(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の開口部が第1のセットの開口部および第2のセットの開口部を含み、前記第1のセットの開口部における前記開口部のサイズが、前記第2のセットの開口部における前記開口部のサイズよりも大きい、請求項1又は2に記載のカテーテル。
前記ルーメン延長部材内の前記ルーメンの直径が変化し、その直径は、前記遠位部分の長さに沿って流体の流れを実質的に一定にするように構成されている、請求項1〜4のいずれかにに記載のカテーテル。
前記側壁が、前記細長いギャップの対向する側に配置された交互のかみ合いブロックを含み、各前記ブロックが頭部とネック部とを有し、前記頭部は前記ネック部よりも幅広である、請求項1〜9のいずれかに記載のカテーテル。
前記複数の開口部が第1のセットの開口部および第2のセットの開口部を含み、前記第1のセットの開口部にある前記開口部のサイズが、前記第2のセットの開口部にある前記開口部のサイズよりも大きい、請求項15に記載の遠位部分。
前記柔軟なセグメントが、前記細長いギャップの対向する側に配置された交互のかみ合いブロックを含み、各前記ブロックが頭部とネック部とを有し、前記頭部が、前記ネック部よりも幅広である、請求項11〜18のいずれかに記載の遠位部分。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、以下の多数の実施形態の詳細な説明を参照することにより、本発明をより理解でき、それら実施形態は、特許請求の範囲で定義される本発明の説明例として提示される。特許請求の範囲で定義される本発明は、下記の説明のための実施形態よりも範囲が広いとし得ることがはっきりと理解される。
【0008】
柔軟なおよび曲げることができる電極を含む先端を有し、かつまたカテーテル先端の軸方向長さを短縮するために自由に動ける一方で、体の組織に線形の損傷を確実に形成するアブレーションカテーテルの実施形態が説明される。電極の柔軟性は、電極−組織接触域を増大させ、かつ、同様に組織の焼灼を改善する。特に、稜が存在する組織では、改良された連続的な電極−組織接触の状態で、柔軟な先端の電極を稜の表面を横切って引きずることができる。
【0009】
これらのおよび他の利益が、複数の柔軟なセグメントを含むカテーテルに柔軟な遠位部分を設けることによって達成され、複数の柔軟なセグメントは、各々、内部ルーメンを有する全体的に中空のシリンダー状構造を含む。丸みを帯びた遠位端部を設けてもよい。柔軟なセグメントのシリンダー状壁は、シリンダー状壁にギャップを画成する様々な異なるタイプのチャネルまたは細長い溝を有してもよく、そこに、屈曲能力および曲げ能力を含むある程度の柔軟性を与える。一部の実施形態では、カテーテルはアブレーションカテーテルであり、柔軟なセグメントは電極である。この柔軟性によって、可撓性電極は、稜などを含む不規則な表面領域を有し得る体の組織に、および体の組織に一層確実に線形の損傷を形成するために伸縮し得るまたは動き得る組織に適合して十分な表面接触を確立する。電極はまた、その長手方向軸に沿ってカテーテル先端の長さを自由に動かして短縮させて、例えば、焼灼の標的である伸縮したり動いたりする組織との表面接触を維持するように構成されている。チャネル、溝、および関連する細長いギャップは、多数の例示的な実施形態において下記で説明するように、様々な形状、サイズおよび全体的な構成を有し得る。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態によるアブレーションカテーテルの遠位部分10の概略図である。遠位部分10は平らな遠位端部12を含み、遠位端部は実質的に円形であり、かつその周囲に丸みを帯びた縁部を有する。代替的な実施形態では、遠位端部12はドーム形状であり、かつ湾曲した遠位端部を有する。別の実施形態では、遠位端部12は卵形または楕円形状である。遠位部分10はまた、柔軟な遠位セグメント14および柔軟な近位セグメント16を含む。柔軟なセグメント14、16は、中間セグメント18によって隔てられている。一実施形態では、柔軟なセグメント14、16は電極であり、および中間セグメント18は非導電性部材であり、かつ中間セグメント18は、柔軟なセグメント14、16よりも柔軟性が劣る。代替的な実施形態では、中間セグメント18は、柔軟なセグメント14、16と同程度の柔軟性を有する。柔軟な遠位セグメント14は、遠位端部12および中間セグメント18に結合される。柔軟な近位セグメント16は、中間セグメント18およびカテーテルシャフト20に結合される。
【0011】
非導電性の中間セグメント18は、柔軟な電極セグメント14、16を電気的に絶縁し、かつこの中間セグメントに柔軟な電極セグメント14、16を固定する。
図1から分かるように、中間セグメント18は、柔軟な電極セグメント14、16の縁部にあるT字形状の窪みまたは空洞内に適合して嵌るT字形状の突起19を有して、柔軟な電極セグメント14、16を中間セグメント18に結合するかみ合い接続を形成する。当然ながら、電極セグメント14、16が中間セクション18に固定される限り、接続を形成するために他の構成を使用できる。一実施形態では、非導電性中間セグメント18は、ポリイミドまたは他の何らかの非導電性材料で作製する。中間セグメントは、ストリップとして形成してからチューブ状形状に曲げて、柔軟な電極セグメント14と16との間に相互接続カップリングを形成し得る。中間セグメント18の長さは、柔軟な電極セグメント14、16の焼灼ゾーンが重なって連続的な損傷を形成することができる程度に十分に短い。柔軟性のないまたは少なくとも電極セグメント14、16ほどは柔軟性のない中間セグメント18のサイズを制限することによって、中間セグメント18の長さが短いことにより、また、遠位部分10の全体的な柔軟性を保つ。一例では、柔軟な電極セグメント14、16は、それぞれ長さが約4mmである一方、中間セグメント18の長さは約1mmである。一般に、中間セグメント18は、長さが柔軟な電極セグメント14、16よりも実質的に短い(例えば、好ましくは半分に満たない、一層好ましくは3分の1未満、および最も好ましくは4分の1未満)。
【0012】
柔軟な遠位電極セグメント14はシリンダー状の側壁22を含み、および柔軟な近位電極セグメント16はシリンダー状の側壁24を含む。側壁22、24は、側壁22、24の全体にわたってらせん状または渦巻き状のチャネルまたは溝26を切り込こんでまたは他の方法で形成して、細長いギャップまたは開口部を形成している。本明細書では、細長い開口部の長さは、好ましくは開口部の幅の少なくとも約3倍、一層好ましくは少なくとも約5倍、および最も好ましくは少なくとも約10倍である。
【0013】
代替的な実施形態では、側壁22、24は、側壁22、24の全体にわたっては延在しない細長いギャップまたは開口部を形成する、らせん状または渦巻き状のチャネルまたは溝を含む。側壁22、24の全体にわたっては延在しないチャネルまたは溝26は、壁の厚さが低下しかつ側壁22、24の断面積が減少した細長い開口部を画成し、それゆえ、チャネル26を含む壁の領域は、細長い開口部が存在しない側壁22、24の領域よりも構造的に弱く、かつ剛性が少なくなり、電極壁に柔軟性を与える。本明細書では、細長い開口部の長さは、溝の幅の好ましくは少なくとも約3倍、一層好ましくは少なくとも約5倍、および最も好ましくは少なくとも約10倍である。理解できるように、電極の側壁22、24の全体にわたって延在するチャネル26は、概して、側壁22、24に、側壁22、24の全体にわたっては延在しないチャネル26よりも柔軟性を与える、または剛性が少ない。
【0014】
別の代替的な実施形態では、チャネルは、円形および平面的な構成に延在し、各チャネルは、隣接するチャネルから等距離のところにある。追加的な実施形態では、チャネルは、電極の側壁の表面にある1ループまたは1回転360度を上回ったり下回ったりして完成する非平面的ならせん状構成を有する。これらのチャネルの各々は個別の端点を有し、および各電極は複数のチャネルを有する。
【0015】
別の実施形態では、電極は、平面に延在する環状リングを含んでもよく、環状リングは、終わりのない連続的なループは形成しないが、互いに離隔する2つの終端部を有するループを形成するチャネルを形成する。別の実施形態は、連続的および非連続的な、平面的および非平面的なチャネル構成の組み合わせを含み得る。
【0016】
図1に示すように、チャネル26は各々、かみ合い要素を形成し、かつ、柔軟なセグメント14の一方の端部から他方の端部までおよび柔軟なセグメント16の一方の端部から他方の端部まで連続的ならせん状経路構成に従うかみ合いパターンを生じる。チャネル26は、交互にかみ合い要素またはブロック28の輪郭を描く。
【0017】
ブロック28は、チャネル26の両側に配置される。各ブロック28は、頭部30およびネック部32を有し、頭部30は、ネック部32よりも幅広である。
図2に示すように、かみ合いパターンは、「Y」で示す第1の頭部を含み、これは、「X」で示す第2の頭部と第3の頭部との間に配置されたチャネル26の一方の側にあるネック部32を有する。第2および第3の頭部Xは各々、チャネル26の他方の側にありかつ頭部Yに対向する側にあるネック部を有する。頭部30は、隣接するネック部32よりも幅広であり、それゆえ隣接するネック部32間にロックされているため、隣接するブロック28はかみ合っている。例えば、
図2の第2および第3の頭部Xは、
図2では最も短い距離Aによって隔てられており、および距離Aは、頭部Yの幅Wよりも短く、それにより、2つの隣接するループの互いに離れるような相対運動を制限し、かつ隣接するブロック28が離れないようにする。
【0018】
考慮できる細長い開口部のパターンをまた、チャネル26の形状の代わりに側壁22、24の構造に従って説明できる。例えば、
図3は、一連のステムループ(
図1参照)を形成する電極の長手方向軸の周りをらせん状に延在するステム部材34を含む電極壁を示す。ステム部材34は、ステム部材34の両側の周囲に配置された複数の突出ブロック28を含む。各ブロック28は、
図1に示す電極の側壁22にある隣接するステムループの方に向かって、
図3において矢印Tで示す横方向において横に広がる。隣接する各ステム部材34は、すぐ隣接するステム部材にあるブロック28からジグザグになるようにされたブロック28を含み、かみ合いブロックパターンを生じる。ステム部材34から延出するブロック28は、様々な形状を有し得る。例えば、少なくとも一部のブロック28は、図示の通り逆三角形の形状を有してもよく、三角形の1つの角がネック領域を示す。
【0019】
図4は、丸みを帯びた球根形状を有する代替的な形状のブロック36を有する代替的な実施形態を示す。考慮できる球根状突起の頭部は、それらの対応するネック部よりも幅広であり、かみ合いブロックパターンを容易にする。
【0020】
図1および
図3を再度参照すると、ステム部材34は、0.5〜10度のピッチで長手方向軸Fの周りをらせん状に延在する軸38を有する。ステム部材34のブロック28間のチャネル26は、柔軟なセグメントまたは電極14、16の柔軟性を高めて、電極14、16がそれらの長手方向の長さに沿っておよびそれらが取り付けられているカテーテル本体に対して屈曲するおよび曲がることができるようにする。例えば、電極14、16が屈曲できることにより、各電極14、16の約4mmの長さ部分が、長手方向軸に対して実質的に直線の位置から0.2度〜70度曲がることが可能になる。より具体的には、屈曲できることにより、約4mmの電極の長さ部分が、長手方向軸に対して実質的に直線の位置から5度〜50度曲がることが可能になる。さらにより具体的には、屈曲できることにより、約4mm電極の長さ部分が、長手方向軸に対して実質的に直線の位置から約20〜22度曲がることが可能になり、従って、2つの4mmの電極14、16を有する遠位部分10は、約40〜44度曲がる。
【0021】
電極14、16が屈曲できることにより、例えば、組織表面に谷、稜、および嚢のある柱状の心内膜組織(trabeculated endocardial tissue)における標的組織との接触がよくなる。電極−組織接触域は、電極14、16の側壁22、24をそれぞれ使用することにより増大し、焼灼のためのエネルギーを伝達する。接触面の増大は、所与の接触力およびパワー設定においてより大きな損傷を形成する可能性を高める。同様に、これにより、パワー設定を増大させることなく深く焼灼でき、これは有益である。なぜなら、パワー設定の増大は、望ましくなく凝固の可能性を高めるためである。
【0022】
可撓性電極14、16は、電極14、16が組織と平行に、垂直に、または他の向きで接触しているかどうかに関わらず、収縮および拡張の最中に鼓動を打っている心臓内の組織の伸縮を吸収しかつ組織との連続的な接触を改善するように構成されている。組織との連続的な接触はまた、電極が1か所で静止しているかどうかまたはいつ電極が動いていて引きずられているかに関わらず、維持される。そのような柔軟性がないと、標準の剛性先端の電極は、心臓の鼓動に応答して組織から「跳び離れる(jump off)」であろう。
【0023】
カテーテル用の可撓性電極の代替的な実施形態は、体の異なる側面を測定するための生理学的な検知能力を含む。そのような能力は、カテーテルの遠位部分10に配置された1つ以上のセンサを使用することによって得られる。そのようなセンサは、中空電極内に配置されて、処置に関する1つ以上の生理学的側面を測定し得る。処置の最中に操作者によってそのようなデータを収集し、かつ監視できる。
【0024】
比較的長い線形の損傷を形成するために組織にわたって置くことができる公知の細長い電極(例えば、米国特許第6,063,080号明細書)とは異なり、上述のような可撓性電極は、特に比較的密な解剖学的構造においてより正確な焼灼のために、心臓内の特定位置におけるマッピングおよび制御の精度を向上させるという、予想外の利点を有する。公知の細長い電極では、そのような密な解剖学的構造においての位置決めが困難である。
【0025】
柔軟な先端の電極によって達成される予想外の利点の1つは、「はじき飛び(フリッピング;flipping)」が最小限になることである。標準の剛性先端電極を、組織に谷および嚢を有する体腔内で操作するとき、先端電極は、組織に捕らえられたり、または入り込んで動きが取れなくなったりし得る。捕らえられているまたは入り込んで動きが取れなくなっているにも関わらず、先端電極を動かそうとして医師が力を加え続けると、先端電極は突然組織から「はじき飛ぶ」ことがある。そのような「はじき飛び」は極めて望ましくなく、回避すべきである。本提案の柔軟な先端の電極は、「はじき飛び」の問題をかなり最小限にし、かつ標的組織にある谷および嚢にわたって滑らかに引きずって動くことができるようにする。加えて、1つ以上の牽引ワイヤ(図示せず)を遠位部分10に用いることができる。一実施形態では、牽引ワイヤは、遠位端部12に止められかつカテーテルの近位端部を通って延在し、操作者がカテーテルの遠位部分10を操作できるようにする。代替的な実施形態では、牽引ワイヤの遠位端部は、遠位端部12以外の位置でカテーテルに接続される。牽引ワイヤによって、操作者は、カテーテルの挿入中ならびに処置の最中に遠位部分10を異なる方向および曲率に構成できる。一実施形態では、牽引ワイヤは、当業界で伝統的に知られているように止められ、かつカテーテル壁を通って延在しても、またはルーメンを通って延在してもよい。複数のワイヤを、遠位端部12から定められた長さのところに、カテーテルの反対側と対にして止めてもよいし、または固定点は、オフセットしていて、それゆえ、非対称的な曲率および湾曲を可能にしてもよい。
【0026】
図5は、
図1のアブレーションカテーテルの遠位部分10の部分的な断面図である。柔軟な電極セグメント14と16との間でチューブ40が内部に配置され、かつ接着剤42などによって柔軟な電極セグメント14、16に取り付けられている。一実施形態では、チューブ40はPEEKチューブから作製される。代替的な実施形態では、チューブ40は、他の好適な非導電性材料から作製される。遠位端部12とチューブ40との間には遠位スプリングコイル44が延在している。チューブ40と先端ステム48との間には近位スプリングコイル46が延在し、かつ近位電極セグメント16およびカテーテルシャフト20に取り付けられている。スプリングコイル44、46は、柔軟な電極セグメント14、16を付勢して長手方向に延伸させる。側壁22、24が、それらの全体にわたって延在するチャネル26を有するとき、および側壁22、24が、それらの全体にわたって延在しないチャネルを有するときの双方に、スプリングコイル44、46は、それぞれ柔軟な電極セグメント14、16に弾性的な付勢支持をもたらす。スプリングコイル44、46は、それぞれ側壁22、24に対する構造的完全性をもたらし、かつ、遠位部分10に加えられる力がないときには、柔軟な電極セグメント14、16を予め決められた構成に弾性的に維持する。代替的な実施形態では、スプリングコイル以外の付勢部材を使用して電極セグメント14、16を付勢し、長手方向に延伸させてもよい。
図5に示すように、静止時の予め決められた電極構成は、各柔軟な電極セグメント14、16の長手方向軸を、直線に沿って向きを合わせて定める。異なる実施形態では、静止時の予め決められた構成は、電極セグメント14、16の長手方向軸を、湾曲したまたはアーチ形の経路に沿って向きを合わせて定めてもよい。そのような構成は、好適な形状記憶合金を使用することによって遠位部分10に与えられ得る。
【0027】
電極の側壁22、24の全体にわたって延在するチャネル26は、側壁22、24に十分なギャップをもたらし、電極に十分な力が加えられるときに電極セグメント14、16の長さを短縮できる。上述の通り、チャネル26は、例えば、頭部30と、電極の側壁22、24にある隣接するループのネック部32との間に延在し、かつ、チャネル26が狭小になるか閉鎖されていると、電極壁の長手方向軸に沿って、隣接するステム間の動きを自由にできる。同様に、隣接する頭部30間のチャネル26は、チャネル26が開放しているか広くなっていると、電極の柔軟なセグメント14、16の長手方向の長さに沿って電極の側壁22、24を伸ばす動きを自由にする。そのような短縮または伸長は、上述の様々な実施形態において、1つ以上のチャネル26が広くなるか狭小になることを含み得る。
【0028】
例示的な実施形態では、柔軟な電極セグメント14、16は、電極の側壁22、24のチャネル26が閉鎖されると、柔軟な電極セグメント14、16の軸方向の静止長の0.2%〜10%で短縮し得る。一実施形態では、電極の側壁22、24のチャネル26は、静止長の0.1%〜8%での軸方向長さの短縮を可能にする。より具体的には、電極の側壁22、24のチャネル26は、静止長の0.5%〜5%の長さでの軸方向の短縮を可能にし、さらにより具体的には、電極の側壁22、24のチャネル26は、0.1%〜0.5%の長さでの静止長の短縮を可能にする。
【0029】
一実施形態では、静止時の電極セグメント14、16は、長手方向に伸張して予め決められた形状を取り、かつチャネル26を予め決められた量開放させる。電極セグメント14、16が組織に接触すると、圧縮力が加えられることによって、チャネル26が狭小になるかまたは閉鎖し、および電極セグメント14、16は力に抗して短くなる。ひとたび短くなると、チャネル26の幅が狭くなり、かつ十分に閉鎖して、電極セグメント14、16の長さが最小の軸方向長さとなるようにしてもよい。この最小の軸方向長さでは、さらに力が加えられることによる影響を実質的に受けない。
【0030】
例示的な実施形態では、スプリングコイル44、46、または可撓性電極14、16、またはこれらの任意の組み合わせは、アブレーション温度に好適である生体適合性材料から作製され得る、および一実施形態ではそれから作製される。そのような材料は、これらに限定されるものではないが、天然および合成ポリマー、様々な金属および金属合金、ニチノール、自然発生物質、テキスタイル繊維、およびこれらの組み合わせを含む。例示的な実施形態では、遠位部分10と、柔軟なセグメント14、16およびコイル44、46を含むがこれらに限定されない他のカテーテルの構成要素とは、実質的にまたは全体的に非磁性の、非導電性の、および非RF反応性の材料から作製され、遠位部分10の磁気共鳴画像法(MRI)を可能にし、遠位部分10の位置決めおよび/または位置の方位に磁気共鳴画像(MRI)装置(図示せず)を使用する。上述のカテーテルは、MRI装置と共に使用するのには有利であるが、遠位部分10の画像を生成するための磁場および磁気勾配が、所望により他の装置および技術によって代わりに生成され得ることが考えられる。例えば、一実施形態では、遠位部分10の全て、または一部分を、90%の白金および10%のイリジウムから、または当業界で公知の他の材料から作製し、X線透視の露光下で遠位部分10の全てまたは一部を見ることができるようにする。
【0031】
それに加えてまたはその代わり、遠位部分10は、金および/または白金を含むがこれらに限定されない伝導性材料を含みおよび/またはそれで被覆され、電極の熱伝導性を高める。さらに、遠位部分10は、抗凝固作用をもたらすためにヘパリンで被覆できる、および、一実施形態においては被覆される。さらに、遠位部分10は、鋭角を減らすために電解研磨できる、一実施形態では電解研磨される。
【0032】
別の代替的な実施形態では、カテーテルを、例えば、St.Jude Medical,Inc.から市販されているEnSite NavX(商標)システムなどの、および一般的に米国特許第7,263,397号明細書(「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」)(その開示全体を、本願明細書に援用する)を参照すると示されているような電場ベースの装置と共に使用できる。他の実施形態では、カテーテルを、電場ベースの装置以外の装置と共に使用できる。例えば、Biosense Websterから市販されているCarto(商標)システムなどの、および一般的に、米国特許第6,498,944号明細書(「Intrabody Measurement」);同第6,788,967号明細書(「Medical Diagnosis,Treatment and Imaging Systems」);および同第6,690,963号明細書(「System and Method for Determining the Location and Orientation of an Invasive Medical Instrument」)(それらの開示全体を本願明細書に援用する)の1つ以上を参照すると示されているような磁場ベースの装置。他の実施形態では、カテーテルを、MediGuide Ltd.から市販されているgMPSシステムなどの、および一般的に、米国特許第6,233,476号明細書(「Medical Positioning System」);同第7,197,354号明細書(「System for Determining the Position and Orientation of a Catheter」);および同第7,386,339号明細書(「Medical Imaging and Navigation System」)(それらの開示全体を本願明細書に援用する)の1つ以上を参照すると示されているような磁場ベースの装置と共に使用できる。さらに別の実施形態では、カテーテルを、例えば、限定するものではないが、同様にBiosense Websterから市販されているCarto3(商標)システムなどの、および一般的に、米国特許第7,536,218号明細書(「Hybrid Magnetic−Based and Impedance Based Position Sensing」)(その開示全体を、本願明細書に援用する)を参照すると示されているような電場ベースと磁場ベースの複合装置と共に使用できる。さらに他の例示的な実施形態では、カテーテルを、他の一般に入手可能な装置、例えば、限定するものではないが、X線透視、コンピュータ断層撮影(CT)、および磁気共鳴画像法(MRI)ベースの装置などと共に使用できる。これらの実施形態では、カテーテルは1つ以上の追跡要素を含み、それによりカテーテルの位置を追跡できるようにする。そのような追跡要素は、能動および/または受動素子、例えばセンサおよび/または電極などを含むことができる。
【0033】
図1および
図5からわかるように、カテーテルシャフト20には一対の帯状電極50が設けられ、診断目的などのために使用され得る。一対の電極ワイヤ51が帯状電極50まで延在して、帯状電極50にエネルギーを供給する。遠位部分10はまた、導線52、53および熱電対54、55を含む。ウレタンなどの接着剤56が、導線52および熱電対54を遠位端部12において適所に維持する。一実施形態では、遠位端部12は、柔軟な遠位電極セグメント14と電気的接触および熱的接触している。導線53および熱電対55は先端ステム48に結合され、かつウレタンなどの接着剤によって適所に保持される。一実施形態では、先端ステム48は、柔軟な近位電極セグメント16と電気的接触および熱的接触している。導線および熱電対はまた、他の電極または電極セグメントのまたはその付近の他の個所に設けられてもよい。電極ワイヤ51、導線52、53は、当業界で周知であるように、それらの近位端部においてエネルギー源に結合される。加えて、熱電対54、55は、当業界で周知のようにそれらの近位端部においてエネルギー源に結合される。従って、可撓性電極14、16は、順次にまたは同時に付勢できる。一実施形態では、遠位部分10は、温度制御モードおよび/または電力制御モードで動作できる。代替的な実施形態では、遠位端部12は、柔軟な電極セグメント14と一体的であり、および先端ステム48は柔軟な近位電極セグメント16と一体的である。
【0034】
上述したもののような柔軟な先端の電極を有するカテーテルは、任意選択で灌注システムに結合できる。すなわち、カテーテルは、チューブ状のカテーテル本体に流体供給ルーメンを含んでもよく、流体供給ルーメンは、電極セグメント14、16および遠位端部12と流体連通している。可撓性電極の1つ以上が、力を加えられると形状を変化させる場合、1つまたは複数の細長いギャップはサイズおよび/または形状を変化させ、それにより、そこを通る流体の流れに影響を及ぼす。冷却液を、例えば、開放した流路にポンプでくみ上げて、カテーテル本体を通って電極の中空ルーメンまで供給してもよく、そこで、冷却液は、電極の側壁にある1つまたは複数のギャップを通って電極の外側まで通過して、冷却液で電極および隣接する体の組織を洗う。あるいは、当業界で公知のような再循環冷却液を使用する内部の閉鎖ループ灌注システムも可能である。また、可撓性電極を有するカテーテルを、エネルギー源、例えば無線周波数(RF)発生器に結合して、組織の焼灼に必要なエネルギーをもたらすことができる。RF信号発生器は公知であり、例えば、米国特許第6,235,022号明細書に説明されている。
【0035】
一実施形態では、および
図5に示すように、遠位部分10は、ルーメン延長部材62まで遠位に至るルーメンチューブ60を含み、ルーメン延長部材62は、柔軟な近位セグメント16を通っておよび部分的に柔軟な遠位セグメント14を通って延在する。あるいは、ルーメン延長部材62は、柔軟な近位セグメント16を通って、柔軟な遠位セグメント14を完全に通って延在し、かつ遠位端部12を通って延在する出口ポート63と流体連通している。別の実施形態では、ルーメン延長部材62は、遠位部分10の柔軟性を低下させない任意の好適な長さ、例えば、遠位部分10の長さの約90パーセントまでの長さなどを有し得る。ルーメン延長部材62は、柔軟なセグメント14および16を通って延在する流体用延長ルーメンを画成し、かつ、流体を、ルーメンチューブ60から遠位部分10の長手方向の長さに沿って導くことができるようにする。このように、ルーメン延長部材62は、ルーメンチューブ60と流体連通している。ルーメン延長部材62は、その長手方向の長さに沿って流体の流出を実質的に一定にするように構成されている。そのような構成は、所望の(例えば、実質的に均一の)灌注パターン、または遠位部分10およびチャネル26を通る流体の流れをもたらすように、ルーメン延長部材62の近位端部66から遠位端部68までサイズおよび配置が変化し得る開口部64を含み、ならびに、流体の流出を実質的に一定にするようなルーメン形状およびサイズを含む。
【0036】
ルーメン延長部材62は、ポリイミド材料、ポリエーテルブロックアミド材料、シリコーン材料、およびポリウレタン材料のうちの少なくとも1種を含む好適な生体適合性材料から作製できる、および一実施形態ではそれから作製される。例示的な実施形態では、ルーメン延長部材62は、カテーテルシャフト20を作製するのに使用される材料と実質的に同様の材料から作製される。あるいは、ルーメン延長部材62は、カテーテルシャフト20を作製するために使用される生体適合性材料とは異なる生体適合性材料から作製できる、および一実施形態ではそれから作製される。例示的な実施形態では、ルーメン延長部材62はポリイミド材料から作製される。
【0037】
ルーメン延長部材62は、そこに流体を通して導くことができるようにするために、任意の好適な断面形状を有し得る。例示的な実施形態では、ルーメン延長部材62は、円形、楕円形、および卵形のうちの1つなどの、実質的に丸みを帯びた断面形状を有する。さらに、ルーメン延長部材62は、任意の好適な数の部分を有し、それら部分は、それぞれ、任意の好適な幾何学的形状で、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに沿って延在し得る。例えば、ルーメン延長部材62は、実質的に均一の幾何学的形状で、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに沿って延在してもよい。さらに、ルーメン延長部材62は、漏斗状の幾何学的形状で、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに沿って延在してもよい。例えば、漏斗状のルーメン延長部材の直径は、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに沿って近位端部66から遠位端部68まで段階的に大きくなる。例示的な実施形態では、ルーメン延長部材62は、第1の幾何学的形状を有する近位部分と、第2の幾何学的形状を有する遠位部分とを含む。ルーメン延長部材62は、熱伝導性材料から形成でき、または部分的にもしくは全体的にそれで被覆でき、またはそれで裏打ちでき、灌注液、化学物質、治療物質、ゲル、冷却溶液または加熱溶液などを、体または電極エネルギーから絶縁する。
【0038】
一実施形態では、流れ狭窄器(flow constrictor)(図示せず)が、開口部64を通る流体の流出を操作するために使用される。この実施形態では、流れ狭窄器は、連続的な一連の開口部64の間で、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに沿ってルーメン直径を小さくする。そのような流れ狭窄器は、適切なサイズおよび形状にされた開口部と共に使用されるときに、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに沿った開口部64を通る流体の流れを、実質的に一定にするように構成できる。
【0039】
例示的な実施形態では、開口部64は、ルーメン延長部材62の側壁を貫通して延在し、遠位部分10の長手方向の長さに沿って流体の流れを導くことができるようにする。各開口部64は任意の好適な構成を有し得る。例示的な実施形態では、各開口部64は、円形、楕円形、および卵形などの、実質的に丸みを帯びた形状を有する。さらに、例示的な実施形態では、少なくとも1つの開口部64の軸が、ルーメン延長部材62の長手方向の長さに実質的に垂直である。さらに、例示的な実施形態では、少なくとも1つの開口部64の直径が約0.05mm〜約0.20mmである。一実施形態では、ルーメン延長部材62は、部材62が屈曲するときに開口部64がサイズおよび/または構成を変化させることができるような材料から作製される。そのような変化は、部材62が屈曲するときに開口部64が大きくなることまたは小さくなること、および/または開口部64が形状を円形から卵形または楕円形に変化させること、または形状を卵形または楕円形から円形に変化させることを含む。この実施形態は、組織が接触している遠位部分10の曲率ゆえに、焼灼中の組織の方へより多くの流体を流すことができるようにする。
【0040】
一実施形態では、開口部64は第1のセットの開口部65および第2のセットの開口部67を含む。第1のセットの開口部65は、第2のセットの開口部67よりも大きい。一実施形態では、第2のセットの開口部67は、第1のセットの開口部65のサイズの約半分である。これらの異なるサイズにされた開口部64によって、開口部64を通る流体の流れを実質的に一定にできる。
図5に示すように、第1のセットの開口部65は、各可撓性電極14、16内で第2のセットの開口部67よりも近位にある。
図8は、可撓性電極16内で第2のセットの開口部67が第1のセットの開口部65よりも近位にあり、および可撓性電極14内で第1のセットの開口部65が第2のセットの開口部67よりも近位にある開口部64の別の構成を示す。あるいは、可撓性電極16内で第1のセットの開口部65が第2のセットの開口部67よりも近位にあり、かつ可撓性電極14内で第2のセットの開口部67が第1のセットの開口部65よりも近位にある、ならびに各可撓性電極14、16内で第2のセットの開口部67が第1のセットの開口部65よりも近位にあるなど、開口部の任意のパターンを、実質的に一定の流体の流れをもたらすために利用できる。第1のセットの開口部65および第2のセットの開口部67は、各々、任意の好適な数量の開口部を含み得る。例えば、第1のセットの開口部65は第1の数量の開口部を含み、および第2のセットの開口部67は第2の数量の開口部を含み得る。例示的な実施形態では、第1の数量は第2の数量に等しい。あるいは、第1の数量は、第2の数量よりも多くも少なくもできる、および一実施形態ではそれよりも多いまたは少ない。
【0041】
代替的な実施形態では、専用のルーメン延長部材(図示せず)は、各柔軟なセグメントまでおよび遠位端部12まで延在し、均一な量および速度の流体が各柔軟なセグメント14、16および遠位端部12に供給されて、各柔軟なセグメント14、16のチャネル26を通りかつ出口ポート63を通る流体の流出を均一にする。そのような専用のルーメン延長部材は、カテーテル20の全長にわたって延在できる、またはそれらはそれぞれ、ルーメンチューブ60につながれ得るまたはそこから延在し得る。別の代替的な実施形態では、ルーメン延長部材を用いず、およびルーメンチューブ60は、柔軟な近位セグメント16の近位で終端して、柔軟なセグメント14、16、従って遠位部分10の柔軟性を高めることができる。一実施形態では、ルーメン延長部材62の遠位端部68は、そこからの流体の流出を防止するために塞がれる。あるいは、1つ以上の開口部は、塞がれた遠位端部68を貫通して延在でき、そこを流体が通れるようにする。
【0042】
遠位部分10とルーメン延長部材62とを含むアブレーションカテーテルの実施形態により、半径方向に方向付けられた灌注パターンの提供が容易となる。半径方向に方向付けられた灌注パターンは、遠位部分10が屈曲されていない、または弛緩した状態にあるときには、遠位部分10の長手方向の長さに沿って実質的に均一である。加えて、ルーメン延長部材62は、可撓性電極14、16が屈曲された位置にあるときの、開口部のサイズまたはチャネル26に形成されたギャップの変化により、遠位部分10の長手方向の長さに沿った流体の流れを変化させる。例えば、処置の最中、ギャップが組織表面の方に向かってより開放され、かつ組織表面から離れる方向にはあまり開放されないために、組織表面から離れるよりも組織表面の方へ、多くの流体が流れる。
【0043】
図5から分かるように、柔軟な近位電極16内で流出する流体は、チューブ40を通って流れて、柔軟な遠位電極14を通って延在するチャネル26を通って遠位部分10から流出できる。同様に、柔軟な遠位電極14内で流出する流体は、チューブ40を通って流れて、柔軟な近位電極16を通って延在するチャネル26を通って遠位部分10から流出できる。あるいは、チューブ40は、流体が柔軟な近位電極16と柔軟な遠位電極14との間でそこを通って流出できないように、塞がれ得る。
【0044】
アブレーションカテーテル用の柔軟な先端の電極は、例えば、以下の方法論に従って形成および作製され得る。例示的な方法は、中空円筒電極を提供すること、および電極のシリンダー状壁にレーザを当てて、電極の壁を切り込むことを含む。レーザは、予め決められたパターンで壁を切り込む。そのパターンは、電極壁の外周にらせん状に延在し得る、または様々な実施形態において前述した細長い溝または開口部のパターンのいずれかに一致し得る。切り込みによって、一部のセクションでは一貫して幅が広くかつ他のセクションでは狭小であるチャネル26を形成する。幅の広いセクションは、前述の通り、チャネル26を狭めるまたは広げる自由な動きを可能にし、遠位部分10において近位に力が加えられると、可撓性電極14、16のうちの少なくとも一方の軸方向長さを短縮させることを可能にする。
【0045】
図6は、本発明の第2の実施形態によるアブレーションカテーテルの遠位部分70の概略図である。
図7は、
図6に示すアブレーションカテーテルの遠位部分70の部分的な断面図である。
図6および
図7は、中間セグメント72およびチューブ74の構成、およびそれらと柔軟な電極セグメント14、16との接続において、
図1および
図2とは異なる。
図6および
図7に示すように、チューブ74は、中間セグメント72および柔軟な電極セグメント14、16の雌ねじと係合する雄ねじを有して、ねじ接続を提供する。加えて、中間セグメント70の外部表面に帯状電極76が含まれ、電極ワイヤ77が帯状電極76まで延在して帯状電極76にエネルギーを供給する。ワイヤ77は、当業界で周知のように、その近位端部においてエネルギー源に結合される。
【0046】
図1〜8は、2つの柔軟な電極セグメントを含むアブレーションカテーテルの遠位部分を示す。他の実施形態では、3つ以上の柔軟な電極セグメントがあってもよい。隣接する各対の柔軟な電極セグメントは、非導電性セグメントによって分離されている。
【0047】
最近の血液造影の研究では、様々な構成および局所解剖で、かなりばらつきのある下大静脈と三尖弁論間の解剖学的峡部(cavotricuspid isthmus anatomy)を示しており、これは、一部の心房粗動の場合には困難を生じ得る。これらの患者に見受けられる窩様凹部に、長い先端の、剛性の8mm電極を配置するには、技術的な課題がある。マルチセグメントの柔軟な先端のカテーテル設計によれば、電極の、心臓の鼓動に同期させた組織との接触を維持することがより良好にでき、かつまた、線形の損傷の形成を容易にし得る。この先端はまた、心室性頻拍性不整脈のある患者の柱状の心内膜領域内の焼灼に、および心房性細動での処置における、ルーフライン(roof line)の焼灼に有利とし得る。冠状静脈洞内の焼灼時にも有用とし得る。
【0048】
可撓性電極の多くの実施形態により、線形の焼灼の処置の実施が容易となる。典型的なアブレーションカテーテルと同様に、医師は、電極を使用してマッピングを行うことができ、かつ焼灼の標的部位を決定できる。決定したら、医師は、組織にエネルギーを適用している間に、標的組織にわたって柔軟な先端の電極を引きずって焼灼を開始する。電極には柔軟性があるため、電極は、稜および隆起を有する組織表面にわたって簡単に引きずることができる一方で、電極−組織接触を持続的に保つことができる。これは、柔軟な先端の電極が組織表面にわたって引きずられているときに変形するおよび/または屈曲するために、可能である。柔軟な先端に柔軟性および変形可能性があることによって、剛性先端電極で可能であったものよりも電極−組織表面積が大きくなる。および、電極壁に壁があることによって、先端部から組織表面に対して下方に圧力を加えるときに電極を短縮できるために、予想外に組織を穿孔することを、除外できないまでも、かなり回避する。
【0049】
これらの記載は、本発明を開示するために、ベストモードを含む例示を開示し、当業者が本発明を実施できる程度に本発明を開示し、いかなるデバイスやシステムを製造し使用する例示を開示し、本発明に包含されるいかなる方法も実施を開示する。当業者は、既に説明したもの以外の多くのさらなる変形例が、本明細書における本発明の概念から逸脱することなく可能である。従って、記載された実施形態は、例示のためにのみに説明され、請求の範囲によって規定される本発明を限定するものでないことが理解されるはずである。
【0050】
本発明の特許性のある範囲は、クレームによって規定され、当業者において明らかな実施形態も含みうる。クレームの文言から逸脱しない構造的要素を含むとき、あるいはクレームの文言から逸脱しない非実質的な相違を伴う等価な構造的要素を含むとき、それらの他の実施形態は、クレームの範囲内にあることが意図される。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
遠位端部と、複数の柔軟なセグメントと、前記柔軟なセグメントよりも柔軟性の劣る少なくとも1つの中間セグメントとを含む遠位部分を有する細長い本体を含むカテーテル装置であって、
隣接する前記柔軟なセグメントが、前記少なくとも1つの中間セグメントによって互いに長手方向に離隔され、各前記柔軟なセグメントが、少なくとも部分的に側壁を通って延在しかつかみ合い要素を形成する少なくとも1つの細長いギャップを有する側壁を含み、前記少なくとも1つの中間セグメントが前記柔軟なセグメントよりも短い、カテーテル装置。
(項目2)
前記複数の柔軟なセグメントが電極を含み、および前記少なくとも1つの中間セグメントが非導電性部材を含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目3)
側壁と、側壁内部を通って延在するルーメンとを有するルーメン延長部材をさらに含み、前記ルーメン延長部材が、前記遠位部分を少なくとも部分的に通って延在する、項目1に記載のカテーテル。
(項目4)
前記ルーメン延長部材が、前記ルーメン延長部材を貫通して延在する複数の開口部を含む、項目3に記載のカテーテル。
(項目5)
前記複数の開口部が第1のセットの開口部および第2のセットの開口部を含み、前記第1のセットの開口部における前記開口部のサイズが、前記第2のセットの開口部における前記開口部のサイズよりも大きい、項目4に記載のカテーテル。
(項目6)
前記開口部のサイズが、前記遠位部分に沿って流体の流出を実質的に一定にするように構成されている、項目4に記載のカテーテル。
(項目7)
前記ルーメン延長部材内の前記ルーメンの直径が変化し、その直径は、前記遠位部分の長さに沿って流体の流れを実質的に一定にするように構成されている、項目3に記載のカテーテル。
(項目8)
前記遠位部分に少なくとも1つのセンサが取り付けられている、項目1に記載のカテーテル。
(項目9)
前記センサが生理学的センサである、項目8に記載のカテーテル。
(項目10)
前記非導電性部材の外面に電極が取り付けられている、項目2に記載のカテーテル。
(項目11)
前記側壁が、前記側壁の外周の一部分の周りの環状ギャップ、および前記側壁にらせん状パターンを形成するらせん状ギャップからなる群から選択される少なくとも1つの細長いギャップを備える、実質的にシリンダー状の側壁である、項目1に記載のカテーテル。
(項目12)
前記側壁が、少なくとも部分的に前記側壁を通って形成された細長いギャップを備える実質的にシリンダー状の側壁であり、前記ギャップが、前記側壁の外周の一部分の周りの環状ギャップ、前記側壁にらせん状パターンを形成するらせん状ギャップ、および交互のかみ合いブロックの輪郭を描くギャップの1つ以上として延在する、項目1に記載のカテーテル。
(項目13)
前記少なくとも1つの細長いギャップが、前記側壁の全体にわたって延在する、項目1に記載のカテーテル。
(項目14)
前記側壁を予め決められた構成に弾性的に付勢する付勢部材をさらに含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目15)
前記遠位部分が、前記遠位部分の長手方向軸に対して約40〜約44度で曲がることができる、項目1に記載のカテーテル。
(項目16)
前記側壁が、対向するかみ合いブロックを画成する渦巻き状のステムを含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目17)
前記側壁が、前記細長いギャップの対向する側に配置された交互のかみ合いブロックを含み、各前記ブロックが頭部とネック部とを有し、前記頭部は前記ネック部よりも幅広である、項目1に記載のカテーテル。
(項目18)
前記側壁が第2のステムをさらに含み、第1のステムに接続された第1のネック部を有する第1の頭部が、第2の頭部と第3の頭部との間に配置され、前記第2の頭部は第2のネック部を有し、前記第3の頭部は第3のネック部を有し、前記第2および第3のネック部は前記第2のステムに接続され、および前記第2の頭部と第3の頭部との間の距離は、前記第1の頭部の幅の最も広い部分よりも短い、項目17に記載のカテーテル。
(項目19)
前記少なくとも1つの細長いギャップが、約0.5〜約10度のピッチで延在する、項目1に記載のカテーテル。
(項目20)
カテーテル用の遠位部分であって、
遠位端部と、
複数の柔軟なセグメントと、
少なくとも1つの中間セグメントであって、隣接する前記柔軟なセグメントが、前記少なくとも1つの中間セグメントによって長手方向に互いに離隔され、各前記柔軟なセグメントが、少なくとも部分的に側壁を通って延在しかつかみ合い要素を形成する少なくとも1つの細長いギャップを有する側壁を含み、前記少なくとも1つの中間セグメントが前記柔軟なセグメントよりも短く、前記細長いギャップが、前記柔軟なセグメントに柔軟性を与え、かつ長手方向軸に対して異なる動作形態を可能にする、中間セグメントと
を含む、遠位部分。
(項目21)
前記柔軟なセグメントが、予め決められた構成に付勢される、項目20に記載の遠位部分。
(項目22)
前記異なる構成が、静止長構成、短縮構成、実質的に直線の構成、アーチ形の構成、および断面形状が変化する構成の少なくとも1つを含む、項目20に記載の遠位部分。
(項目23)
前記少なくとも1つのギャップが、前記柔軟なセグメントの周りをらせん状パターンで延在する、項目20に記載の遠位部分。
(項目24)
前記少なくとも1つの細長いギャップが、約0.5〜約10度のピッチで延在する、項目20に記載の遠位部分。
(項目25)
前記柔軟なセグメントが、少なくとも1つのステムと、前記ステムから横方向に延在する対向するブロックとを含む、項目20に記載の遠位部分。
(項目26)
前記複数の柔軟なセグメントが電極を含み、および前記少なくとも1つの中間セグメントが非導電性部材を含む、項目20に記載の遠位部分。
(項目27)
側壁と、側壁内部を通って延在するルーメンとを有するルーメン延長部材をさらに含み、前記ルーメン延長部材が、前記遠位部分を少なくとも部分的に通って延在する、項目20に記載の遠位部分。
(項目28)
前記ルーメン延長部材が、前記ルーメン延長部材を貫通して延在する複数の開口部を含む、項目20に記載の遠位部分。
(項目29)
前記複数の開口部が第1のセットの開口部および第2のセットの開口部を含み、前記第1のセットの開口部にある前記開口部のサイズが、前記第2のセットの開口部にある前記開口部のサイズよりも大きい、項目28に記載の遠位部分。
(項目30)
前記開口部のサイズが、前記遠位部分に沿って流体の流出を実質的に一定にするように構成されている、項目28に記載の遠位部分。
(項目31)
前記ルーメン延長部材内の前記ルーメンの直径が変化し、その直径は、前記遠位部分の長さに沿って流体の流れを実質的に一定にするように構成されている、項目27に記載の遠位部分。
(項目32)
少なくとも1つのセンサがさらに取り付けられている、項目20に記載の遠位部分。
(項目33)
前記センサが生理学的センサである、項目32に記載の遠位部分。
(項目34)
前記少なくとも1つの細長いギャップが、前記柔軟なセグメントの全体にわたって延在する、項目20に記載の遠位部分。
(項目35)
前記柔軟なセグメントを予め決められた構成に弾性的に付勢する付勢部材をさらに含む、項目20に記載の遠位部分。
(項目36)
前記遠位部分が、前記遠位部分の長手方向軸に対して約40〜約44度で曲げられる、項目20に記載の遠位部分。
(項目37)
前記柔軟なセグメントが、前記細長いギャップの対向する側に配置された交互のかみ合いブロックを含み、各前記ブロックが頭部とネック部とを有し、前記頭部が、前記ネック部よりも幅広である、項目20に記載の遠位部分。
(項目38)
前記柔軟なセグメントが第2のステムをさらに含み、第1のステムに接続された第1のネック部を有する第1の頭部が、第2の頭部と第3の頭部との間に配置され、前記第2の頭部が第2のネック部を有し、前記第3の頭部が第3のネック部を有し、前記第2および第3のネック部が前記第2のステムに接続され、および前記第2の頭部と第3の頭部との間の距離が、前記第1の頭部の幅の最も広い部分よりも短い、項目20に記載の遠位部分。