(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、被処理部材に対してより適切なアーク処理を行うことが可能なアーク処理用のトーチを提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によると、第1電極が挿通される第1トーチと、第2電極が挿通される第2トーチと、前記第1トーチおよび前記第2トーチが挿通された整流部材と、ノズル内側面を有し、ノズル開口が形成されたノズルと、を備え、前記ノズル内側面は、前記第1トーチおよび前記第2トーチのうち、前記整流部材よりも第1方向側に位置する部位を包囲しており、前記第1方向は、前記整流部材から前記ノズル開口に向かう方向であり、前記整流部材には、シールドガスが流入するガス流入口と、前記ガス流入口から流入したシールドガスを流出させるガス流出口と、が形成され、前記ガス流出口から流出したシールドガスは、前記ノズル内側面に沿って前記ノズル開口に向かう、アーク処理用のトーチが提供される。
【0006】
好ましくは、前記整流部材には整流用気室が形成されており、前記整流用気室は、前記ガス流入口および前記ガス流出口に通じており、前記整流部材は、前記第1方向側を向く第1気室面と、前記第1気室面に対向する第2気室面と、を有し、前記整流用気室の一部は、前記第1気室面と前記第2気室面とによって規定されており、前記ガス流入口は、前記第1方向視において、前記第2気室面に重なる位置に位置している。
【0007】
好ましくは、前記整流部材によって一部が規定されたガス流通空間が形成されており、前記ガス流通空間は、前記整流部材に対し前記第1方向とは反対の第2方向側に位置しており、前記ガス流通空間は、前記ガス流入口に通じている。
【0008】
好ましくは、前記ガス流出口は、前記整流部材における周端部に形成されており、前記ノズルには、前記ノズル内側面によって規定されたノズル内部空間が形成されており、前記整流部材から前記ノズル内部空間に流出するシールドガスは、前記ガス流出口から流出するシールドガスのみである。
【0009】
好ましくは、前記ガス流出口は、前記第1方向周りの周方向において離間配置された複数のガス流出孔を有し、前記複数のガス流出孔は各々、前記整流部材における周端部に形成されており、前記複数のガス流出孔はいずれも、前記整流用気室に通じている。
【0010】
好ましくは、前記ノズル内側面は、前記整流用気室に臨んでいる。
【0011】
好ましくは、前記ガス流入口は、前記第1方向視において、前記ガス流出口とは重ならない位置に位置している。
【0012】
好ましくは、前記整流部材は、前記第1方向側を向き且つ耐熱性材料よりなる面を有する。
【0013】
好ましくは、前記耐熱性材料は、セラミック、樹脂、あるいは金属である。
【0014】
好ましくは、前記第1トーチおよび前記第2トーチを保持する保持部材を更に備え、前記整流部材は、前記保持部材よりも前記第1方向側に配置されている。
【0015】
好ましくは、前記第1トーチは、導電性の材料よりなる第1導電部位を含み、前記第1導電部位は、前記整流部材に接しており、前記第2トーチは、導電性の材料よりなる第2導電部位を含み、前記第2導電部位は、前記整流部材に接しており、前記整流部材は、絶縁材料よりなる絶縁部位を含み、前記第1導電部位および前記第2導電部位は、前記絶縁部位によって、互いに絶縁されている。
【0016】
好ましくは、前記整流部材は、第1部品および第2部品を含み、前記第1部品には、断面形状が半円形状の第1内面を有する2つの第1凹部が形成されており、前記第2部品には、断面形状が半円形状の第2内面を有する2つの第2凹部が形成されており、前記2つの第1凹部の一方と前記2つの第2凹部の一方とは、前記第1トーチを包囲しており、前記2つの第1凹部の他方と前記2つの第2凹部の他方とは、前記第2トーチを包囲している。
【0017】
好ましくは、前記第1部品および前記第2部品を挟み込み、前記第1部品および前記第2部品を把持する把持部材を更に備え、前記第1部品には第1溝が形成されており、前記第2部品には第2溝が形成されており、前記把持部材は、前記第1溝および前記第2溝に嵌まりこんでいる。
【0018】
本発明の第2の側面によると、本発明の第1の側面によって提供されるトーチと、前記トーチを保持するマニピュレータと、を備える、ロボットが提供される。
【0019】
本発明の第3の側面によると、本発明の第2の側面によって提供されるロボットと、前記第1電極および被処理部材の間に電圧を印加する第1電源と、前記第2電極および前記被処理部材の間に電圧を印加する第2電源と、を備える、アーク処理システムが提供される。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1〜
図8を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるアーク処理システムを示す図である。
【0025】
同図に示すアーク処理システムA1は、被処理部材W1に対してアーク処理を行うものである。本実施形態では、アーク処理はアーク溶接である。被処理部材W1は、金属よりなる。
【0026】
図1に示すアーク処理システムA1は、ロボット1と、第1電源31と、第2電源32と、を備える。
【0027】
ロボット1は、マニピュレータ11と、アーク処理用のトーチ12と、を含む。
【0028】
マニピュレータ11は、たとえば多関節ロボットである。マニピュレータ11が駆動することにより、トーチ12が上下前後左右に自在に移動できる。
【0029】
図2は、
図1に示したアーク処理システムにおけるトーチの正面図である。
図3は、
図2に示したトーチの断面図である。
【0030】
図1〜
図3に示すトーチ12は、第1トーチ21と、第2トーチ22と、整流部材23と、把持部材25(
図3の上側の拡大図を参照)と、保持部材26と、ノズル28と、を有する。
【0031】
図1、
図3に示すように、第1トーチ21には第1電極191が挿通されている。本実施形態では、第1電極191は消耗電極(すなわちワイヤ)である。第1トーチ21は、送給装置(図示略)から送給された消耗電極たる第1電極191を、被処理部材W1に案内する。第1トーチ21には、第1挿通孔211と第1開口213とが形成されている。第1挿通孔211は第1電極191の延びる方向(本実施形態では、消耗電極たる第1電極191の送給方向)に沿って延びる形状である。第1開口213は第1挿通孔211に通じている。第1開口213から第1電極191が送り出される。後述もするが、第1トーチ21は第1導電部位215を有している。第1導電部位215は導電性の材料よりなる。
【0032】
本実施形態では、たとえば第1トーチ21は以下の構成となっている。
【0033】
図3に示すように、第1トーチ21は、トーチボディ21Aと、チップボディ21Bと、チップ21Dと、を有する。
【0034】
トーチボディ21Aは筒状を呈している。トーチボディ21Aは導電性の材料よりなる。トーチボディ21Aには、上述の第1挿通孔211が形成されている。トーチボディ21Aに形成された第1挿通孔211内を、シールドガスG1が流れる。シールドガスG1は不活性ガスである。このような不活性ガスとしては、たとえばAr、あるいは、ArとCO
2との混合気体が挙げられる。
【0035】
チップボディ21Bは筒状を呈している。チップボディ21Bは、トーチボディ21Aに固定されている。チップボディ21Bは導電性の材料よりなる。チップボディ21Bを構成する導電性の材料としては、たとえば、銅が挙げられる。チップボディ21Bには、上述の第1挿通孔211が形成されている。本実施形態では、チップボディ21Bが、上述の第1導電部位215を構成している。チップボディ21Bには、ガス流通穴21Cが形成されている。トーチボディ21Aによって形成される第1挿通孔211内を流れてきたシールドガスG1が、ガス流通穴21Cから、チップボディ21Bの外部に流出する。
【0036】
チップ21Dは筒状を呈している。チップ21Dはチップボディ21Bに固定されている。チップ21Dは導電性の材料よりなる。チップ21Dを構成する導電性の材料としては、たとえば、銅タングステン等の硬度の高い焼結材や、クローム銅、ベリリウム銅等の銅合金、および、導電性のセラミックが挙げられる。チップ21Dは、送給されている第1電極191に接触する。チップ21Dは、送給されている第1電極191に接触することにより、第1電極191に電力を供給する。チップ21Dには、上述の第1挿通孔211および第1開口213が形成されている。
【0037】
なお、アーク処理システムA1の使用時においては、チップ21Dの先端から第1電極191が送り出される。そして、チップ21Dから送り出された第1電極191の先端と、被処理部材W1との間には、第1アークa1が発生した状態となる。
【0038】
図1、
図3等に示す第2トーチ22は第1トーチ21に並列して配置されている。第2トーチ22には第2電極192が挿通されている。本実施形態では、第2電極192は非消耗電極である。第2トーチ22には、第2挿通孔221と第2開口223とが形成されている。第2挿通孔221は第2電極192の延びる方向に沿って延びる形状である。第2開口223は第2挿通孔221に通じている。後述もするが、第2トーチ22は第2導電部位225を有している。第2導電部位225は導電性の材料よりなる。
【0039】
本実施形態では、たとえば第2トーチ22は以下の構成となっている。
【0040】
図3に示すように、第2トーチ22は、トーチボディユニット22Aと、保持部22Bと、プラズマチップ22Cと、を有する。
【0041】
トーチボディユニット22Aは筒状を呈する。本実施形態においてトーチボディユニット22Aは導電性材料よりなる。トーチボディユニット22Aには、上述の第2挿通孔221が形成されている。本実施形態では、トーチボディユニット22Aが、上述の第2導電部位225を構成している。
【0042】
保持部22Bは、トーチボディユニット22A内に配置されている。保持部22Bはトーチボディユニット22Aに固定されている。保持部22Bは、第2電極192を保持するためのものである。詳細な図示は省略するが、保持部22Bは、コレットおよびコレットボディを有する。コレットには第2電極192が挿通されており、コレットボディはコレットを第2電極192に対し締め付け、第2電極192を所望の位置に固定する役割を果たす。
【0043】
プラズマチップ22Cは筒状を呈する。プラズマチップ22Cはトーチボディユニット22Aに固定されている。プラズマチップ22Cには、上述の第2挿通孔221および第2開口223が形成されている。第2挿通孔221にはプラズマガスG2が流れ、第2開口223から第2トーチ22の外部に流出する。
【0044】
第2電極192は棒状の導体である。第2電極192は、たとえば、タングステンからなる。アーク処理システムA1の使用時においては、第2電極192および被処理部材W1の間に、第2アークa2が発生している状態となる。
【0045】
図1〜
図3に示す保持部材26は、第1トーチ21および第2トーチ22を保持している。本実施形態では、保持部材26に第1トーチ21および第2トーチ22が挿通された状態で、保持部材26は第1トーチ21および第2トーチ22を保持している。保持部材26は、たとえば絶縁性の材料よりなり、具体的には、樹脂よりなる。本実施形態では、保持部材26は、トーチボディ21Aおよびトーチボディユニット22Aを保持している。
【0046】
図1〜
図3に示すノズル28は保持部材26に固定されている。ノズル28は筒状である。ノズル28は第1トーチ21および第2トーチ22を囲んでいる。本実施形態では、ノズル28は導電性の材料よりなる。本実施形態とは異なり、ノズル28がセラミック等の絶縁性の材料よりなっていてもよい。
【0047】
ノズル28には、ノズル内部空間281とノズル開口284とが形成されている。ノズル内部空間281はノズル28の内側に形成されている。ノズル内部空間281には第1トーチ21および第2トーチ22が配置されている。ノズル開口284はノズル内部空間281に通じる。ノズル開口284は、
図3の下方に開放している。整流部材23からノズル開口284に向かう方向を、第1方向X1としている。第1方向X1の反対方向を第2方向X2としている。
【0048】
ノズル28は先端286を有する。先端286はノズル28において最も第1方向X1側に位置している。先端286に上述のノズル開口284が形成されている。アーク処理システムA1の使用時には、
図3に示すように、先端286は、側面視において、被処理部材W1に対し傾斜した状態に維持される。これは、アーク処理システムA1の使用時に生じうるスパッタが先端286に付着することを防止するためである。ノズル28はノズル内側面282を有する。ノズル内側面282は上述のノズル内部空間281を規定している。ノズル内側面282は、第1トーチ21および第2トーチ22のうち、整流部材23よりも第1方向X1側に位置する部位を包囲している。
【0049】
図4は、
図3のIV−IV線の沿う断面図(第1トーチ21および第2トーチ22の内部は省略)である。
図5は、
図4において、ガス流出口232を透視化して示した断面図である。
図6は、
図3のVI−VI線に沿う断面図(第1トーチ21および第2トーチ22の内部は省略)である。
図7は、
図3のVII−VII線に沿う断面図(第1トーチ21および第2トーチ22の内部は省略)である。
図8は、整流部材23を分解して示す分解斜視図である。
【0050】
図1、
図3〜
図8に示す整流部材23には、第1トーチ21および第2トーチ22が挿通されている。整流部材23は、保持部材26よりも第1方向X1側に配置されている。
図1、
図3に示すように、整流部材23と保持部材26とは、ガス流通空間29を規定している。すなわち、整流部材23は、ガス流通空間29の一部を規定している。ガス流通空間29は、整流部材23に対し第1方向X1とは反対の第2方向X2側に位置している。また、ガス流通空間29は、整流部材23および保持部材26の間に形成されている。ガス流通空間29には、第1挿通孔211内のシールドガスG1が、ガス流通穴21Cから流れてくる。
【0051】
本実施形態では、整流部材23は保持部材26に接している。本実施形態では、整流部材23の全体は絶縁性の材料よりなる。整流部材23を構成する絶縁性の材料としては、たとえば、セラミックや絶縁性の樹脂が挙げられる。このようなセラミックとしては、たとえばアルミナやジルコニアが挙げられる。このような絶縁性の樹脂としては、たとえば、ベスペル(登録商標)やポリイミドやポリアミドが挙げられる。
図3〜
図7に示すように、整流部材23は、第1トーチ21における第1導電部位215と、第2トーチ22における第2導電部位225と、に接している。本実施形態では、整流部材23の全体が絶縁性の材料よりなるため、整流部材23は、第1導電部位215および第2導電部位225を、互いに絶縁している。すなわち、本実施形態においては、整流部材23の全体が、本発明の絶縁部位の一例に相当する。
【0052】
図3〜
図8に示すように、整流部材23は、第1面235Aと、第2面235Bと、周面235Cと、を有する。第1面235Aは第1方向X1側を向く面である。第1面235Aは耐熱性材料よりなる面である。具体的には、第1面235Aは、整流部材23を構成する上記材料により構成されている。第2面235Bは、整流部材23において第1面235Aとは反対側に位置する面である。第2面235Bはガス流通空間29の一部を規定している。周面235Cはノズル28(本実施形態ではノズル内側面282)に当接している。
【0053】
図3〜
図8に示すように、整流部材23には、ガス流入口231と、ガス流出口232と、整流用気室237と、が形成されている。
【0054】
ガス流入口231にはシールドガスG1が流入する。本実施形態においては、ガス流入口231はガス流通空間29に通じている。そのため、ガス流入口231には、ガス流通空間29内のシールドガスG1が流入する。本実施形態においては、ガス流入口231は、整流部材23における周端部に形成されている。ガス流入口231は、第1方向X1周りの周方向において離間配置された複数(本実施形態では6つ)のガス流入孔231Aを有する。複数のガス流入孔231Aは各々、整流部材23における周端部に形成されている。複数のガス流入孔231Aはいずれも、ガス流通空間29に通じている。
【0055】
なお、ガス流入口231は、整流部材23における周端部に形成されている必要は必ずしもない。たとえば、本実施形態とは異なり、ガス流入口231が、第1方向X1視において、整流部材23の中央に形成されていてもよい。
【0056】
ガス流出口232はガス流入口231から流入したシールドガスG1を流出させる。ガス流出口232から流出したシールドガスG1は、ノズル内側面282に沿ってノズル開口284に向かう。本実施形態においては、ガス流出口232はノズル内部空間281に通じている。そのため、ガス流出口232からは、ノズル内部空間281にシールドガスG1が流出する。
図5〜
図8によく表れているように、本実施形態においては、ガス流出口232は、整流部材23における周端部に形成されている。ガス流出口232は、第1方向X1周りの周方向において離間配置された複数(本実施形態では6つ)のガス流出孔232Aを有する。複数のガス流出孔232Aは各々、整流部材23における周端部に形成されている。複数のガス流出孔232Aはいずれも、ノズル内部空間281に通じている。
図5に示すように、ガス流出口232は、第1方向X1視において、ガス流入口231と重ならない位置に位置している。
【0057】
整流用気室237は、ガス流入口231およびガス流出口232に通じている。具体的には、整流用気室237は、ガス流入口231における複数のガス流入孔231Aと、ガス流出口232における複数のガス流出孔232Aと、に通じている。
図8によく表れているように、本実施形態では、整流用気室237は、整流部材23の周面235Cから凹む凹部として構成されている。当該凹部は、周面235Cの全周にわたって形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、整流用気室237にはノズル内側面282が臨んでいる。
【0058】
図3、
図8に示すように、整流部材23は、第1気室面237Aおよび第2気室面237Bを有する。第1気室面237Aおよび第2気室面237Bは整流用気室237の一部を規定している。第1気室面237Aは第1方向X1側を向く。第1方向X1視において、第1気室面237Aに重なる位置に、ガス流出口232(本実施形態では複数のガス流出孔232A)が位置している。第2気室面237Bは第1気室面237Aに対向する。第1方向X1視において、第2気室面237Bに重なる位置に、ガス流入口231(本実施形態では複数のガス流入孔231A)が位置している。
【0059】
本実施形態とは異なり、整流用気室237が整流部材23内部に形成されており、整流用気室237にノズル内側面282が臨んでいなくてもよい。
【0060】
本実施形態においては、ガス流通空間29内のシールドガスG1が、ガス流入口231を通り、整流用気室237に至る。シールドガスG1は整流用気室237にて留まった後、ガス流出口232からノズル内部空間281に流出する。ノズル内部空間281のシールドガスG1は、ノズル開口284から被処理部材W1に向けて噴出する。本実施形態では、整流部材23からノズル内部空間281に流出するシールドガスG1は、ガス流出口232から流出するシールドガスのみである。
【0061】
図8に示すように、整流部材23は、第1部品238および第2部品239を含む。
【0062】
本実施形態では第1部品238および第2部品239は対称形状であるが、第1部品238と第2部品239とが対称形状でなくてもよい。
【0063】
第1部品238は、上述の第1面235Aの半分と、上述の第2面235Bの半分と、上述の周面235Cの半分とを構成している。第1部品238には、2つの第1凹部238Aが形成されている。各第1凹部238Aは、断面形状が半円形状の第1内面238Bを有する。第1部品238には第1溝238Sが形成されている。具体的には、第1部品238の構成する周面235Cに、第1溝238Sが形成されている。
【0064】
第2部品239は、上述の第1面235Aの残り半分と、上述の第2面235Bの残り半分と、上述の周面235Cの残り半分とを構成している。第2部品239には、2つの第2凹部239Aが形成されている。各第2凹部239Aは、断面形状が半円形状の第2内面239Bを有する。第2部品239には第2溝239Sが形成されている。具体的には、第2部品239の構成する周面235Cに、第2溝239Sが形成されている。
【0065】
図4〜
図7に示すように、2つの第1凹部238Aの一方と2つの第2凹部239Aの一方とは、第1トーチ21を包囲している。また、2つの第1凹部238Aの他方と2つの第2凹部239Aの他方とは、第2トーチ22を包囲している。
【0066】
本実施形態では、整流部材23は、別部品たる第1部品238および第2部品239からなるが、本実施形態とは異なり、整流部材23は1つの部品であってもよい。
【0067】
図3に示す把持部材25は、第1部品238および第2部品239を挟み込み、第1部品238および第2部品239を把持する。把持部材25は、いわゆる金属製のクリップである。図示は省略するが、把持部材25は、たとえばU字状を呈する。把持部材25は、第1溝238Sおよび第2溝239Sに嵌まりこんでいる。
【0068】
図1に示す第1電源31は、第1電極191および被処理部材W1の間に電圧を印加し、第1電極191および被処理部材W1の間に電流を流す。第2電源32は、第2電極192および被処理部材W1の間に電圧を印加し、第2電極192および被処理部材W1の間に電流を流す。
【0069】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態においては、トーチ12が整流部材23を備える。整流部材23には、シールドガスG1が流入するガス流入口231と、ガス流入口231から流入したシールドガスG1を流出させるガス流出口232と、が形成されている。ガス流出口232から流出したシールドガスG1は、ノズル内側面282に沿ってノズル開口284に向かう。このような構成によると、ガス流出口232から流出したシールドガスG1をより層流化することが可能となる。これにより、第1アークa1および第2アークa2のシールド性を向上させることが可能となる。その結果、被処理部材W1に対してより適切なアーク処理(本実施形態ではアーク溶接)を行うことが可能となる。たとえば、シールドガスG1が層流である空間で第1アークa1および第2アークa2を発生しておけば外気の混入が少なく、外気(主として空気中の窒素)の混入によるブローホールの発生を防ぐことができる。
【0071】
また、ガス流出口232から流出したシールドガスG1は、第1アークa1および第2アークa2のいずれをもシールドする。そのため、第1アークa1および第2アークa2を別個にシールドガスによってシールドする必要がない。よって、シールドガスの独立したガス経路数を削減することができ、トーチ12への配管作業が容易になる。ガス経路数の削減は、トーチ12の部品点数の削減にも寄与する。
【0072】
ノズル内側面282に沿わせてシールドガスG1を流すことにより、輻射熱によって熱せられたノズル28の排熱を促すことができ、ノズル28の先端286の熱影響を抑制することができる。
【0073】
本実施形態においては、整流部材23には整流用気室237が形成されている。整流用気室237は、ガス流入口231およびガス流出口232に通じている。整流部材23は、第1方向X1側を向く第1気室面237Aと、第1気室面237Aに対向する第2気室面237Bと、を有する。整流用気室237の一部は、第1気室面237Aと第2気室面237Bとによって規定されている。ガス流入口231は、第1方向X1視において、第2気室面237Bに重なる位置に位置している。このような構成によると、ガス流入口231に流入したシールドガスG1は、第2気室面237Bに当たり、整流用気室237にて一旦留まる。これにより、シールドガスG1をノズル内側面282に沿ってより均一に流すことが可能となる。
【0074】
本実施形態においては、ガス流出口232は、第1方向X1周りの周方向において離間配置された複数のガス流出孔232Aを有する。複数のガス流出孔232Aは各々、整流部材23における周端部に形成されている。複数のガス流出孔232Aはいずれも、整流用気室237に通じている。このような構成によると、ガス流入口231に流入したシールドガスG1を、整流用気室237を経由させて、様々なガス流出孔232Aから流出させることが可能となる。これにより、シールドガスG1をノズル内側面282に沿って更に均一に流すことが可能となる。
【0075】
本実施形態においては、ノズル内側面282は、整流用気室237に臨んでいる。このような構成によると、ノズル28の熱を、整流用気室237内のシールドガスG1に伝えることができる。これにより、ノズル28の排熱効果を向上させることができる。その結果、ノズル28が熱により悪影響を受けることを防止できる。
【0076】
本実施形態においては、整流部材23は、第1方向X1側を向き且つ耐熱性材料よりなる面(第1面235A)を有する。このような構成によると、被処理部材W1へのアーク処理時、高温のスパッタが整流部材23に飛んできたとしても、整流部材23自体の損傷を防止できる。また、被処理部材W1から飛んでくる高温のスパッタは整流部材23に付着するため、保持部材26に付着することを防止できる。これにより、保持部材26の熱による損傷を防止できる。
【0077】
本実施形態においては、第1導電部位215および第2導電部位225は、絶縁部位(本実施形態では整流部材23)によって、互いに絶縁されている。このような構成によると、第1トーチ21における第1導電部位215と、第2トーチ22における第2導電部位225と、が導通することを防止できる。
【0078】
本実施形態においては、整流部材23は、第1部品238および第2部品239を含む。第1部品238には、断面形状が半円形状の第1内面238Bを有する2つの第1凹部238Aが形成されている。第2部品239には、断面形状が半円形状の第2内面239Bを有する2つの第2凹部239Aが形成されている。2つの第1凹部238Aの一方と2つの第2凹部239Aの一方とは、第1トーチ21を包囲している。2つの第1凹部238Aの他方と2つの第2凹部239Aの他方とは、第2トーチ22を包囲している。このような構成によると、第1部品238と第2部品239とによって第1トーチ21および第2トーチ22を挟み込むことにより、第1トーチ21および第2トーチ22の周囲に整流部材23を取り付けることができる。このことは、整流部材23の取り付けの容易化に適する。
【0079】
本実施形態においては、トーチ12は、第1部品238および第2部品239を挟み込み、第1部品238および第2部品239を把持する把持部材25を備える。このような構成によると、第1部品238および第2部品239が第1トーチ21および第2トーチ22の周囲に固定された状態を維持できる。これにより、第1トーチ21および第2トーチ22から、第1部品238や第2部品239が落下する不具合を防止できる。特に、セラミックよりなる部材は落下すると割れやすいため、本実施形態の当該構成は、整流部材23がセラミックよりなる場合に特に好適である。
【0080】
<第2実施形態>
図9を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0081】
なお、以下の説明では、上記と同一または類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0082】
図9は、本発明の第2実施形態にかかるアーク処理システムにおけるトーチを示す断面図である。
【0083】
本実施形態では、上述の実施形態と比較して、整流部材23の構成が一部異なっている。本実施形態では、整流部材23は、絶縁部位233および導電部位234を含む。絶縁部位233は、第1トーチ21および第2トーチ22の周囲に位置している。絶縁部位233は、たとえばセラミック等の絶縁材料よりなり、第1導電部位215および第2導電部位225を、互いに絶縁している。本実施形態では、絶縁部位233は筒状を呈している。導電部位234は、整流部材23のうち、絶縁部位233以外の部位である。
【0084】
このような構成によっても、第1実施形態で述べた作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0085】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0086】
上述の説明においては、アーク処理としてアーク溶接を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。アーク処理は、たとえば、溶射や溶断であってもよい。
【0087】
上述の説明においては、第1電極191が消耗電極であり、第2電極192が非消耗電極である例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1電極191および第2電極192のいずれもが消耗電極であってもよいし、第1電極191および第2電極192のいずれもが非消耗電極であってもよい。
【0088】
上述の説明においては、第1トーチ21が、整流部材23に接する第1導電部位215を含み、第2トーチ22が、整流部材23に接する第2導電部位225を含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、整流部材23に接するトーチボディユニット22Aが、セラミック等の絶縁性の材料から構成されていてもよい。この場合には、整流部材23の全体を、導電性の材料により形成できる。