(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200275
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】コンロ用の温度検出装置
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20170911BHJP
F24C 7/04 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
F24C3/12 X
F24C7/04 301A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-222450(P2013-222450)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-83903(P2015-83903A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】藤井 拓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美紀
(72)【発明者】
【氏名】阿南 華織
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−234370(JP,A)
【文献】
特開2002−243558(JP,A)
【文献】
米国特許第05448038(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体の固定部に、固定手段によりその被固定部が固定される、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材と、
前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
前記移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設された温度検出手段としてのサーミスタとを具備し、
前記固定側支持部材の上端側には、径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、
前記移動側支持筒には、前記上下動可能な範囲の最上方位置において、前記張出部が前記移動側支持筒に当接して、前記移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、
(a)前記固定側支持部材の前記被固定部の外周には、固定用凹溝が形成されており、
(b)当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための前記固定手段が備える固定用凸部が、前記固定用凹溝に嵌入することにより、前記固定側支持部材の前記被固定部が前記コンロ本体の前記固定部に位置決めされて取り付けられており、かつ、
(c)前記固定手段が線材により構成され、前記線材自体が前記固定用凸部を構成していること
を特徴とするコンロ用の温度検出装置。
【請求項2】
コンロ本体の固定部に、固定手段によりその被固定部が固定される、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材と、
前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
前記移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設された温度検出手段としてのサーミスタとを具備し、
前記固定側支持部材の上端側には、径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、
前記移動側支持筒には、前記上下動可能な範囲の最上方位置において、前記張出部が前記移動側支持筒に当接して、前記移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、
(a)前記固定側支持部材の前記被固定部の外周には、固定用凹溝が形成されており、
(b)当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための前記固定手段が備える固定用凸部が、前記固定用凹溝に嵌入することにより、前記固定側支持部材の前記被固定部が前記コンロ本体の前記固定部に位置決めされて取り付けられており、かつ、
(c)前記固定手段が帯状の板材により構成され、前記帯状の板材自体が前記固定用凸部を構成しているとともに、
(d)前記固定用凹溝が、前記帯状の板材を嵌入させることができるように幅広に形成されていること
を特徴とするコンロ用の温度検出装置。
【請求項3】
コンロ本体の固定部に、固定手段によりその被固定部が固定される、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材と、
前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
前記移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設された温度検出手段としてのサーミスタとを具備し、
前記固定側支持部材の上端側には、径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、
前記移動側支持筒には、前記上下動可能な範囲の最上方位置において、前記張出部が前記移動側支持筒に当接して、前記移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、
(a)前記固定側支持部材の前記被固定部の外周には、固定用凹溝が形成されており、
(b)当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための前記固定手段が備える固定用凸部が、前記固定用凹溝に嵌入することにより、前記固定側支持部材の前記被固定部が前記コンロ本体の前記固定部に位置決めされて取り付けられており、かつ、
(c)前記固定手段が帯状に構成され、当該帯状の固定手段には、前記固定用凹溝に嵌入する固定用凸部が突設されていること
を特徴とするコンロ用の温度検出装置。
【請求項4】
前記固定用凹溝が、前記固定側支持部材の軸方向に所定の間隔をおいて複数配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンロ用の温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ用の温度検出装置に関し、詳しくは、ガスコンロやガステーブルなどの調理機器に載置された鍋などの調理用具(炊事具)の温度を検出するための温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスコンロやガステーブルなどの調理機器は、鍋などの調理用具(炊事具)が載置されていることを検出し、さらに調理用具の底面に接してその温度を検知する温度検出装置を備えている。
【0003】
このような調理用具の温度検出装置としては、例えば
図6および
図7に示すような構成を備えたコンロ用の温度検出装置が提案されている。
【0004】
この温度検出装置は、コンロ本体に固定される案内筒103の上端の鍔状部103aは、その外径がサーミスタ104を備えた当接体101を具備する筒状支持体102の本体部102Aにおける2段状の内周面の小径部の内径よりも大きく、かつ、大径部の内径よりも小さくなるように形成されている。
【0005】
そして、案内筒103の上端部の外側に位置させた筒状支持体102が、筒状支持体102の本体部102Aにおける2段状の内周面の段部が案内筒103の鍔状部103aに当接することにより上方への移動が阻止される状態で、案内筒103にて昇降自在に案内されるように構成されている。
【0006】
また、案内筒103を固定するための保持具106は、半割り円筒状の湾曲部106cの周方向の両端夫々に平板状部106a,106bを備えた形状に形成されている。
そして、保持具106には、一方の平板状部106aから、半割り円筒状の湾曲部106cを経て、他方の平板状部106bに至るように、案内筒103の突起部103bを嵌入させることが可能な長孔106dが設けられている。
【0007】
そして、コンロ本体に配設されたバーナに取り付け固定されたセンサ取り付け部133に、ねじ式締結手段(ボルト)110を有する保持具106により、案内筒103をセンサ取り付け部133に固定したときに、案内筒103の下端側に設けた突起部103bが長孔106dに嵌入することで、案内筒103がコンロ本体に位置決めされるように構成されている。
【0008】
しかしながら、上記従来のコンロ用の温度検出装置の場合、その製造段階において、筒状支持体102の2段状の内周面の小径部に案内筒103が挿通され、案内筒103の鍔状部103aが筒状支持体102の2段状の内周面の小径部より上方に位置する状態とするためには、筒状支持体102の上方側から案内筒103を筒状支持体102の2段状の内周面の小径部に挿入することが必要になるが、案内筒103の下端側には突起部103bが設けられているため、筒状支持体102の2段状の内周面の小径部の内径を、突起部103bの外径より大きくする必要がある。
【0009】
このため、上記従来のコンロ用の温度検出装置の場合、使用状態において、案内筒103と筒状支持体102の2段状の内周面の小径部との間に、突起部103bの外径と案内筒103の外径との差に相当する寸法より大きな隙間が存在することになる。
【0010】
そして、上記従来のコンロ用の温度検出装置の場合、この隙間が存在することにより、温度検出装置の使用時において当接体101に対して横向きの力が作用すると、温度検出手段としてのサーミスタ104と熱的に結合する当接体101を支持する筒状支持体102が傾いてしまい、当接体101が鍋などの調理用具の底面に適切に当接せず、調理用具の底面温度を正確に測定することができなくなってしまうという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−234370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、鍋などの調理用具との接触などによって、温度検出手段としてのサーミスタと熱的に結合する当接体に横向きの力が作用した場合にも、当接体を鍋などの調理用具の底面に適切に当接させることが可能で、調理用具の底面温度を正確に測定することが可能な、コンロ用の温度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)のコンロ用の温度検出装置は、
コンロ本体の固定部に、固定手段によりその被固定部が固定され
る、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材と、
前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
前記移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設された温度検出手段としてのサーミスタとを具備し、
前記固定側支持部材の上端側には、径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、
前記移動側支持筒には、前記上下動可能な範囲の最上方位置において、前記張出部が前記移動側支持筒に当接して、前記移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、
(a)前記固定側支持部材の前記被固定部の外周には、固定用凹溝が形成されており、
(b)前記固定手段が備える固定用凸部が、前記固定用凹溝に嵌入することにより、前記固定側支持部材の前記被固定部が前記コンロ本体の前記固定部に位置決めされて取り付けられて
おり、かつ、
(c)当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための前記固定手段が線材により構成され、前記線材自体が前記固定用凸部を構成していること
を特徴としている。
【0014】
また、本発明の他のコンロ用の温度検出装置は、
コンロ本体の固定部に、固定手段によりその被固定部が固定される、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材と、
前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
前記移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設された温度検出手段としてのサーミスタとを具備し、
前記固定側支持部材の上端側には、径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、
前記移動側支持筒には、前記上下動可能な範囲の最上方位置において、前記張出部が前記移動側支持筒に当接して、前記移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、
(a)前記固定側支持部材の前記被固定部の外周には、固定用凹溝が形成されており、
(b)当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための前記固定手段が備える固定用凸部が、前記固定用凹溝に嵌入することにより、前記固定側支持部材の前記被固定部が前記コンロ本体の前記固定部に位置決めされて取り付けられており、かつ、
(c)前記固定手段が帯状の板材により構成され、前記帯状の板材自体が前記固定用凸部を構成しているとともに、
(d)前記固定用凹溝が、前記帯状の板材を嵌入させることができるように幅広に形成されていること
を特徴としている。
【0015】
また、本発明のさらに他のコンロ用の温度検出装置は、
コンロ本体の固定部に、固定手段によりその被固定部が固定される、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材と、
前記固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、
前記移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、
前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合するような態様で配設された温度検出手段としてのサーミスタとを具備し、
前記固定側支持部材の上端側には、径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、
前記移動側支持筒には、前記上下動可能な範囲の最上方位置において、前記張出部が前記移動側支持筒に当接して、前記移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、
(a)前記固定側支持部材の前記被固定部の外周には、固定用凹溝が形成されており、
(b)当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための前記固定手段が備える固定用凸部が、前記固定用凹溝に嵌入することにより、前記固定側支持部材の前記被固定部が前記コンロ本体の前記固定部に位置決めされて取り付けられており、かつ、
(c)前記固定手段が帯状に構成され、当該帯状の固定手段には、前記固定用凹溝に嵌入する固定用凸部が突設されていること
を特徴としている。
【0016】
また、本発明のコンロ用の温度検出装置においては、前記固定用凹溝が、前記固定側支持部材の軸方向に所定の間隔をおいて複数配設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明(請求項1)のコンロ用の温度検出装置は、筒体からなる固定側支持部材と、固定側支持部材の外側に嵌挿され、上下動可能に支持された移動側支持筒と、移動側支持筒の上端を閉塞して配設され、調理用具の上下動に追随して上下動することにより、調理用具の底面に常時当接するように構成された当接体と、当接体の下面側に配設されたサーミスタとを具備し、固定側支持部材の上端側には径方向外側に張り出した張出部が設けられているとともに、移動側支持筒には、上下動可能な範囲の最上方位置において、張出部が移動側支持筒に当接して、移動側支持筒のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部が設けられたコンロ用の温度検出装置において、固定側支持部材の被固定部の外周に、固定用凹溝を形成し、
当該温度検出装置を、コンロ本体に固定するための固定手段が備える固定用凸部を、固定用凹溝に嵌入させることにより、固定側支持部材の被固定部をコンロ本体の固定部に位置決めして取り付けることができるように構成されており、かつ、上記
固定手段が線材により構成され、線材自体が固定用凸部を構成するようにしている。
【0018】
したがって、移動側支持筒が上下動可能な範囲の最上方位置において張出部が当接する、移動側支持筒の小径部の内周端縁の寸法を、固定側支持部材を構成する筒体の外径寸法よりもわずかに大きい程度の寸法とすることが可能になり、当接体に横方向の力が作用した場合にも、移動側支持筒と固定側支持部材との間に「がたつき」が生じ、当接体が傾斜してしまうことを抑制、防止して、当接体を調理用具の底面に適切に当接させることが可能になる。その結果、調理用具の底面の温度を正確に測定することが可能なコンロ用の温度検出装置を提供することが可能になる。
【0019】
また、当該温度検出装置を、コンロ本体に固定するための固定手段が線材により構成され、線材自体が固定用凸部を構成しているので、複雑な加工などを必要とすることなく、構造が簡潔で、低コストの固定手段を用いた、経済性に優れたコンロ用の温度検出装置を実現することが可能になる。
【0020】
また、当該温度検出装置を、コンロ本体に固定するための固定手段が帯状の板材により構成され、帯状の板材自体が固定用凸部を構成しているとともに、上記固定用凹溝が、帯状の板材を嵌入させることができるように幅広に形成されている場合、上述の本願発明の効果と同様の効果を得ることができるとともに、固定手段の上下方向の寸法(固定側支持部材の軸方向に沿う方向の寸法)を大きくして、固定側支持部材をコンロ本体の固定部に大きな強度で確実に固定することが可能になる。
【0021】
また、当該温度検出装置を、前記コンロ本体に固定するための固定手段が帯状に構成され、当該帯状の固定手段には、上記固定用凹溝に嵌入する固定用凸部が突設されている場合も、同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、固定用凹溝を、固定側支持部材の外周を周回するように形成した場合、平面視における被固定部の方向が制約される(すなわち、固定側支持部材の周方向の位置が限定される)ことを回避しつつ、被固定部をコンロ本体の固定部に位置決めして固定することが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
【0023】
また、
本発明において、固定用凹溝を、固定側支持部材の軸方向に所定の間隔をおいて複数配設するようにした場合、固定手段によって固定側支持部材をより強固に固定することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本発明の一実施形態(実施形態1)にかかるコンロ用の温度検出装置を示す一部切欠き正面図である。
【
図1B】
図1Aのコンロ用の温度検出装置を構成する固定側支持部材の固定用凹溝に固定手段の固定用凸部を嵌入させて固定した状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかるコンロ用の温度検出装置を備えたガスコンロの要部を示す断面図である。
【
図3A】本発明の他の実施形態(実施形態2)にかかるコンロ用の温度検出装置を示す一部切欠き正面図である。
【
図3B】
図3Aのコンロ用の温度検出装置を構成する固定側支持部材の固定用凹溝に固定手段の固定用凸部を嵌入させて固定した状態を示す図である。
【
図4A】本発明の変形例にかかる温度検出装置を示す一部切欠き正面図である。
【
図4B】
図4Aのコンロ用の温度検出装置を構成する固定側支持部材の固定用凹溝に固定手段の固定用凸部を嵌入させて固定した状態を示す図である。
【
図5】(a),(b)は、固定手段の変形例を示す図である。
【
図6】従来の温度検出装置の構成を示す正面断面図である。
【
図7】従来の温度検出装置の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
【0026】
[実施形態1]
図1A、
図1Bに、本発明の一実施形態(実施形態1)にかかるコンロ用の温度検出装置1を示す。このコンロ用の温度検出装置は、ガスコンロのバーナ部に配設されて、調理用具(鍋など)2(
図2)の温度を検出するために用いられるコンロ用の温度検出装置である。
【0027】
なお、ガスコンロおよびそのバーナ部の構成は既に周知であることから、詳細な構造は、図示を省略して、その要部構成を
図2に示している。
【0028】
ガスコンロには、1台のバーナ部または横方向に並ぶ2台のバーナ部、あるいはそれ以上のバーナ部を備えたものなどがあるが(図示省略)、ここでは温度検出装置1を備えた1つのバーナ部について、その構造を、
図1A、
図1Bおよび
図2を参照しつつ説明する。
【0029】
図2に示すように、バーナ部においては、混合管33の先端に環状のバーナベース41が連結されている。また、バーナベース41の上部には環状のバーナキャップ5が着脱自在に載置されている。そして、バーナベース41およびバーナキャップ5の略中心には、上下に貫通するように挿入孔4が設けられている。
【0030】
バーナキャップ5の周縁には溝が形成され、バーナキャップ5がバーナベース41に載置されると、バーナベース41とバーナキャップ5との間に外方に向けて炎を形成する複数の炎口(図示せず)が周方向に沿って間隔を隔てて形成されるように構成されている。
【0031】
また、前記バーナキャップ5は、コンロのトッププレート11に形成されたバーナ用開口部内の略中心に位置するように設けられ、このバーナ用開口部の周縁のトッププレート11には、調理用具2を載置するための五徳12が設けられている。
【0032】
そして、このコンロ部に配設されたコンロ用の温度検出装置1は、
図1Bに示すように、その被固定部70がコンロ本体の任意の固定部(図示せず)に固定手段77により固定され、上下方向に伸びる筒体からなる固定側支持部材(シャフト)56を備えている。
【0033】
また、
図1Aに示すように、固定側支持部材56の外側に嵌挿され、上下動可能に保持された移動側支持筒(ホルダー)53と、移動側支持筒53の上端に配設され、調理用具2の上下動に追随して上下動することにより、五徳12(
図2)に載置された調理用具2の底面位置が上下方向に変動した場合にも、調理用具2の底面に常時当接するように構成された当接体(集熱板)51を備えている。
【0034】
さらに、当接体51の下面側に、当接体51と熱的に結合するような態様で配設され、当接体51と一体となって移動側支持筒53の上下動に追随して上下動するように配設された、調理用具2の温度を検出するためのサーミスタ(温度検出素子)57を備えている。
【0035】
また、移動側支持筒53の上端部から下端近傍部までを、同心状に所定空間を介して被覆する被覆保護筒63とを備えている。なお、被覆保護筒63は、上下方向の下側部分が上側部分よりも径の小さい小径部63aとされており、この小径部63aの内径は、移動側支持筒53の大径部53bの外径と略同寸法とされている。
【0036】
また、固定側支持部材56の上端側には径外方向に張り出す張出部73を備えている。なお、この実施形態1では、鍔状部の下側にリング状の別部材である座金55を外嵌して張出部としている。
【0037】
また、移動側支持筒53の、上下動可能な範囲の最上方位置において、張出部73が移動側支持筒53に当接して、移動側支持筒53のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部53aが、移動側支持筒53に設けられている。
【0038】
また、移動側支持筒53内における当接体51の下面と張出部73の上面との間にはスプリング54が配設されており、移動側支持筒53はスプリング54の付勢力により固定側支持部材56に対して上方向に向けて付勢されている。
【0039】
また、サーミスタ57から下方には、移動側支持筒53より下方に伸びるリード線が接続されており、該リード線は絶縁チューブ59,60に収納され、保護されている。
【0040】
そして、この実施形態1にかかるコンロ用の温度検出装置1においては、固定側支持部材56の被固定部70の外周に、固定側支持部材56の軸方向に所定の間隔をおいて2条の固定用凹溝71が、被固定部70の外周を周回するように形成されており、固定手段77が備える固定用凸部72が、固定用凹溝71に嵌入することにより、固定側支持部材56の被固定部70がコンロ本体(図示せず)の固定部に位置決めされて取り付けられている。
【0041】
なお、この実施形態1では、固定手段77として、線材からなる固定手段が用いられており、固定手段77自体が固定用凹溝71に嵌入する固定用凸部72として機能するように構成されている。
このように、固定手段77を線材によって構成した場合、固定手段77自体が固定用凹溝71に嵌入する固定用凸部72として機能することから、構成が簡潔になり、製造コストの低減を図ることができるため、経済性に優れたコンロ用の温度検出装置1を提供することが可能になる。
【0042】
また、上述のように構成された実施形態1のコンロ用の温度検出装置においては、移動側支持筒53が上下動可能な範囲の最上方位置において張出部73が当接して、移動側支持筒53のそれ以上の上方向への移動を規制する小径部53aの内周端縁の寸法を、固定側支持部材56を構成する筒体の外径寸法に少しのクリアランスを加えた程度の寸法とすることが可能になる。
【0043】
その結果、当接体51に横方向の力が作用した場合にも、移動側支持筒53と固定側支持部材56との間に「がたつき」が生じ、当接体51が傾斜してしまうことを抑制、防止して、調理用具の底面に当接体51を適切に当接させることができる。
【0044】
なお、固定用凹溝71は、固定側支持部材56の外周の全周にわたって形成されているため、これにより平面視における被固定部70の方向が制約される(すなわち、被固定部70の周方向の位置が限定される)ことを回避しつつ、固定側支持部材56の被固定部70を、コンロ本体の固定部に位置決めすることができる。
【0045】
したがって、固定側支持部材56をコンロ本体の固定部に、所定の姿勢で確実に固定して保持することが可能になる。
【0046】
また、固定側支持部材56の軸方向に所定の間隔をおいて2条の固定用凹溝71が形成されていることから、固定手段77によって固定側支持部材56(の被固定部70)がより強固に固定される。
【0047】
ここで、
図6および
図7に示す従来の温度検出装置のように、案内筒103(本発明の実施形態1のコンロ用の温度検出装置1における固定側支持部材56に相当)に突起部103bを設けるようにした場合には、温度検出装置を製造する段階において、筒状支持体102の2段状の内周面の小径部に案内筒103が挿通されて、案内筒103の鍔状部103aが筒状支持体102の2段状の内周面の小径部より上方に位置する状態とするためには、筒状支持体102の上方側から案内筒103を筒状支持体102の2段状の内周面の小径部に挿入することが必要になる。そして、案内筒103の下端側には突起部103bが設けてあることから、筒状支持体102の2段状の内周面の小径部の内径を、突起部103bの外径より大きくする必要があり、案内筒103と状支持体102の2段状の内周面の小径部との間には、突起部103bの外径と案内筒103の外径との差に相当する寸法以上の隙間が存在することになる。そして、この隙間が存在することにより、コンロの使用時に、当接体101に対して横向きの力が作用した場合に、当接体101を支持する筒状支持体102が傾いてしまい、当接体101が鍋などの調理用具の底面に適切に当接せず、調理用具の底面温度を正確に測定することができなくなる。
【0048】
これに対し、この実施形態1のコンロ用の温度検出装置1では、固定側支持部材56には、突起部ではなく、固定用凹溝71を設けるようにしていることから、移動側支持筒(ホルダー)53の下端の内径は、固定側支持部材56の下端部の外径よりいくらか大きくするだけでよく、移動側支持筒53の下端と固定側支持部材56との間の間隙75を狭くすることができる。その結果、コンロ用の温度検出装置1の使用状態において当接体51に対して横向きの力が作用した場合にも、温度検出手段としてのサーミスタ57と熱的に結合する当接体51を支持する移動側支持筒(ホルダー)53の傾きが抑制され、当接体51を鍋などの調理用具の底面に適切に当接させることが可能になり、コンロ用の温度検出装置1によって調理用具の底面温度が的確に測定することができるようになる。
【0049】
なお、固定用凹溝71は、(a)予め筒状に形成した固定側支持部材56を、径方向にプレス加工して固定用凹溝71を形成する方法、(b)固定用凹溝71となる部位を、板状の部材にプレス加工などにより予め形成しておき、それを巻き加工する方法、(c)形成された固定側支持部材56に切削加工を施すことにより固定用凹溝71を形成する方法などの種々の方法で形成することが可能である。
【0050】
[実施形態2]
図3A、
図3Bに、本発明の他の実施形態(実施形態2)にかかるコンロ用の温度検出装置1を示す。
この実施形態2にかかるコンロ用の温度検出装置1は、
図3A、
図3Bに示すように、固定側支持部材56が幅広の固定用凹溝71を備えており、帯状の板材からなる固定手段77を、この幅広の固定用凹溝71に嵌入させることにより、固定側支持部材56がコンロ本体に取り付けられるように構成されている。
なお、実施形態2のコンロ用の温度検出装置の、その他の構成は上記実施形態1の場合と同様である。
【0051】
この実施形態2にかかるコンロ用の温度検出装置1においては、上述のように、固定側支持部材56に幅広の固定用凹溝71が形成されているとともに、固定手段として帯状の板材からなる固定手段77が用いられており、幅広の固定用凹溝71に、帯状の板材からなり、上下方向の寸法の大きい固定手段77を嵌入させることにより、固定側支持部材56の被固定部70を、コンロ本体の固定部(図示せず)の所定の位置に、強固に固定することが可能になる。
【0052】
なお、この実施形態2のコンロ用の温度検出装置1においても、帯状の板材からなる固定手段77自体が固定用凹溝71に嵌入する固定用凸部72として機能するように構成されていることから、構成が簡潔になり、製造コストの低減を図ることができる。
【0053】
[変形例]
(1)上記実施形態1および2では、固定用凹溝71を固定側支持部材56の周方向の全周にわたって形成しているが、固定用凹溝71を固定側支持部材56の周方向の全周にわたって設けるのではなく、固定側支持部材56の周方向の一部に(部分的に)固定用凹溝71を設けるように構成することも可能である。
【0054】
(2)また、上記実施形態1および2では、鍔状部73の下側にリング状の別部材である座金55を配設しているが、座金55を備えない構成とすることも可能である。
【0055】
(3)また、上記実施形態1では、固定側支持部材56に2条の固定用凹溝71を設けるようにしているが、
図4A、
図4Bに示すように、固定用凹溝71を固定側支持部材56の外周に1条だけ設けるように構成することも可能である。また、特に図示しないが、固定側支持部材56の外周に3条以上の固定用凹溝71を設けるようにすることも可能である。
【0056】
(4)また、実施形態2のコンロ用の温度検出装置が備える、幅広の固定用凹溝71を、固定側支持部材56に2条以上備えるように構成することも可能である。
【0057】
(5)さらに、実施形態1では線材からなる固定手段77自体が、実施形態2では帯状の固定手段77自体が、固定用凹溝71に嵌入する固定用凸部72として機能するように構成しているが、例えば、
図5(a),(b)に示すように、帯状の固定手段77に、固定用凹溝71に嵌入する固定用凸部72を突設するように構成することも可能である。
【0058】
本発明はさらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、固定側支持部材、移動側支持筒、当接体、サーミスタ、被覆保護筒などの各部材の具体的な構成、本発明のコンロ用の温度検出装置が適用されるコンロの構成などに関し、本発明の範囲内において各種の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 コンロ用の温度検出装置
2 調理用具(鍋など)
4 挿入孔
5 バーナキャップ
11 トッププレート
12 五徳
33 混合管
41 バーナベース
51 当接体(集熱板)
53 移動側支持筒(ホルダー)
53a 移動側支持筒の小径部
53b 移動側支持筒の大径部
54 スプリング
55 座金
56 固定側支持部材(シャフト)
57 サーミスタ(温度検出素子)
59,60 絶縁チューブ
63 被覆保護筒
63a 被覆保護筒の小径部
70 被固定部
71 固定用凹溝
72 固定用凸部
73 張出部
75 移動側支持筒下端と固定側支持部材との間の間隙
77 固定手段