(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0040】
<実施形態1>
図1、2Aおよび2Bを用いて、本発明の実施形態1に係る光源の構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態1における光源の断面構造を示す図である。また、
図2Aおよび
図2Bは、本発明の実施形態1における光源の斜視図を示す図である。実施形態1で説明する光源は、表示装置の画素に設けられる発光素子、液晶表示装置のバックライト、照明、レーザ光源など、各種用途に適用することができる。
【0041】
実施形態1における光源は、
図1に示すように、対向して配置された一対の反射層101、102と、一対の反射層101、102に挟持された発光層111を有する。また、一対の反射層の一方の反射層101には、開口部103が設けられている。
図2Aでは、方形の開口部103が反射層101の中央部付近に設けられている。
図1では、反射層101、102と発光層111が接した構造を例示したが、この構造に限定されず、反射層101と発光層111との間、または、反射層102と発光層111との間に他の層が挟持されていてもよい。また、
図2Aでは、開口部103は反射層101の中央付近に設けられた構造を例示したが、この構造に限定されず、パターンの外周端部にずれた位置に設けられていてもよい。また、
図2Aでは、開口部103の形状が方形であるが、
図2Bのように開口部103は円形であってもよい。
【0042】
発光層111で発生した光121は、発光点から等方的に出射され、一対の反射層101、102に反射されながら発光層111中を進行する。そして、開口部103に到達した光121は、開口部103を介して外部に出射する。
【0043】
ここで、反射層101、102は共に反射性の金属で形成されていてもよく、例えば、反射層101は発光層111にホールを供給するアノードであってもよく、反射層102は発光層111に電子を供給するカソードであってもよい。また、アノードと発光層との間にホール注入層、ホール輸送層が設けられていてもよく、カソードと発光層との間に電子注入層、電子輸送層が設けられていてもよい。また、発光層における発光はR(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの波長の光を発生する単色発光であってもよく、複数の発光層を積層することで得られる白色発光であってもよい。
【0044】
上記のように、実施形態1に係る光源によれば、発光層で発生した光は一対の反射層によって繰り返し反射され、開口部に到達した光が外部に出射する。したがって、一対の反射層101、102の外周から外部に放出されてしまう光以外をほぼ開口部から放出させることができる。つまり、光の出射口を制御することで、光が放出される部分を所望の箇所に集中させることができる。したがって、遮光層などの障害物を避けて開口部を設けることで、障害物によって吸収される損失をなくすことができ、発光効率を向上させることができる。
【0045】
<実施形態2>
図3を用いて、本発明の実施形態2に係る光源の構成を説明する。
図3は、本発明の実施形態2における光源の断面構造を示す図である。実施形態2で説明する光源は、表示装置の画素に設けられる発光素子、液晶表示装置のバックライト、照明、レーザ光源など、各種用途に適用することができる。
【0046】
図3では、発光層111のアノードとして用いられる反射層101と発光層111との間に透明導電層112が配置されている。また、
図3では、開口部103は反射層101にのみ設けられており、開口部103に対応する領域に透明導電層112が配置されている。換言すると、透明導電層112は、平面視において、開口部103と重なるように配置されている。ここで、透明導電層112は発光層111と接していることが好ましい。また透明導電層として、ITO(Indium Tin Oxide)のように仕事関数の大きい材質を用いることが好ましい。
【0047】
図3においても、発光層111で発生した光121は、発光点から等方的に出射され、一対の反射層101、102および発光層111と透明導電層112との界面で反射されながら発光層111および透明導電層112中を進行する。そして、開口部103に到達した光121は、開口部103を介して外部に出射する。また、開口部103に対応する領域に透明導電層112が配置されているため、開口部103に対応する領域に配置された発光層111にも電流が供給されて発光して光123を発生する。
【0048】
また、発光層111とアノードとの間にITOのような仕事関数の高い材質を配置することで、発光層111へのホールの注入特性を向上させることができる。
【0049】
上記のように、実施形態2に係る光源によれば、発光層で発生した光は繰り返し反射され、開口部に到達したときに外部に出射する。さらに、開口部に対応する領域の発光層でも光が発生するので、発光に関与する発光層の面積が増加し、より発光効率を向上させることができる。したがって、一対の反射層101、102の外周から外部に放出されてしまう光以外をほぼ開口部から放出させることができる。つまり、光の出射口を制御することで、光が放出される部分を所望の箇所に集中させることができる。したがって、遮光層などの障害物を避けて開口部を設けることで、障害物によって吸収される損失をなくすことができ、発光効率を向上させることができる。
【0050】
<実施形態3>
図4を用いて、本発明の実施形態3に係る光源の構成を説明する。
図4は、本発明の実施形態3における光源の断面構造を示す図である。実施形態3で説明する光源は、表示装置の画素に設けられる発光素子、液晶表示装置のバックライト、照明、レーザ光源など、各種用途に適用することができる。
【0051】
図4では、
図3の開口部103に対応する領域に樹脂層113が配置されている。樹脂層113は開口部103を満たすように配置されていてもよく、また、開口部103の一部だけに配置されていてもよい。また、樹脂層113として、着色層を有するカラーフィルタを用いてもよい。
【0052】
図4に示す光源を、反射層101を形成し、反射層101の開口部103に樹脂層113を形成し、反射層101および樹脂層113の上に透明導電層112、発光層111、反射層102を形成する順序で作製する場合、開口部103に樹脂層113が配置されていることで、開口部によって形成された段差を緩和することができる。特に、開口部103を満たすように樹脂層113を形成することで、開口部103によって形成された段差の影響を実質的に無視できることができるレベルまで緩和することができる。つまり、その結果、発光層の発光領域において、アノード−カソード間の発光層の厚さを略一定にすることができる。つまり、開口部103によって形成された段差を平坦化することができる。
【0053】
アノード−カソード間の発光層の厚さが他に比べて薄い箇所があると、アノード−カソード間の距離が短くなるため、局所的に電界が強くなり、その領域の発光層に過剰な電流が流れてしまう。過剰な電流が流れた発光層は他の箇所に比べて著しく劣化し、発光強度を低下させる原因となる。しかし、上記のように、実施形態3によれば、開口部103によって形成された段差を平坦化することで、発光層の厚さを略一定にすることができ、電界の偏りを抑制することができる。その結果、発光層の局所的な劣化が起きにくく、信頼性の高い光源を得ることができる。
【0054】
また、樹脂層113としてカラーフィルタを用いることで、開口部103を介して外部に出射する光の波長を調整することができる。この場合、発光層111は白色を発光することが好ましい。例えば、表示装置のように、同一基板上に複数の発光色を配置させるような装置においては、発光層111として白色発光の素子を配置し、画素に応じたカラーフィルタを設けることで、発光層111は塗り分けをする必要がなく、全面に形成することができるため、高精細な表示装置を実現することが可能である。
【0055】
また、発光層111で発生した光121の出射口である開口部103がカラーフィルタで覆われているので、同一基板上に複数の光源を有する装置においても、隣接する光源からの漏洩光による混色の問題を抑制することができる。また、カラーフィルタを開口部103だけに配置すればよいので、カラーフィルタの材料の使用量を抑制することができ、コストを低減することができる。
【0056】
<実施形態4>
図5を用いて、本発明の実施形態4に係る光源の構成を説明する。
図5は、本発明の実施形態4における光源の断面構造を示す図である。実施形態4で説明する光源は、表示装置の画素に設けられる発光素子、液晶表示装置のバックライト、照明、レーザ光源など、各種用途に適用することができる。
【0057】
図5では、
図4の開口部103の側壁が傾斜面104を有している。換言すると、反射層101が開口部103において傾斜面104を有しており、傾斜面は開口部の端部から連続して延びている。また、
図4と同様に、開口部103に樹脂層113が配置されている。ここで、
図5では、開口部103の領域に対応するように傾斜面104が設けられた構造を例示しているが、この構造に限定されず、少なくとも反射層101の開口部103の端部付近に傾斜面104を有していればよい。
【0058】
図5において、発光層111で発生した光が傾斜面104で反射されると、光122のように広角に出射される。したがって、光源の視野角が広くなる。つまり、側面視認性が向上する。視野角は傾斜面104の角度によって調整することが可能であり、好ましくは15度以上75度以下である。より好ましくは20度以上60度以下である。さらに好ましくは、30度以上45度以下である。
【0059】
上記のように、実施形態4によれば、開口部103を介して外部に出射する光の波長を調整することができ、さらに所望の視野角を得ることができる。
【0060】
<実施形態5>
図6を用いて、本発明の実施形態5に係る光源の構成を説明する。
図6は、本発明の実施形態5における光源の断面構造を示す図である。実施形態5で説明する光源は、表示装置の画素に設けられる発光素子、液晶表示装置のバックライト、照明、レーザ光源など、各種用途に適用することができる。
【0061】
図6では、反射層101に複数の開口部103a、103bが配置されており、各々の開口部の傾斜面104a、104bは、互いに異なる傾斜角度である。また、
図4、
図5と同様に、開口部103には樹脂層113が配置されている。
【0062】
図6において、発光層111で発生した光が傾斜面104aで反射された光122aと、傾斜面104bで反射された光122bとでは、出射される角度が異なる。つまり、開口部103aから出射される光122aと開口部103bから出射される光122bとでは、視野角が異なる。
【0063】
上記のように、実施形態5によれば、互いに異なる傾斜角度の傾斜面を複数設けることで、各開口部における視野角を個別に調整することができ、より高い自由度で視野角を調整することができる。
【0064】
<実施形態6>
図7Aを用いて、本発明の実施形態6に係る光源の構成を説明する。
図7Aは、本発明の実施形態6における光源の断面構造を示す図である。実施形態6で説明する光源は、表示装置の画素に設けられる発光素子、液晶表示装置のバックライト、照明、レーザ光源など、各種用途に適用することができる。
【0065】
図7Aでは、開口部103よりも外側の領域に隔壁114が配置されている。これによって、反射層101は開口部103に面した傾斜面104と、隔壁114上に配置された反射層101の傾斜面105とを有している。ここで、傾斜面105の傾斜角度が大きいことが好ましい。また、傾斜面104および105は、
図7Aのような直線的な形状に限定されず、曲面を有していてもよい。
【0066】
図7Aにおいて、発光層111で発生した光のうち、開口部103とは異なる外側の方向へ進行する光の一部は、傾斜面105で反射される。この反射によって、外側の方向へ進行していた光は開口部103の方向へと進行方向を変えられるため、外周から外部に放出される光を低減することができる。つまり、反射層101が傾斜面104よりも外側に傾斜面105を有することで、一対の反射層101、102の外周から外部に放出されてしまう光を低減することができる。
【0067】
傾斜面105はできる限り多くの光を開口部103方向に反射させるため、傾斜角度は大きい方が好ましい。傾斜面105の傾斜角度は、好ましくは45度以上90度以下であるとよい。より好ましくは60度以上90度以下であるとよい。ここで、傾斜面105の少なくとも一部の領域で、上記の傾斜角度を有していればよい。例えば、傾斜面105が曲面を有している場合、少なくとも傾斜面105の一部において上記の角度を有していればよい。
【0068】
上記のように、実施形態6によれば、一対の反射層の外側の方向へ進行する光を開口部の方向に反射する傾斜面を設けることで、一対の反射層の外周から外部に放出されてしまう光を低減することができ、より発光効率を向上させることができる。
【0069】
次に、実施形態6の変形例について、
図7Bおよび
図7Cを用いて説明する。
図7Bは、本発明の実施形態6の変形例1における光源の断面構造を示す図である。
図7Bは、一対の反射層101、102の外周端部に反射体160を有している。反射体160は少なくとも、発光層111または透明導電層112の外周端部の一部に配置されていればよい。好ましくは、反射体160は発光層111および透明導電層112の外周端部を完全に覆うように配置されるとよい。
【0070】
図7Bでは、発光層111または透明導電層112の外周端部と反射体160とが接した構造を例示したが、この構造に限定されず、例えば、発光層111または透明導電層112の外周端部と反射体160との間にオフセット(間隙)が設けられていてもよい。
【0071】
図7Bにおいて、発光層111で発生した光のうち、一対の反射層101、102の外周端部の方向に進行する光124の一部は、反射体160によって開口部103の方向に反射される。つまり、一対の反射層101、102の外周端部に反射体160が設けられることで、反射層101、102の外周から外部に放出されてしまう光を低減することができる。
【0072】
図7Cは、本発明の実施形態6の変形例2における光源の断面構造を示す図である。
図7Cは、一対の反射層101、102の間に反射体161を有している。反射体161は、傾斜面104よりも外側の領域において、少なくとも発光層111または透明導電層112の一部に配置されていればよい。好ましくは、反射体161は、傾斜面104よりも外側の領域において、発光層111および透明導電層112の外周端部を完全に覆うように配置されるとよい。
【0073】
図7Cにおいて、発光層111で発生した光のうち、一対の反射層101、102の外周端部の方向に進行する光124の一部は、反射体161によって開口部103の方向に反射される。つまり、一対の反射層101、102の間に反射体161が設けられることで、反射層101、102の外周から外部に放出されてしまう光を低減することができる。
【0074】
<実施形態7>
図8乃至19を用いて、本発明の実施形態7に係る表示装置の構成を説明する。ここでは、実施形態1乃至6のいずれか一で説明した光源を発光素子とした画素をマトリクス状に配置し、二次元の画像を表示する表示装置について説明する。
【0075】
[表示装置の概要]
まず、
図8乃至10を用いて、実施形態7に係る表示装置の概要を説明する。
図8は、本発明の実施形態7における表示装置の斜視図を示す図である。また、
図9は、本発明の実施形態7における表示装置の平面図を示す図である。また、
図10は、本発明の実施形態7における表示装置の断面図を示す図である。
【0076】
実施形態7における表示装置は、
図8および9に示すように、複数の画素のそれぞれに発光素子が設けられ、画素180がマトリクス状に配置された表示領域110を有する基板100、基板100に対向する対向基板200、基板100が露出された領域に設けられたドライバIC300およびFPC400(Flexible Printed Circuits)を有する。基板100は、表示領域110と表示領域110の周辺に位置する周辺領域120とに分けられる。基板100には、表示領域110に画素180がマトリクス状に配列され、複数の画素180のそれぞれに実施形態1乃至6のいずれか一で説明した発光素子が配置されている。FPC400には、駆動回路を制御するコントローラ回路に接続される端子部500が備えられている。
【0077】
図10に示すように、基板100上にはトランジスタ層140が配置されており、トランジスタ層140上に各画素に設けられた発光素子181が配置されている。発光素子181は封止層150によって覆われている。トランジスタ層140が露出された領域では、封止層150は除去されている。露出したトランジスタ層140の配線にドライバIC300、FPC400が圧着されている。基板100と対向基板200は、周辺領域120に対応した領域に設けられたシール材130によって貼り合せられている。シール材130は周辺領域120の外周部に、表示領域110を囲むように連続して設けられている。基板100、対向基板200およびシール材130によって囲まれた領域は充填材131によって満たされている。
【0078】
[画素構造]
次に、
図11乃至18を用いて、実施形態7に係る表示装置の画素について詳細に説明する。
図11は、本発明の実施形態7における表示装置の画素の断面図を示す図である。
【0079】
図11では、基板100上にトップゲート型のトランジスタ210が形成されている。トランジスタ210は、半導体層211、ゲート絶縁層212、ゲート電極213、層間絶縁層214、ソース電極215、ドレイン電極216を含んでいる。トランジスタ210上には層間樹脂層220が形成されている。ゲート絶縁層212、層間絶縁層214および層間樹脂層220には、それぞれ基板100に到達する傾斜面を有する開口部303が設けられている。層間樹脂層220の上面および開口部303の傾斜面には、発光素子のアノードの一部として機能する反射層301が形成されている。開口部303の傾斜面に形成された反射層301は傾斜面304を有している。
図11では、開口部303の領域に対応するように傾斜面304が設けられた構造を例示しているが、この構造に限定されず、少なくとも反射層301の開口部303の端部305と反射層301のパターンの外周端部306との間に傾斜面304が設けられていればよい。また、反射層301は、層間樹脂層220に設けられた開口部を介して、トランジスタ210のドレイン電極216に接続されている。
【0080】
開口部303には、着色層を有するカラーフィルタ313が形成されている。
図11では、カラーフィルタ313は開口部303を満たすように形成されており、開口部303によって形成された段差を緩和している。ここで、カラーフィルタ313は開口部303によって形成された段差を完全に平坦化していなくてもよく、開口部303によって形成された段差の影響を実質的に無視できることができるレベルまで緩和していればよい。その結果、発光層の発光領域において、アノード−カソード間の発光層の厚さを略一定にすることができる。
【0081】
反射層301およびカラーフィルタ313上には、発光素子のアノードの一部として機能する透明導電層312が形成されている。透明導電層312は、反射層301のパターンの外周端部を覆うように形成されている。そして、透明導電層312上には透明導電層312の端部を覆うように隔壁320が形成されている。この隔壁320によって、各々の画素が画定される。
図11では、トランジスタ210の上方に隔壁320が形成されているが、この位置関係は断面構造を説明するための便宜上のもので、必ずしも実際のレイアウトを示すものではなく、平面視において、トランジスタ210と隔壁320が重ならなくてもよい。
【0082】
隔壁320および隔壁320から露出された透明導電層312の上には、発光層311、発光素子のカソードの一部として機能する反射層302および発光層311に水分や不純物が侵入しないように封止する封止層330が形成されている。発光層311、反射層302および封止層330は、少なくとも表示領域110に形成されている。
【0083】
図11で説明した発光素子は、
図5に示した実施形態4を使用したもので、反射層301が反射層101に相当し、傾斜面304が傾斜面104に相当し、カラーフィルタ313が樹脂層113に相当し、透明導電層312が透明導電層112に相当し、発光層311が発光層111に相当し、反射層302が反射層102に相当する。
【0084】
上記のように、
図11に示す素子構造によれば、発光層311で発生した光は一対の反射層301、302によって繰り返し反射され、開口部303に到達した光が外部に出射する。したがって、一対の反射層301、302の外周から外部に放出されてしまう光以外を表示に使用することができ、さらに従来のように遮光層によって吸収される損失がないため、発光効率を向上させることができる。また、開口部303にはカラーフィルタ313が配置されているため、漏洩光による混色の問題を抑制することができる。さらに、反射層301が、開口部303において傾斜面304を有しているため、広い視野角を得ることができる。
【0085】
次に、実施形態7の変形例1について説明する。
図12は、本発明の実施形態7の変形例1における表示装置の画素の断面図を示す図である。
図11と異なる点は、層間樹脂層220のみに開口部303が設けられており、ゲート絶縁層212および層間絶縁層214は開口されていない点である。つまり、
図12に示す構造は、基板100と開口部303との間にゲート絶縁層212および層間絶縁層214を含む無機絶縁層が形成されている。
図12では、ゲート絶縁層212および層間絶縁層214の両方の無機絶縁層が基板100と開口部303との間に形成されているが、ゲート絶縁層212または層間絶縁層214のいずれかの層だけが形成されていてもよい。
【0086】
上記のように、
図12に示す素子構造によれば、カラーフィルタ313の厚さを薄くすることができ、カラーフィルタ313の材料の使用量を抑制することができる。その結果、
図11と同様に発光効率を向上させ、混色の問題を抑制し、広い視野角を得つつ、コスト低減の効果を得ることができる。また、層間樹脂層の厚さによってカラーフィルタの厚さを調整することができるため、所望の色純度を確保しつつ、カラーフィルタによる光の損失を抑制することができる。その結果、発光効率を向上させることができる。
【0087】
次に、実施形態7の変形例2について説明する。
図13は、本発明の実施形態7の変形例2における表示装置の画素の断面図を示す図である。
図12と異なる点は、開口部303にカラーフィルタの代わりに透明樹脂層315が形成されている点である。
図13に示す表示装置の場合は、発光層316として、RGBのいずれかの波長の光を発生する材質を用いることが好ましい。また、RGBのそれぞれの波長の共振効果、つまりマイクロキャビティ効果が得られるように、透明樹脂層315の厚さを調整してもよい。透明樹脂層315の厚さの調整は、透明樹脂層315を塗布する量を調整することで行ってもよく、また、層間樹脂層220の厚さを調整することで行ってもよい。また、透明樹脂層315を全面に均一に塗布した後に、多階調マスクを用いて露光することで、厚さを調整してもよい。マイクロキャビティ効果を得るためには、RGBの各々の画素によって層間樹脂層220の厚さを変化させることが好ましい。
【0088】
上記のように、
図13に示す素子構造によれば、透明樹脂層315の材料の使用量を抑制することができる。その結果、
図11と同様に発光効率を向上させ、混色の問題を抑制し、広い視野角を得つつ、コスト低減の効果を得ることができる。また、マイクロキャビティ効果によって、さらに色純度を高めることができる。
【0089】
図13では、発光層がRGBのいずれかの波長の光を発生する場合について説明したが、これに限定されず、発光層は白色発光の素子であってもよい。その場合はカラーフィルタを開口部303と層間絶縁層214との間に設けてもよい。また、基板100と開口部303のいずれかの界面に挟持されるようにカラーフィルタを設けてもよい。また、開口部と基板100との間にはカラーフィルタを設けずに、基板100のトランジスタ210等が形成された面とは反対の面(裏面)にカラーフィルタを設けてもよい。
【0090】
次に、実施形態7の変形例3について説明する。
図14は、本発明の実施形態7の変形例3における表示装置の画素の断面図を示す図である。
図13と異なる点は、開口部303に透明樹脂層315が形成されておらず、透明導電層312、発光層316および反射層302が開口部303の傾斜面304および底部に沿って形成されている点である。この構造の場合、発光層316が傾斜面304上に形成されているため、
図12に比べて発光層316の延べ面積は大きくなる。また、この構造の場合、発光層316として、RGBのいずれかの波長の光を発生する材質を用いることが好ましい。
【0091】
上記のように、
図14に示す素子構造によれば、発光層316の延べ面積を大きくすることができるため、発光素子サイズを拡大せずに発光強度を強くすることができる。また、
図11乃至13のようにカラーフィルタや透明樹脂層を形成する必要がない。したがって、これらの材料費を削減するだけでなく、これらの材料の塗布工程を削減することができる。その結果、
図11と同様に発光効率を向上させ、混色の問題を抑制し、広い視野角を得つつ、コスト低減の効果を得ることができる。
【0092】
次に、実施形態7の変形例4について説明する。
図15は、本発明の実施形態7の変形例4における表示装置の画素の断面図を示す図である。
図14と異なる点は、発光層311で発生した光の出射口である開口部303がカラーフィルタ317で覆われている点である。
図15では、開口部303がカラーフィルタ317で完全に覆われた構造を例示したが、これに限定されず、開口部303とカラーフィルタ317との間に他の層が挟持されていてもよい。また、基板100の裏面に、開口部303に対応するようにカラーフィルタが設けられていてもよい。
【0093】
上記のように、
図15に示す素子構造によれば、白色発光素子+カラーフィルタの方式においても、発光層311の延べ面積を大きくすることができるため、発光素子サイズを拡大せずに発光強度を強くすることができる。また、
図11または12に比べて、カラーフィルタ材料の使用量が少ない。したがって、これらの材料の使用量を抑制することができる。その結果、
図11と同様に発光効率を向上させ、混色の問題を抑制し、広い視野角を得つつ、コスト低減の効果を得ることができる。
【0094】
次に、実施形態7の変形例5について説明する。
図16は、本発明の実施形態7の変形例5における表示装置の画素の断面図を示す図である。
図12と異なる点は、傾斜面を有する隔壁321が下部の反射層301の下層に形成されており、隔壁321の傾斜面に形成された反射層301が傾斜面318を有している点である。
図16では、反射層301のパターンの外周端部に配置された隔壁321によって、傾斜面318が形成された構造を例示したが、これに限定されず、少なくとも傾斜面304よりも外側に他の傾斜面318を有していればよい。
【0095】
図16で説明した表示装置は、
図7Aに示した実施形態6の発光素子を使用したもので、反射層301が反射層101に相当し、傾斜面304が傾斜面104に相当し、他の傾斜面318が傾斜面105に相当し、カラーフィルタ313が樹脂層113に相当し、透明導電層312が透明導電層112に相当し、発光層311が発光層111に相当し、反射層302が反射層102に相当する。
【0096】
図16に示す構造にすることで、発光層311で発生した光のうち、開口部303とは異なる外側の方向へ進行する光の一部は、傾斜面318で反射されて開口部303の方向へ進行する。つまり、反射層301が傾斜面304よりも外側に傾斜面318を有することで、一対の反射層301、302の外周から外部に放出されてしまう光を低減することができる。
【0097】
上記のように、
図16に示す素子構造によれば、一対の反射層301、302の外周から外部に放出される漏洩光を抑制することができるため、発光層311で発生した光をより効率的に表示に利用することができる。その結果、
図11と同様に発光効率を向上させ、混色の問題を抑制し、広い視野角を得ることができる。
【0098】
図17は、本発明の実施形態7の変形例6における表示装置の断面図を示す図である。封止層150によって画素に配置された発光素子181の劣化が十分に抑制されれば、
図17に示す構造のように、対向基板200とシール材130で充填材131を囲む構造にする必要はない。つまり、発光素子181を覆う封止層150が形成されていればよい。封止層150は無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。また、これらの積層構造であってもよい。
【0099】
次に、表示装置における画素のレイアウトと断面構造の関係について、
図18および19を用いて説明する。
図18は、本発明の実施形態8における表示装置の画素の平面図を示す図である。実施形態8の発光素子構造は実施形態7の変形例1と同等である。また、
図19は、本発明の実施形態8における表示装置の画素のA−B断面図を示す図である。
【0100】
図18では、各々の画素180の周辺領域は隔壁320によって画定されている。つまり、反射層301および透明導電層312の端部は隔壁320で覆われている。また、隔壁320にはL字型に開口された開口領域331が設けられており、開口領域331内部において、さらに開口部303が3箇所に設けられている。また、
図19に示す画素回路のトランジスタ210のドレイン電極と画素電極である透明導電層312とはコンタクト307を介して接続されている。
【0101】
図19に示す発光素子の断面構造は、ほぼ
図12と同じなので、ここでは詳細な説明は省略する。
図19では、トランジスタ210は隔壁320の領域に重なるように配置された構造を例示したが、この構造に限定されず、開口部303と重ならなければ、自由に配置することができる。つまり、画素回路を駆動するトランジスタの数が増加しても、開口部303と重ならないように配置されれば、発光効率を低下させることはない。ここで、
図6に示す実施形態5のように、1つの画素に含まれる複数の開口部303において、各々の開口部の傾斜面304が異なる傾斜角度を有していてもよい。
【0102】
次に、
図18とは異なるレイアウトの画素について、
図20および21を用いて説明する。
図20は、本発明の実施形態8の変形例における表示装置の画素の平面図を示す図である。また、
図21は、本発明の実施形態8の変形例における表示装置の画素のC−D断面図を示す図である。
【0103】
図20に示す画素は一方向に伸長された長方形である。また、
図18と同様に、各々の画素180の周辺領域は隔壁320によって画定されている。つまり、反射層301および透明導電層312の端部は隔壁320で覆われている。また、隔壁320の開口領域331の内部に、開口領域331の外周に沿って開口部303が形成され、その内部に開口領域内部333が形成される。また、
図21に示す画素回路のトランジスタ210のドレイン電極と画素電極である透明導電層312とはコンタクト307を介して接続されている。
【0104】
図21に示す発光素子の断面構造は、ほぼ
図12と同じなので、ここでは詳細な説明は省略する。
図21では、トランジスタ210は隔壁320の領域に重なるように配置された構造を例示したが、この構造に限定されず、開口部303と重ならなければ、自由に配置することができる。つまり、画素回路を駆動するトランジスタの数が増加しても、開口部303と重ならないように配置されれば、発光効率を低下させることはない。
【0105】
図20および21に示した発光素子によれば、開口領域内部333は開口部303によって囲まれているため、開口領域内部333で発生した光は高い確率で開口部303に到達する。そのため、発光効率を向上させることができる。また、開口領域内部333は発光に関与しない領域なので、トランジスタや配線などの素子を配置することができる。ここで、長方形の開口部303のうち、異なる辺における傾斜面304が異なる傾斜角度を有していてもよい。
【0106】
[製造方法]
次に、本発明に係る表示装置の製造方法について、
図22乃至31を用いて説明する。ここでは、
図11に示した実施形態7の発光素子を有する表示装置の製造方法について説明する。
【0107】
図22は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、トランジスタ層を形成する工程を示す図である。
図22は、トランジスタ210が形成され、その上に層間樹脂層220が形成されて、表面が平坦化された状態を示している。トランジスタ210は一般的なトップゲート型トランジスタの製造方法で作製すればよく、ここでは詳細な説明は省略する。ここでは、実施形態7の一例としてトップゲート型トランジスタを説明するが、これに限定されず、ボトムゲート型トランジスタを使用してもよい。
【0108】
図23は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、層間樹脂層に開口部を形成する工程を示す図である。層間樹脂層220の開口は、通常のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光することで行う。ここでは、露光した部分が溶解して未露光部が残るポジ型の感光性樹脂を用いる。フォトマスクを用いて開口部を形成したい領域を露光させ、現像処理によって感光性樹脂を除去する。ここで、層間樹脂層220の開口端部の傾斜面の形状と角度は後の反射層の傾斜面の角度を決定するため、目標とする仕様に応じて露光時間や現像条件を調整することが好ましい。上記の工程によって、
図23に示すような開口部303およびトランジスタ210のドレイン電極216を露出するコンタクト307を得ることができる。
【0109】
図24は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、無機層に開口部を形成する工程を示す図である。ここでは、無機層である層間絶縁層214およびゲート絶縁層212に開口部を形成する。
図23で開口部303が形成された層間樹脂層220をマスクとして、ドライエッチングを行うことで無機層に開口部303を形成する。このとき、無機層の開口部の傾斜面の形状および角度は層間樹脂層220の開口部の傾斜面の形状及び角度を反映する。
【0110】
ここで、ドライエッチングで開口部303を形成する場合、層間樹脂層220とその下層の無機層とのドライエッチングレートにおける選択比によって、無機層に形成される傾斜面の傾斜角度を調整することができる。例えば、無機層に対する層間樹脂層220のエッチングレートが早い場合、無機層をエッチングしている間に層間樹脂層220が後退して開口サイズが大きくなるため、結果として無機層に形成される傾斜面の傾斜角度は小さくなる。
【0111】
図25は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、発光層のアノードとなる反射層を形成する工程を示す図である。反射層としては、反射率が高い材質を選択することが好ましく、例えばアルミニウム、チタン、モリブデン、クロム、ニッケル、銀、またはこれらの合金を使用することができる。反射層はトランジスタのドレイン電極を露出するコンタクト307や開口部303を含む全面に形成される。
【0112】
反射層を全面に形成した後、残したい部分をレジストで覆い、それ以外の部分をエッチングして除去する。エッチングの方法は画素電極の材料によって適宜選択することができる。例えば、アルミニウムに対しては、リン酸、酢酸をベースとしたエッチャントによるウェットエッチングを使用することができる。また、チタンに対しては、塩素系ガスやフッ素系ガスを用いたドライエッチングを使用することができる。いずれのエッチング方法においても、反射層の下層との選択比が大きいエッチング方法で処理することが好ましい。
【0113】
図26は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、開口部にカラーフィルタを形成する工程を示す図である。カラーフィルタは、スピンコート法などによって基板全面に感光性カラーフィルタ材料を塗布した後に、カラーフィルタを残したい箇所、または除去したい箇所をマスクを介して露光し、現像することで、
図26に示すカラーフィルタ313を形成することができる。
【0114】
ここで、例えば、露光した部分が残り、未露光部が現像液に溶解するネガ型の感光性カラーフィルタ材料を用いた場合は以下のように形成することもできる。まず、上記と同様に、カラーフィルタを全面に塗布する。次に、反射層301のパターンに対応した部分が開口されたマスクを介して裏面から露光する。これによって、反射層301のパターンによってセルフアライメントで開口部303に形成されたカラーフィルタのみが露光される。
【0115】
また、その他の方法として、基板全面に感光性カラーフィルタ材料を塗布し、十分に平坦化した後に、全面をエッチバックすることで、開口部303にのみカラーフィルタ313を残すことができる。また、インクジェット法によってカラーフィルタを形成してもよい。インクジェット法はインクジェットヘッドから微小なインク液滴を噴射し、デバイスのパターンに応じて基板上の必要な個所に液滴を着弾させ、機能性材料を含む液体パターンを描画する方法である。従来の全面塗布又は成膜方式に比べると、必要な個所にのみパターンを描画できるため、材料の節約にもなる。
【0116】
図27は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、透明導電層を形成する工程を示す図である。透明導電層は、スパッタ法や蒸着法によって基板全面に形成した後に、残したい部分をレジストで覆い、それ以外の部分をエッチングして除去する。
図27では、反射層301のパターンの外周端部を覆うように透明導電層312を形成しており、透明導電層312のパターンによって反射層301のパターンが覆われる構造を例示した。しかし、この構造に限定されず、反射層301のパターンが透明導電層312のパターンによって覆われていない、つまり、
図27に示す工程において反射層301のパターンの外周端部が露出される構造であってもよい。
【0117】
ここで、透明導電層の材料としては、ITO(酸化インジウム・スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、IZO(酸化インジウム・スズと酸化亜鉛の複合材料)などの透過率の高い透明導電層を形成することが好ましい。また、エッチングの方法は画素電極の材料によって適宜選択することができるが、例えば、ITO(酸化インジウム・スズ)に対しては、シュウ酸をベースとしたエッチャントによるウェットエッチングを使用することができる。
【0118】
図28は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、隔壁を形成する工程を示す図である。透明導電層312および透明導電層から露出された層間樹脂層220の上に、感光性樹脂からなる隔壁層をスピンコート法などの方法で所望の厚さで形成する。このとき、感光性樹脂は溶媒に溶けているので、濃度調整によりその粘度を制御し、さらに塗布時の基板の回転速度を調整することで膜厚を制御することができる。
【0119】
感光性樹脂を塗布後、加熱して溶媒を蒸発させることで隔壁層が形成される。この隔壁層をフォトマスクを用いて露光・現像することで、隣接する画素を画定する隔壁320が得られる。隔壁320は、少なくとも、透明導電層312、または反射層301のパターンの外周端部を覆うように形成される。つまり、外周端部における段差部を覆い、平坦部のみを露出するような開口領域331を得ることができる。なお、感光性樹脂にはネガ型とポジ型があり、ネガ型の場合は、露光されていない部分の隔壁層が溶解するため、現像後の断面形状が矩形、または台形に近い形状を得ることができる。また、ポジ型の場合はネガ型とは逆に露光された部分の隔壁層が溶解するため、現像後の断面形状は曲面を有し、基板面に対する傾斜角度が基板から離れるにしたがい連続的に小さくなる形状を得ることができる。これらポジ型、ネガ型の選択は、それぞれの特性を考慮して所望の隔壁形状に合わせて選択すればよい。
【0120】
図29は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、発光層を形成する工程を示す図である。隔壁320を形成した後、発光層311を含む複数の膜から構成される発光層を基板全面に形成する。白色発光素子の場合、発光層はパターニングする必要がなく、表示領域の全面に形成することができる。発光層が低分子型の場合は、表示領域に相当する部分が開口されたメタルマスクを用いた蒸着により形成する。このとき、隔壁320はメタルマスクのスペーサ(突き当て部材)として使用しても良い。また、発光層が高分子型の場合はインクジェット方式等で成膜することができる。また、RGBの単色発光素子の場合は、RGBそれぞれの画素に対して、微細パターンが加工されたメタルマスク等を用いて、それぞれの画素に異なる発光層を形成する。
【0121】
図30は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、発光層のカソードとなる反射層を形成する工程を示す図である。発光層を形成した後、表示部の全面に上部の反射層302を形成する。反射層302は高い反射性を有する材料であることが好ましい。具体的には、反射率が高い材質を選択することが好ましく、例えばアルミニウム、チタン、モリブデン、クロム、ニッケル、銀、またはこれらの合金を使用することができ、真空蒸着法やスパッタリング法などで成膜することができる。
【0122】
反射層302を成膜する際は、発光層にできるだけダメージを与えないように、プラズマが基板に直接触れないタイプのイオンプレーティング装置、または対向ターゲット型スパッタ装置などを用いるとよい。または、発光層上に、薄い金属膜を蒸着し、その薄い金属膜の上に反射層302をスパッタリング法によって形成してもよい。この場合、薄い金属膜が保護層として機能するため、反射層302をスパッタリング法で形成しても反射層へのダメージを低減することができる。
【0123】
図31は、本発明の実施形態7における表示装置の製造方法において、封止層を形成する工程を示す図である。
図31に示すように、反射層302上に封止層330を形成する。封止層330は基板全面に形成され、水分や不純物に対するブロッキング能力が高い材料を使用することが望ましく、例えば窒化シリコンや酸化シリコン、またはこれらの積層膜で形成することができる。窒化シリコンや酸化シリコンのような無機材料による封止層330は、下地構造の段差部分において密度が低い領域が形成されることがある。膜密度が低い領域は、そこから水分や不純物が混入し、トランジスタ特性の変動や、発光層の劣化などを引き起こすため、そのような箇所においても被覆性良く封止層を形成することが重要である。
【0124】
上記のようにして、実施形態7の発光素子を有する表示装置を作製することができる。このようにして作製した表示装置によれば、発光効率を向上させ、混色の問題を抑制し、広い視野角を得ることができる。
【0125】
<実施形態9>
図32および33を用いて、実施形態9に係る表示装置の概要を説明する。実施形態9では、本発明の光源を液晶表示装置のバックライトに使用した例について説明する。
図32は、本発明の実施形態9における表示装置の画素の断面図を示す図である。また、
図33は、本発明の実施形態9における表示装置の画素の平面図を示す図である。
図32および33では、液晶表示装置において、RGBの3色の画素を示す。
【0126】
図32では、基板100上にトップゲート型のトランジスタ210が形成されている。トランジスタ210上にはトランジスタや配線等によって形成された段差を緩和する平坦化膜218が形成され、その上に画素電極219が各色の画素に対応する領域に形成されている。また、トランジスタ210や画素電極219が設けられた基板100と、基板100に対向する対向基板200との間には液晶層600が挟持されている。なお、基板100のトランジスタ210や画素電極219とは逆側には、第1偏光板710が形成されている。
【0127】
対向基板200の液晶層600とは逆側には、第2偏光板720を介して層間樹脂層220が形成されている。層間樹脂層220には、それぞれ対向基板200に到達する傾斜面を有する開口部303R、303G、303B(これらを区別しない場合は開口部303という)が設けられている。開口部303は各画素電極219に対応するように配置されている。また、層間樹脂層220の上面および開口部303の傾斜面には、発光素子のアノードの一部として機能する反射層301が形成されている。開口部303の傾斜面に形成された反射層301は傾斜面304R、304G、304B(これらを区別しない場合は傾斜面304という)を有している。
【0128】
開口部303には、着色層を有するカラーフィルタ313R、313G、313B(これらを区別しない場合はカラーフィルタ313という)が形成されている。
図32では、カラーフィルタ313は開口部303を満たすように形成されており、開口部303によって形成された段差を緩和している。ここで、カラーフィルタ313は開口部303によって形成された段差を完全に平坦化していなくてもよく、開口部303によって形成された段差の影響を実質的に無視できることができるレベルまで緩和していればよい。その結果、発光層の発光領域において、アノード−カソード間の発光層の厚さを略一定にすることができる。
【0129】
反射層301およびカラーフィルタ313上には、発光素子のアノードの一部として機能する透明導電層312が形成されている。透明導電層312は、反射層301の上面およびカラーフィルタ313の上面に形成され、透明導電層312上には、発光層311、発光素子のカソードの一部として機能する反射層302および発光層311に水分や不純物が侵入しないように封止する封止層330が形成されている。
【0130】
ここで、透明導電層312、発光層311および反射層302は、画素毎に形成されてもよく、また、画素が配置された表示領域の全面に形成されてもよい。透明導電層312、発光層311および反射層302が表示領域の全面に形成されている場合、液晶表示装置の駆動時に透明導電層312と反射層302の間に電圧が印加されると、発光層311は表示領域の全面で発光する。発光層311で発生した光は、一対の反射層301、302で反射を繰り返し、やがて各開口部303から出射される。
【0131】
図32では、対向基板200側に光源を配置した構造を例示したが、この構造に限定されず、基板100のトランジスタ210や画素電極219とは逆側に光源を配置してもよい。
【0132】
図33では、RGBの3色の画素のそれぞれのレイアウトを示しており、各画素において、トランジスタ210、ゲート線230、容量線240、データ線250および保持容量260などの素子が配置されている。これらの素子は金属膜が使用されているため、遮光領域となる。開口部303は、これらの素子と重畳しない位置に設けられる。そうすることで、開口部303から放出される光が、これらの素子によって遮光されることを抑制することができ、光の損失を抑制できる。その結果、発光層で発生した光を効率よく表示に使用することができる。
【0133】
図33では、遮光層を設けない構成を例示したが、この構成に限定されず、トランジスタや配線などの各素子を遮光層で覆う構成としてもよい。
【0134】
実施形態9に示すように、液晶表示装置に本発明の光源を使用することで、発光素子で発生した光が遮光されて損失となることを抑制し、効率よく表示に使用することができる。その結果、より低い消費電力で表示装置を駆動することができる。また、発光層で発生した光の出射口を自在に設定することができるので、従来使用していた遮光層を使用する必要がないため、工程の短縮化、コスト低減の効果が得られる。
【0135】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0136】
100:基板
101、102、301、302:反射層
103、103a、103b、303、303R、303G、303B:開口部
104、104a、104b、105、304、304R、304G、304B、318:傾斜面
110:表示領域
111、311、316:発光層
112、312:透明導電層
113:樹脂層
114:隔壁
120:周辺領域
121、122、122a、122b、123、124:光
130:シール材
131:充填材
140:トランジスタ層
150:封止層
160、161:反射体
180:画素
181:発光素子
200:対向基板
210:トランジスタ
211:半導体層
212:ゲート絶縁層
213:ゲート電極
214:層間絶縁層
215:ソース電極
216:ドレイン電極
218:平坦化膜
219:画素電極
220:層間樹脂層
230:ゲート線
240:容量線
250:データ線
260:保持容量
300:ドライバIC
305:端部
306:外周端部
307:コンタクト
313、313R、313G、313B、317:カラーフィルタ
315:透明樹脂層
320、321:隔壁
330:封止層
331:開口領域
333:開口領域内部
400:FPC
500:端子部
600:液晶層
710:第1偏光板
720:第2偏光板