの磁極間の狭い間隔に対して試料容器が動作することを可能にする。
【0009】
別の実施の形態では、熱放射シールドは試料容器アセンブリに統合され、磁極間に延在する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子常磁性共鳴システムのための超低振動無冷媒クライオスタットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】発明の本質に従って構成されたクライオスタットアセンブリの端面図である。
【
図1B】
図1Aに示されるクライオスタットアセンブリの側面図である。
【
図2】クライオスタットの垂直部分の断面図である。
【
図3】磁石フレームに取り付けられたブラケットに取り付けたEPRプローブを示すEPR磁石組立体の透視図である。
【
図4】取付組立体を有するプローブの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1A及び1Bは、発明の本質に従って構成されたクライオスタットの端面図及び側面図を示す。クライオスタット100は、第1のステージ104及び第2のステージ又はコールドヘッド106を有する閉サイクル低温冷却器102によって冷却される。閉サイクル低温冷却器102は、従来のギフォード=マクマーン(GM)冷却器、又は凡そ10Kの温度にコールドヘッド106を冷却するパルス管冷却器のような従来の閉サイクル冷却器である。発明の用途に適切な閉サイクル低温冷却器は、Sumitomo Cryogenics of America, Inc. 1833 Vultee Street Allentown, PA 18103-4783によって製造・販売されたモデルRDK 408D2である。
【0013】
閉サイクル低温冷却器の第1のステージ104及び第2のステージ106は、対流熱伝達を低減する真空シュラウド108で囲繞される。真空シュラウド108は、真空シュラウド108にボルトで固定されたエンドプレート110によって閉じられる。真空シュラウド108の内表面に隣接して閉サイクル低温冷却器の第1のステージ104に取り付けられると共に熱的に接続された従来の円筒状の熱放射シールド(明確性のために
図1A及び1Bに示されない)が存在する。熱放射シールドが環状のエンドプレートによって閉じられる場合には、熱放射シールドは物理的にそれに接触せず、エンドプレート110に接近して延在する。この熱放射シールドは熱放射による熱伝達を低減する。以下に説明されるように、クライオスタット構造全体は、EPR磁石間のクライオスタットの垂直位置を決定するために調節可能な可調節支持構造112及び114に取り付けられる。
【0014】
発明の本質に従って、真空シュラウド108は、より詳細に以下に説明されると共により詳細に
図2に示される断面図に示されるように、試料容器及び試料を収容する垂直な延長部116を有する。延長部116は、中空矩形断面又は円筒断面のいずれかを有し、フランジ118及び120を介して真空シュラウド108にボルトで固定される。真空シュラウドの延長部116は、細長いカップの形状の導電性材料から構成された試料容器122を囲繞する。試料容器122は、熱放射シールド126内に空孔128を通じて延在する熱伝導性の試料容器の延長部124を介して閉サイクル低温冷却器の第2のステージ106に熱的に接続される。試料容器122は、空孔128を通じて更に伸びる試料容器の熱放射シールド130(明確性のために
図1A及び1Bに示されない)によってそれ自体が囲繞される。熱放射シールド130の下端132は、高熱伝導率を有する強固なリンク接続134又はフレキシブルリンクのいずれかを用いて閉サイクル低温冷却器102の第1のステージ104に取り付けられると共に熱的に接続される。熱放射シールドのリンク接続134は、熱収縮と熱膨張に適応するためにフレキシブルジョイント136を有し、機械的に熱放射シールド130を支持する。熱放射シールド130の他方の端は、
図2に示されるような試料容器122の上部に延在する。熱放射シールド130は、試料容器122の上部のより暖かい部分から試料容器122のより冷たい部分に伝達される熱負荷を遮断する。
【0015】
試料容器122、試料容器の熱放射シールド130、及び真空シュラウドの延長部116の全ては、レーザ光線が試料に印加されることを可能にする窓134を有する。
【0016】
試料容器アセンブリ122は2つのベローズ機構を用いる。細い金属ベローズ138は、試料容器122を囲繞する真空チャンバを形成するために真空ハウジング116にボルトで固定された真空ハウジングの延長部142の一部を室温において形成する真空ハウジングのインタフェースフランジ140に試料容器122を接続する。金属ベローズ138は、位置決めのためのアセンブリフレキシビリティを可能にし、インタフェースフランジ140から試料容器122に伝達される熱負荷を軽減する支援をする。
【0017】
別のソフトフレキシブルなゴムベローズ144は、インタフェースフランジ140と、試料スティック組立体(
図2に示されない)にクランプされたフランジアセンブリ146との間に取り付けられる。クライオスタットの設置及び運搬中に、4つの支柱(2つの148で示される)が試料スティック組立体のインタフェースフランジ146と真空ハウジング140との間に移動可能に取り付けられる。支柱148は、試料スティック組立体のインタフェースフランジ146を安定して保持し、動作中は取り外される。
【0018】
ヘリウム注入口接続金具150は、試料スティック組立体のインタフェースフランジ146の内部及び試料容器122の内部と順次連絡するヘリウム注入チューブ152にT字接続金具156を介して接続される。ヘリウム注入チューブ152は、試料容器122が気体ヘリウムで充填されることを可能にする。試験中、試料容器122内のヘリウムの圧力は、T字接続金具156に取り付けられたリリーフ弁154によって3.44kPa〜6.89kPa(0.5psi〜1psi)に保持される。試料容器122は、閉サイクル低温冷却器102によって冷却され気体ヘリウムを冷却し、次いで、試料(
図2に示されない)を冷却する。
【0019】
図3及び4は、EPR磁石及び試料スティック組立体をより詳細に示す。典型的なEPR磁石組立体300は、
図3に示され、磁極キャップ306及び308を有する一対の電磁石302及び304で構成される。そして、電磁石302及び304は、架台312に取り付けられた磁石フレーム310によって支持される。
【0020】
試料スティック組立体400は、
図4に概略的に示される。試料スティック組立体の従来部分は明確性のために省略される。取付板402は、以下に説明されるように、試料スティック組立体400を磁石フレーム310に取り付けるために用いられる。試料スティック組立体400は、典型的に長い石英管(図示せず)に配置された試料を受け取る試料ホルダ403を有する。石英管は、試料ホルダ403の空孔404に挿入され、試料スティック組立体の端432に近づくように延在する。
【0021】
取付板402は、それぞれがスロット414〜420を有する4つのアーム406〜412を備える。スロット414〜420は、
図3に示されるブラケット316のアームに最適である。正規位置では、試料スティック組立体は、ブラケットに対してネジを締める4つのつまみ422〜428によって所定の位置に固定することができる。試料スティック組立体は、クライオスタットの試料スティック組立体のインタフェースフランジ146と対になった試料スティック組立体のフランジ430も含む。
【0022】
試験中、
図1A、1B及び2に示されるクライオスタットアセンブリは、磁極キャップ306及び308間に上に向かって延在する試料容器122を有する磁石302及び304の下の床に配置される。その後、試料スティック組立体400は、試料容器122に挿入され、ブラケット316に支持され、取り付けられ、次いで、フレーム310に取り付けられる。一旦、試料スティック組立体が適切に位置決めされれば、フランジ146及び430は相互にクランプされ、4つの支柱148はフレキシブルなゴムベローズ144によってのみ試料スティック組立体に接続されたクライオスタットを残して取り外される。ゴムベローズ144は、閉サイクル低温冷却器102によって引き起こされたあらゆる振動から試料スティック組立体400を分離する。ナノメートル範囲の超低振動は、この方法を用いて達成することができる。
【0023】
創造性のある設計はいくつかの固有の特徴を利用する。真空ハウジング116は、55〜57mmの間隔に設定された磁極キャップ306及び308間に最適なサイズにされる。サイズは、ホールセンサが物理的干渉なしに磁極キャップ306及び308に取り付けられることを可能にする。ある実施の形態では、試料容器122の内径は40〜43mm径であり、既存の試料スティック組立体のサイズを受け入れることが予定される。クライオスタットの物理的な寸法は、試験中に最も高い磁界及び感度を提供し、55mmの狭いEPR磁極間隔で動作することができる。この設計は、研究者が長期試験を実行し、実験室で液体ヘリウムデュワを用いる補給業務を単純化し、システムの動作を単純化し、自動化し、より長期的な運転費用を低減することを可能にする。
【0024】
本発明は、その複数の実施の形態に関連して示され説明されたが、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、形状及び細部の様々な変更をなし得ることが当業者によって認識される。